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そうした複雑な事情が絡む中で発売された本作だが、その評価はというと……。 *特徴 システム面では『4』以前の形態を踏襲(『4』からは「みぬく」と「サイコ・ロック」を引き継いでおり、それぞれ王泥喜・成歩堂の特殊能力として使用)しているが、以下のような新要素がある。 -グラフィックが3DCG化 --これまでは『検事』シリーズ含めイラストの取り込みやドット絵による完全2Dグラフィックだったが、本作では『レイトン教授VS逆転裁判』のノウハウを生かし全て3DCGでの造形となった。登場人物はもちろん、背景グラフィックに至るまで全て3Dである。 --『レイトン教授VS逆転裁判』同様にカメラワークが多彩になり、演出で活用されているほか「調べる」コマンドで立体的に視点移動が行えるようになった。 --背景グラフィックの小物も動くようになった。風に揺られている旗など、動きが細かい。 --3D立体視対応。 -アニメーションムービーの搭載 --これもまた『レイトン教授VS逆転裁判』のノウハウを生かしたもの。作画は『レイトン教授VS逆転裁判』同様にボンズが担当している。ただし『レイトン教授VS逆転裁判』とは異なり、本作は原則としてキャラクターが3DCGで描かれていることから、アニメーションと3DCGとのイラストの差が顕著に表れてしまっている。 -ココロスコープ --新ヒロイン・希月心音の使う特殊能力。証人の「感情」を機械と心音の能力で読み取り、発言内容と矛盾した感情について指摘、対話によって整理することで新たな情報を引き出す。 -カンガエルート --これまでに出てきた情報をまとめ、整理するもの。複数の情報から正しい情報を選択してつなげていくことで、真実に結びつく。逆転検事シリーズの「ロジック」に近いシステム。 -探偵メモ --探偵パートで使用する。今まで行った行動やこれからとるべき行動をまとめたメモで、中断した時や詰まった時などでも次の行動がわかりやすくなった。 --但し、後述するように本作は難易度が大幅に易化しているため、実際に探偵メモを使用する機会は少ない。 -ヒント機能 --法廷パートの尋問で一定回数間違うと、「相談する」というコマンドが追加される。弁護席で隣に立っているパートナーと相談し、ヒントをもらう(場合によってはほとんど答えにたどり着く)ことができる。 -おまけモードの搭載 --背景のものを調べ、ある人物から出された問題を探し出しそれに回答するという内容の「クイズ逆転推理」が追加。プロローグのみ無料で、以降は有料DLCで配信。 --本編で見たアニメーションムービーはクリア後にギャラリーで確認できる。 -ダウンロードコンテンツへの対応 --機種の変化もあり、逆転シリーズとしては本作で初めてDLCに対応した(外部出演含めれば『レイトン教授VS逆転裁判』が先)。 --前述した「クイズ逆転推理」の他、本編でプレイヤーキャラの服装を変更できるもの(成歩堂は『3』以前に、王泥喜は私服に、心音はセーラー服になる)や、「特別編」と題した追加ストーリーが楽しめる。なお、本作のDLCは原則として有料である。 -ユーザーインターフェイスの大幅な改良 --未読スキップやバックログが搭載され一般的なADVに近くなった。また、証言の長さと現在見ているページが分かるようになった。 --セーブデータは二つまで作成可能。セーブ後もゲームを中断せずにそのまま続けられるようになった。 --チャプターセレクトの搭載。シナリオの1パートがチャプターごとに分けられ「はじめから」を選んだ際にさらに細かく途中から楽しめるようになる。 --証拠品・人物ファイルは1ページ5個と表示数が減ったが、説明文を表示したまま切り替えられるようになった。 ---- *評価点 **シナリオ面 -前述したように、かなり複雑な境遇にある本作はシナリオ面での危惧がかなり強かった。シリーズの特性上何より重視するべき部分であるためなおさらである。 //--確かに内容に関しては問題点の節でも詳細に指摘されているようにロジック・トリック・設定に推理ものとしては致命的といえる矛盾点が多いため『1』から『3』には及ばないとされながらも、『4』よりは良いという水準には達している。 //致命的な矛盾はその過去作でも十分確認されており、「逆裁シリーズはある程度のご都合主義、矛盾は許される」とも言える。ゆえに比較の基準として曖昧なのでCO --あまりにも不可解な破綻や説明不足は無く、トリックや伏線などは綺麗に纏まっている。 --特に好評なのが第3話と特別編。どちらも登場人物が強烈かつインパクトの強いセリフやシーンが多いため、やたら印象に残る(特に後者の真犯人の豹変はあまりにも衝撃的であり、事前情報なしだと成歩堂達共々驚愕すること間違いなし)。後者は有料DLCで値段も800円とかなりのものだが、ボリュームも多く、配信されてから約1か月間半額だったことや、特別編のシナリオへの評価が特に高いこともあり、強くは批判されていない。また、定期的に割引されることも多いため、強くは批判されていない。 --設定面で『4』で消化不良に終わった部分(「黒いサイコ・ロック」や牙琉響也の過去など)にある程度の補足や詳細な設定が加えられている。 ---『4』のネタバレに触れない程度に本作のシナリオを作り上げているため、本作単体でも楽しめる。 --過去作にまつわる話題や小ネタも意外と豊富。シリーズを通してのファンには嬉しい要素である。 -強烈な個性を持った登場人物 --主要人物・ゲストを問わずいずれも強烈なまでに個性的。 #region(長いので折り畳み。中程度のネタバレ含む) ---- -''成歩堂龍一が弁護士資格を再び獲得し、主人公として復帰''。 --一度主役を交代し、加えて『4』で人物像が大きく破壊されたということもあり復活に複雑な感情を抱くファンも多かったが、それでも逆転裁判の顔役として堂々の復活を遂げたことは評価したファンも多い。 --性格面では『3』以前と『4』の折衷(やや『4』に寄っている)といったところ。年を経てさらに部下を持って冷静な部分を見せつつも『3』以前の落ち着きがない部分もあり、底が知れない雰囲気になっている。これらは賛否が分かれる部分でもあるが、少なくとも明確に卑劣な行動をとることや堕落した部分はなくなっている。 --王泥喜および心音の師匠としても活躍。「ピンチのときほどふてぶてしく笑う」というお馴染みの信条もしっかり伝えてくれる。 -''前作『4』から主人公・王泥喜法介が引き続き登場。しかしただ登場しただけでは終わらない''。 --既に述べた成歩堂復活という点と『4』での扱いの悪さ、先立って公開されたロゴデザインと続報で一切触れられなかった事から本気でリストラを危惧したファンも多かった。 --いざ情報公開されてみると、今度はビジュアルが「&font(b){全身に包帯を巻き、鉢巻きのような長い眼帯で片目を隠し、今までの服装にさらにジャケットを袖を通さず羽織る}」というもので衝撃を与える。&font(b){スタッフから「ダークオドロキくん」と呼ばれ}、『4』で彼のデザインを担当した塗和也も衝撃を受け、さらに&font(b){能力が目と腕に関連したものなので「邪気眼」「波動拳でも出すのか?」「この歳になって発症か」などとネタにされた}。しかしシナリオ上、これらの服装すべてに重要な意味がある。 --彼もプレイヤーキャラとして使える。またパートナーとして後輩・心音にアドバイスや助け舟を出すなど、先輩としての風格も十分。 --『4』でほとんど触れられなかった過去の描写もわずかながら追加。親友の存在と彼の口癖「大丈夫ですっ!」についての設定が補足された。 --「熱い性格」の本領が発揮され、第1話では心音の友人を爆弾から庇って重傷を負い、第4話から最終話での葛藤や行動など、熱血漢の部分が押し出される。 --以上の扱いから、彼の評価は『4』から大きく向上。&font(b){「ようやく主人公になれた」「彼が主役の続編が見たい」という声も出てくるようになった}。それを指し示すように&font(b){公式の人気投票では成歩堂を抑え見事に1位を獲得}している。 -''新ヒロイン・希月心音も好評。'' --これまでのヒロインと違い、明確に弁護士資格を有しているため「共に戦える」キャラクターとしてより押し出されている。 --彼女を操作するパートやシナリオもあり、ヒロインと言うより上記二名と並ぶ「第3の主人公」という扱い。 --表情が多彩。下記のマイナスポイントが目立ってか人気投票こそ11位と意外にも振るわなかったが、表情のデフォルメが他二名と比べて激しく、特に怒りの表情や髪を梳かしながら照れる表情がかわいいと評判。 --性格面でも感情豊かな人物でありあまり嫌みがなく、また首から下げている機械「モニ太」が彼女の本音を勝手にしゃべってしまうというギャグ展開も多い。全体的にはあまり活かしきれていない設定であるが、それでもたまに不意討ちを繰り出してプレイヤーの腹筋を突いてくる。 --その反面他の2人に比べ弁護士として幼稚な発言や行動が非常に多いのだが… --彼女の過去や特殊能力「心理分析」がシナリオでもシステムでもしっかり絡んでくる。 ---なお、弁護士になった切っ掛け及び成歩堂と知り合った経緯などは、特別編で当人達が説明してくれる。 //彼女の人気はそれほどでもなく(公式人気投票で11位)、「顔芸がくどい」「モニ太の本音が死に設定」「過去の設定など不明な点・シナリオ内でも問題点あり」と賛否両論意見のため、ユガミ検事とまとめて「賛否両論点」行きでもよいのでは? -ライバル検事・夕神迅は明確に主人公たちに過去のつながりによる対抗心を抱いているわけではない(繋がりそのものはあるが初登場の時には明確にはふれられない)が、なかなかの強敵。 --「囚人検事」という矛盾した肩書。そして容姿や、「黙りなァ!」のボイス、&font(b){手刀で斬撃(本当に物が切れる。)を浴びせてくる}など、言動全体に漂う侍(浪人)のような雰囲気と不良っぽさが印象に残る。&font(b){自分が斬られる}ダメージモーションもインパクトは十分。 --「囚人」という身分上現場には出てこれないが、職務には自由奔放、死刑囚でありながら級長は緩やかでも心理的に暗い部分を出す事が少ないキャラ。牙琉と違い主人公にヒントを出すことも少なく、法廷の戦術的にもしっかり攻撃を仕掛けてくる。加えて、敗北した時も潔い態度を見せるなど、心音とは対照的な心静かなのキャラと言えるだろう。 --その反面、成歩堂世代の検事が見せた「有罪をかち取ろうと最後まで諦めずあがいてみせる」と言うシーンは皆無であり、職務に対して不真面目で主張に理屈が通らないためシナリオ的にはともかく、難易度的は居る意味があるのかわからないクラスで、また成歩堂世代の検事達が見せていた責任感が皆無である為に「大人」と言うよりも「やさぐれたニート」みたいな面もあるのだが、そういう雰囲気を利用した心象心理が秀逸で今までの検事達と違う変わった味を出している。加えて、上記の敗北時の態度もあって、彼らが見せることもあった敗北時の見苦しさ・往生際の悪さともほとんど縁がない。敗北時の腹いせも一切無いため、職務に不真面目な点もそこまでマイナスポイントにはなっていない。 -刑事役・番轟三も味がある人物。 --常に「正義」を掲げており、これまた職務に忠実。また夕神は更生できると常に叫び続けている、様々な意味で暑苦しい男。 --事件が起きると、すぐ駆けつけ依頼人を手早く逮捕してしまうが、その後当然行われるであろう捜査や検査をしていないなど捜査官として職務怠慢な点が多く、夕神を狼狽えさせる。 --また、「正義」という言葉に強い執着を持っているため心音の口車に乗り情報を渡してしまうこともしばしば。 --その一方で暴走した夕神を電気ショックなどで制止するなど刑事として無能というわけではない。 --個性的で笑いと正義に溢れたキャラクター像が人気を博し、人気投票でまさかの5位という大健闘を果たした。 --しかし、諸事情(ネタバレ回避のため詳細は伏せる)から続編以降の作品への登場が絶望的であり、なまじキャラクターが好評なのも相まって「ほぼ同じ性格の親族を出して欲しい」といった意見も多い。 -『4』からみぬきと牙琉響也が引き続き登場。 --響也は第3話限りのゲストで検事として実際に法廷で戦う場面はないが、本作でのネタ扱いと過去の設定は好評である(その一方、「やっぱりライバルには向いてない」と思うファンも増えたとか)。その一方でオマケコンテンツで王泥喜を弄り倒したり彼の何気ない一言に過剰反応したりと、王泥喜に対して多少なりとも『4』での出来事を引きずっている節が見られる。 --みぬきもシナリオに関わる機会が大幅に減り実質脇役になったものの、終盤ではある事件に巻き込まれ緊迫した状況を作り上げる。更にはマジシャンの鑑ともいえる行動も見せており、彼女も精神的に成長していることが実感できる。 -''成歩堂の永遠のライバルにして『検事』シリーズ主人公・御剣怜侍が再登場''。 --検事局長に出世したという設定になっており、デザインもメガネをかけるようになったなど細かくリニューアル。(服装が全然違うので気持ち程度ではあるが)『1』『検事2』に登場した彼の父に似た容姿となっている。 --シナリオでは『4』以降の成歩堂の扱いなどをある程度補足している。さらに終盤では自ら法廷に立ち、久しぶりに成歩堂とのライバル対決を実現する。 -『3』以前の作品から綾里春美が登場。17歳に成長しており、現在でも綾里家との交流が続いていることを確認させてくれる。出番は少ないものの特別編で重要な役回りを演じてくれる。 --姿は直接登場しないが、真宵も健在であることを示す描写が入り、ファンを喜ばせた。 ---その後真宵は悲願を達成した茜共々『6』で登場した。 -そしてシリーズの例にもれず、サブキャラも強烈。 --特に第2話の真犯人、第3話の証人・真犯人や第4話の証人などがモーション・性格ともに個性的で、あらゆる意味でインパクトが強い。 ---第2話の真犯人は、第3話の真犯人には及ばないが中々に濃いキャラをしており、化けの皮を自分で洗い流してしまうブレイクモーションは必見。また、犯行に至る背景と動機がお粗末過ぎる一方で、犯行その物は相当に計画的なので相対的に空恐ろしさを感じる。 ---第3話の真犯人は「こっちの方がラスボスに相応しかった」と評されるほどの悪党であった一方、本作でも突き抜けたキャラの濃さや''黒板芸''を筆頭とした数々のギャグ演出が非常に好評であり、極め付けに「''うごくねつぞう''」なんて渾名が付いたりと今や本作における敵役の代表格として認識されている。ブレイクモーションも''要所要所で傍聴席から投石されたり、チョーク粉が舞ってホワイトアウトしたり''と、爽快感抜群かつ爆笑不可避。 ---第3話のある証人は中々に衝撃的な秘密を抱えており、流石にそれはないだろうと思っていた裁判長やユガミ達の予測を完全に覆してくれる。秘密を明かした後のモーションもやたらと必死さが滲み出ており、時に雄叫びを上げたり時にガラス製らしきハイヒールを眺めて目を輝かせたりと、色んな意味で忙しい。 --中にはスリをしでかしたり、法廷で偽証したりと問題行動をとる人物もいるが、全員ある程度理由が解説されたりギャグ面が強い人物だったりするので、どことなく憎めないのがほとんど。 --依頼人は全員これと言った重犯罪に手を染めることはなく、性格も常識的な人物が多い。 ---それどころか特別編では遂にシリーズ初の''人外の依頼人''が登場。作中でも前代未聞と明言されている。 ---- #endregion **システム面での改善や扱い -新システム・過去作から受け継いだシステム共にかなり気を使った調整がされている。 --『4』で言いがかりだと強い批判を受けた「みぬく」だが、第2話の法廷では検事に「インチキ」扱いされ妨害されてしまう。当然と言えば当然だが。 ---このため法廷パートでは事実上封印状態で、「みぬく」の出番は探偵パートに移行する((5話とボイスドラマでは法廷パートでも使用している))。 ---ちなみに「みぬく」はボイスドラマでも使われていたが、こちらでは証人のくせを見た主人公たちが相談し、現場の状況と証言を合わせて不自然な部分に強いゆさぶりをかけるという説得力のあるものになっている。 ---5話目のみぬくも、あらかじめ許可を得た上で(言いがからずに)癖から推理して証拠品の隠された機能を暴くといった使い方を見せている。((そもそも、みぬくが言いがかり扱いされやすいのは王泥喜の言い方がストレート過ぎるのも原因である。)) --「ココロスコープ」も事前のシステム説明から「またみぬくの再来か」と批判を受けたが、作中では言いがかりにならないようある程度配慮されている。 ---基本的に弁護側の証人に対して行う。検察側の証人に対しても行うことがあるが、いずれも事前に裁判長に対して「証人を落ち着かせるため、カウンセリングを行う」と説明を入れる。 ---「みぬく」と違い作中の科学である程度実証されており、機械を使った分析になっているので説得力は強まっている。心音の問い詰め方もあまり強くはない(もちろん、そもそも感情を元に証言を引き出してよいのかという疑問は残る)。 --カンガエルートの搭載で、事件の流れがわかりやすくなった。 ---過去作も「情報を整理する」という展開はあったが、本作はプレイヤーが選択肢でそれを行う形になるためより順を追って情報をまとめやすくなった。 --前作までは離れた場所に行くためには決められた場所を経由する必要があったが、今作では一発で移動できるようになっている。 --逆転シリーズはこれまで細かいオプションが設定できず、再プレイにやや不便な部分も多いシリーズ作品であったが、前述したようにUIの改良がおこなわれており、現在のアドベンチャーゲームとしてはある程度整った形態となった。 -グラフィックの出来もよい。 --3Dに変わったことで背景の細かい動きが表現されるようになった他、人物の造形なども秀逸。遠目に見ると2Dイラストと錯覚するほどの完成度で、2Dと3Dの造形の中間をうまく抑えた出来になっている。 ---実際に、3Dモデルでありながら、2D的表現が不自然にならないよう(パッと見では分からないよう)上手く使われている。 ---例:ポンコちゃんが怒って腕をメチャクチャに振り上げるシーンで、腕が何本か増えて振り回している感を演出している。(静止画で見ないと増えていることに気付きづらい) --立体視に対応していることもあり、見栄えはよい。 --モーションも出来がよく、真犯人のブレイクモーションは3Dであることを生かしたカメラワークやギミックも存分に使われており全体的に派手。 **BGM -BGMは『3』および『検事』シリーズで作曲を担当した岩垂徳行が担当。ハードの移行もあってストリーミング再生に変更され音質が大幅に向上している。 --曲数は既存のアレンジ、アニメパートで流れる短い曲や特別編の追加曲を含めシリーズ最多の67曲に上る。 --特に好評なのが王泥喜の「異議あり!」に相当する「新章開廷!」のアレンジ。法廷パートのアレンジはオーケストラアレンジ版が元となっており、探偵パートではまた別のアレンジが使われている。 --他には「追求 ~追いつめまくれ」も好評。これまでの追求とは雰囲気が異なるが、使われる場面も多く何度も聞くと好きになってくるスルメ曲という評価が強い。 --サウンドトラックでは曲の最後に独自の終結部が追加されている。『4』や『検事』では未収録だった追求のバリエーションや、ボーナストラックとしてPVで使われていた追求のアレンジも収録。 ---- *賛否両論点 **システム -ココロスコープについても配慮はされてはいるが前作の「みぬく」と同じような批判がある。 --感情云々を裁判に用いることが認められているという話もないのに、使用することがまかり通っているのはおかしい。 --また、あまり問い詰めないようにといっても「ある感情を持った人間にその理由を聞く」「感情を持っていることを前提に証人を追い詰める」といった行為は明らかに証人を威圧するものである。 ---作中での「証人を落ち着かせるためのカウンセリング」という扱いに矛盾している。 --また、「喜び・悲しみ・怒り・驚き」のたった四種類でどこに対しての感情なのかわからない状態であるせいか、ココロスコープを使わずに、普通のゆさぶりで充分な場面が多い。 ---それなのに、検察側がココロスコープについて異議を唱えないうえに説明も求めない。それどころかココロスコープで判明した証人の感情(それを裏付ける物的証拠はない)がそのままひとつの反証として受け止められ、それを前提に審理が進んでいく。 //一応消さないけど、これ問題点とか言うほどでもないと思うので賛否に移行 --こうした正当性の是非を抜きにしても、推理要素抜きにストーリーが進んでしまう本システムを受け入れられないプレイヤーも少なくはない。 -「みぬくはインチキだから法廷では使えない」と前作の不評を踏まえた仕様にしたのに、(理由があるとは言え)最終話の法廷で結局使用する。