大沼郡高田組富岡村

陸奥国 大沼郡 高田組 富岡(とみおか)
大日本地誌大系第33巻 17コマ目

府城の西南に当り行程2里20町。
家数23軒、東西1町24間・南北1町45間。
下野街道に住す。
四方田圃(たんぼ)なり。

東29間・南2町2間、共に本郡橋爪組領家村の界に至る。その村は東に当り1町余。
西5町26間上中川村の界に至る。その村まで8町50間余。
北5町21間西勝村の界に至る。その村は寅(東北東)に当り1町50間余。
また未(南南西)の方2町21間東尾岐組北村の界に至る。その村まで10町20間余。
申(西南西)の方9町24間冑組下杉原村の界に至る。その村まで12町20間余。

端村

新屋敷(しんやしき)

本村より40間余寅(東北東)の方にあり。
家数7軒、東西1町2間・南北42間。
下野街道に住す。
東は西勝村に続き三方田圃なり。

山川

清水

村西にあり。
周5間余。
厳冬の頃下流に水苔を生す。

神社

二渡神社

祭神 八十萬魂命
相殿 伊勢宮 2座
   三嶋神 2座
   稲荷神 2座
   雷神 2座
   若宮八幡 2座
   幸神
   権現
   伊豆神
鎮座 不明
村より5町余亥(北北西)の方にあり。
鳥居あり。高田村渡邊伊予これを司る。

寺院

観音堂

村中にあり。
何の頃の草創ということ詳ならず。
十一面観音の木像を安ず。
会津三十三所順禮の一なり。
もと應永中(1394年~1428年)の鰐口をかく。
近来損せしに因り寛政9年(1797年)改め鑄る。
古銘左に録す。
奥州會津大沼郡富岡村妙福寺
観世音御寶前鰐口
應永三拾三年丙午夏願主本願聖人
             重範
             光成
          別當
             舜成

別当 福生寺

本堂の北にあり。
天台宗高田村龍興寺の門徒なり。
昔妙福寺という別当あり。久しく廃せしに因り慶長10年(1605年)舜亮という僧当寺を建立し日用山福生寺と號し別当職を継ぐという。
弥陀を本尊とす。




二渡神社の祭神について

二渡神社の祭神は八十萬魂命とありますが、正しくは「天」の文字が付く天八十萬魂命(あめのやそよろずたまのみこと)でしょう。会津郡松川組松川村の鬼渡神社の祭神も天八十萬魂命となっています。先代旧事本紀にある天地開闢の神の1柱らしいです。
なお雄山閣版の記載では『十八よ魂命』と書かれているますが、これは誤植でしょう。国立公文書館のアーカイブ版を見ると「萬」の字が書かれています。また、高田町史の二渡神社の記載も雄山閣版から引用したようで「よ」と書いてしまっています。
参考:神世七代(Wikipedia)
最終更新:2021年07月07日 11:53