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-本作ではキャラバンを率いて冒険するため、モンスターオンリーだった前作までと違いナンバリングドラクエの用に人間を仲間にできる。街の中で特定の人間に話しかければ仲間になってくれる。仲間にできるのは最大20人で職業は合計22種。この仲間たちを好きなように組み合わせて馬車を編成すると、モンスターたちの戦闘をサポートしてくれる。しかし馬車には重さ制限があり、モンスターの重さと仲間の重さを調整して編成しなければならない。 --ベースキャンプも最初は設備が教会・タダ宿・補給のおばばくらいしかないが、道具屋(商人がいると開く。商人のランクにより売り物が豊富になる)・酒場(踊り子or料理人がいると開く)・預り所(盗賊がいると開く)・カジノ(遊び人orギャンブラーがいると開く。ランクによりスロットや景品の種類も増える)などが開設され、さながら一つの「移動する町」として旅の助けになってくれる。 --職業も戦士・武闘家・僧侶・魔法使いなどの定番の職業から、メタルハンター(敵の守備力を無視して一定ダメージを与える。ランク3だと遭遇する敵にメタル系が混じるという効果も)・料理人(移動中は食料の減るスピードを遅くし、戦闘中は料理でガードモンスターのMPを回復してくれる)・地図士(移動中は地図を開いて世界地図やダンジョンの地図を見る事ができ、戦闘中は地形を調べてガードモンスターの素早さを上げる)といったこのゲームならではの職業、ギャンブラー(敵か味方のHPを減らすというギャンブル行為を行う)・転生士(不思議な力で倒したモンスターを転生させ、キャラバンの仲間に加える)といったクリア後のみの職業もある。 **評価点 ***作りこまれたストーリー -前作までと違いナンバリングと同じ要領で作成されているので、ナンバリングをプレイしているのと同じ感覚でプレイできる。BGMもほとんどがドラクエ1・2のアレンジであり、ロト三部作をプレイしたユーザーを意識して作られている。もちろんドラクエ2を思い出させてくれるネタも多々存在しているため、ドラクエ2既プレイのプレイヤーにとってはどこか懐かしさが感じられる。 --さすがに船は定期船のみ(周回は山手線形式で、当然逆流も可能)という都合上、船でしか行けなかったテパの村や大灯台が地続きで行けるなど、地理にもアレンジが加えられているが。 --「美味しい物」であるラストステーキを持ってくると旅の祠の通行許可だけでなく、配下のガードモンスター・ビーナスや馬車も気前良く譲る太っ腹な一面も持つ幻魔・カカロンや、腐った死体となった恋人・スミスのために魔物使いとなった女性・マチュアとその気持ちという「形にならない物」を「美しいもの」として認める幻魔・クシャラミなど、幻魔も個性付けがなされている。 ---なお、この幻魔たちはもともとDQ7の特技「げんま召喚」で現れたもの。もともとは攻撃を行うのみで、外見や性別・性格などの設定は本作で設定された。 --また、漫画『ドラゴンクエストモンスターズ+』の一部設定を引き継いだと思われる要所も存在する。 ***豊富なやりこみ要素 -一週目のエンディングを見ると、世界中に散らばる「カラーオーブ」を集めながら、「オーブのダンジョン」に入ってレアボス(一定ターン以内に倒すとレアオーブや心をもらえる)と戦ったり、今まで歩んできた街を回りながら様々な仲間を集めたりすることが可能。好きな職業の人間を仲間にできたり様々な敵が出るダンジョンを遊べたり、従来のモンスターズよりやりこみ要素がてんこ盛り。発売当初は食料などの汚点が目立ち、気にもされていなかったが、次回作のジョーカーのやりこみ要素がとても少なかったのもあり、現在ではこれらの要素は高く評価されている。 --クリア後にはランダムに加えられる仲間の中には「重さは軽いがランク3の仲間で、1人で3人分の役割を果たす」といった有用な者もおり、結果としてキャラバンの戦力増強に役立ってくれる。ランダム遭遇という運に恵まれない人のために転生士という救済措置もあるので、どちらを取るかはプレイヤー次第。 --二回目のエンディングを見るとアレフガルドで閉ざされていた竜王の城の門が開き、竜王と戦えたり、オーブのダンジョンで奥まで進んでも戦ってくれなかった光の精霊・闇の精霊が戦ってくれるようになったりといった変化が見られる。 ***ドット絵 -当時のゲームとしては人間キャラクターやモンスターのドット絵がかわいい。 ***BGM -当時のゲームとしてはかなり良質なBGMがそろっている。ドラクエ1・2のアレンジが懐かしく感じる人も多いようだ。 ***フィールドイベント -フィールドを歩いているとシルエットクイズや道具屋との対面などの様々なイベントが登場する。食料や金を魔物やニセ僧侶から奪われたりすることもあるが、特定の職業の人間を馬車に入れていることで回避できたり、アイテムやお金を入手できることもある。さらにここでしか入手できないアイテムも。 **問題点 ***食料 -本作を語る上で欠かせないのが食料システム。食料は店で購入できる(1つにつき1G)が、これを購入しないと旅が非常に困難になる。なんと''歩くたびにモンスターのHPが減っていく''のだ。~ 放置しておくとHPが1になってしまいモンスターとであった瞬間、バギなどで一掃されて全滅…ということもある。~ 特に今作ではモンスターのエンカウント数がテリワンやイルルカの三体までではなく、従来のドラクエのように大量に出てくるので逃げるのに失敗すると袋叩きにされてしまう。 --しかもベースキャンプを移動する時は食料消費が早くなる。山や砂漠を歩くと非常に早くなるのも厳しい仕様。 --序盤は食料の補給でお金が足りなくなりがちであり、ゲーム後半でも補給を忘れて大変な目に遭う事もあるが、それでもダンジョンではランダムイベントで最深層の1つ手前のフロアに飛ばしてくれる魔法使いを狙うため補給を最小限にとどめる者もいる。 ---序盤のあるイベントで食糧が減りやすい砂漠をうろうろする必要があるのも非常に面倒な仕様である。 ---その時には商人が2人加わるので、それを利用してお金を稼ぐのが最適解である。 --一応携帯用の食料(使うと一定数食料が補充される)や職業の力で回復することも可能だが、前者についてはアイテムの所持数がかなりきついのであまり持ち歩けないのが辛く、後者については一定間隔を開けないと再使用できないので減少量を軽減させる程度の役割である。 ***モンスター -今作では配合システムではなく、転心システムが使用されているので仲間になるモンスターは7匹のみ。~ 一人一人NPCとして性格が設定されているので、モンスターといえど前作までのポケモン的な仲間と違い、ナンバリングの「人間キャラ」のように扱われているようだ。~ そのため従来のDQMであった配合のようにモンスターがいなくなることはなく、転身で心を吹き込み姿を変えながらストーリーを進めることになる。 --劇中でスラロン(最初に加わるガードモンスター)が、「姿は変わってもオレはオレのままだ。お前の事を忘れたりしない。」と励ましてくれる。 -今作ではモンスターの系統が絞られており、スライム系・前作までの獣、鳥、水系を統合した動物系・虫、植物系を統合した自然系・ドラゴン系や一部の獣系を統合した魔獣系・物質系・ゾンビ系を含めた悪魔系・物質系の一部(液体や気体など)や????系のポジションを統合したエレメント系となっているため、過去作からのプレイヤーは違和感を覚えた。~ モンスターのデザインは普通だが、エレメント系は「パーラル」「ピモ」のようなDQらしからぬ得体の知れないデザインのモンスターが何種類もいたり、????系にはあった原作シリーズの魔王系モンスターがりゅうおうしかいない一方でDQMシリーズからのわたぼう、ワルぼうとⅥのデュランがいたり、さらには本作のストーリーにも登場した幻魔など、なんとも言い難いチョイスとなっている。 ***レベルを上げて物理で殴ればいい -オーブのダンジョンのボスを倒すとカラーオーブがもらえるが、呪文や特技で攻撃するより物理で殴った方が効率よくダメージを与えられる。