「ファイアーエムブレム 聖戦の系譜」の編集履歴(バックアップ)一覧はこちら

ファイアーエムブレム 聖戦の系譜 - (2024/03/08 (金) 09:03:42) の1つ前との変更点

追加された行は緑色になります。

削除された行は赤色になります。

*ファイアーエムブレム 聖戦の系譜 【ふぁいあーえむぶれむ せいせんのけいふ】 |ジャンル|シミュレーションRPG|CENTER:&image(https://img.atwiki.jp/gcmatome/attach/3657/1896/564404_4608_front.jpg,height=200)[[高解像度で見る>https://img.atwiki.jp/gcmatome/attach/3657/1896/564404_4608_front.jpg]] [[裏を見る>https://img.atwiki.jp/gcmatome/attach/3657/1895/564404_4608_back.jpg]]&br;&image(https://img-eshop.cdn.nintendo.net/i/da1861455a597e1ab4f0089f6ab176f1f6d7a517a38f26f9731eb7dbe0a513f5.jpg,height=120)| |対応機種|スーパーファミコン|~| |メディア|32Mbitロムカートリッジ|~| |発売元|任天堂|~| |開発元|インテリジェントシステムズ|~| |発売日|1996年5月14日|~| |定価|7,500円(税別)|~| |プレイ人数|1人|~| |セーブデータ|4個(バッテリーバックアップ)|~| |レーティング|CERO:A(全年齢対象)&br;※バーチャルコンソール版より付加|~| |配信|バーチャルコンソール&br()【Wii】2007年1月30日/926Wiiポイント(税10%込)&br()【WiiU】2013年4月27日/943円(税10%込)&br()【New3DS】2016年8月27日/943円(税10%込)|~| |書換|ニンテンドウパワー&br()1997年9月30日/1,000円/F×8・B×4|~| |判定|BGCOLOR(lightgreen):''良作''|~| |ポイント|3すくみ・結婚システム初導入&br;親子2世代の戦いを描いた悲壮感のあるストーリー&br;武器・クラスともに大きな格差あり&br;前作より難易度は下がるも癖の強いゲーム性に|~| |>|>|CENTER:''[[ファイアーエムブレムシリーズ]]''| ---- #contents(fromhere) ---- **概要 FEシリーズ第4作で、『暗黒竜』からプロデューサーを務めてきた横井軍平氏が最後に手掛けたシリーズ作品。~ 製作スタッフがファイアーエムブレムとして作ろうと思っていなかったところ、任天堂上層部の意向でFEのタイトルを冠せられたという経緯から、当初は異色なシステムが多いとされていたが、現在のシリーズ作品はむしろ本作を踏襲したシステムが多い。~ ---- &font(b,16){ストーリー} >かつてユグドラル大陸を力と恐怖で支配したロプト帝国。~ 暗黒神ロプトウスの加護を受けた闇の帝国を打ち倒したのは、ほかならぬ皇帝の弟マイラと、~ 神より十二の神器を与えられた十二人の聖戦士たちだった。~ 聖戦士の一人聖者ヘイムはグランベル王国を建国。他の聖戦士たちは、~ ある者はグランベル王国を支える諸侯に、ある者は他の土地で国を興す。~ かくしてユグドラル大陸に平和が訪れた。~ ~ 時は流れ、グラン歴757年。~ グランベルの交易都市ダーナを東の王国イザークが急襲したとの報が入る。~ この暴挙に対し、グランベル王国は国を挙げてイザーク王国を討伐すべく兵を送る。~ だが、手薄になったグランベルを狙い、南の王国ヴェルダンが突如侵攻を開始する。~ これこそがユグドラル全土を揺るがす長い闘いの幕開けであった…… ---- **特徴 -3すくみシステム --「剣は斧に強く、斧は槍に強く、槍は剣に強い」という「3すくみ」システムが初登場。使用武器による味方ユニット同士の差別化や戦略性の増加等に繋がった。 ---魔法にも「炎は風に強く、風は雷に強く、雷は炎に強い」という3すくみが存在するほか、これら3属性のいずれにも強い「光」「闇」属性が存在する。 --武器の三すくみは、本作以降のほとんどの作品に導入されており、今ではすっかりシリーズを象徴するシステムとなっている。さらに、[[ユグドラ・ユニオン]]など、本シリーズ以外のSRPGでも見られるようになる。 ---一方、魔法は「理」→「光」→「闇」→「理」に変わったり、3すくみそのものが存在しないなど、いろいろと姿かたちを変えている。 //シリーズ恒例の武器の3すくみシステムはこの作品から導入された。 -戦闘時に特殊な効果を発揮する「スキル」システム --兵種毎に設定されたスキルの他、ユニット自体が個別にスキルを所持していることもあり、こちらも味方ユニット同士の差別化に貢献した。一部の武器や道具には、装備・使用している間スキルを発動できる物も存在する。 --こちらもシリーズ恒例の要素となり、「封印」「烈火」や、旧作のリメイク作を除いたすべての作品で採用されている。 -クリア後評価 --ゲームをクリアすると4つの項目でプレイを評価される。オールAを目指す場合は緻密な攻略・育成計画を立てる必要があり、手強いやりこみ要素になっている。 ---「攻略評価」は要したターン数、「経験評価」は全ユニットのレベルアップ回数の合計、「戦闘評価」はユニットの負け回数((本作ではユニットが倒された時点で自動的に「負け数」がカウントされ、リセットしても保持される。負けを消すには章初めのセーブデータからやり直す必要がある。))、「生存評価」はロストしたユニットの数で評価される。 -恋愛・結婚システム --男女のユニットは会話イベントを起こしたりマップ上で隣接させていると「恋愛値」が上昇し、一定以上になると「恋人」同士になる。前半で恋人になったカップルは結婚して子供を産み、その子供が後にユニットとして登場する。~ 一部のユニットは固定カップルだが、それ以外はある程度組み合わせが自由で、カップルになったキャラ同士には支援効果がつくほか、必殺の一撃を発生させることができる。カップルで発生する必殺の一撃は、敵の「見切り」スキルすら無効化するので非常に強力。 --前半のカップリングによって後半の仲間の成長率や習得するスキル、所持品、サブイベントの有無などが決まる。 ---ユニットによっては「聖戦士」の血を引いており、ステータス画面で確認できる。聖戦士の血が入っていると該当種類の武器レベルに補正が付いてより上級の武器を使えたり、レベルアップの能力上昇確率にボーナスが付くなど特典がある。神器を使える濃い血統だとさらに効果が高い。これも両親から受け継がれる。 --前半で女性ユニットが誰とも結ばれなかったり、一定点までに途中で死亡したりした場合、本来仲間になるはずだった子供たちの代わりのキャラが仲間になる。これらのユニットたちは「平民ユニット」((厳密には公爵家の娘の子(うち1人は当主の伯父の下で育っている)やエルトシャンの側近騎士の子がいるので、平民でない連中が4人ほどいる。))や「代替キャラクター」((公式サイト「ファイアーエムブレム ミュージアム」内での呼び方。))などと呼ばれる。ステータスや成長率も、カップリング成立時の子供達に比べると低め。 --後半のキャラもカップリングができる。支援効果は発生するが、子供は生まれない。代わりにエンディングの内容に関わってくる。 ---基本的には、所有スキルや聖戦士の血脈が優れたユニット同士を結婚させると後半が有利になるが、敢えて不利なカップリングを作ったり、もしくはそもそもカップルを作らずに難易度を高めるといった楽しみ方も可能となっている。 -ターンごとにセーブが可能になった --これは、他のシリーズに比べてマップはかなり広大であるため、従来通り章の間にしかセーブできないとなるとプレイが困難になるため。 --ただし、敗北数0プレイを行う場合、敗北数は同一セーブデータから進行していると、コピーしたデータにも反映されてしまうため、「普段はデータ1で進行し、データ2で博打をする」という手段は通用しない。~ 敗北数をリセットするには、前章終了直後に行えるセーブによる「ターン数が表示されていないデータ」から開始しなおす必要がある。 //ターンセーブ自体は後の作品でもあるうえ、システム的に真っ当なので、積み要素を問題点に移動しつつこちらに移動。 -他にも、シリーズの他の作品と比べてシステム的に次のような特徴がある。 #region(一覧) -他の作品で言う「進撃準備画面」や「拠点画面」は存在しない。その代わり、マップの開始地点となっている自軍の城にて、アイテムの売買などの戦闘準備を行う。 --この開始地点の自軍の城が敵軍の手に落ちたらその時点でゲームオーバーになる。 -所持金はユニット毎に設定されており、アイテムと同様に味方同士で自由に金銭の受け渡しをすることができない。恋人同士、もしくは兵種がシーフの者なら相手に「あげる」ことが出来る。 -敵ユニットにカーソルを合わせてAボタンを押すことで、移動範囲に加えて攻撃範囲を表示させられるようになった。 -闘技場のシステムが他の作品と異なっている。 --闘技場は各城に設置されている。戦う相手は章毎に固定されており、勝つ度により強い相手と戦うことになる(7回勝利すると闘技場制覇となり、戦う相手がいなくなる)。 --最も大きな違いは、闘技場で敗北しても''死亡せずHPが1になるだけ''という点。負け数もカウントされず、何度でも再挑戦することができる。 --また闘技場で勝てば賞金が貰える上、挑戦料も必要ない。 -武器は使用回数を使い切ると「壊れた武器」となるが、城の「修理屋」でお金を払うことによって直すことができる。 --武器ごとに倒した敵の数がカウントされてゆき、50を超えるとその武器を使っている時は「必殺」スキルを持たなくても必殺が発動するようになる。確率は(倒した敵の数-50)%(カウントは最大で100までのため、最大50%)。実際の発動率は武器の必殺率にさらに使用者の技のパラメータを足したものになる。 -ユニット毎の最大レベルは20ではなく30。レベル20に達すれば自軍の城でクラスチェンジを無償で行え、ステータスや武器レベルを上昇させられる。レベルは1に戻らず継続。 -必殺は、前述したように「必殺」のスキルを持つか、恋人、あるいは親族にあたるユニットが隣にいる、前述のように50体以上敵を倒した、或いはキラーボウや神器ミストルティンのように元から必殺が発動するようになっている武器を使う、のいずれかを満たさなければ発生しない仕様となっている。 //そのため、「わざ」や「こううん」の重要性が、従来と比べて低くなっている。 //技は攻撃の命中率におおいに影響するので重要性は依然として高い。間接攻撃が可能な武器は手槍とか含めて軒並み命中率に難がある。 --その効果も、最終ダメージ3倍ではなく攻撃力2倍になっている。そのため、守備力が高いからといって安心はできない((この仕様はFEではユグドラル大陸を舞台にした作品のみ採用されている。))。 -山賊、海賊が村に立ち入ると崩壊してしまい、情報やアイテムが得られなくなるのは従来通りだが、本作では村に入られても、10ターン以内に倒せば崩壊を免れられる。 -HPの上限が80、それ以外のパラメータの上限が最大30に増加した。また、パラメータの上限値がクラスごとに設定されるようになったのも本作が初だが、((取扱説明書では「全パラメータが30の化け物ユニットはどうやってもできません」と書かれている。))それをゲーム内で確認することはできない。 -武器レベルはキャラクター毎に固定されており、クラスチェンジ以外で上昇することはない。 --子世代に関しては後述の結婚システムにより、聖戦士の血統によって通常より高まる場合もある。 -本作の乱数には疑似乱数が用いられており、初期の乱数種が固定のうえ、乱数を回す方法が攻撃することくらいしかないため、ROMにかかわらず、同じ操作をすれば必ず同じ結果になる。 --それを利用した"詰めエムブレム"なるものも登場。オープニングからエンディングまでの操作方法を記載した攻略本まで発売された(但しその本には誤植があり、途中で崩れてしまう)。 --一見中断セーブでリセット戦法を封じるためにも見えるが、これは実は制作側が意図していなかった模様。 //-FEシリーズでは唯一、エンディング恒例となるキャラごとの後日談が存在しない。 //--ただし、エンディングでは各国のその後の様子が描かれており、誰がどの国に移ったかがはっきりわかるようになっている。 //蒼炎も同じ仕様なのでCO。 #endregion ---- **評価点 -親子2世代にまたがる壮大な物語 --本作最大の特徴は、ゲーム全体が前半のシグルドを主人公とする「親世代」と、後半のシグルドの息子・セリスを主人公とする「子世代」に分かれており、後半になると''親世代の自軍ユニットの殆ど全員((1人だけ、前半と後半両方で仲間になるユニットがいる。))がゲームから離脱し、代わってその子供達を操作するようになる''ことである。この要素は、『[[覚醒>ファイアーエムブレム 覚醒]]』(子世代のキャラクターが仲間に加わる)や『[[風花雪月>ファイアーエムブレム 風花雪月]]』(時間経過を伴う二部構成)など、後のいくつかの作品にも継承されている。 --後述の結婚システムにより、親世代の女性ユニットがどの男性ユニットと結ばれたかで登場する子供の能力等が左右される。 -元々見た目は軟派ながら戦場としてリアルなイベントの多いシリーズだが、前半はその中でもストーリーがかなり重め。『風花雪月』がリリースされるまではシリーズ中一番重いと言われていた。 --前半部である親世代は、序盤は隣国にさらわれたお姫様を救いに行くというような王道を絵に描いたような展開((だが、歴代でも珍しい「最初の敵が異国の軍隊」という設定(他は初代の『暗黒竜』筆頭に「戦乱で治安が悪化して跋扈してきた賊の討伐」や、『蒼炎』などに端を発する「戦場に出るための訓練」が最初の戦いというのが基本。)であるという少し珍しい展開である。最も蛮族扱いされる国の軍なので外見上は山賊と変わらないのだが。))なのだが、中盤以降から、親友との戦いを余儀なくされたり、無実の罪によって反逆者の汚名を着せられるなど、どんどん暗い展開になってゆき、クライマックスではRPG史上屈指の悲劇的展開であろう「バーハラの悲劇」を以って幕を下ろすことになる。 //---一方で、進軍する中で、シグルドはヴェルダンでディアドラと運命の出会いを果たし、結ばれることになる。この際に告げられる台詞((出会うまでにサンディマを倒すか否かで二通りのやり取りがある。))は、まさに本作を象徴する素晴らしいもので、シグルドとディアドラは、FE史上で屈指と言えるベストカップリングとして名高い。それだけに、後述の展開にやり切れない思いを抱くことになるわけだが…。 //夫婦での描写が少ないこともあってこの2人の関係がファンからそこまで大きな扱いを受けているとは言いがたく、記載者の主観に寄り過ぎかと。 #region(バーハラの悲劇) -ストーリー中盤、主人公シグルドの妻であるディアドラが息子と夫を残して誘拐されてしまう。のちにディアドラは記憶を消去されて王国近衛司令官アルヴィスに引き合わされ、シグルドの目の前で妻として紹介されるという、驚愕の寝取られ展開となる。 --さらに弁明の機会も降伏の権利も与えられず、シグルド一行は反逆者としてアルヴィスらグランベル王国軍により不意打ちを受け、全滅という結末を迎える。これが「バーハラの悲劇」である。国のため、正義のためと信じて戦ってきた見返りがこの仕打ち。しかも愛する妻は自分のことを覚えておらず、よりにもよってその妻とくっついた男の手で殺される…と、あまりにも無情で惨めな最期を迎える。 --シグルド(と先に離脱しているキュアン夫婦)は死んだと断言されており、他のキャラも(ここまで生き延びていれば)「生死不明」という扱いになり、一部を除いてその後の子世代の物語には全く登場しない。 ---女性キャラについては公式にその後が設定として存在しているが、無事を子供達から明言された1名除き、子供を遺して死亡したり行方不明になったりしている者がほとんど。また、ディアドラについてもその後の末路が作中で描かれているが、通常の方法でお目に掛かったプレイヤーは相当なやりこみ勢。 -このイベントがあるからこそ、無念に散った彼らの子供達が遺志を継いで立ち上がるという後半のシナリオが光る((『ファイナルファンタジーVI』や『ゼルダの伝説 時のオカリナ』でも似たような手法が用いられており、こちらも評価は高い。))。 --なお、このことからシグルドは「RPGでもっとも可哀想な主人公は?」といった話題になると、必ずと言っていいほど名前が出てきて候補に挙げられる((あくまで主人公では、という話であり、ハーディンやカナス、ディミトリなど、主人公に限定しないなら彼に匹敵する不幸なキャラはいる。RPGというくくりにしても『ライブアライブ』のオルステッドや『テイルズオブエクシリア2』のルドガーなど、シグルドに負けず劣らず不幸な主人公は他にもいる))。 --一方で、シグルド一行も、いかにレプトールを倒す手伝いを受けたとはいえ、それまで日和見していたアルヴィスを簡単に信じるのはさすがに考えが浅すぎるのではないか、という意見もある((漫画版ではこの点が深く掘り下げられている。))。 #endregion -その後の子世代においては暗黒神を崇拝するロプト教が台頭し、親世代以上に陰惨な状況でスタートする。 --しかし親世代とは異なり、帝国に支配されつつある世界が主人公たちの活躍によって救われていくという展開になっており、親の仇もしっかりと討つことができるなど、バーハラの悲劇で受けた屈辱を存分にはらすことができる。 ---これは、シグルドが強さのみならず、正義感の強い好青年で、結果的に敗れ去るものの、戦いの最中で多くの国々の英雄たちと絆を育んでいたことが大きい。その結果、セリスの率いる解放軍が聖戦士の末裔を束ね、数で勝る帝国軍を圧倒する結果を産む((一騎当千と言える神器の数が、味方は8、敵は4と大きく自軍が上回る。))に至ったのである。 -宿命と情が絡み合う人間関係はかなり複雑でシリアス。 --今作の敵は(ほぼ暗黒神の操り人形であるとはいえ)全員が人間であり、以前の作品で敵対した竜や魔物は登場しない。 ---さらに実の兄弟・親子・親友・従妹などが戦うケースも以前より多くなっている。かつて世界を救った聖戦士たちの末裔が、同じ血族同士で愛憎を交えつつ殺し合う様はかなり皮肉なものがある。とはいえ、敵方は一部を除いて、聖戦士の末裔とは思えないほど腐敗してたり強欲だったり狡猾だったりと、同情の余地がない悪党である事((特にヒルダという敵キャラクターは、その悪辣極まりない所業から、この戦争の諸悪の根源であるマンフロイ並みかそれ以上に嫌うプレイヤーが多い。))が殆どである。かつて味方だったキャラと戦うわけでもないので、後の作品ほど悲壮ということはない。 --また、勇者の斧獲得イベントをはじめとした隠しイベントや、仲間同士の会話ではコミカルな部分も多く見られるなど、決して重苦しさ一辺倒というわけではない。 -前作までに見られた、死に際の一言以外に台詞がないようなキャラは存在せず、代替キャラを含めたすべてのユニットに会話が存在する。また、全体的に味方キャラは美形が多い上に結婚システムが加わり、子世代も含めた攻略の範疇を外れたカップリング論などが交わされるなど、キャラ人気が以前の作品より高まっている。 -難易度の調整 --全体的に前作よりも初心者に配慮した難易度に調整がなされている。 ---親世代は主人公であるシグルドが強力で、困ったら彼を突っ込ませることで解決することが多い。そのため、前作までと比べて仲間をロストする場面に遭遇することが比較的少なくなり、初心者にもとっつきやすくなった。