-分類:短編集 -初出:別記(全て「小説推理」) -初刊:1994年/双葉社 -刊行回数:2回 -入手:古書のみ *解題 「小説推理」に発表された5編を集めたミステリ短編集。最も古い「[[唯一の証人]]」は84年発表の初期作品。 文庫版にも解説がないためここで補足しておくが、「[[ゴースト・トレイン]]」は赤川次郎とお互いのパスティーシュを書くという企画で書かれた作品で、赤川のデビュー短編「幽霊列車」の二次創作である。作中で解決されない謎は「幽霊列車」の方で解決されている。 文庫版の装画を描いている荻野大輔は、連城三紀彦の2代目助手(1997年頃から助手を務めていたらしい)。『[[年上の女>年上の女(短編集)]]』中公文庫版や『[[さざなみの家]]』の装画も手がけているほか、「映画芸術」446号の追悼特集に追悼文を寄せている。 高品質な短編集だが、刊行時は全く売れなかったようで、文庫化は初刊からなんと8年後の2002年。その文庫版も売れなかったようで、世に出回った数自体が連城作品の中でも特に少ないらしく、古本市場にもあまり出回らず、単行本・文庫ともAmazonのマーケットプレイスでは1000円以上の値がつく。 連城作品の中でも見つけにくい1冊なので、ブックオフなどの棚に転がっていたら迷わず確保しておくべきである。 なお収録作のうち「[[眼の中の現場]]」は『[[連城三紀彦レジェンド]]』に、「[[ゴースト・トレイン]]」は『[[連城三紀彦レジェンド2]]』に再録されたため、それぞれそちらで読める。 5作中2作が傑作集に収録されてしまったため、単独での復刊は難しいかもしれない。 **収録作 ***[[唯一の証人]] -初出:「小説推理」1984年11月号 -雑誌時挿絵:山野辺進 ***[[ゴースト・トレイン]] -初出:「小説推理」1987年2月号 ***[[落書きの家]] -初出:「小説推理」1991年11月号 -雑誌時挿絵:牧美也子 ***[[眼の中の現場]] -初出:「小説推理」1992年9月号 -雑誌時挿絵:牧美也子 ***[[紫の傷]] -初出:「小説推理」1993年12月号 -雑誌時挿絵:牧美也子 **刊行履歴 ***初刊:双葉社/1994年11月15日発行 #amazon(457523205X,image,left) >&bold(){男と女が織りない〝愛〟のモザイク} >珠玉ミステリー五篇 >(単行本オビより) 単行本/242ページ/定価1456円+税/絶版 題字/斎藤紫蘭 装幀/上原ゼンジ ***文庫化:双葉文庫/2002年9月20日発行 #amazon(4575508381,text,left) >久茲里枝の喪服の裏にひそんでいた模様と同じ紫の文字で――[[紫の傷]]。二十八年前の罪の傷。二十八年というのは偶然だろうか。俺の年齢が本当は二十八歳である可能性もあるというのに……それから俺がボディガードとして雇われたことも。あの人が泉涌寺という寺であんな言葉を口にしたのも…… >――「[[紫の傷]]」より >(文庫裏表紙より) 文庫/254ページ/定価524円+税/絶版 解説なし カバーデザイン・イラストレーション/荻野大輔 #comment