~ 職業のマスター戦士(最初のターンだけダメージ2倍)やマスター剣士(最初のターンだけ2回攻撃)の特殊効果も強すぎる(しかもこの2人が同じ馬車にいると両方の効果が発動する)ので、基本的にひたすら殴るのが最適解。~ 魔法使いのような固定ダメージの職業は序盤以外ほとんど役に立たない。~ 戦士・剣士・武闘家など戦闘の花形となる職業の攻撃力もガードモンスターの攻撃力に依存するという弱点があるのだが。そのためモンスターの転身も攻撃力の成長重視になりやすい。~ もっとも魔法使いは「トヘロス(一定歩数の間エンカウントをなくす。ランク3で使用可能)」、賢者は「ルーラ(ランク2だとベースキャンプに戻るだけだが、ランク3では一度行った町に移動できる)」があるので、移動面ではこれらの職業は非常に役立つ。要は戦闘や移動、ベースキャンプで花形となる職業が違うわけなのだが。 -いてつくはどうが存在しないので、スクルトやバイキルトで強化したらひたすら殴って時々回復するだけという単調な戦闘になりがちである。後述のように対人戦であればお互いにサポートキャラが入るので話は変わってくるが、ゲーム内の戦闘は非常に単調。 ***報酬の低さ -レベルアップに必要な経験値に対してモンスターからもらえる経験値がかなり低い。~ しかもエリアが変わるとモンスターがかなり強くなる。レベル上げ必須のバランスのため、余計に苦しくなる。~ もちろんDQ名物メタル狩りはあるが、安定して倒せるようになるのはなかなか大変。~ しかもメタルハンターの特技や魔物の巣でエンカウントするメタルスライム系は通常のものよりも強く、経験値も低めであり、あまり救済手段になっていない。 --それでも攻撃力の高いガードモンスターやその馬車に乗せるマスター戦士・マスター剣士などがいれば、それなりに安定して稼げるため、そこらのザコ敵よりは経験値の足しになる。 -また、前作までと違い倒した魔物からゴールドが出るようになったが、その大半が食料代に消えるためアイテム調達が難しい。 --特に序盤は余裕がないにも関わらずイベントアイテムを旅のキャラバンから買うことになる。商人で余分に稼いだり釣り師などで食料減少を抑えるのは必須。 ***転生士 -転生士は倒したモンスターを人間に変えることができる能力を持つが、究極連携を使わない限り、その確率は非常に低く、究極連携でしかランク3の職業を獲得できない。~ あちこちの町を巡って仲間を探すか、転生士を早めに4人揃えてランク3の職業を集めるか、どちらにせよ納得のいくキャラバンの戦力を集めるのには時間がかかる。~ ちなみに魔物から転生した人間はほとんどが男性になる。魔物の世界には女性がほとんどいないのだろうか。~ あ、配合から転身に変わった理由って・・・ -人間キャラは成長しないので、より強いキャラバンを作るためには優秀な人材に取っ替え引っ替えする必要がある。特に本編のシナリオで仲間になる人物はほとんどLv1で、定員も限られるので最終的には別れることになってしまう。一応、ある場所で再会は可能なのだが。 -同じ職業でも大人と子供がいるが、その違いは重さのみ。馬車の重量制限があるのでLvが同じならば体重の軽い子供のほうが当然有利となる。このため最終的にキャラバンは子供ばかりに……。 ***アイテム所持数 -アイテム所持数は24だが、イベントアイテム(ハートゲッター・各種幻魔の羽根)は捨てる事も預ける事もできずアイテム欄を圧迫する。またクリア後は必然的にオーブにアイテム欄の大半を占められるため、回復アイテムや携帯食料が持ちづらい原因ともなっている。 --そのためクリア後はいらないオーブ類をすぐ預けられるように、ベースキャンプに預り所を建てられる盗賊は1人は入れておかないと厳しい。 ***対戦バランス -本作では今までと比べ、かなり毛色が異なっている。 --まず高威力の特技のマダンテやばくれつけんなどが軒並み削除され、最高威力であってもギガデインの250程度となっている一方で、回復特技は相変わらずベホマズンやザオリクが存在し、最大999のMPから見れば非常に低コストで唱えられる。くろいきり、いてつくはどうのような封印・リセット技も存在しない。