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※本稿では、『遊☆戯☆王デュエルモンスターズGX TAG FORCE』(''良作'')及びそのPS2移植版『遊☆戯☆王デュエルモンスターズGX TAG FORCE EVOLUTION』(''劣化ゲー'')について解説する。 ---- #contents ---- *遊☆戯☆王デュエルモンスターズGX TAG FORCE //「タッグフォース」表記はamazonやWikipediaではカタカナだが、公式サイトではアルファベットの為それに準ずる 【ゆうぎおうでゅえるもんすたーずじーえっくす たっぐふぉーす】 |ジャンル|対戦型カードゲーム|&amazon(B000GFBM9C)| |対応機種|プレイステーション・ポータブル|~| |発売元|コナミデジタルエンタテインメント|~| |開発元|コナミデジタルエンタテインメント、テンキー|~| |発売日|2006年9月14日|~| |定価|5,229円|~| |レーティング|CERO:A(全年齢対象)|~| |判定|BGCOLOR(lightgreen):''良作''|~| |ポイント|「遊戯王=クソゲー」から脱却&br;収録カードが大強化&br;公式ルールでタッグデュエル&br;徹底してアニメに忠実、演出・ボイス完備&br;今作のみ主題歌も|~| |>|>|CENTER:''[[遊☆戯☆王 TAG FORCEシリーズリンク>遊☆戯☆王 TAG FORCEシリーズ]]''| **概要 週刊少年ジャンプで連載されていた漫画『遊☆戯☆王』に登場するカードゲームを元にした『遊☆戯☆王デュエルモンスターズオフィシャルカードゲーム(以下OCG、現:遊戯王ARC-Vオフィシャルカードゲーム)』は爆発的なヒットを飛ばした。~ しかし、過去の『遊☆戯☆王』のゲームは、対戦ツールはおろかゲームとしても出来の悪いものが多く見られた(実際のOCGのルールが実装されていないもの、バグや歯抜け(未収録カード)が多い、ゲームバランス最悪…etc)。~ 特にGBCで発売され、歴代最高の売り上げを記録した『[[遊戯王デュエルモンスターズ4>遊☆戯☆王デュエルモンスターズ4 最強決闘者戦記]]』は、システム・ゲームバランス・商法とあらゆる面でタチが悪い代物であった。~ そのため「遊戯王ゲー=クソ」という風潮ができ、続編の売上が大幅低下する原因にもなり、付属カード目的のみで買う人もいることから「''5000円のカードを買ったらゲームがおまけに付いてきた''」などの皮肉まで生まれることとなった。~ このような風潮は本作『タッグフォース』(以下TF1)にも影響を与えることとなり、発売当時ではあまり市場が盛り上がっていなかったPSPで出たことと、付属カードの能力もいまひとつだったことからカード目的で買う人にもそっぽを向かれ、発売まで空気同然の状態であった。しかし発売後、良い意味で期待を裏切ることとなった。 **システムなど **特徴・評価点 -今までの遊戯王ゲーは未収録カードが数百枚レベルで存在していたが、本シリーズは発売時にOCG化していたカードはほぼ収録している。 --当時登場していた2500枚近いカードのうち未収録カードは約40枚である。これはかなり革新的だった。 --しかも複雑なルール・処理が絡むカードゲームでありながらバグやOCGと異なる動作はほぼ無い。これもシミュレータ部分の評価も高い一因。 -様々なデュエルの設定ができる。なかでも特徴的なものはピンチの時に指定したカードをドローできる「ディスティニードロー」。原作キャラになりきって「窮地からの反撃」を行う事ができ、駆け引きが熱い(勿論ON/OFF切り替え可)。 --デスティニードローは敵も使ってくるので、半端に追い込むと思わぬ一手で逆転される場合もある。気になる人は切っておくことを推奨。 --遊戯王OCGは定期的に禁止・制限カードリストの更新を行うのだが、当然各ソフトには発売時期の制限リストしか適用されていない。PSPの無線LAN機能を使えば公式サイトから最新の制限リストをダウンロードし、自由に切り替えることが出来る。 ---この禁止カードも、ゲーム内で条件を満たせば制限を無視して一枚だけデッキに投入することが出来る。その場合、CPUも禁止・制限カードを無視したデッキを使用してくる。シリーズとキャラによっては''20枚以上制限枚数を超過''したチートデッキを使ってきたりする。 -遊戯王ゲーム初、2vs2のタッグデュエル導入。様々なアニメ登場キャラとパートナーを組んでタッグデュエルをすることもできる。1vs1の従来のデュエルも勿論可能(ストーリー進行はほぼタッグデュエル)。 --登場キャラはとにかく豊富。メインキャラからセイコなどの脇役まで登場し、個性あるモブキャラも沢山登場する。 ---モブキャラには一人一人に設定があり((名前がスタッフの名前であったり、性格をもじった名前であったり遊び心満載。))、『デュエリスト名鑑』で確認することもできる。 -デュエル中はなんとフルボイスで全てのキャラが喋り、その台詞に合わせてキャラが3Dアニメーションで動く。 --台詞は基本的に「モンスターを攻撃表示で召喚」などの汎用台詞が多いが、各々のエースを使用した場合には専用台詞もちゃんとある。 --しかもデュエル中のテンポが今までの遊戯王ゲームより良く、かなり快適。デュエルフィールドとキャラクターの3Dモデルの切り替えに遅滞が一切ないので、TVアニメ版そのままに決闘が楽しめる。 ---残念ながらカードの増加に合わせてかシリーズを重ねるにつれ処理は重くなっていくのだが。 -本作のみ、アニメと同じBGMと2ndOP曲「99%」を採用している。次回作以降は権利問題かアニメ使用曲「っぽい」曲に変更されてしまった。 --優勢時にはサントラ未収録の人気曲、通称「運命のテーマ」が流れるので後続作が出た今なおファングッズとしての本作の価値は高い。 -メインキャラにはそれぞれ専用ストーリーが用意されている(ちなみにメイン・モブ問わず、女性キャラのストーリーはほとんどギャルゲー状態になっており、そうした面からも評価されている。