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*ドラえもん ギガゾンビの逆襲 【どらえもん ぎがぞんびのぎゃくしゅう】 |ジャンル|RPG|&amazon(B000068GZE)| |対応機種|ファミリーコンピュータ|~| |メディア|2Mbit+128kRAMROMカートリッジ|~| |発売元|エポック社|~| |開発元|ハイマックス研究開発センター&br()レッドカンパニー|~| |発売日|1990年9月14日|~| |価格|6,800円|~| |判定|BGCOLOR(lightgreen):''良作''|~| |>|>|CENTER:''[[ドラえもんシリーズ]]''| ---- #contents(fromhere) ---- **概要 ドラえもんキャラゲーの金字塔。劇場版大長編ドラえもんのストーリーを上手くクロスオーバーさせたRPG。 ~ プレイヤーである主人公の少年(少女)は、ドラえもんたちと共に復活した悪の精霊王ギガゾンビの二度の野望を打ち砕くべく旅に出る。 シナリオは劇場版のアフターストーリーとして構成されており、それぞれの「その後」が語られる筋書きとなっている。 **ストーリー かつて太古の日本に遡り世界支配を企てるも、ドラえもんたちの活躍によって逮捕された時空犯罪者ギガゾンビが脱獄し、~ 過去に遡ってドラえもんたちが倒してきた悪役たちを復活させ、再び世界征服を企み始めた。~ そのことを察知したドラえもんとのび太たちはタイムマシンに乗ってギガゾンビのいる時代へ飛ぶが、~ それに気づいたギガゾンビの手によって時空乱流に巻き込まれ散り散りになってしまう。~ ただ独り現代に放り出されたドラえもんは、主人公である少年(少女)に助けられ、~ 仲間たちの救助とギガゾンビ打倒の助力になってくれるよう懇願する。 こうして、主人公は世界の平和を守るべく、ドラえもんと共に魔界・海底・地底・古代の4つの世界へと旅立つのだった。 **特徴 -システムは『[[ドラゴンクエスト>ドラゴンクエストシリーズ]]』をベースとしたオーソドックスなものだが、ひみつ道具などドラえもんの世界観をうまく取り込み、独自のシステムとして昇華させている。 --ドラえもんのゲームでは非常に珍しく主人公はオリジナルキャラ。これによりプレイヤーはドラえもん達と一緒に冒険している臨場感が味わえる。 ---主人公にデフォルトネーム((説明書の画面写真ではスタッフの名前をもじって「ほりえもん」となっている。))はなく、性別も男性・女性か選ぶことができる。男女によって能力やストーリーは変化しない。 ---ドラえもんが主人公にあらすじを説明するため、原作映画を知らなくて置いてけぼり…という事にはならない。 --ドラクエの5年前に、いわゆる道具袋システムとして「四次元ポケット」を取り入れたことは大きい。ただし、四次元ポケットではあるが、持てるアイテム数に上限がある。 -主人公・ドラえもん・のび太((魔界編終了後に加わる))の3人は固定で、4人目はシナリオにより入れ替わっていくという『[[ファイナルファンタジーII]]』や『[[がんばれゴエモン外伝2 ~天下の財宝~]]』のようなものになっている。 -各種能力が本作独自の名称になっている。 --LV:ゆうき EXP:ぼうけん HP:げんき 状態異常:ようす 攻撃力:ちから 防御力:がまん と、メインターゲット層である小学生向けの言葉を選んでいると思われる。 -ひみつ道具は特殊アイテム扱いで、使用回数に制限は無いが使うたびに「ドラ焼き((本作では、金銭及びMPに相当するパーティ共有のパラメータとして扱われる。))」を消費する。四次元ポケットのアイテムは戦闘中には使えないので、あらかじめ使わせたいキャラに持たせておかなければならない。 -ボスクラスの敵は状態異常だけでなくダメージ系のひみつ道具が全く効かない(ただし一部例外あり)、雑魚敵もかなり強いものが多い、HP0になった仲間を戦闘中に回復させる手段がない((戦闘終了後にHP1で復活))、攻撃指示したターゲットがいなくなると攻撃が不発に終わるなど、難易度は結構シビア。 --ただし、ボス含め、全体攻撃を使用する敵はいない。敵の攻撃は全て通常攻撃・毒攻撃・麻痺攻撃・威力がアップした単体攻撃(炎を吹くなど)・眠りの魔法のいずれかである。そのため、多くのRPGでありがちな、毎ターン全体攻撃をされて回復が追いつかない……といった事態に陥ることはない。 ---また、最高レベルは60だが、最高レベルに近づくにつれて、能力の上がり方がすさまじいインフレを起こし、最終的にはラスボスすら楽勝で倒せるほどになる。ある意味では救済策とも言えるだろう。 --特に地底編のボス「ツチダママスター」には、多くの子ども達が苦戦を強いられた。その強さは、下手をすればラスボスより強いと揶揄されたほど((ボスが2体同時に出現する上、ステータス自体もかなり高い。ちなみに、他のボスは手下を引き連れたりせず単体で出現する。))。 --ただし、全滅してもセーブ地点に戻されるだけで、それまでに稼いだ経験値やドラ焼き(金兼MP)はそのままといった救済措置は取られている。 --また、敵にネズミが含まれているとドラえもんが自動的に麻痺状態になり動けない、など原作を大切にした作りはキャラゲーとして申し分ない(そのせいで難易度が上がってもいるのだが)。 --装備品は基本的に店には売っておらず、宝箱からの入手となるので宝箱の回収が極めて重要になる。 -原作でおなじみのひみつ道具も各種登場。 --戦闘中に使える物だけでもチャンピオングローブ、アタールガン、ゲラメソプンピストル、たつまきストロー、~ しょうげき波ピストル、空気砲、無敵砲台、ナカミスイトール、スモールライト、バリヤーポイント、etc…と、数は半端なく多い。 --タケコプターは地底編ではイベントアイテムとして重宝するも、古代編突入時に電池が切れて使用不可能になったりと芸が細かい。 -開始直後に「いいえ」を4回選ぶとバッドエンドでゲームを終わらせることができる。その際の「くすん…」と涙ぐむドラえもんが表示される場面はある意味有名。 #region(以下ネタバレ) -タイトルは「ギガゾンビの逆襲」だが、ラスボスは「パラレル西遊記」の牛魔王。 --原作で溶岩に飲み込まれたが生きていたという設定で、裏からギガゾンビを操っていた黒幕。最終盤で牛魔王はギガゾンビの娘であるテラを殺害。撃破後にはライフストーン(再生装置を作ったエネルギー源といえる石)の全てのエネルギーを使ってテラを生き返らせ、この物語は幕を閉じる。 --ラスボスというだけあって牛魔王はさすがに強く、HPは510で攻撃力・防御力ともに非常に高く、すばやさもMAXの99であり回復前に倒されることもままある。~ 普通に進めた場合、最強装備の主人公ですらダメージが15~20前後ほどしか通らず、牛魔王の攻撃ではこちらのHPがだいたい300~400前後なところに一発だけで280~300ほど喰らうため、2回喰らえばほぼ気絶させられてしまう。打たれ弱いしずかは体当たり一発で気絶する事も。~ ジャイアンとスネ夫がNPCとして援護攻撃してくれるが、ジャイアンは10、スネ夫は6前後程度のダメージである。 --ただしこの時点で(取り忘れてなければ)スネ夫が作ってくれた「かいぞうプラモぐんだん」が手に入っており、ダメージこそ25~30前後だがこれだけは牛魔王にも効くため、重要なダメージソースとなる。 #endregion **評価点 ''原作面'' -数々のひみつ道具が原作での効果をしっかり踏まえた上で、RPGのアイテムとしてうまくアレンジされている。タイムマシン、タケコプター、バギーちゃんなどの戦闘外での道具の使いどころ、役割も上手く配備。 -アイテム使用にドラ焼きを消費、そのドラ焼きは敵を倒した数に応じて街でドラミから補充するというドラえもんならではのシステム。前述のようにMPの役割も持つが、メンバーで共有されており上限も実質無いという特徴がある。 -のび太は途中加入かつレベル1だが育てれば最後まで戦える、ジャイアンは「大長編での頼れる男」ぶりをあらわす強さを見せる((ザコ戦では消費0の隠しアイテム「まじんのマイク」で全体攻撃、ボス戦でも高い攻撃力で活躍。))、しずかは打たれ弱いなど、原作に沿ったキャラ付けでともに闘う。 --反面、スネ夫は海底編ラストでようやく加わり、ボスのポセイドン撃破後は離脱してしまうので、参戦期間が非常に短い。ただし、離脱後に彼らしいエピソードが用意されている(後述)。 -シナリオは魔界・海底・地底・古代、各編ということもあって劇場版ゲストキャラもほぼ全員が登場している。 --美夜子・エル・バンホー・ククルといった味方の面々はもちろん、上記以外の劇場作でもボス敵には『パラレル西遊記』の金角・銀角、『鉄人兵団』のジュド。雑魚敵にいたっては『のび太の魔界大冒険』のとげむし・ギョロリン・デビルモンキー、『宇宙開拓史』のでんでんワニといったマイナーなチョイスまである。 ---まあ、''「ギブミー」「ナンカクレ!」「ナンモナイト」「アッカンベー」「トウセンボ」「ハイパーボロ」''などといった腰砕け的なネタ雑魚敵も多いが。因みに「ハイパーボロ」は見た目が「21エモン」のゴンスケそっくりである。 --古代では本作オリジナルキャラとして謎の少女テラが登場し、ストーリー上の重要人物になっているが、オリキャラとは言え他の劇場作キャラと比べて違和感も特になく、自然に物語に溶け込んでいる。 ---劇場版で作り出された3匹のペットは残念ながら登場しないが、装備品として「ペガサスの羽」「グリフォンの牙」「ドラゴンの角」が手に入る((グリフォンは頭部が鷲、つまり「嘴」なので「牙」というのは些か疑問だが。))。 -グラフィックの再現度は非常に高く、ファミコンの制限の中で最大限に「らしさ」を演出している。 --マップ上のチビキャラも雰囲気はよく出ているし、会話時に表示される大きめの顔アイコンはとてもレベルが高い。主人公含め何人かいるオリジナルキャラも、世界観によく溶け込んでいて違和感がない。 --ただし、なぜかドラえもんに限っては…(後述)。 ''システム面'' -難易度設定が非常に良い。難しくもなくヌルくもなく。王道RPGとしてとらえれば申し分ない。ひみつ道具を駆使して闘おう。 -フィールド上では「相談」コマンドによって、次の目的地を確認したりヒントを聞くことができる。このためRPGに不慣れでも詰まりにくい。 -BGMも非常に評価が高い。特に魔界編・地底編のフィールドBGMは本作屈指の名曲である。 **賛否両論点 #region(映画のネタバレあり) -原作で壮絶な最後を遂げファンを涙させた『海底鬼岩城』のバギーちゃんをタイムふろしきで直してあげる展開には多くのプレイヤーが歓喜した。 --ただ、豪華な建物の中に墓があるという英雄的扱いから一転、あっさり復活する上に会話なしで四次元ポケット送りになるため、「安易すぎ」「原作の感動をぶち壊しにした」という声もある。 #endregion **問題点 ''原作面'' -ドラえもんの素の防御力がやや高い、ジャイアンはHPと攻撃力が高いなど、それなりにキャラの性能分けは成されてはいるが、もっと個別にわかりやすく(特技等で)性能差を見せてくれてもよかったのかもしれない。 --内部的には「すばやさ」のパラメータも存在するのだが、ゲーム中では参照する方法がない。HP・攻撃力・防御力だけ表示されているため、「すばやい」キャラクターは、他の仲間よりも能力値が低いように見えてしまう。逆に「すばやさ以外が高い」ジャイアンは凄く強そうに見える((実際強いが、実は攻撃をよく外す。))。 -「特徴」の項でも触れられているが、ボス系の敵に攻撃系のひみつ道具がほぼ効かないのはドラえもんらしくないという意見もある。