ただし、上記の様に法廷で使用したケースは事前に許可をもらってから使用している。 //上記で書かれている通り、不正行為というほどの使われ方はされていないのでコメントアウト。 //ここの展開が不評なのは確かなので文面変えて復帰 **BGM -今までは証言・尋問の中盤から終盤で用いられていた「尋問 ~アレグロ」は流れる場面が極端に少なくなり、2日目の終盤ぐらいでしか使われない。第4話に至っては前編ということもあってか一度も流れず、盛り上がりに欠ける。 --流れる場面がほぼ真犯人の尋問に限定されている割には、『検事』シリーズの「対決 ~プレスト」のような盛り上がりが今一つという意見も見られた。 --尋問のBGMはこれまでの『裁判』シリーズ同様、アレグロまで。「プレスト」は本作にはない。 -法廷パートのクライマックスに近づいた時に流れる「真実は告げる」も、本作では追求が流れる回数が多い分少なくなっている。役割が逆では。 --曲自体の出来はいいのに、使い方が下手という意味では『4』の追求に通じるものがある。ちなみに『4』は逆に「真実は告げる」の流れる機会が多かった。 -さらに最も指摘されているのが「追求」で、劇中ことある毎にひっきりなしに流れるため、本来盛り上げる役割を果たすはずなのにその役割をあまり果たせていない。前作の「流れなさ過ぎ」という批判を受けて回数を増やしたのだろうが、今度は「多すぎる」と言われることに。 **ボイス -逆転シリーズでは「異議あり!」などの声を社員が当てるのが定番だったが、&font(b){本作のキャラクターの音声はプロの声優が担当した}。 --本作ではアニメーションの追加などで、「異議あり!」のような短いシステムボイスだけでなく長いセリフを当てる必要が出てきたことと、録音環境の向上やハードのスペック向上などで高音質のボイスを入れられるようになったことなどからスタッフの声では無理があると判断されたものだと思われる。 ---たとえば『4』以前の成歩堂役の巧舟の声は『レイトン教授VS逆転裁判』のおまけ要素として導入が予定(没になったが)されており、イベントで新緑版が配布されたのだが、その音声を聞くとゲーム版とは大きく印象が異なって聞こえる。このことを考えると、本作で無理にスタッフを使わなかったことは一概に否定できる要素ではない。 -しかし、声優の選出自体にも賛否が分かれている。 --成歩堂の演技について、本作の声優は『4』以前のPVやTGS特別法廷でも成歩堂を担当していた近藤孝行なのだが、本作では演技の雰囲気が以前から大きく変わったどことなく落ち着いた(あるいはスカしたような)雰囲気で「違和感がある」という批判が強い。しかし声質は『4』以前の巧に近く、演技も前述通り成歩堂の人物像が変化しており『3』からかなり年月が経った設定であることから受け入れたファンも多い。また『レイトン教授VS』の成宮寛貴が滑舌が悪く棒読みだと批判が強かったこともあり、近藤に声優が戻ったこと自体を評価されていることもある。 --御剣もまたこれまでのPV同様に竹本英史が演じているが、初期PVに比べどことなく粘着質でくどい喋り方になっており批判が強い。この批判については『検事2』のドラマCDのころから存在する。また「異議あり」の音声もこれまでゲームで声を担当していた岩元辰郎の声質とは大きく異なっている。 --その一方で王泥喜を担当したKENN、夕神を担当した咲野俊介、番轟三を担当した佐藤美一についてははまり役と好評である。 **シナリオ面 -先述の通り、本作はこれまでシリーズの脚本を担当していたシナリオライターが降板している。 --それゆえ『4』以前(もしくは『3』以前)と比較して扱われることも多く、特に独特のセリフ回し(いわゆるタクシュー節)がなりを潜めてしまった点を惜しむ声も少なくはない。 //--また、本作は過去作品の設定を使っている場面が少なく、完全オリジナル作といわれてもおかしくない出来となってしまっており、シリーズファンにはあまり楽しめない仕様となってしまっている。 //悪意しかない文章なので、CO。個人の主観をファンの総意のように記載するのは、いかがなのものか。明確な根拠があるなら示してください。 -ミステリーよりもギャグに走りすぎていて鼻につく部分がある。 --レベルの上がったギャグネタのせいで法廷がコントと化していて、面白いとの意見がある一方、真剣に事件を解こうとしている人にとっては後述の推理もののお約束を守っていない点などで「寒い」「茶化されている」と、賛否両論な状態になってしまっている。 //--''法廷に持ち込んだ武器で証人・弁護人・裁判長を攻撃する検事''といった現実ではあり得ない要素はシリーズ初期から数え切れないほどあったため、法廷のコント化ぐらいなら気にしないプレイヤーもいるのだが。 //---問題なのは「トリックやロジックなどもコント化して難易度が低下している」点。「ミステリーの中にギャグがある」今までの逆転裁判シリーズと違い、本作は「ギャグの中にギャグしかない」内容で、そのシナリオの質は誇張抜きに中学生の学芸会レベルでしかない。一見面白くても、その内容をよく見ると終始破綻したまま突き進んでしまっているのが一目で分かる。この点については問題点の項で詳しく記述する。 //逆転裁判スレでの意見を受け、CO。 --しばしばキャラクターの印象付けが強すぎると言われる。 ---強烈なキャラクターはシリーズの魅力であるものの、今作はそれが少々行き過ぎていると感じるプレイヤーも多い。特に第3話の登場人物に顕著。 ---元々、本シリーズは続編を重ねるにつれて登場人物の色物具合が強まっている傾向にあり、本作は行きつくところまで来てしまったとも言える。 //--逆に、新ヒロインの心音は「本人が隠し事をしてもモニ太(首にぶら下げているコンピュータ)が本音を喋ってしまう」という設定があるものの、''心音自体が素直で隠し事をしない性格なので''、一章以外ではほぼ空気設定になってしまっている。 -一つのシナリオとしては大きな破綻はなく及第点にまとまっているものの、伏線など全く用意せずにその場しのぎで話を進めている場面もあり、事件の統合性、描写などロジック面に致命的な欠陥も散見される。 --ただし、こうした致命的な矛盾自体はシリーズ全体を通して毎回何かしら指摘されており、逆転裁判ユーザーの中にはむしろ整合性よりも、ゲーム展開やケレン味のあるトリックを重視する層も少なくはない。 --一方で、後述する難易度の低さ、シナリオライターの降板もあいまって過去作では気にならなかったシナリオの難点が目についてしまう層も存在する。 ---''本作のシナリオにおけるマイナス要因がゲームの楽しみを妨げるかどうかは、プレイヤーの個人差に依る部分もある事を特記しておく。'' //#region(主な批判点。ネタバレ注意) //-第1話でメインの導入部分を作っておきながら、シナリオの本筋にかかわる部分は第4話からの始動となり、全体の展開が遅く感じる。なお、第4話と第5話は繋がった事件であるため、実質的には4つの事件が収録されていることになる(特別編を入れて5つ)。 //-第4話と最終話は事実上一つの話としてつながった構成になっており、最終話の法廷パート・探偵パートはともに少ない(一つの話として見れば、法廷パート3回・探偵パート2回と歴代の最終話と遜色ないボリュームではある)。~ //特別編を除くと実質全4話といえる構成であり、本編のボリュームは目減りした感じがある。 //--第1話はシリーズでは唯一2日目の法廷パートがあるが、ボリューム自体はこれまでとそれほど変わらない。 //--『1(蘇る逆転)』では序審法廷制度の最終日となる3日目まで法廷パートが持ち越されることもあったが、本作は『4』までと同様最大2日目まで。 //---スタッフは歴代でもボリュームが多いことを売りにしていたが、本編はあえて強調する程ボリュームがあるわけではない。DLCやおまけを含めれば確かに最大ではあるが。 //主観が多い上にあっさり反証を挙げられてる内容ばっかりなのでCO。何れにせよ言いがかりめいた物を感じる。 //-シナリオが進むにつれ、彼女が18歳という若さで弁護士になろうとする「一刻を争う動機」は明らかになったのだが、本当に「一刻を争う動機」にもかかわらず彼女は何の行動もしていない、どういうことなのだろうか? **設定について -PV等でも触れられているように本作では「法の暗黒時代」というキーワードが物語の主題として登場するが、本筋に活かせているとはいいがたい。 --要するに、証拠品の捏造や証言の強要が横行しているということを指すのだが、初期の御剣が天才検事として有名だったり、狩魔が伝説の検事と呼ばれていたことを考えれば、特に''今に始まった話ではない''。 #region(暗黒時代とシナリオとの関連) ---- -簡単に解説すると、「『4』の成歩堂追放事件とその一年後の事件が原因で法曹界への不信感は強まり、以降の法廷は捏造や隠蔽など手段を選ばない戦術が飛び交い、教育機関もそのような法曹を育成するようになり、ますます法への不信感が強まるという悪循環」という状態である。 --成歩堂たち主人公が取る行動はこの「きっかけとなった事件の解決」であり、暗黒時代そのものに立ち向かうわけではない。 -真犯人はいずれも極悪人かつ巧妙な手段で罪を逃れようとするが、特に「暗黒時代」という点を生かす人物は少ない。そういう意味では『4』のラスボスなどの方がまだ活かしていると言える。 --また、検事も暗黒時代に順応しているとはいえず、本作で明確にそういった様子を見せるのは第1話の亜内検事のみ。他の検事はむしろ対抗し、打開しようと動く者たちだけである。御剣の部下と言う都合上、あまりそちらに向けた人物を検事にすることはできなかったのかもしれないが。 -シナリオ上「暗黒時代」の影響が出てくるのは実質第3話のみ。それも一部の人物の心情などにそれが見えるというだけで、シナリオやゲーム的にはこれといって大きな影響はない。 //-後付けだから仕方ないとはいえ、前作では影も形も無かったのでポッと出感が強い。「暗黒時代」とスケール感はあるだけに尚更。 //--また前作では、「シリーズの根幹部分を形作っていた要素である序審法廷制度((当シリーズに登場する架空の制度。増加する犯罪に対抗するため、裁判を集中して3日で終わらせるというもの。もちろん本作でも扱われているが、前作では「法廷は証拠がすべてで、たとえ「誰が見ても明らか」であっても、明確な証拠を持って真犯人を告発できなければ被告人の無罪を勝ち取ることができない」という点が問題にされており、そのための対策として裁判員制度を取り入れたことになっている。))を問題視し、メスを入れ崩す」というある意味ゲーム世界をひっくり返すストーリーを作った上で、新制度を取り入れ法の新時代を迎えるような流れがあったのに、それが一切考慮されていない(それで前作のストーリーが破綻していたのはともかく)。 //--公式コンプリートガイドでは「『4』の時に「暗黒時代」という言葉は出ていたが、具体的に何なのか示すようなことはされてなかった」としている。しかし、『4』で言う「暗黒時代」は前述の序審法廷制度の問題だと考えられるのだが…。 -そもそも、&font(b){本作の「暗黒時代」がそんな大層な物には見えない}。 --設定上、暗黒時代の開始は『3』の一年後ということになるが、逆転シリーズはそれ以前の時系列でも、強い権力を持ち証拠の隠蔽や捏造を図って主人公を苦しめ、多くの人々を不幸にしてきた大スケールの悪役が多数いる。彼らを差し置いて「暗黒時代」と言われても…。 --尤も、「一部の権力を持った者たちの腐敗と暴挙」よりも「権力の有無に関係なくそのような蛮行がまかり通っている時代」という意味では確実に暗黒時代と言えるが、前述したように本作の検事・弁護士・犯人はほとんどその時代に応じた動きをしているようには感じられない。 --さらに根本的なことを言えば、冤罪・捏造の横行は初代逆転裁判の時点でシナリオの根幹として存在しているので今更感が強い。 ---一応大雑把に説明しておくと、その頃における法曹界は「&font(b){刑事裁判において無罪判決はまず出ない(冤罪上等)}」「&font(b){法曹関係の官僚の大半が一つの企業にほぼ完全に支配されていた}」「&font(b){そもそもその官僚の多くが犯罪に関与}」といった状態。『5』で語られる暗黒時代よりよっぽど酷いような。 ---そもそも、「弁護士が捏造」「検事が殺人」という事件も今に始まった話ではなく過去作『1』の4話での弁護士・検事はこれ以上に悪質なことをしていた。 ---そしてそれらは既に解決済みである上、現在の検察のトップはあの御剣である。 -ファンに衝撃を与えたであろう「爆破され崩壊する法廷」だが、実は暗黒時代そのものとはあまり関係ない。文字通り、ただ爆発に巻き込まれて法廷が破壊されただけである(テロで法廷が狙われた等ではない)。 --これについては公式コンプリートガイドで「「法の崩壊」「暗黒時代」と言われても絵的にわかりづらいので、暗黒時代とは別に法廷の物理的な崩壊を描いた」という旨の発言があるが、暗黒時代と直接つながらないためかなりモヤモヤした雰囲気になってしまっている。 --「法廷崩壊」という大げさなキャッチコピーの割に、壊れる法廷は一つだけ。要は建物の一角のみ。 -このように”法廷崩壊””法の暗黒時代”などのキャッチフレーズに中身が名前負けしてしまった原因は、当初作られたストーリーがボツになってしまったために、ストーリーの枠組みが決まらないうちから人の目を引くインパクトのあるキャッチフレーズを決めてしまい、とにかく、インパクトのみに追求した話になってしまった事が、ファミ通のインタビューから推測される。 ---- #endregion **キャラクターについて -本作で復活を遂げた主人公、成歩堂龍一のキャラクター性には賛否がある。 --断りを入れておくと、主人公として復活を果たした点については高く評価されている。 --先述の通り、本作では部下を見守る上司としての側面が強調され、続く『6』でもこのキャラ付けとなっている。しかし裏を返すと「『3』以前の(いい意味で)ドジで未熟な面」が薄まってしまったとも言える。 --このため、過去作のファンの中には「『4』以降のナルホドくんは受け入れられない」という者も。 --尤も、本シリーズは初期三部作で彼の成長を描き切ってしまっているため、シリーズ展開が続いたことによる避けられない弊害でもある。 -キャラクターの描写に支離滅裂なところが多く、作中世界でも罪に問われると描写されている行動をしておきながら、処罰どころか反省すらしていないケースやコロコロ立場が変わるキャラクターがとても多い。これは『4』でも批判されていた。(サブキャラだけではなく、主要キャラも) --全編を通じて&font(b){特に理由もないのに何度も偽証をする}証人たち、第2話にて警官に職務質問をされた際の心音の行動や捜査中はもちろんのこと法廷中ですら平然と窃盗を行う証人、特別編の真犯人に対する処罰等がその筆頭。 -証言台に立つ証人たちも自分たちの証言に責任を持つ者など1人もいない。 --本作品では本当に私利私欲な理由や、ただの思い込みで被告人を陥れようとしている証言ばかりである。過去作品であれば当人としては正直に話していて、見間違いや錯覚などで勘違いをしている証言を弁護士が指摘するのが普通だった。 --また、第2話の真犯人の動機や、夢遊病の娘を奉公させる父親、第3話の親友だと言っている被告人を自分勝手な偽証で陥れる友人キャラなど完全なる意味不明で矛盾している行動をとるものが多い。(小学校の給食費泥棒レベルならまだ話はわかるのだが…) ---第3話は被告人も被告人で、親友のココネが必死に弁護してくれているにも関わらず、ココネとは別の友人の犯罪を隠蔽するために偽証している。被告人の偽証は罪に問われるものではなく、友人の犯罪も実は誤解なのだが、問題は被告人も友人たちも法曹関係者を志望していること(友人たちの方は、当初は法曹を針路から除外しており、それが関係していた可能性はある)。 --また、彼ら全員、他人に迷惑をかけようが、&font(b){自分勝手な行動の結果で人が死のうが自分が大切だと言っている人が苦しもうが}自分や他人が犯してしまった罪に対して一切反省しようともさせようともしていない、それどころかむしろ正当化しようとしている。さらに誰もそのことについて責めたりはしない。 --特に最終話の法廷を開かせた人間と特別編及び最終話の犯人は結果的に被害も大きくとても許しておけない罪を犯している。 --注意しておくが、彼らの行動の中で情状酌量の余地のあるものなど1つもないものが多い。 ---そのためか人によってはなかなか感情移入しにくい面もある。 -検事キャラクターであるユガミは、ギャグを受け入れられないプレイヤーからはかなり批判されている。 --法廷での彼の態度に必死さは全く無く、ただ淡々と法廷を進め都合が悪くなれば裁判長を脅迫するやり方である。唯一の長所である「心理操作」も&font(b){プレイヤーがなんら対応策をとらずとも勝手にオドロキ達が論破してしまう為にプレイヤーは何もする必要は無い}。ボタン連打してしまえば勝手に裁判が進んでしまうためにプレイヤーからしてみれば&font(b){強敵であるはずなのに戦い自体が無いという無意味な結果に終わってしまっている。} --アクションこそあるものの、負けるとわかったら簡単に手のひらを返して最後までふてぶてしい態度を続ける姿は爽快感の欠片も生み出さない。そもそもこの男は成歩堂世代の検事に見せた「被告人を有罪にするために証人を守ろう」と言う態度が一切ない為、プレイヤーからは本当に敵なのか?と思わせてしまっている。そして、あらゆる意味で敵ではない。 --また、この男は誰も人を殺していないが、数々の問題行動を起こして何人もの人を苦しめている。また、間接的とはいえ自分の個人的な目的の為に無関係の人を十数人見殺しにするに等しい行動を取っている。 ---その問題行動の数々に対して、反省する事も無く、誰もフォローをせずに最後まで善人扱いしている。スタッフはこの男のした事についての設定をまじめに考えていたのだろうか? #region(ユガミの問題行動(ネタバレ多く含む)) -7年前の事件において、とある少女が母親を殺してしまった殺人の罪をかばうために自分が犯人だと偽りの自白をして囚人となる。 --これだけを聞いていれば、単なる心優しいキャラであるが、問題はこの男は検事でありながら現場を全く調べようともせず、少女の話も詳しく聞かず、調査不足の段階で現場に細工をして無理矢理自分に罪を着せようとしたというところだ。 --少女が犯人だというのはユガミが現場の状況からそう思い込んだだけであり、真犯人は別にいる。つまりユガミの早とちりな行動により真犯人が野放しにされたことになる。 ---ちなみにこの時点で、真犯人は数多くの手がかりを残しており、ちゃんと調べてさえいれば真犯人を捕まえられるかどうかはともかく少女が犯人ではないと言う事は簡単に証明できる状況であった。 ---さらに、当時起こった事件は殺人だけではなく、同じ施設内で殺人と爆破事件が別々に起こっていた。爆破事件についても、ユガミが殺人を自首したことで同一犯だと看做され捜査が不十分なままに終わってしまっている。百歩譲って殺人の罪を被るのには目を瞑るとしても、幼い少女にはできるはずのない爆破については「自分ではない」と主張しなかった理由がわからない。(強いて言うのであれば爆破犯を調査することによって、何らかの拍子または偶然で、殺人の罪を被ったことを知られてしまうのを防ぐためという見方もできるが、いくらなんでもそこまですると狂人としか言いようがない、爆破犯が調子に乗って爆弾によって何百人も殺す事件を起こしたらどうするつもりだったんだろうか?) ---しかもその真犯人は少なくともその7年後に一人のとある青年を殺している。その青年の上司は「爆破犯であるはずのユガミが捕まっているから警備が強化しようにも許可されずに本物の爆破犯にむざむざ殺されてしまった」という発言をしている。つまりこの男の理解不能な早とちりの独断専行が100%の原因で人一人は殺されてしまったということである。 ---そもそも被害者はある犯罪者について調べており、命を狙われる理由があった。ユガミもそのことを知っており、被害者の死後にその調査結果が奪われないよう隠している。件の犯罪者が真犯人である可能性に思い至らなかった訳ではないようなのだが…? ---さらにこの調査結果を隠している行為すら、結果的に真犯人につながる証拠を隠し続けるということで真犯人を喜ばせる結果となった。 --これらの行為について、作中では何らフォローを入れておらず、本人の自白と細工で起きた冤罪にもかかわらず、不当に冤罪を受けたとして御剣に謝らせたりしている。 --このあまりにも不可思議な行為の動機について作中では「師匠である被害者の娘を守るための忠義」としてあるが、それならばそれできちんと現場を調べてから罪を被るべきだろう。現場をろくに調べもせず、勝手に細工をするなど検事として言語道断。 --また、少女は真犯人を目撃しており法廷で証言したのだが、ユガミの自白がある状況なので取り合ってもらえず「自分の言っていることは信じてもらえない」と非常に傷ついている。その辺のフォローはまったくされていない。 --7年後の裁判では自身の(偽りの)動機について、「師匠に虐待されていた娘を救おうとした」などという残酷な嘘を堂々と話している。少女の無罪のためなら師匠の名誉を傷付けてもいいという姿勢からは「忠義」は感じられない。 --結論から言うと、もしもこの時ユガミが検事としてちゃんとした捜査をしていれば7年後に事件が起きることも少女が苦しむこともなかったはずである。真犯人は捕まえられるかどうかはともかくとしてこの時点での行為ですら見逃せる範疇にない。 -こうして異例の囚人検事として検事席に立つこととなる。 --検事局長である御剣のお陰なのだが、此処までの問題をしでかした人間を法廷に立たせる理由などは一切明かされない。一応、「法曹界の暗黒時代を終わらせる為」といってはいるもののその法曹界の暗黒時代を生み出した人間に頼るなど手段と目的が180度違う、&font(b){放火魔に火を消してくれといっているようなものだ。} -そして囚人になってから7年後、また無茶苦茶なことをやりだす。 --弟の無実を信じるユガミの姉が、前述の少女を被告として7年前の事件の再審を要求し、そのために12人もの人質を取って立てこもり事件を起こす。「弟の無実を証明できれば人質を解放する」、つまりできなければ人質を殺害するという要求である(実際、バッドエンドでは「行方不明」とぼかした形ではあるが人質の死亡が示唆される)。この点に関してはユガミも想定外だったらしく、彼女を擁護している。 ---この様な状況で起こされた裁判など、後から無効を訴え出ればまず認められるだろう状況なのだが…。 --裁判が進み、被告人が有罪となるその直前になってユガミが行動を起こす。証人として無理矢理入り込んで自分を有罪にしようとし始めたのだ。 ---前述の通り、この裁判は立てこもり犯の要求によって起きた裁判であり、その裁判の結果によっては12人もの人質の命が左右されてしまうのである。 ---つまりこの裁判で自分が有罪になることを望むということは、人質たちを皆殺しにされても構わないということである。 ---何故か姉を説得しようとはしない。そもそも姉が凶行に走ったのもユガミが元凶なのだが何とも思わないのだろうか。 --結局その裁判で真犯人が暴かれ、被告人も彼も無罪ということで落ち着いたが、この男が自分のしたことについて反省することは最後まで1度もなかった。 ---余談だが、姉も自首はするものの反省の様子は見せない。そればかりか母親の名誉を傷つけられた者や勘違いのせいで親友を殺された者、家族を人質に取られた者でさえ姉弟に怒りをぶつけるようなことはしない。この姉弟の擁護のために他キャラの描写までおかしくなっている。 --ここまでのことをしておきながら、エンディングの描写では検事職のままでいることがうかがえる。この男に何らかの処分は下されなかったのであろうか? ---- #endregion //同じ記事内で真逆のことを言うのはいかがなものか、いっそのこと「評価点」の登場人物からこのキャラを消したらどうか。 //文章がわかりにくかった所を修正 //Q&Awiki関連の記述は削除。流石にソースとして挙げるのはどうかと -真犯人の動機付けがいずれも弱く、犯人は逮捕後に検事から「動機は○○だと自白した」と報告される。という形で済ませるケースがほとんど。 --今までは程度の違いこそあれど、様々な背景事情を描き動機付けをしていたが、本作はどの犯人もただの悪党に過ぎず、全話を通して「悪人である真犯人が私利私欲の為に清廉潔白な被害者を殺害し、全く罪のない被告人に罪を着せた」という構図で収まってしまっている。動機の内容も「子供がわがままを押し通してカッとなって殺した」クラスである、本作はそれしか無いと言っても過言ではない。 --トリックは行き当たりばったりで運頼み、動機は幼稚、言い逃れは内容が全くなくボケでごまかそうとしているとしか見えない、警察の不十分な捜査と意味もなく偽証を行う証人たちがいなければ、即逮捕されてしまうような犯人しかいないため、犯人に対して同情はおろか感情移入がしづらく過去の犯人たちが見せたカリスマ性は皆無である。まだミスが多くても主張が一貫している4のラスボスの方がカリスマ性はあった。 //動機の弱い犯人や、行き当たりばったりで何とかする犯人は過去作でもそれなりにいたと思うんだけど… //「何の工作もしていない」「CMに出している商品を販売すればよかった」「警察が死体を調べればすぐにわかる犯人」までの犯人はいませんでした。 #region(また特別編では) ---- -このような真犯人の傾向に変化をもたらすためか、上記の様に特別編では「同情の余地が多く、犯行を反省し、結果軽い刑罰で済む真犯人」が描写される。 --しかし、実際は特別編における犯人も&font(b){多数の許されざる罪を犯しており、むしろ軽い刑罰で済んでいることが不自然}になってしまっている。 ---この犯人がやっていることは一見同情の余地があるが動機と犯行が一切かみ合っていない、犯人が自分の素性を明かすか、ちゃんと調査をしていればていれば簡単に回避できたはずの事件であるため、最後に贖罪の言葉を吐くのだが白々しいと言う見方もある。そもそも、この犯人は被害者の死後の問題行動について一切反省していない。 ---例えるならば「たまたま事故死した大切な人の現場で、傍にいただけの無関係な犬に逆恨みして、事故の原因をよく調べずに、犬を殺そうと辺りに毒薬をまく危険な行為をして、誤って飼い主が死んでしまったので、犬に責任を押し付けようとした」という外道な行いである。事前に飼い主に確認を取ろうとすらしていない。 #endregion #region(具体的に。(重大なネタバレ注意)) ---- -最終的に、被害者の死は事故死と判断された。しかし、&font(b){被害者の死の原因は真犯人が作った}ため、事故死ではなく過失致死である。 --しかも、事故の防止や救護を怠っているため未必の故意による殺人罪の適用すら考えられる。 --犯人の自白の後、成歩堂は「ハシゴを上から掴むようについていた真犯人の右手の指紋」と「被害者の右手についていた痣」を理由に、真犯人は被害者を助けようとしたと主張し、法廷でもそれが認められた。しかし、&font(b){それらの証拠が事件発生時に出来たものか分からない}以上、これらの証拠だけで真犯人の救護の意志を認めるのには無理がある。 ---それどころか、「ハシゴを上から掴むようについていた真犯人の右手の指紋」は、本当に被害者を助けようとしていたのか証明しない限り、むしろ犯人が殺意をもって落そうとしていた証拠になりかねない。 --もし被害者の転落は事故だったと証明できたとしても、作中の描写で見る限り被害者の体の損傷は軽く、医者が診なければ生死が判定できないような状態だった。自らの不注意で事故を起こしてしまったとしても、普通の人間ならばすぐに救急車を呼ぶなどして救護を行うだろう。つまり、真犯人は助かるかもしれない人を自らの目的の為に見殺しにしており、悪質である。 -さらに、&font(b){被害者が死亡した後の真犯人の行動は大変悪質}であり、情状酌量の余地はない。 --真犯人はあろうことか「事故死」した被害者の死体を利用した偽装工作をして責任を逃れようとした上、被告が被害者を殺したように見せかけ、法廷では自白の直前まで「被告が犯人である」と虚偽の主張を続けた。 --真犯人の目的は被告の殺害であり、もし真犯人に被害者の死の責任を負う覚悟があれば、それを達成することは容易であった。しかし、真犯人は責任を回避し、事故の原因と思われる被告に濡れ衣を着せようとした。 --真犯人に情状酌量の余地があるとすれば、恋人の死の復讐を果たそうとしたという動機の点だけであり、その他の点に関しては&font(b){一片も情状酌量の余地は存在しない}。 -真犯人は、法廷で成歩堂に追い詰められた後に自白するが、その内容にも問題がある。 --自白の内容は「罪を着せる相手を被告と間違えた以上死んで償うしかない」という自分勝手が過ぎるものであり、他の数々の悪行を反省していない。 --さらに、自白の内容が真実だとすると、危険な状態だった真犯人の為に自ら死を選んだ被害者の懇願(「誰も恨まないでやってくれ」)を真犯人は無視したばかりか、その後に被害者の死体を利用した偽装工作に及んだということになる。極めて悪質な犯行と言える。 -そんな真犯人は劇中で更生の可能性を認められ、数ヶ月で元勤務先の水族館に戻ってきた描写があるが、この描写によってむしろ消化不良気味の結末を迎えてしまっている。 --単なる悪人だらけの本編の真犯人とは一味違う真犯人を描写する意図があったのかもしれないが、実際は特別編の真犯人もかなりの悪人である。そのせいで、殺人こそ犯していないものの&font(b){悪質な犯行を重ねた真犯人が、不十分な証拠で情状酌量されたあげく、不自然なほど軽い刑罰で済む}という結末になっている。 --ただし、出所したとは明言されておらず(最後の最後で「帰ってきた」と言われているだけに過ぎない)、実際に受けるべき量刑を踏まえると(刑罰の重さと職業は違えど)ユガミの様に服役しながらの勤務が認められた可能性も否定できない。 --自らの調査不足と勘違いの結果で人を死なせた男がその現場でまた働くというのは危険とは思わないのだろうか?同じような事態が起きたらまた危険なことをするとは考えないのだろうか? ---- #endregion -最終話の黒幕が姿を現してからの展開が不評。真犯人の正体が発覚するまではともかく、そこからの追求が尻すぼみ気味との声がある。 --登場直後まではいいのだが、ある程度話が進むと一気にラスボス感が薄れる。また、クライマックスでの追い詰める流れが「急に陳腐になった」「安っぽい」とも指摘される。 --今作のテーマである『法の暗黒時代』そのものとの関連性で言えば、第3話の真犯人の方がよっぽどラスボスらしいとも言われる。 ---小物臭い黒幕という意味では『4』の黒幕と同様ではあるが、ネタキャラとしての人気は出た『4』とは異なり、こちらは愛嬌のある部分はほとんど無く、&bold(){ネタキャラとしても評価されていない}。 --設定に関しても「いくら逆転シリーズでもトンデモに過ぎる」「設定を盛った割に活かせていない」との批判が少なくない。 #region(ラスボスの超設定(重大なネタバレ)) ---- -ラスボスは他人に成り済まして一年ほど生活しており、その間誰にも成り代わりに気付かれていない。 --これは完全に相手そっくりの顔になることができる卓越した変装技術と、長期間にわたって相手に成り切る演技力によるものである。 ---が、変装技術はこの件とギャグ演出にしか活かされていない。十分な準備をして計画的に行ったはずの過去の犯罪でも、他人の顔になってわざと防犯カメラに写れば簡単に罪を着せられたはずだが、何故かそうせず非常に不確実で回りくどい手段を取っている。それどころか、顔を隠すために現場にあった物を拾って使っている始末。現場には人の顔を認識する機械があったため「変装でも機械はごまかせないから」という言い訳が通用しそうだが、それなら変装の上から自前で用意したマスクなどを被ればいいのであって…。 --因みに、成り代わりについて伏線は一切存在しない。というか、成り代わられた本物と面識がある人物が出てこないので伏線の張りようがない(知り合いの可能性がある人物はいるが、特に言及はしていない)。そのため、本物は恐らくラスボスに殺害されているのだが誰にも死を悼んですらもらえない。気の毒。 ---成り代わった後で知り合ってそれなりに親しくしていたはずの人物すら、今まで騙されていたことにショックを受ける様子もない。ショックの方が大き過ぎてそれどころではなかったのかもしれないが、流石にちょっと薄情な気がしなくもない。 --ラスト近くで唐突に今まで特に怪しい素振りのなかった人物が容疑者として浮上し、しかし動機は? 真犯人の共犯者なのか?と主人公たちとプレイヤーを悩ませた挙句の「実は犯人の変装でした」である。 -事件現場からの逃亡の際、ラスボスは「落ちたら確実に死ぬ高度で」「安定しているとは言い難い足場から」「わずかな助走で」6メートルの幅跳びを敢行し、見事隣の建物に飛び移っている。 --これは超人的な身体能力と、自己の感情をコントロールし死の恐怖を克服する技術によるものであるらしい。 ---ただし、そんな身体能力がありながら、別の事件の際はパニックに陥った一般人の小学生に攻撃され傷を負わされたりもしている。警戒していなかった相手からの不意打ちならともかく、一撃目を回避した後の二撃目が命中したとしっかり描写されているのでどうしようもない。 -上記のようなチート能力を持っている理由は「&font(b){訓練を受けたプロのスパイだから}」。 --一応この事実が判明するまでの間に、現場となった施設に産業スパイが入り込んでいた可能性がある、ある人物はそのスパイが真犯人だと推理している、などの話題は出てくる。なのでスパイの登場自体は唐突なものではない。 --産業スパイとして活動していた際の依頼元は一切明かされない。殺人事件の動機と直接の関係はないのだが、元を断てていない以上、舞台の施設は今後も別のスパイが送り込まれてくる不安を抱えたままである。すっきりしない。 ---それどころかラスボスの正体について明らかになるのはスパイであることと通称だけ。&font(b){本名・出自・どこで訓練を受けたかなどは一切不明、最後まで変装したままなので素顔さえ不明である。}逮捕はされるが、正体を暴いたという爽快感は皆無である。というかこれは暴いたと言わない。 ---ラスボスがこれまで成歩堂達を欺いていた変装を解くシーンは、その下に何重にも重ねた変装で成歩堂達を翻弄するだけに終わる。いかにも「衝撃の素顔が明らかに!」というようなタメを入れておきながら、実際は「正体が全く分からないほどの卓越した変装技術の持ち主でした!」と言うだけの何とも肩透かしなシーンになってしまっている。 -トンデモ設定・チート能力というだけなら、本シリーズには初代から霊媒師が登場しており、法廷で悪霊と対決したことさえある。それに比べればスパイはまだ現実的だ、と思う向きもあるだろう。 --しかし、霊媒はファンタジー的な設定ではあるが、作中での設定は明確化されており「霊媒中は降りている霊の生前の姿になる」「まだ生きている者の霊は降ろせない」「同時に二人の霊媒師が同じ霊を降ろすことはできない」といったルールが提示されるため、推理に組み込むことに不都合はない。ある意味フェアなのだ。 --だが、「訓練されたスパイがどこまで常人離れした能力を持っているか」を推測する材料は作中にない。推理物としては反則と言える。 ---先述の通り、逆転シリーズはエンターテインメント性が第一であり本格推理ゲームではない、と言ってしまえばそれまでなのだが…。 -さらに言えば、黒幕がなりすましていた人物のインパクトが強く人気もあるキャラクターだったために、物語の終盤で真相が明らかになるにつれ大きな喪失感を生むこととなった。 --その人物は第5話の終盤で突如「実は死亡していた」と明かされる。結局この人物の生前の姿は一度も見ていないことが分かり、さらなる喪失感を生むこととなる。 --黒幕の正体にインパクトを持たせるためにその人物を印象的なキャラクターに仕上げたと思われるが、人によっては愛すべきキャラクターにまでなってしまうこともあり、&font(b){本編を通して好きになったキャラクターが実は黒幕のなりすましであり、なりすまされた本人は本編に関わる前に死亡していたとあっさり告げられる上に死亡時の状況等は一切分からず、肝心の黒幕はラスボスとして今ひとつ}という、ゲームクリア後も引き摺るレベルの虚しさを生む原因になっている。 ---少なくとも、黒幕の演技力が非常に高いことは確かなので、本物は黒幕が作中で演じた通りの好人物であった可能性がかなり高いことだけが救いか。 --更に言えばその「なりすまされていた人物」はDLCの番外編・クイズ逆転推理双方に登場する。時系列的にはまだ正体は割れていないのだが、大抵の人がクリア後にプレイすると思われるDLCコンテンツなワケで、(プレイヤーが)''穏やかな気持ちで顔向けできない''。 --結果、先述のような「本物の方の(性格もそっくりな))親族を出して欲しい」といった意見だけでなく、''「設定変更して実は奇跡的に生きていたことにして欲しい」''という意見まで出てくるようになってしまった。 -しかもこのラスボスのラストのブレイクシーンが非常に意味不明かつ理解不能な結果となってしまっている --成歩堂たちに最後の証拠を突きつけられ動揺し変装している自分の仮面を話していく、そして最後に本来の素顔をだすのかと思えば何者かによって狙撃されてしまう。(裁判を行っている法廷は爆破によって天井が崩壊しているためそこから狙われたと推測される) --こうしてラスボスの、素顔がわからないままで裁判は終わってしまう。(当の本人ですら自分の名前どころか素顔さえ覚えていない) --狙撃犯の正体など全く分からないまま、狙撃で狙われているのかもしれないのに誰も避難をせず、ただラスボスは生き延びたという裁判長の言葉だけで無罪判決を行ってしまう。 --この時点で既に理解不能なのだがせめて狙撃で狙われているかもしれない現場からは避難しようとしないのだろうか?その狙撃犯がラスボスだけを狙っていると言う情報はどこにもない。 ---- #endregion **ロジックについて -先述の通り、トリック・現象・証明に勘違い、間違いが散見される。 --例をあげると「何故か法廷に持ち込まれた実物の爆弾」「死後12時間で溶ける死後硬直」「三階から死体を落としてもマットがあれば損傷しない」等。 -また、そのトリックに対して『4』であった3Dによる解説、犯人の行動の一枚絵などがまったく皆無であるために犯人の1連の行動非常にわかりにくく、トリックの説明を「○○なんだから××にきまっているだろ!」と説明もなしに主張する荒っぽい力技で押しているとしか思えない描写がいくつかある。(最終話の犯人の逃走経路、特別編のホイスト等がその筆頭) //図の解説はあったと思うが //実際に使われたトリックについてはほとんど皆無です -さらにすべての物事が犯人の都合の良く進んでいるとしか思えない現象がいくつもある。 --犯人達の行動が一見巧妙に見えるがそれは、運がよく事態がうまく進んだ結果であり、過去作にあった計画的に証人をだましたりするトリックが皆無で、証人達の自分勝手な偽証や問題行動がなければ即逮捕されているようなものしかない。 --また、トリックの内容も一見巧妙そうに見えてクリアした後冷静に考えてみれば行き当たりばったりで機転が利いていない事が多い。また、犯人以外のキャラの中には犯人達の為に動いているとしか思えない者までいる。また、証拠隠滅の手段も簡単であるのにそれをしなかった犯人が多い。 ---全ての事件で最大の問題となるのが「被告人には逮捕される理由が全くなく、犯人に嵌められたわけでもないのに逮捕されてしまうと言う事」である。ダイイングメッセージがあったとか現場に確実に居たとか目撃者がいたとか、そんなものは一切ないまま「ただ単に怪しいから逮捕」されている。 --第一話の犯人はある人間が騒ぎを起こしてくれたおかげで事件にはなったものの、すべての行動が明らかに苦し紛れの行動でしかない。そもそも、被害者である被告人を逮捕した説明も言いがかり以外の何者でもない。 --第二話の犯人は目撃者に対して何ら警戒をしていないので、運が悪ければ殺害現場を見られて即逮捕されるものである。また、かつらをかぶっておけば逮捕される事は防げたはずである。また、毛髪が証拠となっているが、毛髪が証拠品についていただけで「いつ」「どこで」ついていたのか証明しない限り証拠としての価値が無いはずではないのだろうか? --第三話の犯人に至っては先に真犯人が調べられれば&font(b){被告人が逮捕されたのと同じ理由}で真犯人のほうが先に逮捕されているはずであり、そもそも裁判自体話が脱線してくれたから長くなったものの最後のカンガエルートだけで終わってしまう代物だった。そもそも殺害した時刻が学園祭前日であった以上その辺の材木にすればよかったのに自分の私物をトリックに使い逮捕されるなどこじ付けにも程があるだろう。 --第四話の事件の犯人など、5話に続いたから問題にはならないものの外部からの侵入者が入ってきて殺したと言う話である。推理ものの常識がぶち壊しである。 ---ラスボスに至ってはどんな名探偵が相手でも完全犯罪が可能な超人的能力を持ちながら、あまりにもミスが多く、やり方も裁判官の目の前で証拠隠滅を行うなど悪い意味でやりたい放題である。 ---そのせいでトリックの謎が多く、不十分な証拠で物事を断定しているため特別編に至っては「真実は全く違うんじゃないか」と言われたりしている。 --旧作にも現実的に不可能と思える「冷静に考えるとスッキリしない点」が多数あったが、作中での解説不足で済ませられるレベルで審議の内容は充分だった。 //偶然の連鎖って…それ過去作にも言える事では?そこ突っ込んだら逆転裁判のほぼすべてのエピソード全否定な気が //今までの比ではないという事です //っていうか、たとえば第1話は「法廷に恨みがあると考えられるから」って説明あったじゃん //説明になっていないから出しています。 -法廷内での審議の内容が殆ど事件に関係がなく、勝手な憶測だけで進んでいく事が多い。 --法廷内の全員が自分勝手な推論を話し都合が悪くなれば、証拠も無しに人を犯人又は共犯者と、推測と推論のみの空中戦で話が進む。 --しかもその主張が証拠も無い推測のみのいいがかりであるにも拘らず通ってしまうから始末が悪い。 --また、根拠すらない間違った選択肢を選ばなければ先に進まないと言う本末転倒な点も多い(典型的なのが「コラシズヤレイ」である)。 //間違った事実を基に推論が進む展開は過去作にもいくつかあるので微修正 //今作は根拠すらありません --これは、事件の最初だけではなく最後の犯人に対する証明までも憶測だけでの決め付けが強い。(特に特別編の最後の証拠品など、あまりに議論不足が酷い) --前提となっている証拠品や証言も警察のミスや特別な理由のない偽証でころころ変わり、長々と続けた議論が最終的に何の役にも立たないパターンが多い。特に第3話で顕著。 --これらの証拠品について出所などを全く調べないで法廷に出すので本当にどうしようもない。第五話のライターの指紋など、それだけで証拠を出した人間と関わった人間全員を逮捕するべきものである。 --今までの作品でも多少の見落としはあったが、今作では精密検査に間違いが多く死因すら間違え、さらに犯行現場を調べていないという始末である。 --証言すら、言ってしまえば「だからどうした?」と言える事件に関係のないものも多く、証拠もなしにその証言を信じろというものばかり(特に第三話の証人と最終話の真犯人の言い逃れは&font(b){子供の言い訳以下}の荒唐無稽な内容だった)。 -証明は更に酷く事件について関係がなく意味がないとハッキリした状況ですら、その議論を続けようとする。更に、検事が実際ありえないであろう証拠、証言で難癖をつけて被告人を犯人にしようとしている。 --また、審理の流れについても今までは、一日目の法廷で検事の論証に疑問を提示し審理を引き伸ばし、二日目の法廷で一日目に出された疑問を解いて犯人を追い詰めるという手順だったが、本作では一日目の法廷が結果的に事件についてではなく嘘を暴くだけで終わるのでシナリオとして必要性は無い。 --旧作ならば弁護側が推論を出すと「証拠を出せ!」と言われて証拠品の開示を求められていた。また警察も見落としがあっても間違った情報を出す事は無く。事件に関係の無い話題は殆ど無かった。 -作中において人の死を軽く見すぎている点が非常に多い。 --特に第三話のラストでは「人望の厚い教師であるはずの被害者が死んでいた事件現場で、まるで文化祭のようなパーティをやりだす」というエクストリーム不謹慎をやらかす始末。追悼式といった感じの雰囲気は一切存在していない。 //「亡くなる前まで文化祭の準備に尽力していた被害者に報いるために中止のところを再開することになった」と理由は説明されているし、それを踏まえれば「不謹慎なお祭り」じゃなくて「文化祭を成功させることが追悼になる」と言うことも読み取れると思うんだが //だったら文化祭を延期して追悼してから文化祭だろ、追悼の前に文化祭それも殺人があった現場を使うのは言語道断。ま、普通は教師同士の殺人が起きたら中止だけどな **その他 ''皆勤キャラクターの不採用'' -これまで皆勤賞だった人物や一部主要人物が外れることになった。 --亜内検事はこれまで「第1話の対戦相手」として定番だったのだが、本作では彼の弟が登場。そちらに立場を譲っている。 ---時系列と年齢から考えると、おそらく定年退職が理由であると考えられる。 //((6にて海外の法定で検事として就任していることが明らかになる)) //6に登場しているのは弟です --糸鋸刑事も登場しない。彼は『検事』シリーズまで含めて皆勤賞という貴重な存在だったのだが、今回でそれを逃すことになった(「クイズ逆転推理」では彼を連想させるテキストがある)。 --『4』の刑事役だった宝月茜も登場せず。『4』の主要人物では設定上登場不可能なあるキャラを除き唯一外れることになった。 --また『検事』シリーズが初登場の人物は一切登場しない。 --しかし裁判長は同一人物である。設定では『1』から実に10年目になるのに、全く容姿や性格に変化がない。本編シリーズでは成歩堂以外で唯一の皆勤キャラとなっている。 ---ただしそんな彼も『検事2』では登場していないため、(背景出演などの特殊なケースを除いて)純粋な意味での皆勤キャラは糸鋸刑事を最後に今回で潰えることになった。 -ただし、『1』から10年経っている事や作品を重ねるごとにキャラクターの入れ替わりがあることは当然であるため、一概に問題点とすることもできない。 ''『4』との関係'' -『4』の消化不良についていくつか解決はされたものの、全ての問題の解決がされたわけではない(成歩堂や牙琉に関する(一部を除いた)数々の事柄、裁判員制度など何故か一切触れていない部分が見受けられる。これについては『[[逆転裁判4]]』参照)。『4』の設定やキャラを持ち込んだ続編でありながら、「『4』をなかったことにして仕切り直しにしようとしている」とも見れ、どっちつかずな所がある。 --といってもこれは『4』自体がかなり微妙なところの作品で、あまりにフォローがしがたい問題点が多く、また『4』のネタバレに深く触れることもできないということを考えるとやむを得ないとしか言いようがない。『4』を完全に抹消しようとも、引き継いですべてに穴を埋めようとするにしても、どうしても祖語が生じてしまう。 --むしろ「あの状況から『4』を抹消せず続編を作り上げた」という点で評価されていることも多い。 --続く『6』でも『4』及び本作で説明しきれなかった部分の消化が多く行われたが、そちらは『4』から続くストーリーに区切りが付く事もあってか問題の解決が多く成されている。 ---- *問題点 **演出面 -全体的に演出が過剰で、テンポが悪い部分が多い。 --「法廷内で突然「待った!」がかかる→バン!という効果音と共に法廷内の人物に次々とカメラが切り替わる→大きな効果音と共に「待った!」をかけた人物を映し出す」というのはシリーズの定番演出であるが、本作ではそれがくどいほど多用される。 --同じく検事側からかなり鋭い反論をされる→「うわ(いや)あああああああああ」→「あああああああああああ」→「あああああああああああ」→(頭を抱えた弁護側)という演出も何度も使用される。あああああの並ぶ台詞ウィンドウはプレイヤーを「またか」と思わせる。 -立ち絵を3Dモデル化したことによる弊害。 --3Dモデル自体はよくできており、2D時代の雰囲気を壊さないまま臨場感を強化してくれているのだが……。 --問題はアニメムービーや、従来通りの一枚絵による2D画像も併用されていること。本作で新登場したゲストの中には、3Dと2Dで見た目が別人と化しており、同一人物と認識し辛いキャラクターが散見される。 ---既出のレギュラー陣に関しては、元々2Dだったデザインに配慮しモデル化したためか、ほとんど違和感ないのだが。 --いちいち3Dモデルのキャラクターが律儀にアクションするため、会話中における感情表現のテンポが悪くなっている。 ---2Dの立ち絵と違い、動作の中抜きができなくなったことによる弊害。従来なら2~3カットの立ち絵変化でパパッと済ませたようなアクションでも、3Dキャラは中途を省略できずフルで動かす必要がある。表現の違いによるテンポの変化に配慮せず、従来通りの感覚で動作を設定したのだろう。 -「シナリオ上ここにムービーを入れる必要があるのか?」というような場面が多い。 --唐突に挿入されるため、テンポも悪い。スキップは不可能で字幕も表示されない。オプションでON・OFFの切り替えができればよかったのだが。 --携帯機という都合上、屋外で音を消したままプレイするユーザーも存在する。そうした場合、タイミングが一定しない事も相まってストーリーの理解に不都合が生まれる事も。 --次回作では章の中盤にムービーが流れる事が無くなり、字幕も表示可能になった。 //アニメーションの項は演出面の問題点にまとめられると思ったので移動。 --製作現場での連携が取れていなかったのか、本編との整合性を欠いており首を傾げてしまうような内容のムービーも。 #region(例えば) ---- -つい数日前に入院するほどの大怪我を負った人物が、ムービーでは傷一つなくなっている。 -本編中の小道具として手作りのチョーカー(首輪)が登場し、それを作っているシーンがムービーで描かれるのだが、それを観る限りなんと&font(b){陶器製}である。 --作った人物が陶芸を嗜んでいることは本編でも描写されているが、まさか首輪まで陶器とは誰も思うまい。どうやって着けるんだそれ。蝶番でもつけているのだろうか? ---- #endregion **「調べる」コマンドの制限 -探偵パートの根幹であった「調べる」コマンドだが、本作では原則として&font(b){事件現場しか調べることができない}。 --「''探偵パートがパワーアップ!''」と公式サイトで謳っておきながら、蓋を開けてみれば探偵パートのほぼ全てにおいて「調べる」ことが不可能であり、''実質的な改悪''や''古参ファンを釣った''といわれても不思議ではない。 --逆転シリーズは背景にある小物を調べたときの、時折ギャグが混ざったテキストが好評であり、シリーズ共通の評価点の一つだった。しかし本作では「調べる」こと自体が制限されているため、そういったネタを探す余地がほぼなくなってしまっている。 ---本作では3Dの視点移動や動く小物など、「調べてみたい」という意欲をますます掻き立てられるシステムになっている。そのため、なぜ「調べる」コマンドを制限したのかがより一層わからなくなる。難易度の易化を狙ったのかもしれないが、やりすぎである。 ---「クイズ逆転推理」では本編で調べられない場所のものを調べることが可能だが、これは有料DLCである。特別編と違い値段は安めだが。 **難易度の大幅低下 -初めてこのシリーズを触れる人を考慮に入れている事から、シナリオでは総じてヒントが多く、&font(b){難易度は非常に低い}。 --本シリーズの推理要素に対する高評価はそれなりに骨のある難易度にも裏打ちされていただけに、この易化を残念がる声も多く見られる。 --難易度の低下傾向は『検事』シリーズからあるが、本作は『検事2』のような極端な詰みポイントはなく、尋問で一定以上間違えるとパートナーがヒントをくれる機能やゲームオーバーになってもその場でコンティニューできる機能まであるため、歴代でも難易度は特に低い作品となっている。 ---ちなみにコンティニューを行うと、受けたダメージはMAXに回復した状態でゲームオーバーになった個所から再開され、間違えた回数も引き継がれるのでヒントも貰えるようになるといった、もはやメリットしか存在しないシステムになってしまった。 ---間違えた事によるダメージの量そのものは大きめだが、もはやシステムそのものが形骸化しているので意味がない。 -法廷パートでは証拠品を突きつける時や怪しい箇所を指す時に主人公が独り言で何(どこ)を突き付けるべきかをプレイヤーに教える場面が従来よりかなり増えている。また証拠品の数も従来のシリーズに比べると減っている。 -ココロスコープ・カンガエルートなどの場面では&font(b){選択を間違えても一切ペナルティ(ダメージ)にならない}ため、間違えたい放題になってしまっている。 //--その代わりカンガエルートは、わざと間違った選択肢を楽しむ遊び方もあり、次回作のカンガエルートはネタ要素の強い選択肢が増えている。 --サイコロックも間違えた際のペナルティがなく、また即座に解除できるような状況で出てくる為に非常に簡単になってしまった。こちらも形骸化しているといえなくもない。 -探偵パートでは、何をするにしても「○○をしてみよう」「○○に行ってみよう」などキャラクターがかなりの頻度で次にとるべき行動を示すため、「自分で何かをする」という機会がかなり減っている(「作業ゲー」と呼ばれる原因である)。 --特定の話を聞くと自動的にマップ移動が起き、&font(b){次の場所へと勝手に移動してしまう}ため、どこで誰に話しかければよいのかがわからなくなって詰むという状況がほぼありえなくなっている。 --これらのことから、「作業ゲー」「退屈で眠たくなる」「肩透かし」という意見もあり、これまでの逆転シリーズになれているプレイヤーにとっては物足りなさを感じてもおかしくはない。 -本作はかなりの親切設計がなされているが、「行き届いている」を通り越して「行き過ぎ」になっている。低難易度と便利機能がお互いに潰し合う状態になっており、新機能が一部空気化してしまっている。 --特に「探偵メモ」は謎解きに詰まった際の救済策として新たに追加されたものだが、これまでの逆転シリーズであればまだしも、&font(b){そもそも詰まりようがない本作}では、使う必要のない機能になってしまっている。 //-本作最終話にはバッドエンドが存在するが、このように難易度が低いのでわざと間違えでもしない限り到達することはまずないだろう。 //初プレイの自分は普通に到達したんですけど… **その他 ''全体的なネタの減少'' -『蘇る逆転』『4』であった科学捜査も廃止されたり、行える場所がかなり制限されてしまっている。科学捜査は好評だっただけに惜しい。 --ルミノール試薬は特別編のある場所でしか使えない。また指紋検出がシナリオに登場するが、イベントで勝手に検出してしまう。プレイヤーが指紋を取り出し照合するというプロセスはない。 --3D証拠品は1度だけしか出ない上に、任意で調べる事が出来ない。 -証拠品を突きつけたときの反応も少なめ。全くないわけではないが、シナリオに関係ない証拠品にはあまり反応が返ってこない。 --また人物ファイルは『1(蘇る逆転)』『4』『検事』シリーズと同様、任意でつきつけることができない。そのため、人物についての反応も見ることはできない。 -ネタについても、セリフ回しなどについては「巧が担当した作品と比べ、言い回しがマトモすぎて面白みを感じない」という人も多い。 -「''キャタツとハシゴ''」のネタは本作でも登場するが、&font(b){従来のネタはこれくらい}である。これもほとんどの場所で「調べる」ことができなくなったことの影響ということができる。 --「調べる」ことができなければ、これまで「調べる」ことで登場していたネタを入れることができなくなるのは当然の結果である。 ''有料ダウンロードコンテンツの導入'' -本作の特徴として、シリーズでは初めてDLCが導入されたが、''全てが有料での配信''である(期間限定で無料や半額になっていたこともある)。 -1つ1つのDLCの値段は高くないが、全てのコンテンツをダウンロードするとなると結構な金額となってしまう。 --ただのおまけ要素的なDLCであるならまだしも、特別編としてシナリオ1つがまるまるDLCになっており、本編で空気だった春美はこの特別編で主に活躍する。また、「調べる」コマンドも有料DLCでのみ制限が緩和されており、本編で制限されたものを餌にDLCへ誘導していると捉えられてもおかしくはない。 --DLCがこのような内容であるため、「''そもそも、なぜ本編に入れなかったのか''」という批判がなされる。 --当然ソフト自体が安ければそう言った声も少なくなるだろうが、本作は約6千円と3DSソフトの中でもどちらかと言えば高めの値段である。 ---一応、現在は3千円程度と安価で買える廉価版が発売されているため、この点については緩和されたとも取れる。 ---- *総評 シナリオそのものは大きな破綻もなくきっちり纏まっているものの、大幅な難易度の易化、探偵パートの根幹であった「調べる」がほぼ制限されている点や、ネタの減少やキャラクターの違和感等、批判されるべき点は幾つか存在する。~ こうした批判点は、あくまでシナリオの面白さを勢いに任せすぎたあまりに発生したものであり、本作をあくまで「一本の新しいゲーム」と捉えればそこまで問題視すべきではない部分も多い。~ しかし曲がりなりにも「逆転裁判」シリーズを名乗っている以上、従来の「逆転裁判」シリーズ作品を基準に比較され、三部作のような推理ゲームを好むファンから「コレジャナイ」と批判されてしまうのは避けられないだろう。~ とはいえ『4』のみならず従来作品において見られた「ゲーム的な側面での問題点」を改善した部分もあり、ゲームとしての進歩や今後への期待は十分に感じられる。~ 『4』で消化されなかった部分にもいくつか答えや補足が用意されており、特に王泥喜についてはファンが待ち望んだ「新しい主人公」の印象をやっと見せてくれたと評価された。~ 前作の出来が批判される中での正統続編として不安と期待の両方が寄せられたために、「三部作には及ばないが前作よりは良い」''「あの状態からナンバリングシリーズを立て直しただけでも十分に功績がある」''などといった評価がなされることとなった。 //日本語が致命的におかしい為全面校正 *余談 -発売前のプロモーションではネタバレを避けるためか、ゲーム本編には全く出てこない内容でPVやスクリーンショットが作られていた。 --たとえば初期PVでは「動機がない」と主張するある人物にココロスコープを仕掛け、「弁護士について話す時だけ怒りの感情が出ている。弁護士に恨みがあることは動機になる」と指摘するという内容が紹介されたが、本編にそんな場面は一切出てこない。 ---このココロスコープの扱いが『4』のみぬくに近いことから、「新要素がまた言いがかりになるのではないか」という余計な不安をあおる一因になった。ちなみに、そのココロスコープを使った相手からは「しかし、証拠はない」と尤もな反応を示されている。 --他にも「カンガエルート」の説明で「子守唄」というキーワードが出ていたが、これも本編には登場しない。 --シリーズの体験版は第1話冒頭の内容を一部省略したものになっているのが定番なのだが、本作では特に法廷パートに入るまでの内容が大きく異なっている。 -インターネットラジオ「音泉」でボイスドラマが配信された。全5話で、キャストはゲーム版と同一だがゲストキャラの声優は不明。ドラマCDとしてボーナストラック追加で発売予定。殺人事件ではない。 --時系列的に設定が重ならない部分があり、パラレル設定だと思われる。 ---ココネを「希月さん」と呼んでいるはずの王泥喜に「ココネちゃん」と呼ばせるなど、多少違和感がある部分も。 ---なお、王泥喜は「手品のトリックを推理するなんて今まで経験がない」という旨の発言もする。&font(b){4でやっていたのは何だったのか}。また、心音の主張に【憶測じゃねーか!】と突っ込みを入れたくなる人も数多く居るだろう。 --声優の演技は素晴らしいが、前述通りその選出には賛否が分かれている。また5話という尺の短さなどから展開がかなり急で強引。 -発売から1年後にスマートフォン版の配信が開始。 --王泥喜の活躍ぶりを受けてか、ファミ通での紹介では成歩堂・王泥喜の二人が主人公として紹介された。 --『4』よりも前に配信開始している。 -カプコンのリズムゲーム『[[crossbeats REV.]]』に今作から「追求 ~最終プロモーションバージョン」が収録されている。&bold(){}&bold(){}
