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*&this_page() 【うぉーざーど】 |ジャンル|アクション&対戦格闘|~| |対応機種|アーケード (CPシステム3)|~| |発売・開発元|カプコン|~| |稼働開始日|1996年12月|~| |プレイ人数|1~2人|~| |ポイント|対戦格闘と一人用アクションの奇妙な融合&br()ことごとく対戦格闘とは相性の悪いシステム&br()一人用プレイは非常に高難度&br()グラフィックは美麗で好評価|~| **概要 カプコンが1996年12月に発売したアーケード用ゲーム。カプコンがアーケードゲームに用いてきた基板「CPシステム」の第三世代「CPS-3」、それを使用した第一作。 いわゆる「剣と魔法の世界」を舞台にしたファンタジー作品。キャラクターは世界各地を移動し、西洋だけでなく中国風の国、日本風の国なども登場する。 **ゲームシステム コントロールパネルは1レバー6ボタン+スタートボタン。~ 1人プレイは敵モンスターとのラウンドを廃した一本勝負のアクションゲーム、2人プレイではプレイヤーキャラクター同士による普通のラウンド制((ラウンド数は1、3、5のいずれかからオペレーターが選択可能。))の対戦格闘で、一般的な対戦格闘ゲームの概念からはやや外れたところのある作品に仕上がっている。~ アーケードゲームでは珍しいパスワード機能を搭載し、使用キャラの育成要素を導入したのも特徴の一つである。~ 敵モンスターとの戦いでは経験値が入り、プレイヤー同士の対戦ではVSポイントという特殊な経験値が入るようになっていて、プレイを終える度に表示されるパスワードでそれを保存し、次回のプレイ開始時にそれを入力し成長度を引き継がせる。何度もそれを繰り返す事によってレベルを上げていくと、敵の属性攻撃への耐性がついたり新たな技を覚えたりと少しずつキャラを強化できる((ちなみに本作は対戦台で設置されている事が多かったのだが、当然その2P側の画面ではパスワードは左右反対の鏡文字で表示されるのでメモするのに慣れを要した。))。~ ただし成長させたキャラでプレイすると敵モンスターまで体力ゲージが増大し強くなるという仕様なため、成長による強化のわりには難易度は低下しない。 戦闘中キャラクターがダウンするとアイテムボックスが沸いて出る。攻撃を当てるとそれを開ける事ができ、回復アイテム、経験値アイテム、ミスティックオーブ(氷、星、毒、火、風、雷の六属性がある)のいずれかが出てくる。キャラクター固有の超必殺技「ミスティックブレイク」と共通超必殺技「ミスティックマジック」(何が出るかは使用するオーブの属性によって決まる)を使うにはこのオーブを消費する。~ オーブの属性はスタートボタンで自由に変更でき、最大三個まで保持可能。すでに三個持っている状態では取得時に経験値に変換される。~ また経験値アイテムはボックスからだけではなく敵に連続技を入れた時にも現れるのだが、一部のミスティックマジックはそれを発生させるのに効率が良い。しかしそのせいで、育成を重視するとせっかくの固有超必殺技を使わずミスティックマジックばかりを狙う事にもなってしまう。 1人プレイの戦闘後は残り時間や保持オーブ数などに応じた量だけ体力が回復する。時間切れの時は体力がどれだけリードしていても必ずプレイヤー側の敗北である。~ 一般的な対戦格闘ゲームと違い勝っても全快せず、しかも残機制ですらなく一回負けただけでゲームオーバーとなるため、ワンコインクリアを達成するには危険の大きい行為を避け常に残り体力の温存に気を使い、それでいて必ず時間内に倒しきるというプレイを要求される。~ ただしコンティニューすると自分の体力は全快するが敵は僅かにしか回復していない状態で戦闘再開となるので、どれだけコンティニューを繰り返してもクリアできないという事にはまずならない。 **登場キャラクター プレイヤーキャラクターは4人。対戦格闘ゲームとしてみると非常に少ない部類である。しかし敵モンスターは8体(ラスボスは変身して再戦となるので実質9体)と豊富なので1人プレイ時のボリュームはある。~ 敵モンスターの登場順序は使用するキャラ毎に違うが、ランダム性は全く無い完全固定のシナリオになっている。 #region(プレイヤーキャラクター一覧) セレクト画面の並びは左からタバサ、レオ、タオ、ムクロの順。カーソルの初期位置は1P側はレオ、2P側はタオ。 :レオ|屈強な肉体に獅子の頭を持つ剣士。グリーディア国の王だがヴァルダ帝国と戦ったおりに呪いをかけられ、獣へ変貌しかけている。レベルが上がると能力が強化されるだけでなく、より強い剣と盾を入手していく。中ボスと深い因縁があり、キャラセレクト時に1P側のカーソルの初期位置となっているなど主役的な位置づけのキャラ。 :タバサ|海に面した北の国アイスラーンに住み「超近代魔学」なるものを研究する女性。風貌は鍔広の帽子をかぶった魔女風。浮遊する杖によるパンチ攻撃、靴に変身させている猫を使ったキック攻撃など、凝ったモーションが多い。世界各地で異変が起こっているのを察知し調査を開始する。 :タオ|ゴラ国の徒手格闘に長ける少女。故郷を滅ぼされその元凶を断つべく旅に出る。 :ムクロ|ジパング国の将軍ナオスケに仕える忍び集団の頭領。どこからか現れジパングを空から襲いだした無数の「黒船」をナオスケの命で調査し始める。通常技で刀の他に鎖鎌や大筒(大砲)を取り出して使うものがあり、クセのある性能のキャラ。タバサと並んで凝ったモーションが多く、貫手を繰り出す「閻魔突き」でトドメを指すと、敵の心臓(またはそれに相当するもの)を掴み出して握り潰すといった演出もある。 #endregion #region(敵モンスター一覧) :ハウザー|グリーディアの地に生息する竜。ファンタジーによく登場するドラゴンではなく、ティラノサウルスの様なプロポーションを持つ。種族名はアースドラゴン。 :金剛|ジパングに現れる巨大な赤鬼。怪力で金棒を振り回し、さらにまるでロケットパンチの様に自分の腕を飛ばしてくるなどの攻撃もしてくる。 :ヌール|アイスラーンに生息する触手を持ったオウムガイのような姿の怪物。知能が高く、武器としてトライデントを持つ。 :ルアン|鋭い爪を持つ半人半鳥の妖女。飛行能力を持ち捉えづらい。タオの故郷を焼き滅ぼした。 :セクメト|エジプト風の国アランバードの地で出会う怪物。スフィンクスの如き像にアルマーナIV世が乗り移り、身体の前面にライオン、ドラゴン、鳥、ヤギの頭部を持ち尾もコブラの頭部になった姿で動き出したもの。セクメトを倒した後はボーナスステージが待っている。 :ギギ|クリプトで出会う石像巨人。四本の腕それぞれに刀を持ち襲ってくる。倒すと2度目のボーナスステージに。このギギと下のブレイド、ヴァルドールはプレイヤーがどのキャラを使用していても共通で終盤の敵として登場順が固定されている。 :ブレイド|オープニングデモでも姿を見せている本作の中ボス。肉体を持たず鎧とクリスタルだけで身体が構成されている。実はその正体は以前の戦いでヴァルダ帝国に捕らえられたレオの国の親衛隊長の変わり果てた姿である。 :ヴァルドール|ヴァルダ帝国の長で、赤い長衣に長い髭、杖を持った王と言うよりは魔術師風の外見の老人。一度倒すと奇怪な姿に変貌しもう一戦交える事になる。完全に倒した後に本人が語るところによれば、ヴァルドールという存在を生み出したのは人間達の欲望や憎しみの心であるという。 #endregion **評価点 -個性的なキャラクター(一部) --タバサは他ゲームにも出場している。だけでなくヌールやハウザーも出ていたりする。 --ムクロやレオも出演している。が、流石にこの2人は没個性的というかありきたりというか…((おそらくは海外ウケを狙ったのだろう)) --タオは割りと人気があるのだが、他ゲームではタバサの盾だったり、プレイヤーキャラになったことも無いなど、何故か扱いが悪い。 -コダワリが感じられるドット絵 --新基板と鳴り物入りだったが、それを言うだけの美しいドット絵。 --キャラのモーションも凝っている(特にタバサ・ムクロ)。 **批判点 -&bold(){対戦格闘とアクションの良い所捨て&悪い所取り×高難易度なCPU戦} --対戦格闘の良いところは公平性だが、このゲームでは敵はCPU専用キャラ。しかもどれだけ優勢でも時間切れ=ゲームオーバー。既に不公平である。 --アクションの良いところは爽快感や派手さ、パターン構築による華麗な攻略だが、このゲームのCPUは妙に強く、敵を倒しまくるという爽快感は全く無い。演出も色合いも地味。 ---個性的で見栄えのする技も多数あるが、クリアや可能な限りのEXP稼ぎを目指すとなると、行動がパターン化せざるを得ない。コンボも控え目で、個性的な技を次々に繰り出して敵を仕留めるといった楽しみも薄い。 --対戦格闘の悪いところはモッサリ加減であるが、このゲームはかなりモッサリ(対戦格闘としては普通の範囲ではあるが)。回避しまくるなんてできようがない。 --アクションの悪いところはすぐにやられることだが、CPUが強い+次ステージの初期体力が微量回復した分しないこのゲームで、やられてしまうのはありまくりである。 --全部1本勝負なので、ボリュームも無いし学習しにくい。1本取られたが次こそは…というのも無い。 --妙に強い敵、守るとすぐ背後に迫るゲームオーバー、なんとか勝っても大幅に減った初期体力から戦う次ステージ…どうしろと。 -&bold(){対戦格闘と相性の悪すぎるシステムだらけの対人戦} --成長すると技の性能が向上するのはいいのだが、対人対戦でそれを使えるとどうなるか。同キャラの同じ技で単純な優劣の性能差があるようになる。それで対戦をしたがる人がどれだけいるのだろうか。ここでも公平性が壊されている。 --パスワードというのも、(ICカードなど無かった当時では仕方ない記録システムだが)コイン入れてパスワードをチマチマ入れてから対戦なんて、折角の対戦格闘の回転率とノリを殺してしまう。待たされる相手は尚更。 --後に各キャラの最強パスワードが出回り、一部のゲーセンではそれが筐体に貼られていたというケースもある。これはこれで公平ではあるものの、こうなっては成長システムの存在意義が無い。 --第一、プレイヤーキャラクターが&bold(){4人しかいないので対戦のバリエーションが無い}。そこは成長で…という方針だったのかもしれないが、それは前述の通り間違いである。 -&bold(){1人プレイでは、そもそも成長にあまり意味がない} --前述の通り、成長させるとその分敵が強くなる。できることが増えるくらいしか意味がない。 --しかもその成長度も遅い。苦労して成長しても楽にならない。俺の苦労に何の意味が?と不毛感に襲われるのは必定。 **総評 一見すると対戦格闘のような、しかしクリアを狙う上でそのセオリーがことごとく通用しない作品。~ 新基板を売り出すための肝心の第一作でありながら、同じCPS-3基板で後に出された『ストリートファイターIII』『[[ジョジョの奇妙な冒険>ジョジョの奇妙な冒険 (AC)]]』は家庭用移植される程の好評ぶりだったにもかかわらず、本作は全くそれが全く無く((実のところ、あまり良い評判は得られなかったらしい。))、ネット上でもゲーム性部分を褒める声はあまり聞かれない。~ ドット絵の美しさなどの評価は高い。 当時はカプコンとSNKを二大巨頭とした対戦格闘絶頂期であり、久しぶりのカプコン製新作本格対戦格闘ゲーム、しかも新基板ということで期待が大きく、出回りも結構良かった。事実、入荷して即ゲーセンの中心にある対戦台に据えた店舗は多かった。~ だが間もなくその座から外され、片隅に追いやられて更に短命で撤去されて、以降も家庭用移植が全く無い辺りに、このゲームの評価が現れているだろう。~ 似たようなシステムの『[[究極戦隊ダダンダーン]]』は、吹っ切れた演出&キャラクター、対戦格闘とアクションの良い所どりをある程度達成して一定の評価を得たが、こちらはなまじ更にいろいろな要素を加えてマトモにしようとして失敗したのかもしれないし、試験作としていろいろやりたかったのかもしれない。そういうのは新基板第一弾でやるなという話もあるが。~ ただ以降のカプコン対戦格闘ゲームでは、ICカードシステム&キャラも着せ替え要素のみで技の成長はしないなど、本作の反省点が生かされているようなのは救いといえるか。 なお、本作のキャラクターは後に、『[[ポケットファイター]]』と『[[SNK VS. CAPCOM SVC CHAOS]]』にタバサが、『[[CAPCOM FIGHTING Jam]]』にレオ・ムクロ・ヌール・ハウザーが、それぞれゲスト出演している。プレイヤーキャラクターではタオのみ外部出演経験がない。~ プレイヤー人気の割に何かと出ている辺り、スタッフサイドの思い入れは強いようだ。