もちろんギャルゲーの始祖コナミだけあって女性キャラの可愛さはお墨付き。システム面とも合わせ「カードゲームが出来るギャルゲー」とも)。 --一方でシリアスであったり、キャラの成長を中心にすえた心温まるストーリーも多い。 -個性ほとばしる主人公「コナミ君(通称)」 --よくある喋らない主人公ながら、周囲のキャラとのやり取りや証言から驚異の個性が飛び出してくる。ただし、旧シリーズの主人公と同一人物かは物による。 -アニメ『GX』で流れたOP曲&アニメのデュエル中の曲をほぼ完全再現している。 --特に優勢時に流れる「運命のテーマ」の収録は非常に人気が高い。 ---『2』以降は版権上の問題からかOPとデュエル中のアニメ曲が「似たような」オリジナル曲に変更されてしまっている事もあって、後作発売後も『1』の人気・需要は未だ大きい。 ---完全に余談だが、この「運命のテーマ」がアニメ版サントラ未収録曲のひとつであることも需要増加に拍車をかけている。 -PSPの無線LAN機能を使えば、公式サイトからゲームオリジナルカードやデッキレシピがダウンロードできる。 --デッキレシピは実際の環境でも使えうるガチな物からネタまで幅広く取り揃っている。また『5』では、流行のアニメやゲームネタを扱ったネタデッキレシピが大量に配信されている(攻略wikiを見ていただけば分かるが、自社のゲームネタまで幅広く存在している)。 -シリーズの前作や、タッグフォース以外のPSPソフトとの連動要素があり、何らかのカードが入手できる。例えば『メタルギアソリッド ポータブルオプス』と連動すると《老化の呪い》が入手できる。 -ちなみに一部のキャラクターには服装・ストーリーが異なる別バージョンが存在する。この出現条件も前作との連動だが、連動を行わなくても条件を満たせば出現させることが出来る。 **賛否両論点 -キャラゲーでもあるがルールはもちろんOCGルール。「表守備で召喚」や「ライフ4000でのデュエル」はできない。 --しょうがないが十代が《沼地の魔神王》を使ったりカイザーが《融合呪印生物-光》を投入していたりとデッキを補強するためアニメで用いなかったガチカードも投入されている。もっとも[[大きくイメージが異なるデッキを持たされてるキャラ>遊☆戯☆王デュエルモンスターズGX めざせデュエルキング!]]はいないが。 **問題点 -AIが微妙。旧世代機よりはパワーアップしてるのだが、元がひどすぎただけに素直に評価できるものでもない。 --《死霊騎士デスカリバー・ナイト》を自爆させてしまうのは日常茶飯事。他にも不可解なプレイをするケースは多い。 --カイザーの《サイバー・ドラゴン》を絶対にアドバンス召喚しないルーチンが厄介で、これが原因で勝機を逃すことも。また、攻撃できないのに《パワー・ボンド》を使って勝手に自殺することもある。 --味方であるはずのCPUの酷すぎるプレイングが敗因に繋がる事も少なくなく、「3vs1でデュエルするゲーム」と皮肉られることもある。 --タッグデュエルでは、敵は2つのデッキを1つのAIで処理するため息の合ったデュエルをしてくるのに対し、こちらは人間+AIで意思疎通ができないので、AIがもたらす被害はさらに大きくなる。フリーデュエル以外では必ずパートナーからターンが開始するため、自分のターンが回ってきた時点でこちらの状況が壊滅的という事も。 ---プレイヤーの先行1ターンキルを防止する目的があるのかもしれないが、パートナーデッキをドローソースで固めれば結局同じことである。 --遊戯王OCG自体ルールや効果の処理が複雑であるため、これをCPUに完璧にやらせるというのはほぼ不可能であり、大量のカード・キャラクターの実装と引き換えという面もある。ただそれでも、度を越した珍プレイや自身の初期デッキさえまともに回せないキャラが少なくないのは問題。 -各NPCにはデッキから外せない「お気に入りカード」がそれぞれ登録されているのだが、「NPCのデッキ・動きを完全にコントロールできない」と、純粋にカードゲームを楽しみたいというユーザーからの評価は芳しくない。 --このシステムが無ければ、プレイヤーによるデッキの大幅改造でデュエルが単調化&無個性化し、キャラゲーである意味がなくなってしまうので一概に否定は出来ないが、せめて条件付きの解除方法程度は設けてもよいだろう。 --特にキャラへのこだわりが無ければ、お気に入りカードが存在せず、プレイヤーのコピーデッキを使う茂野間ネオをパートナーとするとよい。 -《禁止令》《マインドクラッシュ》など、カード名を宣言する時は何千枚とある全カード一覧の中から宣言したいカードを探す必要がある。 --一応頭文字毎で括られてはいるが、それならば最初からデッキ構築画面を流用するなりして手間を省いてほしい所。 -膨大な収録内容の為、ロードは長め。マップ移動とデュエル開始時、デッキ編集を開始するまで、編集を完了してメニューに戻るまでが特に指摘される。 --デュエル中のロードは上記に比べればほとんど存在しないのが救いか。とはいえ、フィールドのカードの枚数が多くなるとCPUの思考時間が目に見えて長くなる。 -以下、次作以降改善された本作のみの問題点。 --ゲームの初期制限が05/09/01。要はゲーム発売の一年以上前の制限改訂となっている。 ---当時の実際のOCG環境との間で使用可能・不可能カードの差が大きい。一応制限改訂を変更することも出来るが、CPUのデッキはそれに合わせて変化したりはしない。 ---この制限にした理由は恐らく「強欲な壺」のボイスが各キャラにあったからかと思われる((強欲な壺とは、「カードを2枚引く」という単純かつ強力なカードで、当時は誰でもデッキに入れていた程。「強欲な壺が入っていないデッキはデッキではない!」と言えば伝わるだろうか。))…もっとも、たった1枚のカード(とボイス)の為に1年以上前の制限にするのもどうかという意見もあるが。 ---次作以降は発売同年の3月改訂のものが初期制限(ようは半年前の制限改訂)となっており、ある程度OCG環境との乖離は薄くなった。 --パックのまとめ買いが出来ず、○連打をする必要がある。こちらも次作以降はまとめ買いできるようになった。 **総評 それまでの遊戯王OCGを題材としたゲームと比べると非常に良い出来に仕上がっており、「遊戯王ゲーム=クソゲー」を根本的に覆した革命的な作品だと言える。アニメのキャラゲーとTCGが超融合を果たした良シリーズ。~ AIの問題点はよく槍玉にあげられるが、その他の問題点はシリーズが進むごとに段々と欠点が改善されており、カードの数もどんどん増えている。 **その後の展開 -その人気からシリーズが数多く展開された。 -本作をPS2に移植した『遊☆戯☆王デュエルモンスターズGX TAG FORCE EVOLUTION』も発売されている。 --詳しくは下記参照。 ---- *遊☆戯☆王デュエルモンスターズGX TAG FORCE EVOLUTION 【ゆうぎおうでゅえるもんすたーずじーえっくす たっぐふぉーすえう゛ぉりゅーしょん】 |ジャンル|対戦型カードゲーム|&amazon(B000W7Z1AA)| |対応機種|プレイステーション2|~| |発売元|コナミデジタルエンタテインメント|~| |発売日|2007年12月6日|~| |価格|6,980円(税別)|~| |判定|BGCOLOR(khaki):''劣化ゲー''|~| |ポイント|''携帯機から据え置き機への劣化移植という珍品''&br;ボイス撤廃、処理落ち増と踏んだり蹴ったり&br;カード追加も手抜きで、バランス崩壊の原因にも&br;劣化点の告知は一切なし|~| |>|>|CENTER:''[[遊☆戯☆王 TAG FORCEシリーズリンク>遊☆戯☆王 TAG FORCEシリーズ]]''| ---- **概要(EV) 上記、PSPソフト『遊☆戯☆王デュエルモンスターズGX TAG FORCE』のPS2移植作である。~ PS2でこれ以前に2作発売された遊戯王ゲームはOCGとはルールの全く異なる別のゲームで、本作がPS2で初のOCGルールに対応した遊戯王のカードゲームソフトであった。~ ディスク容量が多く、処理性能もおおむね上回る据え置き機への移植ということで、新規カードや演出・システム面など、様々な強化が期待されていた。~ また、当時は『[[モンスターハンターポータブル2ndG]]』による空前のモンハンブームが起こる前で、PSPの普及率はそこまで高くはなかった。~ そのため、たとえ追加要素がなくPS2で同じものが遊べるというだけでも一定の需要があったと思われる。~ しかし… **追加・変更点 -収録カードの増加 --使用できるカードの収録総数は『TAG FORCE』では「アニメオリジナルカード(未OCG化)」20種を含む2448種類だったが、このゲームでは続編『TAG FORCE2』で追加されたものを合わせ2889種類に増加した。 ---要するに、全体の体裁は『1』、カードの収録内容は『2』に準じた移植作といえる。 -TF2との連動 --PSPで発売された『遊☆戯☆王デュエルモンスターズGX タッグフォース2』とのUSBコネクトによる連動要素に対応し一部キャラクターが使用可能となる。 -同梱の限定カード3種は新カードに変更。 -OP主題歌及びキャラクターボイスの削除 **問題点(EV) -最大の問題点は、''オリジナル版にあったキャラクターボイスが全削除''されたことである。 --モーション等は変わっていないので、キャラクター達は虚しく口パクするばかり。 --本シリーズにおいて、デュエル中はターンが回ったりモンスターを召喚したりとあらゆる場面でキャラクターがしゃべるため、そこのボイスが切られたというのは致命的。 ---そもそもPS2時代の単体のソフトとしても、アニメ原作のゲームでありながらボイスなしなどというのは何らかの理由でもなければ''問題外''である。 --一応、字幕はPSP版と同じものが付いているが、喋らなければデュエリストの演出の魅力も大幅ダウンである。 --先に述べた通りPS2は多くの点でPSPのスペックを上回っており、PSP→PS2の移植でボイスが切られるなどということは普通あり得ない。~ なぜこんなことになったのかというと、''アメリカ・イギリス・ドイツといった他国と共に同時発売されたため''という説が有力である。 ---各他言語版にもボイスはない。要するに全言語に対応させるためにボイスのないバージョンを作った後、その後''日本語版のボイスを追加する作業をしなかった''のだろう。 -アニメ2期のオープニングテーマであり、移植前のオリジナル版でもオープニングムービーに使われていた歌『99%』が、別の曲に差し替えられている。 --PSPの本シリーズでも『2』以降はアニメBGMが使われなくなったので、恐らく版権がらみだろう。 -追加カードのバランス未調整 --『2』のカードが収録されているのに、''適用される禁止・制限カード((強力すぎてバランスを乱しているカードに課せられる、公式大会などにおけるデッキ内採用枚数の制限。当時は半年に一度、3月と9月に改訂されていた。))は『1』の時点である2005/09/01のまま''というバランス崩壊っぷり。 ---このゲームが発売された時点では2007/09/01の改訂が最新。『2』での禁止・制限カードは2007/03/01改訂のもの。普通ならば、本作ではこのどちらかを採用するのが妥当だろう。 ---PSP版であれば通信を通して新しい改訂をダウンロードできるサービスがあるが、本作はPS2なのでそれもできない。 --この改訂後に追加されたカードが大量に存在するため、「ダンディライオン」「(裁定変更前の)森の番人グリーン・バブーン」「未来融合-フューチャー・フュージョン」「E・HERO エアーマン」「冥府の使者ゴーズ」「N・グラン・モール」等の強力カードが3枚(フル投入)積めてしまうという無法地帯っぷり。 --言い換えれば、移植されることで追加された400枚以上のカード(実際のOCGで2年分)に対する''バランス調整が一切行われていない''。 ---カードゲームによくある、新カードの登場に付随して強化されたカードも放置されてしまっているため、ゲームバランスが崩壊している。 ---またこの2005/09/01というのは「このカードが入ってないデッキはデッキではない」とまで言わしめた「強欲な壺」が禁止になる前の制限改訂であり、なんとほぼ全キャラクターが使用し、それぞれが専用の台詞を持つカード((基本的に専用台詞はアニメキャラがアニメで使用したカード、または自分のデッキに深い関係があるカードのみ))なのである。そのため「強欲な壺」を禁止にしないために2005/09/01の制限改訂にされたのでは? とまで言われている。 ---だが、それはボイスが付いているPSP版なら分かる話であり、ボイスが付いていない今作では単なる手抜きである。 --もっとも、下記のようにCPUは新規追加されたカードを使ってこないし、こちらは資金に余裕が出てくるころでなければ新規追加されたカードを手に入れられない。 ---対人戦もできないので、バランス崩壊するのは既にカードをだいぶ集め終わった後の対CPU戦ぐらいであり、実際はそこまで影響がある訳ではない。 -カードが大幅に増えたにも関わらず、対戦相手の使うカードは移植前と何も変わっていない。 --これが上記の制限リスト未改定の根拠だろう。 -400枚以上の追加カードは「チェッカー・フラッグ」というほぼ全カードを収録したパックのみの収録で、専用のパックは用意されていない。 --そのため、欲しいカードがあるなら''3000枚近くの膨大な収録カードから引き当てないといけない。'' --一応封入率操作がされており所持枚数の少ないカードが出やすくなっているが、枚数が枚数のため欲しいカードを狙って引き当てるのはかなり困難。 --デッキに入れられる最大枚数である3枚を入手したい場合は、更に困難な作業となる。 --「チェッカー・フラッグ」の出現の遅さもあって、新規追加されたカードの入手はどうしても遅くならざるを得ず、はっきり言って''カードの新規追加の意味を削いでいる''。 -『2』では発売時期の関係で「GLADIATOR'S ASSAULT」というパックのカードが一部しか収録されなかったのだが、本作でもこれが補完されていない。 --上と合わせて、単に『2』から収録カードをそのまま持ってきただけ、という手抜き仕事が否が応にも目に留まってしまう。 -画質や音質の向上は一切なし。単にPSP版の画面を引きのばしただけであると見られる。 --画面が広がり画面比率が変わった関係上粗もやや目立ち、はっきり言ってPS2品質としては若干見劣りする。 -PSP版にはなかった、''かなり気になるレベルの処理落ち''が存在し、PSP版における微妙なロードの長さも改善されていない。 --マップに人が増えてきたり、デュエル中にフィールド魔法を使って背景CGが表示されたりすると明らかに重くなる。 --上記の制限改訂などの問題も目立つが、実際遊んでいてキャラクターボイスの次に問題となってくるのはこの部分だろう。 -パートナーのデッキ編集やカードアルバムの拡大機能など、''『2』でシステム上追加・改善された点は何も反映されていない''。 --これだけのやっつけ移植にかかわらず、パートナーの好感度を上げることができる「ドローパン」を購入する際のルーレットだけが何故か『2』仕様である。 -完全に1人プレイ専用で、メモリーカードを持ち寄ってもPSP版でできた対戦・協力プレイは一切できない。 --画面が1つしかない関係上、(相手の手札が見えてしまうので)対戦プレイは不可能なのはしょうがないが、協力しての2人プレイぐらいはできてもいいはずである。 --これも主にハード上の関係ではあるが、ネットを使った対戦もできない。 -これらの点はどれも''公式ページ等で告知されていない''ため、買ってみるまでわからなかった。 --移植作品で告知もなく重要な項目の削除は詐欺と言われても仕方ないレベル。 **総評(EV) 据え置き機から携帯機への劣化移植はよくあるが、''その逆をやってのけた''という珍しい作品である。~ ボイス撤廃を筆頭に、ロードや処理落ちの悪化、バランス調整の悪化、2人プレイの撤廃……これだけの劣化が、明らかに単に移植で手を抜いた結果だというのも虚しい。~ これらの点を我慢すれば、元のゲームの出来は良いので遊べないことはない。~ だが、PSPを持っておらず、どうしてもPS2で遊戯王のOCGのゲームをやりたいとしても購入をあまりお勧めはできないレベルである。~ ---- **余談(EV) -エンディングを見ると、ディレクター以下は明らかに中国人と思しき「李」「洪」「王」などの漢字2~3文字の名前が並んでいる。 --その後「オリジナルスタッフ」と続いて日本人のスタッフが紹介されており、中国のスタッフが移植を担当したと推測できる。開発企業はスタッフロールからは読み取れない。 --必ずしもこういった下請け自体を否定するべきとまでは言えないが、この出来の原因が劣悪な中国企業への外注にもあった可能性は高いだろう。 -本作には付属カードが3枚同梱されているが、その1枚である「堕天使ナース-レフィキュル」が遊戯王で【シモッチバーン】と呼ばれるデッキのほぼ必須カード。~ その後の再録もされていないため割と高値で取引されており、2014年現在カード無しのこのゲームの中古価格を完全に上回ってしまっている。 --こうなってしまうと、やはりこのゲームは''カードのおまけ''としか言いようが無い。 -一応、PSP版の『2』とUSBケーブルによって連動するという機能が備わっている。~ こちら側にはDPとフリーデュエルで対戦できるキャラが増えるがDPはともかく対戦可能になるキャラは『2』でも対戦できるキャラとレシピである。『TF2』側は一部キャラにグラフィックとセリフが追加される。これに価値を感じるかは人次第か。~ 『2』のゲーム内容をコンプリートしたい場合はそのためだけに中古を探すのも悪くないが、それにしても『3』以降とは連動が無くなっているため微妙。~ ----
※本稿では、『遊☆戯☆王デュエルモンスターズGX TAG FORCE』(''良作'')及びそのPS2移植版『遊☆戯☆王デュエルモンスターズGX TAG FORCE EVOLUTION』(''劣化ゲー'')について解説する。 ---- #contents ---- *遊☆戯☆王デュエルモンスターズGX TAG FORCE //「タッグフォース」表記はamazonやWikipediaではカタカナだが、公式サイトではアルファベットの為それに準ずる 【ゆうぎおうでゅえるもんすたーずじーえっくす たっぐふぉーす】 |ジャンル|対戦型カードゲーム|&amazon(B000GFBM9C,image);| |対応機種|プレイステーション・ポータブル|~| |発売元|コナミデジタルエンタテインメント|~| |開発元|コナミデジタルエンタテインメント、テンキー|~| |発売日|2006年9月14日|~| |定価|5,229円|~| |レーティング|CERO:A(全年齢対象)|~| |判定|BGCOLOR(lightgreen):''良作''|~| |ポイント|「遊戯王=クソゲー」から脱却&br;収録カードが大強化&br;公式ルールでタッグデュエル&br;徹底してアニメに忠実、演出・ボイス完備&br;今作のみ主題歌も|~| |>|>|CENTER:''[[遊☆戯☆王 TAG FORCEシリーズリンク>遊☆戯☆王 TAG FORCEシリーズ]]''| **概要 週刊少年ジャンプで連載されていた漫画『遊☆戯☆王』に登場するカードゲームを元にした『遊☆戯☆王デュエルモンスターズオフィシャルカードゲーム(以下OCG、現:遊戯王ARC-Vオフィシャルカードゲーム)』は爆発的なヒットを飛ばした。~ しかし、過去の『遊☆戯☆王』のゲームは、対戦ツールはおろかゲームとしても出来の悪いものが多く見られた(実際のOCGのルールが実装されていないもの、バグや歯抜け(未収録カード)が多い、ゲームバランス最悪…etc)。~ 特にGBCで発売され、歴代最高の売り上げを記録した『[[遊戯王デュエルモンスターズ4>遊☆戯☆王デュエルモンスターズ4 最強決闘者戦記 遊戯デッキ/城之内デッキ/海馬デッキ]]』は、システム・ゲームバランス・商法とあらゆる面でタチが悪い代物であった。~ そのため「遊戯王ゲー=クソ」という風潮ができ、続編の売上が大幅低下する原因にもなり、付属カード目的のみで買う人もいることから「''5,000円のカードを買ったらゲームがおまけに付いてきた''」などの皮肉まで生まれることとなった。~ このような風潮は本作『タッグフォース』(以下TF1)にも影響を与えることとなり、発売当時ではあまり市場が盛り上がっていなかったPSPで出たことと、付属カードの能力もいまひとつだったことからカード目的で買う人にもそっぽを向かれ、発売まで空気同然の状態であった。しかし発売後、良い意味で期待を裏切ることとなった。 **システムなど **特徴・評価点 -今までの遊戯王ゲーは未収録カードが数百枚レベルで存在していたが、本シリーズは発売時にOCG化していたカードはほぼ収録している。 --当時登場していた2500枚近いカードのうち未収録カードは約40枚である。これはかなり革新的だった。 --しかも複雑なルール・処理が絡むカードゲームでありながらバグやOCGと異なる動作はほぼ無い。これもシミュレータ部分の評価も高い一因。 -様々なデュエルの設定ができる。なかでも特徴的なものはピンチの時に指定したカードをドローできる「ディスティニードロー」。原作キャラになりきって「窮地からの反撃」を行う事ができ、駆け引きが熱い(勿論ON/OFF切り替え可)。 --デスティニードローは敵も使ってくるので、半端に追い込むと思わぬ一手で逆転される場合もある。気になる人は切っておくことを推奨。 --遊戯王OCGは定期的に禁止・制限カードリストの更新を行うのだが、当然各ソフトには発売時期の制限リストしか適用されていない。PSPの無線LAN機能を使えば公式サイトから最新の制限リストをダウンロードし、自由に切り替えることが出来る。 ---この禁止カードも、ゲーム内で条件を満たせば制限を無視して一枚だけデッキに投入することが出来る。その場合、CPUも禁止・制限カードを無視したデッキを使用してくる。シリーズとキャラによっては''20枚以上制限枚数を超過''したチートデッキを使ってきたりする。 -遊戯王ゲーム初、2vs2のタッグデュエル導入。様々なアニメ登場キャラとパートナーを組んでタッグデュエルをすることもできる。1vs1の従来のデュエルも勿論可能(ストーリー進行はほぼタッグデュエル)。 --登場キャラはとにかく豊富。メインキャラからセイコなどの脇役まで登場し、個性あるモブキャラも沢山登場する。 ---モブキャラには一人一人に設定があり((名前がスタッフの名前であったり、性格をもじった名前であったり遊び心満載。))、『デュエリスト名鑑』で確認することもできる。 -デュエル中はなんとフルボイスで全てのキャラが喋り、その台詞に合わせてキャラが3Dアニメーションで動く。 --台詞は基本的に「モンスターを攻撃表示で召喚」などの汎用台詞が多いが、各々のエースを使用した場合には専用台詞もちゃんとある。 --しかもデュエル中のテンポが今までの遊戯王ゲームより良く、かなり快適。デュエルフィールドとキャラクターの3Dモデルの切り替えに遅滞が一切ないので、TVアニメ版そのままに決闘が楽しめる。 ---残念ながらカードの増加に合わせてかシリーズを重ねるにつれ処理は重くなっていくのだが。 -本作のみ、アニメと同じBGMと2ndOP曲「99%」を採用している。次回作以降は権利問題かアニメ使用曲「っぽい」曲に変更されてしまった。 --優勢時にはサントラ未収録の人気曲、通称「運命のテーマ」が流れるので後続作が出た今なおファングッズとしての本作の価値は高い。 -メインキャラにはそれぞれ専用ストーリーが用意されている(ちなみにメイン・モブ問わず、女性キャラのストーリーはほとんどギャルゲー状態になっており、そうした面からも評価されている。もちろんギャルゲーの始祖コナミだけあって女性キャラの可愛さはお墨付き。システム面とも合わせ「カードゲームが出来るギャルゲー」とも)。 --一方でシリアスであったり、キャラの成長を中心にすえた心温まるストーリーも多い。 -個性ほとばしる主人公「コナミ君(通称)」 --よくある喋らない主人公ながら、周囲のキャラとのやり取りや証言から驚異の個性が飛び出してくる。ただし、旧シリーズの主人公と同一人物かは物による。 -アニメ『GX』で流れたOP曲&アニメのデュエル中の曲をほぼ完全再現している。 --特に優勢時に流れる「運命のテーマ」の収録は非常に人気が高い。 ---『2』以降は版権上の問題からかOPとデュエル中のアニメ曲が「似たような」オリジナル曲に変更されてしまっている事もあって、後作発売後も『1』の人気・需要は未だ大きい。 ---完全に余談だが、この「運命のテーマ」がアニメ版サントラ未収録曲のひとつであることも需要増加に拍車をかけている。 -PSPの無線LAN機能を使えば、公式サイトからゲームオリジナルカードやデッキレシピがダウンロードできる。 --デッキレシピは実際の環境でも使えうるガチな物からネタまで幅広く取り揃っている。また『5』では、流行のアニメやゲームネタを扱ったネタデッキレシピが大量に配信されている(攻略wikiを見ていただけば分かるが、自社のゲームネタまで幅広く存在している)。 -シリーズの前作や、タッグフォース以外のPSPソフトとの連動要素があり、何らかのカードが入手できる。例えば『メタルギアソリッド ポータブルオプス』と連動すると《老化の呪い》が入手できる。 -ちなみに一部のキャラクターには服装・ストーリーが異なる別バージョンが存在する。この出現条件も前作との連動だが、連動を行わなくても条件を満たせば出現させることが出来る。 **賛否両論点 -キャラゲーでもあるがルールはもちろんOCGルール。「表守備で召喚」や「ライフ4000でのデュエル」はできない。 --しょうがないが十代が《沼地の魔神王》を使ったりカイザーが《融合呪印生物-光》を投入していたりとデッキを補強するためアニメで用いなかったガチカードも投入されている。もっとも[[大きくイメージが異なるデッキを持たされてるキャラ>遊☆戯☆王デュエルモンスターズGX めざせデュエルキング!]]はいないが。 **問題点 -AIが微妙。旧世代機よりはパワーアップしてるのだが、元がひどすぎただけに素直に評価できるものでもない。 --《死霊騎士デスカリバー・ナイト》を自爆させてしまうのは日常茶飯事。他にも不可解なプレイをするケースは多い。 --カイザーの《サイバー・ドラゴン》を絶対にアドバンス召喚しないルーチンが厄介で、これが原因で勝機を逃すことも。また、攻撃できないのに《パワー・ボンド》を使って勝手に自殺することもある。 --味方であるはずのCPUの酷すぎるプレイングが敗因に繋がる事も少なくなく、「3vs1でデュエルするゲーム」と皮肉られることもある。 --タッグデュエルでは、敵は2つのデッキを1つのAIで処理するため息の合ったデュエルをしてくるのに対し、こちらは人間+AIで意思疎通ができないので、AIがもたらす被害はさらに大きくなる。フリーデュエル以外では必ずパートナーからターンが開始するため、自分のターンが回ってきた時点でこちらの状況が壊滅的という事も。 ---プレイヤーの先行1ターンキルを防止する目的があるのかもしれないが、パートナーデッキをドローソースで固めれば結局同じことである。 --遊戯王OCG自体ルールや効果の処理が複雑であるため、これをCPUに完璧にやらせるというのはほぼ不可能であり、大量のカード・キャラクターの実装と引き換えという面もある。ただそれでも、度を越した珍プレイや自身の初期デッキさえまともに回せないキャラが少なくないのは問題。 -各NPCにはデッキから外せない「お気に入りカード」がそれぞれ登録されているのだが、「NPCのデッキ・動きを完全にコントロールできない」と、純粋にカードゲームを楽しみたいというユーザーからの評価は芳しくない。 --このシステムが無ければ、プレイヤーによるデッキの大幅改造でデュエルが単調化&無個性化し、キャラゲーである意味がなくなってしまうので一概に否定は出来ないが、せめて条件付きの解除方法程度は設けてもよいだろう。 --特にキャラへのこだわりが無ければ、お気に入りカードが存在せず、プレイヤーのコピーデッキを使う茂野間ネオをパートナーとするとよい。 -《禁止令》《マインドクラッシュ》など、カード名を宣言する時は何千枚とある全カード一覧の中から宣言したいカードを探す必要がある。 --一応頭文字毎で括られてはいるが、それならば最初からデッキ構築画面を流用するなりして手間を省いてほしい所。 -膨大な収録内容の為、ロードは長め。マップ移動とデュエル開始時、デッキ編集を開始するまで、編集を完了してメニューに戻るまでが特に指摘される。 --デュエル中のロードは上記に比べればほとんど存在しないのが救いか。とはいえ、フィールドのカードの枚数が多くなるとCPUの思考時間が目に見えて長くなる。 -以下、次作以降改善された本作のみの問題点。 --ゲームの初期制限が05/09/01。要はゲーム発売の一年以上前の制限改訂となっている。 ---当時の実際のOCG環境との間で使用可能・不可能カードの差が大きい。一応制限改訂を変更することも出来るが、CPUのデッキはそれに合わせて変化したりはしない。 ---この制限にした理由は恐らく「強欲な壺」のボイスが各キャラにあったからかと思われる((強欲な壺とは、「カードを2枚引く」という単純かつ強力なカードで、当時は誰でもデッキに入れていた程。「強欲な壺が入っていないデッキはデッキではない!」と言えば伝わるだろうか。))…もっとも、たった1枚のカード(とボイス)の為に1年以上前の制限にするのもどうかという意見もあるが。 ---次作以降は発売同年の3月改訂のものが初期制限(ようは半年前の制限改訂)となっており、ある程度OCG環境との乖離は薄くなった。 --パックのまとめ買いが出来ず、○連打をする必要がある。こちらも次作以降はまとめ買いできるようになった。 **総評 それまでの遊戯王OCGを題材としたゲームと比べると非常に良い出来に仕上がっており、「遊戯王ゲーム=クソゲー」を根本的に覆した革命的な作品だと言える。アニメのキャラゲーとTCGが超融合を果たした良シリーズ。~ AIの問題点はよく槍玉にあげられるが、その他の問題点はシリーズが進むごとに段々と欠点が改善されており、カードの数もどんどん増えている。 **その後の展開 -その人気からシリーズが数多く展開された。 -本作をPS2に移植した『遊☆戯☆王デュエルモンスターズGX TAG FORCE EVOLUTION』も発売されている。 --詳しくは下記参照。 ---- *遊☆戯☆王デュエルモンスターズGX TAG FORCE EVOLUTION 【ゆうぎおうでゅえるもんすたーずじーえっくす たっぐふぉーすえう゛ぉりゅーしょん】 |ジャンル|対戦型カードゲーム|&amazon(B000W7Z1AA,image);| |対応機種|プレイステーション2|~| |発売元|コナミデジタルエンタテインメント|~| |発売日|2007年12月6日|~| |価格|6,980円(税別)|~| |判定|BGCOLOR(khaki):''劣化ゲー''|~| |ポイント|''携帯機から据え置き機への劣化移植という珍品''&br;ボイス撤廃、処理落ち増と踏んだり蹴ったり&br;カード追加も手抜きで、バランス崩壊の原因にも&br;劣化点の告知は一切なし|~| |>|>|CENTER:''[[遊☆戯☆王 TAG FORCEシリーズリンク>遊☆戯☆王 TAG FORCEシリーズ]]''| ---- **概要(EV) 上記、PSPソフト『遊☆戯☆王デュエルモンスターズGX TAG FORCE』のPS2移植作である。~ PS2でこれ以前に2作発売された遊戯王ゲームはOCGとはルールの全く異なる別のゲームで、本作がPS2で初のOCGルールに対応した遊戯王のカードゲームソフトであった。~ ディスク容量が多く、処理性能もおおむね上回る据え置き機への移植ということで、新規カードや演出・システム面など、様々な強化が期待されていた。~ また、当時は『[[モンスターハンターポータブル2ndG]]』による空前のモンハンブームが起こる前で、PSPの普及率はそこまで高くはなかった。~ そのため、たとえ追加要素がなくPS2で同じものが遊べるというだけでも一定の需要があったと思われる。~ しかし… **追加・変更点 -収録カードの増加 --使用できるカードの収録総数は『TAG FORCE』では「アニメオリジナルカード(未OCG化)」20種を含む2448種類だったが、このゲームでは続編『TAG FORCE2』で追加されたものを合わせ2889種類に増加した。 ---要するに、全体の体裁は『1』、カードの収録内容は『2』に準じた移植作といえる。 -TF2との連動 --PSPで発売された『遊☆戯☆王デュエルモンスターズGX タッグフォース2』とのUSBコネクトによる連動要素に対応し一部キャラクターが使用可能となる。 -同梱の限定カード3種は新カードに変更。 -OP主題歌及びキャラクターボイスの削除 **問題点(EV) -最大の問題点は、''オリジナル版にあったキャラクターボイスが全削除''されたことである。 --モーション等は変わっていないので、キャラクター達は虚しく口パクするばかり。 --本シリーズにおいて、デュエル中はターンが回ったりモンスターを召喚したりとあらゆる場面でキャラクターがしゃべるため、そこのボイスが切られたというのは致命的。 ---そもそもPS2時代の単体のソフトとしても、アニメ原作のゲームでありながらボイスなしなどというのは何らかの理由でもなければ''問題外''である。 --一応、字幕はPSP版と同じものが付いているが、喋らなければデュエリストの演出の魅力も大幅ダウンである。 --先に述べた通りPS2は多くの点でPSPのスペックを上回っており、PSP→PS2の移植でボイスが切られるなどということは普通あり得ない。~ なぜこんなことになったのかというと、''アメリカ・イギリス・ドイツといった他国と共に同時発売されたため''という説が有力である。 ---各他言語版にもボイスはない。要するに全言語に対応させるためにボイスのないバージョンを作った後、その後''日本語版のボイスを追加する作業をしなかった''のだろう。 -アニメ2期のオープニングテーマであり、移植前のオリジナル版でもオープニングムービーに使われていた歌『99%』が、別の曲に差し替えられている。 --PSPの本シリーズでも『2』以降はアニメBGMが使われなくなったので、恐らく版権がらみだろう。 -追加カードのバランス未調整 --『2』のカードが収録されているのに、''適用される禁止・制限カード((強力すぎてバランスを乱しているカードに課せられる、公式大会などにおけるデッキ内採用枚数の制限。当時は半年に一度、3月と9月に改訂されていた。))は『1』の時点である2005/09/01のまま''というバランス崩壊っぷり。 ---このゲームが発売された時点では2007/09/01の改訂が最新。『2』での禁止・制限カードは2007/03/01改訂のもの。普通ならば、本作ではこのどちらかを採用するのが妥当だろう。 ---PSP版であれば通信を通して新しい改訂をダウンロードできるサービスがあるが、本作はPS2なのでそれもできない。 --この改訂後に追加されたカードが大量に存在するため、「ダンディライオン」「(裁定変更前の)森の番人グリーン・バブーン」「未来融合-フューチャー・フュージョン」「E・HERO エアーマン」「冥府の使者ゴーズ」「N・グラン・モール」等の強力カードが3枚(フル投入)積めてしまうという無法地帯っぷり。 --言い換えれば、移植されることで追加された400枚以上のカード(実際のOCGで2年分)に対する''バランス調整が一切行われていない''。 ---カードゲームによくある、新カードの登場に付随して強化されたカードも放置されてしまっているため、ゲームバランスが崩壊している。 ---またこの2005/09/01というのは「このカードが入ってないデッキはデッキではない」とまで言わしめた「強欲な壺」が禁止になる前の制限改訂であり、なんとほぼ全キャラクターが使用し、それぞれが専用の台詞を持つカード((基本的に専用台詞はアニメキャラがアニメで使用したカード、または自分のデッキに深い関係があるカードのみ))なのである。そのため「強欲な壺」を禁止にしないために2005/09/01の制限改訂にされたのでは? とまで言われている。 ---だが、それはボイスが付いているPSP版なら分かる話であり、ボイスが付いていない今作では単なる手抜きである。 --もっとも、下記のようにCPUは新規追加されたカードを使ってこないし、こちらは資金に余裕が出てくるころでなければ新規追加されたカードを手に入れられない。 ---対人戦もできないので、バランス崩壊するのは既にカードをだいぶ集め終わった後の対CPU戦ぐらいであり、実際はそこまで影響がある訳ではない。 -カードが大幅に増えたにも関わらず、対戦相手の使うカードは移植前と何も変わっていない。 --これが上記の制限リスト未改定の根拠だろう。 -400枚以上の追加カードは「チェッカー・フラッグ」というほぼ全カードを収録したパックのみの収録で、専用のパックは用意されていない。 --そのため、欲しいカードがあるなら''3000枚近くの膨大な収録カードから引き当てないといけない。'' --一応封入率操作がされており所持枚数の少ないカードが出やすくなっているが、枚数が枚数のため欲しいカードを狙って引き当てるのはかなり困難。 --デッキに入れられる最大枚数である3枚を入手したい場合は、更に困難な作業となる。 --「チェッカー・フラッグ」の出現の遅さもあって、新規追加されたカードの入手はどうしても遅くならざるを得ず、はっきり言って''カードの新規追加の意味を削いでいる''。 -『2』では発売時期の関係で「GLADIATOR'S ASSAULT」というパックのカードが一部しか収録されなかったのだが、本作でもこれが補完されていない。 --上と合わせて、単に『2』から収録カードをそのまま持ってきただけ、という手抜き仕事が否が応にも目に留まってしまう。 -画質や音質の向上は一切なし。単にPSP版の画面を引きのばしただけであると見られる。 --画面が広がり画面比率が変わった関係上粗もやや目立ち、はっきり言ってPS2品質としては若干見劣りする。 -PSP版にはなかった、''かなり気になるレベルの処理落ち''が存在し、PSP版における微妙なロードの長さも改善されていない。 --マップに人が増えてきたり、デュエル中にフィールド魔法を使って背景CGが表示されたりすると明らかに重くなる。 --上記の制限改訂などの問題も目立つが、実際遊んでいてキャラクターボイスの次に問題となってくるのはこの部分だろう。 -パートナーのデッキ編集やカードアルバムの拡大機能など、''『2』でシステム上追加・改善された点は何も反映されていない''。 --これだけのやっつけ移植にかかわらず、パートナーの好感度を上げることができる「ドローパン」を購入する際のルーレットだけが何故か『2』仕様である。 -完全に1人プレイ専用で、メモリーカードを持ち寄ってもPSP版でできた対戦・協力プレイは一切できない。 --画面が1つしかない関係上、(相手の手札が見えてしまうので)対戦プレイは不可能なのはしょうがないが、協力しての2人プレイぐらいはできてもいいはずである。 --これも主にハード上の関係ではあるが、ネットを使った対戦もできない。 -これらの点はどれも''公式ページ等で告知されていない''ため、買ってみるまでわからなかった。 --移植作品で告知もなく重要な項目の削除は詐欺と言われても仕方ないレベル。 **総評(EV) 据え置き機から携帯機への劣化移植はよくあるが、''その逆をやってのけた''という珍しい作品である。~ ボイス撤廃を筆頭に、ロードや処理落ちの悪化、バランス調整の悪化、2人プレイの撤廃……これだけの劣化が、明らかに単に移植で手を抜いた結果だというのも虚しい。~ これらの点を我慢すれば、元のゲームの出来は良いので遊べないことはない。~ だが、PSPを持っておらず、どうしてもPS2で遊戯王のOCGのゲームをやりたいとしても購入をあまりお勧めはできないレベルである。~ ---- **余談(EV) -エンディングを見ると、ディレクター以下は明らかに中国人と思しき「李」「洪」「王」などの漢字2~3文字の名前が並んでいる。 --その後「オリジナルスタッフ」と続いて日本人のスタッフが紹介されており、中国のスタッフが移植を担当したと推測できる。開発企業はスタッフロールからは読み取れない。 --必ずしもこういった下請け自体を否定するべきとまでは言えないが、この出来の原因が劣悪な中国企業への外注にもあった可能性は高いだろう。 -本作には付属カードが3枚同梱されているが、その1枚である「堕天使ナース-レフィキュル」が遊戯王で【シモッチバーン】と呼ばれるデッキのほぼ必須カード。~ その後の再録もされていないため割と高値で取引されており、2014年現在カード無しのこのゲームの中古価格を完全に上回ってしまっている。 --こうなってしまうと、やはりこのゲームは''カードのおまけ''としか言いようが無い。 -一応、PSP版の『2』とUSBケーブルによって連動するという機能が備わっている。~ こちら側にはDPとフリーデュエルで対戦できるキャラが増えるがDPはともかく対戦可能になるキャラは『2』でも対戦できるキャラとレシピである。『TF2』側は一部キャラにグラフィックとセリフが追加される。これに価値を感じるかは人次第か。~ 『2』のゲーム内容をコンプリートしたい場合はそのためだけに中古を探すのも悪くないが、それにしても『3』以降とは連動が無くなっているため微妙。~

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