- 分類:短編集
- 初出:別記(全て「小説宝石」「別冊小説宝石」)
- 初刊:1984年/光文社
- 刊行回数:3回
- 入手:古書のみ(電子書籍あり)
解題
「小説宝石」(別冊を含む)に発表された5編を収録した短編集。
おそらく雑誌の方からそういう発注があったのだろうが、連城作品では珍しく官能描写重点である。
そのわりに光文社文庫旧版の表紙は妙に乙女チックな表紙詐欺。→
amazon『少女』商品ページ
瀬戸内 連城さんの小説は、あまりエロティックじゃないのね。
連城 ハッハッハ。エロティックなものにも、いろいろ憧れております(笑)。ポルノまがいのものも書いたりはしているんですけど。
(瀬戸内寂聴×連城三紀彦 対談「愛の夢をみつづける」より)
『
恋文』とほぼ同時に刊行されたが、どうやらそれは連城自身の意向だったようだ。
連城 (引用者註:『恋文』について)あのときは僕は、全然個人的な話ですけど、片方でポルノを書いていたんですよ。それでポルノ小説と童話を同時に一回出してみたいというのがあったんですね。大人のメルヘンっぽいもので、というので、こういうふうに書きはじめた。それで同時に出しましたので、セックスのほうは全部もう一つのほうに……。
(「婦人公論」1985年11月臨時増刊号 冨士真奈美×連城三紀彦「特別対談 男と女のミステリー」より)
表題作「
少女」は、親友・
奥田瑛二が連城三紀彦と知り合うきっかけになった作品。
その縁で、表題作は紆余曲折の末、2001年、奥田瑛二監督・主演により映画化。それに伴い光文社文庫から新装版が刊行されたが、現在は再び入手困難となっている。ただし電子書籍版があるので、そちらで読める。奥田瑛二は新装版の装画と題字も手がけた。
新装版では、旧版にあった宮島秀司(映画プロデューサー)の解説が無くなっているが、旧版の解説では頓挫したらしい表題作の映画化計画について触れているので、再録するわけにもいかなかったのだろう。新しい解説をつけようとしなかったあたり、光文社の方にあまり売る気は無かったのかもしれない。
現在は、今年の秋の撮影を目標に、(編者註…表題作「少女」の)映画化の話を進めている。監督は、『魚影の群れ』(相米監督作品)で一緒に苦労した、榎戸耕史さんのデビュウ作品にできればと思う。脚本は、僕と同じ製作会社・メリエスのメンバーで、『Wの悲劇』(澤井監督作品)の荒井晴彦さんでいく予定でいる。連城さんが初めて、自作の脚色をやってくだされば、本当に素敵なことだと思う。
(光文社文庫『少女』旧版 解説(宮島秀司)より)
結局、この映画化は実現しなかった(奥田瑛二が脚本に納得しなかったらしい)。
収録作
- 初出:「小説宝石」1982年11月号
- 雑誌時挿絵:中原脩
- 初出:「小説宝石」1984年6月号
- 雑誌時挿絵:山本博通
- 初出:「小説宝石」1983年11月号
- 雑誌時挿絵:中原脩
- 初出:「別冊小説宝石」1982年初夏特別号
- 雑誌時挿絵:文月信
- 初出:「小説宝石」1983年2月号
- 雑誌時挿絵:中原脩
刊行履歴
初刊:光文社/1984年5月30日発行
新/感/覚/派/サ/ス/ペ/ン/ス/小/説
人間の魔性を一瞬の影絵でとらえ
エロチシズムの粋をあぶりだす
(単行本オビより)
単行本/205ページ/定価980円/絶版
装画/中原脩 装幀/亀海昌次
文庫化:光文社文庫/1988年2月20日発行
「わたし、中学生かな、高校生かな」と少女は年齢も曖昧に答えた。噂に聞いた少女売春だ。彼は金がないのに欲望が動く。行為のあと、少女の隙に二万円を掠め取った。その札番号が郵便局強盗の奪った数字に一致。厳しい嫌疑を解こうと彼は少女を探し出すが、その口からは意外にも!? 「少女」を含め、逆転の妙に充ちた、魅惑の五編。
(文庫裏表紙より)
文庫/227ページ/定価380円/絶版
解説/宮島秀司(映画プロデューサー)
カバーイラスト/中原脩
新装版:光文社文庫/2001年4月20日発行
「わたしと寝ない?」少女が突然、声をかけてきた。噂に聞く援助交際だ。金はなかったが、やりようがある。行為を果たした後、隙をつき少女から二万円を盗み取り、逃走した。が、その札番号が郵便局強盗の奪った番号と一致、警察に連行される。やがて、強盗の容疑は晴れるが、納得のいかぬ男は、少女を探し――!? 「少女」ほか逆転の妙に充ちたサスペンス4編を収録。
(文庫裏表紙より)
文庫/236ページ/定価438円+税/品切れ/電子書籍あり
解説なし
カバーイラスト・題字/奥田瑛二 カバーデザイン/三小田典子
最終更新:2017年08月10日 14:25