後半の子世代も、後述のセリスのほか、リーフ、アレス、セティ(ホーク)など非常に強いキャラが多く、前作までと比較して攻略しやすくなった。 ---親世代は能力が微妙ですぐロストするような外れユニットが非常に少なく、子世代も極端なカップリングにでもしない限り加入する仲間は一部を除きほとんどが何かしらの長所があるように作られている。 //子世代はやや特殊で、カップリングによっては外れユニットが生まれる可能性ありと判断。 //いや、さすがに即死するような外れユニットは出てこないと思うが --特定のターンで敵が増援するシステムがほぼ廃止((敵の数を減らすと隊長格のユニットが城に向かい、たどり着くと増援が現れることはあるが、狙ってやらないと起きない上に逆にレベル上げに利用できるメリットにつながりやすい。))。また今作で村を訪れるメリットが所持金の増加、武器の入手、若干のステータス上昇といった程度となり、前作と比べて村を破壊されるデメリットが低下((前作『紋章』では、重要な仲間を加入させたり真エンディングを見るために村の訪問が必要な場面が見られ難易度の高さに繋がっていた。))。よって、じっくり考えることが可能な場面もこれまでと比べ増加した。 --また今作は敵が村を破壊するまでに10ターンもかかるため、不意打ちで破壊されてリセットするような状態になることもなくなった。 //---更に今作は敵が村を破壊するまでに10ターンもかかるため、そもそも村に訪れることができない状態になることも極めて少ない。 //マップ開始直後から村に到着する盗賊もそれなりにいるし、これはさすがに言いすぎ。 //↑のコメントを受けて、文章を修正。 ---急がないと新しく加入した仲間がロストしたりなど従来通りのデメリットがある場面も存在するが、全体的にリスクを避けやすくなったのは大きい。 --HPを回復するアイテムがなくなったが回復役のキャラが早めに登場し、杖の使用回数も多いため、回復できる機会が増えた。また、資金こそかかるがたった1ターンでHPが全回復する「教会」があるため、多少ダメージを受けてもカバーがしやすい。 --ロストした仲間が復活できる杖がゲーム前半という従来よりかなり早い段階で登場。1度はリスクなしで使用可能で、その後も修理用のゴールドさえあれば何度でも使えるため、玉砕戦法も不可能ではなくなっている。 --今作の闘技場は敵と戦闘する前にも利用可能で、負けても死亡することがない上、勝ったユニットが全回復するなどメリットが多いため、従来と比べて気軽に挑みやすい。 -良質なBGM。 --他作品とは異なり章ごとに専用曲が用意されていて、自軍フェイズでは自軍ユニット達の心情を表した曲、敵軍フェイズでは敵国のイメージを表した曲になっており、展開にマッチしている。 --例を挙げると序章「聖騎士誕生」と親世代最後である第5章「運命の扉」の自軍フェイズ曲は意図的に同じメロディーラインで作られており、勇壮だった曲が一転悲壮感漂うものとなることでシグルド達の心境・状況の変化をプレイヤーに強く印象付けてくれる。 --更に1章をプレイしている時間が長い本作に合わせ、前作『紋章の謎』と比べて軽めでポップ調に近い曲にされており、プレイヤーは飽きることなくゲームを続けられる。 --「唱歌のように」というテーマの元で作曲されており、どの曲も解りやすく、長く親しめる物になっている。 //--作曲者はイメージ出しとして沢山の音楽と映画を鑑賞し、研究したという。その成果はまさに素晴らしいものであったと言えよう。 //どんなゲームであれ、優れたコンポーザーは当然研究しつつ制作してると思われるのでCO。研究せずにこれだけのBGMを生み出せたのなら、それはそれですごいし。 --第10章「光と闇と」の自軍フェイズの曲や、バーハラの悲劇で流れる「失意の果て」は人気の高い曲の一つで、前者は『[[蒼炎>ファイアーエムブレム 蒼炎の軌跡]]』で、後者は『[[大乱闘スマッシュブラザーズ SPECIAL]]』でアレンジされている。 -戦闘アニメーション --戦闘デモは『紋章』にあった「○○の攻撃」などのダイアログは完全にオミットされ、以降の作品でも準じられていく。 ---必殺のモーションだけでも通常の物・止め専用のもの・初手の必殺で止めを刺した時用のもの…など、複数用意されている力の入れようであり、現在でも根強い人気がある。特にセリスやリーフの歩兵時の、初手で敵に止めを刺した時の必殺モーションは必見。 ---負担が大きかったのか封印の剣以降は攻撃後に自分のいた位置に戻る動きを追加することでモーションをほぼ画一化している。 --アニメーションOFFの場合はMAP上のユニットアイコンが簡易的なアニメーションで戦闘を行うが、これでさえもよく動く。 -主人公が強い --前作に当たる「紋章の謎」では、主人公のマルスがリメイク前より弱く((ユニットの強弱ではなく、専用武器の性能の問題))、不満に思うプレイヤーがいた。しかし、本作では、2人の主人公がいずれも非常に強く、爽快感を感じることができる。 ---シグルドは、最初から上級職の「ロードナイト」であるうえ、パラメータの初期値、成長率ともに高く、序章はボスユニットを1人で倒すことも難しくないほど。さらに序盤で強力な武器である「銀の剣」を入手できるため、レヴィンやアイラなど、一握りの強力なユニットを除いて最強と言われる。専用武器のティルフィングは入手時に『壊れた剣』となっているために修理が必要な手間こそあるが、装備ボーナスが非常に優秀。 ---セリスは、母親であるディアドラのナーガの血が継承されることからシグルド以上の成長率を誇る。特に魔法防御の成長率が剣士系とは思えないほど高く、後半の魔法が増えてくる章でも活躍が可能。さらに両親の能力に応じて初期値も高くなるため、最終的にはシグルドを大きく上回る能力となる。そのうえ、やはり序盤で神器に匹敵する強力な武器である「勇者の剣」まで入手できる((親世代での、ホリンとアイラの会話でもらえる物とは別の物。ただし勇者の剣を入手以前にセリスに恋人が出来てしまうと入手不可。))ので、並のユニットにはまず負けることがない。ただし、シグルドと異なり最初は下級職のジュニアロードから始める必要がある。後述するが本作では騎馬ユニットが非常に強いため、前半の最終章である5章でシグルドに「エリートリング」((装備すると獲得経験値が二倍になる腕輪。))を持たせて、早いうちにレベルを20にすることが有効とされる。 --なお、後の作品では、一時はリーフやロイなど、微妙な能力の主人公が多かった。しかし、『烈火』のヘクトルや『聖魔』のエフラム、『蒼炎』のアイクなど、次第にシグルドやセリスに匹敵する強力な主人公が登場するようになる。 -敵の移動範囲に加えて、攻撃範囲も表示されるなど、インターフェースまわりも良好。ハードをまたぐに連れ変わっていくが、基本はここで完成されている。 ---- **賛否両論点 -広大な戦闘マップ --本作は、現在でいう「オープンワールド」に近い要素が備わっており、従来のシリーズに比べると1マップが非常に広い(『紋章の謎』等の約数倍)。他のシリーズではマップごとに1つしかない制圧拠点(敵城)が3つも4つもある。 ---その代わり章の数自体は序章と終章入れて全12章と少な目。また1マップのプレイ時間が長いことから、ターンの開始時にセーブすることが可能。 --遠方に出現し時間をかけて進軍してくる敵の軍勢・主人公達とは離れた地域で行われる第三者同士の戦い といった広いマップを活かした演出や、広範囲に散らばる村々をいかにして山賊から守るかといった戦略性など、本作の形式ならではの利点や見所は多数存在する。 --一方で、移動力の低い歩兵ユニットが活躍しづらくなったり(問題点にて後述)、交戦が行われず移動だけにターンを費やすパートが長くなりがちな面もあり、一長一短と言える。 --特にこの問題が顕著なのが親世代の第4章。この章の後半のイベントで敵ユニットと同盟ユニットが戦闘を行うのだが、移動時間も含めて非常に長くダレやすい。 --出撃人数の制限がなく全てのユニットを戦場に出すことができるが、その分ユニットの移動に手間がかかる。 --またそれまでの進軍とは反対方向に敵が現れる場面が少なくなく、まったく別の場所に新しい敵の拠点が出現した場合などは、味方全員の移動だけでかなりの労力がかかってしまう。 //敵の拠点の出現に関して、内容が重複していたため統一 -武器の格差が大きい。 --神器と呼ばれる専用武器は、装備するだけで特定のステータスが爆発的に増加するうえ、スキルが追加されるものもある。このため、装備可能なキャラを極限まで育てれば、「3すくみでの弱点属性の神器持ちのアルヴィス」や「圧倒的な命中率の高さを誇る神器持ちのイシュタル」という、システム上決定的なメタとなるキャラを除けば''ラスボスさえも含めたほぼ全ての敵の攻撃の命中率が0%になってしまう''ほど。特に、主人公専用装備であるティルフィングや、速さ補正がすさまじいバルムンクやフォルセティ、全ての能力が爆発的に上昇するナーガは、本作のみならずシリーズの中でもバランスブレイカーとして名高い。ただし、ナーガはラスボスとそれを護衛する「十二魔将」との戦いのみでしか使用できず、ほぼイベントアイテムと考えるプレイヤーもいる。~ このことは、『複数の神器があればユグドラル大陸(本作の舞台)を征服できる』という風評に、システム的にも説得力が持たせられている。ただし、威力こそ高いものの命中に不安の残るイチイバルや、重さから追撃しづらいゲイボルグ、キャラロストをしなければ使い道のないバルキリーなど、すべての神器が一戦級に優れているというわけではない。 ---ただし、今作は歴代で唯一「使用可能な味方ユニット全員を一度に出撃させられる」という仕様があるので、「こいつを出撃させるには主力を留守番させないといけない、そうすると戦力的にきついからできない。」というような問題はない。 ---威力と命中が高いうえに二回攻撃が可能な「ゆうしゃ」シリーズの武器も非常に強力で、必要武器レベルが高い「ぎん」シリーズより明らかに使い勝手がいい。特に「ゆうしゃの剣」は命中が100もあり、さらに重さが3と低いため極めて追撃しやすく、4回攻撃が容易に行える。前述の通り、本作の武器は、50体以上の敵を倒すことで「ひっさつ」が付与されるため、鍛えれば神器すら上回る効果を叩き出せる。 --能力・スキルに長けた強キャラと言えど実際には武器に耐久度がある関係で一人で全ての敵を倒すのは困難であり、相手側にも神器を持つ敵キャラがいる事や、神器で無双しようにも修理代が莫大なのでシーフの腕輪や値切りのスキルと組み合わせなければ乱用は難しい。そうでなくても、前述した勇者の剣があるため、こうしたインフレ要素を持たないキャラでも、スキル次第では十分活躍の場はある。 ---フォルセティについても継承者によって使い勝手が大幅に変わる((魔法系ユニットで無ければ当然使えないうえ、魔法使いでもコープルが継承すると、コープルの加入がとても遅い事や、仲間になってもクラスチェンジするまでに使えない上に、もともと戦闘向きのクラスではない上に足も遅いので他のクラスに大きく劣る。逆にセティが継承すると速さがとんでもないことになり、敵のほとんどの攻撃の命中率が0になる。アーサーも、追撃を習得できないというディスアドバンテージこそあるものの、子世代開始してから少ししただけでフォルセティが使える+クラスチェンジ後に移動力の高いマージナイトになるうえ、「怒り(HPが半分以下になると確実に必殺の一撃を発動させられる)」まで持っているなど、非常に強い。))うえ、カップリング次第では使用できないことも十分にありうる。また、バルムンクの使い手であるキャラクターはステータスを少し低めに設定することや、本作では騎兵より使い勝手が悪い歩兵とされていることなどでバランスが取られている。 ---また、ラスボスは「見切り」で必殺・特殊剣を発動無効+防御が高い+ダメージ半減効果を持つので、力のボーナスが無いバルムンクではダメージが通り辛く、ほぼ1ダメージまで抑え込まれる事もザラ。また、魔法防御が極めて高いので、ある魔法以外はほとんどダメージが与えられないため、フォルセティでも1ダメージしか通らないようになっているという風に、基本的にはこれら2つに頼りすぎると泣きを見るように調整されている。ただし、後述するある魔法さえ手に入れられれば楽勝。 --キラーボウは、&bold(){命中100、かつ「必殺」のスキルが武器に付与されている}。さらに重量も軽いためほかの弓より圧倒的に使いやすく、ユーザー間ではネタとして&bold(){「13番目の神器」}と言われることもある。 --逆に、後述する斧、炎魔法、「オーラ」のほか、威力こそ高いものの、必要武器レベルが高いうえに命中と重さに問題がある大剣や、特攻効果こそあるものの、威力と命中が低い「つばめがえし」や「ナイトキラー」など、使いづらいものはとことん使いづらい。 -必殺、追撃の条件が独特。 --前述通り、技依存で通常よりも強力な攻撃を放つ「必殺の一撃」、および条件を満たすことで敵の反撃の後に再度攻撃できる「追撃」が、専用のスキル、あるいは武器を持ったキャラしか発動できない。この影響から、ステータスよりスキルの方が重要で、追撃のスキルを持っていないキャラはかなり扱いづらい。ただし、敵のほとんどはこれらのスキルを持っていないため、味方側が不利になるということはない。 ---次回作「トラキア776」以降は、再度追撃と必殺がスキルではなくステータス依存になった。 -守備よりも回避を推奨したバランス --味方の守備力より敵の攻撃力が低い場合、雑魚敵でさえ攻撃を仕掛けてくることがなくなる(いわゆる「ゼロ避け」)((戦術としては理にかなっているのだが、爽快感が無くなるのでプレイヤーからは敬遠されるきらいがある。))。あまりに守備が高いと大勢の敵軍を倒す効率が悪くなる。 ---本作は『[[外伝>ファイアーエムブレム 外伝]]』同様、守備がいくら高くても必ず1ダメージは通るにもかかわらずこの仕様((『外伝』ではダメージによる「ゼロ避け」現象は起きなかった。))である。硬いキャラで受け止めて削るといった戦法が通じ辛く、守備を上げるメリットが感じられない風潮を助長してしまっている。 ---そのため多数の敵を相手するシミュレーションゲームという都合上、守備の高いキャラクターの扱いが難しく、プレイヤーは速さの高いキャラクターや軽い武器を使おうという傾向が強くなり、また速さの差が一つ違うだけで追撃の判定が起こるため必然的に剣や風のような軽い武器が有利な環境を生み出した。それを表すように上述の風の神器フォルセティや剣の神器バルムンクは速さの能力を強化している。 --このため力・技(命中)・守備が強化されるが重さも高い地槍ゲイボルグは、必殺を出せば大抵の敵を一撃で倒せる強大な攻撃力を持つ反面、装備することでかえって雑魚敵が戦闘を避けてしまう様になりこちらから一人一人倒す必要が出て非効率的、高威力を誇る神器同士では重いので追撃されてしまい守備の補正がかえって役立てられないなど、使いづらい。 ---そもそも、子世代への継承システムを特徴づけるためか、ゲイボルグは最初の持ち主であるキュアンとやけに相性が悪い。重量があるので彼のスキルである連続((追撃とは別に、攻撃が2回連続で発生する。序盤は必殺よりも出しやすいが、ダメージが必殺よりも低い、武器の消耗も2倍になるという短所も。))が発生しづらい、技がブーストされても命中率が上がるだけで味気ないなど、「必殺」持ちのエスリンとの子であるアルテナが持って初めてそのポテンシャルを引き出せるように設定されている。 ---そのため「槍の神器ゲイボルグよりほそみのやりのほうが軽くて修理費も安いから強い」とまで言われる始末。 ---さらにいうなら、敵専用の神器グングニルは技ではなく速さにボーナスがかかるため、重量13だがボーナスを考えれば実質重量3になるので、こっちを使わせてほしいという意見も…。 -親世代で恋愛がうまくいかなかった場合に登場する代替キャラクターは、概して本来産まれるべき子供達より弱い。プレイヤーに親世代で積極的にユニット同士の結婚を進めていくことを推奨する調整になっている。 --親からの装備引き継ぎがなく所持金も最低限で、まずお金を稼がないと強力な武器や有用な腕輪を買う事ができない。 --個人スキルを持つ者もいるが、子孫キャラクターは兄妹両方に引き継げるのに対して代替キャラクターは片方しか持っていない。 ---ただし子孫キャラクターでは受け継ぐ事ができない個人スキルを持っていたり、代替キャラクター専用のイベントでパラメータアップやレアなアイテムを入手できるなどの利点もあり、これ目当てにわざと恋愛不成立で親世代を終わらせるプレイヤーもいる。 --ステータス面では基本代替キャラクターの方が低く、成長率も両親から引き継げないため普通に育てているとあまり強くならない。また父親から聖戦士の血を受け継ぐ事もできないので武器レベルも固定で底上げができない。 ---一応、能力面では親世代に匹敵する者もいるので完全に役立たずにはならない。実際、一部の代替キャラクターは子孫キャラクターより人気がある者もいる。 --なお、代替キャラは「平民キャラ」と呼ばれることがある。これはプレイヤーからの通称で、公式からそう呼称されているわけではない。聖戦士の血を引いている代替キャラクターも存在する。 -重い展開が多いにもかかわらずテキストフォントが老若男女ナレーション関係なく、可愛らしい丸字であるため、雰囲気に合わないとするプレイヤーもいる。 -子世代のセリスは、シリーズ初となる自由恋愛が可能((ユリア、アルテナ以外のすべての女性キャラと結婚が可能。))な主人公となっており、カップリングを好むプレイヤーから好評。 --一方で、結ばれた女性キャラのやり取りがシグルドと比較して簡素。もっとも、パターンが多いため仕方ないとする意見もある。 -シグルドの行動については賛否分かれる。 --シグルドは公爵の留守を預かっている((父親は騎士団を率いて王子の護衛を務め、母親はすでに他界しており、妹のエスリンもレンスター家に嫁いでいる。同じくシアルフィの血を引くスサール卿の血筋も孫のオイフェ以外残っておらず、そのオイフェもシグルドに同行してしまう。つまり、シグルド以外に城に駐留できるシアルフィ家の人間がいない。))にもかかわらず、友人のエーディンやエルトシャンを助けるために数年単位でシアルフィ公国の城を開けてしまうのは軽率ではないかと一定のプレイヤーから指摘されている。 ---結果的に中盤で反逆者の汚名を着せられた結果、シアルフィに戻ることができなくなってしまっており、これは彼の思慮の浅さが招いた問題だとも言われた。 ---悪いのはありもしない罪状をでっち上げたアルヴィスたちであり、領地を空けたのも彼らの意を受けた王都より駐留の命を受けた為仕方ないのだが、それ以降、シアルフィに関する情報は全く入ってこない。領民を心配するなどのフォローの描写は欲しかったところ。((前作『紋章の謎』では、実際に反逆者に指定された際に、アリティアを奪われた事実が重く描写されていた。))。 ---シグルドはあまり後先を考えずに突っ走る性格であることがエスリンから語られ、夫と共に彼の行動をフォローしている。また序盤ではエーディンを助けたい気持ちを優先し過ぎて周りが見えていないことが仲間から指摘されており、上記の考えの甘さも意図的な描写だと思われる。 ---- **問題点 -カップリングシステムについての問題点 --本作で特に重要なシステムなのだが、ゲーム内ではこれについての説明がかなり不足している。 --また恋愛値が基本的にマスクデータとなっており、上昇の法則などもゲーム中で説明されない。自軍の城の占い師に「こいのゆくえ」を尋ねることでキャラごとに自身の恋愛の進行状況(現在誰にどのくらい好意を抱いているか)を見ることができるが、これでも大まかにしかわからない。 ---さらに、一度カップリングが成立すると、死亡しない限り解除ができないので、意図しない組み合わせによるカップリングが成立した場合、取り返しのつかないことになる。これらの点は、後の作品で搭載された「支援」システムによって改善されている。 --自由なカップリングがウリの本作だが、一部恋愛が困難、あるいは不可能なキャラクターがいる。 ---親世代では、キュアンとエスリン、シグルドとディアドラは強制的に結ばれるため、恋愛は事実上不可能。ただし、前者は既に夫婦であり、後者も序盤で結ばれるため恋愛が不可能なことはすぐにわかるようになっている。 ---子世代では、アルテナ、フィン((親世代で恋人ができてなくても))、ハンニバルは恋愛が一切できず((一部攻略本では、会話で恋愛値が上がるように書かれているが間違い))、ユリアも隣接以外では恋愛値が一切上がらないうえ、セリス相手は諸事情((セリスはシグルドとディアドラの息子、ユリアはアルヴィスとディアドラの娘である。つまり…))から毎ターン恋愛値が低下するため、他のキャラクターに比べて結ばれることが困難((セリス、コープル、シャルローとの恋愛は、裏技を使わなければ不可能とされる。ヒロインが主人公と結ばれることが不可能なのは、女性主人公であることを除けば本作と『蒼炎』、『暁』のみ。一方、加入が早いスカサハやレスター、アーサーなどなら、普通のプレイの範疇で恋人になる事は可能))になっており、そのことが一切説明されない。特にアルテナとユリアはユニットとして有用ということもあり、残念がったプレイヤーも多い。 --一部の親世代のカップリングに、罠と呼べるものがある。 ---代表的なのがシルヴィアとティルテュ。前者はレヴィンと、後者はクロードと共に登場するのだが、シルヴィアがレヴィンと結ばれた場合、コープルはクラスチェンジをするまでフォルセティを使用できず、しかも終盤付近で&bold(){Lv1で加入する}ので育成の手間がかかる。~ 他にもシルヴィアはアレクとの会話があり、恋愛値が上がりやすくなっているが、子供の兵種がダンサーとプリーストなので、アレクの兵種であるソシアルナイトとは致命的に噛み合っていない。~ ティルテュとクロードが結ばれた際もアーサーが杖を使えないためバルキリーを継承できず、せっかくの聖戦士の血をフルに活かせない。 -子供たちの兵種は母親によって決まっているが、初見プレイでは実際に登場するまでわからない。そのため、組み合わせ次第では、親が持っていた神器や「月光剣」などの強力なスキルが、子供の兵種が合わないために使えない・役に立たないなどといった事態も起こりうる。また、子世代へのスキルの継承についてはゲーム内で細かい補足がない。 --一例として、ホリンの持つ「月光剣」やデューのもつ「太陽剣」は、子供が剣を使えて、かつ歩兵限定の時のみ継承できる。子供が剣を使えるからといってラケシスとホリンを結ばせても、子供が両方とも騎兵なので継承できない。 --スキルにはその兵種に標準装備の「兵種スキル」とキャラによって違う「個人スキル」があり(この区別はできる)、継承できるのは「個人スキル」のみ。例えば、ボウファイターのジャムカ、あるいはセイジにクラスチェンジしたレヴィンがもつ「追撃」や、ジェネラルにクラスチェンジしたアーダンの「大盾」は兵種スキルであり、子供に継承することができない((無論、子供が親と同じ兵種の場合は兵種スキルとして使用可能。))。 ---『覚醒』や『if』では、親同士が結ばれた直後に子供キャラが仲間になるシナリオが解放されるうえ、ある程度自由に兵種を変更できる。さらに、スキルもすべて継承されるなど、幾分かこの問題が緩和された。 -キャラ同士のアイテムの受け渡しが面倒。 --本作では「交換」コマンドが存在しないため、「一度中古屋に売り、受け取るキャラが買い戻す」という、仲間同士なのに妙に他人行儀で間接的な方法で行う必要がある。 ---所持金は全体でなく個人に設定され、一部クラスや恋人など限られたユニットしかお金を受け渡し出来ない。そのため大抵は売った人が売却金を買い取り側に渡すことが出来ず、買い取り側の方で十分な資金を用意しておかなければならない。 --このシステムにより、強い武器を前線で複数人が使い回しにくくなっている。 --これは開発者がプレイヤーに考える余地を与えたかったからとの事だが、不評だったのか以降の作品では採用されていない。 -今作で導入された「3すくみ」には大きな偏りがある。本作においては味方側では剣と風、オーラ((威力も命中率も高いが重量も凄まじいために回避率が大幅に低下するので使いにくい))を除いた光の魔道書が大きく優遇されている一方、斧と炎の魔道書が冷遇されている。 --剣は他の武器と比べ攻撃力が低いが、命中率が高く、また武器の重量が軽い。剣を扱えるキャラは味方の中で7~8割と多い上に高いステータスを持った兵種も多く、特に剣を専門とする「ソードファイター」とその後継職は、5回連続攻撃を行う「流星剣」や、敵の防御を無視する「月光剣」など、非常に強力なスキルを有している。 --槍は剣と斧の中間の性能。剣に3すくみで優位に立てるが、四倍程度の重量があるため追撃しづらいほか、回避率の低下を招いてしまう。子世代に槍を引き継がせられるのは固定カップルを除けば1人。神器を除けば最強とされる勇者の槍の本来の持ち主はフィンなのだが、後述の通り3章終了時に離脱してしまうため、4章冒頭のフィン離脱前にフュリーに渡され、そのままフュリーの子供であるフィーに受け継がれがち。 --斧は攻撃力は高いが、命中率が低い上に重量も18~20と重く、使いづらい。そもそも斧を使える兵種自体が少なく親世代3人・子世代3人しかおらず、3人中2人は様々な武器を使える兵種なので斧専業は1人ずつ((さらに言えば、カップリングで生まれる子供の兵種に斧を使えるキャラがいないので、直接、斧を引き継ぐこともできない))、その性能も先の剣使いを大きく下回る。ただし、1章の隠しアイテムである「勇者の斧」((ここで取り逃しても、6章で再入手が可能。))だけは、二回攻撃が可能であるうえ、重さも12とほかの斧より圧倒的に軽いなど、他にも劣らない一線級の性能を発揮する。~ なお、重量が軽くて命中に優れた細身の剣((細身の剣という名前とは裏腹に、命中も威力も完全に「鉄の剣」の上位互換))と細身の槍はあるが、細身の斧だけは何故か存在しない。 ---子世代ユニットは固定キャラ以外斧を使えないため、武器継承ができないという点も向かい風。親世代で斧を専門に扱うレックスは、獲得経験値が2倍になるスキル「エリート」を唯一子世代に引き継がせられるユニットであるため、スキルのためにカップル成立させられることが多い。また、ネールの血筋を持つ為に子供の守備力の成長率に大きなボーナスがかかるのも利点。だが、ここまでのポテンシャルを持つ彼も、前述した勇者の斧がないと使い物にならず、カップリングのみの運用にされてしまいがち。また、「武器が継承できない」という理由でカップリングから外すプレイヤーもいる。 --「剣優遇・斧冷遇」は第1作目からずっと続いていることではあるが、当時の斧はあくまで「序盤の蛮兵の得物」というポジションの武器なので大した問題ではなかった。~ しかし、今作で前述の「3すくみ」システムによって剣・槍と同じ土俵に上げられたにもかかわらず、剣・槍より遥かに弱いため非常に大きな問題となった。 --魔道書に関しては、同じランクの魔道書同士を比較すると、威力や命中は同じにもかかわらず、重さだけが風>雷>炎の順に軽くなっている((この重量設定がかなり適当になっており「同系統は同重量で遠距離と神器のみ重い」というのが大半。))という差別化のみ。槍・斧と違って武器の性能を見るだけで冷遇されているのが分かる。 ---風は重さ2、雷は重さ7、炎に至っては重さ12と圧倒的な差があり、回避率だけで考えても単純に20もの差がでてしまう。 ---一応、炎魔法は序盤で登場し、風魔法の店売りは終盤になるなどバランス調整がされていないわけではない。実際今までのシリーズでは、炎魔法のファイアーは最初に使われる基本的な魔法であり、風魔法という位置づけのシェイバーは終盤に手に入れられる強力な魔法という位置づけだったため問題は無かった。しかしこちらも斧と同様、3すくみによって同じ土俵に立たされたゆえ生じた問題と言える。 ---炎Aの魔法「ボルガノン」は、入手可能な時期が極めて遅く、使えるユニットが子世代で2人しかいないという不遇点もある。((親世代の恋人の組み合わせ次第では子世代4人になり活用しやすくはなる。ただしこれらのユニットは雷や風、光のいずれかが使用可能なので、そこまで意味があるとは言えない。))。しかも魔道書が手に入るのが最終盤であるうえ、それらが使えるユニットには他にもっと強力な攻撃手段があったり、肝心の魔力の成長率がさっぱりなので実用性がない…というダブルパンチであり使わせる気を感じない。 --この偏りを象徴するように、本作には12個の伝説の武器が存在するが、そのうち斧・炎の魔道書・雷の魔道書は敵専用のものであり、味方が使うことはできない。~ 特に伝説の斧スワンチカは間接攻撃が可能で、防御力と魔法防御が大幅にあがるものの、重量が20と異様に重い上に命中も70と低い。さらに味方側に防御力を無視する「月光剣」のスキルの所持者がいるとあっさり倒されたりするし、魔法防御のボーナスは+10どまりなのでフォルセティ持ちにもなすすべなく撃破される……いう散々な扱いである。ただし、炎→風が有利な相性なため、10章のアルヴィスは能力の高さと、指揮官レベル星5(命中・回避ともに+40%)を持つ事もあいまってフォルセティ持ちが相手でも結構な確率で当ててくる。さらにアルヴィスもラスボス同様に『見切り』を持つ上に、防御と魔法防御がともに40であり非常に硬い。 ---その反面、前述したように今作で優遇されている剣と風魔法には、最強神器と名高いティルフィング・バルムンク・フォルセティがあり、この点で優遇不遇は明らかに意図したものであることが窺える。なお、炎魔法で味方が使える専用武器は、シリーズを通しても『[[暁の女神>ファイアーエムブレム 暁の女神]]』のシムベリンのみ。のちに大きく復権する斧と異なり、炎魔法の不遇はシリーズ通じて変わらずじまいとなっている。&s(){ファイアーエムブレムとは…} -弓は基本的に間接攻撃ができるが、前述したキラーボウと命中80の勇者の弓以外は、命中が70と低め。神器のイチイバルは威力が非常に高い((ただし装備ボーナスは力+10 速さ+10の2つのみとボーナスの数値が神器の中で最も低い。一応、装備中は『ライブ(ターンごとにHPが少し回復)』のスキルが付与されるが、こんなのよりも技+10とかのボーナスの方が余程マシだったと言われる。))が、これまた命中70のため、使い手の技のパラメータを吟味しないと、後半は外すことが多くなってしまう。 -マップが広大な上に入り組んだ地形が少ないため、移動力に優れた飛行系(ペガサスナイト、ドラゴンナイトなど)や騎馬系ユニット(ロードナイト、パラディンなど)が優遇されている。 --ソードファイター系など、性能の高い歩兵もいるのだが、歩兵系の足の遅さにイラついて騎馬系だけでプレイするという人もおり、高い攻略評価を狙う場合がそれが最適解となるほど。 --特に冷遇されているのが、防御力が高い代わりに移動力が特に低いアーマー系。前述の通り守備より回避が重視されるために扱いづらいうえに、味方の進軍に追いつくことができず、前線に出る頃には敵が殲滅されていることがほとんど。それを見据えたのか、本作では親世代・子世代でもアーマー系は1人ずつしか仲間にならない。 ---親世代で仲間になるアーマーの「アーダン」は登場時に「お前の役目は城の防衛」と会話で言われるが、しかし本城を守る必要があるシチュエーションが全編通しても数回程度しかなく、活躍の場は少ない。アーダンは他にも美形キャラ揃いの中で唯一のブサイク顔だったり、能力もスキルも優れていないなど明らかに冷遇されている。攻略本でも「誰ともくっつけないほうがいい」((「まちぶせ」を継承させられるが、それならまちぶせのほかに「エリート」のスキルとネールの血を持っているレックスの方がはるかに得。強いて挙げるなら斧の使い手ではないため、子供次第では武器継承ができる点のみ勝っている。))と書かれてしまうほど。 ---子世代で仲間になる「ハンニバル」も、「れんぞく」「まちぶせ」とスキルは優秀なのだが、高齢のためか速さの初期値、成長率が共に低く、クラスもジェネラルの例にもれず移動力も低いため、仲間になる時期が遅すぎることもあって戦力として計上されることはほとんどない。 -常時発動でないスキルは「踊る」を除き全部任意発動不可 --この関係で戦略にスキルを組み込みづらく「敵の防御力によって防御無視の「月光剣」と手数の「流星剣」を使い分ける」とか、「こいつは何としてもこのターンで倒さないといけないから「突撃」で継続して戦う」というようなことはできない。&brあえていうと「怒り」と「待ち伏せ」のみ、発動条件が「HPが半分を切ると常時発動状態になる」なので、HPを調整すれば任意の時に出せなくもない。 ---確かに自由に使えるとバランス崩壊につながりかねないスキルも多いが、スパロボの精神コマンドのように専用のリソースを消耗したりして制限掛けてでも任意発動できた方がSRPGとしてよかったのではないかという意見もある。 ---この問題は以後のシリーズでも続き、『蒼炎』では重要な敵とのタイマン戦闘がほぼ運ゲー(主人公がスキルを発動すればほぼ勝ち、スキルなしではターン制限もあり困難。負けても進めるが後味は悪い。)という事態が起きたり、『暁』ではコマンドで選べるスキルがいくつか出たが肝心の奥義系が全部ランダム発動で「瞬殺(敵HPを1にする)」など「通常攻撃で倒せてたのに発動してHP1で止まり倒せなくなった」などという問題も起きていた。ただし『Echoes』以降は「戦技」という形で任意発動が可能になっている。 -敵の使う「大盾」が鬱陶しい --本作の「大盾」は、ユニットのレベルの値そのままの確率で発動し、いかなるダメージをも無効化するという強力なものとなっている。親・子世代ともに終盤ともなると敵のレベルが30になることがほとんどのため、常に命中率が70%の戦いを強いられる事となる。 ---リザイアと大地の剣((遠隔攻撃がリザイア効果))による攻撃は大盾を無効化できるのだが、前者は使用可能キャラが限られており、後者は高価な上使用回数がたったの10回となっており根本的な解決には至らない。せめて物理攻撃のみを無効化にすればよかったのではないかという意見もある((のちの作品では、物理攻撃のダメージを減らす「大盾」と、魔法攻撃、遠距離攻撃のダメージを減らす「聖盾」に分かれている。))。 --大盾を兵種スキルとして所持するクラスのジェネラル・バロンとの対戦機会がゲーム全体を通して多く、二章以降ほぼ全ての章でボスとして登場するため、城の地形効果も相まって撃破に運が絡みやすい。10章のアルヴィスもクラスが「エンペラー」であり、大盾を修得している。 ---味方も大盾を修得できるが、前述した通り、味方の重装ユニットは使いづらく、事実上敵だけが得をしている。 -ラスボスやマンフロイ戦の難易度が低い --ラスボスは従来作と同様「特定の武器で攻撃しなければほぼダメージが与えられない」という設定だが、本作ではその設定が極端であり、多くの場合ラスボス前に手に入った対抗武器を扱えるキャラ(主人公ではない)と戦わせれば楽に倒せてしまうため、こういった感想を持つプレイヤーが多い。特に主人公が関わらない点についてはファンブックでもネタにされている。 ---一応やり込みによって必勝法以外の方法で倒すことも可能。主人公で止めを刺すとラスボスの台詞が専用の物に変化する隠し要素もある。また、バグによって本来効かないはずのある武器((スリープの剣。状態異常付与武器は『31-魔法防御』が状態異常付与率になるのだが、魔法防御が32以上のキャラはアンダーフローで状態異常付与率が100%になる。なお、ラスボスの魔法防御は35))が確実に効いてしまうなど、開発の想定外と思われる弱点も存在する。 --その上、竜など巨大な存在に変身していた過去作品と異なり、最後まで人間の姿のままである。戦闘曲も、展開に合っていない訳ではないが地味。 --攻略本に掲載されたスタッフインタビューによると、シナリオ上の本来のラストバトルは10章(セミファイナルの章)であり、最終章はおまけという位置付けらしい。また、元々はその章で子世代が終了となり、孫世代が始まるという構想であった。本作のラスボスは物語上でも元凶と言える存在であるが、孫世代でその真の姿を現すという構想だったのだろうか。 --また、このラスボスに対抗できるアイテム入手のために戦うマンフロイ戦も最終局面にしては同様に盛り上がりに欠けている。 ---物語上の黒幕でラスボスの右腕という非常に重要なキャラでありながら、これまで何度も戦ってきた城を守備する中ボス達と大差のない強さで下記の難敵達と比較するとあまりにも弱すぎる。 ---前作ではこのユニットに相当するようなキャラは強力な専用武器を使ってきたが、本人は下級の敵も使う一般の武器であるヨツムンガンドとフェンリルしか持っておらずスキルも貧弱なため。一応本作最重要スキルである追撃は持っているが、ヨツムンガンドもフェンリルも重いのでまず発動しない。イベントでは強力な状態異常魔法を使うのに、それすら使おうとしないので呆気なさ過ぎる。 ---また、特定の手順を踏めばマンフロイを無視してラスボスを倒す事も可能。その場合は断末魔を残して実にあっけなく消滅する。 --そのため、寧ろラスボス戦より前に戦う事になるファルコン3姉妹((圧倒的な回避率を持つ+与えたダメージ分体力回復する上に間接攻撃も可能な大地の剣を装備。しかも「見切り」で必殺や弓特効まで無効化と隙がない))やイシュタル戦((雷の伝説魔法トールハンマーの使い手であり、装備ボーナスや指揮官レベル☆5もあいまって命中率が圧倒的に高い。数値にすると実に224にのぼり、バルムンク持ちのシャナンであっても、回避はせいぜい100前後なので必中させられてしまう。ただし前述のように3すくみの関係でフォルセティ使いが育っていれば撃破は容易。また、彼女も魔法防御が32なのでスリープの剣で眠らせられる))のほうが山場と言われる事も。 -子世代のユリア、ティニー、パティが恋人を作った際のエンディングについて --&font(b,red){ユリアはどう足掻こうが確定で、ティニーとパティは親世代のカップリングによっては、エンディングで恋人と離れ離れになってしまう。} --これを防ぐためにはティルテュとブリギッドの夫を平民にするか、ホリンを夫にした上でシャナンを最後まで生存させてオードを継がせてやらないといけない。そうすればアーサーとファバルがフリージ家とユングヴィを継ぐ事になるのでティニーとパティを嫁に行かせられるのだが、そうでない場合はエンディングでアーサーとファバルが父親の国を、ティニーとパティがフリージ家とユングヴィを統治する事になってしまうのである。((パティの場合はホリンを父親にした場合、攻略する上でもパティがホリンから武器と月光剣を継承出来るし、イチイバルを使うファバルにとって最重要となる技の成長率が高くなるので、決して悪くは無い組み合わせである。ファバルのスキルが追撃だけになってしまうが充分強いので問題無い。)) --だがユリアに関しては何故恋人と離れ離れになる羽目になってしまうのか、理由が一切語られず意味不明である。 ---自身の身にディアドラとアルヴィスから受け継いだロプトの血が流れている事を理由に、ロプトを継承させない為に誰とも結婚しない事を心に決めたのでは?との推測もされているのだが、それはディアドラの息子であるセリスにも言える事なので説得力に欠ける。 --後の作品では「統治が一段落した後に恋人の下に嫁ぎに行った」という後日談が多く見受けられるため、本作でもそうあってほしかったという声が大きい。 -「聖戦士の系譜」はあちこちおかしいところがある --今作での「聖戦士の系譜」は武器レベルを上昇させる効果があり、この効果は敵にもちゃんと適用されている…のだが、ゲームシステムとしての系図を優先した結果世界観の設定とあちこち食い違っている。 --ファラ(炎)傍系の血が敵の子供キャラに継がれていない。