ドラえもんといえば数々のひみつ道具が魅力的なだけに非常に惜しい。 --ただし、回復や防御系の道具については多用することになる。 -スネ夫の参戦期間が非常に短いのでファンは要注意。ただし、離脱後に改造プラモ軍団を作ってくれるという彼らしいエピソードや、ジャイアンとともにラスボス戦に駆けつける等、決して影が薄いわけではない。また、仲間にならない出木杉にもちょっとした出番がある。 --出木杉は原作でも大長編にほとんど絡まないので、チョイ役の方が原作に忠実ではある。他の4人に比べスネ夫の見せ場が少ないのも同様。 -大長編ドラえもんシリーズ指折りの名作である『鉄人兵団』がストーリーに絡まない。 --上記のジュドや雑魚敵にロボット兵士が出てくるだけでイベントは特に無く、人気に反して扱いがややお粗末な感がある。 --特に「ドラデミー大賞」のゲストキャラクター賞に選ばれた程の人気を誇るゲストキャラ、リルルが登場しないのはファンには残念である。 //--しかし仮に鉄人兵団をシナリオに絡めたら、それこそ''『ギガゾンビの逆襲』なのにギガゾンビの代わりに鉄人兵団がラスボス勢力と化していた''、可能性も生じたであろう。 //--ついでにフィールドマップをどうするのかという問題もある。魔界編の舞台もオリジナル設定ではあるが。 ---とはいえ、鉄人兵団は本来、ゲーム中に出てくるボスキャラやギガゾンビ、それどころかラスボスすら差し置いて原作者に「''ドラえもんの映画史上最強''」と言わせたほどの強さを誇る敵勢力である(ちなみに、作者がそう発言したのは本作発売より後の1991年。日本誕生は1989年の作品)。彼らの尋常じゃない強さを認識していたからこそ本作のスタッフもシナリオには絡めなかったのかもしれない。 -なお、『宇宙小戦争』『大魔境』も全く絡んでいないが、これらは敵陣営の強さが微妙((筆箱よりも小さい宇宙人の『宇宙小戦争』はもとより、『大魔境』も原始的な武器を装備した犬(から進化した種族)の軍隊というもの。))という点からいたしかたないとも取れる。 -会話時に表示されるドラえもんの顔アイコンが妙に不自然。下手というわけではなく表情も豊富だが、漫画版ともアニメとも雰囲気の違う独特な表情ばかりで違和感がある。 --他のキャラクター達は原作のタッチがよく表れていて、むしろ評価点になる域。それだけに、肝心のドラえもんだけパチモン風なのが惜しまれる。 ''シナリオ面'' -単純にストーリーを追う一本道。寄り道もほとんどなく、進行における自由度はない。 --4人編成だがストーリーの都合上メンバーも固定、自由に編成できないので「のび太を外して、スネ夫としずかを連れていく」なんてことはできない。 //-会話が原作キャラのみで進んでいくため、主人公がほぼバトルマシーンとなっている。出てくるのはゲーム開始直後と、相談でドラえもんに尋ねる時くらい。 //ドラクエ型主人公と考えれば不自然ではない。むしろオリジナル主人公が原作キャラを食うほうが問題。また主人公はエンディングの会話シーンにも出てきて一言だけ喋る。 ''システム面'' -エンカウント率が高い。敵を倒しても数歩進んだだけで再度襲われやすく、運が悪いと1歩もあり得る。もっとも、この時代のRPGは大抵エンカウント率が高いのだが。 --一応、ひみつ道具の厄除けシールで弱い敵とのエンカウントを防げるが、機能するのは実質的に海底編のみ。 -パーティの先頭にいる主人公は、コマンド枠の関係上「防御」ができない((たたかう・にげる・ひみつ道具・普通の道具…の4つのコマンドで埋まってしまう。ドラクエ3で呪文が使えるキャラや勇者を先頭にした状態、といえばわかるだろう))。 --もっとも、主人公は攻撃力が高く、基本的に防御コマンドを使う場面がないのでほぼ気にはならないが…。 //-ゲームバランスは良好だが、シナリオを進行させ敵が強くなる→経験値をきっちり稼ぎつつ新しい町・ダンジョンを目指す→強力な装備品やひみつ道具を入手→戦闘がラクになる、の繰り返しによって作られたバランスなので、単純といえば単純(王道でもあるが)。 //「当時のRPGでは当たり前のこと」を問題点としてあげるのは疑問。これを問題点とするなら当時のRPGの大半の問題点となってしまう --装備品は基本的に購入できないので、町・ダンジョンで拾い損ねると難易度が跳ね上がる。一つや二つならそこまででもないが、いくつも続けて見落とすと辛い。特にひみつ道具の通用しないボス戦は泥仕合なので、装備品の有無がかなり響く。もっとも、宝箱のある民家は入った瞬間にそれと分かる構図になっているため、早々取り逃す事はないだろう。 --ひみつ道具も大部分は宝箱からの入手である。クリアした世界には戻れないこともあって取り逃しのダメージは大きい。 --一応補足すると、ファミコンやスーファミの絶頂期のRPGは、新しい町やダンジョンにおいて隅々まで情報収集や探索をするのが当たり前となっていた時代ではある。 -のび太の初期育成が面倒。魔界編の終了時にレベル1で加入するのだが、いきなり海底編への実戦投入を強いられる上、最強装備であっても雑魚敵に一撃でやられてしまう。しかし、のび太は固定メンバーなので育てないわけにもいかず、ある程度育つまでは敵に狙われないことを祈るしかない。 -装備品は強さが違うのみで特殊効果などの個性が無い((一応、攻撃時の効果音は武器ごとに異なる。))。キャラごとの装備適性もないので、射撃が得意なのび太に銃を持たせる等の工夫はできない。また、装備可能キャラの制限もないため、全員が全ての装備品を装備できる。 -不要な装備品などを買い取ってくれる店がない。 --四次元ポケットといえども所持数制限はあるので適宜捨てなければならない。 -ひみつ道具の効果や探索用・戦闘用の区分がゲーム中で説明されない。