「[[修正依頼]]」が出ています。対応できる方はご協力をお願いします。 ---- *逆転裁判5 【ぎゃくてんさいばんふぁいぶ】 |ジャンル|アドベンチャー(法廷バトル)|&amazon(B00972R5B4)| |対応機種|ニンテンドー3DS|~| |発売・開発元|カプコン|~| |発売日|2013年7月25日|~| |定価|5,990円|~| |レーティング|CERO:C(15歳以上対象)|~| |廉価版|Best Price!:2015年04月02日/2,990円|~| |判定|BGCOLOR(lightgreen):''良作''|~| |ポイント|成歩堂龍一、弁護士復帰&br()名実共に2代目主人公になれた王泥喜法介&br()ギャグ志向が強いその他のキャラ・シナリオ方面&br()''散々だった「4」から色々な意味で見事な「逆転」を遂げた''|~| |>|>|CENTER:''[[逆転シリーズリンク>逆転裁判シリーズ]]''| //ポイントについて、追加されたころのものに戻しました。 //変更する場合は、逆転裁判スレで確認を行ってからお願いします。 ---- #contents(fromhere) ---- *概要 「法廷バトル」でおなじみの『逆転裁判』本家の5作目。~ 前作『[[逆転裁判4]]』がその内容から(特に旧作ファンから)強い批判を受け、非常に長い期間本流シリーズの続編は途絶えたままであった。~ しかしスピンオフ『逆転検事』シリーズや『[[レイトン教授VS逆転裁判]]』などでシリーズの展開は続けられ、本作でついに本家が復活。&font(b){実に6年ぶりの正統続編}となった。 事前に発表された内容では&font(b){「『4』の直接の続編で、1年後の話」「先代主人公・成歩堂龍一の復活」という部分が大々的に押し出される}。このため『4』の肯定派否定派双方から物議を醸した。~ また本作では『4』以前でシナリオとディレクターを務め、以降も逆転シリーズの外部出演を監修していた巧舟がシリーズから完全に外れ、『検事』シリーズディレクターである山崎剛がシナリオ統括を担当することになった。この点についても山崎は既に『検事』シリーズで実績を見せていることや巧は『3』でシリーズを離れるつもりだった(から『4』の全責任を負うべきではない)という事情から賛否を呼んだ。 そうした複雑な事情が絡む中で発売された本作だが、その評価はというと……。 *特徴 システム面では『4』以前の形態を踏襲(『4』からは「みぬく」と「サイコ・ロック」を引き継いでおり、それぞれ王泥喜・成歩堂の特殊能力として使用)しているが、以下のような新要素がある。 -グラフィックが3DCG化 --これまでは『検事』シリーズ含めイラストの取り込みやドット絵による完全2Dグラフィックだったが、本作では『レイトン教授VS逆転裁判』のノウハウを生かし全て3DCGでの造形となった。登場人物はもちろん、背景グラフィックに至るまで全て3Dである。 --『レイトン教授VS逆転裁判』同様にカメラワークが多彩になり、演出で活用されているほか「調べる」コマンドで立体的に視点移動が行えるようになった。 --背景グラフィックの小物も動くようになった。風に揺られている旗など、動きが細かい。 --3D立体視対応。 -アニメーションムービーの搭載 --これもまた『レイトン教授VS逆転裁判』のノウハウを生かしたもの。作画は『レイトン教授VS逆転裁判』同様にボンズが担当している。ただし『レイトン教授VS逆転裁判』とは異なり、本作は原則としてキャラクターが3DCGで描かれていることから、アニメーションと3DCGとのイラストの差が顕著に表れてしまっている。 -ココロスコープ --新ヒロイン・希月心音の使う特殊能力。証人の「感情」を機械と心音の能力で読み取り、発言内容と矛盾した感情について指摘、対話によって整理することで新たな情報を引き出す。 -カンガエルート --これまでに出てきた情報をまとめ、整理するもの。複数の情報から正しい情報を選択してつなげていくことで、真実に結びつく。逆転検事シリーズの「ロジック」に近いシステム。 -探偵メモ --探偵パートで使用する。今まで行った行動やこれからとるべき行動をまとめたメモで、中断した時や詰まった時などでも次の行動がわかりやすくなった。 --但し、後述するように本作は難易度が大幅に易化しているため、実際に探偵メモを使用する機会は少ない。 -ヒント機能 --法廷パートの尋問で一定回数間違うと、「相談する」というコマンドが追加される。弁護席で隣に立っているパートナーと相談し、ヒントをもらう(場合によってはほとんど答えにたどり着く)ことができる。 -おまけモードの搭載 --背景のものを調べ、ある人物から出された問題を探し出しそれに回答するという内容の「クイズ逆転推理」が追加。プロローグのみ無料で、以降は有料DLCで配信。 --本編で見たアニメーションムービーはクリア後にギャラリーで確認できる。 -ダウンロードコンテンツへの対応 --機種の変化もあり、逆転シリーズとしては本作で初めてDLCに対応した(外部出演含めれば『レイトン教授VS逆転裁判』が先)。 --前述した「クイズ逆転推理」の他、本編でプレイヤーキャラの服装を変更できるもの(成歩堂は『3』以前に、王泥喜は私服に、心音はセーラー服になる)や、「特別編」と題した追加ストーリーが楽しめる。なお、本作のDLCは原則として有料である。 -ユーザーインターフェイスの大幅な改良 --未読スキップやバックログが搭載され一般的なADVに近くなった。また、証言の長さと現在見ているページが分かるようになった。 --セーブデータは二つまで作成可能。セーブ後もゲームを中断せずにそのまま続けられるようになった。 --チャプターセレクトの搭載。シナリオの1パートがチャプターごとに分けられ「はじめから」を選んだ際にさらに細かく途中から楽しめるようになる。 --証拠品・人物ファイルは1ページ5個と表示数が減ったが、説明文を表示したまま切り替えられるようになった。 ---- *評価点 **シナリオ面 -前述したように、かなり複雑な境遇にある本作はシナリオ面での危惧がかなり強かった。シリーズの特性上何より重視するべき部分であるためなおさらである。 //--確かに内容に関しては問題点の節でも詳細に指摘されているようにロジック・トリック・設定に推理ものとしては致命的といえる矛盾点が多いため『1』から『3』には及ばないとされながらも、『4』よりは良いという水準には達している。 //致命的な矛盾はその過去作でも十分確認されており、「逆裁シリーズはある程度のご都合主義、矛盾は許される」とも言える。ゆえに比較の基準として曖昧なのでCO --あまりにも不可解な破綻や説明不足は無く、トリックや伏線などは綺麗に纏まっている。 --特に好評なのが第3話と特別編。どちらも登場人物が強烈かつインパクトの強いセリフやシーンが多いため、やたら印象に残る(特に後者の真犯人の豹変はあまりにも衝撃的であり、事前情報なしだと成歩堂達共々驚愕すること間違いなし)。後者は有料DLCで値段も800円とかなりのものだが、ボリュームも多く、配信されてから約1か月間半額だったことや、特別編のシナリオへの評価が特に高いこともあり、強くは批判されていない。また、定期的に割引されることも多いため、強くは批判されていない。 --設定面で『4』で消化不良に終わった部分(「黒いサイコ・ロック」や牙琉響也の過去など)にある程度の補足や詳細な設定が加えられている。 ---『4』のネタバレに触れない程度に本作のシナリオを作り上げているため、本作単体でも楽しめる。 --過去作にまつわる話題や小ネタも意外と豊富。シリーズを通してのファンには嬉しい要素である。 -強烈な個性を持った登場人物 --主要人物・ゲストを問わずいずれも強烈なまでに個性的。 #region(長いので折り畳み。中程度のネタバレ含む) ---- -''成歩堂龍一が弁護士資格を再び獲得し、主人公として復帰''。 --一度主役を交代し、加えて『4』で人物像が大きく破壊されたということもあり復活に複雑な感情を抱くファンも多かったが、それでも逆転裁判の顔役として堂々の復活を遂げたことは評価したファンも多い。 --性格面では『3』以前と『4』の折衷(やや『4』に寄っている)といったところ。年を経てさらに部下を持って冷静な部分を見せつつも『3』以前の落ち着きがない部分もあり、底が知れない雰囲気になっている。これらは賛否が分かれる部分でもあるが、少なくとも明確に卑劣な行動をとることや堕落した部分はなくなっている。 --王泥喜および心音の師匠としても活躍。「ピンチのときほどふてぶてしく笑う」というお馴染みの信条もしっかり伝えてくれる。 -''前作『4』から主人公・王泥喜法介が引き続き登場。しかしただ登場しただけでは終わらない''。 --既に述べた成歩堂復活という点と『4』での扱いの悪さ、先立って公開されたロゴデザインと続報で一切触れられなかった事から本気でリストラを危惧したファンも多かった。 --いざ情報公開されてみると、今度はビジュアルが「&font(b){全身に包帯を巻き、鉢巻きのような長い眼帯で片目を隠し、今までの服装にさらにジャケットを袖を通さず羽織る}」というもので衝撃を与える。&font(b){スタッフから「ダークオドロキくん」と呼ばれ}、『4』で彼のデザインを担当した塗和也も衝撃を受け、さらに&font(b){能力が目と腕に関連したものなので「邪気眼」「波動拳でも出すのか?」「この歳になって発症か」などとネタにされた}。しかしシナリオ上、これらの服装すべてに重要な意味がある。 --彼もプレイヤーキャラとして使える。またパートナーとして後輩・心音にアドバイスや助け舟を出すなど、先輩としての風格も十分。 --『4』でほとんど触れられなかった過去の描写もわずかながら追加。親友の存在と彼の口癖「大丈夫ですっ!」についての設定が補足された。 --「熱い性格」の本領が発揮され、第1話では心音の友人を爆弾から庇って重傷を負い、第4話から最終話での葛藤や行動など、熱血漢の部分が押し出される。 --以上の扱いから、彼の評価は『4』から大きく向上。&font(b){「ようやく主人公になれた」「彼が主役の続編が見たい」という声も出てくるようになった}。それを指し示すように&font(b){公式の人気投票では成歩堂を抑え見事に1位を獲得}している。 -''新ヒロイン・希月心音も好評。'' --これまでのヒロインと違い、明確に弁護士資格を有しているため「共に戦える」キャラクターとしてより押し出されている。 --彼女を操作するパートやシナリオもあり、ヒロインと言うより上記二名と並ぶ「第3の主人公」という扱い。 --表情が多彩。下記のマイナスポイントが目立ってか人気投票こそ11位と意外にも振るわなかったが、表情のデフォルメが他二名と比べて激しく、特に怒りの表情や髪を梳かしながら照れる表情がかわいいと評判。 --性格面でも感情豊かな人物でありあまり嫌みがなく、また首から下げている機械「モニ太」が彼女の本音を勝手にしゃべってしまうというギャグ展開も多い。全体的にはあまり活かしきれていない設定であるが、それでもたまに不意討ちを繰り出してプレイヤーの腹筋を突いてくる。 --その反面他の2人に比べ弁護士として幼稚な発言や行動が非常に多いのだが… --彼女の過去や特殊能力「心理分析」がシナリオでもシステムでもしっかり絡んでくる。 ---なお、弁護士になった切っ掛け及び成歩堂と知り合った経緯などは、特別編で当人達が説明してくれる。 //彼女の人気はそれほどでもなく(公式人気投票で11位)、「顔芸がくどい」「モニ太の本音が死に設定」「過去の設定など不明な点・シナリオ内でも問題点あり」と賛否両論意見のため、ユガミ検事とまとめて「賛否両論点」行きでもよいのでは? -ライバル検事・夕神迅は明確に主人公たちに過去のつながりによる対抗心を抱いているわけではない(繋がりそのものはあるが初登場の時には明確にはふれられない)が、なかなかの強敵。 --「囚人検事」という矛盾した肩書。そして容姿や、「黙りなァ!」のボイス、&font(b){手刀で斬撃(本当に物が切れる。)を浴びせてくる}など、言動全体に漂う侍(浪人)のような雰囲気と不良っぽさが印象に残る。&font(b){自分が斬られる}ダメージモーションもインパクトは十分。 --「囚人」という身分上現場には出てこれないが、職務には自由奔放、死刑囚でありながら級長は緩やかでも心理的に暗い部分を出す事が少ないキャラ。牙琉と違い主人公にヒントを出すことも少なく、法廷の戦術的にもしっかり攻撃を仕掛けてくる。加えて、敗北した時も潔い態度を見せるなど、心音とは対照的な心静かなのキャラと言えるだろう。 --その反面、成歩堂世代の検事が見せた「有罪をかち取ろうと最後まで諦めずあがいてみせる」と言うシーンは皆無であり、職務に対して不真面目で主張に理屈が通らないためシナリオ的にはともかく、難易度的は居る意味があるのかわからないクラスで、また成歩堂世代の検事達が見せていた責任感が皆無である為に「大人」と言うよりも「やさぐれたニート」みたいな面もあるのだが、そういう雰囲気を利用した心象心理が秀逸で今までの検事達と違う変わった味を出している。加えて、上記の敗北時の態度もあって、彼らが見せることもあった敗北時の見苦しさ・往生際の悪さともほとんど縁がない。敗北時の腹いせも一切無いため、職務に不真面目な点もそこまでマイナスポイントにはなっていない。 -刑事役・番轟三も味がある人物。 --常に「正義」を掲げており、これまた職務に忠実。また夕神は更生できると常に叫び続けている、様々な意味で暑苦しい男。 --事件が起きると、すぐ駆けつけ依頼人を手早く逮捕してしまうが、その後当然行われるであろう捜査や検査をしていないなど捜査官として職務怠慢な点が多く、夕神を狼狽えさせる。 --また、「正義」という言葉に強い執着を持っているため心音の口車に乗り情報を渡してしまうこともしばしば。 --その一方で暴走した夕神を電気ショックなどで制止するなど刑事として無能というわけではない。 --個性的で笑いと正義に溢れたキャラクター像が人気を博し、人気投票でまさかの5位という大健闘を果たした。 --しかし、諸事情(ネタバレ回避のため詳細は伏せる)から続編以降の作品への登場が絶望的であり、なまじキャラクターが好評なのも相まって「ほぼ同じ性格の親族を出して欲しい」といった意見も多い。 -『4』からみぬきと牙琉響也が引き続き登場。 --響也は第3話限りのゲストで検事として実際に法廷で戦う場面はないが、本作でのネタ扱いと過去の設定は好評である(その一方、「やっぱりライバルには向いてない」と思うファンも増えたとか)。その一方でオマケコンテンツで王泥喜を弄り倒したり彼の何気ない一言に過剰反応したりと、王泥喜に対して多少なりとも『4』での出来事を引きずっている節が見られる。 --みぬきもシナリオに関わる機会が大幅に減り実質脇役になったものの、終盤ではある事件に巻き込まれ緊迫した状況を作り上げる。更にはマジシャンの鑑ともいえる行動も見せており、彼女も精神的に成長していることが実感できる。 -''成歩堂の永遠のライバルにして『検事』シリーズ主人公・御剣怜侍が再登場''。 --検事局長に出世したという設定になっており、デザインもメガネをかけるようになったなど細かくリニューアル。(服装が全然違うので気持ち程度ではあるが)『1』『検事2』に登場した彼の父に似た容姿となっている。 --シナリオでは『4』以降の成歩堂の扱いなどをある程度補足している。さらに終盤では自ら法廷に立ち、久しぶりに成歩堂とのライバル対決を実現する。 -『3』以前の作品から綾里春美が登場。17歳に成長しており、現在でも綾里家との交流が続いていることを確認させてくれる。出番は少ないものの特別編で重要な役回りを演じてくれる。 --姿は直接登場しないが、真宵も健在であることを示す描写が入り、ファンを喜ばせた。 ---その後真宵は悲願を達成した茜共々『6』で登場した。 -そしてシリーズの例にもれず、サブキャラも強烈。 --特に第2話の真犯人、第3話の証人・真犯人や第4話の証人などがモーション・性格ともに個性的で、あらゆる意味でインパクトが強い。 ---第2話の真犯人は、第3話の真犯人には及ばないが中々に濃いキャラをしており、化けの皮を自分で洗い流してしまうブレイクモーションは必見。また、犯行に至る背景と動機がお粗末過ぎる一方で、犯行その物は相当に計画的なので相対的に空恐ろしさを感じる。 ---第3話の真犯人は「こっちの方がラスボスに相応しかった」と評されるほどの悪党であった一方、本作でも突き抜けたキャラの濃さや''黒板芸''を筆頭とした数々のギャグ演出が非常に好評であり、極め付けに「''うごくねつぞう''」なんて渾名が付いたりと今や本作における敵役の代表格として認識されている。ブレイクモーションも''要所要所で傍聴席から投石されたり、チョーク粉が舞ってホワイトアウトしたり''と、爽快感抜群かつ爆笑不可避。 ---第3話のある証人は中々に衝撃的な秘密を抱えており、流石にそれはないだろうと思っていた裁判長やユガミ達の予測を完全に覆してくれる。秘密を明かした後のモーションもやたらと必死さが滲み出ており、時に雄叫びを上げたり時にガラス製らしきハイヒールを眺めて目を輝かせたりと、色んな意味で忙しい。 --中にはスリをしでかしたり、法廷で偽証したりと問題行動をとる人物もいるが、全員ある程度理由が解説されたりギャグ面が強い人物だったりするので、どことなく憎めないのがほとんど。 --依頼人は全員これと言った重犯罪に手を染めることはなく、性格も常識的な人物が多い。 ---それどころか特別編では遂にシリーズ初の''人外の依頼人''が登場。作中でも前代未聞と明言されている。 ---- #endregion **システム面での改善や扱い -新システム・過去作から受け継いだシステム共にかなり気を使った調整がされている。 --『4』で言いがかりだと強い批判を受けた「みぬく」だが、第2話の法廷では検事に「インチキ」扱いされ妨害されてしまう。当然と言えば当然だが。 ---このため法廷パートでは事実上封印状態で、「みぬく」の出番は探偵パートに移行する((5話とボイスドラマでは法廷パートでも使用している))。 ---ちなみに「みぬく」はボイスドラマでも使われていたが、こちらでは証人のくせを見た主人公たちが相談し、現場の状況と証言を合わせて不自然な部分に強いゆさぶりをかけるという説得力のあるものになっている。 ---5話目のみぬくも、あらかじめ許可を得た上で(言いがからずに)癖から推理して証拠品の隠された機能を暴くといった使い方を見せている。((そもそも、みぬくが言いがかり扱いされやすいのは王泥喜の言い方がストレート過ぎるのも原因である。)) --「ココロスコープ」も事前のシステム説明から「またみぬくの再来か」と批判を受けたが、作中では言いがかりにならないようある程度配慮されている。 ---基本的に弁護側の証人に対して行う。検察側の証人に対しても行うことがあるが、いずれも事前に裁判長に対して「証人を落ち着かせるため、カウンセリングを行う」と説明を入れる。 ---「みぬく」と違い作中の科学である程度実証されており、機械を使った分析になっているので説得力は強まっている。心音の問い詰め方もあまり強くはない(もちろん、そもそも感情を元に証言を引き出してよいのかという疑問は残る)。 --カンガエルートの搭載で、事件の流れがわかりやすくなった。 ---過去作も「情報を整理する」という展開はあったが、本作はプレイヤーが選択肢でそれを行う形になるためより順を追って情報をまとめやすくなった。 --前作までは離れた場所に行くためには決められた場所を経由する必要があったが、今作では一発で移動できるようになっている。 --逆転シリーズはこれまで細かいオプションが設定できず、再プレイにやや不便な部分も多いシリーズ作品であったが、前述したようにUIの改良がおこなわれており、現在のアドベンチャーゲームとしてはある程度整った形態となった。 -グラフィックの出来もよい。 --3Dに変わったことで背景の細かい動きが表現されるようになった他、人物の造形なども秀逸。遠目に見ると2Dイラストと錯覚するほどの完成度で、2Dと3Dの造形の中間をうまく抑えた出来になっている。 ---実際に、3Dモデルでありながら、2D的表現が不自然にならないよう(パッと見では分からないよう)上手く使われている。 ---例:ポンコちゃんが怒って腕をメチャクチャに振り上げるシーンで、腕が何本か増えて振り回している感を演出している。(静止画で見ないと増えていることに気付きづらい) --立体視に対応していることもあり、見栄えはよい。 --モーションも出来がよく、真犯人のブレイクモーションは3Dであることを生かしたカメラワークやギミックも存分に使われており全体的に派手。 **BGM -BGMは『3』および『検事』シリーズで作曲を担当した岩垂徳行が担当。ハードの移行もあってストリーミング再生に変更され音質が大幅に向上している。 --曲数は既存のアレンジ、アニメパートで流れる短い曲や特別編の追加曲を含めシリーズ最多の67曲に上る。 --特に好評なのが王泥喜の「異議あり!」に相当する「新章開廷!」のアレンジ。法廷パートのアレンジはオーケストラアレンジ版が元となっており、探偵パートではまた別のアレンジが使われている。 --他には「追求 ~追いつめまくれ」も好評。これまでの追求とは雰囲気が異なるが、使われる場面も多く何度も聞くと好きになってくるスルメ曲という評価が強い。 --サウンドトラックでは曲の最後に独自の終結部が追加されている。『4』や『検事』では未収録だった追求のバリエーションや、ボーナストラックとしてPVで使われていた追求のアレンジも収録。 ---- *賛否両論点 **システム -ココロスコープについても配慮はされてはいるが前作の「みぬく」と同じような批判がある。 --感情云々を裁判に用いることが認められているという話もないのに、使用することがまかり通っているのはおかしい。 --また、あまり問い詰めないようにといっても「ある感情を持った人間にその理由を聞く」「感情を持っていることを前提に証人を追い詰める」といった行為は明らかに証人を威圧するものである。 ---作中での「証人を落ち着かせるためのカウンセリング」という扱いに矛盾している。 --また、「喜び・悲しみ・怒り・驚き」のたった四種類でどこに対しての感情なのかわからない状態であるせいか、ココロスコープを使わずに、普通のゆさぶりで充分な場面が多い。 ---それなのに、検察側がココロスコープについて異議を唱えないうえに説明も求めない。それどころかココロスコープで判明した証人の感情(それを裏付ける物的証拠はない)がそのままひとつの反証として受け止められ、それを前提に審理が進んでいく。 //一応消さないけど、これ問題点とか言うほどでもないと思うので賛否に移行 --こうした正当性の是非を抜きにしても、推理要素抜きにストーリーが進んでしまう本システムを受け入れられないプレイヤーも少なくはない。 -「みぬくはインチキだから法廷では使えない」と前作の不評を踏まえた仕様にしたのに、(理由があるとは言え)最終話の法廷で結局使用する。ただし、上記の様に法廷で使用したケースは事前に許可をもらってから使用している。 //上記で書かれている通り、不正行為というほどの使われ方はされていないのでコメントアウト。 //ここの展開が不評なのは確かなので文面変えて復帰 **BGM -今までは証言・尋問の中盤から終盤で用いられていた「尋問 ~アレグロ」は流れる場面が極端に少なくなり、2日目の終盤ぐらいでしか使われない。第4話に至っては前編ということもあってか一度も流れず、盛り上がりに欠ける。 --流れる場面がほぼ真犯人の尋問に限定されている割には、『検事』シリーズの「対決 ~プレスト」のような盛り上がりが今一つという意見も見られた。 --尋問のBGMはこれまでの『裁判』シリーズ同様、アレグロまで。「プレスト」は本作にはない。 -法廷パートのクライマックスに近づいた時に流れる「真実は告げる」も、本作では追求が流れる回数が多い分少なくなっている。役割が逆では。 --曲自体の出来はいいのに、使い方が下手という意味では『4』の追求に通じるものがある。ちなみに『4』は逆に「真実は告げる」の流れる機会が多かった。 -さらに最も指摘されているのが「追求」で、劇中ことある毎にひっきりなしに流れるため、本来盛り上げる役割を果たすはずなのにその役割をあまり果たせていない。前作の「流れなさ過ぎ」という批判を受けて回数を増やしたのだろうが、今度は「多すぎる」と言われることに。 **ボイス -逆転シリーズでは「異議あり!」などの声を社員が当てるのが定番だったが、&font(b){本作のキャラクターの音声はプロの声優が担当した}。 --本作ではアニメーションの追加などで、「異議あり!」のような短いシステムボイスだけでなく長いセリフを当てる必要が出てきたことと、録音環境の向上やハードのスペック向上などで高音質のボイスを入れられるようになったことなどからスタッフの声では無理があると判断されたものだと思われる。 ---たとえば『4』以前の成歩堂役の巧舟の声は『レイトン教授VS逆転裁判』のおまけ要素として導入が予定(没になったが)されており、イベントで新緑版が配布されたのだが、その音声を聞くとゲーム版とは大きく印象が異なって聞こえる。このことを考えると、本作で無理にスタッフを使わなかったことは一概に否定できる要素ではない。 -しかし、声優の選出自体にも賛否が分かれている。『4』以前のキャラについてはPVやTGS特別法廷などで担当したキャストがそのまま続投しているが、演技にも賛否が分かれている。 --成歩堂の演技について、本作の声優は『4』以前のPVやTGS特別法廷でも成歩堂を担当していた近藤孝行なのだが、本作では演技の雰囲気が以前から大きく変わったどことなく落ち着いた(あるいはスカしたような)雰囲気で「違和感がある」という批判が強い。しかし声質は『4』以前の巧に近く、演技も前述通り成歩堂の人物像が変化しており『3』からかなり年月が経った設定であることから受け入れたファンも多い。また『レイトン教授VS』の成宮寛貴が滑舌が悪く棒読みだと批判が強かったこともあり、近藤に声優が戻ったこと自体を評価されていることもある。 --御剣もまたこれまでのPV同様に竹本英史が演じているが、初期PVに比べどことなく粘着質でくどい喋り方になっており批判が強い。この批判については『検事2』のドラマCDのころから存在する。また「異議あり」の音声もこれまでゲームで声を担当していた岩元辰郎の声質とは大きく異なっている。 --その一方で王泥喜を担当したKENN、夕神を担当した咲野俊介、番轟三を担当した佐藤美一についてははまり役と好評である。 **シナリオ面 -先述の通り、本作はこれまでシリーズの脚本を担当していたシナリオライターが降板している。 --それゆえ『4』以前(もしくは『3』以前)と比較して扱われることも多く、特に独特のセリフ回し(いわゆるタクシュー節)がなりを潜めてしまった点を惜しむ声も少なくはない。 //--また、本作は過去作品の設定を使っている場面が少なく、完全オリジナル作といわれてもおかしくない出来となってしまっており、シリーズファンにはあまり楽しめない仕様となってしまっている。 //悪意しかない文章なので、CO。個人の主観をファンの総意のように記載するのは、いかがなのものか。明確な根拠があるなら示してください。 -ミステリーよりもギャグに走りすぎていて鼻につく部分がある。 --レベルの上がったギャグネタのせいで法廷がコントと化していて、面白いとの意見がある一方、真剣に事件を解こうとしている人にとっては後述の推理もののお約束を守っていない点などで「寒い」「茶化されている」と、賛否両論な状態になってしまっている。 //--''法廷に持ち込んだ武器で証人・弁護人・裁判長を攻撃する検事''といった現実ではあり得ない要素はシリーズ初期から数え切れないほどあったため、法廷のコント化ぐらいなら気にしないプレイヤーもいるのだが。 //---問題なのは「トリックやロジックなどもコント化して難易度が低下している」点。「ミステリーの中にギャグがある」今までの逆転裁判シリーズと違い、本作は「ギャグの中にギャグしかない」内容で、そのシナリオの質は誇張抜きに中学生の学芸会レベルでしかない。一見面白くても、その内容をよく見ると終始破綻したまま突き進んでしまっているのが一目で分かる。この点については問題点の項で詳しく記述する。 //逆転裁判スレでの意見を受け、CO。 --しばしばキャラクターの印象付けが強すぎると言われる。 ---強烈なキャラクターはシリーズの魅力であるものの、今作はそれが少々行き過ぎていると感じるプレイヤーも多い。特に第3話の登場人物に顕著。 ---元々、本シリーズは続編を重ねるにつれて登場人物の色物具合が強まっている傾向にあり、本作は行きつくところまで来てしまったとも言える。 //--逆に、新ヒロインの心音は「本人が隠し事をしてもモニ太(首にぶら下げているコンピュータ)が本音を喋ってしまう」という設定があるものの、''心音自体が素直で隠し事をしない性格なので''、一章以外ではほぼ空気設定になってしまっている。 -一つのシナリオとしては大きな破綻はなく及第点にまとまっているものの、伏線など全く用意せずにその場しのぎで話を進めている場面もあり、事件の統合性、描写などロジック面に致命的な欠陥も散見される。 --ただし、こうした致命的な矛盾自体はシリーズ全体を通して毎回何かしら指摘されており、逆転裁判ユーザーの中にはむしろ整合性よりも、ゲーム展開やケレン味のあるトリックを重視する層も少なくはない。 --一方で、後述する難易度の低さ、シナリオライターの降板もあいまって過去作では気にならなかったシナリオの難点が目についてしまう層も存在する。 ---''本作のシナリオにおけるマイナス要因がゲームの楽しみを妨げるかどうかは、プレイヤーの個人差に依る部分もある事を特記しておく。'' //#region(主な批判点。ネタバレ注意) //-第1話でメインの導入部分を作っておきながら、シナリオの本筋にかかわる部分は第4話からの始動となり、全体の展開が遅く感じる。なお、第4話と第5話は繋がった事件であるため、実質的には4つの事件が収録されていることになる(特別編を入れて5つ)。 //-第4話と最終話は事実上一つの話としてつながった構成になっており、最終話の法廷パート・探偵パートはともに少ない(一つの話として見れば、法廷パート3回・探偵パート2回と歴代の最終話と遜色ないボリュームではある)。~ //特別編を除くと実質全4話といえる構成であり、本編のボリュームは目減りした感じがある。 //--第1話はシリーズでは唯一2日目の法廷パートがあるが、ボリューム自体はこれまでとそれほど変わらない。 //--『1(蘇る逆転)』では序審法廷制度の最終日となる3日目まで法廷パートが持ち越されることもあったが、本作は『4』までと同様最大2日目まで。 //---スタッフは歴代でもボリュームが多いことを売りにしていたが、本編はあえて強調する程ボリュームがあるわけではない。DLCやおまけを含めれば確かに最大ではあるが。 //主観が多い上にあっさり反証を挙げられてる内容ばっかりなのでCO。何れにせよ言いがかりめいた物を感じる。 //-シナリオが進むにつれ、彼女が18歳という若さで弁護士になろうとする「一刻を争う動機」は明らかになったのだが、本当に「一刻を争う動機」にもかかわらず彼女は何の行動もしていない、どういうことなのだろうか? **設定について -PV等でも触れられているように本作では「法の暗黒時代」というキーワードが物語の主題として登場するが、本筋に活かせているとはいいがたい。 --要するに、証拠品の捏造や証言の強要が横行しているということを指すのだが、初期の御剣が天才検事として有名だったり、狩魔が伝説の検事と呼ばれていたことを考えれば、特に''今に始まった話ではない''。 #region(暗黒時代とシナリオとの関連) ---- -簡単に解説すると、「『4』の成歩堂追放事件とその一年後の事件が原因で法曹界への不信感は強まり、以降の法廷は捏造や隠蔽など手段を選ばない戦術が飛び交い、教育機関もそのような法曹を育成するようになり、ますます法への不信感が強まるという悪循環」という状態である。 --成歩堂たち主人公が取る行動はこの「きっかけとなった事件の解決」であり、暗黒時代そのものに立ち向かうわけではない。 -真犯人はいずれも極悪人かつ巧妙な手段で罪を逃れようとするが、特に「暗黒時代」という点を生かす人物は少ない。そういう意味では『4』のラスボスなどの方がまだ活かしていると言える。 --また、検事も暗黒時代に順応しているとはいえず、本作で明確にそういった様子を見せるのは第1話の亜内検事のみ。他の検事はむしろ対抗し、打開しようと動く者たちだけである。御剣の部下と言う都合上、あまりそちらに向けた人物を検事にすることはできなかったのかもしれないが。 -シナリオ上「暗黒時代」の影響が出てくるのは実質第3話のみ。それも一部の人物の心情などにそれが見えるというだけで、シナリオやゲーム的にはこれといって大きな影響はない。 //-後付けだから仕方ないとはいえ、前作では影も形も無かったのでポッと出感が強い。「暗黒時代」とスケール感はあるだけに尚更。 //--また前作では、「シリーズの根幹部分を形作っていた要素である序審法廷制度((当シリーズに登場する架空の制度。増加する犯罪に対抗するため、裁判を集中して3日で終わらせるというもの。もちろん本作でも扱われているが、前作では「法廷は証拠がすべてで、たとえ「誰が見ても明らか」であっても、明確な証拠を持って真犯人を告発できなければ被告人の無罪を勝ち取ることができない」という点が問題にされており、そのための対策として裁判員制度を取り入れたことになっている。))を問題視し、メスを入れ崩す」というある意味ゲーム世界をひっくり返すストーリーを作った上で、新制度を取り入れ法の新時代を迎えるような流れがあったのに、それが一切考慮されていない(それで前作のストーリーが破綻していたのはともかく)。 //--公式コンプリートガイドでは「『4』の時に「暗黒時代」という言葉は出ていたが、具体的に何なのか示すようなことはされてなかった」としている。しかし、『4』で言う「暗黒時代」は前述の序審法廷制度の問題だと考えられるのだが…。 -そもそも、&font(b){本作の「暗黒時代」がそんな大層な物には見えない}。 --設定上、暗黒時代の開始は『3』の一年後ということになるが、逆転シリーズはそれ以前の時系列でも、強い権力を持ち証拠の隠蔽や捏造を図って主人公を苦しめ、多くの人々を不幸にしてきた大スケールの悪役が多数いる。彼らを差し置いて「暗黒時代」と言われても…。 --尤も、「一部の権力を持った者たちの腐敗と暴挙」よりも「権力の有無に関係なくそのような蛮行がまかり通っている時代」という意味では確実に暗黒時代と言えるが、前述したように本作の検事・弁護士・犯人はほとんどその時代に応じた動きをしているようには感じられない。 --さらに根本的なことを言えば、冤罪・捏造の横行は初代逆転裁判の時点でシナリオの根幹として存在しているので今更感が強い。 ---一応大雑把に説明しておくと、その頃における法曹界は「&font(b){刑事裁判において無罪判決はまず出ない(冤罪上等)}」「&font(b){法曹関係の官僚の大半が一つの企業にほぼ完全に支配されていた}」「&font(b){そもそもその官僚の多くが犯罪に関与}」といった状態。『5』で語られる暗黒時代よりよっぽど酷いような。 ---そもそも、「弁護士が捏造」「検事が殺人」という事件も今に始まった話ではなく過去作『1』の4話での弁護士・検事はこれ以上に悪質なことをしていた。 ---そしてそれらは既に解決済みである上、現在の検察のトップはあの御剣である。 -ファンに衝撃を与えたであろう「爆破され崩壊する法廷」だが、実は暗黒時代そのものとはあまり関係ない。文字通り、ただ爆発に巻き込まれて法廷が破壊されただけである(テロで法廷が狙われた等ではない)。 --これについては公式コンプリートガイドで「「法の崩壊」「暗黒時代」と言われても絵的にわかりづらいので、暗黒時代とは別に法廷の物理的な崩壊を描いた」という旨の発言があるが、暗黒時代と直接つながらないためかなりモヤモヤした雰囲気になってしまっている。 --「法廷崩壊」という大げさなキャッチコピーの割に、壊れる法廷は一つだけ。要は建物の一角のみ。 -このように”法廷崩壊””法の暗黒時代”などのキャッチフレーズに中身が名前負けしてしまった原因は、当初作られたストーリーがボツになってしまったために、ストーリーの枠組みが決まらないうちから人の目を引くインパクトのあるキャッチフレーズを決めてしまい、とにかく、インパクトのみに追求した話になってしまった事が、ファミ通のインタビューから推測される。 ---- #endregion **キャラクターについて -本作で復活を遂げた主人公、成歩堂龍一のキャラクター性には賛否がある。 --断りを入れておくと、主人公として復活を果たした点については高く評価されている。 --先述の通り、本作では部下を見守る上司としての側面が強調され、続く『6』でもこのキャラ付けとなっている。しかし裏を返すと「『3』以前の(いい意味で)ドジで未熟な面」が薄まってしまったとも言える。 --このため、過去作のファンの中には「『4』以降のナルホドくんは受け入れられない」という者も。 --尤も、本シリーズは初期三部作で彼の成長を描き切ってしまっているため、シリーズ展開が続いたことによる避けられない弊害でもある。 -キャラクターの描写に支離滅裂なところが多く、作中世界でも罪に問われると描写されている行動をしておきながら、処罰どころか反省すらしていないケースやコロコロ立場が変わるキャラクターがとても多い。これは『4』でも批判されていた。(サブキャラだけではなく、主要キャラも) --全編を通じて&font(b){特に理由もないのに何度も偽証をする}証人たち、第2話にて警官に職務質問をされた際の心音の行動や捜査中はもちろんのこと法廷中ですら平然と窃盗を行う証人、特別編の真犯人に対する処罰等がその筆頭。 -証言台に立つ証人たちも自分たちの証言に責任を持つ者など1人もいない。 --本作品では本当に私利私欲な理由や、ただの思い込みで被告人を陥れようとしている証言ばかりである。過去作品であれば当人としては正直に話していて、見間違いや錯覚などで勘違いをしている証言を弁護士が指摘するのが普通だった。 --また、第2話の真犯人の動機や、夢遊病の娘を奉公させる父親、第3話の親友だと言っている被告人を自分勝手な偽証で陥れる友人キャラなど完全なる意味不明で矛盾している行動をとるものが多い。(小学校の給食費泥棒レベルならまだ話はわかるのだが…) ---第3話は被告人も被告人で、親友のココネが必死に弁護してくれているにも関わらず、ココネとは別の友人の犯罪を隠蔽するために偽証している。被告人の偽証は罪に問われるものではなく、友人の犯罪も実は誤解なのだが、問題は被告人も友人たちも法曹関係者を志望していること(友人たちの方は、当初は法曹を針路から除外しており、それが関係していた可能性はある)。 --また、彼ら全員、他人に迷惑をかけようが、&font(b){自分勝手な行動の結果で人が死のうが自分が大切だと言っている人が苦しもうが}自分や他人が犯してしまった罪に対して一切反省しようともさせようともしていない、それどころかむしろ正当化しようとしている。さらに誰もそのことについて責めたりはしない。 --特に最終話の法廷を開かせた人間と特別編及び最終話の犯人は結果的に被害も大きくとても許しておけない罪を犯している。 --注意しておくが、彼らの行動の中で情状酌量の余地のあるものなど1つもないものが多い。 ---そのためか人によってはなかなか感情移入しにくい面もある。 -検事キャラクターであるユガミは、ギャグを受け入れられないプレイヤーからはかなり批判されている。 --法廷での彼の態度に必死さは全く無く、ただ淡々と法廷を進め都合が悪くなれば裁判長を脅迫するやり方である。唯一の長所である「心理操作」も&font(b){プレイヤーがなんら対応策をとらずとも勝手にオドロキ達が論破してしまう為にプレイヤーは何もする必要は無い}。ボタン連打してしまえば勝手に裁判が進んでしまうためにプレイヤーからしてみれば&font(b){強敵であるはずなのに戦い自体が無いという無意味な結果に終わってしまっている。} --アクションこそあるものの、負けるとわかったら簡単に手のひらを返して最後までふてぶてしい態度を続ける姿は爽快感の欠片も生み出さない。そもそもこの男は成歩堂世代の検事に見せた「被告人を有罪にするために証人を守ろう」と言う態度が一切ない為、プレイヤーからは本当に敵なのか?と思わせてしまっている。そして、あらゆる意味で敵ではない。 --また、この男は誰も人を殺していないが、数々の問題行動を起こして何人もの人を苦しめている。また、間接的とはいえ自分の個人的な目的の為に無関係の人を十数人見殺しにするに等しい行動を取っている。 ---その問題行動の数々に対して、反省する事も無く、誰もフォローをせずに最後まで善人扱いしている。スタッフはこの男のした事についての設定をまじめに考えていたのだろうか? #region(ユガミの問題行動(ネタバレ多く含む)) -7年前の事件において、とある少女が母親を殺してしまった殺人の罪をかばうために自分が犯人だと偽りの自白をして囚人となる。 --これだけを聞いていれば、単なる心優しいキャラであるが、問題はこの男は検事でありながら現場を全く調べようともせず、少女の話も詳しく聞かず、調査不足の段階で現場に細工をして無理矢理自分に罪を着せようとしたというところだ。 --少女が犯人だというのはユガミが現場の状況からそう思い込んだだけであり、真犯人は別にいる。つまりユガミの早とちりな行動により真犯人が野放しにされたことになる。 ---ちなみにこの時点で、真犯人は数多くの手がかりを残しており、ちゃんと調べてさえいれば真犯人を捕まえられるかどうかはともかく少女が犯人ではないと言う事は簡単に証明できる状況であった。 ---さらに、当時起こった事件は殺人だけではなく、同じ施設内で殺人と爆破事件が別々に起こっていた。爆破事件についても、ユガミが殺人を自首したことで同一犯だと看做され捜査が不十分なままに終わってしまっている。百歩譲って殺人の罪を被るのには目を瞑るとしても、幼い少女にはできるはずのない爆破については「自分ではない」と主張しなかった理由がわからない。(強いて言うのであれば爆破犯を調査することによって、何らかの拍子または偶然で、殺人の罪を被ったことを知られてしまうのを防ぐためという見方もできるが、いくらなんでもそこまですると狂人としか言いようがない、爆破犯が調子に乗って爆弾によって何百人も殺す事件を起こしたらどうするつもりだったんだろうか?) ---しかもその真犯人は少なくともその7年後に一人のとある青年を殺している。