- 分類:傑作選(松浦正人編)
- 初出:別記
- 初刊:2018年/創元推理文庫
- 刊行回数:1回
- 入手:入手可
解題
松浦正人による、全2巻の傑作集の2冊目。87年以降に書かれた作品から、短編16編を収録する。
併録エッセイは未書籍化の〈キネマ旬報〉連載「
試写室のメロディー」から4回分と、『
恋文のおんなたち』から映画ネタを1編。
目玉はなんといっても、
未文庫化の連作『落日の門』を全編収録したことである。
本巻には、一九九三年に新潮社でまとめられた『
落日の門』を一冊まるごと収録しました。一冊の初刊本から採る作品数はなるべく少なく、という編纂方針に反することになりますが、「
落日の門」をふりだしに「
火の密通」まで、つごう五つのエピソードが個別に語られているとはいえ、全体としてはひとつの長編となりうるような加筆訂正をへて単行本化されていること、九〇年代の連城を代表する仕事のひとつであるにもかかわらず、文庫にはいる機会が過去になかったことを考えあわせて、この判断にいたりました。どうか、ご諒解のうえ、当連作につきましては目次順に楽しまれますように。
(編者解説 松浦正人「連城三紀彦の模索と達成」より)
年代順の配列を取っているために、『
六花の印』にはデビューから「恋文」前後までを、『
落日の門』で八十年代末(前述した黙殺の時期だ)以降の作品を収めている。編者の松浦正人自身「恋文」直後の作品に、当初、違和感があったことを表明している。しかし、誠実な再読と再評価の結果が、とりわけ第二巻には表れている。率直に言って、一巻と二巻では、比べ物にならないくらい二巻の方が充実している。とくに、今回全編収録された連作短編集『
落日の門』は、従来、文庫化されていなかったという事情を差し引いても、全編収録は妥当と思わせる。
(「ビッグコミックオリジナル」2019年1月5日号 小森収「連城三紀彦の素晴らしさ」より)
収録作
トリュフォーへのオマージュ
原作・衣笠貞之助
- 単著初収録 初出:「キネマ旬報」1987年3月上旬号
「ラストシーンは永遠に」
- 単著初収録 初出:「キネマ旬報」1987年11月上旬号
「MUGO・ん色やねん」
- 単著初収録 初出:「キネマ旬報」1989年2月上旬号
地上より永遠に
- 単著初収録 初出:「キネマ旬報」1990年1月上旬号
刊行履歴
初刊:創元推理文庫/2018年12月14日初版発行
名匠・連城三紀彦が紡いだ数多の短編群から選り抜いた傑作集第二巻。直木賞受賞以降、著者の小説的技巧と人間への眼差しにはより深みが加わり、ミステリと恋愛小説に新生面を切り開く。文庫初収録作品を含む本巻では、著者の到達点と呼ぶべき比類なき連作『
落日の門』全編を中心に、円熟を極めた名品十六編を収める。著者の全貌が把握できるとともに新たな視座を提示する全二巻。
(内容紹介より)
文庫/736ページ/定価1600円+税/入手可
連城三紀彦の模索と達成/松浦正人
カバー写真/犬田和楠 カバーデザイン/岩郷重力+mmkktf
最終更新:2019年02月17日 22:08