螢草(短編集)

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螢草(短編集) - (2017/08/10 (木) 17:05:18) のソース

-分類:短編集
-初出:別記
-初刊:1988年/集英社
-刊行回数:2回
-入手:古書のみ

*解題
様々な雑誌に発表された5編を集めた雑多な印象の短編集。
単行本は集英社から刊行されたが、文庫はなぜか文春文庫から刊行された。
単行本・文庫とも、『[[花堕ちる]]』に続いて装丁は奥田瑛二が手がけている。

> 氏はもともとミステリーを書いていらっしゃったので、作品にはしばしばドンデン返しがしかけられます。この作品集に収められた作品にも、多かれ少なかれその傾向があります。ミステリーの世界ではドンデン返しを売物にする短篇・中篇ばやりです。筋の面白さや奇抜さを競うような小説のドンデン返しの中には、単に上すべりの「為にする」ものでしかないものが見受けられます。
> 連城さんの作品の結末は確かに非常にテクニカルなミステリー作品らしいものでありますが、その中にドキリとするような人間の深部、人の暗さをのぞかせています。でも、その暗さ、こわさはどうしようもない人間の業のようなものでありますが、同時に自分の中にも見つけ得る、人間として共有の「いたみ」、感じ得る心の中になら誰でも見出し得る心の「神経」そのものなのではないでしょうか。
>(文春文庫版 田中洋子「解説」より)

これは91年刊の文庫版での田中洋子(田中芳樹の妻)の解説からだが、新本格ムーブメントまっただ中であることを考えると、何か色々な意味合いが感じ取れる文章である。

収録作のうち「[[カイン]]」は栗本薫編の耽美小説アンソロジー『[[いま、危険な愛に目覚めて>http://www.amazon.co.jp/dp/4087510301]]』に採られたため、一部で有名。

**収録作
***[[螢草]]
-初出:「小説新潮」1984年11月号
-雑誌時挿絵:黒田征太郎

***[[微笑みの秋]]
-初出:「LEE」1985年10月号
-雑誌時写真:秋元孝夫

***[[カイン]]
-初出:「小説推理」1984年9月号
-雑誌時挿絵:山野辺進

***[[選ばれた女]]
-初出:「素敵な女性」1983年5月号~6月号
-雑誌時挿絵:井江栄

***[[翼だけの鳥たち]]
-初出:「COSMOPOLITAN」1987年6月号~8月号
-雑誌時挿絵:菊池英雄

**刊行履歴
***初刊:集英社/1988年2月25日発行
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>今夜、一晩だけ。そして、もう記憶の彼方に消える恋……。
>親分の姐さんに心寄せる哀切な男の純情。
>
>あざやかに描き出す5つの愛の物語
>(単行本オビより)

単行本/219ページ/定価980円/絶版
装丁/奥田瑛二

***文庫化:文春文庫/1991年7月10日発行
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>「おもしろい彫り物ね」一夜の出来事を未完の刺青に託した姐さんと渡世人の情(「螢草」)、「男なら誰でもいい」二重人格症の男性患者を追う青年医師の動揺(「カイン」)、「スミマセン、あのう……」一枚の絵がきっかけで米国人青年と知り合った女性の恐怖(「[[選ばれた女]]」)など、予期せぬ結末が待つ五つの愛の作品集。
>(文庫裏表紙より)

文庫/228ページ/定価408円+税/絶版
解説/田中洋子(拓殖大学留学生別科講師、田中芳樹の妻)
カバー/奥田瑛二

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