会津郡古町組檜枝岐村

陸奥国 会津郡 古町組 檜枝岐(ひのえまた)
大日本地誌大系第31巻 129コマ目

この村深山の奥に住し、高山四方に(そばだ)ち、朝夕光を隠し寒気烈しく雪早く降れり。
土地広けれども瘠薄*1にして大麦たに熟せず。ただ蕎麦を植て余糧(よりょう)の資とす。されども5月(なお)霜を降すことありて実らざるの年また少からず。(ゆえ)に専ら小羽板(こばいた)*2を割て生産とす。
この組西南の村落ここに(きわ)めり。四方3里余の嶮隘(けんあい)を経ざれば隣村に出ることを得ず。(そう)なき幽僻(ゆうへき)の地なり。
この邊の山中に黒檜木多き(ゆえ)村名とす。

府城の西南に当り行程24里32町。
家数75軒、東西2町・南北3町。
檜枝岐川の両岸に住す。
村中に官より令せらるる掟条目の制札あり。

東1里22町熨斗戸組木賊村の山界に至る。その村は丑寅(北東)に当り3里16町。
西6里余本郡小出島組の地(小出島組は越後国魚沼郡に隷すれどもその組に属する地面本郡に跨る)に界ひ只見川を限りとす。
南4里余、公領本郡戸倉村の地(戸倉村は上野国利根郡に隷すれどもその村に属する地面本郡に跨る)に界ひ小瀬沼を限りとす。
北1里20町大桃村の山界に至る。その村まで3里8町。
また辰巳(南東)の方4里余、日光神領下野国都賀郡川俣村に界ひ馬坂山の頂を限りとす。

もと村より丑(北北東)の方8町に瀧澤と云う端村あり。
寛政7年(1795年)本村に移せり。


山川

駒嶽

村より戌亥の方20町余にあり。

帝釈山(たいしやくやま)

村の辰(東南東)の方4里余にあり(本郡の条下に詳なり)。

赤安山(あかやすやま)

村より巳(南南東)の方2里18町余にあり。
頂まで1里計、2峯相並で東西に連なる
(上野国にては東の峯を北また山と云い、西の峯を大江山と云う)
西の峯は戸倉村と頂を界ひ、東の峯は川俣村・戸倉村と頂を界ふ。
頂上まで1里余。
この山の東の方に黒岩馬坂(くろいはうまさか)と云う2山あり。
共に川俣村と峯を界ふ。

長田代山(なかたしろやま)

村より巳午(南南東~南の間)の方2里計にあり。
川俣村と峯を界ふ。

燧嶽(ひうちがたけ)

村の未申(南西)の方2里余にあり。
頂まで1里余。
絶頂には四時雪あり。
半腹より上は皆岩石重疊(ちょうじょう)して草木生せず。

沼越峠(ぬまこえとおげ)

村より申(西南西)の方2里余にあり。
上下各1里余。
利根郡沼田に行く道なり。

銀山

村西6里計、只見川の東にあり。
正保の頃(1645年~1648年)白銀を産せりと云う。
今なお旧坑あり。

小瀬沼(おぜぬま)

村南4里余にあり(本郡の条下に詳なり)。

只見川

また、あがの川とも云う。
村西6里余にあり。
源を小瀬沼より発し、北に流るること2里計(これより上を俗に沼尻川と云う)戸倉村の界より猫川来り合し、また北に流るること1里余(これより上を俗に猫川と云う)不動滝に潟ぎ、また北に流れ木賊沢(とくささわ)長沢(ながさわ)大津岐沢(おほつまたさわ)片貝沢(かたかひさわ)袖沢(そでさわ)村杉沢(むらすぎさわ)等これに注ぎ、7里18町計を経て黒谷組石伏村の界に入る。
水源よりここに至るまで10里18町。
広30間計

不動瀧

また三条瀧とも云う。
村より6里申酉(西南西~西の間)の方只見川の上流にあり。
懸崕(けんがい)より直ちに潟ぐこと20丈余、残雪の消融(しょうゆう)する時水勢もっとも壮なりと云う。

檜枝岐川

源2。
一は黒岩山より出て三川沢(みかはさわ)という。硫黄沢(いわうさわ)上瀧沢(かみたきさわ)七七入沢(なないりさわ)これに注ぐ。
一は馬坂山より出て馬坂川と云う。
共に3里18町計、北に流れ村南にて2水合し檜枝岐川となり、村中を過ぎまた大戸沢(おほとさわ)を受け北に流るること1里23町、大桃村の界に入る。

見通沢(みとほりさわ)

村東18町にあり。
源は境内の山中より出て、北に流るること2里、檜枝岐川に入る。
広5間。

下滝沢(しもたきさわ)

村の丑(北北東)の方7町にあり。
源は駒嶽より出て、東に流るること1里計、檜枝岐川に入る。
広3間。

大江沢(おほえさわ)

村より未申(南西)の方3里31町にあり。
源は赤安山より出て西に流るること1里計、小瀬沼に入る。
広2間。

釜堀沢(かまほりさわ)

村より未申(南西)の方4里余にあり。
源は赤安山より出て、西に流るること1里計、小瀬沼に入る。
広2間。

原野

小瀬平(おぜがたいら)

村西5里にあり(本郡の条下に詳なり)

土産

(はいたか)

寛文の頃(1661年~1673年)までは境内の諸山より産するものを最佳とす。
今は産せず。

小羽板

境内の山中に黒檜多し。
割て府下に(ひさ)ぎ出す。

長板

姫松を引割て上州*3の方に鬻ぎ出す。

曲物

黒檜をまげて小桶に製し隣郷に鬻ぎ出す。
大桃村よりも出す。

関梁

檜枝岐口

村中にあり。
木戸門を設け里民これを守り往来を察す。
これより沼田に通ず。山路嶮難(けんなん)にして駄馬通せず。

橋7

共に丸木橋なり。

一は村中にあり。長20間。
一は村北12町にあり。長12間。
一は村北1里余にあり。長13間。
共に檜枝岐川に架す。

一は村北7町下瀧沢に架す。長7間。
一は村東18町見通沢に架す。長8間。
共に府下の通路なり。

一は村南12町にあり。長9間。
一は村南19町にあり。長10間。
共に檜枝岐川に架す、沼田に通る路なり。


神社

燧嶽神社

祭神 大山祇命
相殿 稲荷神
勧請 不明
村の戌亥(北西)の方30間余にあり。
鳥居あり。木賊村星安藝これを司る。

駒嶽神社

祭神 伊弉諾尊?
鎮座 不明
燧嶽神社神社と同じ処に祠る。

山神社

祭神 山神?
鎮座 不明
同上

山神社

祭神 山神?
鎮座 不明
同上