実際に使ってみないと分からない上、区分を間違うとドラ焼きの無駄使いに終わる。 --説明書にはきちんと全ての道具の効果が簡素ではあるが記載されている(しかも、どの時代で入手できるかまで書かれている)。 -魔界でダンジョンキーを取り忘れると、次の海底編でスネ夫が救出できなくなるため、詰む。 --入手条件自体は「特定の人物と会話」と特別厳しいこともなく、普通にプレイしていれば確実に入手しているのだが、本作の経験者やRPG慣れしているとスルーしてしまう可能性がある。 --…ところがこの場合、魔界編でダンジョンキーがないと取れないところにある、回復用の秘密道具として重要な「コンクフード」も取れてない事になる。~ さらに、コンクフードを取る為には「ひとつぼしのあくま」を倒す事が必須で、「ひとつぼしのあくま」を倒さないと「銀の玉」が手に入らない。強敵と名高い「ふたつぼしのあくま」と「みつぼしのあくま」を「銀の玉」で弱体化させるのがセオリーだが、銀の玉なしで倒す必要がでてくる((弱体化させない場合、勝つ為には主人公のレベルが20近くは必要。普通に進めてた場合はレベル11前後いってればいいほうである))。 つまり、コンクフードなしで海底編までいくのは逆に凄いこと(というか、半ばやりこみの領域)でもあるのだが…。 -前述の地底編の強ボス、ツチダママスターと戦う手前にドラミを呼んで回復&セーブできる場所があるのだが、明確なヒントがないため気付きにくい。 --ここでセーブせずにボスに負けた場合、非常に長いダンジョンの最初からやり直しになってしまう。 --1階と最上階に意味ありげなマーク((『アニマル惑星』で登場した「お守り」と同じ、Aに○印を加えたもの。))があるので、全くのノーヒントと言うわけではない。しかし、登場方法が唐突、お守りと分かる人が少ない、分かったところでドラミを呼べるとは思わない、''同じマークがある1階では呼べない''、と非常に意地悪な仕様になっている。 -古代編のキーアイテム「赤い薬草」は洞窟内の''開いた宝箱の横''にある。 --普通は調べないような位置、宝箱自体が複数ある、自分で開けた宝箱と見分けが付かない、ダンジョンの構造が複雑、といった悪条件が重なっているため、ヒントを忘れていると苦労する。 --ヒント自体は何度でも聞けるのだが、相談コマンドは「寒くて頭が回らない」という雑多な会話になる。こういう時に限って全く頼りにならない。 --取扱説明書では「この世界の洞窟にある宝箱はむやみに開けないほうがいいよ。大事なアイテムのある場所がわからなくなるからね」と警告してくれている。 //--ちなみに、海底編には「一度しか言わんぞ」と警告しつつ何度もヒントを教えてくれるキャラがいる。 **総評 エポックらしい丁寧に作られた良質なキャラゲー。難易度は高めだが、それらを補う原作愛に溢れる作品。~ ドラえもんファンには迷わず薦められるが、劇場版の後日談的な話になっているので、各映画を視てからのプレイをお勧めする。 **余談 -ドラえもん原作中における音痴の代表格はジャイアンであるが、実はドラえもんやのび太もジャイアンと同レベルの音痴という設定が存在する。しかし、本作でドラえもんやのび太にまじんのマイクを持たせて使用しても、敵にダメージは与えられない。ジャイアンがいる地底編で思う存分堪能しておこう。 --このまじんのマイク、ジャイアンが使用すると不協和音のBGMが流れて敵にダメージを与える演出である。一方他のキャラが使用すると''わざわざ正常な別verが流れる''(しかも上記の通り意味がない)と凝ったつくりになっている。 --なお繰り返し災害レベルの描写がされたのはジャイアンの歌だけなので、彼にしか使えないのも不自然というわけではない。なにしろ「ジャイアンの歌みたい」が騒音の比喩として成立してしまう、その本家本元なのだから。 -大長編版ではギガゾンビ(=山田博士)はタイムパトロールに逮捕されているのだが、どうやって再び悪事を働くようになったのか、またいつから娘がいるようになったのかについては全く触れられていない。 -攻略本には本作の漫画版が掲載…というよりむしろ''漫画版がメイン(全120ページ中、80ページが漫画)''となっており、原作ドラえもんも意識した内容になっている。作画は漫画版「ザ・ドラえもんズ」で知られる田中道明。 -ドラ焼き(金兼MP)は町でドラミから補充するのだが、倒した敵によって補充数が変わるため、終盤でひたすら戦闘してから補充すると「&bold(){おにいちゃんのだいすきなドラやきを28000こつくったからもっていって!」}とすごい数になったり、逆に''0こ''((数に限らずドラえもんの返事は必ず「ありがとう! ドラミ。」である。))にすることも可能。 --バッドエンドと共に本作の迷場面として有名。ドラ焼き補充と同時にHP回復・セーブが行われる仕様上、ゲーム開始直後にさっそく拝んだプレイヤーもいるのでは? --ドラ焼きの消費量は最安価の回復アイテム購入で5個、ひみつ道具によるHP回復で10個と多いため、ドラミからの補充数も早々にインフレを起こす((魔界編の町から町へ移動する過程でさえ、戦闘をきっちりこなすと数十個になる。次の海底編では簡単に百個を超えるレベル。))。ちなみに、膨大の数のドラ焼きをどうやって作っているかは不明。 -上記の他にも、ダンジョンの各ドアに話しかけた際の反応が複数ある((「・・。」と沈黙したり、「ドアにはなしかけないでよ!」と怒ったり、「おれはドアだ!もんくあっか!」と逆ギレしたり、「きをつけろよ。ポセイドンはつよいぞ!」と警告してくれたりする。))など、ちょっとした小ネタが用意されている。 -ドラえもんのゲームでオリジナル主人公が登場するのは、本作以降はGB版『[[ドラえもん きみとペットの物語]]』のみ。こちらの作品も本作のシステムをベースとしている。