例えばフリージの敵将二人の母「ヒルダ」はファラ傍系持ちだが、子供二人はファラの系図を持っていない。さらに、ヒルダ自身も終章ではミスによりダインの直系になってしまっている。 ---セリスもユリアも母親がロプト傍系持ちなのだが、何故かロプト傍系だけが継承されていない。シャガールもヘズル傍系すら継承していない。((子孫なのに系譜を受け継いでいないことは理由があるのだが、作中では彼がヘズルの子孫という説明すらない。)) ---『ファイアーエムブレム聖戦の系譜を遊びつくす本』掲載の開発者Q&Aによれば、「聖痕が出るのは個人差が激しくて、幼い頃に出る者も年老いてから出る者もいます。また、これが出るのは長子であるとか男子であるとかはまったく関係ありません。まったく法則性はなくて、時々は直系でもその因子を受け継いでいない人もいます。たとえばノディオン王家は黒騎士ヘズルの傍系(直系はアグスティ王家)ですが、唯一ミストルティンの契約因子を受け継いでいます。」とのこと。~ 設定的には、プレイヤー側の子供が必ず系譜を受け継いでいるのはゲーム的な都合であって、シャガールのように子孫なのに傍系点灯すらないということが起きるし、聖痕なし(子孫なのに点灯なし)or聖痕なし(傍系点灯)or聖痕なし(まだ聖痕が現れていないだけで実は直系点灯)、を作中世界の住人が見分けることもできないのである。~ ただし、「聖なるしるし」(聖痕)は直系子孫の幼児期に現れると語る村人が4章に居るため、成長してから聖痕が現れるのはレアケースのようである。 --問題となるのは、これらの点がゲーム内ではほとんど語られないことである。これを反省してか、『蒼炎』や『覚醒』、『風花雪月』など、後の作品では聖痕や紋章に関する言及、調査方法の提示などが実際にメインストーリー内でなされている。 -ノーヒントの隠し要素が多い --特定のマスに特定のキャラを待機させることで発生したり、特定の村を特定のキャラで訪問することで見られる隠しイベントが多数存在する。ヒントなしでの発見はほぼ不可能。 --お遊び程度のイベントであればよかったのだが、キャラの使い勝手が上がる有用なアイテムが手に入ったり、主人公に関する重要な会話が発生したりと、ゲームバランスやシナリオの掘り下げに直結する要素も。 --今でこそこれらの隠し要素は知っていて当然・回収して当然といった形で語られがちだが、攻略情報などを見ずにプレイすることにこだわりたいプレイヤーの場合、まず間違いなくこれらの要素を見逃してしまい、苦戦を強いられたり重要な会話を見損ねてしまう。 --見逃したことでのちのバランスが大きく変化するアイテムもある。このうち、勇者の斧は、親世代で取り逃してものちに子世代で入手できるが、ナイトリング、ついげきリングは2章で取り逃すと入手できない。 -詰み要素の存在 --変な状況でセーブしてしまい、「どうユニットを動かしても誰かが死んでしまう」などの(プレイヤーにとって)実質的な詰み状況になる事態に陥ることもあった。死者が出た場合は、のちに入手できる「バルキリーの杖」でリカバリーが可能だが、城を落とされることが確定した場合、「ワープの杖」がない限りはどうしようもなくなる。 ---本作ではセーブデータが3つ作成可能なので、章開始時のセーブデータを残しておく事が望ましい。 -永久離脱ユニット --本作では、今までと異なり戦闘で敗北する以外でも味方が離脱することがある。 ---キュアン、エスリン、フィン、ディアドラが該当。このうち、ディアドラは離脱前に操作不可能になるため、ターンセーブを利用して所有装備を売れば問題はない。他のユニットも、会話である程度示唆されているため、唐突というわけではない。だが、所有アイテムが中古屋に売られるという措置がないため、初見のプレイヤーからはやや窮屈に思われがち。 -親世代のメインキャラクターの行動にツッコミ所がある。 --シグルドの親友のキュアンは自らが統治するレンスターの扱いがかなり雑で、自国が常にトラキアから狙われている事を知っていながら、自分の国民を守るためではなく親友を助けるという「私情」のために死ぬことを考え、自国の軍を多数引き連れて出撃する。((なおこれはキュアンだけではなく彼の父親も問題で、同様に自国が危険にも関わらず親友を守りたいキュアンの気持ちを後押ししてしまっている。))~ キュアンも無策ではなくレンスターには腹心フィンと半数の兵士を残し、自身の出撃も秘密裏に行っていたのだがあっさりとバレて奇襲を受け((一応トラキア側はキュアンの出撃を知らなかったが、マンフロイが情報を流したという理由付けはある))、更に地形的に不利な砂漠に向かったことでまともに抵抗もできないまま命を落とす。これがレンスターの滅亡を招く最大の原因となり、息子のリーフを危険にさらすことになっており、一国の王としても、夫、父親としても失格だと言わざるを得ない。 --また彼の妻であるエスリンも問題で、兄であるシグルドに会いたい、キュアンと一緒にいたいという理由だけで激戦が予想されていた戦場に幼い娘であるアルテナを連れてきてしまう。一応アルテナに関しては自分がいないと泣くからとエスリンが発言しているが、子供を危険にさらす理由にはなっていない。結局これが彼女の死を招き、こちらも娘のアルテナの人生を大きく狂わせる要因となってしまっている。 ---もう一人の親友であるエルトシャンの行動も不自然な部分が多く、彼をぞんざいに扱い、父親を殺害したという怪しい噂が流れるなど不審な部分が数多い暴君「シャガール」を、内心怪しみつつも国のためという浅い理由で助けてしまい、シグルドの足を大きく引っ張るなど考えの甘い点がある。この行動は完全に裏目に出ており、シャガールは暗黒教団の甘言に乗った挙句父親を殺して連合国の主権を奪い取り、悪政を敷いた挙句無謀な戦乱を巻き起し、エルトシャン本人も命を奪われるなど、かえって状況が悪化してしまう。~ エルトシャンの出身であるノディオン家はアグスティ家の分家筋にあたり、((アグスティ王家は黒騎士ヘズルの系譜の本家であり、その直系がエルトシャンの家系であるノディオン家に生まれた結果、アグスティ王家に絶対の忠誠を誓う代わりに魔剣ミストルティンを授かったという背景がある。))シャガールの父親はエルトシャンに対して個人的にも厚遇していたので、王に対する忠誠心が高いことは不自然ではない。だが、前述の通り、父親を殺して王家を私物化し貶めているシャガールをわざわざ助けるのは、むしろ王家への忠誠を放棄しているのではないかという意見もある。((小説版では身勝手な理由でエルトシャンを処刑したシャガールを、シグルド自らが斬殺するというシーンが追加された。)) ---なお、(シグルドを含めた)3人については意図的に考えが甘いという欠点のある人物として描いていることが、ある攻略本のインタビューで明かされている。 ---シグルドは子世代で悲劇の英雄として人々に再評価されているというフォローがなされているものの、他二人については作品中では無い。また、キュアンに関しては『[[トラキア776>ファイアーエムブレム トラキア776]]』で軍師アウグストに痛烈に批判されている。 -シナリオについて --前述の通り基本的には非常に評価が高いシナリオではあるのだが、細かい所で展開が早く駆け足過ぎる部分や、描写不足な部分が指摘される。主に親世代で顕著。 ---ディアドラは最初からシグルドに好意を寄せているのだが、それに至る経緯がハッキリ描写されておらず、彼女に感情移入しづらい。また2人の結婚生活がテキストで短くまとめられるだけのため、互いにどういう心情を抱いていたかがやや分かりづらい。 ---ディアドラが途中でマンフロイに誘拐されるのだが、その流れがやや雑。シャナンに危険だと言われたにも関わらず城を抜け出し、そこで都合良く登場したマンフロイに捕まってしまう。 --子世代はストーリー自体が単純なため粗は少ないが、マンフロイとの対決についてはやや強引な部分も。 ---マンフロイはラスボス戦の脅威となりうるキャラを誘拐しておきながら、&bold(){殺すでも監禁するでもなく催眠をかけて単身セリス達に差し向けるという雑な策を実行}。そして本人はあっけなくやられてしまう。((ラスボスもマンフロイを名指しで失態を叫んでいる)) ---この失態が無ければシナリオ的に主人公側が半ば詰んでしまうため仕方がない面もあるが、ゲーム全編を通して狡猾に暗躍し続けてきた因縁の相手であるにもかかわらずこの有様なため、かえってガッカリさせられてしまう((小説ではセリスに対する憎悪が失策へと走らせてしまったとフォローされている))。 ---先述の通り本作は孫世代まで構想しており、ラスボス戦の流れは取りやめとなった孫世代の展開を簡素にして詰め込んだため雑になってしまったと思われる。 -周回を重ねる毎にOPが変化し、全部で16パターン用意されているのだが、どんなに効率よくプレイしても1周するのに50時間程度はかかる((RTAでは10時間以内のクリア動画もアップロードされている。))ので、全てのパターンを見ようと思ったら物凄く手間と時間が掛かってしまう。 --しかも、いわゆる「強くてニューゲーム」のような要素も無いため、また最初からプレイし直さなければならない。既にクリアしたデータでもう一度クリアして回数を稼ぐといった方法も通用しない。 --極め付けに''クリア回数はセーブデータ欄に記録されるため、既にクリアしたデータを上書きしなければならない''。別のセーブ欄に移し変えることで残してはおけるが、2周目をクリアするまで気づかない人も多かった。 --OPの内容も、単なるおまけ要素で済むならまだしも、中にはストーリー中の伏線が明らかになるという超重要パターンが含まれている。 -隠しエンディングの出現条件が非常に厳しい。 --条件は『クリア時の総合評価をAにすること』。評価の内容は『生存』『攻略』『経験』『戦闘』の4つ。当然速攻攻略が求められるが、それのみならず、『経験』という項目をAにするにはアーダンといった使えない(使わない)ユニットのレベルも相当あげないといけないほどである。 --また『戦闘』をAにするには「全ユニットの負け数の総和が3敗以下」というものだが、これはマップの途中でユニットが負けてしまって、そこでリセットしても加算されてしまう。またバグで負け数が増えてしまうこともある。後にFEのスタッフが語ったところによると、当初はライフポイントが導入される予定だった((HPが0になると自軍を抜けるキャラクターがいたり、死亡したような描写があるのに実は気絶していただけというFEらしからぬキャラクターが出てくるのも、その傍証と言える。))ので、仕様変更時の見落としと考えられる。 --そこまで無理してみるほどのものでもないが(エンディングで少しムービーが入る程度)。またどれかの評価が1つだけBでも、他がAなら総合評価はAになる。 ---4つの中で厳しいのは総ターン数400未満が求められる「攻略評価 A」。A狙いをすると歩兵をぶっちぎって騎兵だけで突き進むような攻略が必要になる。攻略評価Bならそれなりに余裕を持てる。 -バグが非常に目立っており、現在でも新たなバグ報告が絶えない。 --特定の条件下でレベルアップすると成長率が下がるなど、攻略を妨げるものが多い。中にはゲームが進行不能になるものも。 ---- **総評 本シリーズの大きなセールスポイントである、国家間の争いや人間関係などの部分を更に深く作り込んだ意欲作。~ 親から子へと続く壮大な物語や精巧に作られた一つの世界、結婚システムや3すくみ、スキルや職業ごとに異なるパラメータ上限、アルファベットで処理される武器レベルなどなど、後の作品にも継承される斬新なシステム、レベルの高いグラフィック・BGMなどから、異色作とされながらもシリーズ屈指の人気タイトルとなった。 賛否が分かれやすいのはバランス面。神器をはじめとした強力な武器の存在や、兵種や武器種の格差、「上手く活用すれば多大な恩恵を受けられる反面、逆もまた然り」のシステムがその偏りを助長するため、強いキャラクターは隆盛を極め不遇キャラクターはとことん不遇となる。ただし難易度自体は低めなので、攻略評価を気にしないのであれば本作を象徴する概念である「愛」で十分カバーできる。 ---- **余談 -親世代の主人公であるシグルドの妻はディアドラで固定なのだが、当初はシグルドも自由にカップリングが出来る予定だったらしく、子世代の主人公の「セリス」という名前も、男でも女でもどちらでも使える名前だからという理由で付けられた物らしい。後のシリーズでも、「クリス」、「ルフレ」、「カムイ」、「リュール」など、男性としても女性としても使える名前の主人公がおり、実際に性別を選択することができる。 --ただし、当時の公式掲示板で加賀氏はセリスは最初から男として設定していたと、この説を否定している。 --ちなみに前述した通り、主人公が複数のキャラから相手を選べるのは本作が初めて。のちに『封印の剣』などのGBA版タイトルでは複数の候補から相手を選ぶシステムになり、『覚醒』からの新作タイトルでは、本作と同様に、特定の相手を除いたすべての味方ユニットと結婚ができるようになっている。 -本作で採用された「神器」は、「神将器」や「双聖器」、「英雄の遺産」など、類似したものがのちのシリーズ作品にも存在している。また、本作の影響を大きく受けたとされる『風花雪月』では、聖戦士の系譜に近い「紋章」と呼ばれるシステムも存在する。 -異父兄妹同士が子を成すという倫理的に真っ黒な展開がある((本人達は知らなかったようだが))。後にリリースされた『[[FE覚醒>ファイアーエムブレム 覚醒]]』には結婚したユニットの子供が未来からやってくるというシステムがあるが、その際に近親相姦は基本的に不可能になっている。また、本作でも主人公のセリスとその妹ユリアが(兄妹だと知らずに)フラグを立てるが、バグ技を使わない限りは結ばれることはできない。 --この要素は、今の家庭用ゲームのシナリオではまずあり得ないことだろうと思われていたが、『[[エンゲージ>ファイアーエムブレム エンゲージ]]』でついに、バグを使わず主人公とその妹の結婚が可能((父親は同じだが、母親が同一人物かは不明。))となった。主人公が女性であっても可能なので、ある意味本作より危険だと言える。 -本作のストーリーの一部に焦点を当てた次回作『[[トラキア776>ファイアーエムブレム トラキア776]]』も、本作の背景を引き継ぐと共に、「滅びの美学」というテーマの元でかなり重いストーリーになっている。その後の据え置き機も同様で、『蒼炎の軌跡』、『暁の女神』では、人体実験や、身分格差、種族差別など、『風花雪月』は貴族と平民の対立や、登場キャラのほとんどが本作に劣らぬ壮絶な過去を背負っている事、また、かつての仲間たちが殺しあう姿を描くなど、やはりシリアスな展開が続く。 --一方、携帯機作品(『[[封印の剣>ファイアーエムブレム 封印の剣]]』~『[[if>ファイアーエムブレムif 白夜王国/暗夜王国]]』)ではライトユーザーを意識してか、本作よりも勧善懲悪色の強いストーリーになっている。ただし、『[[烈火>ファイアーエムブレム 烈火の剣]]』は、本作に負けず劣らずの複雑な人間模様から、暗めのストーリーと言われることも多い。 -タイトルの「ファイアーエムブレム」は本作のストーリーにあまり関係ない。進め方によっては存在すら気がつかずに終わる。 --もっとも「ファイアーエムブレム」や「炎の紋章」という単語が[[本編で一切出ない作品>ファイアーエムブレム 外伝]]も既に存在する。 -本作の攻略本は20社以上から出されている。攻略本が多くの会社から発売されていた時期である事を考慮しても、凄まじい量である。 --またコミカライズも非常に盛んで、大沢美月氏や藤森ナッツ氏をはじめ、多くの(主にスクウェア・エニックス関係)作家に描かれている。小説版も刊行されており、[[第2次スーパーロボット大戦OG]]や[[ゼノブレイド]]などの脚本を担当した竹田裕一郎氏が手掛けている。 ---尤も「エニックスお家騒動」による作家陣の大量引き抜きにより打ち切りも含まれているのが残念なところ。 -同盟軍や乱数調整などを利用したものではあるが、シーフの腕輪、値切りを禁止しバルムンクとフォルセティのみでクリアした猛者が存在する。 --『''フォルセティとバルムンクさえあればユグドラル大陸(本作の舞台)を征服できる''』そんなジョークが真実化した動画もあるので、興味があれば探してみてほしい。 -ゲームオーバー画面の採用は本作が初 --『[[初代>ファイアーエムブレム 暗黒竜と光の剣]]』、『[[外伝>ファイアーエムブレム 外伝]]』、『[[紋章の謎>ファイアーエムブレム 紋章の謎]]』では「きろくしたところからはじめますか?」や「きろくがありません」の2種類のメッセージしか出ず、採用されなかったが、ゲームオーバー専用の画面が採用されたのが本作が初めてである。 ---以降のFEシリーズ((最新作やリメイク作))から採用するようになった。 -本作は自由恋愛が売りとなっているが、『トラキア776』で固定となったカップルが2組ある。片方はこの作品でカップルが自動的に成立する専用イベントがあったのだが(こちらはユーザーからのカップル人気も非常に高くほぼ受け入れられた)、もう片方のカップルに関しては、ファンから「勝手に固定しないでくれ」という声が未だにある。後日、このカップルに関する任天堂公式HPの記述は削除されたほど。 --しかしながら、その『トラキア776』においても、カップルが成立したにしては不自然な点があったり、子供がもってくるある武器の名前がかなり意味深なものとなっているなどの疑問点もある。作中では明かされないため真相は闇の中だが。 //スキル『祈り』が継承されてないのと、ベオの剣の事ね //---これに伴い、「このカップルのアンチが電話でISに抗議した」という噂が出、今もこの話が本当だと信じてる人がいるが、実際は根も葉もない噂レベルである。 --更に、任天堂公式HP・ファイアーエムブレムワールドの「マスター級Q7解答」の解説で若干揉めた。 //今作のキャラクター人気を象徴するエピソードだと思うので、ある程度コメントアウトを復帰させました。 ---この影響により、この後にリリースされた作品は、連作の際には恋愛が成立しなかったり、父親か母親のみが明らかになっているなど、カップリングに矛盾が生じないよう配慮されている。 --なお、この「自由恋愛」の要素は、ファイアーエムブレム界隈に革命を起こしており、シリーズの女性人気が爆発したのは本作の影響と言える。事実、本作のメディアミックス作品の書き手は男性より女性の方が多い。 -スペースワールド95で展示された際の仮タイトルは『ファイアーエムブレム 光をつぐもの』だった。このタイトルは本編6章で使われた他、冬季ねあ氏が手掛けたコミカライズ版のタイトルに使用されている。 -前述したアーダンは有用なレアアイテムが獲得できる隠しイベントが存在することや、特定のキャラを恋人にした場合の専用の会話が妙に男らしかったりと、逆にファンから愛されているキャラでもある。また、火の玉ゲームコミックの4コマなどでは、他のどのキャラよりも&bold(){色々な意味で}((ざんてつの剣の試し斬りにされる・レアアイテム回収に行ったら間違えてリターンリングを拾って城に戻された・ラケシスと恋仲になったが、その理由が「ヤケクソになって超美形のエルトシャンと正反対の人を選んだから」と言われた・恋占いをしたら水晶がどす黒くなって割れた・シグルド軍の男性は皆美系だと思い込んだ新しい仲間に敵と間違えてやっつけられる・足が遅くても役に立ちたくて踊り子にクラスチェンジしようとした…など、枚挙に事欠かない))ネタにされまくっていた。 --この影響からか、早いうちからソーシャルゲーム『ファイアーエムブレム ヒーローズ』にも参戦し、追撃リングを得られるなど、公式からもある程度の優遇を受けている。 -2021年5月26日に、オムニバスソフト『[[スーパーファミコン Nintendo Switch Online>ファミリーコンピュータ Nintendo Switch Online]]』の収録作品に追加された。 -のちにリリースされた『ファイアーエムブレム ヒーローズ』で、十二聖戦士のウル本人が参戦した。