そこで決定力として、前述の通り職業を駆使して戦うのが主流。 ---防御すると一番最初に行動できるため、そこでダメージを減らす騎士やトドメに攻撃系職業を使う。四人の同職業を同じ馬車に乗せて発動する究極連携は強力だが、その編成では5ターンに一度しか職業サポートが発生しないのでリスクは高い。 --従来は主要な属性に完全な耐性を持たせることがやり込んだ対戦では前提だったが、今作では完璧な耐性を持ったモンスターが存在しない上に転身のたびに耐性が初期化されるので、どのモンスターでも何らかの弱点はどうしても残ってしまう。このため、従来のシリーズよりも属性攻撃や状態異常の比重が大きい。((転身の際に職業の心を使うことでその次の転身までの間だけ姿を変えずに特定の耐性を強化できるが、それでも耐性をすべて埋めるのは不可能。)) --馬車の重量制限、キャラバンの人数制限もあるため、構成も思う様にできなかったり、本気で対戦をするには馬車を最大に改造し((ストーリー中で各馬車を1回ずつ改造してもらえるほか、特定のオーブのダンジョンの最深部で改造してもらうことができる。しかしそのオーブの入手条件が「2回目のエンディング後あるカラーオーブのダンジョンのボスを一定のターン数で倒す」というもの。そして最大になるまでにボス撃破→馬車改造を12周することになる。))、最上級の職業を集めるなどスタートラインからして厳しい。特に人間キャラの制限によって、対戦用メンバーと探索・Lv上げメンバーの両立はほとんどぎりぎりになる。 --これらからして前作までの対戦とはかなり内容が異なっているため、前作までの対戦を好む人もいれば、今作の地味ながら戦術性のある対戦を好む人もいるが、一発限りのネタだからか、次回作以降の対戦は前作までと同じになっている。 ***その他 -キャラバンから冒険に出るときはルインに話しかけて出発するのだが、その時のメッセージがストーリーを進めるにつれてかなり長くなる。ベースキャンプを移動させたい時に長いからって連打するとキャラバンでの冒険となるため、更に面倒になる。久しぶりにやる人などからしたら嬉しいが、レベル上げ中はかなりうざったい。 -教会でしかセーブができず、さらにセーブにかかる時間が約10秒程度とやけに長い。クイックセーブやスリープモードなどの機能も無いので携帯機ではあるが、外で気軽に遊ぶには向かない。GBA本体の電池切れギリギリまで粘ると最悪セーブ中に電池が切れ、セーブが壊れる危険がある。 **総評 -発売当初はDQMの続きとして買い、本家のドラクエのようなシステムやストーリーで失望した人が多く、当時の評価はボロクソだったが現在では評価はだいぶ落ち着いてきている。~ 従来のDQMと比べると転身、キャラバン構成、食料などかなりシステムが難解になってはいるが、オーブのダンジョン、転生などのやり込み要素は従来以上である。~ -キャラバン編成や転身などの独特のシステムはあったものの、今作のシステムは以降の作品では登場していない。~ ただオーブのダンジョンは評価が高かったのか、似たようなものとしてドラクエ9では「宝の地図」が、ドラクエ10では「魔法の迷宮」が登場している。
*ドラゴンクエストモンスターズ キャラバンハート 【どらごんくえすともんすたーず きゃらばんはーと】 |ジャンル|ロールプレイングゲーム|&amazon(B00007KKPP)| |対応機種|ゲームボーイアドバンス|~| |発売元|エニックス|~| |開発元|トーセ|~| |発売日|2003年3月29日|~| |価格|5,980円(税抜)|~| |分類|BGCOLOR(lightsteelblue):''スルメゲー''|~| |>|>|CENTER:''[[ドラゴンクエストシリーズリンク>http://www26.atwiki.jp/gcmatome/pages/269.html]]''| ---- #contents(fromhere) ---- **概要 『[[ドラゴンクエストモンスターズ2 マルタのふしぎな鍵]]』の続編。『ドラクエ7』のキーファが主人公を務める他、同じく『7』からフォズ大神官が出演している。