- 分類:短編集
- 初出:別記
- 初刊:1991年/文藝春秋
- 刊行回数:2回
- 入手:古書のみ
解題
『
日曜日と九つの短篇』『
恋愛小説館』に続く、30枚程度の恋愛短編10編を集めた短編集第3弾。「
冬の宴」は初出時に「二大新連載登場 恋愛小説館」と銘打たれ、その他の「別册文藝春秋」掲載作もそれぞれ「恋愛小説館」の副題がついている。
文庫版の濱田芳彰の解説は、連城三紀彦の男女観論として興味深い内容になっている。
「男と女って、本質的には同じなんじゃないかな」
連城氏がある時言った台詞である。
女性読者をして、男性作家なのにこんなに女性の心理を的確に描写できるなんて、と唸らせる作家の言葉とは思えぬ台詞ではある。
時として自虐的とも見えるほど慎み深い氏のことであり、この発言もその前に、「女性を描くのが上手いと評されるけれど、自分では上手いとは思っていない。ただ――」という言葉があり、断定していたわけではないが、これは本当ではないだろうか。
連城氏の母親と四人の姉に多大な影響を受けたというその生い立ちを考えてみれば、先の言葉は幼い頃から〝女〟を観察してきた氏の正直な感想なのだと信じられる。
(文春文庫版 濱田芳彰「解説」より)
収録作
- 初出:「別册文藝春秋」1988年12月号
- 雑誌時挿絵:斎藤真一
- 初出:「別册文藝春秋」1989年3月号
- 雑誌時挿絵:斎藤真一
- 初出:「別册文藝春秋」1989年6月号
- 雑誌時挿絵:斎藤真一
- 初出:「別册文藝春秋」1989年9月号
- 雑誌時挿絵:斎藤真一
- 初出:「別册文藝春秋」1989年12月号
- 雑誌時挿絵:斎藤真一
- 初出:「別册文藝春秋」1990年3月号
- 雑誌時挿絵:斎藤真一
- 初出:「別册文藝春秋」1990年6月号
- 雑誌時挿絵:斎藤真一
- 初出:「オール讀物」1988年2月号
- 雑誌時挿絵:三上修一
- 初出:「オール讀物」1989年新春号
- 雑誌時挿絵:川村みづえ
- 初出:「別册文藝春秋」1990年9月号
- 雑誌時挿絵:斎藤真一
刊行履歴
初刊:文藝春秋/1991年8月10日発行
自由に愛して
不自由に愛して
落とし穴にはまる――
ひやりと研ぎすまされた男と女10の物語
(単行本オビより)
単行本/204ページ/定価1165円+税/絶版
装画/齋藤真一 AD/竹内和重
文庫化:文春文庫/1994年8月10日発行
新婦の前夫を披露宴に招んだ新郎の胸中(「冬の宴」)、男性用の同じコロンの匂いがする二人の女性と関わった男が感じた不安(「
白い香り」)、浮気した夫を許すかわりに夫の部下を誘惑すると宣言した妻の真意(「
即興曲」)ほか七篇。つつましく生きる人々のしなやかでしたたかな愛のかたちを綴る短篇集。
(文庫裏表紙より)
文庫/231ページ/定価350円+税/絶版
解説/濱田芳彰(コラムニスト、連城三紀彦の助手)
カバー/荒井冨美子
最終更新:2017年03月27日 16:06