*&this_page() 【うぉーざーど】 |ジャンル|アクション&対戦格闘|~| |対応機種|アーケード(CPシステム3)|~| |販売・開発元|カプコン|~| |稼働開始日|1996年12月|~| |プレイ人数|1人~2人|~| |判定|なし|~| |ポイント|対戦格闘と一人用アクションの融合&br()対戦格闘とは相性の悪いシステム&br()一人プレイは高難度&br()グラフィックは美麗で好評価|~| ---- #contents(fromhere) ---- **概要 カプコンが1996年12月に発売したアーケード用ゲーム。~ カプコンがアーケードゲームに用いてきた基板「CPシステム」の第三世代「CPシステム3(CPS3)」の第一作。 ---- **ゲームシステム レバー6ボタン+スタートボタンでキャラを操作する、格闘ゲームとしてはオーソドックスな操作体系。~ ただし、下記に挙げる要素が一般的な対戦格闘ゲームの概念からはやや外れている。 -1人プレイは『[[究極戦隊ダダンダーン]]』の様にCPUが操る敵モンスターとの1本勝負。戦闘後は残り時間や保持オーブ数などに応じた量だけ体力が回復する。なお、時間切れの時は体力がどれだけリードしていても必ずプレイヤー側の敗北となる。 --対人戦は最大3本先取(設定で変更可能)となっている。 -レベルアップとパスワードコンティニュー --敵の撃破や宝石の獲得などで経験値を入手できる。一定量の経験値を稼ぐとキャラクターがレベルアップして能力が上昇し、特定のレベルでは新たな技も習得できる。 --プレイヤー同士の対戦では「VSポイント」という特殊な経験値が入り、「特定のレベルに達する前にVSポイントを稼いでおかないと習得できない必殺技」なども存在する。 --アーケードゲームでは珍しいパスワード機能を搭載しており、次回再開時はそれを入力することで現在レベルや獲得した必殺技などの能力を引き継いだ状態でプレイできる。もちろん対戦乱入時も同様。 -超必殺技関連 --使用条件のある大技として、大魔法「ミスティックマジック」と超必殺技「ミスティックブレイク」が存在する。これらは、キャラクター(自キャラか敵かは問わない)がダウンすると出現する宝箱から入手できる「ミスティックオーブ」を消費して使用する。 ---ちなみに、大技の管理がいわゆるゲージ制でないのは、カプコン格ゲーとしては珍しい。 --「ミスティックオーブ」は最大3個まで保持可能で、前述の行動で1個消費する。すでに3個持っている状態で取得すると経験値に変換される。 --「ミスティックマジック」はオーブの属性(氷・星・毒・火・風・雷)に応じた大魔法を発動する。属性はスタートボタンで変更可能だが、魔法の内容は全キャラ共通。 --「ミスティックブレイク」はいわゆる超必殺技。これは各キャラクター固有の物が備わっている。 ---- **登場キャラクター プレイヤーキャラクターは4人。対戦格闘ゲームとしてみると非常に少ない部類である。しかし敵モンスターは8体(ラスボスは変身して再戦となるので実質9体)と豊富なのでCPU戦のボリュームはある。~ 敵モンスターの登場順序は使用するキャラクター毎に違うが、ランダム性はなくシナリオはほぼ固定(選択・行動によって多少の分岐はある)。 #region(プレイヤーキャラクター一覧) セレクト画面の並びは左からタバサ、レオ、タオ、ムクロの順。カーソルの初期位置は1P側はレオ、2P側はタオ。 -&bold(){レオ} --獅子の頭を持つ屈強な剣士であり、ヴァルダ帝国に敗れたグリーディア王国の王。ヴァルダの魔術師に獅子に変えられる呪いを受けるが、グリーディアの賢者たちの命懸けの魔法によって完全な獣化を免れ、王国再興のために戦う。 --キャラセレクト時に1P側のカーソルの初期位置となっているなど主役的な位置付けのキャラクター。レベルが上がると能力が強化されるだけでなく、より強い剣と盾を入手していく。 --ノーコンティニューでグッドエンドを迎えると人間時の素顔を見られる。 -&bold(){タバサ} --北の地アイスラーンで「超近代魔学」なるものを研究する魔女。