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ゼルダの伝説 ムジュラの仮面 - (2016/11/02 (水) 03:33:53) の最新版との変更点

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舞台はハイラルと異なる異世界で「3日後の世界の滅亡」という絶対不可避である運命を迎える異世界「タルミナ」。3日間という時間制限付きという異例の条件の下、世界の滅亡を招く元凶を突き止めるべく奔走し、「時のオカリナの力」を借りて時を巻き戻しつつ、タルミナを襲う異変の元凶を突き止めていく。 俗に "3日間システム" とも呼ばれるこのシステムは、謎解きを(ゲーム内での)3日以内に解いてセーブ=初日に戻ることを意味し、この3日間を利用した謎解きやイベントが多い。 ニンテンドウ64版は遊ぶためにメモリー拡張パック((以前は「ハイレゾパック」という名称だったが、改名されただけで実質同じもの))が必要。同機器の同梱版と非同梱版の両方が生産された。現在最も手近に遊べるVC版は特別に必要なものは何もないので未体験の方はこちらを推奨する。 //--メモリー拡張パックの採用により、登場人物が時間通りに行動し生活している雰囲気を演出する等を可能にしている。 //--また、前作では1体ずつしか向かってこなかったリザルフォスが2体同時に向かってくるなどの処理の高速化にも利用されている。 //これは雑誌のインタビュー記事からの出典です。 //--ちなみに不確かな情報ではあるが、このメモリー拡張パック、ゲーム中のとあるムービーのためだけに必要だという情報がある。しかし[[開発者インタビュー>http://www.nintendo.co.jp/nom/0008/majora/page02.html]]と矛盾しており、少なくともムービーのため"だけ"というのは誤りであろう。 //とりあえずメモリー拡張パックについての事柄を編集してみました。個人的にもムービーのためだけに必要だったという情報元は、ぜひ知りたいところ。 //情報元が明らかになるまでco。 **ストーリー 時を越えガノンドロフとの死闘を終えたリンク。~ 過去に戻った彼はゼルダ姫に別れを告げ、冒険の終わりで別れた友を探すたびに出た。~ エポナに乗って静かな森をさまよっていると、突然2匹の妖精が現れてエポナを脅かし、リンクは振り落とされて気絶してしまう。~ そこに奇妙な仮面をかぶったスタルキッドが現れる。スタルキッドはリンクの持つ「時のオカリナ」を奪い、エポナに乗って逃走する。~ リンクはスタルキッドを見つけるが仮面の魔力でデクナッツの姿に変えられてしまい、スタルキッドは逃げてしまった。~ そんな中で置いてきぼりを食らってしまったスタルキッドの相方の妖精チャットは利害の一致でリンクに協力することに。~ そしてリンクがたどり着いた世界はあと3日で全てが終わる世界だった。 **ゲーム内容 本作の軸になっているのは前述の「3日間システム」と、装着することで謎を解く「仮面・お面」のシステム。 「時の歌」を使用することで時間を最初の日に戻すことができる。~ イベントのフラグはほぼ全てリセットされるが、アイテムは消耗品(矢や爆弾、ビンの中身など)以外は無くならず、ルピーも銀行に預けている額は無くならない。オカリナ(楽器)のメロディも覚えたものは失わず、大翼像(ワープポイント)も一度発見したものは最初の日からいつでも利用可能になる。~ 限られた3日間の中で新たなアイテムやメロディなどを入手し、それらを活用することで新たな場所に行けるようになったり、イベントやダンジョンの進行手順を短縮できるようになり、タイムリミットが迫れば再び「時の歌」で最初の日に戻る。これを繰り返して各地のダンジョンを攻略するというのがおおまかなゲームの流れ。 多くのゲームエンジン・システムを前作から流用しているが、以前からあったポリゴン・アクションなどには多少の強化がみられる。~ 特に本作のリンクは前作のように青年にならない為、子供状態で使用できるアイテムやアクションが一気に増えている。新しく操作できる+3(4)種類の新リンクがあるので、総合的に見ればはかなり「出来ること」は増えている。 多くの登場人物の外見・ポリゴンも前作で登場した人物と同じである(コッコねえさん→アンジュなど。行動や性格・立場は全く違うことが多い。もちろん完全新規のキャラもいる)。この部分は額面的には手抜きに見えるが、世界観自体が前作のパラレルワールド設定なので、その点では違和感や批判はほとんどない。 本作には前作に比べるとダンジョンが少ない代わりに町や人々の作り込みが比べものにならないほど細かく、サブイベントが本筋に絡むことも非常に多い。また、雰囲気も前作のような統一感ある西洋風とは違い、オリエント風でごった煮的なものになっている。~ つまり本作はサブイベントの豊富さ、ゼルダとしては異色の雰囲気、仮面や三日間制限などのシステムなどから、まさに外伝としての色を濃くした3Dゼルダなのである。 **細かな特徴 -お面・仮面を付けることによって変化するゲーム性。 --仮面でデクナッツ・ゾーラ・ゴロン(+α)に変身できる。それぞれ特徴が違い、攻略に直結する。 --面白いのは「水のダンジョンはゾーラ」などといったダンジョンの攻略だけでなく、サブイベントなどにもこれらが影響することである。 ---たとえばゾーラやゴロンは大人なので門番等とも対等に話ができる。デクナッツや普通のリンクは子供なので同じ子供に人気がある…など。 ---ある条件を満たすことにより手に入る「鬼神の仮面」はその圧倒的な戦闘能力もさることながら、今までにないダークな雰囲気を漂わせるリンクの姿で多くのプレイヤーを驚かせた。この姿のリンクは非常に人気が高く後のシリーズで再登場させてほしいという声は多い。 --上記の変身する物以外にも様々な種類がある。移動が速くなるウサギ頭巾、爆弾の代わりになるバクレツお面など。数が数なのでイベント1個消化したらお蔵入り…という使い捨ても少なくないが、攻略の補助になるなど単なる収集要素なわけではない。 -''高い難易度と密度の濃いダンジョン'' --ゼルダシリーズの中でも特に難易度が高いのが本作。 ---序盤のデクナッツ姿から元の姿に戻るまでの間だけでも、かなり複雑な手順を踏んでいかなければならないので、初っ端から躓いてしまうユーザーも多かった。しかもこの期間は時間の流れが普段より速く設定されており、終盤までオカリナが無いのも後押ししている。 ---本作のダンジョン攻略はややマリオ的。動く床など、タイミング調整や操作テクニックを求められる仕掛けが多い。また最初のダンジョンからして前作の応用テクを求められる。 --ダンジョンの数は少ないが、そもそも攻略しなければならないマップの広さ的には前作とあまり変わらない。 ---また、1つ1つのダンジョンの完成度が高く、特に後半の2つのダンジョンは初見ではとても難しい。 --いずれのダンジョンもダンジョン全体をダイナミックに動かす仕掛けがあるのが特徴。特に4つ目のダンジョンは(構造上の特徴から予想はできるものの)圧倒的なインパクトの変化を見せる。 --多様すぎるサブイベントは簡単なものから難しいものまであるが、難しいものは根気がいる謎解きが待っている。 --ダンジョンの数の少なさは、即ちストーリー本筋で入手できるハートの器の少なさも意味する。入手数は前作の約半分以下にまでなり、ダンジョンでの入手分のみに頼っていると殆どライフが伸びない。そのためライフ集めは基本的にサブイベントの攻略や探索によって行う事になる。 ---その辺への考慮か、奈落に落ちたりしてもダメージを受けなくなり、全体的に敵から受けるダメージも減っている。 ---総じて、サブイベや収集要素を含めた完全クリアまでに要する難易度・労力を考えるとゼルダ史上でもかなり高いレベル。攻略本や攻略サイトが無ければ1人で完クリするのは厳しい、とまで言われた。 --ちなみに3日間システムにより、歴代のゼルダでも珍しく、ボスとの再戦が可能。一度ボスを倒したダンジョンでは入口にボスへのワープゾーンが作られるので、途中の仕掛けを無視して再戦できる。 --前作では殆どオマケに過ぎなかった「氷の矢」に、一部の水域に放つことで氷の足場を作る効果が追加され、一部のボスの攻略にも必要とされるようになった。 --また、前作では店で売られている消耗品((草を刈るなどするとザクザク出現するのでよほどのことがないと不足しない))の購入の必然性が薄かったのだが、今作では時を巻き戻すと0になるので手っ取り早く補給したい人には利用価値がでてきた。 -異質な雰囲気 --''今度のゼルダは、怖さがある''というのは本作で使われたコピーだが、ほんとに怖い。 ---街の音楽は日が経つにつれ、まるでプレイヤーに恐怖と焦燥を植え付けるかのように曲調が変わり、さらに時折地響きが起こるようになり、凄まじい形相の月がじわじわと落ちてくるというシチュエーションは正にパニックホラーそのもの。 ---このような単なるパニックホラー的恐怖だけではなく、不気味さからくる生々しい怖さもある。恐怖童話を読み進めるかのような、他のゲームでは味わえない感覚が楽しめる。 ---仮面を付けて変身するシーンがかなり不気味で怖い。2度目以降の変身はカットできるが初回は必ず見させられるため、新しい仮面が手に入る度に付けることにやや抵抗を覚えてしまうが、逆にそれがこのゲームの恐怖や暗い雰囲気を強調するための一貫した演出だということもできる。 ---ちなみに、''CMの方も怖い''。 --ゼルダと言えば正統派ファンタジー、というイメージが強いが、本作の雰囲気はむしろダークファンタジーのそれである。 ---そもそも「主人公が呪われた仮面の力を借りて冒険を進める」という時点でかなり王道を外している。 ---メインイラストを初めとした各種イラストも全て濃い陰影がついている点なども暗い雰囲気を表している。 #region(CM動画) &youtube(http://www.youtube.com/watch?v=TSHLOjDxwEI) #endregion -もの凄い作り込み --サブイベント関連での作り込みが凄い。クリエイターがこのゲームを愛しているのが伝わってくるレベル。 --全てのアイテムを集めて完全クリアしたプレイヤーも、''ムジュラの世界全てを見たとは限らない''。 ---例えば、本作のサブイベントの1つのキーとなっているカップルは実は「あの人」を交えた三角関係だった、とか、天文台から平原に意味深な模様が見える、などを知っているプレイヤーがどれだけいるかはかなり怪しい。被ったお面によって反応が変わる人は多数いるので色々試してみるのも面白い。ゲームを進めるためのヒントを教えてくれるキャラは居るが、それに従うだけの一本道なプレイでは分からない事実がある。 -世界観も異質。 --全体的に王道的な西洋ファンタジーの感覚を崩さなかかった前作に比べると、本作はオリエンタルかつごった煮といった雰囲気で統一性はまるでない。 ---特に3つ目のダンジョン、「グレートベイの神殿」は近年のゼルダでもほぼ見られない機械的なダンジョン。ダンジョン自体の難易度の高さも相まって印象は非常に強い。 --今回はサブイベントが充実ということもあって登場人物は非常に個性的。意味不明な変なキャラも多い。 ---中でも一際異彩を放っているのが自称・妖精の生まれ変わりで緑色の全身タイツという出で立ちである35歳の%%ヘンタイ%%おじさん「チンクル」だろう。そのファンシーな格好や特徴的過ぎる言動は多くのプレイヤーにインパクトを与え、後のシリーズでもちょくちょく登場し、遂にはスピンオフ作品で主役を務めるほどの人気者となった。 -世界観を彩るBGMも良質。 --前作からの流用も好評であるし、本作初登場の曲も一風変わっていながらも良曲が多数含まれる。機械仕掛けのダンジョン「グレートベイの神殿」は今迄のダンジョンには無い独特の曲が注目を浴び、「ロックビルの神殿」などは表、裏どちらも完成度が高い。 --フィールドBGMが初代フィールドBGMのアレンジに戻っている。前作BGMも初代BGMの面影を残す曲構成であったが、ゼルダの伝説の代名詞ともいえる曲であるだけに復活を喜んだプレイヤーも多かった。 **セーブと時間制限について このゲームでセーブを行うには「時の歌」を使用し時間を最初の日に戻す必要がある。~ イベントやダンジョン等の仕掛けもリセットされ、それを問題点と指摘されがちであるが、重要アイテムやダンジョンへの道を切り開くための歌は無くならないので、セーブする時はそれらを取得してから行えば、それまでのイベントや仕掛けをショートカット出来る。イベントを起こさずにそのままダンジョンを攻略しても、そのイベントの事件は解決した事になるのでご安心を。 時間制限のあるシステムだが、「時の逆さ歌」「時の重ね歌」と呼ばれる「時の歌」をアレンジした歌を演奏すれば、時間の流れを遅くしたり、次の6時まで一気に時間を進める事が出来る。これを利用すれば、ダンジョン攻略やイベント進行がラクになるはず。 このゲームでは、時間を戻してセーブした回数も記録される(GCゼルダコレクション版では廃止されている)。じっくりと腰を据えて遊ぶ余裕があれば、いかに時間を戻す回数を少なくしてクリア出来るかにも挑戦してみてはいかがだろうか((ちなみにセーブ1回(つまり必須イベントである初回以降はノーセーブ)でクリアするルートも開拓されており、実際にそれでクリアしたプレイヤーも。))。 ちなみに海外版とGCのゼルダコレクション版では、中断セーブが可能になっている。 **問題点 -不親切な仕様 --前述の通り、64の日本版では「時の歌」を使用した時にしかセーブが行えない。 ---ゲーム内の3日が経過するまでに掛かる実プレイ時間は、イベントなどに掛かる時間も考慮すると最長で約3時間。ゲーム進行のためには多くの場合、「時の歌」を使用するまでに1~3時間はプレイし続けなければならない。 --3日間システムの都合上、同じイベントや各種演出を何度も繰り返し見ることになりやすいのだが、イベントのスキップなどは一切行えない。演出を飛ばせるのはお面による変身演出のみ。 --月内部のミニダンジョンに入るためには、任意のお面を子供に渡して失わなければならないのだが、このダンジョンの中には、「まことのお面」を使うことで各お面の入手法のヒントが聞ける「ゴシップストーン」がいくつも存在する。 ---どうせ最後だからもう使わないだろうと思って「まことのお面」を早々に渡してしまうようなプレイヤーにとって罠のような設計。プレイヤーが既に多くのお面を入手済みの場合は大した情報ではないのだが、初見ではどんな情報を教えてもらえるかは分からない。 -ダンジョンの難易度に対してボスが弱い。 --前作に比べボス敵が弱い傾向にある。基本的にどのボスも「正攻法」とされる攻略法より楽な倒し方があるためか((「ロックビルの神殿」のボスなどは正攻法の方が楽だが。))。とはいえ「グヨーグ」のような強ボスも存在はしている。 ---また、今作以降は敵の攻撃力が低めに調整されていくようになる。 ---ラスボスはさすがに手強いが、お面をコンプリートしていると、直前に公式チートアイテムが入手可能。前述の通りコンプリートは楽ではないが、手に入れるとラスボスすらほぼ作業と化すとんでもないアイテムである。 -キーアイテムが売却可能 --グレートベイの神殿に行くために必要なイベントのキーアイテム「ゾーラのタマゴ」が20ルピーで売却できてしまう。 ---当然1つでも売ると攻略に必須な曲が覚えられずそこから先のイベントに進めないし、そもそもこれはゾーラの仮面の元になったゾーラ族の青年達の子供であり、売却は人道的にまずいと思うのだが…((なおこの卵は投棄はできないが、グレートベイの入り口近くにある研究所の孵化用の水槽に入れれば瓶を空にできるので「この周回での孵化をあきらめたがビンが全部ふさがってしまった人への救済」などの理由ではないのは確実である。(売りに行くよりは研究所に行った方が近い))) ---ちなみに同じくビンで持ち運べるキーアイテムのうち、キャラクター扱いのデグ姫とタツノオトシゴはちゃんと売れないようになっている。なぜ卵だけ? ---- **総評 異質な雰囲気や高い難易度が原因で敬遠されるためか、前作に比べるとそこまで認知度は高くないが、完成度は全く劣っていない。~ 前作と異なりお世辞にも万人向けとは言えないものの、当時任天堂が傾倒していた「ゲームらしいゲーム」を体現しきった作品といえる。~ 3日間システムという、これ以後に現れるリアルタイムゲームを先駆したかのような革新性もまた魅力。 これまでの王道的作風とは一風変わったゼルダを味わったことのない人はぜひ、プレイしてみてもらいたい。 ---- **余談 -テレビ東京のTVチャンピオンの似顔絵王選手権で、任天堂の今村孝矢が参戦。紹介時には、この作品のモンスターデザイン担当をあげていた。今村の結果は決勝までは残れた。 -2015年2月13日にはニンテンドー3DS移植版『ゼルダの伝説 ムジュラの仮面 3D』が発売された。 --WiiおよびWii Uのバーチャルコンソール版はCERO:Aであるのに対し、なぜか3DS版ではCERO:B(12歳以上対象)に指定されている。 ---コンテンツアイコンは恋愛・犯罪・暴力であるが、これに該当する部分に特に変更はない。 -空から巨大な物が落ちてくる、それを阻止するという内容からか1997年にPSで発売されたファイナルファンタジー7の物語の後半からのストーリーと類似していると当時のゲーマーから指摘があった。 --あちらは落下物だけがメインではないので単純なパクリではないのだが、落下物の落ち方とゲームオーバーのムービーがFF7のラストムービーとよく似ているので思われたのだろう。 ---- *ゼルダの伝説 ムジュラの仮面 3D 【ぜるだのでんせつ むじゅらのかめん すりーでぃー】 |ジャンル|アクションアドベンチャー|&amazon(B00S66U7ZI)|&amazon(B00S6CBP62)| |対応機種|ニンテンドー3DS|~|~| |発売元|任天堂|~|~| |開発元|グレッゾ|~|~| |発売日|2015年2月14日|~|~| |定価|パッケージ/ダウンロード:4,700円&br()本体同梱:23,000円|~|~| |判定|なし|~|~| |ポイント|細かい改善点が光る移植&br()ただしツインモルド戦など不評点も&br()全体的に親切設計|~|~| ---- **概要(3D) 『ムジュラ』発売から実に14年の歳月が流れ、『時オカ』がリメイクされて3年の時が経った2014年11月6日。