その青年の上司は「爆破犯であるはずのユガミが捕まっているから警備が強化しようにも許可されずに本物の爆破犯にむざむざ殺されてしまった」という発言をしている。つまりこの男の理解不能な早とちりの独断専行が100%の原因で人一人は殺されてしまったということである。 ---そもそも被害者はある犯罪者について調べており、命を狙われる理由があった。ユガミもそのことを知っており、被害者の死後にその調査結果が奪われないよう隠している。件の犯罪者が真犯人である可能性に思い至らなかった訳ではないようなのだが…? ---さらにこの調査結果を隠している行為すら、結果的に真犯人につながる証拠を隠し続けるということで真犯人を喜ばせる結果となった。 --これらの行為について、作中では何らフォローを入れておらず、本人の自白と細工で起きた冤罪にもかかわらず、不当に冤罪を受けたとして御剣に謝らせたりしている。 --このあまりにも不可思議な行為の動機について作中では「師匠である被害者の娘を守るための忠義」としてあるが、それならばそれできちんと現場を調べてから罪を被るべきだろう。現場をろくに調べもせず、勝手に細工をするなど検事として言語道断。 --また、少女は真犯人を目撃しており法廷で証言したのだが、ユガミの自白がある状況なので取り合ってもらえず「自分の言っていることは信じてもらえない」と非常に傷ついている。その辺のフォローはまったくされていない。 --7年後の裁判では自身の(偽りの)動機について、「師匠に虐待されていた娘を救おうとした」などという残酷な嘘を堂々と話している。少女の無罪のためなら師匠の名誉を傷付けてもいいという姿勢からは「忠義」は感じられない。 --結論から言うと、もしもこの時ユガミが検事としてちゃんとした捜査をしていれば7年後に事件が起きることも少女が苦しむこともなかったはずである。真犯人は捕まえられるかどうかはともかくとしてこの時点での行為ですら見逃せる範疇にない。 -こうして異例の囚人検事として検事席に立つこととなる。 --検事局長である御剣のお陰なのだが、此処までの問題をしでかした人間を法廷に立たせる理由などは一切明かされない。一応、「法曹界の暗黒時代を終わらせる為」といってはいるもののその法曹界の暗黒時代を生み出した人間に頼るなど手段と目的が180度違う、&font(b){放火魔に火を消してくれといっているようなものだ。} -そして囚人になってから7年後、また無茶苦茶なことをやりだす。 --弟の無実を信じるユガミの姉が、前述の少女を被告として7年前の事件の再審を要求し、そのために12人もの人質を取って立てこもり事件を起こす。「弟の無実を証明できれば人質を解放する」、つまりできなければ人質を殺害するという要求である(実際、バッドエンドでは「行方不明」とぼかした形ではあるが人質の死亡が示唆される)。この点に関してはユガミも想定外だったらしく、彼女を擁護している。 ---この様な状況で起こされた裁判など、後から無効を訴え出ればまず認められるだろう状況なのだが…。 --裁判が進み、被告人が有罪となるその直前になってユガミが行動を起こす。証人として無理矢理入り込んで自分を有罪にしようとし始めたのだ。 ---前述の通り、この裁判は立てこもり犯の要求によって起きた裁判であり、その裁判の結果によっては12人もの人質の命が左右されてしまうのである。 ---つまりこの裁判で自分が有罪になることを望むということは、人質たちを皆殺しにされても構わないということである。 ---何故か姉を説得しようとはしない。そもそも姉が凶行に走ったのもユガミが元凶なのだが何とも思わないのだろうか。 --結局その裁判で真犯人が暴かれ、被告人も彼も無罪ということで落ち着いたが、この男が自分のしたことについて反省することは最後まで1度もなかった。 ---余談だが、姉も自首はするものの反省の様子は見せない。そればかりか母親の名誉を傷つけられた者や勘違いのせいで親友を殺された者、家族を人質に取られた者でさえ姉弟に怒りをぶつけるようなことはしない。この姉弟の擁護のために他キャラの描写までおかしくなっている。 --ここまでのことをしておきながら、エンディングの描写では検事職のままでいることがうかがえる。この男に何らかの処分は下されなかったのであろうか? ---- #endregion //同じ記事内で真逆のことを言うのはいかがなものか、いっそのこと「評価点」の登場人物からこのキャラを消したらどうか。 //文章がわかりにくかった所を修正 //Q&Awiki関連の記述は削除。流石にソースとして挙げるのはどうかと -真犯人の動機付けがいずれも弱く、犯人は逮捕後に検事から「動機は○○だと自白した」と報告される。という形で済ませるケースがほとんど。 --今までは程度の違いこそあれど、様々な背景事情を描き動機付けをしていたが、本作はどの犯人もただの悪党に過ぎず、全話を通して「悪人である真犯人が私利私欲の為に清廉潔白な被害者を殺害し、全く罪のない被告人に罪を着せた」という構図で収まってしまっている。動機の内容も「子供がわがままを押し通してカッとなって殺した」クラスである、本作はそれしか無いと言っても過言ではない。 --トリックは行き当たりばったりで運頼み、動機は幼稚、言い逃れは内容が全くなくボケでごまかそうとしているとしか見えない、警察の不十分な捜査と意味もなく偽証を行う証人たちがいなければ、即逮捕されてしまうような犯人しかいないため、犯人に対して同情はおろか感情移入がしづらく過去の犯人たちが見せたカリスマ性は皆無である。まだミスが多くても主張が一貫している4のラスボスの方がカリスマ性はあった。 //動機の弱い犯人や、行き当たりばったりで何とかする犯人は過去作でもそれなりにいたと思うんだけど… //「何の工作もしていない」「CMに出している商品を販売すればよかった」「警察が死体を調べればすぐにわかる犯人」までの犯人はいませんでした。 #region(また特別編では) ---- -このような真犯人の傾向に変化をもたらすためか、上記の様に特別編では「同情の余地が多く、犯行を反省し、結果軽い刑罰で済む真犯人」が描写される。 --しかし、実際は特別編における犯人も&font(b){多数の許されざる罪を犯しており、むしろ軽い刑罰で済んでいることが不自然}になってしまっている。 ---この犯人がやっていることは一見同情の余地があるが動機と犯行が一切かみ合っていない、犯人が自分の素性を明かすか、ちゃんと調査をしていればていれば簡単に回避できたはずの事件であるため、最後に贖罪の言葉を吐くのだが白々しいと言う見方もある。そもそも、この犯人は被害者の死後の問題行動について一切反省していない。 ---例えるならば「たまたま事故死した大切な人の現場で、傍にいただけの無関係な犬に逆恨みして、事故の原因をよく調べずに、犬を殺そうと辺りに毒薬をまく危険な行為をして、誤って飼い主が死んでしまったので、犬に責任を押し付けようとした」という外道な行いである。事前に飼い主に確認を取ろうとすらしていない。 #endregion #region(具体的に。(重大なネタバレ注意)) ---- -最終的に、被害者の死は事故死と判断された。しかし、&font(b){被害者の死の原因は真犯人が作った}ため、事故死ではなく過失致死である。 --しかも、事故の防止や救護を怠っているため未必の故意による殺人罪の適用すら考えられる。 --犯人の自白の後、成歩堂は「ハシゴを上から掴むようについていた真犯人の右手の指紋」と「被害者の右手についていた痣」を理由に、真犯人は被害者を助けようとしたと主張し、法廷でもそれが認められた。しかし、&font(b){それらの証拠が事件発生時に出来たものか分からない}以上、これらの証拠だけで真犯人の救護の意志を認めるのには無理がある。 ---それどころか、「ハシゴを上から掴むようについていた真犯人の右手の指紋」は、本当に被害者を助けようとしていたのか証明しない限り、むしろ犯人が殺意をもって落そうとしていた証拠になりかねない。 --もし被害者の転落は事故だったと証明できたとしても、作中の描写で見る限り被害者の体の損傷は軽く、医者が診なければ生死が判定できないような状態だった。自らの不注意で事故を起こしてしまったとしても、普通の人間ならばすぐに救急車を呼ぶなどして救護を行うだろう。つまり、真犯人は助かるかもしれない人を自らの目的の為に見殺しにしており、悪質である。 -さらに、&font(b){被害者が死亡した後の真犯人の行動は大変悪質}であり、情状酌量の余地はない。 --真犯人はあろうことか「事故死」した被害者の死体を利用した偽装工作をして責任を逃れようとした上、被告が被害者を殺したように見せかけ、法廷では自白の直前まで「被告が犯人である」と虚偽の主張を続けた。 --真犯人の目的は被告の殺害であり、もし真犯人に被害者の死の責任を負う覚悟があれば、それを達成することは容易であった。しかし、真犯人は責任を回避し、事故の原因と思われる被告に濡れ衣を着せようとした。 --真犯人に情状酌量の余地があるとすれば、恋人の死の復讐を果たそうとしたという動機の点だけであり、その他の点に関しては&font(b){一片も情状酌量の余地は存在しない}。 -真犯人は、法廷で成歩堂に追い詰められた後に自白するが、その内容にも問題がある。 --自白の内容は「罪を着せる相手を被告と間違えた以上死んで償うしかない」という自分勝手が過ぎるものであり、他の数々の悪行を反省していない。 --さらに、自白の内容が真実だとすると、危険な状態だった真犯人の為に自ら死を選んだ被害者の懇願(「誰も恨まないでやってくれ」)を真犯人は無視したばかりか、その後に被害者の死体を利用した偽装工作に及んだということになる。極めて悪質な犯行と言える。 -そんな真犯人は劇中で更生の可能性を認められ、数ヶ月で元勤務先の水族館に戻ってきた描写があるが、この描写によってむしろ消化不良気味の結末を迎えてしまっている。 --単なる悪人だらけの本編の真犯人とは一味違う真犯人を描写する意図があったのかもしれないが、実際は特別編の真犯人もかなりの悪人である。そのせいで、殺人こそ犯していないものの&font(b){悪質な犯行を重ねた真犯人が、不十分な証拠で情状酌量されたあげく、不自然なほど軽い刑罰で済む}という結末になっている。 --ただし、出所したとは明言されておらず(最後の最後で「帰ってきた」と言われているだけに過ぎない)、実際に受けるべき量刑を踏まえると(刑罰の重さと職業は違えど)ユガミの様に服役しながらの勤務が認められた可能性も否定できない。 --自らの調査不足と勘違いの結果で人を死なせた男がその現場でまた働くというのは危険とは思わないのだろうか?同じような事態が起きたらまた危険なことをするとは考えないのだろうか? ---- #endregion -最終話の黒幕が姿を現してからの展開が不評。真犯人の正体が発覚するまではともかく、そこからの追求が尻すぼみ気味との声がある。 --登場直後まではいいのだが、ある程度話が進むと一気にラスボス感が薄れる。また、クライマックスでの追い詰める流れが「急に陳腐になった」「安っぽい」とも指摘される。 --今作のテーマである『法の暗黒時代』そのものとの関連性で言えば、第3話の真犯人の方がよっぽどラスボスらしいとも言われる。 ---小物臭い黒幕という意味では『4』の黒幕と同様ではあるが、ネタキャラとしての人気は出た『4』とは異なり、こちらは愛嬌のある部分はほとんど無く、&bold(){ネタキャラとしても評価されていない}。 --設定に関しても「いくら逆転シリーズでもトンデモに過ぎる」「設定を盛った割に活かせていない」との批判が少なくない。 #region(ラスボスの超設定(重大なネタバレ)) ---- -ラスボスは他人に成り済まして一年ほど生活しており、その間誰にも成り代わりに気付かれていない。 --これは完全に相手そっくりの顔になることができる卓越した変装技術と、長期間にわたって相手に成り切る演技力によるものである。 ---が、変装技術はこの件とギャグ演出にしか活かされていない。十分な準備をして計画的に行ったはずの過去の犯罪でも、他人の顔になってわざと防犯カメラに写れば簡単に罪を着せられたはずだが、何故かそうせず非常に不確実で回りくどい手段を取っている。それどころか、顔を隠すために現場にあった物を拾って使っている始末。現場には人の顔を認識する機械があったため「変装でも機械はごまかせないから」という言い訳が通用しそうだが、それなら変装の上から自前で用意したマスクなどを被ればいいのであって…。 --因みに、成り代わりについて伏線は一切存在しない。というか、成り代わられた本物と面識がある人物が出てこないので伏線の張りようがない(知り合いの可能性がある人物はいるが、特に言及はしていない)。そのため、本物は恐らくラスボスに殺害されているのだが誰にも死を悼んですらもらえない。気の毒。 ---成り代わった後で知り合ってそれなりに親しくしていたはずの人物すら、今まで騙されていたことにショックを受ける様子もない。ショックの方が大き過ぎてそれどころではなかったのかもしれないが、流石にちょっと薄情な気がしなくもない。 --ラスト近くで唐突に今まで特に怪しい素振りのなかった人物が容疑者として浮上し、しかし動機は? 真犯人の共犯者なのか?と主人公たちとプレイヤーを悩ませた挙句の「実は犯人の変装でした」である。 -事件現場からの逃亡の際、ラスボスは「落ちたら確実に死ぬ高度で」「安定しているとは言い難い足場から」「わずかな助走で」6メートルの幅跳びを敢行し、見事隣の建物に飛び移っている。 --これは超人的な身体能力と、自己の感情をコントロールし死の恐怖を克服する技術によるものであるらしい。 ---ただし、そんな身体能力がありながら、別の事件の際はパニックに陥った一般人の小学生に攻撃され傷を負わされたりもしている。警戒していなかった相手からの不意打ちならともかく、一撃目を回避した後の二撃目が命中したとしっかり描写されているのでどうしようもない。 -上記のようなチート能力を持っている理由は「&font(b){訓練を受けたプロのスパイだから}」。 --一応この事実が判明するまでの間に、現場となった施設に産業スパイが入り込んでいた可能性がある、ある人物はそのスパイが真犯人だと推理している、などの話題は出てくる。なのでスパイの登場自体は唐突なものではない。 --産業スパイとして活動していた際の依頼元は一切明かされない。殺人事件の動機と直接の関係はないのだが、元を断てていない以上、舞台の施設は今後も別のスパイが送り込まれてくる不安を抱えたままである。すっきりしない。 ---それどころかラスボスの正体について明らかになるのはスパイであることと通称だけ。&font(b){本名・出自・どこで訓練を受けたかなどは一切不明、最後まで変装したままなので素顔さえ不明である。}逮捕はされるが、正体を暴いたという爽快感は皆無である。というかこれは暴いたと言わない。 ---ラスボスがこれまで成歩堂達を欺いていた変装を解くシーンは、その下に何重にも重ねた変装で成歩堂達を翻弄するだけに終わる。いかにも「衝撃の素顔が明らかに!」というようなタメを入れておきながら、実際は「正体が全く分からないほどの卓越した変装技術の持ち主でした!」と言うだけの何とも肩透かしなシーンになってしまっている。 -トンデモ設定・チート能力というだけなら、本シリーズには初代から霊媒師が登場しており、法廷で悪霊と対決したことさえある。それに比べればスパイはまだ現実的だ、と思う向きもあるだろう。 --しかし、霊媒はファンタジー的な設定ではあるが、作中での設定は明確化されており「霊媒中は降りている霊の生前の姿になる」「まだ生きている者の霊は降ろせない」「同時に二人の霊媒師が同じ霊を降ろすことはできない」といったルールが提示されるため、推理に組み込むことに不都合はない。ある意味フェアなのだ。 --だが、「訓練されたスパイがどこまで常人離れした能力を持っているか」を推測する材料は作中にない。推理物としては反則と言える。 ---先述の通り、逆転シリーズはエンターテインメント性が第一であり本格推理ゲームではない、と言ってしまえばそれまでなのだが…。 -さらに言えば、黒幕がなりすましていた人物のインパクトが強く人気もあるキャラクターだったために、物語の終盤で真相が明らかになるにつれ大きな喪失感を生むこととなった。 --その人物は第5話の終盤で突如「実は死亡していた」と明かされる。結局この人物の生前の姿は一度も見ていないことが分かり、さらなる喪失感を生むこととなる。 --黒幕の正体にインパクトを持たせるためにその人物を印象的なキャラクターに仕上げたと思われるが、人によっては愛すべきキャラクターにまでなってしまうこともあり、&font(b){本編を通して好きになったキャラクターが実は黒幕のなりすましであり、なりすまされた本人は本編に関わる前に死亡していたとあっさり告げられる上に死亡時の状況等は一切分からず、肝心の黒幕はラスボスとして今ひとつ}という、ゲームクリア後も引き摺るレベルの虚しさを生む原因になっている。 ---少なくとも、黒幕の演技力が非常に高いことは確かなので、本物は黒幕が作中で演じた通りの好人物であった可能性がかなり高いことだけが救いか。 --更に言えばその「なりすまされていた人物」はDLCの番外編・クイズ逆転推理双方に登場する。時系列的にはまだ正体は割れていないのだが、大抵の人がクリア後にプレイすると思われるDLCコンテンツなワケで、(プレイヤーが)''穏やかな気持ちで顔向けできない''。 --結果、先述のような「本物の方の(性格もそっくりな))親族を出して欲しい」といった意見だけでなく、''「設定変更して実は奇跡的に生きていたことにして欲しい」''という意見まで出てくるようになってしまった。 -しかもこのラスボスのラストのブレイクシーンが非常に意味不明かつ理解不能な結果となってしまっている --成歩堂たちに最後の証拠を突きつけられ動揺し変装している自分の仮面を話していく、そして最後に本来の素顔をだすのかと思えば何者かによって狙撃されてしまう。(裁判を行っている法廷は爆破によって天井が崩壊しているためそこから狙われたと推測される) --こうしてラスボスの、素顔がわからないままで裁判は終わってしまう。(当の本人ですら自分の名前どころか素顔さえ覚えていない) --狙撃犯の正体など全く分からないまま、狙撃で狙われているのかもしれないのに誰も避難をせず、ただラスボスは生き延びたという裁判長の言葉だけで無罪判決を行ってしまう。 --この時点で既に理解不能なのだがせめて狙撃で狙われているかもしれない現場からは避難しようとしないのだろうか?その狙撃犯がラスボスだけを狙っていると言う情報はどこにもない。 ---- #endregion **ロジックについて -先述の通り、トリック・現象・証明に勘違い、間違いが散見される。 --例をあげると「何故か法廷に持ち込まれた実物の爆弾」「死後12時間で溶ける死後硬直」「三階から死体を落としてもマットがあれば損傷しない」等。 -また、そのトリックに対して『4』であった3Dによる解説、犯人の行動の一枚絵などがまったく皆無であるために犯人の1連の行動非常にわかりにくく、トリックの説明を「○○なんだから××にきまっているだろ!」と説明もなしに主張する荒っぽい力技で押しているとしか思えない描写がいくつかある。(最終話の犯人の逃走経路、特別編のホイスト等がその筆頭) //図の解説はあったと思うが //実際に使われたトリックについてはほとんど皆無です -さらにすべての物事が犯人の都合の良く進んでいるとしか思えない現象がいくつもある。 --犯人達の行動が一見巧妙に見えるがそれは、運がよく事態がうまく進んだ結果であり、過去作にあった計画的に証人をだましたりするトリックが皆無で、証人達の自分勝手な偽証や問題行動がなければ即逮捕されているようなものしかない。 --また、トリックの内容も一見巧妙そうに見えてクリアした後冷静に考えてみれば行き当たりばったりで機転が利いていない事が多い。また、犯人以外のキャラの中には犯人達の為に動いているとしか思えない者までいる。また、証拠隠滅の手段も簡単であるのにそれをしなかった犯人が多い。 ---全ての事件で最大の問題となるのが「被告人には逮捕される理由が全くなく、犯人に嵌められたわけでもないのに逮捕されてしまうと言う事」である。ダイイングメッセージがあったとか現場に確実に居たとか目撃者がいたとか、そんなものは一切ないまま「ただ単に怪しいから逮捕」されている。 --第一話の犯人はある人間が騒ぎを起こしてくれたおかげで事件にはなったものの、すべての行動が明らかに苦し紛れの行動でしかない。そもそも、被害者である被告人を逮捕した説明も言いがかり以外の何者でもない。 --第二話の犯人は目撃者に対して何ら警戒をしていないので、運が悪ければ殺害現場を見られて即逮捕されるものである。また、かつらをかぶっておけば逮捕される事は防げたはずである。