アーレンスバッハから嫁いできた姫君で、
ヴェローニカと
前神殿長の母親。
アーレンスバッハの領主候補生としては魔力が低かった。先々代の弟に領地対抗戦で優しくされて惚れ込んで、父親の権力にすがって、輿入れしてきた。
次期アウブと目されていた先々代の弟は、既に第一夫人として
ライゼガング伯爵の娘と結婚しており、夫人との間に1男1女があった(この子供たちは領主候補生として育てられていた)。ガブリエーレの輿入れにより、第一夫人を第二夫人へ落すことになった上に、ガブリエーレがエーレンフェストに馴染もうとしなかったことから、領地内が乱れることを懸念した当時の領主によって、夫は次期領主候補から外され、直轄地から土地を与えられて伯爵に封じられ、
初代ギーベ・グレッシェルとなった。
大領地の姫君で第一夫人として尊重はされていたが、夫は第二夫人となってしまった妻を愛していたため、義務的な関係だった。上記のようなガブリエーレの我侭に端を発した経緯からか、第一夫人と第二夫人の異母兄弟同士(おそらくは本人同士も)の関係はかなり悪かった。
自分の派閥を作るため、アーレンスバッハから連れてきた自分の側近をエーレンフェストの貴族と婚姻させようとしたが、上級貴族は誰も彼もその性格と経緯から関係が悪いライゼガングと繋がりがあるため容易ではなかった。魔力が高めでライゼガングに反発心を抱く中級貴族を積極的に取り込み、勢力を築いていった。
元々上級貴族であった側近の子孫は、中級貴族の割に属性の適性数が多く、上級並みの力を持つこととなり、
ギーベ・ゲルラッハなどは、ライゼガングに頭を抑えられていることに対して色々と思うところがあった。
エーレンフェストに馴染めなかったため、自分の子供を盛り立て守るために裏切らない臣下を必要として、アーレンスバッハの名捧げを強要する文化を持ち込み、自分の忠臣達とその子等に名捧げを強要した。ちなみに、アーレンスバッハはエーレンフェストに比べて頻繁に名捧げが行われており、
ダールドルフ子爵は「アーレンスバッハにおいては忠実な臣下であれば名捧げするのが文化らしい」「名捧げも出来ない部下は信用できないとアーレンスバッハ出身の母親に教えられた」と述べていた。
アーレンスバッハの文化を色々とエーレンフェストに持ち込んだ。
「このような田舎では住みにくい」とずっとアーレンスバッハに帰りたがっていた。
三人目の子を為した後、産後の肥立ちが悪く、幼い子供を残して亡くなった。
旧ヴェローニカ派は、ガブリエーレが連れてきた側近と
ライゼガングに反発心を抱く中級貴族を積極的に取り込んで生まれた勢力であり、彼女の輿入れが現在まで続くエーレンフェスト内の対立の元凶となっている。
しかしながら、これも大領地の視点では、大領地の姫を迎えておきながら
領主候補生を上級貴族に落とし、
順位を上げるでもなく、アーレンスバッハとの関係を深めるわけでもなく、領地内の貴族を抑えることができなかった力のない当時のアウブの力量不足と見られている。しかし、その後ガブリエーレンの血族であるディートリンデの非常識な振る舞いに、上記の視点でもって非難していた
ジークリンデが絶句しており、アーレンスバッハないしガブリエーレの縁者が彼女が思う大領地の視点からかけ離れていることを実感したのかその後はこの件に関して何も言わなくなった。実際、嫁いだ領地のことを考えないガブリエーレの縁者を第一夫人にした結果が、後のアーレンスバッハの解体につながっている。