*ドラえもん ギガゾンビの逆襲 【どらえもん ぎがぞんびのぎゃくしゅう】 |ジャンル|RPG|&amazon(B000068GZE)| |対応機種|ファミリーコンピュータ|~| |メディア|2Mbit+128kRAMROMカートリッジ|~| |発売元|エポック社|~| |開発元|ハイマックス研究開発センター&br()レッドカンパニー|~| |発売日|1990年9月14日|~| |価格|6,800円|~| |判定|BGCOLOR(lightgreen):''良作''|~| |>|>|CENTER:''[[ドラえもんシリーズ]]''| ---- #contents(fromhere) ---- **概要 ドラえもんキャラゲーの金字塔。劇場版大長編ドラえもんのストーリーを上手くクロスオーバーさせたRPG。 ~ プレイヤーである主人公の少年(少女)は、ドラえもんたちと共に復活した悪の精霊王ギガゾンビの二度の野望を打ち砕くべく旅に出る。 シナリオは劇場版のアフターストーリーとして構成されており、それぞれの「その後」が語られる筋書きとなっている。 **ストーリー かつて太古の日本に遡り世界支配を企てるも、ドラえもんたちの活躍によって逮捕された時空犯罪者ギガゾンビが脱獄し、~ 過去に遡ってドラえもんたちが倒してきた悪役たちを復活させ、再び世界征服を企み始めた。~ そのことを察知したドラえもんとのび太たちはタイムマシンに乗ってギガゾンビのいる時代へ飛ぶが、~ それに気づいたギガゾンビの手によって時空乱流に巻き込まれ散り散りになってしまう。~ ただ独り現代に放り出されたドラえもんは、主人公である少年(少女)に助けられ、~ 仲間たちの救助とギガゾンビ打倒の助力になってくれるよう懇願する。 こうして、主人公は世界の平和を守るべく、ドラえもんと共に魔界・海底・地底・古代の4つの世界へと旅立つのだった。 **特徴 -システムは『[[ドラゴンクエスト>ドラゴンクエストシリーズ]]』をベースとしたオーソドックスなものだが、ひみつ道具などドラえもんの世界観をうまく取り込み、独自のシステムとして昇華させている。 --ドラえもんのゲームでは非常に珍しく主人公はオリジナルキャラ。これによりプレイヤーはドラえもん達と一緒に冒険している臨場感が味わえる。 ---主人公にデフォルトネーム((説明書の画面写真ではスタッフの名前をもじって「ほりえもん」となっている。))はなく、性別も男性・女性か選ぶことができる。男女によって能力やストーリーは変化しない。 ---ドラえもんが主人公にあらすじを説明するため、原作映画を知らなくて置いてけぼり…という事にはならない。 --ドラクエの5年前に、いわゆる道具袋システムとして「四次元ポケット」を取り入れたことは大きい。ただし、四次元ポケットではあるが、持てるアイテム数に上限がある。 -主人公・ドラえもん・のび太((魔界編終了後に加わる))の3人は固定で、4人目はシナリオにより入れ替わっていくという『[[ファイナルファンタジーII]]』や『[[がんばれゴエモン外伝2 ~天下の財宝~]]』のようなものになっている。 -各種能力が本作独自の名称になっている。 --LV:ゆうき EXP:ぼうけん HP:げんき 状態異常:ようす 攻撃力:ちから 防御力:がまん と、メインターゲット層である小学生向けの言葉を選んでいると思われる。 -ひみつ道具は特殊アイテム扱いで、使用回数に制限は無いが使うたびに「ドラ焼き((本作では、金銭及びMPに相当するパーティ共有のパラメータとして扱われる。))」を消費する。四次元ポケットのアイテムは戦闘中には使えないので、あらかじめ使わせたいキャラに持たせておかなければならない。 -ボスクラスの敵は状態異常だけでなくダメージ系のひみつ道具が全く効かない(ただし一部例外あり)、雑魚敵もかなり強いものが多い、HP0になった仲間を戦闘中に回復させる手段がない((戦闘終了後にHP1で復活))、攻撃指示したターゲットがいなくなると攻撃が不発に終わるなど、難易度は結構シビア。 --ただし、ボス含め、全体攻撃を使用する敵はいない。敵の攻撃は全て通常攻撃・毒攻撃・麻痺攻撃・威力がアップした単体攻撃(炎を吹くなど)・眠りの魔法のいずれかである。そのため、多くのRPGでありがちな、毎ターン全体攻撃をされて回復が追いつかない……といった事態に陥ることはない。 ---また、最高レベルは60だが、最高レベルに近づくにつれて、能力の上がり方がすさまじいインフレを起こし、最終的にはラスボスすら楽勝で倒せるほどになる。ある意味では救済策とも言えるだろう。 --特に地底編のボス「ツチダママスター」には、多くの子ども達が苦戦を強いられた。その強さは、下手をすればラスボスより強いと揶揄されたほど((ボスが2体同時に出現する上、ステータス自体もかなり高い。ちなみに、他のボスは手下を引き連れたりせず単体で出現する。))。 --ただし、全滅してもセーブ地点に戻されるだけで、それまでに稼いだ経験値やドラ焼き(金兼MP)はそのままといった救済措置は取られている。 --また、敵にネズミが含まれているとドラえもんが自動的に麻痺状態になり動けない、など原作を大切にした作りはキャラゲーとして申し分ない(そのせいで難易度が上がってもいるのだが)。 --装備品は基本的に店には売っておらず、宝箱からの入手となるので宝箱の回収が極めて重要になる。 -原作でおなじみのひみつ道具も各種登場。 --戦闘中に使える物だけでもチャンピオングローブ、アタールガン、ゲラメソプンピストル、たつまきストロー、~ しょうげき波ピストル、空気砲、無敵砲台、ナカミスイトール、スモールライト、バリヤーポイント、etc…と、数は半端なく多い。 --タケコプターは地底編ではイベントアイテムとして重宝するも、古代編突入時に電池が切れて使用不可能になったりと芸が細かい。 -開始直後に「いいえ」を4回選ぶとバッドエンドでゲームを終わらせることができる。