会津郡古町組大桃村

陸奥国 会津郡 古町組 大桃(おほもも)
大日本地誌大系第31巻 129コマ目

府城の西南に当り行程22里余。
家数25軒、東西38間・南北1町30間、山間に住し西に檜枝岐川あり。

東25町計熨斗戸組介木生村の山に界ふ。
西3里余・南2里計、共に檜枝岐村の山界に至る。その村は南に当り3里8町。
北8町小立岩村の山界に至る。その村まで21町31間余。

山川

(こまが)

村西1里18町にあり。

檜枝岐川

俗に内川と云う。
村西30間にあり。
檜枝岐村の境内より来り、達見(たつみ)沢・鳥井(とりい)沢を受け丑寅(北東)の方に流るること1里34町、小立岩村の界に入る。
この川に瀑布あり大桃滝という。高2丈余。夏秋の際、鱒多くこの滝を登り勢()きて跳下せるを、葡萄(つる)にて網のごとくにつくり滝の中間に施てこれを受く。里俗滝の釣網と称す。
またこの川のほとり村南1里10町計に温泉あり。路嶮(けんろ)難にして至り浴するものなし。

駒嶽沢

村西35町10間余にあり。
源は駒嶽より出て、東に流るること3里18町計、檜枝岐川に入る。
広9間。

黒檜(くろひ)

村西1里6町余にあり。
源は駒嶽より出て、東に流るること1里18町計、檜枝岐川に入る。
広8間。

関梁

橋4

皆府下の通路丸木橋なり
一は村西20間余にあり。長18間。
一は村北8町にあり。長2長22間。
共に檜枝岐川に架す。
一は村の申(西南西)の方35町10間余、駒嶽沢に架す。長9間。
一は村の申(西南西)の方1里6町10間にあり、黒檜沢に架す。長7間。

神社

駒嶽神社

祭神 伊弉諾尊(いざなぎのみこと)
鎮座 不明
村の辰巳(南東)の方50間余にあり。
鳥居あり。木賊村星安藝が司なり。

三島神社

祭神 三島神?
鎮座 不明
村の丑寅(北東)の方1町50間にあり。
鳥居あり。落合村金剛院司なり。

古蹟

館跡

村南8町にあり。
東西26間・南北18間。
何の頃にか平野筑後守某という者住せりという。

瀧巖寺跡

村北6町余にあり。
大桃山と號せしとぞ(宗旨を伝えず)。
相伝て。治承4年(1180年)高倉宮に従い来りし小倉少将定信と云う人の草創にて弘治中(1555年~1558年)に廃すという。
今に寺屋敷の字潰れり。


村名の遷移:
明治22年の町村制施行により、大桃村・恥風村・内川村・大原村・小立岩村が合併し大川村になる
昭和30年に伊南村と大川村が合併し伊南村が発足
平成18年に田島町・舘岩村・南郷村と合併し南会津町が発足
最終更新:2025年07月18日 22:17