また、毛髪が証拠となっているが、毛髪が証拠品についていただけで「いつ」「どこで」ついていたのか証明しない限り証拠としての価値が無いはずではないのだろうか? --第三話の犯人に至っては先に真犯人が調べられれば&font(b){被告人が逮捕されたのと同じ理由}で真犯人のほうが先に逮捕されているはずであり、そもそも裁判自体話が脱線してくれたから長くなったものの最後のカンガエルートだけで終わってしまう代物だった。そもそも殺害した時刻が学園祭前日であった以上その辺の材木にすればよかったのに自分の私物をトリックに使い逮捕されるなどこじ付けにも程があるだろう。 --第四話の事件の犯人など、5話に続いたから問題にはならないものの外部からの侵入者が入ってきて殺したと言う話である。推理ものの常識がぶち壊しである。 ---ラスボスに至ってはどんな名探偵が相手でも完全犯罪が可能な超人的能力を持ちながら、あまりにもミスが多く、やり方も裁判官の目の前で証拠隠滅を行うなど悪い意味でやりたい放題である。 ---そのせいでトリックの謎が多く、不十分な証拠で物事を断定しているため特別編に至っては「真実は全く違うんじゃないか」と言われたりしている。 --旧作にも現実的に不可能と思える「冷静に考えるとスッキリしない点」が多数あったが、作中での解説不足で済ませられるレベルで審議の内容は充分だった。 //偶然の連鎖って…それ過去作にも言える事では?そこ突っ込んだら逆転裁判のほぼすべてのエピソード全否定な気が //今までの比ではないという事です //っていうか、たとえば第1話は「法廷に恨みがあると考えられるから」って説明あったじゃん //説明になっていないから出しています。 -法廷内での審議の内容が殆ど事件に関係がなく、勝手な憶測だけで進んでいく事が多い。 --法廷内の全員が自分勝手な推論を話し都合が悪くなれば、証拠も無しに人を犯人又は共犯者と、推測と推論のみの空中戦で話が進む。 --しかもその主張が証拠も無い推測のみのいいがかりであるにも拘らず通ってしまうから始末が悪い。 --また、根拠すらない間違った選択肢を選ばなければ先に進まないと言う本末転倒な点も多い(典型的なのが「コラシズヤレイ」である)。 //間違った事実を基に推論が進む展開は過去作にもいくつかあるので微修正 //今作は根拠すらありません --これは、事件の最初だけではなく最後の犯人に対する証明までも憶測だけでの決め付けが強い。(特に特別編の最後の証拠品など、あまりに議論不足が酷い) --前提となっている証拠品や証言も警察のミスや特別な理由のない偽証でころころ変わり、長々と続けた議論が最終的に何の役にも立たないパターンが多い。特に第3話で顕著。 --これらの証拠品について出所などを全く調べないで法廷に出すので本当にどうしようもない。第五話のライターの指紋など、それだけで証拠を出した人間と関わった人間全員を逮捕するべきものである。 --今までの作品でも多少の見落としはあったが、今作では精密検査に間違いが多く死因すら間違え、さらに犯行現場を調べていないという始末である。 --証言すら、言ってしまえば「だからどうした?」と言える事件に関係のないものも多く、証拠もなしにその証言を信じろというものばかり(特に第三話の証人と最終話の真犯人の言い逃れは&font(b){子供の言い訳以下}の荒唐無稽な内容だった)。 -証明は更に酷く事件について関係がなく意味がないとハッキリした状況ですら、その議論を続けようとする。更に、検事が実際ありえないであろう証拠、証言で難癖をつけて被告人を犯人にしようとしている。 --また、審理の流れについても今までは、一日目の法廷で検事の論証に疑問を提示し審理を引き伸ばし、二日目の法廷で一日目に出された疑問を解いて犯人を追い詰めるという手順だったが、本作では一日目の法廷が結果的に事件についてではなく嘘を暴くだけで終わるのでシナリオとして必要性は無い。 --旧作ならば弁護側が推論を出すと「証拠を出せ!」と言われて証拠品の開示を求められていた。また警察も見落としがあっても間違った情報を出す事は無く。事件に関係の無い話題は殆ど無かった。 -作中において人の死を軽く見すぎている点が非常に多い。 --特に第三話のラストでは「人望の厚い教師であるはずの被害者が死んでいた事件現場で、まるで文化祭のようなパーティをやりだす」というエクストリーム不謹慎をやらかす始末。追悼式といった感じの雰囲気は一切存在していない。 //「亡くなる前まで文化祭の準備に尽力していた被害者に報いるために中止のところを再開することになった」と理由は説明されているし、それを踏まえれば「不謹慎なお祭り」じゃなくて「文化祭を成功させることが追悼になる」と言うことも読み取れると思うんだが //だったら文化祭を延期して追悼してから文化祭だろ、追悼の前に文化祭それも殺人があった現場を使うのは言語道断。ま、普通は教師同士の殺人が起きたら中止だけどな **その他 ''皆勤キャラクターの不採用'' -これまで皆勤賞だった人物や一部主要人物が外れることになった。 --亜内検事はこれまで「第1話の対戦相手」として定番だったのだが、本作では彼の弟が登場。そちらに立場を譲っている。 ---時系列と年齢から考えると、おそらく定年退職が理由であると考えられる。 //((6にて海外の法定で検事として就任していることが明らかになる)) //6に登場しているのは弟です --糸鋸刑事も登場しない。彼は『検事』シリーズまで含めて皆勤賞という貴重な存在だったのだが、今回でそれを逃すことになった(「クイズ逆転推理」では彼を連想させるテキストがある)。 --『4』の刑事役だった宝月茜も登場せず。『4』の主要人物では設定上登場不可能なあるキャラを除き唯一外れることになった。 --また『検事』シリーズが初登場の人物は一切登場しない。 --しかし裁判長は同一人物である。設定では『1』から実に10年目になるのに、全く容姿や性格に変化がない。本編シリーズでは成歩堂以外で唯一の皆勤キャラとなっている。 ---ただしそんな彼も『検事2』では登場していないため、(背景出演などの特殊なケースを除いて)純粋な意味での皆勤キャラは糸鋸刑事を最後に今回で潰えることになった。 -ただし、『1』から10年経っている事や作品を重ねるごとにキャラクターの入れ替わりがあることは当然であるため、一概に問題点とすることもできない。 ''『4』との関係'' -『4』の消化不良についていくつか解決はされたものの、全ての問題の解決がされたわけではない(成歩堂や牙琉に関する(一部を除いた)数々の事柄、裁判員制度など何故か一切触れていない部分が見受けられる。これについては『[[逆転裁判4]]』参照)。『4』の設定やキャラを持ち込んだ続編でありながら、「『4』をなかったことにして仕切り直しにしようとしている」とも見れ、どっちつかずな所がある。 --といってもこれは『4』自体がかなり微妙なところの作品で、あまりにフォローがしがたい問題点が多く、また『4』のネタバレに深く触れることもできないということを考えるとやむを得ないとしか言いようがない。『4』を完全に抹消しようとも、引き継いですべてに穴を埋めようとするにしても、どうしても祖語が生じてしまう。 --むしろ「あの状況から『4』を抹消せず続編を作り上げた」という点で評価されていることも多い。 --続く『6』でも『4』及び本作で説明しきれなかった部分の消化が多く行われたが、そちらは『4』から続くストーリーに区切りが付く事もあってか問題の解決が多く成されている。 ---- *問題点 **演出面 -全体的に演出が過剰で、テンポが悪い部分が多い。 --「法廷内で突然「待った!」がかかる→バン!という効果音と共に法廷内の人物に次々とカメラが切り替わる→大きな効果音と共に「待った!」をかけた人物を映し出す」というのはシリーズの定番演出であるが、本作ではそれがくどいほど多用される。 --同じく検事側からかなり鋭い反論をされる→「うわ(いや)あああああああああ」→「あああああああああああ」→「あああああああああああ」→(頭を抱えた弁護側)という演出も何度も使用される。あああああの並ぶ台詞ウィンドウはプレイヤーを「またか」と思わせる。 -立ち絵を3Dモデル化したことによる弊害。 --3Dモデル自体はよくできており、2D時代の雰囲気を壊さないまま臨場感を強化してくれているのだが……。 --問題はアニメムービーや、従来通りの一枚絵による2D画像も併用されていること。本作で新登場したゲストの中には、3Dと2Dで見た目が別人と化しており、同一人物と認識し辛いキャラクターが散見される。 ---既出のレギュラー陣に関しては、元々2Dだったデザインに配慮しモデル化したためか、ほとんど違和感ないのだが。 --いちいち3Dモデルのキャラクターが律儀にアクションするため、会話中における感情表現のテンポが悪くなっている。 ---2Dの立ち絵と違い、動作の中抜きができなくなったことによる弊害。従来なら2~3カットの立ち絵変化でパパッと済ませたようなアクションでも、3Dキャラは中途を省略できずフルで動かす必要がある。表現の違いによるテンポの変化に配慮せず、従来通りの感覚で動作を設定したのだろう。 -「シナリオ上ここにムービーを入れる必要があるのか?」というような場面が多い。 --唐突に挿入されるため、テンポも悪い。スキップは不可能で字幕も表示されない。オプションでON・OFFの切り替えができればよかったのだが。 --携帯機という都合上、屋外で音を消したままプレイするユーザーも存在する。そうした場合、タイミングが一定しない事も相まってストーリーの理解に不都合が生まれる事も。 --次回作では章の中盤にムービーが流れる事が無くなり、字幕も表示可能になった。 //アニメーションの項は演出面の問題点にまとめられると思ったので移動。 --製作現場での連携が取れていなかったのか、本編との整合性を欠いており首を傾げてしまうような内容のムービーも。 #region(例えば) ---- -つい数日前に入院するほどの大怪我を負った人物が、ムービーでは傷一つなくなっている。 -本編中の小道具として手作りのチョーカー(首輪)が登場し、それを作っているシーンがムービーで描かれるのだが、それを観る限りなんと&font(b){陶器製}である。 --作った人物が陶芸を嗜んでいることは本編でも描写されているが、まさか首輪まで陶器とは誰も思うまい。どうやって着けるんだそれ。蝶番でもつけているのだろうか? ---- #endregion **「調べる」コマンドの制限 -探偵パートの根幹であった「調べる」コマンドだが、本作では原則として&font(b){事件現場しか調べることができない}。 --「''探偵パートがパワーアップ!''」と公式サイトで謳っておきながら、蓋を開けてみれば探偵パートのほぼ全てにおいて「調べる」ことが不可能であり、''実質的な改悪''や''古参ファンを釣った''といわれても不思議ではない。 --逆転シリーズは背景にある小物を調べたときの、時折ギャグが混ざったテキストが好評であり、シリーズ共通の評価点の一つだった。しかし本作では「調べる」こと自体が制限されているため、そういったネタを探す余地がほぼなくなってしまっている。 ---本作では3Dの視点移動や動く小物など、「調べてみたい」という意欲をますます掻き立てられるシステムになっている。そのため、なぜ「調べる」コマンドを制限したのかがより一層わからなくなる。難易度の易化を狙ったのかもしれないが、やりすぎである。 ---「クイズ逆転推理」では本編で調べられない場所のものを調べることが可能だが、これは有料DLCである。特別編と違い値段は安めだが。 **難易度の大幅低下 -初めてこのシリーズを触れる人を考慮に入れている事から、シナリオでは総じてヒントが多く、&font(b){難易度は非常に低い}。 --本シリーズの推理要素に対する高評価はそれなりに骨のある難易度にも裏打ちされていただけに、この易化を残念がる声も多く見られる。 --難易度の低下傾向は『検事』シリーズからあるが、本作は『検事2』のような極端な詰みポイントはなく、尋問で一定以上間違えるとパートナーがヒントをくれる機能やゲームオーバーになってもその場でコンティニューできる機能まであるため、歴代でも難易度は特に低い作品となっている。 ---ちなみにコンティニューを行うと、受けたダメージはMAXに回復した状態でゲームオーバーになった個所から再開され、間違えた回数も引き継がれるのでヒントも貰えるようになるといった、もはやメリットしか存在しないシステムになってしまった。 ---間違えた事によるダメージの量そのものは大きめだが、もはやシステムそのものが形骸化しているので意味がない。 -法廷パートでは証拠品を突きつける時や怪しい箇所を指す時に主人公が独り言で何(どこ)を突き付けるべきかをプレイヤーに教える場面が従来よりかなり増えている。また証拠品の数も従来のシリーズに比べると減っている。 -ココロスコープ・カンガエルートなどの場面では&font(b){選択を間違えても一切ペナルティ(ダメージ)にならない}ため、間違えたい放題になってしまっている。 //--その代わりカンガエルートは、わざと間違った選択肢を楽しむ遊び方もあり、次回作のカンガエルートはネタ要素の強い選択肢が増えている。 --サイコロックも間違えた際のペナルティがなく、また即座に解除できるような状況で出てくる為に非常に簡単になってしまった。こちらも形骸化しているといえなくもない。 -探偵パートでは、何をするにしても「○○をしてみよう」「○○に行ってみよう」などキャラクターがかなりの頻度で次にとるべき行動を示すため、「自分で何かをする」という機会がかなり減っている(「作業ゲー」と呼ばれる原因である)。 --特定の話を聞くと自動的にマップ移動が起き、&font(b){次の場所へと勝手に移動してしまう}ため、どこで誰に話しかければよいのかがわからなくなって詰むという状況がほぼありえなくなっている。 --これらのことから、「作業ゲー」「退屈で眠たくなる」「肩透かし」という意見もあり、これまでの逆転シリーズになれているプレイヤーにとっては物足りなさを感じてもおかしくはない。 -本作はかなりの親切設計がなされているが、「行き届いている」を通り越して「行き過ぎ」になっている。低難易度と便利機能がお互いに潰し合う状態になっており、新機能が一部空気化してしまっている。 --特に「探偵メモ」は謎解きに詰まった際の救済策として新たに追加されたものだが、これまでの逆転シリーズであればまだしも、&font(b){そもそも詰まりようがない本作}では、使う必要のない機能になってしまっている。 //-本作最終話にはバッドエンドが存在するが、このように難易度が低いのでわざと間違えでもしない限り到達することはまずないだろう。 //初プレイの自分は普通に到達したんですけど… **その他 ''全体的なネタの減少'' -『蘇る逆転』『4』であった科学捜査も廃止されたり、行える場所がかなり制限されてしまっている。科学捜査は好評だっただけに惜しい。 --ルミノール試薬は特別編のある場所でしか使えない。また指紋検出がシナリオに登場するが、イベントで勝手に検出してしまう。プレイヤーが指紋を取り出し照合するというプロセスはない。 --3D証拠品は1度だけしか出ない上に、任意で調べる事が出来ない。 -証拠品を突きつけたときの反応も少なめ。全くないわけではないが、シナリオに関係ない証拠品にはあまり反応が返ってこない。 --また人物ファイルは『1(蘇る逆転)』『4』『検事』シリーズと同様、任意でつきつけることができない。そのため、人物についての反応も見ることはできない。 -ネタについても、セリフ回しなどについては「巧が担当した作品と比べ、言い回しがマトモすぎて面白みを感じない」という人も多い。 -「''キャタツとハシゴ''」のネタは本作でも登場するが、&font(b){従来のネタはこれくらい}である。これもほとんどの場所で「調べる」ことができなくなったことの影響ということができる。 --「調べる」ことができなければ、これまで「調べる」ことで登場していたネタを入れることができなくなるのは当然の結果である。 ''有料ダウンロードコンテンツの導入'' -本作の特徴として、シリーズでは初めてDLCが導入されたが、''全てが有料での配信''である(期間限定で無料や半額になっていたこともある)。 -1つ1つのDLCの値段は高くないが、全てのコンテンツをダウンロードするとなると結構な金額となってしまう。 --ただのおまけ要素的なDLCであるならまだしも、特別編としてシナリオ1つがまるまるDLCになっており、本編で空気だった春美はこの特別編で主に活躍する。また、「調べる」コマンドも有料DLCでのみ制限が緩和されており、本編で制限されたものを餌にDLCへ誘導していると捉えられてもおかしくはない。 --DLCがこのような内容であるため、「''そもそも、なぜ本編に入れなかったのか''」という批判がなされる。 --当然ソフト自体が安ければそう言った声も少なくなるだろうが、本作は約6千円と3DSソフトの中でもどちらかと言えば高めの値段である。 ---一応、現在は3千円程度と安価で買える廉価版が発売されているため、この点については緩和されたとも取れる。 ---- *総評 シナリオそのものは大きな破綻もなくきっちり纏まっているものの、大幅な難易度の易化、探偵パートの根幹であった「調べる」がほぼ制限されている点や、ネタの減少やキャラクターの違和感等、批判されるべき点は幾つか存在する。~ こうした批判点は、あくまでシナリオの面白さを勢いに任せすぎたあまりに発生したものであり、本作をあくまで「一本の新しいゲーム」と捉えればそこまで問題視すべきではない部分も多い。~ しかし曲がりなりにも「逆転裁判」シリーズを名乗っている以上、従来の「逆転裁判」シリーズ作品を基準に比較され、三部作のような推理ゲームを好むファンから「コレジャナイ」と批判されてしまうのは避けられないだろう。~ とはいえ『4』のみならず従来作品において見られた「ゲーム的な側面での問題点」を改善した部分もあり、ゲームとしての進歩や今後への期待は十分に感じられる。~ 『4』で消化されなかった部分にもいくつか答えや補足が用意されており、特に王泥喜についてはファンが待ち望んだ「新しい主人公」の印象をやっと見せてくれたと評価された。~ 前作の出来が批判される中での正統続編として不安と期待の両方が寄せられたために、「三部作には及ばないが前作よりは良い」''「あの状態からナンバリングシリーズを立て直しただけでも十分に功績がある」''などといった評価がなされることとなった。 //日本語が致命的におかしい為全面校正 *余談 -発売前のプロモーションではネタバレを避けるためか、ゲーム本編には全く出てこない内容でPVやスクリーンショットが作られていた。 --たとえば初期PVでは「動機がない」と主張するある人物にココロスコープを仕掛け、「弁護士について話す時だけ怒りの感情が出ている。弁護士に恨みがあることは動機になる」と指摘するという内容が紹介されたが、本編にそんな場面は一切出てこない。 ---このココロスコープの扱いが『4』のみぬくに近いことから、「新要素がまた言いがかりになるのではないか」という余計な不安をあおる一因になった。ちなみに、そのココロスコープを使った相手からは「しかし、証拠はない」と尤もな反応を示されている。 --他にも「カンガエルート」の説明で「子守唄」というキーワードが出ていたが、これも本編には登場しない。 --シリーズの体験版は第1話冒頭の内容を一部省略したものになっているのが定番なのだが、本作では特に法廷パートに入るまでの内容が大きく異なっている。 -インターネットラジオ「音泉」でボイスドラマが配信された。全5話で、キャストはゲーム版と同一だがゲストキャラの声優は不明。ドラマCDとしてボーナストラック追加で発売予定。殺人事件ではない。 --時系列的に設定が重ならない部分があり、パラレル設定だと思われる。 ---ココネを「希月さん」と呼んでいるはずの王泥喜に「ココネちゃん」と呼ばせるなど、多少違和感がある部分も。 ---なお、王泥喜は「手品のトリックを推理するなんて今まで経験がない」という旨の発言もする。&font(b){4でやっていたのは何だったのか}。また、心音の主張に【憶測じゃねーか!】と突っ込みを入れたくなる人も数多く居るだろう。 --声優の演技は素晴らしいが、前述通りその選出には賛否が分かれている。また5話という尺の短さなどから展開がかなり急で強引。 -発売から1年後にスマートフォン版の配信が開始。 --王泥喜の活躍ぶりを受けてか、ファミ通での紹介では成歩堂・王泥喜の二人が主人公として紹介された。 --『4』よりも前に配信開始している。 -カプコンのリズムゲーム『[[crossbeats REV.]]』に今作から「追求 ~最終プロモーションバージョン」が収録されている。&bold(){}&bold(){}

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