~ 人間とモンスターが協力して戦闘を行うキャラバンシステムや歩くたびに減っていく食料など、ドラゴンクエストモンスターズ(以下DQM)の中でも独自要素がとても多い。~ なお本作がエニックス名義で販売された最後のソフトである。 **特徴 -今までのDQMシリーズが''一つの拠点から旅の扉経由で様々な所に行く''というものだったが、キャラバンハートは''キャラバンを率いて世界中を歩き回ってオーブを集める''というのが冒険の目的となっており、従来のDQMと比べて本家ドラクエのようにストーリー重視となっている。舞台となる世界もマルタの国やタイジュの国といったオリジナルの世界ではなく『ドラゴンクエストII』の世界そのものであり、ロトの勇者達がシドーを倒した数百年後という設定。ストーリーの内容もナンバリングドラクエと同じようなお使いイベントや魔物討伐などが中心となっている。 -本作ではキャラバンを率いて冒険するため、モンスターオンリーだった前作までと違いナンバリングドラクエの用に人間を仲間にできる。街の中で特定の人間に話しかければ仲間になってくれる。仲間にできるのは最大20人で職業は合計22種。この仲間たちを好きなように組み合わせて馬車を編成すると、モンスターたちの戦闘をサポートしてくれる。しかし馬車には重さ制限があり、モンスターの重さと仲間の重さを調整して編成しなければならない。 --ベースキャンプも最初は設備が教会・タダ宿・補給のおばばくらいしかないが、道具屋(商人がいると開く。商人のランクにより売り物が豊富になる)・酒場(踊り子or料理人がいると開く)・預り所(盗賊がいると開く)・カジノ(遊び人orギャンブラーがいると開く。ランクによりスロットや景品の種類も増える)などが開設され、さながら一つの「移動する町」として旅の助けになってくれる。 --職業も戦士・武闘家・僧侶・魔法使いなどの定番の職業から、メタルハンター(敵の守備力を無視して一定ダメージを与える。ランク3だと遭遇する敵にメタル系が混じるという効果も)・料理人(移動中は食料の減るスピードを遅くし、戦闘中は料理でガードモンスターのMPを回復してくれる)・地図士(移動中は地図を開いて世界地図やダンジョンの地図を見る事ができ、戦闘中は地形を調べてガードモンスターの素早さを上げる)といったこのゲームならではの職業、ギャンブラー(敵か味方のHPを減らすというギャンブル行為を行う)・転生士(不思議な力で倒したモンスターを転生させ、キャラバンの仲間に加える)といったクリア後のみの職業もある。 **評価点 ***作りこまれたストーリー -前作までと違いナンバリングと同じ要領で作成されているので、ナンバリングをプレイしているのと同じ感覚でプレイできる。BGMもほとんどがドラクエ1・2のアレンジであり、ロト三部作をプレイしたユーザーを意識して作られている。もちろんドラクエ2を思い出させてくれるネタも多々存在しているため、ドラクエ2既プレイのプレイヤーにとってはどこか懐かしさが感じられる。 --さすがに船は定期船のみ(周回は山手線形式で、当然逆流も可能)という都合上、船でしか行けなかったテパの村や大灯台が地続きで行けるなど、地理にもアレンジが加えられているが。 --「美味しい物」であるラストステーキを持ってくると旅の祠の通行許可だけでなく、配下のガードモンスター・ビーナスや馬車も気前良く譲る太っ腹な一面も持つ幻魔・カカロンや、腐った死体となった恋人・スミスのために魔物使いとなった女性・マチュアとその気持ちという「形にならない物」を「美しいもの」として認める幻魔・クシャラミなど、幻魔も個性付けがなされている。 ---なお、この幻魔たちはもともとDQ7の特技「げんま召喚」で現れたもの。もともとは攻撃を行うのみで、外見や性別・性格などの設定は本作で設定された。 --また、漫画『ドラゴンクエストモンスターズ+』の一部設定を引き継いだと思われる要所も存在する。 ***豊富なやりこみ要素 -一週目のエンディングを見ると、世界中に散らばる「カラーオーブ」を集めながら、「オーブのダンジョン」に入ってレアボス(一定ターン以内に倒すとレアオーブや心をもらえる)と戦ったり、今まで歩んできた街を回りながら様々な仲間を集めたりすることが可能。好きな職業の人間を仲間にできたり様々な敵が出るダンジョンを遊べたり、従来のモンスターズよりやりこみ要素がてんこ盛り。発売当初は食料などの汚点が目立ち、気にもされていなかったが、次回作のジョーカーのやりこみ要素がとても少なかったのもあり、現在ではこれらの要素は高く評価されている。 --クリア後にはランダムに加えられる仲間の中には「重さは軽いがランク3の仲間で、1人で3人分の役割を果たす」といった有用な者もおり、結果としてキャラバンの戦力増強に役立ってくれる。ランダム遭遇という運に恵まれない人のために転生士という救済措置もあるので、どちらを取るかはプレイヤー次第。 --二回目のエンディングを見るとアレフガルドで閉ざされていた竜王の城の門が開き、竜王と戦えたり、オーブのダンジョンで奥まで進んでも戦ってくれなかった光の精霊・闇の精霊が戦ってくれるようになったりといった変化が見られる。 ***ドット絵 -当時のゲームとしては人間キャラクターやモンスターのドット絵がかわいい。 ***BGM -当時のゲームとしてはかなり良質なBGMがそろっている。ドラクエ1・2のアレンジが懐かしく感じる人も多いようだ。 ***フィールドイベント -フィールドを歩いているとシルエットクイズや道具屋との対面などの様々なイベントが登場する。食料や金を魔物やニセ僧侶から奪われたりすることもあるが、特定の職業の人間を馬車に入れていることで回避できたり、アイテムやお金を入手できることもある。さらにここでしか入手できないアイテムも。 **問題点 ***食料 -本作を語る上で欠かせないのが食料システム。食料は店で購入できる(1つにつき1G)が、これを購入しないと旅が非常に困難になる。なんと''歩くたびにモンスターのHPが減っていく''のだ。~ 放置しておくとHPが1になってしまいモンスターとであった瞬間、バギなどで一掃されて全滅…ということもある。~ 特に今作ではモンスターのエンカウント数がテリワンやイルルカの三体までではなく、従来のドラクエのように大量に出てくるので逃げるのに失敗すると袋叩きにされてしまう。 --しかもベースキャンプを移動する時は食料消費が早くなる。山や砂漠を歩くと非常に早くなるのも厳しい仕様。 --序盤は食料の補給でお金が足りなくなりがちであり、ゲーム後半でも補給を忘れて大変な目に遭う事もあるが、それでもダンジョンではランダムイベントで最深層の1つ手前のフロアに飛ばしてくれる魔法使いを狙うため補給を最小限にとどめる者もいる。 ---序盤のあるイベントで食糧が減りやすい砂漠をうろうろする必要があるのも非常に面倒な仕様である。 ---その時には商人が2人加わるので、それを利用してお金を稼ぐのが最適解である。 --一応携帯用の食料(使うと一定数食料が補充される)や職業の力で回復することも可能だが、前者についてはアイテムの所持数がかなりきついのであまり持ち歩けないのが辛く、後者については一定間隔を開けないと再使用できないので減少量を軽減させる程度の役割である。 ***モンスター -今作では配合システムではなく、転心システムが使用されているので仲間になるモンスターは7匹のみ。~ 一人一人NPCとして性格が設定されているので、モンスターといえど前作までのポケモン的な仲間と違い、ナンバリングの「人間キャラ」のように扱われているようだ。~ そのため従来のDQMであった配合のようにモンスターがいなくなることはなく、転身で心を吹き込み姿を変えながらストーリーを進めることになる。 --劇中でスラロン(最初に加わるガードモンスター)が、「姿は変わってもオレはオレのままだ。お前の事を忘れたりしない。」と励ましてくれる。 -今作ではモンスターの系統が絞られており、スライム系・前作までの獣、鳥、水系を統合した動物系・虫、植物系を統合した自然系・ドラゴン系や一部の獣系を統合した魔獣系・物質系・ゾンビ系を含めた悪魔系・物質系の一部(液体や気体など)や????