世界各地で異変が起こっていることを察知し、調査に向かう。 --浮遊する杖によるパンチ攻撃、靴に変身させている猫を使ったキック攻撃など、凝ったモーションが多い。 -&bold(){タオ} --徒手格闘に長けるゴラ国出身の少女。何者かにゴラを滅ぼされ、その元凶を求めて旅に出る。 --動作が素早く、空中ダッシュや急降下蹴り、気弾を撃ち出す飛び道具なども習得するが、素手のため基本的なリーチは短め。 -&bold(){ムクロ} --ジパング国の将軍ナオスケに仕える忍び集団の頭領。ジパング上空に現れた謎の黒船の調査を命じられ旅に出る。 --刀やクナイといった忍び道具のほか、鎖鎌や大筒(大砲)を隠し持っており、タバサと並んで凝ったモーションが多い。 #endregion #region(敵モンスター一覧) -ハウザー --グリーディアの地に生息する竜「アースドラゴン」。羊のように巻いた角とティラノサウルスのようなプロポーションを持つ。 --長時間持続する炎のブレスや、あらゆる打撃に怯まず投げ技も受け付けなくなるスーパーアーマー発動技を持つ。 --人語は話さないが、外部出演時の勝利メッセージでは知的な部分を見せている。 -金剛 --ジパングに現れる巨大な赤鬼。正体は密かにヴァルダ帝国と通じている将軍ナオスケの部下。 --怪力で金棒を振り回し、自分の腕をちぎり飛ばしたり、腹から胃液を飛ばすなどの攻撃も持つ。 -ヌール --アイスラーンに生息する、直立するオウムガイのような姿の怪物。知能が高く「海獣神」を名乗る。 --得物であるトライデントによる攻撃のほか、触手による遠隔攻撃、素早い突進技に高性能の対空技と、隙のない能力を持つ。 -ルアン --鋭い爪を持つ半人半鳥の妖女。心優しい不死鳥だったが、ヴァルダ帝国により怪物に変えられ、タオの故郷ゴラを焼き滅ぼしてしまった。 --飛行能力に加えて回避技も持つため、他のCPUキャラより捉えづらい。 -セクメト --ヴァルダ帝国の同盟国である砂漠の国アランバードに出現する怪物。獅子、竜、鷲、山羊の四頭と蛇の尾を持つ神像に、アランバードの支配者アルマーナIV世が乗り移っている。 --炎や毒のブレス、石化ビームなどで攻撃してくる。 --倒した後には石像破壊のボーナスステージが待っている。 -ギギ --中ボスその1。クリプトの遺跡を守る四腕の石像巨人。それぞれの腕に刀を携えて襲ってくる。 --繰り出す斬撃はリーチが長く判定にも優れコンボに繋がるという危険なもの。強力な対空用攻撃と飛び道具を跳ね返す防御も持つ、中ボスに相応しい強敵。 --倒すと2度目のボーナスステージに。 -ブレイド --中ボスその2。ドリルのような形状の剣「アンドレイアー」を持つ巨躯の戦士。かつてはグリーディア王国の親衛隊長だったが、ヴァルダ帝国に敗れた際に洗脳され、人外の存在に変えられた。肉体は既になく、がらんどうの鎧が内部のクリスタルで制御されている。 --アンドレイアーの攻撃は判定やリーチに優れるものが多く、ラスボスへの最後の関門として立ちふさがる。 --レオのエンディング分岐に関わるキャラであり、特定の技で倒してクリスタル両断フィニッシュを決めてしまうとバッドエンド確定。 --因みに開発時にはジハードと言う名前だった模様。その頃の名前が、当時出ていた攻略本の写真などに残されている。 -ヴァルドール --CPU戦のラスボス。ヴァルダ帝国の長で、魔術師風の外見の老人。かつては心正しい賢人だったが、邪神を倒す方法を研究しているうちに、逆に邪神の支配を受け、諸国を襲う魔王となった。 --2匹の飛竜や巨大な刃を召喚し、電撃を放つ魔術を操る。さらに一度倒すと第二ラウンドが始まり、奇怪な姿に変貌して攻撃が激化する。 #endregion ---- **評価点 -美しいドット絵と個性的なキャラクター --いわゆる「剣と魔法」のファンタジー世界を舞台としており、キャラクターも個性的かつ魅力的。 ---それを支えるのがCPS3の性能を駆使した美しいドット絵と、同時期に稼働した『ストリートファイターIII』に比肩する細かなアニメーションである。「新基板」と鳴り物入りであったが、決して大言壮語ではなかった。 --どこからともなく巨大な武器を取り出すムクロに、魔法を使っての細かな動きをするタバサ。レオは成長すると武器を獲得できるのだが、装備した武器に応じてグラフィックも変わる。 --巨大なモンスター達も激しく動いているが、処理落ち、グラフィック欠けなどはほとんど発生しない。 --また、特定の技で敵にトドメを刺すと真っ二つになったり、心臓を抉り出してそのまま握り潰すなどと言ったグロテスク描写も。 ---- **問題点 -高難度かつ単調なCPU戦 --1コインクリアが不可能なほどの難度ではないが、CPUキャラが全体に手強く、適当な技の打ち合いではまず勝てない。ハイジャンプから空中ガードしつつ敵の裏へ回り、敵が空振りしていれば攻撃、という戦法が全キャラで基本になる。&br;このため、戦闘のテンポが遅く、敵が変わってもプレイヤーの立ち回りにあまり変化はない。同じ技ばかり使うことにもなりがちで、総じてダレやすい。 ---敵に投げ技を決めると体力回復アイテムが出現する仕様があるが、投げを狙うにはほぼ上記の戦法を取らざるを得ない。更に、後半になるほど体力回復量が減少するため、跳んでは投げてを繰り返すことになりやすい。 ---経験値を稼ぐとなると多段ヒットの「ミスティックマジック」(特に風)を多用することになり、やはり同じ技ばかり見る結果になる。 --プレイヤーキャラがレベルアップすると、敵モンスターもそれに応じて体力が増加する。プレイヤーキャラにはレベルアップによる技の追加があるが、どのキャラにも戦いが一変するような技はなく、高レベルキャラを使ってもCPU戦の難度やプレイフィールはほぼ変わらない。 --さらに、本作は1ラウンド制であり、1回負ければゲームオーバー。タイムアップでも敗北となる。ゴリ押しがほぼ不可能なCPU戦の特徴と相まって、タイムアップ負けもかなり多く見られる。 ---なお、コンティニュー後は「自分は完全回復、敵は微回復」という状態になるため、コインさえ注ぎ込めるならクリア自体は難しくない。 ---1コインクリアが真のエンディングであり、コンティニューが多くなるほど簡素なエンディングとなる。 -問題の多い対人戦 --本作の対人戦は全くと言っていいほど盛り上がらず、ゲーセンでの稼働期間を縮める大きな一因となった。 ---そもそも ''プレイアブルキャラが4人しかいない'' という時点で、流石にどうしようもない。各キャラに複数のバリエーションがある、CPUキャラも対人戦では調整の上で使用可能、といった仕様もなく、対戦ツールとしてはボリュームが少なすぎた。 --対人戦でも成長システムに制限を掛けなかったため、戦う前から公平性が損なわれているケースが多い点も不評を買った。 ---相手よりレベルが低ければ、まず耐久力(属性耐性)でハンデを負う。熟練者と初心者に、腕前だけでなく基礎ステータスでも差が付いてしまうのでは、対戦ツールとして欠陥品と断じられても仕方がない。初心者狩りが問題になるほど流行らなかったのは却って幸いだったか。 ---キャラが4人であるため被りも起こりやすいが、「同キャラ戦で相手とレベル差がある」となれば完全なハンデマッチであり、それを好むプレイヤーでもなければ、挑んでも挑まれても後味が悪いだろうことは容易に想像できる。 --自キャラより高レベルのキャラを倒すとVSポイントが多く得られるという仕様はあるが、対戦の公平性には何ら貢献していない。 --乱入後のパスワード入力による待ち時間が長いという、あまりに基本的な欠点もあった。 -練り込み不足の成長システム --単純に「使えば使うほど強くなる」だけで、成長ルート分岐のような仕様はなく、同じキャラを何度も育てる意味はあまりない。 ---一部の技は、一定レベルになる前に一定回数の対戦をこなす(VSポイントを稼ぐ)ことが習得条件であり、取りこぼして育て直しという場合はあるが。 --キャラデータの管理がアナログなパスワード式であったため、稼働からほどなく各キャラの最強パスワードが出回っていた。ゲーセンの交流ノートに書き込まれていたり、店側が筐体に貼っていたりした例もあり、「周回を重ねて成長させる」という開発者の目論みもあまり成功しなかったと言える。 --そのため、レベルは最大で武器も最強状態だが、腕前が全く伴っていないヘッポコなニセ高レベルプレイヤーが続出した。 -プレイヤーもオペレーターも扱いに困るゲーム性 --本作はCPU戦で稼ぎを行うことがメインの遊び方でありつつ、乱入対戦も可能になっている。そのため、「稼ぎたいのに乱入された」、逆に「乱入したいが稼ぎ中かと思うと気が引ける」といった状況も発生しやすく、プレイヤーには少々手を出しにくい雰囲気もあった。 --オペレーターにとっても、育成要素を楽しんでほしいが回転の早い対戦のインカムを切り捨てる訳にはいかず、とは言え対戦人気もサッパリで結局稼げずと、持て余した店舗は少なくなかったようである。 ---インカムは期待できないと割り切ってか、対戦機能をOFFにし、1人プレイ限定で稼働させていた店舗も見られた。 -当時のカプコン格ゲーとしてはかなり遅いゲームスピード --同時期のカプコン格ゲーに比べると明らかにテンポが遅い。 --『[[ストリートファイターII'TURBO>ストリートファイターII#id_01a1edda]]』以降の高速化は初心者離れの一因でもあったため、一概に悪いとも言えないが、本作の対戦不人気の一因であったと考えられる。 --高品質のグラフィックを観賞するには適したスピード…と言えるかも知れない。 ---- **総評 マンネリ気味だった対戦格闘ゲームに周回・成長要素という新たな試みを導入したものの、それがことごとく裏目に出てしまい、特に盛り上がりのないまま消えていった作品。~ カプコンが久々に放った完全新作であり、しかも新基板と言う事で期待が大きく出回りも結構良かったのだが、ほどなくゲーセンの片隅へ追いやられ、気付けば撤去されているというマイナーゲームに終わってしまった。~ 一方で、魅力的なキャラクターや美しいドット絵などの評価は高く、後年、本作の続編は作られなかったものの、キャラはしばしば外部出演を果たすこととなった。もう少しゲーム性を練り込んでいれば…と思わずにはいられない、惜しい作品である。~ ---- **余談 -稼働当初は、ウォーザードのためにデザインされた小さなパスワード用紙の束が付属していてペンと共に筐体に設置するように推奨されていたが、当然あっという間に使い切られてしまった。そのためこの紙を見た事が無い人も多いだろう。 -前述の通りセールス的には振るわなかったが、キャラ人気やスタッフの愛は結構なものがあったようで、本作キャラはVSシリーズ等への出張参戦が多い。「ウォーザードは触ったことがないけどタバサは知ってる」といったプレイヤーも少なくない。 --『[[CAPCOM FIGHTING Jam]]』にはレオとムクロに加え、CPU専用ボスだった&bold(){ヌールとハウザー}もプレイアブルで参戦している。元ボスの2体の性能はさすがにプレイヤー向けにマイルド調整されているが、サイズがやや大きめかつイロモノなこともあり前述の2人よりも割と目立っている。 ---さらにヌールはウォーザードキャラ初のフィギュア化を果たした。と言ってもヌールそのものではなく、''[[ブリス後(女体擬人化)>ヴァンパイアセイヴァー]]''の姿((余談だが、『くじびきアンバランス』という作品のヒロインに似ていると、もっぱらの評判。))としてだが…。 --『[[ポケットファイター]]』と『[[SNK VS. CAPCOM SVC CHAOS]]』にタバサが参戦。 ---ちなみに『ポケットファイター』のタバサは今作と技が大きく変更されており、接近キャラ寄りのデザイン。また、タバサの体力が減少したときのガードモーションでタオを盾にする、豪鬼がフラッシュコンボでレオのコスプレをする、リュウのEDにハウザーが登場する等の要素も。 ---一方で『SVC』のタバサは原作寄りの性能になっている。 --何故かタオのみプレイアブルキャラクターとしては登場していない(前述のタバサのガードの他は背景に出ている程度)。衣装や格闘スタイルが中華風であり、春麗やレイレイとの被りを避けたためだろうか。 --『[[モンスターハンター]]』シリーズとの関係 ---ブレイドの魔剣アンドレイアーは『[[モンスターハンターシリーズ]]』にそっくりの武器が登場している。剣ではなく''槍''系列での登場だが、そもそも「ドリル状の馬上槍」と言う見た目により当時からして「剣?」と言う扱いだったので、よほど本作にこだわりがない限り特に気にはされない。 ---また、同シリーズに登場する防具の「ミズハ」シリーズと「ケチャ」シリーズは前者はタバサを後者はタオを意識したデザインがなされている。~ 加えて、前述の『CAPCOM FIGHTING Jam』ではムクロのブリス化モーションが同じくモンハンシリーズに登場する防具の「忍」シリーズのハンターに変化する演出が存在している。この事から、プレイヤーキャラクターの大半がモンハンの防具と何らかの関わりを持っているといっても過言では無い。&s(){ちなみにこちら側では逆にレオが不遇になっている。外部作品でのプレイアブル参戦の無いタオといい、何故ウォーザード関連は極端から極端に走るのか…} ---エンディングのスタッフロールではレバーを動かすとモビちゃんが登場し、文字を打ち落としていくミニシューティングがあり、溜め打ちやボムまである。ちなみに打ち落とした文字数のスコアも表示される。 -被ダメージが増加する、いきなりエンディング突入といった特殊パスワードが幾つか存在する。 -同じCPS-3基板で後に出された『[[ストリートファイターIII(1st~3rd)>ストリートファイターIII 3rd STRIKE]]』『[[ジョジョの奇妙な冒険>ジョジョの奇妙な冒険 (AC)]]』は家庭用移植もされたが、本作だけは長らく家庭用移植がされない状況が続いていた。 --2022年6月24日にカプコンから同社の格闘ゲーム10作品を集めた『カプコン ファイティング コレクション』がSwitch/PS4/One/Win(Steam)の各プラットフォームで発売され、そのラインナップには本作も含まれている。これでAC版稼働から''約25年半''を経てようやく家庭用初移植が実現することとなったと同時に''CPS-3基板作品の家庭用移植が全て実現した''形となった。 -即撤去された店が多かったものの、キャラゲーとしては人気が高く、個人向け基板の出回りが比較的良い作品でもあった。基板の中古価格は長年に渡ってそれほど値崩れはせず、1番安かった頃でも平均して3万円から4万円以上が相場と、ゲーム自体の評判に対して比較的高価であった。現在では基板の寿命と壊れやすさ、そして修理が困難である事から、アーケードで稼働している実機は大変貴重である。ようやく家庭用に移植はされたものの、もしアーケードで触れる機会があれば、ぜひ一度は本物をプレイしておこう。次の機会は本当に無いかもしれないのだ。 --CPS-3基板はマザーボードが非常に壊れやすく、ロムカセット内部にも交換に知識と技術が必要な専用電池がハンダ付けされているのだが、電池交換の手順を誤るとデータそのものが消去されてしまう。かといって電池交換を恐れていると経年劣化でやがて液漏れを起こしてロムカセット自体に致命的なダメージを受けやすいため、現在では個人所有でも稼働できるものはかなり数が少ない。専門店でも修理は困難な上に、カプコンでの修理サポートは既に終了しているので最終的に「現物はあるが動かせない」という事態は免れない。 -稼働当初はゲーメストでも『究極戦隊ダダンダーン』(93年)の話題と絡められる事が多く、「''ゲームジャンルを簡単に説明するならばダダンダーン''」のようによく書かれた。ちなみに似たようなコンセプトのゲームで95年11月にはバンプレスト((製作はパンドラボックスだが、一部グラフィックパートにMOSSも参加している。))から『隠忍 -THE NINJA MASTER-』がACに登場しているのだが非常に出回りが悪く、比較対象の話題にすらほとんど出なかったが良質なゲームであり、ウォーザードが今作からも影響を受けているのではと思える部分もある。こちらも残念な事に家庭用移植は無い。(隠忍は「おに」と読む) -アクションゲームと格闘ゲームは明確な線引きは難しい所ではあるが、「プレイヤーが使えるキャラが少ないor主人公が一人だけでCPU戦を戦い抜いていく」のなら、初代ストリートファイターや餓狼伝説、バンプレストのアーケード版ウルトラマンなども広い視野で見れば、本作もそれらの一種と言えるだろう。

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