その際の「くすん…」と涙ぐむドラえもんが表示される場面はある意味有名。 #region(以下ネタバレ) -タイトルは「ギガゾンビの逆襲」だが、ラスボスは「パラレル西遊記」の牛魔王。 --原作で溶岩に飲み込まれたが生きていたという設定で、裏からギガゾンビを操っていた黒幕。最終盤で牛魔王はギガゾンビの娘であるテラを殺害。撃破後にはライフストーン(再生装置を作ったエネルギー源といえる石)の全てのエネルギーを使ってテラを生き返らせ、この物語は幕を閉じる。 --ラスボスというだけあって牛魔王はさすがに強く、HPは510で攻撃力・防御力ともに非常に高く、すばやさもMAXの99であり回復前に倒されることもままある。~ 普通に進めた場合、最強装備の主人公ですらダメージが15~20前後ほどしか通らず、牛魔王の攻撃ではこちらのHPがだいたい300~400前後なところに一発だけで250前後も喰らうため、2回喰らえばほぼ気絶させられてしまう((前述どおり気絶状態からは復活できないので、気絶者が増えるとそれだけ敗色が濃くなる))。打たれ弱いしずかは体当たり一発で気絶する事も。~ ジャイアンとスネ夫がNPCとして援護攻撃してくれるが、ジャイアンは10、スネ夫は6前後程度のダメージである。 --ただしこの時点で(取り忘れてなければ)スネ夫が作ってくれた「かいぞうプラモぐんだん」が手に入っており、ダメージこそ25~30前後だがこれだけは牛魔王にも効くため、重要なダメージソースとなる。 #endregion **評価点 ''原作面'' -数々のひみつ道具が原作での効果をしっかり踏まえた上で、RPGのアイテムとしてうまくアレンジされている。タイムマシン、タケコプター、バギーちゃんなどの戦闘外での道具の使いどころ、役割も上手く配備。 -アイテム使用にドラ焼きを消費、そのドラ焼きは敵を倒した数に応じて街でドラミから補充するというドラえもんならではのシステム。前述のようにMPの役割も持つが、メンバーで共有されており上限も実質無いという特徴がある。 -のび太は途中加入かつレベル1だが育てれば最後まで戦える、ジャイアンは「大長編での頼れる男」ぶりをあらわす強さを見せる((ザコ戦では消費0の隠しアイテム「まじんのマイク」で全体攻撃、ボス戦でも高い攻撃力で活躍。))、しずかは打たれ弱いなど、原作に沿ったキャラ付けでともに闘う。 --反面、スネ夫は海底編ラストでようやく加わり、ボスのポセイドン撃破後は離脱してしまうので、参戦期間が非常に短い。ただし、離脱後に彼らしいエピソードが用意されている(後述)。 -シナリオは魔界・海底・地底・古代、各編ということもあって劇場版ゲストキャラもほぼ全員が登場している。 --美夜子・エル・バンホー・ククルといった味方の面々はもちろん、上記以外の劇場作でもボス敵には『パラレル西遊記』の金角・銀角、『鉄人兵団』のジュド。雑魚敵にいたっては『のび太の魔界大冒険』のとげむし・ギョロリン・デビルモンキー、『宇宙開拓史』のでんでんワニといったマイナーなチョイスまである。 ---まあ、''「ギブミー」「ナンカクレ!」「ナンモナイト」「アッカンベー」「トウセンボ」「ハイパーボロ」''などといった腰砕け的なネタ雑魚敵も多いが。因みに「ハイパーボロ」は見た目が「21エモン」のゴンスケそっくりである。 --古代では本作オリジナルキャラとして謎の少女テラが登場し、ストーリー上の重要人物になっているが、オリキャラとは言え他の劇場作キャラと比べて違和感も特になく、自然に物語に溶け込んでいる。 ---劇場版で作り出された3匹のペットは残念ながら登場しないが、装備品として「ペガサスの羽」「グリフォンの牙」「ドラゴンの角」が手に入る((グリフォンは頭部が鷲、つまり「嘴」なので「牙」というのは些か疑問だが。))。 -グラフィックの再現度は非常に高く、ファミコンの制限の中で最大限に「らしさ」を演出している。 --マップ上のチビキャラも雰囲気はよく出ているし、会話時に表示される大きめの顔アイコンはとてもレベルが高い。主人公含め何人かいるオリジナルキャラも、世界観によく溶け込んでいて違和感がない。 --ただし、なぜかドラえもんに限っては…(後述)。 ''システム面'' -難易度設定が非常に良い。難しくもなくヌルくもなく。王道RPGとしてとらえれば申し分ない。ひみつ道具を駆使して闘おう。 -フィールド上では「相談」コマンドによって、次の目的地を確認したりヒントを聞くことができる。このためRPGに不慣れでも詰まりにくい。 -BGMも非常に評価が高い。特に魔界編・地底編のフィールドBGMは本作屈指の名曲である。 **賛否両論点 #region(映画のネタバレあり) -原作で壮絶な最後を遂げファンを涙させた『海底鬼岩城』のバギーちゃんをタイムふろしきで直してあげる展開には多くのプレイヤーが歓喜した。 --ただ、豪華な建物の中に墓があるという英雄的扱いから一転、あっさり復活する上に会話なしで四次元ポケット送りになるため、「安易すぎ」「原作の感動をぶち壊しにした」という声もある。 #endregion **問題点 ''原作面'' -ドラえもんの素の防御力がやや高い、ジャイアンはHPと攻撃力が高いなど、それなりにキャラの性能分けは成されてはいるが、もっと個別にわかりやすく(特技等で)性能差を見せてくれてもよかったのかもしれない。 --内部的には「すばやさ」のパラメータも存在するのだが、ゲーム中では参照する方法がない。HP・攻撃力・防御力だけ表示されているため、「すばやい」キャラクターは、他の仲間よりも能力値が低いように見えてしまう。逆に「すばやさ以外が高い」ジャイアンは凄く強そうに見える((実際強いが、実は攻撃をよく外す。))。 -「特徴」の項でも触れられているが、ボス系の敵に攻撃系のひみつ道具がほぼ効かないのはドラえもんらしくないという意見もある。