系のポジションを統合したエレメント系となっているため、過去作からのプレイヤーは違和感を覚えた。~ モンスターのデザインは普通だが、エレメント系は「パーラル」「ピモ」のようなDQらしからぬ得体の知れないデザインのモンスターが何種類もいたり、????系にはあった原作シリーズの魔王系モンスターがりゅうおうしかいない一方でDQMシリーズからのわたぼう、ワルぼうとⅥのデュランがいたり、さらには本作のストーリーにも登場した幻魔など、なんとも言い難いチョイスとなっている。 ***レベルを上げて物理で殴ればいい -オーブのダンジョンのボスを倒すとカラーオーブがもらえるが、呪文や特技で攻撃するより物理で殴った方が効率よくダメージを与えられる。~ 職業のマスター戦士(最初のターンだけダメージ2倍)やマスター剣士(最初のターンだけ2回攻撃)の特殊効果も強すぎる(しかもこの2人が同じ馬車にいると両方の効果が発動する)ので、基本的にひたすら殴るのが最適解。~ 魔法使いのような固定ダメージの職業は序盤以外ほとんど役に立たない。~ 戦士・剣士・武闘家など戦闘の花形となる職業の攻撃力もガードモンスターの攻撃力に依存するという弱点があるのだが。そのためモンスターの転身も攻撃力の成長重視になりやすい。~ もっとも魔法使いは「トヘロス(一定歩数の間エンカウントをなくす。ランク3で使用可能)」、賢者は「ルーラ(ランク2だとベースキャンプに戻るだけだが、ランク3では一度行った町に移動できる)」があるので、移動面ではこれらの職業は非常に役立つ。要は戦闘や移動、ベースキャンプで花形となる職業が違うわけなのだが。 -いてつくはどうが存在しないので、スクルトやバイキルトで強化したらひたすら殴って時々回復するだけという単調な戦闘になりがちである。後述のように対人戦であればお互いにサポートキャラが入るので話は変わってくるが、ゲーム内の戦闘は非常に単調。 ***報酬の低さ -レベルアップに必要な経験値に対してモンスターからもらえる経験値がかなり低い。~ しかもエリアが変わるとモンスターがかなり強くなる。レベル上げ必須のバランスのため、余計に苦しくなる。~ もちろんDQ名物メタル狩りはあるが、安定して倒せるようになるのはなかなか大変。~ しかもメタルハンターの特技や魔物の巣でエンカウントするメタルスライム系は通常のものよりも強く、経験値も低めであり、あまり救済手段になっていない。 --それでも攻撃力の高いガードモンスターやその馬車に乗せるマスター戦士・マスター剣士などがいれば、それなりに安定して稼げるため、そこらのザコ敵よりは経験値の足しになる。 -また、前作までと違い倒した魔物からゴールドが出るようになったが、その大半が食料代に消えるためアイテム調達が難しい。 --特に序盤は余裕がないにも関わらずイベントアイテムを旅のキャラバンから買うことになる。商人で余分に稼いだり釣り師などで食料減少を抑えるのは必須。 ***転生士 -転生士は倒したモンスターを人間に変えることができる能力を持つが、究極連携を使わない限り、その確率は非常に低く、究極連携でしかランク3の職業を獲得できない。~ あちこちの町を巡って仲間を探すか、転生士を早めに4人揃えてランク3の職業を集めるか、どちらにせよ納得のいくキャラバンの戦力を集めるのには時間がかかる。~ ちなみに魔物から転生した人間はほとんどが男性になる。魔物の世界には女性がほとんどいないのだろうか。~ あ、配合から転身に変わった理由って・・・ -人間キャラは成長しないので、より強いキャラバンを作るためには優秀な人材に取っ替え引っ替えする必要がある。特に本編のシナリオで仲間になる人物はほとんどLv1で、定員も限られるので最終的には別れることになってしまう。一応、ある場所で再会は可能なのだが。 -同じ職業でも大人と子供がいるが、その違いは重さのみ。馬車の重量制限があるのでLvが同じならば体重の軽い子供のほうが当然有利となる。このため最終的にキャラバンは子供ばかりに……。 ***アイテム所持数 -アイテム所持数は24だが、イベントアイテム(ハートゲッター・各種幻魔の羽根)は捨てる事も預ける事もできずアイテム欄を圧迫する。