- 分類:傑作選
- 初出:別記
- 初刊:2014年/講談社文庫
- 刊行回数:1回
- 入手:品切れ
解題
綾辻行人・伊坂幸太郎・小野不由美・米澤穂信という豪華メンバーによる連城三紀彦の傑作選。
純粋な連城の個人傑作選が編まれるのは本書が初。連城ミステリ入門を意識して編まれたようだ。
各編の冒頭に選者のコメントがついている他、巻末には綾辻行人×伊坂幸太郎の特別対談が収録されている。
綾辻 選者の一人として、このアンソロジーはできるまでの経緯を簡単に説明しておきましょう。編集部の要請を受けてまず、綾辻行人、伊坂幸太郎、小野不由美、米澤穂信の四人がそれぞれに三編の推薦作を、いちおうの順位をつけて選んだんですね。で、それぞれが一位に推した四編を収録決定としたうえで、挙げられたほかの推薦作のなかから、伊坂さんと僕が相談してさらに二編を選んで加え、計六編としました。選出にあたっての基準は、「これまで連城三紀彦のミステリーを読んだことがない人に向けて」という、この本のコンセプトを前提にしています。
(中略)
綾辻 今日の対談で、作品の並び順も決まりましたね。トップには「依子の日記」を。連城作品を初めて読む人のことを考えると、これはとても取っつきがよくて読みやすいし、それでいて、さっきも言ったように連城ミステリーのルーツのような作品でもありますし。
伊坂 トリックが綾辻さんっぽい感じがするところも巻頭を飾るにふさわしい。
綾辻 そして、ラストには「母の手紙」を。
伊坂 短いけれどあいだに置いてしまうと「箸やすめ」的になってしまう。日記ではじまって手紙で終わる形も良いのではないでしょうか。あと二番目はやはり読みやすい普通のミステリーの形をしている作品をということで「眼の中の現場」に決まって。
綾辻 「眼の中の現場」は伊坂さんのイチオシですね。残る三編が、野球でいえば三番、四番、五番のクリーンナップになります。小野さん推薦の「花葬シリーズ」の傑作「桔梗の宿」、綾辻偏愛の異色作「親愛なるエス君へ」、そして米澤さん推薦の重厚作「花衣の客」……うん、とても良い並びになったと思います。
綾辻 連城さんは最後までミステリーがお好きだったんだな、と思います。
伊坂 そういう話を聞くと、今からでも遅くないから、連城三紀彦という作家のことをもっともっと知ってほしいと強く願います。このアンソロジーを読んで、気に入った方はぜひぜひ、ほかの短編集や長編にも手を出してほしいです。ここに収録されている短編が傑作なのは間違いないのですが、これと同じくらい、これ以上の傑作が連城さんの場合、ほかにゴロゴロあるんですから。
(以上、綾辻行人×伊坂幸太郎「特別対談 ミステリー作家・連城三紀彦の魅力を語る」より)
編者コメントのうち、米澤穂信の担当分は(『
連城三紀彦レジェンド2』のものも含め)『米澤屋書店』(文藝春秋)に収録。
収録作
刊行履歴
初刊:講談社文庫/2014年11月14日発行
ミステリーに殉じた作家を敬愛する四人による驚嘆のアンソロジー。巧緻に練られた万華鏡のごとき謎、また謎。遊郭に出入りする男の死体が握っていた
白い花に魅せられた若い刑事(「
桔梗の宿」)、月一度、母の愛人と過ごす茶室に生涯を埋めた女(「花衣の客」)ほか。綾辻×伊坂、巻末対談でその圧倒的な魅力も語る!
(文庫裏表紙より)
文庫/317ページ/定価590円+税/品切れ
特別対談 ミステリー作家・連城三紀彦の魅力を語る/綾辻行人×伊坂幸太郎
カバーデザイン/下山隆(Red Rooster)
最終更新:2022年02月23日 17:02