会津郡熨斗戸組森戸村

陸奥国 会津郡 熨斗戸組 森戸(もりと)
大日本地誌大系第31巻 113コマ目

府城の西南に当り行程17里14町。
家数31軒、東西2町20間・南北30間。
山間に住し南に立岩川あり。

東50間八総村の界に至る。その村まで8町。
西4町熨斗戸村の界に至る。その村まで8町。
南55間井桁村に界ひ立岩川を限りとす。その村は辰(東南東)に当り8町。
北1里15町古町組多々石村の山に界ふ。
また丑寅(北東)の方1里24間高野組針生村の山界に至る。その村まで3里。

木地小屋

保上(ほうしやう)

本村の丑寅(北東)の方1里にあり。
家数9軒、東西30間・南北50間。
山中に住す。

山川

立岩(たていわ)

村西1町にあり。
棟15丈・周18丈計、屏風をたてたるが如し。
村老の口碑(こうひ)(言い伝え)に、むかし一夜に涌出(ゆうしゅつ)す。郷名の由て起る所なりと云う。
多く岩茸を産す。これを取れば必ず雨ふるとぞ。

立岩川

村南50間余にあり。
上流を岩下川と云う。
八総村の境内より来り、軽井沢合して西に流るること7町、熨斗戸村の界に入る。

軽井沢(かるいさわ)

村東50間にあり。
境内の山中より源を発し、滝岐沢(たきのまたさわ)大内沢(おほちさわ)八木沢(やきのさわ)これに合し、西に流るること15町計、立岩川に注ぐ。
広8間。

関梁

村東50間、軽井沢に架す。
超8町、隣村の通路、丸木橋なり。

神社

八幡宮

祭神 八幡宮?
相殿 若宮八幡
鎮座 不明
村北1町にあり。
鳥居あり。井桁村阿久津和泉が司なり。

山神社

祭神 山神?
相殿 伊勢宮
   稲荷神
鎮座 不明
村北4町にあり。
鳥居拝殿あり。阿久津和泉が司なり。

寺院

薬師堂

村東にあり。
草創の始を詳ならず。
修験金正院司なり。

古蹟

古碑

村北1町20間にあり。
高1尺6寸余・幅7寸余に厚1寸5分の黒色の石なり。
四方に(ふち)を廻し、上に梵字蓮華座を刻み、下に花瓶一を彫り、右に貞和五年(1349年)、左に三月日とあり。
村民これを虚空蔵なりとて屋を設けて崇敬す。
また鰐口1口あり。
径9寸。銘に『奥州南山立岩圓福寺虚空藏堂之鰐口也于時應永十一年甲申五月十三日大旦那唯善房幷に諸旦施主各人敬白』とあり。


最終更新:2020年03月29日 23:23