- 別題:『嘘は罪』(2006年、文春文庫版より)
- 分類:短編集
- 初出:別記(全て「オール讀物」)
- 雑誌時挿絵:三嶋典東
- 初刊:2001年/文藝春秋
- 刊行回数:2回
- 入手:古書のみ(電子書籍あり)
解題
「オール讀物」に1996年から2000年にかけて掲載された12編を集めた短編集。全て浮気の話。
「
夏の最後の薔薇」が掲載された「オール讀物」1997年1月号には「読切新シリーズ 恋愛小説館 第一話」の文字が見えるが、続く「
薔薇色の嘘」からは「恋愛小説館」の文字は目次にも作品の扉にも見当たらない。7作目の「
星くず」で突如「恋愛小説館」の文字が復活するが、続く「
くずれた鍵」では再び副題は消え、以降最後の「
雨だれを弾く夏」まで復活することはなかった。
また「
仮橋」のみ連作として始まる以前に書かれた作品である。
タイトルを見れば解る通り、各編のタイトルはしりとりになってループしている。
「夏の最後の薔薇」→「薔薇色の嘘」→「嘘は罪」→「罪な夫婦」→「夫婦未満」→「満天の星」→「星くず」→「くずれた鍵」→「鍵孔の光(ひかり)」→「仮橋(かりはし)」→「走(はし)り雨」→「雨だれを弾く夏」→「夏の最後の薔薇」
「仮橋」の前後だけ繋がりが強引なのは、前述の通り先に書かれていた作品を強引にここにねじ込んだからだろう。
『夏の最後の薔薇』の全篇を貫くテーマは、結婚という一種の契約から生じた<夫婦>という関係に望まれる道徳観の揺らぎである。<夫(父)と妻(母)>と<男と女>という関係性の振れ幅をこそ、連城は鮮かに切り取っているのだ。
(佳多山大地『新本格ミステリの話をしよう』収録 「比翼の鳥が堕ちるとき」(「本の話」2001年8月号初出)より)
2006年に文春文庫で文庫化された際、なぜか『
嘘は罪』と改題された。
改題の理由は不明だが、文庫化に5年も要したことを考えると、ひょっとしたら単行本が売れなかったため新作のように見せかけて売ろうということだったのかもしれない。
現在は文春文庫版『嘘は罪』の電子書籍版が入手可能。
収録作
刊行履歴
初刊:文藝春秋/2001年7月30日発行
からみあう愛と憎悪、そして物語は目くるめく結末へ。これぞサプライズ・エンディング!
華麗にして巧緻な十二の短編小説
(単行本オビより)
単行本/279ページ/定価1667円+税/絶版
装画/荒井冨美子 装幀/郷坪浩子 表紙写真/河井和知(amana images)
文庫化:文春文庫/2006年6月10日発行
「あなた、この着物要らない?」高校時代からの親友の言葉には続きがあった。「この着物を着てある女に逢ってほしいの」そして――。奥さんにしたいナンバーワンといわれた女の、その実は? からみあう愛と憎悪の中で、予期せぬ結末が待つ十二の物語。女は見かけによらぬもの、あなたもだまされて下さい。
(文庫裏表紙より)
文庫/279ページ/定価629円+税/品切れ/電子書籍あり
解説/香山二三郎
カバー/鈴木正道(Suzuki Design)
最終更新:2017年07月16日 16:27