一夜の櫛(短編集)

  • 分類:短編集
  • 初出:別記
  • 初刊:1988年/新潮文庫
  • 刊行回数:1回
  • 入手:古書のみ

解題

宗教団体「解脱会」の発行していた機関誌「季刊SUN・SUN」に、連城は84年から2000年に雑誌が休刊になるまで、足かけ17年に渡って掌編を寄せ続けた。連城は真宗大谷派の僧侶であるが、自身が解脱会と直接関係していたわけではなく、母が解脱会の信者だったらしい。
その「SUN・SUN」掲載の掌編8編ほか、様々な雑誌に掲載された短い作品14編を集めた短編集。
初の文庫オリジナルの刊行。同様に「SUN・SUN」初出の掌編を集めた短編集には『背中合わせ』と『さざなみの家』があり、どちらも文庫オリジナルでの刊行である。
なお、宗教団体の雑誌初出でも、作品に宗教色は一切ない。いつもの連城恋愛短編である(「SUN・SUN」自体、女性向けの家庭雑誌の色が濃い)。

解説の中村彰彦も指摘しているが、収録作には浮気の話が多い。そしてこの後、連城恋愛短編は浮気の話が主体となっていき、『夜のない窓』『前夜祭』『夏の最後の薔薇』など全作品が浮気の話の短編集が何冊も出ることになる。

巻末の初出情報は「SUN・SUN」の掲載号の表記が間違っており、「昔話」は「SUN・SUN」掲載作でないことが明らかになっている。「昔話」の初出は現在も不明であり、情報を募集中。

収録作

一夜の櫛

  • 初出:「小説新潮」1987年9月号
  • 雑誌時挿絵:磯谷時子

忘れ物

  • 初出:「季刊SUN・SUN」1985年冬号

  • 初出:「季刊SUN・SUN」1986年春号

プラットホーム

  • 初出:「季刊SUN・SUN」1986年夏号

葉陰

  • 初出:「季刊SUN・SUN」1986年秋号

針の音

  • 初出:「季刊SUN・SUN」1986年冬号

裾模様

  • 初出:「季刊SUN・SUN」1987年春号

梅の実

  • 初出:「季刊SUN・SUN」1987年夏号

交差点

  • 初出:「季刊SUN・SUN」1987年秋号

昔話

  • 初出:不明

十年目の夏

  • 初出:「クロワッサン」1985年7月25日号

ヴェール

  • 初出:「月刊カドカワ」1986年11月号
  • 雑誌時挿絵:立花みよ子

通過駅

  • 初出:「小説すばる」1987年冬期号
  • 雑誌時挿絵:村上みどり

うしろ髪

  • 初出:「別冊婦人公論」1986年冬号
  • 雑誌時挿絵:東谷武美

刊行履歴

初刊:新潮文庫/1988年2月25日発行


髪の艶と柔らかさが自慢の津加子。六歳年上の夫は四度目の浮気が進行中だ。彼女は同窓会で再会した辻沢と、月に二、三度は逢いながら、体の関係もなく、ただ別れぎわ、辻沢が彼女の髪に触れるだけという関係を続けてきた。辻沢と旅にでた鄙びた温泉宿で夜中に二つに割れた櫛。この櫛に津加子は二人の関係の終わりを痛いほど感じとっていた……。十四編収録のオリジナル短編集。
(文庫裏表紙より)

文庫/213ページ/定価311円+税/絶版
解説/中村彰彦
カバー/早川良雄

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最終更新:2017年10月17日 02:50