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*SIREN2 【さいれんつー】 |ジャンル|ホラーアドベンチャー|&amazon(B000B41SD8)| |対応機種|プレイステーション2|~| |発売・開発元|ソニー・コンピュータエンタテインメント|~| |発売日|2006年2月9日|~| |定価|7,140円|~| |判定|BGCOLOR(lightgreen):''良作''|~| |>|>|CENTER:''SIRENシリーズ'':''[[SIREN]]'' - ''SIREN2'' - ''[[SIREN:NT>SIREN: New Translation]]''| ---- #contents(fromhere) ---- **ストーリー 日本近海に位置する離島、夜見島は、独自の因習を守る閉鎖的な島だったが、時代の趨勢に伴い建造物、移住者の増加など、急速な発展を遂げていった。~ 1976年8月3日。午前0時、原因不明の海底ケーブル切断による大停電、全島民失踪事件が発生する。それによって島は一夜にして無人島となった。~ 事件から29年後の2005年。島に伝わる因習を調べに来た雑誌編集者や輸送ヘリコプターのエンジントラブルで島に不時着した自衛官達、~ さらにはある“少女”への想いから島に足を踏み入れた作家などが島を訪れる。~ 8月3日午前0時、突如不気味なサイレンが島に響き渡った。消えた人々が未知の存在・屍人、そして闇人へとすり替わる。~ ''生き残りを賭けた絶望的な戦いが始まる''。 ---- **特徴 -前作の世界観を一部受け継いだストーリー。 --本作のストーリーは、前作である[[SIREN]]の一部を引き継いだものとなっている。 --引き続き出ている「屍人」も設定が大幅に違うため、似て非なる存在となっている。(変異屍人も今回は出現しない。) -恐怖感はそのままに、よりリアルに。 --前作でも人気であった3Dポリゴンの質がさらに上がっている。 ---懐中電灯の光の質も上昇。LED型電球とハロゲン型電球で照らし方が違うのもまたリアル。 --敵である屍人・闇人もうわ言のように生前の記憶を喋り続けるため、不気味な雰囲気が漂っている。 ---- **評価点 ***前作から大きく改善された親切設計 -前作で「初心者に不親切」という意見が多かったのか、多くの新仕様が追加された。 --SIRENシリーズの肝とも言える視界ジャックが大幅に改善された。具体的には、効果音や、視界の固定が出来るなど。 --「1」ではキャラ毎に武器は固定で、倒した屍人の武器を拾うという事はできなかったが、今作では武器の取捨が可能となり、倒した敵の武器も奪えるようになった。 --アラート機能を導入した事により、敵が近付いてくるのを確認出来るようになった。 --地図で自分の現在地や、目的地が表示されるようになったり、攻撃のレスポンス等が改善された。 --チェックポイントを導入し、死亡した場合にはチェックポイントからやり直す事が出来る。(例外はある) --クリアしなくてもアーカイブや第二条件の為の必要行動を達成出来るようになった。(ただし死んだらやり直し) --難易度選択が出来るようになり、やたらと親切なチュートリアルが出来たりヒントが充実したりする。ステージごとに難易度を変える事も出来る。 ---ヒントや地図の現在地表示はオフにする事も可能。前作のようなストイックな条件でプレイしたい人も安心。 --しゃがみ走りの導入や、前作ではリストメニューからしていた操作が○ボタンのみでできるようになるなど、より快適なプレイのための工夫がなされている。 ---動画や音声アーカイブが追加され、よりSIREN2の世界へのめり込めるようになった。スタッフの遊び心等も反映されている。 ---アーカイブにはスタッフの取材時の写真やスタッフの結婚式の写真などが使用されていたり、中川翔子が雑誌の表紙を飾っている物もある。 --このように難易度はかなり下がっているが、難易度ハードは前作にも劣らない歯応えのあるステージも多い。 ---銃を持った敵が''こちらの位置を補足して常に追い掛けて来る''、結構な数の闇人と戦わなければならないのに''懐中電灯が無い''、などの凶悪なシチュエーションも。 ***SFとオカルト要素の多いシナリオ、そして絶望 --前作は和風テイストの強い作品だったが今作はSF作品を思わせる設定やストーリーとなっている。 ---主要登場人物の「一樹守」がミステリー科学雑誌の編集者((シリーズでもちょくちょく登場する「アトランチス」というB級雑誌担当))、「喜代田明子」の職業は占い師、という設定もSFタッチな作風を引き立てる要素となっている。 --もちろん、「どうあがいても絶望」と呼ばれた前作にも引けを取らないショッキングな展開もある。 #region(ネタバレ) -今作では母胎と呼ばれる者が、現世に自身の分裂体を飛ばして「特異点から現世に帰る」という望みを果たそうとしている。 --自身の分裂体は「鳩」と呼ばれ、大きく分けると「覚醒鳩」と「未覚醒鳩」の二つに分かれている。 -作中で明らかになっている覚醒鳩は「岸田百合」と「加奈江」と公式サイトで発表されている外伝の中に登場する二人の計四人。未覚醒鳩は「木船郁子」、「喜代田章子」、「多河柳子」、主人公の自殺したガールフレンドの「池田麻衣」の四人。 --覚醒鳩の顔は''全て同じ''であり、未覚醒鳩も覚醒した場合顔が覚醒鳩と同じになる。 -岸田百合と出会い利用されていく一樹守、幼い頃に加奈江と親しくしていた三上脩、多河柳子殺害容疑をかけられ喜代田章子と共に島へ向かう阿部倉司。このように母胎を中心としてストーリーが展開される。 --また、今作では''登場するほとんどの女性キャラクターが覚醒鳩か未覚醒鳩''である。唯一女性メインキャラクターの中で鳩ではない「矢倉市子」も、模倣体と呼ばれる者であり、人間ではない。 ---唯一普通の人間である「太田ともえ」もストーリー序盤で死亡し、屍人化。さらに、闇人乙式化する。まとも女性(?)キャラクターなのは盲導犬である''ツカサ・オブ・ジルドール(メス)''のみ。唯一のまともなヒロイン(?)である。 //ツカサは阿部の真エンディングで生存していたような気がするが…(阿部とツカサが共に朝陽を眺めるエンディング) -エンディングの1つで、唯一未覚醒鳩の中で覚醒しなかった木船が日光を眩しがるシーンが存在する(覚醒した鳩は日光の中で長く活動できない)ため、物語は完全に終わったわけではないことを感じさせる。 -それとは別に模倣体を作りだした「堕慧児(おとしご)」という母胎とは違うが行動原理を模倣する敵が登場。 --この堕慧児を倒すのが、新米自衛隊員の永井頼人。彼は決死の特攻をかけて生き残ろうとするが、戦いの果てに永井が目覚めると、見渡す限りの闇人がうごめく光景が広がるというもはやいkて無事に帰れるのすら絶望的になるというエンディング。~ 本当の意味で「どうあがいても絶望」を体現してしまったキャラである。 -また、本作は「パラレルワールド」の設定を取り入れており、夜見島は現実の世界とは違う世界にコピーされて存在している。 --同様にして、各主人公達が最終的にたどり着いたのも、それぞれ別の世界であるとされており、永井が落ちた世界も「闇人が地上を支配した平行世界」という解釈がなされている。 #endregion ***敵を掃討する事が可能なステージの登場 --自衛隊員が出るため、銃火器を使用した戦闘が増える。それによって「敵から逃げる」と「こちらから敵を倒しに行く」という複数のゲーム性を得ることになった。 --前作とは作風が異なる事や舞台となる夜見島は鉄筋やコンクリートの建造物が多いため戦闘を重視したゲーム性を持ち込む事に成功している。 --一方、新登場の闇人は屍人に比べると欠損部分なども補填されている為、動きが全体的に機敏。知能もそちらに比べると高く、戦闘の難易度自体も相応に上昇している。 ***隠し武器や隠しシナリオの追加 --あるステージで特別な敵を倒して武器を奪ったり、あるステージで条件を満たしてクリアすると隠し武器が手に入る。隠しシナリオで使用可能なものも。 --アーカイブを集めたり、EASY以外の難易度で全ステージをクリアしたり、全ステージのタイムアタックを更新すると隠しシナリオが出現する。 ---これにより、ストーリーの真相や、登場人物のその後を知れたりする。また、屍人が主人公の驚愕なラブロマンスシナリオがあったり、''前作の主人公を動かして屍人や闇人を時間が来るまで殲滅し続ける''ミニゲーム的なシナリオもある。((前作ED後の設定を引き継いでいる為、体力・弾数無限、とある最強武器を二種類所持している等、文字通りの無双状態))~ 特に前者は、シナリオ解放条件がそれなりに厳しいこともあり、作中屈指の難易度を誇る((屍人なので視界ジャックができず、アサルトライフルを持っているが腕がぼろぼろなので照準が合わない、自身も同行者も動きが鈍い等))。 --タイムアタックに「称号」システムが追加された。 ---単純な割に前作でも好評だったタイムアタックだが、今作では特殊な条件下でタイムアタックをクリアすることで称号を得られるようになった。 ---中でも、敵に一切発見されることなくクリアすることで得ることができる称号"Stealth"は、ゲームのコンセプトに合った内容と、その難易度の高さから多くのコアユーザーを虜にした。 --やりこむ価値はあるが、いずれもそう容易い事ではない。 ***今作もこだわったリアリティ -今回の舞台となる「夜見島」は長崎県にある「軍艦島」をモデルにしている。かつては鉱山の島として栄えた軍艦島と同じく夜見島も鉱山や作業員の住む団地や娯楽施設の遊園地などが存在する。 --また離島という事もあり旧日本軍の砲台跡や漁村、さらには座礁したフェリーとステージバリエーションは多い。 -自衛隊員も出るため銃火器の検証もかなり細かく行われ、自衛隊の専門用語などが出る場面もある。ちなみに三沢武明を演じたピエール瀧はたまたま映画で軍人役を演じるためスキンヘッドだったので起用されたらしい。 --特異な設定を抱える三沢武明を演じる様は正に怪演といえる。 ***新しい恐怖 -前作で猛威を振るった「犬屍人」や「蜘蛛屍人」、「羽根屍人」等は登場しない。前作で登場した「屍人」も登場するが、中盤以降は新しく出現する闇人がメインの敵となる。「中盤以降屍人は一度も出なくなる」 ''屍霊'' -赤黒い霧のような存在。よく見ると中央に顔が浮かんでいるのが視認出来る(モデルはディレクターの女性)。 -この霊が死体に憑依する事で「屍人」が生まれる。 -光にとても弱く、懐中電灯で照らしたり、街灯の下に誘導するだけで死んでしまう。その代わり、暗闇がある限り無限に湧き出てくる。 -弱弱しいただの霧に見えるが、攻撃能力はきちんと有しており、油断していると囲まれてハメ殺しにされる。ハードモードではそれだけでゲームオーバーになることも -また、実体を持たないため、間に遮蔽物があっても追いかけてくる。 ''闇霊'' -蛇のような生物。体色は白だが、ゲーム中では布を体に巻きつけているため黒に見える。 -「屍霊」のように人に乗り移るわけではないが、設定上こいつがいるステージでは闇人が再生する。 -本来は「屍霊」より光に弱いが、巻きつけた布の影響で光にある程度耐性がある。 -「屍霊」と異なり実体を持つため、遮蔽物で追跡を逃れることができるが、夜目が利くため暗所でも発見されてしまう。 -ファンの間ではその外見から「タラコ」と呼ばれている。 ''闇人'' -屍人より知能が優れているという設定を持ち、登場人物そっくりに声真似をしたり、話しかけて動揺させるといった特殊な行動を行う。 -闇霊・屍霊同様、光に弱いという弱点を持つ為、懐中電灯の光で怯ませて戦うといった戦法がメインになる。光だけでも一応死ぬがかなりの時間がかかる。「ダメージは受けてるためハメれば殺せる」 -夜目が利くため、暗所でも遠距離から発見されてしまう。それを逆手に利用し、こいつを視界ジャックすれば暗所を観察することが可能。 -今作にも、前作の変異屍人のように、犬の体と鳥の足に人の顔をつけたような「闇人乙式」と闇人の股間に顔をつけて指のような足を四本生やしてる「闇人甲式」が登場。 --闇人甲・乙式は発見時に正面からの攻撃を無効化するため、後ろから気付かれないように近づき仕留めるなど、よりゲーム的要素が増している。なお無効化するのは警戒してる時と興奮してる時であり、見つかってない状態だったら正面からでもダメージを与えられる。 --見た目もSIRENらしい「グロテスクではない不気味な恐怖」そのものであり、特に太田ともえ(乙式)がトラウマになっている人も多いだろう。 -ファンの間では「ダークマン」や「やみんちゅ」と呼ばれている。 --長い間プレイしているうちに、闇人がかわいく見えてきたという猛者も多い。 #region(闇人の画像''(ホラー苦手な方は注意!)'') 左から順に闇人・闇人甲式・闇人乙式~ &ref(yamibito.jpeg) &ref(yamibito_kou.jpeg) &ref(yamibito_otu.jpeg) #endregion ---- **賛否両論点 ***武器持ち替えシステム -島中にある日用品や、敵が持っていた武器を倒して奪えるシステムだが、これが大きくSIRENらしさを失う基となってしまっている。 --どんな弱武器でもダメージを与えさえすれば敵は倒せ、武器も奪えるため、前作にあった「非力なキャラクターを操作し、隠れ、進む。」ことをしなくてもよくなってしまった。 --同行者も武器を拾う為、護衛対象が勇ましく敵に向かって行くなんて事も普通にある。無論、同行者が殺されればゲームオーバーなので守らなければならない事に変わりはないが。 -今作では、自衛隊が島に不時着したという設定の下、多くの銃器や自衛隊員(屍・闇人含む)が登場しているため、敵が多くの銃を持っている。 --その敵を倒し銃を奪うことで、本職である自衛隊員はともかく雑誌記者からチンピラ、はたまた女子中学生や占い師の一般女性まで銃を使うことが出来てしまう。(ライフル銃は男性のみだが、拳銃・機関拳銃は全員装備可能) -また、前作ではメインだった近接武器も2では大きく進化してしまったことにより、さらに難易度が低下。 --靴べらから日本刀、トロフィーから釘バットまで様々な武器が使えるようになったのはいいが、近接武器が最大3回までコンボできるようになったため、非常に使い勝手がよくなった。 --しかし、銃でも近接攻撃ができるようになったため、銃さえあれば他の武器は必要なくなってしまう。 --が、リアリティを求めるとこうなってしまうのは自明の理なので、一概に否定は出来ない。前作では「農村ならもっと武器がある筈なのに何故拾わない。」という意見は出ていた。 ***相変わらず複雑なストーリー -「前作並」という意見もあれば、「前作より難解ではない」という意見もあるが、どちらにせよ複雑な事は変わりない。 --前作同様、公式サイトや考察サイト、掲示板で情報をやりとりして自分なりの回答を見つける楽しみを重視しているとも言える。 ---- **問題点 ***素手での攻撃の追加 -素手、というより武器を持っていない状態での攻撃手段が追加されたがほとんどのキャラは突き飛ばし程度しかできない為使いどころは非常に限られる。 --攻撃力のある素手攻撃を持つキャラはほとんど武器を持ってスタートする為、使う必要が無い。 ***一部操作感・モーションの変更 -前作と比べ回頭速度が低下した。 --後述の闇霊によるハメ殺しの一因になりやすい。 -ボタン入力式アクションの弊害。 --前作ではスティックを強く押し込むだけでスムーズに行なえた段差の昇り降りが、ボタン入力に変更され他の動作との選択形式となった事で意外と手間取ってしまう。 -難儀なポイント表示。 --何らかの動作を行なう為のポイントが画面に示されるのは分かり易くて良いが、指示内容の頭にあるポイントマークが黄色表示の時でなければ反応しないため、迅速な行動が必要とされる場面やタイムアタックなどでは大きな足枷になってしまう。 -階段昇降時に専用モーションが適用されたため、階段での移動速度が低下。 --非常事態にも関わらず、律儀に一段一段歩を進める姿は少しシュール。 -全力疾走できる距離が前作より延びた反面、スタミナ回復に要する時間も増加。 -モーションの一部に違和感がある。 --近接武器のモーションに使い回しが多い。 --機関拳銃を構えるモーションが拳銃の物と同じで「マガジンが手を貫通する」という妙な光景が見れる。 --自衛隊員は懐中電灯を胸ポケットに仕舞っているのだが首振りをしただけでそっちの方向に光が向くようになっている。 --ただこれらは容量上の問題でありスタッフも妥協せざるを得なかったようである。 ***その他 -タラコ(闇霊)の存在。無限に沸くため多数に囲まれてハメ殺されるという理不尽な死に方を度々見せられる。屍霊は許せてもタラコは許せないと言う意見は多い。 ---- **総評 前作に比べると難易度は大きく下がったことで賛否が分かれているが、その分初心者には幾分易しい作品となっている。~ 難易度の減少については前作の明らかに理不尽だった仕様を修正した結果といった側面も強いのでやむを得ないと言えるだろう。~ それでいて熟練者でも退屈しないハードモードや高難易度隠しステージ、各種称号と言ったシステムを用意してある点も忘れてはならない。~ 新たな敵の恐怖、新システムなど前作以上に新たな試みを行っていながら、グラフィックや操作性などゲームとしての質は確実に向上している。~ 緻密なストーリーもまた健在であり、やりこみと情報収集によってさらに世界の奥深くへ引き込まれていくという前作同様の楽しみもまた健在である。~ 前作とは若干方向性が変わっているのは否めないが、本作もまた魅力的な作品であることに変わりはない。 ---- **余談 -2006年には堤幸彦監督により『サイレン ~FORBIDDEN SIREN~』として実写映画化された。 --設定は本作がベースなのだが、森本レオにココリコの田中直樹というホラーに相応しくない人選や、人魚伝説、屍人、視界ジャックの設定がすべて上辺だけの登場でありSIRENの良さが失われている上、''SIRENが原作である必要性が無い結末''のためファンからは黒歴史として認識されている。 --ちなみにチョイ役程度だが岸田百合役の高橋真唯が出演している。 --さらにEDテーマはピエール瀧の所属している「電気グルーヴ」の石野卓球が担当している。 ----