またクリア後は必然的にオーブにアイテム欄の大半を占められるため、回復アイテムや携帯食料が持ちづらい原因ともなっている。 --そのためクリア後はいらないオーブ類をすぐ預けられるように、ベースキャンプに預り所を建てられる盗賊は1人は入れておかないと厳しい。 ***対戦バランス -本作では今までと比べ、かなり毛色が異なっている。 --まず高威力の特技のマダンテやばくれつけんなどが軒並み削除され、最高威力であってもギガデインの250程度となっている一方で、回復特技は相変わらずベホマズンやザオリクが存在し、最大999のMPから見れば非常に低コストで唱えられる。くろいきり、いてつくはどうのような封印・リセット技も存在しない。そこで決定力として、前述の通り職業を駆使して戦うのが主流。 ---防御すると一番最初に行動できるため、そこでダメージを減らす騎士やトドメに攻撃系職業を使う。四人の同職業を同じ馬車に乗せて発動する究極連携は強力だが、その編成では5ターンに一度しか職業サポートが発生しないのでリスクは高い。 --従来は主要な属性に完全な耐性を持たせることがやり込んだ対戦では前提だったが、今作では完璧な耐性を持ったモンスターが存在しない上に転身のたびに耐性が初期化されるので、どのモンスターでも何らかの弱点はどうしても残ってしまう。このため、従来のシリーズよりも属性攻撃や状態異常の比重が大きい。((転身の際に職業の心を使うことでその次の転身までの間だけ姿を変えずに特定の耐性を強化できるが、それでも耐性をすべて埋めるのは不可能。)) --馬車の重量制限、キャラバンの人数制限もあるため、構成も思う様にできなかったり、本気で対戦をするには馬車を最大に改造し((ストーリー中で各馬車を1回ずつ改造してもらえるほか、特定のオーブのダンジョンの最深部で改造してもらうことができる。しかしそのオーブの入手条件が「2回目のエンディング後あるカラーオーブのダンジョンのボスを一定のターン数で倒す」というもの。そして最大になるまでにボス撃破→馬車改造を12周することになる。))、最上級の職業を集めるなどスタートラインからして厳しい。特に人間キャラの制限によって、対戦用メンバーと探索・Lv上げメンバーの両立はほとんどぎりぎりになる。 --これらからして前作までの対戦とはかなり内容が異なっているため、前作までの対戦を好む人もいれば、今作の地味ながら戦術性のある対戦を好む人もいるが、一発限りのネタだからか、次回作以降の対戦は前作までと同じになっている。 ***その他 -キャラバンから冒険に出るときはルインに話しかけて出発するのだが、その時のメッセージがストーリーを進めるにつれてかなり長くなる。ベースキャンプを移動させたい時に長いからって連打するとキャラバンでの冒険となるため、更に面倒になる。久しぶりにやる人などからしたら嬉しいが、レベル上げ中はかなりうざったい。 -教会でしかセーブができず、さらにセーブにかかる時間が約10秒程度とやけに長い。クイックセーブやスリープモードなどの機能も無いので携帯機ではあるが、外で気軽に遊ぶには向かない。GBA本体の電池切れギリギリまで粘ると最悪セーブ中に電池が切れ、セーブが壊れる危険がある。 **総評 -発売当初はDQMの続きとして買い、本家のドラクエのようなシステムやストーリーで失望した人が多く、当時の評価はボロクソだったが現在では評価はだいぶ落ち着いてきている。~ 従来のDQMと比べると転身、キャラバン構成、食料などかなりシステムが難解になってはいるが、オーブのダンジョン、転生などのやり込み要素は従来以上である。~ -キャラバン編成や転身などの独特のシステムはあったものの、今作のシステムは以降の作品では登場していない。~ ただオーブのダンジョンは評価が高かったのか、似たようなものとしてドラクエ9では「宝の地図」が、ドラクエ10では「魔法の迷宮」が登場している。

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