*ファイアーエムブレム 聖戦の系譜 【ふぁいあーえむぶれむ せいせんのけいふ】 |ジャンル|シミュレーションRPG|CENTER:&image(https://img.atwiki.jp/gcmatome/attach/3657/1896/564404_4608_front.jpg,height=200)[[高解像度で見る>https://img.atwiki.jp/gcmatome/attach/3657/1896/564404_4608_front.jpg]] [[裏を見る>https://img.atwiki.jp/gcmatome/attach/3657/1895/564404_4608_back.jpg]]&br;&image(https://img-eshop.cdn.nintendo.net/i/da1861455a597e1ab4f0089f6ab176f1f6d7a517a38f26f9731eb7dbe0a513f5.jpg,height=120)| |対応機種|スーパーファミコン|~| |メディア|32Mbitロムカートリッジ|~| |発売元|任天堂|~| |開発元|インテリジェントシステムズ|~| |発売日|1996年5月14日|~| |定価|7,500円(税別)|~| |プレイ人数|1人|~| |セーブデータ|4個(バッテリーバックアップ)|~| |レーティング|CERO:A(全年齢対象)&br;※バーチャルコンソール版より付加|~| |配信|バーチャルコンソール&br()【Wii】2007年1月30日/926Wiiポイント(税10%込)&br()【WiiU】2013年4月27日/943円(税10%込)&br()【New3DS】2016年8月27日/943円(税10%込)|~| |書換|ニンテンドウパワー&br()1997年9月30日/1,000円/F×8・B×4|~| |判定|BGCOLOR(lightgreen):''良作''|~| |ポイント|3すくみ・結婚システム初導入&br;親子2世代の戦いを描いた悲壮感のあるストーリー&br;武器・クラスともに大きな格差あり&br;前作より難易度は下がるも癖の強いゲーム性に|~| |>|>|CENTER:''[[ファイアーエムブレムシリーズ]]''| ---- #contents(fromhere) ---- **概要 FEシリーズ第4作で、『暗黒竜』からプロデューサーを務めてきた横井軍平氏が最後に手掛けたシリーズ作品。~ 製作スタッフがファイアーエムブレムとして作ろうと思っていなかったところ、任天堂上層部の意向でFEのタイトルを冠せられたという経緯から、当初は異色なシステムが多いとされていたが、現在のシリーズ作品はむしろ本作を踏襲したシステムが多い。~ ---- &font(b,16){ストーリー} >かつてユグドラル大陸を力と恐怖で支配したロプト帝国。~ 暗黒神ロプトウスの加護を受けた闇の帝国を打ち倒したのは、ほかならぬ皇帝の弟マイラと、~ 神より十二の神器を与えられた十二人の聖戦士たちだった。~ 聖戦士の一人聖者ヘイムはグランベル王国を建国。他の聖戦士たちは、~ ある者はグランベル王国を支える諸侯に、ある者は他の土地で国を興す。~ かくしてユグドラル大陸に平和が訪れた。~ ~ 時は流れ、グラン歴757年。~ グランベルの交易都市ダーナを東の王国イザークが急襲したとの報が入る。~ この暴挙に対し、グランベル王国は国を挙げてイザーク王国を討伐すべく兵を送る。~ だが、手薄になったグランベルを狙い、南の王国ヴェルダンが突如侵攻を開始する。~ これこそがユグドラル全土を揺るがす長い闘いの幕開けであった…… ---- **特徴 -3すくみシステム --「剣は斧に強く、斧は槍に強く、槍は剣に強い」という「3すくみ」システムが初登場。使用武器による味方ユニット同士の差別化や戦略性の増加等に繋がった。 ---魔法にも「炎は風に強く、風は雷に強く、雷は炎に強い」という3すくみが存在するほか、これら3属性のいずれにも強い「光」「闇」属性が存在する。 --武器の三すくみは、本作以降のほとんどの作品に導入されており、今ではすっかりシリーズを象徴するシステムとなっている。さらに、[[ユグドラ・ユニオン]]など、本シリーズ以外のSRPGでも見られるようになる。 ---一方、魔法は「理」→「光」→「闇」→「理」に変わったり、3すくみそのものが存在しないなど、いろいろと姿かたちを変えている。 //シリーズ恒例の武器の3すくみシステムはこの作品から導入された。 -戦闘時に特殊な効果を発揮する「スキル」システム --兵種毎に設定されたスキルの他、ユニット自体が個別にスキルを所持していることもあり、こちらも味方ユニット同士の差別化に貢献した。一部の武器や道具には、装備・使用している間スキルを発動できる物も存在する。 --こちらもシリーズ恒例の要素となり、「封印」「烈火」や、旧作のリメイク作を除いたすべての作品で採用されている。 -クリア後評価 --ゲームをクリアすると4つの項目でプレイを評価される。オールAを目指す場合は緻密な攻略・育成計画を立てる必要があり、手強いやりこみ要素になっている。 ---「攻略評価」は要したターン数、「経験評価」は全ユニットのレベルアップ回数の合計、「戦闘評価」はユニットの負け回数((本作ではユニットが倒された時点で自動的に「負け数」がカウントされ、リセットしても保持される。負けを消すには章初めのセーブデータからやり直す必要がある。))、「生存評価」はロストしたユニットの数で評価される。 -恋愛・結婚システム --男女のユニットは会話イベントを起こしたりマップ上で隣接させていると「恋愛値」が上昇し、一定以上になると「恋人」同士になる。前半で恋人になったカップルは結婚して子供を産み、その子供が後にユニットとして登場する。~ 一部のユニットは固定カップルだが、それ以外はある程度組み合わせが自由で、カップルになったキャラ同士には支援効果がつくほか、必殺の一撃を発生させることができる。カップルで発生する必殺の一撃は、敵の「見切り」スキルすら無効化するので非常に強力。 --前半のカップリングによって後半の仲間の成長率や習得するスキル、所持品、サブイベントの有無などが決まる。 ---ユニットによっては「聖戦士」の血を引いており、ステータス画面で確認できる。聖戦士の血が入っていると該当種類の武器レベルに補正が付いてより上級の武器を使えたり、レベルアップの能力上昇確率にボーナスが付くなど特典がある。神器を使える濃い血統だとさらに効果が高い。これも両親から受け継がれる。 --前半で女性ユニットが誰とも結ばれなかったり、一定点までに途中で死亡したりした場合、本来仲間になるはずだった子供たちの代わりのキャラが仲間になる。これらのユニットたちは「平民ユニット」((厳密には公爵家の娘の子(うち1人は当主の伯父の下で育っている)やエルトシャンの側近騎士の子がいるので、平民でない連中が4人ほどいる。))や「代替キャラクター」((公式サイト「ファイアーエムブレム ミュージアム」内での呼び方。))などと呼ばれる。ステータスや成長率も、カップリング成立時の子供達に比べると低め。 --後半のキャラもカップリングができる。支援効果は発生するが、子供は生まれない。代わりにエンディングの内容に関わってくる。 ---基本的には、所有スキルや聖戦士の血脈が優れたユニット同士を結婚させると後半が有利になるが、敢えて不利なカップリングを作ったり、もしくはそもそもカップルを作らずに難易度を高めるといった楽しみ方も可能となっている。 -ターンごとにセーブが可能になった --これは、他のシリーズに比べてマップはかなり広大であるため、従来通り章の間にしかセーブできないとなるとプレイが困難になるため。 --ただし、敗北数0プレイを行う場合、敗北数は同一セーブデータから進行していると、コピーしたデータにも反映されてしまうため、「普段はデータ1で進行し、データ2で博打をする」という手段は通用しない。~ 敗北数をリセットするには、前章終了直後に行えるセーブによる「ターン数が表示されていないデータ」から開始しなおす必要がある。 //ターンセーブ自体は後の作品でもあるうえ、システム的に真っ当なので、積み要素を問題点に移動しつつこちらに移動。 -他にも、シリーズの他の作品と比べてシステム的に次のような特徴がある。 #region(一覧) -他の作品で言う「進撃準備画面」や「拠点画面」は存在しない。その代わり、マップの開始地点となっている自軍の城にて、アイテムの売買などの戦闘準備を行う。 --この開始地点の自軍の城が敵軍の手に落ちたらその時点でゲームオーバーになる。 -所持金はユニット毎に設定されており、アイテムと同様に味方同士で自由に金銭の受け渡しをすることができない。恋人同士、もしくは兵種がシーフの者なら相手に「あげる」ことが出来る。 -敵ユニットにカーソルを合わせてAボタンを押すことで、移動範囲に加えて攻撃範囲を表示させられるようになった。 -闘技場のシステムが他の作品と異なっている。 --闘技場は各城に設置されている。戦う相手は章毎に固定されており、勝つ度により強い相手と戦うことになる(7回勝利すると闘技場制覇となり、戦う相手がいなくなる)。 --最も大きな違いは、闘技場で敗北しても''死亡せずHPが1になるだけ''という点。負け数もカウントされず、何度でも再挑戦することができる。 --また闘技場で勝てば賞金が貰える上、挑戦料も必要ない。 -武器は使用回数を使い切ると「壊れた武器」となるが、城の「修理屋」でお金を払うことによって直すことができる。 --武器ごとに倒した敵の数がカウントされてゆき、50を超えるとその武器を使っている時は「必殺」スキルを持たなくても必殺が発動するようになる。確率は(倒した敵の数-50)%(カウントは最大で100までのため、最大50%)。実際の発動率は武器の必殺率にさらに使用者の技のパラメータを足したものになる。 -ユニット毎の最大レベルは20ではなく30。レベル20に達すれば自軍の城でクラスチェンジを無償で行え、ステータスや武器レベルを上昇させられる。レベルは1に戻らず継続。 -必殺は、前述したように「必殺」のスキルを持つか、恋人、あるいは親族にあたるユニットが隣にいる、前述のように50体以上敵を倒した、或いはキラーボウや神器ミストルティンのように元から必殺が発動するようになっている武器を使う、のいずれかを満たさなければ発生しない仕様となっている。 //そのため、「わざ」や「こううん」の重要性が、従来と比べて低くなっている。 //技は攻撃の命中率におおいに影響するので重要性は依然として高い。間接攻撃が可能な武器は手槍とか含めて軒並み命中率に難がある。 --その効果も、最終ダメージ3倍ではなく攻撃力2倍になっている。そのため、守備力が高いからといって安心はできない((この仕様はFEではユグドラル大陸を舞台にした作品のみ採用されている。))。 -山賊、海賊が村に立ち入ると崩壊してしまい、情報やアイテムが得られなくなるのは従来通りだが、本作では村に入られても、10ターン以内に倒せば崩壊を免れられる。 -HPの上限が80、それ以外のパラメータの上限が最大30に増加した。また、パラメータの上限値がクラスごとに設定されるようになったのも本作が初だが、((取扱説明書では「全パラメータが30の化け物ユニットはどうやってもできません」と書かれている。))それをゲーム内で確認することはできない。 -武器レベルはキャラクター毎に固定されており、クラスチェンジ以外で上昇することはない。 --子世代に関しては後述の結婚システムにより、聖戦士の血統によって通常より高まる場合もある。 -本作の乱数には疑似乱数が用いられており、初期の乱数種が固定のうえ、乱数を回す方法が攻撃することくらいしかないため、ROMにかかわらず、同じ操作をすれば必ず同じ結果になる。 --それを利用した"詰めエムブレム"なるものも登場。オープニングからエンディングまでの操作方法を記載した攻略本まで発売された(但しその本には誤植があり、途中で崩れてしまう)。 --一見中断セーブでリセット戦法を封じるためにも見えるが、これは実は制作側が意図していなかった模様。 //-FEシリーズでは唯一、エンディング恒例となるキャラごとの後日談が存在しない。 //--ただし、エンディングでは各国のその後の様子が描かれており、誰がどの国に移ったかがはっきりわかるようになっている。 //蒼炎も同じ仕様なのでCO。 #endregion ---- **評価点 -親子2世代にまたがる壮大な物語 --本作最大の特徴は、ゲーム全体が前半のシグルドを主人公とする「親世代」と、後半のシグルドの息子・セリスを主人公とする「子世代」に分かれており、後半になると''親世代の自軍ユニットの殆ど全員((1人だけ、前半と後半両方で仲間になるユニットがいる。))がゲームから離脱し、代わってその子供達を操作するようになる''ことである。この要素は、『[[覚醒>ファイアーエムブレム 覚醒]]』(子世代のキャラクターが仲間に加わる)や『[[風花雪月>ファイアーエムブレム 風花雪月]]』(時間経過を伴う二部構成)など、後のいくつかの作品にも継承されている。 --後述の結婚システムにより、親世代の女性ユニットがどの男性ユニットと結ばれたかで登場する子供の能力等が左右される。 -元々見た目は軟派ながら戦場としてリアルなイベントの多いシリーズだが、前半はその中でもストーリーがかなり重め。『風花雪月』がリリースされるまではシリーズ中一番重いと言われていた。 --前半部である親世代は、序盤は隣国にさらわれたお姫様を救いに行くというような王道を絵に描いたような展開((だが、歴代でも珍しい「最初の敵が異国の軍隊」という設定(他は初代の『暗黒竜』筆頭に「戦乱で治安が悪化して跋扈してきた賊の討伐」や、『蒼炎』などに端を発する「戦場に出るための訓練」が最初の戦いというのが基本。)であるという少し珍しい展開である。最も蛮族扱いされる国の軍なので外見上は山賊と変わらないのだが。))なのだが、中盤以降から、親友との戦いを余儀なくされたり、無実の罪によって反逆者の汚名を着せられるなど、どんどん暗い展開になってゆき、クライマックスではRPG史上屈指の悲劇的展開であろう「バーハラの悲劇」を以って幕を下ろすことになる。 //---一方で、進軍する中で、シグルドはヴェルダンでディアドラと運命の出会いを果たし、結ばれることになる。この際に告げられる台詞((出会うまでにサンディマを倒すか否かで二通りのやり取りがある。))は、まさに本作を象徴する素晴らしいもので、シグルドとディアドラは、FE史上で屈指と言えるベストカップリングとして名高い。それだけに、後述の展開にやり切れない思いを抱くことになるわけだが…。 //夫婦での描写が少ないこともあってこの2人の関係がファンからそこまで大きな扱いを受けているとは言いがたく、記載者の主観に寄り過ぎかと。 #region(バーハラの悲劇) -ストーリー中盤、主人公シグルドの妻であるディアドラが息子と夫を残して誘拐されてしまう。のちにディアドラは記憶を消去されて王国近衛司令官アルヴィスに引き合わされ、シグルドの目の前で妻として紹介されるという、驚愕の寝取られ展開となる。 --さらに弁明の機会も降伏の権利も与えられず、シグルド一行は反逆者としてアルヴィスらグランベル王国軍により不意打ちを受け、全滅という結末を迎える。これが「バーハラの悲劇」である。国のため、正義のためと信じて戦ってきた見返りがこの仕打ち。しかも愛する妻は自分のことを覚えておらず、よりにもよってその妻とくっついた男の手で殺される…と、あまりにも無情で惨めな最期を迎える。 --シグルド(と先に離脱しているキュアン夫婦)は死んだと断言されており、他のキャラも(ここまで生き延びていれば)「生死不明」という扱いになり、一部を除いてその後の子世代の物語には全く登場しない。 ---女性キャラについては公式にその後が設定として存在しているが、無事を子供達から明言された1名除き、子供を遺して死亡したり行方不明になったりしている者がほとんど。また、ディアドラについてもその後の末路が作中で描かれているが、通常の方法でお目に掛かったプレイヤーは相当なやりこみ勢。 -このイベントがあるからこそ、無念に散った彼らの子供達が遺志を継いで立ち上がるという後半のシナリオが光る((『ファイナルファンタジーVI』や『ゼルダの伝説 時のオカリナ』でも似たような手法が用いられており、こちらも評価は高い。))。 --なお、このことからシグルドは「RPGでもっとも可哀想な主人公は?」といった話題になると、必ずと言っていいほど名前が出てきて候補に挙げられる((あくまで主人公では、という話であり、ハーディンやカナス、ディミトリなど、主人公に限定しないなら彼に匹敵する不幸なキャラはいる。RPGというくくりにしても『ライブアライブ』のオルステッドや『テイルズオブエクシリア2』のルドガーなど、シグルドに負けず劣らず不幸な主人公は他にもいる))。 --一方で、シグルド一行も、いかにレプトールを倒す手伝いを受けたとはいえ、それまで日和見していたアルヴィスを簡単に信じるのはさすがに考えが浅すぎるのではないか、という意見もある((漫画版ではこの点が深く掘り下げられている。))。 #endregion -その後の子世代においては暗黒神を崇拝するロプト教が台頭し、親世代以上に陰惨な状況でスタートする。 --しかし親世代とは異なり、帝国に支配されつつある世界が主人公たちの活躍によって救われていくという展開になっており、親の仇もしっかりと討つことができるなど、バーハラの悲劇で受けた屈辱を存分にはらすことができる。 ---これは、シグルドが強さのみならず、正義感の強い好青年で、結果的に敗れ去るものの、戦いの最中で多くの国々の英雄たちと絆を育んでいたことが大きい。その結果、セリスの率いる解放軍が聖戦士の末裔を束ね、数で勝る帝国軍を圧倒する結果を産む((一騎当千と言える神器の数が、味方は8、敵は4と大きく自軍が上回る。))に至ったのである。 -宿命と情が絡み合う人間関係はかなり複雑でシリアス。 --今作の敵は(ほぼ暗黒神の操り人形であるとはいえ)全員が人間であり、以前の作品で敵対した竜や魔物は登場しない。 ---さらに実の兄弟・親子・親友・従妹などが戦うケースも以前より多くなっている。かつて世界を救った聖戦士たちの末裔が、同じ血族同士で愛憎を交えつつ殺し合う様はかなり皮肉なものがある。とはいえ、敵方は一部を除いて、聖戦士の末裔とは思えないほど腐敗してたり強欲だったり狡猾だったりと、同情の余地がない悪党である事((特にヒルダという敵キャラクターは、その悪辣極まりない所業から、この戦争の諸悪の根源であるマンフロイ並みかそれ以上に嫌うプレイヤーが多い。))が殆どである。かつて味方だったキャラと戦うわけでもないので、後の作品ほど悲壮ということはない。 --また、勇者の斧獲得イベントをはじめとした隠しイベントや、仲間同士の会話ではコミカルな部分も多く見られるなど、決して重苦しさ一辺倒というわけではない。 -前作までに見られた、死に際の一言以外に台詞がないようなキャラは存在せず、代替キャラを含めたすべてのユニットに会話が存在する。また、全体的に味方キャラは美形が多い上に結婚システムが加わり、子世代も含めた攻略の範疇を外れたカップリング論などが交わされるなど、キャラ人気が以前の作品より高まっている。 -難易度の調整 --全体的に前作よりも初心者に配慮した難易度に調整がなされている。 ---親世代は主人公であるシグルドが強力で、困ったら彼を突っ込ませることで解決することが多い。そのため、前作までと比べて仲間をロストする場面に遭遇することが比較的少なくなり、初心者にもとっつきやすくなった。後半の子世代も、後述のセリスのほか、リーフ、アレス、セティ(ホーク)など非常に強いキャラが多く、前作までと比較して攻略しやすくなった。 ---親世代は能力が微妙ですぐロストするような外れユニットが非常に少なく、子世代も極端なカップリングにでもしない限り加入する仲間は一部を除きほとんどが何かしらの長所があるように作られている。 //子世代はやや特殊で、カップリングによっては外れユニットが生まれる可能性ありと判断。 //いや、さすがに即死するような外れユニットは出てこないと思うが --特定のターンで敵が増援するシステムがほぼ廃止((敵の数を減らすと隊長格のユニットが城に向かい、たどり着くと増援が現れることはあるが、狙ってやらないと起きない上に逆にレベル上げに利用できるメリットにつながりやすい。))。また今作で村を訪れるメリットが所持金の増加、武器の入手、若干のステータス上昇といった程度となり、前作と比べて村を破壊されるデメリットが低下((前作『紋章』では、重要な仲間を加入させたり真エンディングを見るために村の訪問が必要な場面が見られ難易度の高さに繋がっていた。))。よって、じっくり考えることが可能な場面もこれまでと比べ増加した。 --また今作は敵が村を破壊するまでに10ターンもかかるため、不意打ちで破壊されてリセットするような状態になることもなくなった。 //---更に今作は敵が村を破壊するまでに10ターンもかかるため、そもそも村に訪れることができない状態になることも極めて少ない。 //マップ開始直後から村に到着する盗賊もそれなりにいるし、これはさすがに言いすぎ。 //↑のコメントを受けて、文章を修正。 ---急がないと新しく加入した仲間がロストしたりなど従来通りのデメリットがある場面も存在するが、全体的にリスクを避けやすくなったのは大きい。 --HPを回復するアイテムがなくなったが回復役のキャラが早めに登場し、杖の使用回数も多いため、回復できる機会が増えた。また、資金こそかかるがたった1ターンでHPが全回復する「教会」があるため、多少ダメージを受けてもカバーがしやすい。 --ロストした仲間が復活できる杖がゲーム前半という従来よりかなり早い段階で登場。1度はリスクなしで使用可能で、その後も修理用のゴールドさえあれば何度でも使えるため、玉砕戦法も不可能ではなくなっている。 --今作の闘技場は敵と戦闘する前にも利用可能で、負けても死亡することがない上、勝ったユニットが全回復するなどメリットが多いため、従来と比べて気軽に挑みやすい。 -良質なBGM。 --他作品とは異なり章ごとに専用曲が用意されていて、自軍フェイズでは自軍ユニット達の心情を表した曲、敵軍フェイズでは敵国のイメージを表した曲になっており、展開にマッチしている。 --例を挙げると序章「聖騎士誕生」と親世代最後である第5章「運命の扉」の自軍フェイズ曲は意図的に同じメロディーラインで作られており、勇壮だった曲が一転悲壮感漂うものとなることでシグルド達の心境・状況の変化をプレイヤーに強く印象付けてくれる。 --更に1章をプレイしている時間が長い本作に合わせ、前作『紋章の謎』と比べて軽めでポップ調に近い曲にされており、プレイヤーは飽きることなくゲームを続けられる。 --「唱歌のように」というテーマの元で作曲されており、どの曲も解りやすく、長く親しめる物になっている。 //--作曲者はイメージ出しとして沢山の音楽と映画を鑑賞し、研究したという。その成果はまさに素晴らしいものであったと言えよう。 //どんなゲームであれ、優れたコンポーザーは当然研究しつつ制作してると思われるのでCO。研究せずにこれだけのBGMを生み出せたのなら、それはそれですごいし。 --第10章「光と闇と」の自軍フェイズの曲や、バーハラの悲劇で流れる「失意の果て」は人気の高い曲の一つで、前者は『[[蒼炎>ファイアーエムブレム 蒼炎の軌跡]]』で、後者は『[[大乱闘スマッシュブラザーズ SPECIAL]]』でアレンジされている。 -戦闘アニメーション --戦闘デモは『紋章』にあった「○○の攻撃」などのダイアログは完全にオミットされ、以降の作品でも準じられていく。 ---必殺のモーションだけでも通常の物・止め専用のもの・初手の必殺で止めを刺した時用のもの…など、複数用意されている力の入れようであり、現在でも根強い人気がある。特にセリスやリーフの歩兵時の、初手で敵に止めを刺した時の必殺モーションは必見。 ---負担が大きかったのか封印の剣以降は攻撃後に自分のいた位置に戻る動きを追加することでモーションをほぼ画一化している。 --アニメーションOFFの場合はMAP上のユニットアイコンが簡易的なアニメーションで戦闘を行うが、これでさえもよく動く。 -主人公が強い --前作に当たる「紋章の謎」では、主人公のマルスがリメイク前より弱く((ユニットの強弱ではなく、専用武器の性能の問題))、不満に思うプレイヤーがいた。しかし、本作では、2人の主人公がいずれも非常に強く、爽快感を感じることができる。 ---シグルドは、最初から上級職の「ロードナイト」であるうえ、パラメータの初期値、成長率ともに高く、序章はボスユニットを1人で倒すことも難しくないほど。さらに序盤で強力な武器である「銀の剣」を入手できるため、レヴィンやアイラなど、一握りの強力なユニットを除いて最強と言われる。専用武器のティルフィングは入手時に『壊れた剣』となっているために修理が必要な手間こそあるが、装備ボーナスが非常に優秀。 ---セリスは、母親であるディアドラのナーガの血が継承されることからシグルド以上の成長率を誇る。特に魔法防御の成長率が剣士系とは思えないほど高く、後半の魔法が増えてくる章でも活躍が可能。さらに両親の能力に応じて初期値も高くなるため、最終的にはシグルドを大きく上回る能力となる。そのうえ、やはり序盤で神器に匹敵する強力な武器である「勇者の剣」まで入手できる((親世代での、ホリンとアイラの会話でもらえる物とは別の物。ただし勇者の剣を入手以前にセリスに恋人が出来てしまうと入手不可。))ので、並のユニットにはまず負けることがない。ただし、シグルドと異なり最初は下級職のジュニアロードから始める必要がある。後述するが本作では騎馬ユニットが非常に強いため、前半の最終章である5章でシグルドに「エリートリング」((装備すると獲得経験値が二倍になる腕輪。))を持たせて、早いうちにレベルを20にすることが有効とされる。 --なお、後の作品では、一時はリーフやロイなど、微妙な能力の主人公が多かった。しかし、『烈火』のヘクトルや『聖魔』のエフラム、『蒼炎』のアイクなど、次第にシグルドやセリスに匹敵する強力な主人公が登場するようになる。 -敵の移動範囲に加えて、攻撃範囲も表示されるなど、インターフェースまわりも良好。ハードをまたぐに連れ変わっていくが、基本はここで完成されている。 ---- **賛否両論点 -広大な戦闘マップ --本作は、現在でいう「オープンワールド」に近い要素が備わっており、従来のシリーズに比べると1マップが非常に広い(『紋章の謎』等の約数倍)。他のシリーズではマップごとに1つしかない制圧拠点(敵城)が3つも4つもある。 ---その代わり章の数自体は序章と終章入れて全12章と少な目。また1マップのプレイ時間が長いことから、ターンの開始時にセーブすることが可能。 --遠方に出現し時間をかけて進軍してくる敵の軍勢・主人公達とは離れた地域で行われる第三者同士の戦い といった広いマップを活かした演出や、広範囲に散らばる村々をいかにして山賊から守るかといった戦略性など、本作の形式ならではの利点や見所は多数存在する。 --一方で、移動力の低い歩兵ユニットが活躍しづらくなったり(問題点にて後述)、交戦が行われず移動だけにターンを費やすパートが長くなりがちな面もあり、一長一短と言える。 --特にこの問題が顕著なのが親世代の第4章。この章の後半のイベントで敵ユニットと同盟ユニットが戦闘を行うのだが、移動時間も含めて非常に長くダレやすい。 --出撃人数の制限がなく全てのユニットを戦場に出すことができるが、その分ユニットの移動に手間がかかる。 --またそれまでの進軍とは反対方向に敵が現れる場面が少なくなく、まったく別の場所に新しい敵の拠点が出現した場合などは、味方全員の移動だけでかなりの労力がかかってしまう。 //敵の拠点の出現に関して、内容が重複していたため統一 -武器の格差が大きい。 --神器と呼ばれる専用武器は、装備するだけで特定のステータスが爆発的に増加するうえ、スキルが追加されるものもある。このため、装備可能なキャラを極限まで育てれば、「3すくみでの弱点属性の神器持ちのアルヴィス」や「圧倒的な命中率の高さを誇る神器持ちのイシュタル」という、システム上決定的なメタとなるキャラを除けば''ラスボスさえも含めたほぼ全ての敵の攻撃の命中率が0%になってしまう''ほど。特に、主人公専用装備であるティルフィングや、速さ補正がすさまじいバルムンクやフォルセティ、全ての能力が爆発的に上昇するナーガは、本作のみならずシリーズの中でもバランスブレイカーとして名高い。ただし、ナーガはラスボスとそれを護衛する「十二魔将」との戦いのみでしか使用できず、ほぼイベントアイテムと考えるプレイヤーもいる。~ このことは、『複数の神器があればユグドラル大陸(本作の舞台)を征服できる』という風評に、システム的にも説得力が持たせられている。ただし、威力こそ高いものの命中に不安の残るイチイバルや、重さから追撃しづらいゲイボルグ、キャラロストをしなければ使い道のないバルキリーなど、すべての神器が一戦級に優れているというわけではない。 ---ただし、今作は歴代で唯一「使用可能な味方ユニット全員を一度に出撃させられる」という仕様があるので、「こいつを出撃させるには主力を留守番させないといけない、そうすると戦力的にきついからできない。」というような問題はない。 ---威力と命中が高いうえに二回攻撃が可能な「ゆうしゃ」シリーズの武器も非常に強力で、必要武器レベルが高い「ぎん」シリーズより明らかに使い勝手がいい。特に「ゆうしゃの剣」は命中が100もあり、さらに重さが3と低いため極めて追撃しやすく、4回攻撃が容易に行える。前述の通り、本作の武器は、50体以上の敵を倒すことで「ひっさつ」が付与されるため、鍛えれば神器すら上回る効果を叩き出せる。 --能力・スキルに長けた強キャラと言えど実際には武器に耐久度がある関係で一人で全ての敵を倒すのは困難であり、相手側にも神器を持つ敵キャラがいる事や、神器で無双しようにも修理代が莫大なのでシーフの腕輪や値切りのスキルと組み合わせなければ乱用は難しい。そうでなくても、前述した勇者の剣があるため、こうしたインフレ要素を持たないキャラでも、スキル次第では十分活躍の場はある。 ---フォルセティについても継承者によって使い勝手が大幅に変わる((魔法系ユニットで無ければ当然使えないうえ、魔法使いでもコープルが継承すると、コープルの加入がとても遅い事や、仲間になってもクラスチェンジするまでに使えない上に、もともと戦闘向きのクラスではない上に足も遅いので他のクラスに大きく劣る。逆にセティが継承すると速さがとんでもないことになり、敵のほとんどの攻撃の命中率が0になる。アーサーも、追撃を習得できないというディスアドバンテージこそあるものの、子世代開始してから少ししただけでフォルセティが使える+クラスチェンジ後に移動力の高いマージナイトになるうえ、「怒り(HPが半分以下になると確実に必殺の一撃を発動させられる)」まで持っているなど、非常に強い。))うえ、カップリング次第では使用できないことも十分にありうる。また、バルムンクの使い手であるキャラクターはステータスを少し低めに設定することや、本作では騎兵より使い勝手が悪い歩兵とされていることなどでバランスが取られている。 ---また、ラスボスは「見切り」で必殺・特殊剣を発動無効+防御が高い+ダメージ半減効果を持つので、力のボーナスが無いバルムンクではダメージが通り辛く、ほぼ1ダメージまで抑え込まれる事もザラ。また、魔法防御が極めて高いので、ある魔法以外はほとんどダメージが与えられないため、フォルセティでも1ダメージしか通らないようになっているという風に、基本的にはこれら2つに頼りすぎると泣きを見るように調整されている。ただし、後述するある魔法さえ手に入れられれば楽勝。 --キラーボウは、&bold(){命中100、かつ「必殺」のスキルが武器に付与されている}。さらに重量も軽いためほかの弓より圧倒的に使いやすく、ユーザー間ではネタとして&bold(){「13番目の神器」}と言われることもある。 --逆に、後述する斧、炎魔法、「オーラ」のほか、威力こそ高いものの、必要武器レベルが高いうえに命中と重さに問題がある大剣や、特攻効果こそあるものの、威力と命中が低い「つばめがえし」や「ナイトキラー」など、使いづらいものはとことん使いづらい。 -必殺、追撃の条件が独特。 --前述通り、技依存で通常よりも強力な攻撃を放つ「必殺の一撃」、および条件を満たすことで敵の反撃の後に再度攻撃できる「追撃」が、専用のスキル、あるいは武器を持ったキャラしか発動できない。この影響から、ステータスよりスキルの方が重要で、追撃のスキルを持っていないキャラはかなり扱いづらい。ただし、敵のほとんどはこれらのスキルを持っていないため、味方側が不利になるということはない。 ---次回作「トラキア776」以降は、再度追撃と必殺がスキルではなくステータス依存になった。 -守備よりも回避を推奨したバランス --味方の守備力より敵の攻撃力が低い場合、雑魚敵でさえ攻撃を仕掛けてくることがなくなる(いわゆる「ゼロ避け」)((戦術としては理にかなっているのだが、爽快感が無くなるのでプレイヤーからは敬遠されるきらいがある。))。あまりに守備が高いと大勢の敵軍を倒す効率が悪くなる。 ---本作は『[[外伝>ファイアーエムブレム 外伝]]』同様、守備がいくら高くても必ず1ダメージは通るにもかかわらずこの仕様((『外伝』ではダメージによる「ゼロ避け」現象は起きなかった。))である。硬いキャラで受け止めて削るといった戦法が通じ辛く、守備を上げるメリットが感じられない風潮を助長してしまっている。 ---そのため多数の敵を相手するシミュレーションゲームという都合上、守備の高いキャラクターの扱いが難しく、プレイヤーは速さの高いキャラクターや軽い武器を使おうという傾向が強くなり、また速さの差が一つ違うだけで追撃の判定が起こるため必然的に剣や風のような軽い武器が有利な環境を生み出した。それを表すように上述の風の神器フォルセティや剣の神器バルムンクは速さの能力を強化している。 --このため力・技(命中)・守備が強化されるが重さも高い地槍ゲイボルグは、必殺を出せば大抵の敵を一撃で倒せる強大な攻撃力を持つ反面、装備することでかえって雑魚敵が戦闘を避けてしまう様になりこちらから一人一人倒す必要が出て非効率的、高威力を誇る神器同士では重いので追撃されてしまい守備の補正がかえって役立てられないなど、使いづらい。 ---そもそも、子世代への継承システムを特徴づけるためか、ゲイボルグは最初の持ち主であるキュアンとやけに相性が悪い。重量があるので彼のスキルである連続((追撃とは別に、攻撃が2回連続で発生する。序盤は必殺よりも出しやすいが、ダメージが必殺よりも低い、武器の消耗も2倍になるという短所も。))が発生しづらい、技がブーストされても命中率が上がるだけで味気ないなど、「必殺」持ちのエスリンとの子であるアルテナが持って初めてそのポテンシャルを引き出せるように設定されている。 ---そのため「槍の神器ゲイボルグよりほそみのやりのほうが軽くて修理費も安いから強い」とまで言われる始末。 ---さらにいうなら、敵専用の神器グングニルは技ではなく速さにボーナスがかかるため、重量13だがボーナスを考えれば実質重量3になるので、こっちを使わせてほしいという意見も…。 -親世代で恋愛がうまくいかなかった場合に登場する代替キャラクターは、概して本来産まれるべき子供達より弱い。プレイヤーに親世代で積極的にユニット同士の結婚を進めていくことを推奨する調整になっている。 --親からの装備引き継ぎがなく所持金も最低限で、まずお金を稼がないと強力な武器や有用な腕輪を買う事ができない。 --個人スキルを持つ者もいるが、子孫キャラクターは兄妹両方に引き継げるのに対して代替キャラクターは片方しか持っていない。 ---ただし子孫キャラクターでは受け継ぐ事ができない個人スキルを持っていたり、代替キャラクター専用のイベントでパラメータアップやレアなアイテムを入手できるなどの利点もあり、これ目当てにわざと恋愛不成立で親世代を終わらせるプレイヤーもいる。 --ステータス面では基本代替キャラクターの方が低く、成長率も両親から引き継げないため普通に育てているとあまり強くならない。また父親から聖戦士の血を受け継ぐ事もできないので武器レベルも固定で底上げができない。 ---一応、能力面では親世代に匹敵する者もいるので完全に役立たずにはならない。実際、一部の代替キャラクターは子孫キャラクターより人気がある者もいる。 --なお、代替キャラは「平民キャラ」と呼ばれることがある。これはプレイヤーからの通称で、公式からそう呼称されているわけではない。聖戦士の血を引いている代替キャラクターも存在する。 -重い展開が多いにもかかわらずテキストフォントが老若男女ナレーション関係なく、可愛らしい丸字であるため、雰囲気に合わないとするプレイヤーもいる。 -子世代のセリスは、シリーズ初となる自由恋愛が可能((ユリア、アルテナ以外のすべての女性キャラと結婚が可能。))な主人公となっており、カップリングを好むプレイヤーから好評。 --一方で、結ばれた女性キャラのやり取りがシグルドと比較して簡素。もっとも、パターンが多いため仕方ないとする意見もある。 -シグルドの行動については賛否が分かれる。 --シグルドは公爵の留守を預かっている((父親は騎士団を率いて王子の護衛を務め、母親はすでに他界しており、妹のエスリンもレンスター家に嫁いでいる。同じくシアルフィの血を引くスサール卿の血筋も孫のオイフェ以外残っておらず、そのオイフェもシグルドに同行してしまう。つまり、シグルド以外に城に駐留できるシアルフィ家の人間がいない。))にもかかわらず、友人のエーディンやエルトシャンを助けるために数年単位でシアルフィ公国の城を開けてしまうのは軽率ではないかと指摘されている。 ---結果的に中盤で反逆者の汚名を着せられた結果、シアルフィに戻ることができなくなってしまっており、これは彼の思慮の浅さが招いた問題だとも言われた。 ---悪いのはありもしない罪状をでっち上げたアルヴィスたちであり、領地を空けたのも彼らの意を受けた王都より駐留の命を受けた為仕方ないのだが、それ以降、シアルフィに関する情報は全く入ってこない。領民を心配するなどのフォローの描写は欲しかったところ。((前作『紋章の謎』では、実際に反逆者に指定された際に、アリティアを奪われた事実が重く描写されていた。))。 ---シグルドはあまり後先を考えずに突っ走る性格であることがエスリンから語られ、夫と共に彼の行動をフォローしている。また序盤ではエーディンを助けたい気持ちを優先し過ぎて周りが見えていないことが仲間から指摘されており、上記の考えの甘さも意図的な描写だと思われる。ヒーローとしては正しいが、施政者としては問題、と言ったところか。 ---- **問題点 -カップリングシステムについての問題点 --本作で特に重要なシステムなのだが、ゲーム内ではこれについての説明がかなり不足している。 --また恋愛値が基本的にマスクデータとなっており、上昇の法則などもゲーム中で説明されない。自軍の城の占い師に「こいのゆくえ」を尋ねることでキャラごとに自身の恋愛の進行状況(現在誰にどのくらい好意を抱いているか)を見ることができるが、これでも大まかにしかわからない。 ---さらに、一度カップリングが成立すると、死亡しない限り解除ができないので、意図しない組み合わせによるカップリングが成立した場合、取り返しのつかないことになる。これらの点は、後の作品で搭載された「支援」システムによって改善されている。 --自由なカップリングがウリの本作だが、一部恋愛が困難、あるいは不可能なキャラクターがいる。 ---親世代では、キュアンとエスリン、シグルドとディアドラは強制的に結ばれるため、恋愛は事実上不可能。ただし、前者は既に夫婦であり、後者も序盤で結ばれるため恋愛が不可能なことはすぐにわかるようになっている。 ---子世代では、アルテナ、フィン((親世代で恋人ができてなくても))、ハンニバルは恋愛が一切できず((一部攻略本では、会話で恋愛値が上がるように書かれているが間違い))、ユリアも隣接以外では恋愛値が一切上がらないうえ、セリス相手は諸事情((セリスはシグルドとディアドラの息子、ユリアはアルヴィスとディアドラの娘である。つまり…))から毎ターン恋愛値が低下するため、他のキャラクターに比べて結ばれることが困難((セリス、コープル、シャルローとの恋愛は、裏技を使わなければ不可能とされる。ヒロインが主人公と結ばれることが不可能なのは、女性主人公であることを除けば本作と『蒼炎』、『暁』のみ。一方、加入が早いスカサハやレスター、アーサーなどなら、普通のプレイの範疇で恋人になる事は可能))になっており、そのことが一切説明されない。特にアルテナとユリアはユニットとして有用ということもあり、残念がったプレイヤーも多い。 --一部の親世代のカップリングに、罠と呼べるものがある。 ---代表的なのがシルヴィアとティルテュ。前者はレヴィンと、後者はクロードと共に登場するのだが、シルヴィアがレヴィンと結ばれた場合、コープルはクラスチェンジをするまでフォルセティを使用できず、しかも終盤付近で&bold(){Lv1で加入する}ので育成の手間がかかる。~ 他にもシルヴィアはアレクとの会話があり、恋愛値が上がりやすくなっているが、子供の兵種がダンサーとプリーストなので、アレクの兵種であるソシアルナイトとは致命的に噛み合っていない。~ ティルテュとクロードが結ばれた際もアーサーが杖を使えないためバルキリーを継承できず、せっかくの聖戦士の血をフルに活かせない。 -子供たちの兵種は母親によって決まっているが、初見プレイでは実際に登場するまでわからない。そのため、組み合わせ次第では、親が持っていた神器や「月光剣」などの強力なスキルが、子供の兵種が合わないために使えない・役に立たないなどといった事態も起こりうる。また、子世代へのスキルの継承についてはゲーム内で細かい補足がない。 --一例として、ホリンの持つ「月光剣」やデューのもつ「太陽剣」は、子供が剣を使えて、かつ歩兵限定の時のみ継承できる。子供が剣を使えるからといってラケシスとホリンを結ばせても、子供が両方とも騎兵なので継承できない。 --スキルにはその兵種に標準装備の「兵種スキル」とキャラによって違う「個人スキル」があり(この区別はできる)、継承できるのは「個人スキル」のみ。例えば、ボウファイターのジャムカ、あるいはセイジにクラスチェンジしたレヴィンがもつ「追撃」や、ジェネラルにクラスチェンジしたアーダンの「大盾」は兵種スキルであり、子供に継承することができない((無論、子供が親と同じ兵種の場合は兵種スキルとして使用可能。))。 ---『覚醒』や『if』では、親同士が結ばれた直後に子供キャラが仲間になるシナリオが解放されるうえ、ある程度自由に兵種を変更できる。さらに、スキルもすべて継承されるなど、幾分かこの問題が緩和された。 -キャラ同士のアイテムの受け渡しが面倒。 --本作では「交換」コマンドが存在しないため、「一度中古屋に売り、受け取るキャラが買い戻す」という、仲間同士なのに妙に他人行儀で間接的な方法で行う必要がある。 ---所持金は全体でなく個人に設定され、一部クラスや恋人など限られたユニットしかお金を受け渡し出来ない。そのため大抵は売った人が売却金を買い取り側に渡すことが出来ず、買い取り側の方で十分な資金を用意しておかなければならない。 --このシステムにより、強い武器を前線で複数人が使い回しにくくなっている。 --これは開発者がプレイヤーに考える余地を与えたかったからとの事だが、不評だったのか以降の作品では採用されていない。 -今作で導入された「3すくみ」には大きな偏りがある。本作においては味方側では剣と風、オーラ((威力も命中率も高いが重量も凄まじいために回避率が大幅に低下するので使いにくい))を除いた光の魔道書が大きく優遇されている一方、斧と炎の魔道書が冷遇されている。 --剣は他の武器と比べ攻撃力が低いが、命中率が高く、また武器の重量が軽い。剣を扱えるキャラは味方の中で7~8割と多い上に高いステータスを持った兵種も多く、特に剣を専門とする「ソードファイター」とその後継職は、5回連続攻撃を行う「流星剣」や、敵の防御を無視する「月光剣」など、非常に強力なスキルを有している。 --槍は剣と斧の中間の性能。剣に3すくみで優位に立てるが、四倍程度の重量があるため追撃しづらいほか、回避率の低下を招いてしまう。子世代に槍を引き継がせられるのは固定カップルを除けば1人。神器を除けば最強とされる勇者の槍の本来の持ち主はフィンなのだが、後述の通り3章終了時に離脱してしまうため、4章冒頭のフィン離脱前にフュリーに渡され、そのままフュリーの子供であるフィーに受け継がれがち。 --斧は攻撃力は高いが、命中率が低い上に重量も18~20と重く、使いづらい。そもそも斧を使える兵種自体が少なく親世代3人・子世代3人しかおらず、3人中2人は様々な武器を使える兵種なので斧専業は1人ずつ((さらに言えば、カップリングで生まれる子供の兵種に斧を使えるキャラがいないので、直接、斧を引き継ぐこともできない))、その性能も先の剣使いを大きく下回る。ただし、1章の隠しアイテムである「勇者の斧」((ここで取り逃しても、6章で再入手が可能。))だけは、二回攻撃が可能であるうえ、重さも12とほかの斧より圧倒的に軽いなど、他にも劣らない一線級の性能を発揮する。~ なお、重量が軽くて命中に優れた細身の剣((細身の剣という名前とは裏腹に、命中も威力も完全に「鉄の剣」の上位互換))と細身の槍はあるが、細身の斧だけは何故か存在しない。 ---子世代ユニットは固定キャラ以外斧を使えないため、武器継承ができないという点も向かい風。親世代で斧を専門に扱うレックスは、獲得経験値が2倍になるスキル「エリート」を唯一子世代に引き継がせられるユニットであるため、スキルのためにカップル成立させられることが多い。また、ネールの血筋を持つ為に子供の守備力の成長率に大きなボーナスがかかるのも利点。だが、ここまでのポテンシャルを持つ彼も、前述した勇者の斧がないと使い物にならず、カップリングのみの運用にされてしまいがち。また、「武器が継承できない」という理由でカップリングから外すプレイヤーもいる。 --「剣優遇・斧冷遇」は第1作目からずっと続いていることではあるが、当時の斧はあくまで「序盤の蛮兵の得物」というポジションの武器なので大した問題ではなかった。~ しかし、今作で前述の「3すくみ」システムによって剣・槍と同じ土俵に上げられたにもかかわらず、剣・槍より遥かに弱いため非常に大きな問題となった。 --魔道書に関しては、同じランクの魔道書同士を比較すると、威力や命中は同じにもかかわらず、重さだけが風>雷>炎の順に軽くなっている((この重量設定がかなり適当になっており「同系統は同重量で遠距離と神器のみ重い」というのが大半。))という差別化のみ。槍・斧と違って武器の性能を見るだけで冷遇されているのが分かる。 ---風は重さ2、雷は重さ7、炎に至っては重さ12と圧倒的な差があり、回避率だけで考えても単純に20もの差がでてしまう。 ---一応、炎魔法は序盤で登場し、風魔法の店売りは終盤になるなどバランス調整がされていないわけではない。実際今までのシリーズでは、炎魔法のファイアーは最初に使われる基本的な魔法であり、風魔法という位置づけのシェイバーは終盤に手に入れられる強力な魔法という位置づけだったため問題は無かった。しかしこちらも斧と同様、3すくみによって同じ土俵に立たされたゆえ生じた問題と言える。 ---炎Aの魔法「ボルガノン」は、入手可能な時期が極めて遅く、使えるユニットが子世代で2人しかいないという不遇点もある。((親世代の恋人の組み合わせ次第では子世代4人になり活用しやすくはなる。ただしこれらのユニットは雷や風、光のいずれかが使用可能なので、そこまで意味があるとは言えない。))。しかも魔道書が手に入るのが最終盤であるうえ、それらが使えるユニットには他にもっと強力な攻撃手段があったり、肝心の魔力の成長率がさっぱりなので実用性がない…というダブルパンチであり使わせる気を感じない。 --この偏りを象徴するように、本作には12個の伝説の武器が存在するが、そのうち斧・炎の魔道書・雷の魔道書は敵専用のものであり、味方が使うことはできない。~ 特に伝説の斧スワンチカは間接攻撃が可能で、防御力と魔法防御が大幅にあがるものの、重量が20と異様に重い上に命中も70と低い。さらに味方側に防御力を無視する「月光剣」のスキルの所持者がいるとあっさり倒されたりするし、魔法防御のボーナスは+10どまりなのでフォルセティ持ちにもなすすべなく撃破される……いう散々な扱いである。ただし、炎→風が有利な相性なため、10章のアルヴィスは能力の高さと、指揮官レベル星5(命中・回避ともに+40%)を持つ事もあいまってフォルセティ持ちが相手でも結構な確率で当ててくる。さらにアルヴィスもラスボス同様に『見切り』を持つ上に、防御と魔法防御がともに40であり非常に硬い。 ---その反面、前述したように今作で優遇されている剣と風魔法には、最強神器と名高いティルフィング・バルムンク・フォルセティがあり、この点で優遇不遇は明らかに意図したものであることが窺える。なお、炎魔法で味方が使える専用武器は、シリーズを通しても『[[暁の女神>ファイアーエムブレム 暁の女神]]』のシムベリンのみ。のちに大きく復権する斧と異なり、炎魔法の不遇はシリーズ通じて変わらずじまいとなっている。&s(){ファイアーエムブレムとは…} -弓は基本的に間接攻撃ができるが、前述したキラーボウと命中80の勇者の弓以外は、命中が70と低め。神器のイチイバルは威力が非常に高い((ただし装備ボーナスは力+10 速さ+10の2つのみとボーナスの数値が神器の中で最も低い。一応、装備中は『ライブ(ターンごとにHPが少し回復)』のスキルが付与されるが、こんなのよりも技+10とかのボーナスの方が余程マシだったと言われる。))が、これまた命中70のため、使い手の技のパラメータを吟味しないと、後半は外すことが多くなってしまう。 -マップが広大な上に入り組んだ地形が少ないため、移動力に優れた飛行系(ペガサスナイト、ドラゴンナイトなど)や騎馬系ユニット(ロードナイト、パラディンなど)が優遇されている。 --ソードファイター系など、性能の高い歩兵もいるのだが、歩兵系の足の遅さにイラついて騎馬系だけでプレイするという人もおり、高い攻略評価を狙う場合がそれが最適解となるほど。 --特に冷遇されているのが、防御力が高い代わりに移動力が特に低いアーマー系。前述の通り守備より回避が重視されるために扱いづらいうえに、味方の進軍に追いつくことができず、前線に出る頃には敵が殲滅されていることがほとんど。それを見据えたのか、本作では親世代・子世代でもアーマー系は1人ずつしか仲間にならない。 ---親世代で仲間になるアーマーの「アーダン」は登場時に「お前の役目は城の防衛」と会話で言われるが、しかし本城を守る必要があるシチュエーションが全編通しても数回程度しかなく、活躍の場は少ない。アーダンは他にも美形キャラ揃いの中で唯一のブサイク顔だったり、能力もスキルも優れていないなど明らかに冷遇されている。攻略本でも「誰ともくっつけないほうがいい」((「まちぶせ」を継承させられるが、それならまちぶせのほかに「エリート」のスキルとネールの血を持っているレックスの方がはるかに得。強いて挙げるなら斧の使い手ではないため、子供次第では武器継承ができる点のみ勝っている。))と書かれてしまうほど。 ---子世代で仲間になる「ハンニバル」も、「れんぞく」「まちぶせ」とスキルは優秀なのだが、高齢のためか速さの初期値、成長率が共に低く、クラスもジェネラルの例にもれず移動力も低いため、仲間になる時期が遅すぎることもあって戦力として計上されることはほとんどない。 -常時発動でないスキルは「踊る」を除き全部任意発動不可 --この関係で戦略にスキルを組み込みづらく「敵の防御力によって防御無視の「月光剣」と手数の「流星剣」を使い分ける」とか、「こいつは何としてもこのターンで倒さないといけないから「突撃」で継続して戦う」というようなことはできない。&brあえていうと「怒り」と「待ち伏せ」のみ、発動条件が「HPが半分を切ると常時発動状態になる」なので、HPを調整すれば任意の時に出せなくもない。 ---確かに自由に使えるとバランス崩壊につながりかねないスキルも多いが、スパロボの精神コマンドのように専用のリソースを消耗したりして制限掛けてでも任意発動できた方がSRPGとしてよかったのではないかという意見もある。 ---この問題は以後のシリーズでも続き、『蒼炎』では重要な敵とのタイマン戦闘がほぼ運ゲー(主人公がスキルを発動すればほぼ勝ち、スキルなしではターン制限もあり困難。負けても進めるが後味は悪い。)という事態が起きたり、『暁』ではコマンドで選べるスキルがいくつか出たが肝心の奥義系が全部ランダム発動で「瞬殺(敵HPを1にする)」など「通常攻撃で倒せてたのに発動してHP1で止まり倒せなくなった」などという問題も起きていた。ただし『Echoes』以降は「戦技」という形で任意発動が可能になっている。 -敵の使う「大盾」が鬱陶しい --本作の「大盾」は、ユニットのレベルの値そのままの確率で発動し、いかなるダメージをも無効化するという強力なものとなっている。親・子世代ともに終盤ともなると敵のレベルが30になることがほとんどのため、常に命中率が70%の戦いを強いられる事となる。 ---リザイアと大地の剣((遠隔攻撃がリザイア効果))による攻撃は大盾を無効化できるのだが、前者は使用可能キャラが限られており、後者は高価な上使用回数がたったの10回となっており根本的な解決には至らない。せめて物理攻撃のみを無効化にすればよかったのではないかという意見もある((のちの作品では、物理攻撃のダメージを減らす「大盾」と、魔法攻撃、遠距離攻撃のダメージを減らす「聖盾」に分かれている。))。 --大盾を兵種スキルとして所持するクラスのジェネラル・バロンとの対戦機会がゲーム全体を通して多く、二章以降ほぼ全ての章でボスとして登場するため、城の地形効果も相まって撃破に運が絡みやすい。10章のアルヴィスもクラスが「エンペラー」であり、大盾を修得している。 ---味方も大盾を修得できるが、前述した通り、味方の重装ユニットは使いづらく、事実上敵だけが得をしている。 -ラスボスやマンフロイ戦の難易度が低い --ラスボスは従来作と同様「特定の武器で攻撃しなければほぼダメージが与えられない」という設定だが、本作ではその設定が極端であり、多くの場合ラスボス前に手に入った対抗武器を扱えるキャラ(主人公ではない)と戦わせれば楽に倒せてしまうため、こういった感想を持つプレイヤーが多い。特に主人公が関わらない点についてはファンブックでもネタにされている。 ---一応やり込みによって必勝法以外の方法で倒すことも可能。主人公で止めを刺すとラスボスの台詞が専用の物に変化する隠し要素もある。また、バグによって本来効かないはずのある武器((スリープの剣。状態異常付与武器は『31-魔法防御』が状態異常付与率になるのだが、魔法防御が32以上のキャラはアンダーフローで状態異常付与率が100%になる。なお、ラスボスの魔法防御は35))が確実に効いてしまうなど、開発の想定外と思われる弱点も存在する。 --その上、竜など巨大な存在に変身していた過去作品と異なり、最後まで人間の姿のままである。戦闘曲も、展開に合っていない訳ではないが地味。 --攻略本に掲載されたスタッフインタビューによると、シナリオ上の本来のラストバトルは10章(セミファイナルの章)であり、最終章はおまけという位置付けらしい。また、元々はその章で子世代が終了となり、孫世代が始まるという構想であった。本作のラスボスは物語上でも元凶と言える存在であるが、孫世代でその真の姿を現すという構想だったのだろうか。 --また、このラスボスに対抗できるアイテム入手のために戦うマンフロイ戦も最終局面にしては同様に盛り上がりに欠けている。 ---物語上の黒幕でラスボスの右腕という非常に重要なキャラでありながら、これまで何度も戦ってきた城を守備する中ボス達と大差のない強さで下記の難敵達と比較するとあまりにも弱すぎる。 ---前作ではこのユニットに相当するようなキャラは強力な専用武器を使ってきたが、本人は下級の敵も使う一般の武器であるヨツムンガンドとフェンリルしか持っておらずスキルも貧弱なため。一応本作最重要スキルである追撃は持っているが、ヨツムンガンドもフェンリルも重いのでまず発動しない。イベントでは強力な状態異常魔法を使うのに、それすら使おうとしないので呆気なさ過ぎる。 ---また、特定の手順を踏めばマンフロイを無視してラスボスを倒す事も可能。その場合は断末魔を残して実にあっけなく消滅する。 --そのため、寧ろラスボス戦より前に戦う事になるファルコン3姉妹((圧倒的な回避率を持つ+与えたダメージ分体力回復する上に間接攻撃も可能な大地の剣を装備。しかも「見切り」で必殺や弓特効まで無効化と隙がない))やイシュタル戦((雷の伝説魔法トールハンマーの使い手であり、装備ボーナスや指揮官レベル☆5もあいまって命中率が圧倒的に高い。数値にすると実に224にのぼり、バルムンク持ちのシャナンであっても、回避はせいぜい100前後なので必中させられてしまう。ただし前述のように3すくみの関係でフォルセティ使いが育っていれば撃破は容易。また、彼女も魔法防御が32なのでスリープの剣で眠らせられる))のほうが山場と言われる事も。 -子世代のユリア、ティニー、パティが恋人を作った際のエンディングについて --&font(b,red){ユリアはどう足掻こうが確定で、ティニーとパティは親世代のカップリングによっては、エンディングで恋人と離れ離れになってしまう。} --これを防ぐためにはティルテュとブリギッドの夫を平民にするか、ホリンを夫にした上でシャナンを最後まで生存させてオードを継がせてやらないといけない。そうすればアーサーとファバルがフリージ家とユングヴィを継ぐ事になるのでティニーとパティを嫁に行かせられるのだが、そうでない場合はエンディングでアーサーとファバルが父親の国を、ティニーとパティがフリージ家とユングヴィを統治する事になってしまうのである。((パティの場合はホリンを父親にした場合、攻略する上でもパティがホリンから武器と月光剣を継承出来るし、イチイバルを使うファバルにとって最重要となる技の成長率が高くなるので、決して悪くは無い組み合わせである。ファバルのスキルが追撃だけになってしまうが充分強いので問題無い。)) --だがユリアに関しては何故恋人と離れ離れになる羽目になってしまうのか、理由が一切語られず意味不明である。 ---自身の身にディアドラとアルヴィスから受け継いだロプトの血が流れている事を理由に、ロプトを継承させない為に誰とも結婚しない事を心に決めたのでは?との推測もされているのだが、それはディアドラの息子であるセリスにも言える事なので説得力に欠ける。 --後の作品では「統治が一段落した後に恋人の下に嫁ぎに行った」という後日談が多く見受けられるため、本作でもそうあってほしかったという声が大きい。 -「聖戦士の系譜」はあちこちおかしいところがある --今作での「聖戦士の系譜」は武器レベルを上昇させる効果があり、この効果は敵にもちゃんと適用されている…のだが、ゲームシステムとしての系図を優先した結果世界観の設定とあちこち食い違っている。 --ファラ(炎)傍系の血が敵の子供キャラに継がれていない。例えばフリージの敵将二人の母「ヒルダ」はファラ傍系持ちだが、子供二人はファラの系図を持っていない。さらに、ヒルダ自身も終章ではミスによりダインの直系になってしまっている。 ---セリスもユリアも母親がロプト傍系持ちなのだが、何故かロプト傍系だけが継承されていない。シャガールもヘズル傍系すら継承していない。((子孫なのに系譜を受け継いでいないことは理由があるのだが、作中では彼がヘズルの子孫という説明すらない。)) ---『ファイアーエムブレム聖戦の系譜を遊びつくす本』掲載の開発者Q&Aによれば、「聖痕が出るのは個人差が激しくて、幼い頃に出る者も年老いてから出る者もいます。また、これが出るのは長子であるとか男子であるとかはまったく関係ありません。まったく法則性はなくて、時々は直系でもその因子を受け継いでいない人もいます。たとえばノディオン王家は黒騎士ヘズルの傍系(直系はアグスティ王家)ですが、唯一ミストルティンの契約因子を受け継いでいます。」とのこと。~ 設定的には、プレイヤー側の子供が必ず系譜を受け継いでいるのはゲーム的な都合であって、シャガールのように子孫なのに傍系点灯すらないということが起きるし、聖痕なし(子孫なのに点灯なし)or聖痕なし(傍系点灯)or聖痕なし(まだ聖痕が現れていないだけで実は直系点灯)、を作中世界の住人が見分けることもできないのである。~ ただし、「聖なるしるし」(聖痕)は直系子孫の幼児期に現れると語る村人が4章に居るため、成長してから聖痕が現れるのはレアケースのようである。 --問題となるのは、これらの点がゲーム内ではほとんど語られないことである。これを反省してか、『蒼炎』や『覚醒』、『風花雪月』など、後の作品では聖痕や紋章に関する言及、調査方法の提示などが実際にメインストーリー内でなされている。 -ノーヒントの隠し要素が多い --特定のマスに特定のキャラを待機させることで発生したり、特定の村を特定のキャラで訪問することで見られる隠しイベントが多数存在する。ヒントなしでの発見はほぼ不可能。 --お遊び程度のイベントであればよかったのだが、キャラの使い勝手が上がる有用なアイテムが手に入ったり、主人公に関する重要な会話が発生したりと、ゲームバランスやシナリオの掘り下げに直結する要素も。 --今でこそこれらの隠し要素は知っていて当然・回収して当然といった形で語られがちだが、攻略情報などを見ずにプレイすることにこだわりたいプレイヤーの場合、まず間違いなくこれらの要素を見逃してしまい、苦戦を強いられたり重要な会話を見損ねてしまう。 --見逃したことでのちのバランスが大きく変化するアイテムもある。このうち、勇者の斧は、親世代で取り逃してものちに子世代で入手できるが、ナイトリング、ついげきリングは2章で取り逃すと入手できない。 -詰み要素の存在 --変な状況でセーブしてしまい、「どうユニットを動かしても誰かが死んでしまう」などの(プレイヤーにとって)実質的な詰み状況になる事態に陥ることもあった。死者が出た場合は、のちに入手できる「バルキリーの杖」でリカバリーが可能だが、城を落とされることが確定した場合、「ワープの杖」がない限りはどうしようもなくなる。 ---本作ではセーブデータが3つ作成可能なので、章開始時のセーブデータを残しておく事が望ましい。 -永久離脱ユニット --本作では、今までと異なり戦闘で敗北する以外でも味方が離脱することがある。 ---キュアン、エスリン、フィン、ディアドラが該当。このうち、ディアドラは離脱前に操作不可能になるため、ターンセーブを利用して所有装備を売れば問題はない。他のユニットも、会話である程度示唆されているため、唐突というわけではない。だが、所有アイテムが中古屋に売られるという措置がないため、初見のプレイヤーからはやや窮屈に思われがち。 -親世代のメインキャラクターの行動にツッコミ所がある。 --シグルドの親友のキュアンは自らが統治するレンスターの扱いがかなり雑で、自国が常にトラキアから狙われている事を知っていながら、自分の国民を守るためではなく親友を助けるという「私情」のために死ぬことを考え、自国の軍を多数引き連れて出撃する。((なおこれはキュアンだけではなく彼の父親も問題で、同様に自国が危険にも関わらず親友を守りたいキュアンの気持ちを後押ししてしまっている。))~ キュアンも無策ではなくレンスターには腹心フィンと半数の兵士を残し、自身の出撃も秘密裏に行っていたのだがあっさりとバレて奇襲を受け((一応トラキア側はキュアンの出撃を知らなかったが、マンフロイが情報を流したという理由付けはある))、更に地形的に不利な砂漠に向かったことでまともに抵抗もできないまま命を落とす。これがレンスターの滅亡を招く最大の原因となり、息子のリーフを危険にさらすことになっており、一国の王としても、夫、父親としても失格だと言わざるを得ない。 --また彼の妻であるエスリンも問題で、兄であるシグルドに会いたい、キュアンと一緒にいたいという理由だけで激戦が予想されていた戦場に幼い娘であるアルテナを連れてきてしまう。一応アルテナに関しては自分がいないと泣くからとエスリンが発言しているが、子供を危険にさらす理由にはなっていない。結局これが彼女の死を招き、こちらも娘のアルテナの人生を大きく狂わせる要因となってしまっている。 ---もう一人の親友であるエルトシャンの行動も不自然な部分が多く、彼をぞんざいに扱い、父親を殺害したという怪しい噂が流れるなど不審な部分が数多い暴君「シャガール」を、内心怪しみつつも国のためという浅い理由で助けてしまい、シグルドの足を大きく引っ張るなど考えの甘い点がある。この行動は完全に裏目に出ており、シャガールは暗黒教団の甘言に乗った挙句父親を殺して連合国の主権を奪い取り、悪政を敷いた挙句無謀な戦乱を巻き起し、エルトシャン本人も命を奪われるなど、かえって状況が悪化してしまう。~ エルトシャンの出身であるノディオン家はアグスティ家の分家筋にあたり、((アグスティ王家は黒騎士ヘズルの系譜の本家であり、その直系がエルトシャンの家系であるノディオン家に生まれた結果、アグスティ王家に絶対の忠誠を誓う代わりに魔剣ミストルティンを授かったという背景がある。))シャガールの父親はエルトシャンに対して個人的にも厚遇していたので、王に対する忠誠心が高いことは不自然ではない。だが、前述の通り、父親を殺して王家を私物化し貶めているシャガールをわざわざ助けるのは、むしろ王家への忠誠を放棄しているのではないかという意見もある。((小説版では身勝手な理由でエルトシャンを処刑したシャガールを、シグルド自らが斬殺するというシーンが追加された。)) ---なお、(シグルドを含めた)3人については意図的に考えが甘いという欠点のある人物として描いていることが、ある攻略本のインタビューで明かされている。 ---シグルドは子世代で悲劇の英雄として人々に再評価されているというフォローがなされているものの、他二人については作品中では無い。また、キュアンに関しては『[[トラキア776>ファイアーエムブレム トラキア776]]』で軍師アウグストに痛烈に批判されている。 -シナリオについて --前述の通り基本的には非常に評価が高いシナリオではあるのだが、細かい所で展開が早く駆け足過ぎる部分や、描写不足な部分が指摘される。主に親世代で顕著。 ---ディアドラは最初からシグルドに好意を寄せているのだが、それに至る経緯がハッキリ描写されておらず、彼女に感情移入しづらい。また2人の結婚生活がテキストで短くまとめられるだけのため、互いにどういう心情を抱いていたかがやや分かりづらい。 ---ディアドラが途中でマンフロイに誘拐されるのだが、その流れがやや雑。シャナンに危険だと言われたにも関わらず城を抜け出し、そこで都合良く登場したマンフロイに捕まってしまう。 --子世代はストーリー自体が単純なため粗は少ないが、マンフロイとの対決についてはやや強引な部分も。 ---マンフロイはラスボス戦の脅威となりうるキャラを誘拐しておきながら、&bold(){殺すでも監禁するでもなく催眠をかけて単身セリス達に差し向けるという雑な策を実行}。そして本人はあっけなくやられてしまう。((ラスボスもマンフロイを名指しで失態を叫んでいる)) ---この失態が無ければシナリオ的に主人公側が半ば詰んでしまうため仕方がない面もあるが、ゲーム全編を通して狡猾に暗躍し続けてきた因縁の相手であるにもかかわらずこの有様なため、かえってガッカリさせられてしまう((小説ではセリスに対する憎悪が失策へと走らせてしまったとフォローされている))。 ---先述の通り本作は孫世代まで構想しており、ラスボス戦の流れは取りやめとなった孫世代の展開を簡素にして詰め込んだため雑になってしまったと思われる。 -周回を重ねる毎にOPが変化し、全部で16パターン用意されているのだが、どんなに効率よくプレイしても1周するのに50時間程度はかかる((RTAでは10時間以内のクリア動画もアップロードされている。))ので、全てのパターンを見ようと思ったら物凄く手間と時間が掛かってしまう。 --しかも、いわゆる「強くてニューゲーム」のような要素も無いため、また最初からプレイし直さなければならない。既にクリアしたデータでもう一度クリアして回数を稼ぐといった方法も通用しない。 --極め付けに''クリア回数はセーブデータ欄に記録されるため、既にクリアしたデータを上書きしなければならない''。別のセーブ欄に移し変えることで残してはおけるが、2周目をクリアするまで気づかない人も多かった。 --OPの内容も、単なるおまけ要素で済むならまだしも、中にはストーリー中の伏線が明らかになるという超重要パターンが含まれている。 -隠しエンディングの出現条件が非常に厳しい。 --条件は『クリア時の総合評価をAにすること』。評価の内容は『生存』『攻略』『経験』『戦闘』の4つ。当然速攻攻略が求められるが、それのみならず、『経験』という項目をAにするにはアーダンといった使えない(使わない)ユニットのレベルも相当あげないといけないほどである。 --また『戦闘』をAにするには「全ユニットの負け数の総和が3敗以下」というものだが、これはマップの途中でユニットが負けてしまって、そこでリセットしても加算されてしまう。またバグで負け数が増えてしまうこともある。後にFEのスタッフが語ったところによると、当初はライフポイントが導入される予定だった((HPが0になると自軍を抜けるキャラクターがいたり、死亡したような描写があるのに実は気絶していただけというFEらしからぬキャラクターが出てくるのも、その傍証と言える。))ので、仕様変更時の見落としと考えられる。 --そこまで無理してみるほどのものでもないが(エンディングで少しムービーが入る程度)。またどれかの評価が1つだけBでも、他がAなら総合評価はAになる。 ---4つの中で厳しいのは総ターン数400未満が求められる「攻略評価 A」。A狙いをすると歩兵をぶっちぎって騎兵だけで突き進むような攻略が必要になる。攻略評価Bならそれなりに余裕を持てる。 -バグが非常に目立っており、現在でも新たなバグ報告が絶えない。 --特定の条件下でレベルアップすると成長率が下がるなど、攻略を妨げるものが多い。中にはゲームが進行不能になるものも。 ---- **総評 本シリーズの大きなセールスポイントである、国家間の争いや人間関係などの部分を更に深く作り込んだ意欲作。~ 親から子へと続く壮大な物語や精巧に作られた一つの世界、結婚システムや3すくみ、スキルや職業ごとに異なるパラメータ上限、アルファベットで処理される武器レベルなどなど、後の作品にも継承される斬新なシステム、レベルの高いグラフィック・BGMなどから、異色作とされながらもシリーズ屈指の人気タイトルとなった。 賛否が分かれやすいのはバランス面。神器をはじめとした強力な武器の存在や、兵種や武器種の格差、「上手く活用すれば多大な恩恵を受けられる反面、逆もまた然り」のシステムがその偏りを助長するため、強いキャラクターは隆盛を極め不遇キャラクターはとことん不遇となる。ただし難易度自体は低めなので、攻略評価を気にしないのであれば本作を象徴する概念である「愛」で十分カバーできる。 ---- **余談 -親世代の主人公であるシグルドの妻はディアドラで固定なのだが、当初はシグルドも自由にカップリングが出来る予定だったらしく、子世代の主人公の「セリス」という名前も、男でも女でもどちらでも使える名前だからという理由で付けられた物らしい。後のシリーズでも、「クリス」、「ルフレ」、「カムイ」、「リュール」など、男性としても女性としても使える名前の主人公がおり、実際に性別を選択することができる。 --ただし、当時の公式掲示板で加賀氏はセリスは最初から男として設定していたと、この説を否定している。 --ちなみに前述した通り、主人公が複数のキャラから相手を選べるのは本作が初めて。のちに『封印の剣』などのGBA版タイトルでは複数の候補から相手を選ぶシステムになり、『覚醒』からの新作タイトルでは、本作と同様に、特定の相手を除いたすべての味方ユニットと結婚ができるようになっている。 -本作で採用された「神器」は、「神将器」や「双聖器」、「英雄の遺産」など、類似したものがのちのシリーズ作品にも存在している。また、本作の影響を大きく受けたとされる『風花雪月』では、聖戦士の系譜に近い「紋章」と呼ばれるシステムも存在する。 -異父兄妹同士が子を成すという倫理的に真っ黒な展開がある((本人達は知らなかったようだが))。後にリリースされた『[[FE覚醒>ファイアーエムブレム 覚醒]]』には結婚したユニットの子供が未来からやってくるというシステムがあるが、その際に近親相姦は基本的に不可能になっている。また、本作でも主人公のセリスとその妹ユリアが(兄妹だと知らずに)フラグを立てるが、バグ技を使わない限りは結ばれることはできない。 --この要素は、今の家庭用ゲームのシナリオではまずあり得ないことだろうと思われていたが、『[[エンゲージ>ファイアーエムブレム エンゲージ]]』でついに、バグを使わず主人公とその妹の結婚が可能((父親は同じだが、母親が同一人物かは不明。))となった。主人公が女性であっても可能なので、ある意味本作より危険だと言える。 -本作のストーリーの一部に焦点を当てた次回作『[[トラキア776>ファイアーエムブレム トラキア776]]』も、本作の背景を引き継ぐと共に、「滅びの美学」というテーマの元でかなり重いストーリーになっている。その後の据え置き機も同様で、『蒼炎の軌跡』、『暁の女神』では、人体実験や、身分格差、種族差別など、『風花雪月』は貴族と平民の対立や、登場キャラのほとんどが本作に劣らぬ壮絶な過去を背負っている事、また、かつての仲間たちが殺しあう姿を描くなど、やはりシリアスな展開が続く。 --一方、携帯機作品(『[[封印の剣>ファイアーエムブレム 封印の剣]]』~『[[if>ファイアーエムブレムif 白夜王国/暗夜王国]]』)ではライトユーザーを意識してか、本作よりも勧善懲悪色の強いストーリーになっている。ただし、『[[烈火>ファイアーエムブレム 烈火の剣]]』は、本作に負けず劣らずの複雑な人間模様から、暗めのストーリーと言われることも多い。 -タイトルの「ファイアーエムブレム」は本作のストーリーにあまり関係ない。進め方によっては存在すら気がつかずに終わる。 --もっとも「ファイアーエムブレム」や「炎の紋章」という単語が[[本編で一切出ない作品>ファイアーエムブレム 外伝]]も既に存在する。 -本作の攻略本は20社以上から出されている。攻略本が多くの会社から発売されていた時期である事を考慮しても、凄まじい量である。 --またコミカライズも非常に盛んで、大沢美月氏や藤森ナッツ氏をはじめ、多くの(主にスクウェア・エニックス関係)作家に描かれている。小説版も刊行されており、[[第2次スーパーロボット大戦OG]]や[[ゼノブレイド]]などの脚本を担当した竹田裕一郎氏が手掛けている。 ---尤も「エニックスお家騒動」による作家陣の大量引き抜きにより打ち切りも含まれているのが残念なところ。 -同盟軍や乱数調整などを利用したものではあるが、シーフの腕輪、値切りを禁止しバルムンクとフォルセティのみでクリアした猛者が存在する。 --『''フォルセティとバルムンクさえあればユグドラル大陸(本作の舞台)を征服できる''』そんなジョークが真実化した動画もあるので、興味があれば探してみてほしい。 -ゲームオーバー画面の採用は本作が初 --『[[初代>ファイアーエムブレム 暗黒竜と光の剣]]』、『[[外伝>ファイアーエムブレム 外伝]]』、『[[紋章の謎>ファイアーエムブレム 紋章の謎]]』では「きろくしたところからはじめますか?」や「きろくがありません」の2種類のメッセージしか出ず、採用されなかったが、ゲームオーバー専用の画面が採用されたのが本作が初めてである。 ---以降のFEシリーズ((最新作やリメイク作))から採用するようになった。 -本作は自由恋愛が売りとなっているが、『トラキア776』で固定となったカップルが2組ある。片方はこの作品でカップルが自動的に成立する専用イベントがあったのだが(こちらはユーザーからのカップル人気も非常に高くほぼ受け入れられた)、もう片方のカップルに関しては、ファンから「勝手に固定しないでくれ」という声が未だにある。後日、このカップルに関する任天堂公式HPの記述は削除されたほど。 --しかしながら、その『トラキア776』においても、カップルが成立したにしては不自然な点があったり、子供がもってくるある武器の名前がかなり意味深なものとなっているなどの疑問点もある。作中では明かされないため真相は闇の中だが。 //スキル『祈り』が継承されてないのと、ベオの剣の事ね //---これに伴い、「このカップルのアンチが電話でISに抗議した」という噂が出、今もこの話が本当だと信じてる人がいるが、実際は根も葉もない噂レベルである。 --更に、任天堂公式HP・ファイアーエムブレムワールドの「マスター級Q7解答」の解説で若干揉めた。 //今作のキャラクター人気を象徴するエピソードだと思うので、ある程度コメントアウトを復帰させました。 ---この影響により、この後にリリースされた作品は、連作の際には恋愛が成立しなかったり、父親か母親のみが明らかになっているなど、カップリングに矛盾が生じないよう配慮されている。 --なお、この「自由恋愛」の要素は、ファイアーエムブレム界隈に革命を起こしており、シリーズの女性人気が爆発したのは本作の影響と言える。事実、本作のメディアミックス作品の書き手は男性より女性の方が多い。 -スペースワールド95で展示された際の仮タイトルは『ファイアーエムブレム 光をつぐもの』だった。このタイトルは本編6章で使われた他、冬季ねあ氏が手掛けたコミカライズ版のタイトルに使用されている。 -前述したアーダンは有用なレアアイテムが獲得できる隠しイベントが存在することや、特定のキャラを恋人にした場合の専用の会話が妙に男らしかったりと、逆にファンから愛されているキャラでもある。また、火の玉ゲームコミックの4コマなどでは、他のどのキャラよりも&bold(){色々な意味で}((ざんてつの剣の試し斬りにされる・レアアイテム回収に行ったら間違えてリターンリングを拾って城に戻された・ラケシスと恋仲になったが、その理由が「ヤケクソになって超美形のエルトシャンと正反対の人を選んだから」と言われた・恋占いをしたら水晶がどす黒くなって割れた・シグルド軍の男性は皆美系だと思い込んだ新しい仲間に敵と間違えてやっつけられる・足が遅くても役に立ちたくて踊り子にクラスチェンジしようとした…など、枚挙に事欠かない))ネタにされまくっていた。 --この影響からか、早いうちからソーシャルゲーム『ファイアーエムブレム ヒーローズ』にも参戦し、追撃リングを得られるなど、公式からもある程度の優遇を受けている。 -2021年5月26日に、オムニバスソフト『[[スーパーファミコン Nintendo Switch Online>ファミリーコンピュータ Nintendo Switch Online]]』の収録作品に追加された。 -のちにリリースされた『ファイアーエムブレム ヒーローズ』で、十二聖戦士のウル本人が参戦した。

表示オプション

横に並べて表示:
変化行の前後のみ表示: