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*PANDORA MAX SERIES Vol.1 ドラゴンナイツグロリアス 【ぱんどらまっくすしりーずぼりゅーむわん どらごんないつぐろりあす】 |ジャンル|アドベンチャーRPG|&image(http://ecx.images-amazon.com/images/I/41Y6kkk9oVL.SL160.jpg)| |対応機種|プレイステーション|~| |開発・発売元|パンドラボックス|~| |発売日|1999年11月18日|~| |定価|1,980円(税抜)|~| |配信|ゲームアーカイブス&br()2009年8月26日/600円|~| |判定|なし|~| |>|>|CENTER:''[[PANDORA MAXシリーズリンク>PANDORA MAXシリーズ]]''| ---- #contents(fromhere) ---- **概要 「1980円の超大作」がキャッチコピーであった「PANDORA MAXシリーズ」の第1作。~ RPGのシステムとアドベンチャーゲームのシステムを融合した作品である。 ---- **ストーリー カグランテス王国の誇る無敵の騎士団「ドラゴンナイツ」。竜を駆るこの騎士団に入隊することは、この国に生まれた男性全ての憧れであった。~ 国の片隅にあるボーヘイム村に住む少年・ダイクは、入隊試験の受験を許される15歳を迎え、王都へと旅立つことになった。試験の合格率は0.3%。果たして彼を待ち受けるものとは…(Wikipedia参照) ---- **システム -本作は主にアドベンチャーモードで進み、ゲームの進行に伴いRPGモード、ミニゲームが登場する。 --パンドラボックス代表・飯島健男は当時「あくまでRPG」と明言。ゲームアーカイブス配信時にも「アドベンチャーRPG」と名乗っている。それが近年、一部では批判の的になった。しかし「[[ドラゴンクエストシリーズ]]」で知られる堀井雄二もRPGとADVの違いを「パラメーター的な成長の有無」と述べており、この定義に従えば、飯島による「本作はRPG」との主張は極々普通の主張である。 ---ちなみに「パラメーター的な成長の有無」というと、育成SLGも同様なのでいまいちピンとこない人も多い。しかし、育成SLGの始祖『プリンセスメーカー』は、製作者である赤井孝美が『ドラクエ』を簡略にした「動かないRPG」と明言しているなど、育成SLGはRPGを源流にした親戚と言うべきジャンルである。と言うかドラクエのヒット直後は成長要素さえあれば『[[頭脳戦艦ガル]]』等のように猫も杓子も「RPG」を名乗っていた。 ---TRPGより先にCRPGが有名になった日本では勘違いされがちだが、本来RPGとは「冒険(アドベンチャー)要素のあるSLG」として誕生したものである((本来「戦争の捨て駒」に過ぎなかったアクチュアルウォーゲーム(SLGの一種)の駒に感情移入をした結果、多人数での戦争から少人数での冒険へと改変したのがRPGの始まりである。つまり『ファイアーエムブレム』等のSRPGは先祖返りだと言える。))。なので、一見アドベンチャーゲームな作品がRPGを名乗っていても問題は無い。ゲームブック版ドラクエをRPGでは無いと言う人はいないだろう。逆に言えば「パラメーターの成長=RPG」と言うのも日本人の勘違いなのだが…((実際、アメリカ製TRPG『トラベラー』『アンバー・ダイスレス・ロールプレイング』等は成長要素が無いか薄い。日本製TRPG『ワンダ・ローズ・トゥ・ロード』に至ってはシナリオクリアでキャラクターが弱体化していく))。 //↑なぜ、本作をRPGだと主張した飯島の発言が、問題点として扱いされていたのかが、根本的に謎。今は見えないようにしている元記事の指摘や批判には、客観性や公平性に強い疑問がある。 -アドベンチャーモード --キャラクターの立ちグラフィックと画面下部のメッセージウィンドウにより構成されているモード。 ---キャラクターのセリフではない地の文では全画面に文字が表示される。 -RPGモード --見下ろし型の画面で、チビキャラを操り、ダンジョンを探索する。ボスを倒したり出口に辿り着く以外にも「一切敵を倒さず脱出する」「制限時間以内に指定のアイテムを全て入手する」などの課題を課せられる事も。 --敵と接触することにより戦闘が発生する。ただしRPGモードでは敵の姿は見えない。 --ダンジョンの大きさが総じて小ぶりなので、合わせて敵との遭遇率そのものは高め。シンボルエンカウントとはなっているが実際はほぼランダムエンカウントと同様である。 -戦闘システム --戦闘はアドベンチャーモードでのイベント、またはRPGモードで発生する。 --戦闘はターン制。ターンの最初に戦闘に参加するキャラクターの行動を選択し、それに従って戦いが繰り広げられる。 ---ただし行動の順序は各キャラクターの「素早さ」によって決定される。 --通常攻撃には「縦切り」「横切り」「突き」の三種類があり、武器によって得意な攻撃方法が違うので注意が必要。 --特技(魔法または技)はTP(テクニカルポイント)を消費して使用する。 ---魔法は敵を攻撃するものから味方を助けるものまで様々なのが特徴で、特技は通常攻撃との組み合わせによって発動。そのため魔法と違い前のターンの行動によって使用できる特技が変化する。 --その他のコマンドは「道具」「防御」「逃げる」。一般的なRPGとほぼ同じ内容だが、「逃げる」についてはコマンドを選んだキャラクター1人だけが逃げるので注意。全員が逃走に成功するか、一人以上逃げた状態で他のキャラが戦闘不能にならないと逃走扱いにならない。 ---- **評価点 -ストーリーの評価が高い。 --失敗と成功を一セットにしながら徐々に進んでいく展開は、オーソドックスながら劇的に仕上げられている。 ---狂言回し役の妖精プリルも、プレイヤーの興味が減らないように上手く立ち回っており、展開にソツがない。 --特にストーリーの熱さには定評がある。「死んだ1人息子のために、36歳という他の者達と比べて圧倒的に高齢になってから(普通は受験可能年齢に達してすぐ受ける)、過酷なドラゴンナイツ試験に挑む」ボーボを筆頭に、理由が明かされないまま女人禁制となっている理不尽な掟に挑む仲間の女性キャラの存在や、因縁の相手に実力を認められるラストバトルなど。 -キャラクターの描き方が丁寧。 --デートイベントを行うことで少しずつ明らかになっていくパットら仲間達の事情。 ---男のボーボやチコともデートができる上、物語に意外な深みを加えてくれる。 --徹底した憎まれ役のビリーにも、外伝で新たな旅立ちを描いたフォローがあるなどキャラクターを大切にしているゲームである。 --尚、飯島作品では珍しく本作の正規EDルートでは人が誰も死なない((バッドエンドでは割と容赦なく死ぬが。))。これは飯島氏の過去作『BURAI』等でキャラを死なせ過ぎた事に批判があった為であると言う。 -ゲームバランスも良好。また手間隙をかけている。 --設定上、世界最強のリリス(特定の選択肢で戦う時は、実際にゲーム中最強)が仲間になるが、ハンデとして手錠付き鉄球をつけている。武器としては使いにくく、その上スピードにマイナス補正がかかるので行動順が遅く、しかもよく離脱する…等々のデメリットがあり、最強設定とゲームバランスが不整合を起こさないようにしている。 -細部まで気を使った作り込み。 --ストーリーに直接関係ない施設には、ミニゲームが用意されている ---各種店舗でのアルバイト(酒場のウェイターゲームなど)、カジノのスロット・ブラックジャック・ポーカー、迷路等 --二周目以降は一周目の負けバトルにも勝利できるようになる。新しい展開やエンディングに派生することも。 --5人の女性キャラとは恋愛イベントも用意されている。 --エンディングの数が多く用意されている。グッド・バッドといった表裏のエンディングを除いても、多くのエンディングが用意されているのは魅力。 -新品の値段が1980円と安価 --この手の作品の場合、細部の作りこみが浅くて粗も多いという、安さを言い訳にしたような出来の悪い作品も多かったりするが、本作では細部にわたり、きちんと丁寧に作っている。 --前ターンの影響を受ける特技、単純に正解の選択肢を選べば良いわけではないクイズがあるなど、なんとかして独自性を出そうとという意気込みが感じられる。 ---- **問題点 -ストーリーが試験だけで終わるなど中途半端。正に「俺達の戦いはこれからだ!」と言う形で終わる。 --エンディング直前にある生き物に名前を付ける場面があるが、その直後にゲームが終了する為、ほぼ無意味。 --本作のシナリオの初期案は(製品版の)正規ED後の主人公達の旅を描く内容だったが、それでは普通のRPGになってしまう為に敢えて前日譚的なストーリーに変更した((その為、相当数のプロットが破棄されたと言う。妖精のプリルが人間になる、と言う展開もあったとか))との事である。 --熱いだけにクサい部分がある。「己の中に漢を宿す」「ホンモノ」等。 -グラフィックや演出が地味。 --特に戦闘パートはSFC時代のRPGを彷彿させる。ドット絵自体はそれなりに描かれていはいるが、当時の作品としても前時代的である。 --メインキャラは概ね問題無いが、サブキャラの立ち絵には低いクオリティのものがある。 --また、ムービーやキャラボイスは一切無い。これはまだシリーズ一作目と言う事もあって予算が無かった為である。 -基本的には良好なゲームバランスなのだが、詰めの甘さも見られる。 --魔法に比べて特技が使い難い。手間がかかるわりに効果が薄い。 ---勿論パーティー編成の都合で、魔法が使えない(あるいは魔法が苦手な脳筋ばかり)場合は重宝するが。 --レベルなどの引継ぎあるため当たり前なのだが、二周目以降の敵は基本的に弱い。 ---一応、周回プレイを前提とした強敵等は存在する。特に一周目ではまず勝てない最強のボスは撃破すると専用のEDになる。 -作り込みが丁寧といっても基本は広く浅く。 --ヒロインごとのエンド(グッド・バッド両方)も用意されているのだが、バッドエンドの文章はマイナーチェンジ。 -メッセージスキップが無い。早送り機能も無い。 --飯島氏によると意図的に付けなかったらしいのだが、ユーザービリティの観点からすれば不便なだけである。 ---なお、これは後続のシリーズや氏が手掛けた『四八(仮)』でも改善されていない -エンディングは25種類存在するが、1つのメモリーカードに1箇所しかセーブできない。 --エンディングを1つ見るたびに必ず最初からやり直す羽目になる。 --周回プレイを前提としたゲームでは、その場合普通はプレイデータの他に「システムデータ」を用意する事が多い。この点はPANDORA MAXシリーズを通して改善されなかった。 ---周回によりLvが上がっていると見るのが難しくなるEDもある。 //-実はパットが女。 //--男だった方がよかったという声も少なからずあった。 //-終盤の選択肢で女性もドラゴンナイツになれるようにすると、トゥルーエンド確定。 //--男女で轡を並べる個別のエンディングも欲しかった。 //↑ストーリーのネタバレになるので、少しぼかした文章を表示させて頂きます。 -物語終盤で、ある仲間の秘密が明らかになる。 --判明する前と後ではそのキャラに対する見方がかなり変わるため、判明前のキャライメージを気に入っていたプレイヤーからは否定的な意見もあった。 -物語の最終局面で主人公がある質問をされるのだが、その質問に対する2つの選択肢の内ある一方を選択するとトゥルーエンディングに到達する。 --しかし、このエンドには展開が一種類しか存在せず、それまでに(最終局面に到達できる範囲で)どういう行動を取ったとしてもほぼ反映されない。 --仮にお気に入りのキャラとのイベントを進行させていたとしても、真EDにそれらを反映した描写はナシ。マルチエンディングであるだけに残念がられた。 --一応、ヒロインの一人だけは真EDに影響するようになっている。他のキャラとも真EDルートの途中にイベントが挟まる程度の描写はある。あくまで途中のイベントだが。 ---- **総評 作りこみは決して手抜きという事は無く、おおむねどの要素も冒険せず実に手堅く組まれている。ストーリーや世界観も王道ながら分かりやすく纏められており、多くの選択肢とマルチエンディングによって好奇心を刺激する事に成功している。~ 一方、グラフィックや演出に漂う低予算感、不親切なユーザーインタフェースなど、魅力を打ち消してしまうような問題もある。この辺りが「良作」ではなく「佳作」と呼ばれる所以である。~ PANDORA MAXシリーズにおいても第一弾だった事もあり、まだまだ地味な部分も目につくが、総合的な完成度は1980円の安さには見合わないと断言できるほど高い。ゲームアーカイブスでも配信されて(中古で買った方が安上がりだが)いるため、興味があればプレイしてみるだけの価値はある。
*PANDORA MAX SERIES Vol.1 ドラゴンナイツグロリアス 【ぱんどらまっくすしりーずぼりゅーむわん どらごんないつぐろりあす】 |ジャンル|アドベンチャーRPG|&image(http://ecx.images-amazon.com/images/I/41Y6kkk9oVL.SL160.jpg)| |対応機種|プレイステーション|~| |開発・発売元|パンドラボックス|~| |発売日|1999年11月18日|~| |定価|1,980円(税抜)|~| |配信|ゲームアーカイブス&br()2009年8月26日/600円|~| |判定|なし|~| |>|>|CENTER:''[[PANDORA MAXシリーズリンク>PANDORA MAXシリーズ]]''| ---- #contents(fromhere) ---- **概要 「1980円の超大作」がキャッチコピーであった「PANDORA MAXシリーズ」の第1作。~ RPGのシステムとアドベンチャーゲームのシステムを融合した作品である。 ---- **ストーリー カグランテス王国の誇る無敵の騎士団「ドラゴンナイツ」。竜を駆るこの騎士団に入隊することは、この国に生まれた男性全ての憧れであった。~ 国の片隅にあるボーヘイム村に住む少年・ダイクは、入隊試験の受験を許される15歳を迎え、王都へと旅立つことになった。試験の合格率は0.3%。果たして彼を待ち受けるものとは…(Wikipedia参照) ---- **システム -本作は主にアドベンチャーモードで進み、ゲームの進行に伴いRPGモード、ミニゲームが登場する。 //RPGについての主張云々は余談に移動。 -アドベンチャーモード --キャラクターの立ちグラフィックと画面下部のメッセージウィンドウにより構成されているモード。 ---キャラクターのセリフではない地の文では全画面に文字が表示される。 -RPGモード --見下ろし型の画面で、チビキャラを操り、ダンジョンを探索する。ボスを倒したり出口に辿り着く以外にも「一切敵を倒さず脱出する」「制限時間以内に指定のアイテムを全て入手する」などの課題を課せられる事も。 --敵と接触することにより戦闘が発生する。ただしRPGモードでは敵の姿は見えない。 --ダンジョンの大きさが総じて小ぶりなので、合わせて敵との遭遇率そのものは高め。シンボルエンカウントとはなっているが実際はほぼランダムエンカウントと同様である。 -戦闘システム --戦闘はアドベンチャーモードでのイベント、またはRPGモードで発生する。 --戦闘はターン制。ターンの最初に戦闘に参加するキャラクターの行動を選択し、それに従って戦いが繰り広げられる。 ---ただし行動の順序は各キャラクターの「素早さ」によって決定される。 --通常攻撃には「縦切り」「横切り」「突き」の三種類があり、武器によって得意な攻撃方法が違うので注意が必要。 --特技(魔法または技)はTP(テクニカルポイント)を消費して使用する。 ---魔法は敵を攻撃するものから味方を助けるものまで様々なのが特徴で、特技は通常攻撃との組み合わせによって発動。そのため魔法と違い前のターンの行動によって使用できる特技が変化する。 --その他のコマンドは「道具」「防御」「逃げる」。一般的なRPGとほぼ同じ内容だが、「逃げる」についてはコマンドを選んだキャラクター1人だけが逃げるので注意。全員が逃走に成功するか、一人以上逃げた状態で他のキャラが戦闘不能にならないと逃走扱いにならない。 ---- **評価点 -ストーリーの評価が高い。 --失敗と成功を一セットにしながら徐々に進んでいく展開は、オーソドックスながら劇的に仕上げられている。 ---狂言回し役の妖精プリルも、プレイヤーの興味が減らないように上手く立ち回っており、展開にソツがない。 --特にストーリーの熱さには定評がある。「死んだ1人息子のために、36歳という他の者達と比べて圧倒的に高齢になってから(普通は受験可能年齢に達してすぐ受ける)、過酷なドラゴンナイツ試験に挑む」ボーボを筆頭に、理由が明かされないまま女人禁制となっている理不尽な掟に挑む仲間の女性キャラの存在や、因縁の相手に実力を認められるラストバトルなど。 -キャラクターの描き方が丁寧。 --デートイベントを行うことで少しずつ明らかになっていくパットら仲間達の事情。 ---男のボーボやチコともデートができる上、物語に意外な深みを加えてくれる。 --徹底した憎まれ役のビリーにも、外伝で新たな旅立ちを描いたフォローがあるなどキャラクターを大切にしているゲームである。 --尚、飯島作品では珍しく本作の正規EDルートでは人が誰も死なない((バッドエンドでは割と容赦なく死ぬが。))。これは飯島氏の過去作『BURAI』等でキャラを死なせ過ぎた事に批判があった為であると言う。 -ゲームバランスも良好。また手間隙をかけている。 --設定上、世界最強のリリス(特定の選択肢で戦う時は、実際にゲーム中最強)が仲間になるが、ハンデとして手錠付き鉄球をつけている。武器としては使いにくく、その上スピードにマイナス補正がかかるので行動順が遅く、しかもよく離脱する…等々のデメリットがあり、最強設定とゲームバランスが不整合を起こさないようにしている。 -細部まで気を使った作り込み。 --ストーリーに直接関係ない施設には、ミニゲームが用意されている ---各種店舗でのアルバイト(酒場のウェイターゲームなど)、カジノのスロット・ブラックジャック・ポーカー、迷路等 --二周目以降は一周目の負けバトルにも勝利できるようになる。新しい展開やエンディングに派生することも。 --5人の女性キャラとは恋愛イベントも用意されている。 --エンディングの数が多く用意されている。グッド・バッドといった表裏のエンディングを除いても、多くのエンディングが用意されているのは魅力。 -新品の値段が1980円と安価 --この手の作品の場合、細部の作りこみが浅くて粗も多いという、安さを言い訳にしたような出来の悪い作品も多かったりするが、本作では細部にわたり、きちんと丁寧に作っている。 --前ターンの影響を受ける特技、単純に正解の選択肢を選べば良いわけではないクイズがあるなど、なんとかして独自性を出そうとという意気込みが感じられる。 ---- **問題点 -ストーリーが試験だけで終わるなど中途半端。正に「俺達の戦いはこれからだ!」と言う形で終わる。 --エンディング直前にある生き物に名前を付ける場面があるが、その直後にゲームが終了する為、ほぼ無意味。 --本作のシナリオの初期案は(製品版の)正規ED後の主人公達の旅を描く内容だったが、それでは普通のRPGになってしまう為に敢えて前日譚的なストーリーに変更した((その為、相当数のプロットが破棄されたと言う。妖精のプリルが人間になる、と言う展開もあったとか))との事である。 --熱いだけにクサい部分がある。「己の中に漢を宿す」「ホンモノ」等。 -グラフィックや演出が地味。 --特に戦闘パートはSFC時代のRPGを彷彿させる。ドット絵自体はそれなりに描かれていはいるが、当時の作品としても前時代的である。 --メインキャラは概ね問題無いが、サブキャラの立ち絵には低いクオリティのものがある。 --また、ムービーやキャラボイスは一切無い。これはまだシリーズ一作目と言う事もあって予算が無かった為である。 -基本的には良好なゲームバランスなのだが、詰めの甘さも見られる。 --魔法に比べて特技が使い難い。手間がかかるわりに効果が薄い。 ---勿論パーティー編成の都合で、魔法が使えない(あるいは魔法が苦手な脳筋ばかり)場合は重宝するが。 --レベルなどの引継ぎあるため当たり前なのだが、二周目以降の敵は基本的に弱い。 ---一応、周回プレイを前提とした強敵等は存在する。特に一周目ではまず勝てない最強のボスは撃破すると専用のEDになる。 -作り込みが丁寧といっても基本は広く浅く。 --ヒロインごとのエンド(グッド・バッド両方)も用意されているのだが、バッドエンドの文章はマイナーチェンジ。 -メッセージスキップが無い。早送り機能も無い。 --飯島氏によると意図的に付けなかったらしいのだが、ユーザービリティの観点からすれば不便なだけである。 ---なお、これは後続のシリーズや氏が手掛けた『四八(仮)』でも改善されていない -エンディングは25種類存在するが、1つのメモリーカードに1箇所しかセーブできない。 --エンディングを1つ見るたびに必ず最初からやり直す羽目になる。 --周回プレイを前提としたゲームでは、その場合普通はプレイデータの他に「システムデータ」を用意する事が多い。この点はPANDORA MAXシリーズを通して改善されなかった。 ---周回によりLvが上がっていると見るのが難しくなるEDもある。 //-実はパットが女。 //--男だった方がよかったという声も少なからずあった。 //-終盤の選択肢で女性もドラゴンナイツになれるようにすると、トゥルーエンド確定。 //--男女で轡を並べる個別のエンディングも欲しかった。 //↑ストーリーのネタバレになるので、少しぼかした文章を表示させて頂きます。 -物語終盤で、ある仲間の秘密が明らかになる。 --判明する前と後ではそのキャラに対する見方がかなり変わるため、判明前のキャライメージを気に入っていたプレイヤーからは否定的な意見もあった。 -物語の最終局面で主人公がある質問をされるのだが、その質問に対する2つの選択肢の内ある一方を選択するとトゥルーエンディングに到達する。 --しかし、このエンドには展開が一種類しか存在せず、それまでに(最終局面に到達できる範囲で)どういう行動を取ったとしてもほぼ反映されない。 --仮にお気に入りのキャラとのイベントを進行させていたとしても、真EDにそれらを反映した描写はナシ。マルチエンディングであるだけに残念がられた。 --一応、ヒロインの一人だけは真EDに影響するようになっている。他のキャラとも真EDルートの途中にイベントが挟まる程度の描写はある。あくまで途中のイベントだが。 ---- **総評 作りこみは決して手抜きという事は無く、おおむねどの要素も冒険せず実に手堅く組まれている。ストーリーや世界観も王道ながら分かりやすく纏められており、多くの選択肢とマルチエンディングによって好奇心を刺激する事に成功している。~ 一方、グラフィックや演出に漂う低予算感、不親切なユーザーインタフェースなど、魅力を打ち消してしまうような問題もある。この辺りが「良作」ではなく「佳作」と呼ばれる所以である。~ PANDORA MAXシリーズにおいても第一弾だった事もあり、まだまだ地味な部分も目につくが、総合的な完成度は1980円の安さには見合わないと断言できるほど高い。ゲームアーカイブスでも配信されて(中古で買った方が安上がりだが)いるため、興味があればプレイしてみるだけの価値はある。 **余談 -パンドラボックス代表・飯島健男は当時、本作のジャンルについて「あくまでRPG」と明言していた。ゲームアーカイブス配信時にも「アドベンチャーRPG」と名乗っている。それが近年、一部では批判の的になった。 --しかし「[[ドラゴンクエストシリーズ]]」で知られる堀井雄二もRPGとADVの違いを「パラメーター的な成長の有無」と述べており、この定義に従えば、飯島による「本作はRPG」との主張は極々普通の主張である。 ---ちなみに「パラメーター的な成長の有無」というと、育成SLGも同様なのでいまいちピンとこない人も多い。しかし、育成SLGの始祖『プリンセスメーカー』は、製作者である赤井孝美が『ドラクエ』を簡略にした「動かないRPG」と明言しているなど、育成SLGはRPGを源流にした親戚と言うべきジャンルである。と言うかドラクエのヒット直後は成長要素さえあれば『[[頭脳戦艦ガル]]』等のように猫も杓子も「RPG」を名乗っていた。 ---TRPGより先にCRPGが有名になった日本では勘違いされがちだが、本来RPGとは「冒険(アドベンチャー)要素のあるSLG」として誕生したものである((本来「戦争の捨て駒」に過ぎなかったアクチュアルウォーゲーム(SLGの一種)の駒に感情移入をした結果、多人数での戦争から少人数での冒険へと改変したのがRPGの始まりである。つまり『ファイアーエムブレム』等のSRPGは先祖返りだと言える。))。なので、一見アドベンチャーゲームな作品がRPGを名乗っていても問題は無い。ゲームブック版ドラクエをRPGでは無いと言う人はいないだろう。逆に言えば「パラメーターの成長=RPG」と言うのも日本人の勘違いなのだが…((実際、アメリカ製TRPG『トラベラー』『アンバー・ダイスレス・ロールプレイング』等は成長要素が無いか薄い。日本製TRPG『ワンダ・ローズ・トゥ・ロード』に至ってはシナリオクリアでキャラクターが弱体化していく))。 //↑なぜ、本作をRPGだと主張した飯島の発言が、問題点として扱いされていたのかが、根本的に謎。今は見えないようにしている元記事の指摘や批判には、客観性や公平性に強い疑問がある。

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