ファンが今か今かと切望していた中、『Nintendo Direct』内で突如発表され、その三カ月後に発売となった『ムジュラ』の正式リメイク作品である。『時オカ』と異なり追加・変更要素がかなり多め。 シリーズでは『[[トワイライトプリンセス>ゼルダの伝説 トワイライトプリンセス]]』、VC版『[[夢を見る島DX>ゼルダの伝説 夢をみる島]]』、『[[ゼルダ無双]]』に続き4作目のCERO:B作品となる。 開発は『ゼルダの伝説 時のオカリナ 3D』と同様グレッゾが担当した。 ハード面の進化に伴い、本作は拡張スライドパッド及びNewニンテンドー3DSのCスティックによる視点変更に対応している。 **評価点(3D) -グラフィック面の向上。 --全体的にグラフィックが見直されており、N64では表現できなかった微細な模様やキャラの表情の変化がより分かり易くなった。 -原作における不親切な部分の改善。 --本作は様々な部分で細やかな配慮が為されており、原作における不親切な部分を改善している。このことが本作を単なるベタ移植ではないと印象付けており、原作よりもぐっと遊びやすくしている。 --改善点は多岐に渡っている為全てをここに列挙することは出来ないが、以下に一部を挙げる。 ---銀行の位置がクロックタウン西から、南の大翼像前(つまり時計台の裏)に移動。これにより銀行へ行く手間が減った。 ---海洋研究所前の足場が「水面より少し高い位置」から「水面と同じ高さ」に変更。水面ジャンプをしなくとも登れるようになった。 ---「大翼の歌」取得タイミングが「ウッドフォール直前」から「沼地に初めて入った時」へと大幅に前倒し。 ---「あきビン」が1個追加されて7個に。またウッドフォールクリア後のコウメの射的ゲームの景品があきビンに変更されている((原作で6個目のあきビンがあった場所と入れ替わっており、こちらはハートのかけらになっている。7個目のあきビンは追加されたサブイベントで入手する。))。 ---ゾーラリンクによる水泳が簡略化。より直感的な水中操作が可能となった。 ---知恵の大妖精と力の大妖精が入れ替わっており、大回転斬り修得前に魔力ゲージをアップ出来るようになった。 ---コレクトアイテムを使う際、アイテム画面から直接使えるようになった。 --海外版の要素を取り入れ、大翼像でセーブ出来るようになり手軽さが増した。 ---代わりに「時の歌」で最初の朝に戻った際のセーブがなくなったので、原作プレイヤーは注意が必要。 -ボンバーズ団員手帳の利便性アップ。 --3DSの二画面機能・タッチ機能を上手く活用しており、いつ・どこで・だれが・何をした・何を貰ったといった、原作に比べ細かな情報が確認できるようになった。 --また、アラームをセットする事が可能になり、セットした時間になるとチャットが教えてくれるようになった。 --手帳の入手も最初の時間巻き戻しの後にお面屋からもらえるようになり、ボンバーズとのおにごっこをする必要がなくなった(おにごっこイベント自体は残っている)。 ---代わりに手帳入手後にボンバーズに話しかけるとイベントのヒントとなる噂を教えてもらえるようになった。 -リメイクによる追加要素。 --『時オカ3D』にも存在したヒント機能・シーカーストーンが導入された。 ---ただし『時オカ3D』とは異なり本作には1カ所、クロックタウン時計台地下にしか存在しない。 --『時オカ』で好評だったミニゲーム、「つりぼり」が追加。 ---「沼のつりぼり」と「海のつりぼり」の2カ所が用意されており、「沼」は沼地への道中、「海」はゾーラホールの外辺りに設置されている。 ---内容は『時オカ』におけるつりぼりを更に進化させたもので、ルアーや天気・時間帯だけでなく着用しているお面によっても釣れる魚が変わるという、凝った作りとなっている。 --ゴーマン座長に関するイベントが追加された。 ---ゴーマン座長は月が落ちてきたことにより公演が中止になったことを一座のメンバーに打ち明けられず、昼間はナベカマ亭の二階で寝ている。この座長を救う為にリンクやゴーマン兄弟が奔走する内容となっており、原作では単なる悪人として描かれていたゴーマン兄弟関連にスポットを当てただけでなく、中間管理職の悲哀や兄弟愛といったものを描いたシナリオは「ゴーマン三兄弟が一気に好きになった」と好評。 ---加えて原作では使用法が殆ど無かった「座長のお面」((旧バージョンでも「装備中はミルク運びイベント時に敵が攻撃してこなくなる」という効果があるのだが、「このイベントクリア後にこのお面をもらえるところにいける」ため、実質次の周回以後で楽をする+ラストダンジョンでのお面の数合わせ以外無意味だった。))が、このイベントでは重要な役割を持つようになった。 -ダンジョンの見直し。 //--特に月内部のダンジョンはほぼ別物。全体的に難易度が上がっており、中でもゾーラダンジョンの難易度はリメイク前とは別格。 //↑ゾーラダンジョン以外は原作から大して変わってないと思う。見た目は結構違うけど。 --ロックビルの神殿における巨人の仮面の入手タイミングが変わっているなど、細かい変更点が多数。 -ボス戦の見直し。 --ネタバレになり得るので詳細な記述は避けるが、ボス戦はどれも内容が見直されている。単に有効打が異なるボスから、撃破までのプロセスが全く異なるボスまで存在し、特にプレイ済みの人間にとっては新鮮な驚きを持って迎えられた。 --ただし、ツインモルド戦のみは総じて不評(詳細は下記を参照)。 **賛否両論点(3D) -つりぼりについて --ゲーム自体は作り込まれているものの、『時オカ』とは異なり『ムジュラ』には3日間という制限時間がある為、糸を垂らし、ただのんびりと時が過ぎるのを楽しむというつりぼりのゲーム性と本作のゲーム性は噛み合っていない。 ---ましてや3日目ともなると落下する月の影響で時折地響きが起こるようになり、とてもじゃないがのんびりしていられるような雰囲気ではない。 --このミスマッチ性から、つりぼり自体の不要論を唱えるプレイヤーもいる。本作はただでさえメインダンジョンが4つしかない等、ゲームボリュームが少ない事が問題とされているのだから、取って付けたようなつりぼりではなく、シナリオや世界観上の更なる深堀りとなるイベント等を追加した方が好評を得られたかもしれない。 -「時の逆さ歌」の弱体化 --時間の経過速度が1/3→1/2に変更された。ゲームバランス的に1/3では便利すぎたかもしれないので妥当な調整とも言える。 --しかしこの弱体化によって、「最序盤で『時の歌』を使用した後は、二度と『時の歌』を使わず一気にゲームをクリアする」という3日クリア(ノーセーブクリア)のやり込みがより困難になってしまった。 -月の表情が変更された。 --原作のどこか虚ろで不気味な表情に比べると、今作の月は鬼のような怒りの形相で、より感情剥き出しになっている。これについて、「(表現が単調になって)逆に怖くなくなった」「原作の方が不気味で怖かった」という意見がある。 -月内部のグヨーグのミニダンジョン(ゾーラダンジョン) --ゲームクリアに必須ではないやり込み要素的なダンジョン。原作では水中の通路をゾーラリンクで泳いでいき、時折左右にルートが分岐しており正解のルートを進まなければスタート地点に戻されるというシンプルな内容だった。 --今作では正解のルートを通るだけでなく、ゾーラリンクで飛び魚のようにジャンプするという特殊なアクションを一発で成功させることを数回繰り返さなければクリアできないようになっており、今作の中でも屈指の操作難度のダンジョンとなっている。 --原作ではやや簡単過ぎたのに比べるとやり応えは増しているものの、長丁場な上に一度でも失敗すれば最初からやり直しになるのはいささか難しすぎる感がある。 -一部の親切過ぎる変更点。 --上記した通り、本リメイクでは原作の不親切な点が見直されているが、一部「これは親切過ぎるのでは?」と思われるような変更点も存在する。 --最たる例は「まことのメガネ」を使わないと姿が見えない兵士''「シロウくん」の位置''。 ---シロウくんは赤いクスリを渡してあげることで、「海賊の砦」を攻略する際などに役立つアイテム「石コロのお面」をくれるキャラクター。原作ではシロウくん自身が居るのは「海賊の砦」の所在するグレートベイ地方ではなく、その後に訪れることになるイカーナ地方への道中であった。そのため原作では「海賊の砦」攻略後に「石コロのお面」を入手して泣きを見たプレイヤーも多かった((直後のネジロンの出現を抑制出来るなど、使い道が無いわけではない。))。 ---しかし本作でシロウくんが居るのは何と''「海賊の砦」の中''。しかも監視櫓のハシゴ下という、プレイヤーがほぼ100%通過する目立つ場所((砦への侵入ルートとして有効である他、重要アイテム「女海賊の写し絵」を最も入手(撮影)しやすいのがこの櫓の上である為。))であり、ご丁寧に''プレイヤーがその付近に近付くと会話デモが挿入され呼びかけてくる''ので、殆どのプレイヤーがシロウくんを見逃さないシステムとなっている。 ---この変更については、原作に比べて不親切さが減って単純に分かり易くなった、お面を有効活用出来ると評価する声もある。 ---その一方で、シロウくんというキャラのブレを指摘する声もある。「必死に呼びかけているのに誰にも気づいて貰えない」という強烈な存在感の薄さが持ち味のキャラクターだったのだが、リンクに呼び掛けられるのならその悩みは無い筈であるし、そもそも「海賊の砦」に単身乗り込める程に豪胆なキャラクターならば赤いクスリを届けてやる必要もないのでは。 ---また進行の都合上、「海賊の砦」では多量の空きビンが必要なため、初回攻略時にプレイヤーがクスリをビンに入れている可能性は低い。そのためシロウくんを発見した後、町にワープしてクスリを買って戻ってくるという二度手間になりやすい。原作でもそうなる可能性はあったが、町にワープしてクスリを買ってからシロウくんの居るイカーナまで簡単に戻れた。しかし今作では「海賊の砦」のシロウくんが居る所まで戻るには再度迷路を通らなければいけない。その迷路は「海賊の砦」で入手する「フックショット」を使えばショートカット出来るのだが、入手するにはシロウくんを無視して少し先に進む必要がある。 ---余談だが、この変更点は原作プレイ済の人間に対しては''罠''として機能しており、発売当初はシロウくんを探してイカーナを方々歩き回る人が続出した。 --これもまた開発スタッフの親切心なのだろうが、画面下部に表示される時計の意匠が変更された点も賛否両論である。確かに64版の時計は時刻が分かり辛かったが、デザイン面では独特のタルミナの雰囲気とマッチしており好評だった。その為、リメイクにより時計の表示が分かり易くはなったものの、デザインとしては普通の時計になってしまったことを残念がるプレイヤーも多い。 -アイテムセットの方式変更。 --『時オカ3D』ではアイテムをタッチした後、次にセットしたい場所をタッチするかボタンを押すことでセットていたが、今作では二度目のタッチによるセットができなくなり、代わりにアイテムをセットしたい場所までスライドさせる方式が追加された。((マウス操作で例えるなら「時オカ3D」は「アイテムをクリックした後セットしたい場所をクリックする」のに対し本作は「アイテムをセットしたい場所までドラッグする」といった感じか)) --これはこれで直感的なのだが、前作の方式の方が良かったという意見も。 -他にも『時オカ3D』や原作とは操作が異なる箇所が多いため、プレイ感覚はかなり違っている。 **問題点(3D) -ツインモルド戦のリメイク内容 #region(ネタバレにつき格納) --ロックビルの神殿ボス「ツインモルド」はゼルダ伝統の「モルド」系に属するボスであり、リンクの数百倍はあろうかという凄まじい巨大さを武器に圧倒してくる、ムジュラプレイヤーにとって非常に印象深い敵である。原作『ムジュラ』では「巨人の仮面」により巨大化して剣で戦うのが常道だが、巨大化せずに弱点の頭や尻尾を弓矢で狙うことでも倒せた。 --こちらもリメイクにあたって戦法が抜本的に変わっている。 ---戦闘開始時点では「巨人の仮面」は所持しておらず、まずは巨人化せずに青いツインモルドを弓矢で倒す。青いツインモルドを倒すと「巨人の仮面」を入手でき、巨人化して赤いツインモルドと戦う。なお今作では巨人化しないと赤いツインモルドは倒せない。 ---この「巨人の仮面」の仕様が今作では大幅に変更されている。巨人化している間は剣や盾・アイテムを構えることが出来なくなり、Bボタンは「パンチ」となる。巨人化中は動きが鈍重になるが、大岩を掴んで投げられるようになる。ツインモルドに一定ダメージを与えて動きを止め、''ツインモルドを掴んで投げたり絞め技を決める''ことを3回繰り返すことで撃破できる。 ---この戦闘スタイルの変化自体は、''素手でボコボコ殴ったり絞め技を行う''というアクションがリンクらしくないとして批判する意見もある一方で、巨大なボスを投げるなどより巨人らしく豪快な戦いが可能になったため、良くも悪くもといったところである。 --問題はこの操作性や戦闘のバランスの悪さ。 ---巨人リンクは走ることはできず、歩く速度はかなり遅い。前転で高速移動すれば問題ないのだが、あまり前転を使わないプレイヤーにとってはストレスになりやすいだろう。 ---基本攻撃手段のパンチはやや動作が遅く、何よりリーチが短いのでギリギリまで敵に接近しなければ当てられない。このパンチを10発も当てないと掴み技に持っていけない上、一定時間が経過してツインモルドが地面に潜る度に''パンチを当てた回数がリセットされてしまう''という誰得な凶悪仕様がある。 ---地面に落ちている大岩を投げつければ、一発でツインモルドの動きを止めて掴み技まで持っていけるのだが、この大岩はフィールドに2個しかなく復活もしない。掴み技を3回決めないとツインモルドを撃破できないので、どう上手く岩を活用しても、1回分はパンチでダウンを奪わなければならない。 ---赤いツインモルドはそこそこの速度で飛び回りながら炎の玉を飛ばす攻撃を仕掛けてくる。ツインモルド本体や炎が少しでもかするとダメージと共に吹っ飛ばされてダウンを奪われ、2~3秒ほど行動不能になるのでストレスになりやすい。ちょっと当たっただけで吹っ飛んでダウンするという状況自体違和感が拭えない。 ---初見でこの巨人リンクの操作性やパンチのリーチの短さ、ツインモルドの行動パターンと対処法を覚えてモノにし、前転やガードも上手く使って完璧に近い立ち回りをしなければ勝利は困難。そのため多くのプレイヤーは中々ダメージを与えられず吹き飛ばされてばかり、ゲーム内の時間も経過していく…と、ストレスばかり溜まると不満が多く挙がった。 --原作では巨人化して戦うかどうかは自由だったのだが、今作では巨人化せずに倒す方法と巨人化して倒す方法をツインモルド1体ずつでそれぞれ強制させており、自由度が無くなったことに対する批判もある。 //---ただし世界観的には更なる異分子であるフラットウッズ型エイリアンが原作の時点で登場しているのだが。 //ツインモルド戦に関する記述で↑の文は、ちょっと文脈が繋がらないようにも見える。ツインモルド戦に関係しているのであれば詳しい解説の追記求む //エイリアンや剣術道場、チンクルがいる世界観でプロレスだけが浮いてると言うことはないだろう、と言いたかった。「唐突にリンクがプロレスを始めることから世界観的にも完全に浮いている」は削除します。 #endregion -諸々の劣化点。 --原作では様々な場所を凍らせることが出来た「氷の矢」は便利過ぎたのか、特定の場所しか凍らせることが出来なくなった。 --スタートボタンが「ボンバーズ団員手帳を開く」操作で固定されているため、入手まではタッチパネルを使わないとゲームの一時停止が出来ない。 -改善されていない問題点 --「時の歌」で時間をリセットした際、消費アイテムと一緒に案山子に覚えさせた「録音案山子の歌」が白紙に戻る。確かに時間が巻き戻っているのだから案山子の記憶も消えて当然だが、周回ごとに一々覚えさせるのはかなり面倒くさい。 ---一応案山子が必要となるポイントは変更されていないので、ハートのかけらを回収した後は覚えさせる必要はなくなる。 --いくつかの演出はスキップ可能になったものの、相変わらず多くのイベントや演出は飛ばせず、何度も繰り返し見ることになりやすい。 **総評(3D) 全体的な雰囲気はそのままに、グラフィックを向上させると共に遊びやすいように配慮された良リメイク。隅々まで配慮の手が入っていることが明らかであり、原作プレイ済の人にとっても新たな発見や驚きがある仕上がりとなっている。~ ただし全ての点を手放しに褒めることが出来ないのが惜しい所。ツインモルド戦が大幅に変更されたことでかなり目立つ不評点となっているが、それ以外にも微妙な部分で原作から劣化した箇所がちらほら見受けられる。~ しかし、決してリメイクの質が低い訳ではないという点には注意して貰いたい。単なるベタ移植に留まらず、意欲的な試みを多数導入し、初心者・既プレイ者の両方を満足させようとした点は評価に値する。~ 全体的に親切設計となっているので、発売当時に本作をクリア出来なかった人はこれを機に14年越しに『ムジュラ』に触れてみるのはいかがだろうか。
#contents() ---- *ゼルダの伝説 ムジュラの仮面 【ぜるだのでんせつ むじゅらのかめん】 |ジャンル|アクションアドベンチャー|&amazon(B000092P6R)| |対応機種|ニンテンドウ64|~| |メディア|256MbitROMカートリッジ|~| |発売元|任天堂|~| |開発元|任天堂&br()エスアールディー|~| |発売日|2000年4月27日|~| |定価|単品:5,800円&br()メモリー拡張パック同梱:7,800円|~| |配信|バーチャルコンソール&br()【Wii】2009年4月7日/1,200Wiiポイント(税5%込)&br()【WiiU】2016年6月29日/1,234円(税8%込)|~| |周辺機器|''要メモリー拡張パック''|~| |判定|BGCOLOR(lightgreen):''良作''|~| |ポイント|ホラーでパラレルな異質の雰囲気&br;クセの強い3日間システム&br作り込みの深さは前作にも劣らない|~| |>|>|CENTER:''[[ゼルダの伝説シリーズ]]''| ---- **概要 前作『[[ゼルダの伝説 時のオカリナ]]』の直接の続編((ゼルダシリーズはいずれも同一の世界観を舞台にしているが、直接の続編と明言されている作品は少ない。))