- 分類:エッセイ集
- 初出:「月刊マミール」1988年7月号~1989年12月号(文庫版で異動あり)
- 初刊:1990年/佼成出版社
- 刊行回数:2回
- 入手:古書のみ
解題
佼成出版社が発行していた婦人誌「月刊マミール」に1988年から89年にかけて連載されたエッセイの単行本化。
この本に収めた十八のエッセイは昭和六十三年の七月から、雑誌『マミール』の一年半かけて連載したものですが、時代が昭和から平成に移り変わって、僕にもそれなりの変化がありました。当時は親しくしていても今はもう疎遠になっている人もいますし、依然つき合いの続いている人もいます。
今も親しくしている人たちとの間には、たとえば犬に似ていると書いたシナリオライター氏が本当に犬になってしまった(?)り、連載時以上の面白い〝その後〟があったりしますし、〝芝居を演出する予定〟という言葉が何度も出てきますが、上演を何とか無事に終えてそれも今はもう過去形です。
(単行本あとがきより)
小説と紛らわしいタイトルだが、実際短編集のように読めるエッセイ集。
荒井晴彦のエピソードが読めるので、『
ため息の時間』との併読をおすすめしたい。
また「キネマ旬報」連載の映画エッセイ『
試写室のメロディー』と連載期間が重なっているため、共通するエピソードがいくつかある。
文庫版ではなぜか「小さな名場面」が外れ、代わりに「銀座百点」初出のエッセイ「銀座の雨」が収録された。
収録エッセイ
自然の風景
一瞬の虹
山門の明かり
気弱な犬
哀しい漫才
小さな名場面
- 初出:「月刊マミール」1988年12月号
- 文庫版には未収録
賢い女性
夫の匂い
ガラス戸の向こう
優しい富士
いい女
夫婦の歩調
二つの笑い声
安心
彩色のない刺青
黒ぶちの眼鏡
綻びの味
助手席のうたた寝
銀座の雨
- 初出:「銀座百点」1991年12月号
- 文庫版のみ収録
刊行履歴
初刊:佼成出版社/1990年3月20日発行
「感動は一瞬の小さなドラマ」
著者の身近な人々が、ふとした瞬間に見せた小さな表情、小さな仕草、小さな言葉――。
そんな微小な出来事を繊細な感性で綴った18のドラマエッセイ。
(単行本オビより)
単行本/222ページ/定価1262円+税/絶版
あとがきあり
装画/蓬田やすひろ 装幀/アニマルハウス
文庫化:新潮文庫/1994年8月1日発行
テレビカメラに向かって深々と頭を下げた母。温泉街のレストランで肩を落としていた俳優。決まって夜明けに来襲する脚本家。手袋の片方を残して姿を消した少年。そして、映画館の片隅にたたずんでいた父――。一瞬の出会い、一瞬の感動がドラマを産む。男女の人情の機微を濃やかに描きつづけてきた著者が、肉親から動物にいたるまでを主人公に、18のドラマを虹色に彩るエッセイ集。
(文庫裏表紙より)
文庫/185ページ/定価311円+税/絶版
あとがきあり(単行本と同一内容)
解説/友成純一
カバー装画/蓬田やすひろ デザイン/新潮社装幀室
最終更新:2016年04月13日 04:41