ドラえもんといえば数々のひみつ道具が魅力的なだけに非常に惜しい。 --ただし、回復や防御系の道具については多用することになる。 -スネ夫の参戦期間が非常に短いのでファンは要注意。ただし、離脱後に改造プラモ軍団を作ってくれるという彼らしいエピソードや、ジャイアンとともにラスボス戦に駆けつける等、決して影が薄いわけではない。また、仲間にならない出木杉にもちょっとした出番がある。 --出木杉は原作でも大長編にほとんど絡まないので、チョイ役の方が原作に忠実ではある。他の4人に比べスネ夫の見せ場が少ないのも同様。 -大長編ドラえもんシリーズ指折りの名作である『鉄人兵団』がストーリーに絡まない。 --上記のジュドや雑魚敵にロボット兵士が出てくるだけでイベントは特に無く、人気に反して扱いがややお粗末な感がある。 --特に「ドラデミー大賞」のゲストキャラクター賞に選ばれた程の人気を誇るゲストキャラ、リルルが登場しないのはファンには残念である。 //--しかし仮に鉄人兵団をシナリオに絡めたら、それこそ''『ギガゾンビの逆襲』なのにギガゾンビの代わりに鉄人兵団がラスボス勢力と化していた''、可能性も生じたであろう。 //--ついでにフィールドマップをどうするのかという問題もある。魔界編の舞台もオリジナル設定ではあるが。 ---とはいえ、鉄人兵団は本来、ゲーム中に出てくるボスキャラやギガゾンビ、それどころかラスボスすら差し置いて原作者に「''ドラえもんの映画史上最強''」と言わせたほどの強さを誇る敵勢力である(ちなみに、作者がそう発言したのは本作発売より後の1991年。日本誕生は1989年の作品)。彼らの尋常じゃない強さを認識していたからこそ本作のスタッフもシナリオには絡めなかったのかもしれない。 -なお、『宇宙小戦争』『大魔境』も全く絡んでいないが、これらは敵陣営の強さが微妙((筆箱よりも小さい宇宙人の『宇宙小戦争』はもとより、『大魔境』も原始的な武器を装備した犬(から進化した種族)の軍隊というもの。))という点からいたしかたないとも取れる。 -会話時に表示されるドラえもんの顔アイコンが妙に不自然。下手というわけではなく表情も豊富だが、漫画版ともアニメとも雰囲気の違う独特な表情ばかりで違和感がある。 --他のキャラクター達は原作のタッチがよく表れていて、むしろ評価点になる域。それだけに、肝心のドラえもんだけパチモン風なのが惜しまれる。 ''シナリオ面'' -単純にストーリーを追う一本道。寄り道もほとんどなく、進行における自由度はない。 --4人編成だがストーリーの都合上メンバーも固定、自由に編成できないので「のび太を外して、スネ夫としずかを連れていく」なんてことはできない。 //-会話が原作キャラのみで進んでいくため、主人公がほぼバトルマシーンとなっている。出てくるのはゲーム開始直後と、相談でドラえもんに尋ねる時くらい。 //ドラクエ型主人公と考えれば不自然ではない。むしろオリジナル主人公が原作キャラを食うほうが問題。また主人公はエンディングの会話シーンにも出てきて一言だけ喋る。 ''システム面'' -エンカウント率が高い。敵を倒しても数歩進んだだけで再度襲われやすく、運が悪いと1歩もあり得る。もっとも、この時代のRPGは大抵エンカウント率が高いのだが。 --一応、ひみつ道具の厄除けシールで弱い敵とのエンカウントを防げるが、機能するのは実質的に海底編のみ。 -パーティの先頭にいる主人公は、コマンド枠の関係上「防御」ができない((たたかう・にげる・ひみつ道具・普通の道具…の4つのコマンドで埋まってしまう。ドラクエ3で呪文が使えるキャラや勇者を先頭にした状態、といえばわかるだろう))。 --もっとも、主人公は攻撃力が高く、基本的に防御コマンドを使う場面がないのでほぼ気にはならないが…。 //-ゲームバランスは良好だが、シナリオを進行させ敵が強くなる→経験値をきっちり稼ぎつつ新しい町・ダンジョンを目指す→強力な装備品やひみつ道具を入手→戦闘がラクになる、の繰り返しによって作られたバランスなので、単純といえば単純(王道でもあるが)。 //「当時のRPGでは当たり前のこと」を問題点としてあげるのは疑問。これを問題点とするなら当時のRPGの大半の問題点となってしまう --装備品は基本的に購入できないので、町・ダンジョンで拾い損ねると難易度が跳ね上がる。一つや二つならそこまででもないが、いくつも続けて見落とすと辛い。特にひみつ道具の通用しないボス戦は泥仕合なので、装備品の有無がかなり響く。もっとも、宝箱のある民家は入った瞬間にそれと分かる構図になっているため、早々取り逃す事はないだろう。 --ひみつ道具も大部分は宝箱からの入手である。クリアした世界には戻れないこともあって取り逃しのダメージは大きい。 --一応補足すると、ファミコンやスーファミの絶頂期のRPGは、新しい町やダンジョンにおいて隅々まで情報収集や探索をするのが当たり前となっていた時代ではある。 -のび太の初期育成が面倒。魔界編の終了時にレベル1で加入するのだが、いきなり海底編への実戦投入を強いられる上、最強装備であっても雑魚敵に一撃でやられてしまう。しかし、のび太は固定メンバーなので育てないわけにもいかず、ある程度育つまでは敵に狙われないことを祈るしかない。 -装備品は強さが違うのみで特殊効果などの個性が無い((一応、攻撃時の効果音は武器ごとに異なる。))。キャラごとの装備適性もないので、射撃が得意なのび太に銃を持たせる等の工夫はできない。また、装備可能キャラの制限もないため、全員が全ての装備品を装備できる。 -不要な装備品などを買い取ってくれる店がない。 --四次元ポケットといえども所持数制限はあるので適宜捨てなければならない。 -ひみつ道具の効果や探索用・戦闘用の区分がゲーム中で説明されない。実際に使ってみないと分からない上、区分を間違うとドラ焼きの無駄使いに終わる。 --説明書にはきちんと全ての道具の効果が簡素ではあるが記載されている(しかも、どの時代で入手できるかまで書かれている)。 -魔界でダンジョンキーを取り忘れると、次の海底編でスネ夫が救出できなくなるため、詰む。 --入手条件自体は「特定の人物と会話」と特別厳しいこともなく、普通にプレイしていれば確実に入手しているのだが、本作の経験者やRPG慣れしているとスルーしてしまう可能性がある。 --…ところがこの場合、魔界編でダンジョンキーがないと取れないところにある、回復用の秘密道具として重要な「コンクフード」も取れてない事になる。~ さらに、コンクフードを取る為には「ひとつぼしのあくま」を倒す事が必須で、「ひとつぼしのあくま」を倒さないと「銀の玉」が手に入らない。強敵と名高い「ふたつぼしのあくま」と「みつぼしのあくま」を「銀の玉」で弱体化させるのがセオリーだが、銀の玉なしで倒す必要がでてくる((弱体化させない場合、勝つ為には主人公のレベルが20近くは必要。普通に進めてた場合はレベル11前後いってればいいほうである))。 つまり、コンクフードなしで海底編までいくのは逆に凄いこと(というか、半ばやりこみの領域)でもあるのだが…。 -前述の地底編の強ボス、ツチダママスターと戦う手前にドラミを呼んで回復&セーブできる場所があるのだが、明確なヒントがないため気付きにくい。 --ここでセーブせずにボスに負けた場合、非常に長いダンジョンの最初からやり直しになってしまう。 --1階と最上階に意味ありげなマーク((『アニマル惑星』で登場した「お守り」と同じ、Aに○印を加えたもの。))があるので、全くのノーヒントと言うわけではない。しかし、登場方法が唐突、お守りと分かる人が少ない、分かったところでドラミを呼べるとは思わない、''同じマークがある1階では呼べない''、と非常に意地悪な仕様になっている。 -古代編のキーアイテム「赤い薬草」は洞窟内の''開いた宝箱の横''にある。 --普通は調べないような位置、宝箱自体が複数ある、自分で開けた宝箱と見分けが付かない、ダンジョンの構造が複雑、といった悪条件が重なっているため、ヒントを忘れていると苦労する。 --ヒント自体は何度でも聞けるのだが、相談コマンドは「寒くて頭が回らない」という雑多な会話になる。こういう時に限って全く頼りにならない。 --取扱説明書では「この世界の洞窟にある宝箱はむやみに開けないほうがいいよ。大事なアイテムのある場所がわからなくなるからね」と警告してくれている。 //--ちなみに、海底編には「一度しか言わんぞ」と警告しつつ何度もヒントを教えてくれるキャラがいる。 **総評 エポックらしい丁寧に作られた良質なキャラゲー。難易度は高めだが、それらを補う原作愛に溢れる作品。~ ドラえもんファンには迷わず薦められるが、劇場版の後日談的な話になっているので、各映画を視てからのプレイをお勧めする。 **余談 -ドラえもん原作中における音痴の代表格はジャイアンであるが、実はドラえもんやのび太もジャイアンと同レベルの音痴という設定が存在する。しかし、本作でドラえもんやのび太にまじんのマイクを持たせて使用しても、敵にダメージは与えられない。ジャイアンがいる地底編で思う存分堪能しておこう。 --このまじんのマイク、ジャイアンが使用すると不協和音のBGMが流れて敵にダメージを与える演出である。一方他のキャラが使用すると''わざわざ正常な別verが流れる''(しかも上記の通り意味がない)と凝ったつくりになっている。 --なお繰り返し災害レベルの描写がされたのはジャイアンの歌だけなので、彼にしか使えないのも不自然というわけではない。なにしろ「ジャイアンの歌みたい」が騒音の比喩として成立してしまう、その本家本元なのだから。 -大長編版ではギガゾンビ(=山田博士)はタイムパトロールに逮捕されているのだが、どうやって再び悪事を働くようになったのか、またいつから娘がいるようになったのかについては全く触れられていない。 -攻略本には本作の漫画版が掲載…というよりむしろ''漫画版がメイン(全120ページ中、80ページが漫画)''となっており、原作ドラえもんも意識した内容になっている。作画は漫画版「ザ・ドラえもんズ」で知られる田中道明。 -ドラ焼き(金兼MP)は町でドラミから補充するのだが、倒した敵によって補充数が変わるため、終盤でひたすら戦闘してから補充すると「&bold(){おにいちゃんのだいすきなドラやきを28000こつくったからもっていって!」}とすごい数になったり、逆に''0こ''((数に限らずドラえもんの返事は必ず「ありがとう! ドラミ。」である。))にすることも可能。 --バッドエンドと共に本作の迷場面として有名。ドラ焼き補充と同時にHP回復・セーブが行われる仕様上、ゲーム開始直後にさっそく拝んだプレイヤーもいるのでは? --ドラ焼きの消費量は最安価の回復アイテム購入で5個、ひみつ道具によるHP回復で10個と多いため、ドラミからの補充数も早々にインフレを起こす((魔界編の町から町へ移動する過程でさえ、戦闘をきっちりこなすと数十個になる。次の海底編では簡単に百個を超えるレベル。))。ちなみに、膨大の数のドラ焼きをどうやって作っているかは不明。 -上記の他にも、ダンジョンの各ドアに話しかけた際の反応が複数ある((「・・。」と沈黙したり、「ドアにはなしかけないでよ!」と怒ったり、「おれはドアだ!もんくあっか!」と逆ギレしたり、「きをつけろよ。ポセイドンはつよいぞ!」と警告してくれたりする。))など、ちょっとした小ネタが用意されている。 -ドラえもんのゲームでオリジナル主人公が登場するのは、本作以降はGB版『[[ドラえもん きみとペットの物語]]』のみ。こちらの作品も本作のシステムをベースとしている。

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