*SIREN2 【さいれんつー】 |ジャンル|ホラーアドベンチャー|&amazon(B000B41SD8)| |対応機種|プレイステーション2|~| |発売・開発元|ソニー・コンピュータエンタテインメント|~| |発売日|2006年2月9日|~| |定価|7,140円|~| |判定|BGCOLOR(lightgreen):''良作''|~| |>|>|CENTER:''SIRENシリーズ'':''[[SIREN]]'' - ''SIREN2'' - ''[[SIREN:NT>SIREN: New Translation]]''| ---- #contents(fromhere) ---- **ストーリー 日本近海に位置する離島、夜見島は、独自の因習を守る閉鎖的な島だったが、時代の趨勢に伴い建造物、移住者の増加など、急速な発展を遂げていった。~ 1976年8月3日。午前0時、原因不明の海底ケーブル切断による大停電、全島民失踪事件が発生する。それによって島は一夜にして無人島となった。~ 事件から29年後の2005年。島に伝わる因習を調べに来た雑誌編集者や輸送ヘリコプターのエンジントラブルで島に不時着した自衛官達、~ さらにはある“少女”への想いから島に足を踏み入れた作家などが島を訪れる。~ 8月3日午前0時、突如不気味なサイレンが島に響き渡った。消えた人々が未知の存在・屍人、そして闇人へとすり替わる。~ ''生き残りを賭けた絶望的な戦いが始まる''。 ---- **特徴 -前作の世界観を一部受け継いだストーリー。 --本作のストーリーは、前作である[[SIREN]]の一部を引き継いだものとなっている。 --引き続き出ている「屍人」も設定が大幅に違うため、似て非なる存在となっている。(変異屍人も今回は出現しない。) -恐怖感はそのままに、よりリアルに。 --前作でも人気であった3Dポリゴンの質がさらに上がっている。 ---懐中電灯の光の質も上昇。LED型電球とハロゲン型電球で照らし方が違うのもまたリアル。 --敵である屍人・闇人もうわ言のように生前の記憶を喋り続けるため、不気味な雰囲気が漂っている。 ---- **評価点 ***前作から大きく改善された親切設計 -前作で「初心者に不親切」という意見が多かったのか、多くの新仕様が追加された。 --SIRENシリーズの肝とも言える視界ジャックが大幅に改善された。具体的には、効果音や、視界の固定が出来るなど。 --「1」ではキャラ毎に武器は固定で、倒した屍人の武器を拾うという事はできなかったが、今作では武器の取捨が可能となり、倒した敵の武器も奪えるようになった。 --アラート機能を導入した事により、敵が近付いてくるのを確認出来るようになった。 --地図で自分の現在地や、目的地が表示されるようになったり、攻撃のレスポンス等が改善された。 --チェックポイントを導入し、死亡した場合にはチェックポイントからやり直す事が出来る。(例外はある) --クリアしなくてもアーカイブや第二条件の為の必要行動を達成出来るようになった。(ただし死んだらやり直し) --難易度選択が出来るようになり、やたらと親切なチュートリアルが出来たりヒントが充実したりする。ステージごとに難易度を変える事も出来る。 ---ヒントや地図の現在地表示はオフにする事も可能。前作のようなストイックな条件でプレイしたい人も安心。 --しゃがみ走りの導入や、前作ではリストメニューからしていた操作が○ボタンのみでできるようになるなど、より快適なプレイのための工夫がなされている。 ---動画や音声アーカイブが追加され、よりSIREN2の世界へのめり込めるようになった。スタッフの遊び心等も反映されている。 ---アーカイブにはスタッフの取材時の写真やスタッフの結婚式の写真などが使用されていたり、中川翔子が雑誌の表紙を飾っている物もある。 --このように難易度はかなり下がっているが、難易度ハードは前作にも劣らない歯応えのあるステージも多い。 ---銃を持った敵が''こちらの位置を補足して常に追い掛けて来る''、結構な数の闇人と戦わなければならないのに''懐中電灯が無い''、などの凶悪なシチュエーションも。 ***SFとオカルト要素の多いシナリオ、そして絶望 --前作は和風テイストの強い作品だったが今作はSF作品を思わせる設定やストーリーとなっている。 ---主要登場人物の「一樹守」がミステリー科学雑誌の編集者((シリーズでもちょくちょく登場する「アトランチス」というB級雑誌担当))、「喜代田明子」の職業は占い師、という設定もSFタッチな作風を引き立てる要素となっている。 --もちろん、「どうあがいても絶望」と呼ばれた前作にも引けを取らないショッキングな展開もある。 #region(ネタバレ) -今作では母胎と呼ばれる者が、現世に自身の分裂体を飛ばして「特異点から現世に帰る」という望みを果たそうとしている。 --自身の分裂体は「鳩」と呼ばれ、大きく分けると「覚醒鳩」と「未覚醒鳩」の二つに分かれている。 -作中で明らかになっている覚醒鳩は「岸田百合」と「加奈江」と公式サイトで発表されている外伝の中に登場する二人の計四人。未覚醒鳩は「木船郁子」、「喜代田章子」、「多河柳子」、主人公の自殺未遂をしたガールフレンドの「池田麻衣」の四人。 --覚醒鳩の顔は''全て同じ''であり、未覚醒鳩も覚醒した場合顔が覚醒鳩と同じになる。 -岸田百合と出会い利用されていく一樹守、幼い頃に加奈江と親しくしていた三上脩、多河柳子殺害容疑をかけられ喜代田章子と共に島へ向かう阿部倉司。このように母胎を中心としてストーリーが展開される。 --また、今作では''登場するほとんどの女性キャラクターが覚醒鳩か未覚醒鳩''である。唯一女性メインキャラクターの中で鳩ではない「矢倉市子」も、模倣体と呼ばれる者であり、人間ではない。 ---唯一普通の人間である「太田ともえ」もストーリー序盤で死亡し、屍人化。さらに、闇人乙式化する。まとも女性(?)キャラクターなのは盲導犬である''ツカサ・オブ・ジルドール(メス)''のみ。唯一のまともなヒロイン(?)である。 //ツカサは阿部の真エンディングで生存していたような気がするが…(阿部とツカサが共に朝陽を眺めるエンディング) -エンディングの1つで、唯一未覚醒鳩の中で覚醒しなかった木船が日光を眩しがるシーンが存在する(覚醒した鳩は日光の中で長く活動できない)ため、物語は完全に終わったわけではないことを感じさせる。 -それとは別に模倣体を作りだした「堕慧児(おとしご)」という母胎とは違うが行動原理を模倣する敵が登場。 --この堕慧児を倒すのが、新米自衛隊員の永井頼人。彼は決死の特攻をかけて生き残ろうとするが、戦いの果てに永井が目覚めると、見渡す限りの闇人がうごめく光景が広がるというもはや生きて無事に帰れるのすら絶望的になるというエンディング。~ 本当の意味で「どうあがいても絶望」を体現してしまったキャラである。 -また、本作は「パラレルワールド」の設定を取り入れており、夜見島は現実の世界とは違う世界にコピーされて存在している。 --同様にして、各主人公達が最終的にたどり着いたのも、それぞれ別の世界であるとされており、永井が落ちた世界も「闇人が地上を支配した平行世界」という解釈がなされている。 #endregion ***敵を掃討する事が可能なステージの登場 --自衛隊員が出るため、銃火器を使用した戦闘が増える。それによって「敵から逃げる」と「こちらから敵を倒しに行く」という複数のゲーム性を得ることになった。 --前作とは作風が異なる事や舞台となる夜見島は鉄筋やコンクリートの建造物が多いため戦闘を重視したゲーム性を持ち込む事に成功している。 --一方、新登場の闇人は屍人に比べると欠損部分なども補填されている為、動きが全体的に機敏。知能もそちらに比べると高く、戦闘の難易度自体も相応に上昇している。 ***隠し武器や隠しシナリオの追加 --あるステージで特別な敵を倒して武器を奪ったり、あるステージで条件を満たしてクリアすると隠し武器が手に入る。隠しシナリオで使用可能なものも。 --アーカイブを集めたり、EASY以外の難易度で全ステージをクリアしたり、全ステージのタイムアタックを更新すると隠しシナリオが出現する。 ---これにより、ストーリーの真相や、登場人物のその後を知れたりする。また、屍人が主人公の驚愕なラブロマンスシナリオがあったり、''前作の主人公を動かして屍人や闇人を時間が来るまで殲滅し続ける''ミニゲーム的なシナリオもある。((前作ED後の設定を引き継いでいる為、体力・弾数無限、とある最強武器を二種類所持している等、文字通りの無双状態))~ 特に前者は、シナリオ解放条件がそれなりに厳しいこともあり、作中屈指の難易度を誇る((屍人なので視界ジャックができず、アサルトライフルを持っているが腕がぼろぼろなので照準が合わない、自身も同行者も動きが鈍い等))。 --タイムアタックに「称号」システムが追加された。 ---単純な割に前作でも好評だったタイムアタックだが、今作では特殊な条件下でタイムアタックをクリアすることで称号を得られるようになった。 ---中でも、敵に一切発見されることなくクリアすることで得ることができる称号"Stealth"は、ゲームのコンセプトに合った内容と、その難易度の高さから多くのコアユーザーを虜にした。 --やりこむ価値はあるが、いずれもそう容易い事ではない。 ***今作もこだわったリアリティ -今回の舞台となる「夜見島」は長崎県にある「軍艦島」をモデルにしている。かつては鉱山の島として栄えた軍艦島と同じく夜見島も鉱山や作業員の住む団地や娯楽施設の遊園地などが存在する。 --また離島という事もあり旧日本軍の砲台跡や漁村、さらには座礁したフェリーとステージバリエーションは多い。 -自衛隊員も出るため銃火器の検証もかなり細かく行われ、自衛隊の専門用語などが出る場面もある。ちなみに三沢武明を演じたピエール瀧はたまたま映画で軍人役を演じるためスキンヘッドだったので起用されたらしい。 --特異な設定を抱える三沢武明を演じる様は正に怪演といえる。 ***新しい恐怖 -前作で猛威を振るった「犬屍人」や「蜘蛛屍人」、「羽根屍人」等は登場しない。前作で登場した「屍人」も登場するが、中盤以降は新しく出現する闇人がメインの敵となる。「中盤以降屍人は一度も出なくなる」 ''屍霊'' -赤黒い霧のような存在。よく見ると中央に顔が浮かんでいるのが視認出来る(モデルはディレクターの女性)。 -この霊が死体に憑依する事で「屍人」が生まれる。 -光にとても弱く、懐中電灯で照らしたり、街灯の下に誘導するだけで死んでしまう。その代わり、暗闇がある限り無限に湧き出てくる。 -弱弱しいただの霧に見えるが、攻撃能力はきちんと有しており、油断していると囲まれてハメ殺しにされる。ハードモードではそれだけでゲームオーバーになることも -また、実体を持たないため、間に遮蔽物があっても追いかけてくる。 ''闇霊'' -蛇のような生物。体色は白だが、ゲーム中では布を体に巻きつけているため黒に見える。 -「屍霊」のように人に乗り移るわけではないが、設定上こいつがいるステージでは闇人が再生する。 -本来は「屍霊」より光に弱いが、巻きつけた布の影響で光にある程度耐性がある。 -「屍霊」と異なり実体を持つため、遮蔽物で追跡を逃れることができるが、夜目が利くため暗所でも発見されてしまう。 -ファンの間ではその外見から「タラコ」と呼ばれている。 ''闇人'' -屍人より知能が優れているという設定を持ち、登場人物そっくりに声真似をしたり、話しかけて動揺させるといった特殊な行動を行う。 -闇霊・屍霊同様、光に弱いという弱点を持つ為、懐中電灯の光で怯ませて戦うといった戦法がメインになる。光だけでも一応死ぬがかなりの時間がかかる。「ダメージは受けてるためハメれば殺せる」 -夜目が利くため、暗所でも遠距離から発見されてしまう。それを逆手に利用し、こいつを視界ジャックすれば暗所を観察することが可能。 -今作にも、前作の変異屍人のように、犬の体と鳥の足に人の顔をつけたような「闇人乙式」と闇人の股間に顔をつけて指のような足を四本生やしてる「闇人甲式」が登場。 --闇人甲・乙式は発見時に正面からの攻撃を無効化するため、後ろから気付かれないように近づき仕留めるなど、よりゲーム的要素が増している。なお無効化するのは警戒してる時と興奮してる時であり、見つかってない状態だったら正面からでもダメージを与えられる。 --見た目もSIRENらしい「グロテスクではない不気味な恐怖」そのものであり、特に太田ともえ(乙式)がトラウマになっている人も多いだろう。 -ファンの間では「ダークマン」や「やみんちゅ」と呼ばれている。 --長い間プレイしているうちに、闇人がかわいく見えてきたという猛者も多い。 #region(闇人の画像''(ホラー苦手な方は注意!)'') 左から順に闇人・闇人甲式・闇人乙式~ &ref(yamibito.jpeg) &ref(yamibito_kou.jpeg) &ref(yamibito_otu.jpeg) #endregion ---- **賛否両論点 ***武器持ち替えシステム -島中にある日用品や、敵が持っていた武器を倒して奪えるシステムだが、これが大きくSIRENらしさを失う基となってしまっている。 --どんな弱武器でもダメージを与えさえすれば敵は倒せ、武器も奪えるため、前作にあった「非力なキャラクターを操作し、隠れ、進む。」ことをしなくてもよくなってしまった。 --同行者も武器を拾う為、護衛対象が勇ましく敵に向かって行くなんて事も普通にある。無論、同行者が殺されればゲームオーバーなので守らなければならない事に変わりはないが。 -今作では、自衛隊が島に不時着したという設定の下、多くの銃器や自衛隊員(屍・闇人含む)が登場しているため、敵が多くの銃を持っている。 --その敵を倒し銃を奪うことで、本職である自衛隊員はともかく雑誌記者からチンピラ、はたまた女子中学生や占い師の一般女性まで銃を使うことが出来てしまう。(ライフル銃は男性のみだが、拳銃・機関拳銃は全員装備可能) -また、前作ではメインだった近接武器も2では大きく進化してしまったことにより、さらに難易度が低下。 --靴べらから日本刀、トロフィーから釘バットまで様々な武器が使えるようになったのはいいが、近接武器が最大3回までコンボできるようになったため、非常に使い勝手がよくなった。 --しかし、銃でも近接攻撃ができるようになったため、銃さえあれば他の武器は必要なくなってしまう。 --が、リアリティを求めるとこうなってしまうのは自明の理なので、一概に否定は出来ない。前作では「農村ならもっと武器がある筈なのに何故拾わない。」という意見は出ていた。 ***相変わらず複雑なストーリー -「前作並」という意見もあれば、「前作より難解ではない」という意見もあるが、どちらにせよ複雑な事は変わりない。 --前作同様、公式サイトや考察サイト、掲示板で情報をやりとりして自分なりの回答を見つける楽しみを重視しているとも言える。 ---- **問題点 ***素手での攻撃の追加 -素手、というより武器を持っていない状態での攻撃手段が追加されたがほとんどのキャラは突き飛ばし程度しかできない為使いどころは非常に限られる。 --攻撃力のある素手攻撃を持つキャラはほとんど武器を持ってスタートする為、使う必要が無い。 ***一部操作感・モーションの変更 -前作と比べ回頭速度が低下した。 --後述の闇霊によるハメ殺しの一因になりやすい。 -ボタン入力式アクションの弊害。 --前作ではスティックを強く押し込むだけでスムーズに行なえた段差の昇り降りが、ボタン入力に変更され他の動作との選択形式となった事で意外と手間取ってしまう。 -難儀なポイント表示。 --何らかの動作を行なう為のポイントが画面に示されるのは分かり易くて良いが、指示内容の頭にあるポイントマークが黄色表示の時でなければ反応しないため、迅速な行動が必要とされる場面やタイムアタックなどでは大きな足枷になってしまう。 -階段昇降時に専用モーションが適用されたため、階段での移動速度が低下。 --非常事態にも関わらず、律儀に一段一段歩を進める姿は少しシュール。 -全力疾走できる距離が前作より延びた反面、スタミナ回復に要する時間も増加。 -モーションの一部に違和感がある。 --近接武器のモーションに使い回しが多い。 --機関拳銃を構えるモーションが拳銃の物と同じで「マガジンが手を貫通する」という妙な光景が見れる。 --自衛隊員は懐中電灯を胸ポケットに仕舞っているのだが首振りをしただけでそっちの方向に光が向くようになっている。 --ただこれらは容量上の問題でありスタッフも妥協せざるを得なかったようである。 ***その他 -タラコ(闇霊)の存在。無限に沸くため多数に囲まれてハメ殺されるという理不尽な死に方を度々見せられる。屍霊は許せてもタラコは許せないと言う意見は多い。 ---- **総評 前作に比べると難易度は大きく下がったことで賛否が分かれているが、その分初心者には幾分易しい作品となっている。~ 難易度の減少については前作の明らかに理不尽だった仕様を修正した結果といった側面も強いのでやむを得ないと言えるだろう。~ それでいて熟練者でも退屈しないハードモードや高難易度隠しステージ、各種称号と言ったシステムを用意してある点も忘れてはならない。~ 新たな敵の恐怖、新システムなど前作以上に新たな試みを行っていながら、グラフィックや操作性などゲームとしての質は確実に向上している。~ 緻密なストーリーもまた健在であり、やりこみと情報収集によってさらに世界の奥深くへ引き込まれていくという前作同様の楽しみもまた健在である。~ 前作とは若干方向性が変わっているのは否めないが、本作もまた魅力的な作品であることに変わりはない。 ---- **余談 -2006年には堤幸彦監督により『サイレン ~FORBIDDEN SIREN~』として実写映画化された。 --設定は本作がベースなのだが、森本レオにココリコの田中直樹というホラーに相応しくない人選や、人魚伝説、屍人、視界ジャックの設定がすべて上辺だけの登場でありSIRENの良さが失われている上、''SIRENが原作である必要性が無い結末''のためファンからは黒歴史として認識されている。 --ちなみにチョイ役程度だが岸田百合役の高橋真唯が出演している。 --さらにEDテーマはピエール瀧の所属している「電気グルーヴ」の石野卓球が担当している。 ----

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