である、3Dゼルダの第2作。~ 前作と同じシステムやフォーマットを使用している他、ストーリー的にも前作のエンディング後((時のオカリナ以降の時系列では「リンクがガノンに敗北した世界」「リンクがガノンに勝利したのち姿を消した大人時代の世界」「リンクがガノンに勝ったのち帰還した子供時代の世界」の3つに分岐し、本作は最後の分岐パターンに当てはまる。))の物語になっている。 //ゼルダ作品の中で珍しく主人公であるリンクが他作品(『[[ゼルダの伝説 時のオカリナ]]』)と同一人物の設定となっている。 //神々と夢をみる島のリンクも同一人物では? ---- **ストーリー >時を越えガノンドロフとの死闘を終えたリンク。~ 過去に戻った彼はゼルダ姫に別れを告げ、冒険の終わりで別れた友を探す旅に出た。~ エポナに乗って静かな森をさまよっていると、突然2匹の妖精が現れてエポナを脅かし、リンクは振り落とされて気絶してしまう。 > そこに奇妙な仮面をかぶったスタルキッドが現れる。スタルキッドはリンクの持つ「時のオカリナ」を奪い、エポナに乗って逃走する。~ 追いかけたリンクは一度は追いついたものの、仮面の魔力でデクナッツの姿に変えられてしまい、結局スタルキッドを取り逃がしてしまった。~ そんな中で置いてきぼりを食らってしまったスタルキッドの相方の妖精「チャット」(光の色)と利害が一致したリンクは、協力してスタルキッドを捜索する事になる。 > >そうしてリンクがたどり着いたのは、&bold(){あと3日で月が落下して滅亡する運命}の異世界「タルミナ」。 > >3日間の時間制限付きという異例の条件の下、「時のオカリナ」の力を借りて時を巻き戻しつつ、リンクはタルミナを襲う異変の元凶を突き止めるべく奔走する。 **主な新要素・特徴 ''3日間システム'' -本作ではプレイ中、現実の時間経過に伴って作中でも常に時間が流れており、現実での45秒がゲーム内での1時間となる(ただし会話ウィンドウ表示中やメニュー画面では時間は止まる)。ゲーム開始から3日を経過する(1日目の朝が始まり(午前6時)、3日目の夜が終わる(午前6時)までがタイムリミットとなる)と空から月が降ってきてタルミナが滅亡し、ゲームオーバーとなる(最後にセーブした地点まで戻される)。 -滅亡する前に時のオカリナで「時の歌」を奏でることによって、時間を1日目の朝に戻せる。時の歌を演奏すると、入手した主要アイテム(弓やフックショット、仮面等)は保持されるものの、それ以外の消費アイテム(矢やバクダン、銀行に預けていないルピー等の数)は全てゼロになり、サブイベントの進行状況やダンジョン内の仕掛けもすべてリセットされる((ただし一度クリアしたダンジョンは入り口にボス部屋への直通ワープが現れ、ボスを2回倒してもハートのうつわは初回分しか取得できない等の制限もある。))。この時にプレイデータのセーブができる。 -このため、「時のオカリナ」と「時の歌」を駆使して同じ3日間を繰り返し、限られた時間の中で少しずつ物語を進めながらエンディングを目指すというのが本作の基本となる。 ''クロックタウン'' -本作では最初に訪れる「クロックタウン」という大きな町を拠点として、周囲に広がるタルミナ平原や、そこから東西南北につながる各エリアとダンジョンを探索することになる。 -クロックタウンに住むNPCたちは日付や時間に応じて各自で行動している。ゲーム進行に必須でないサブイベントの数も非常に豊富で、住民のタイムスケジュールやサブイベントの達成履歴は「ボンバーズ団員手帳」というアイテムに書き足されていく。 ''仮面・お面システム'' -本作のキーアイテム。「仮面」をかぶるとデクナッツリンク・ゴロンリンク・ゾーラリンクなどに変身できる。変身中は基本的にリンクのアイテムを使えなくなるが、固有のアクションが使用可能。 --身軽なデクナッツリンクは、水面をジャンプしたり花から飛び上がることができる。巨漢のゴロンリンクは岩を壊したり丸まって高速で移動できる。泳ぎが上手いゾーラリンクは移動力が上がり水中でのアクションの幅が広がる。 --当然、これらの変身とアイテムをともに駆使して、ダンジョンの謎を解いていく必要がある。 -性能が変化するだけではなく、ゾーラやゴロンは大人なので門番等とも対等に話ができる。デクナッツや普通のリンクは子供なので同じ子供に人気がある、といった小ネタも。 -他にも様々な効果を持つ「お面」が存在し、サブイベントによって入手できる。クリアには必須ではない収集要素だが、移動が速くなる「ウサギずきん」や、ゴシップストーンからヒントを貰える「まことのお面」やボス戦で使うものなど攻略の助けになるものもある。 ''高い難易度と密度の濃いダンジョン'' -『時のオカリナ』の直系の続編ということもあり、前作をプレイ済みであることを暗黙の前提としているのか、全体的な難易度はシリーズの中でも高め。 -メインのダンジョンは4か所で、前作(9か所)に比べると一見少ないが、メインのダンジョンに先立って訪れるサブのダンジョンが多く用意され、また一つ一つのダンジョンは大規模かつ完成度が非常に高く、総合的なボリュームは前作に劣らない。 --いずれのメインダンジョンも、ダンジョン全体の構造をダイナミックに変化させる大掛かりな仕掛けが用意されているのが特徴。特に4つ目のメインダンジョン「ロックビルの神殿」の変化はインパクトが強い。 --ダンジョン数が少ないため、メインストーリー進行に伴い自然に入手できるハートの器がシリーズ他作品に比べて圧倒的に少なく、これも難易度が高めな一因。 ---その辺への考慮か、奈落に落ちたりしてもダメージを受けなくなり、全体的に敵から受けるダメージも減っている。またライフがゼロになってもゲームオーバーにならずダンジョンの入り口に戻されるだけで済む。 ''ホラー風の演出とオリエンタルな世界観が合わさった異色の雰囲気'' -本作の世界観はオリエンタルでごった煮なもの。街もダンジョンも自然を生かした非常に個性豊かなデザインで、王道的な西洋ファンタジーの要素が強かった前作とは対照的。 --地味なところでは、前作のオカリナメロディは「プレリュード」「メヌエット」「ボレロ」など、伝統的なクラシック音楽を題材にしていたのに対し、本作では「ソナタ」「ララバイ」「ボサノバ」「エレジー」と、無国籍かつバリエーション豊かになっており雰囲気作りに一役買っている。 -また「''こんどのゼルダは【こわさ】がある。''」というキャッチコピー通り、全編通してホラーチックな独特の雰囲気が演出されている((ただし前作『時のオカリナ』でもホラーチックな雰囲気や演出は多かったため、作風が変わったというより、演出の方向性が特化されたというと言うべきだろう。))。 -これらの融合により醸し出される「原住民が崇める仮面に秘められた呪いの伝承」といったイメージの作風は、シリーズ内でかなり異色である。 --実際、BGMからして怖さがある。 -仮面をつけて変身する際に流れるムービー((2回目以降はスキップできるものの、初回に変身する際は必ず見ることになる。))に至っては、リンクの表情は仮面の呪いをかぶるホラー映画そのもののおぞましさ。攻略に役立つ便利アイテムを使用した際の演出にはとても見えない。 -3日目にかけてプレイヤーの焦燥感をあおるような演出がなされる。 --2日目には街の音楽のテンポがアップする。 --3日目には更にテンポアップし、不安や不快感を感じるベースノートを追加。また更に時折地響きが起こる、空には月が凄まじい形相でじわじわと接近してくるなど、プレイヤーの恐怖と焦燥を煽る演出が満載。 ''きわめて個性的なキャラクター'' -キャラクターは前作にも増して個性的でヘンテコな人々が多い。 --本作の世界観は前作『時のオカリナ』のパラレルワールドという設定の為、同作からポリゴンが流用されているキャラも多い。前作では只の端役だった「コッコねえさん」が、本作ではストーリーの裏の主役の一人とも言える「アンジュ」として登場するなど思わぬ役回りの変化もあり、前作をプレイ済のプレイヤーにはこれまた独特の印象を与える。 --個性豊かなキャラの中で一際異彩を放っているのが自称・妖精の生まれ変わりで緑色の全身タイツという出で立ちである35歳の%%ヘンタイ%%おじさん「チンクル」。 ---そのファンシーな格好や強烈過ぎる言動は多くのプレイヤーにインパクトを与え、後のシリーズにもちょくちょく登場し、遂にはスピンオフ作品(『[[もぎたてチンクルのばら色ルッピーランド]]』『[[いろづきチンクルの恋のバルーントリップ]]』他)で主役を務めるほどになった。 **評価点 ''大ボリューム、完成度の高さ'' -2つの時間を行き来しハイラルを駆け巡る前作に比べると探索範囲自体は狭くなったが、その代わりイベントの量と奥深さは格段に増している。 --ダンジョン1つ1つは非常に大規模で、メインシナリオだけ見てもボリュームはかなり大きい。 -また、ゲーム史に残る名作と名高い『時のオカリナ』と同じフォーマットを使用しているだけあって、ゲームシステム自体の質の高さは折り紙付き。質の高い謎解きと、3D世界を探索する楽しさ、そして黎明期にして既に完成された3Dアクションを味わえる。 -前作では終盤になるとほぼ使い道がなくなったルピーに、集めることによる明確なメリットが登場している。 --最終的には5000ルピーもの莫大な金額が必要になるが、逃げる草むらを一度に全て刈れば20ルピーが得られることや、初日に戻ればルピー入りの宝箱がリセットされること、宝くじの当たり番号が変わらないことなどを活かせば意外なほどスイスイと貯まる。 ''更に豊富になったアクション'' -前作に登場した豊富なアクションの大半が続投されつつ、更に3種の仮面ごとに違ったアクションが用意されている。 --ダンジョンごとに各仮面の特徴をフル活用して解く謎が用意されており、前作とはまた違った謎解きが楽しめる。 --これに合わせ、敵キャラの行動などは前作にも増して洗練されており、爽快なバトルアクションが楽しめる。 --前作で活躍の場がないことが公認となっていた「氷の矢」も、本作では謎解きに大いに活躍するようになっている。 ''世界観の作り込みの深さ'' -3日間システムを巧みに利用し、キャラクターと世界が非常に深く作り込まれている。 --大半の登場人物に3日間の時間経過に合わせた行動スケジュールと台詞が用意されており、同じ場所で同じことだけを言い続けるようなモブキャラはほとんどいない。 ---特に拠点となるクロックタウンの住民はその多くに詳細なタイムスケジュールが設定されており、リアルな生活感が細やかに演出されている。 --単にサブイベントをこなすだけでも相当な量だが、それ以外にも、被ったお面によってセリフの反応が変わるキャラが多数いたり、イベント進行に必要でない会話の中にも重要な設定が隠されていたり((本作の重要なサブキャラクターであるカップルは、実はある脇役を交えた三角関係だった、など。))と、世界の作り込みが非常に細かく、時間経過で変化する世界を深く堪能できる。 ''良質なBGM'' -前作からの流用も好評の他、本作初登場の曲も一風変わっていながらも評価が高い。機械仕掛けのダンジョン「グレートベイの神殿」はダンジョンの特徴である「機械」を彷彿させるようなサウンドを用いたスリリングな曲、「ロックビルの神殿」は表と裏でアレンジが異なるがどちらも完成度が高い。 -フィールドBGMが、過去作同様に「初代フィールドBGMの純粋なアレンジ曲」になった。ゲームの世界観に合わせてなのかマイナーキーで曲後半にいくにつれてダークになる。 --前作ではゼルダの伝説ではお馴染みのフレーズを部分的に残しつつも曲構成が大胆に変更されていた。それはそれで低評価ではなかったが、ゼルダの伝説の代名詞ともいえる曲だっただけに復活を喜んだプレイヤーも多かった。 **賛否両論点 ''クセの強い世界観と演出'' -前作でも多少は挿入されていたものの、「オリエンタルな雰囲気」や「怖さ」を意識した演出が今作では明らかに多い。ゼルダファンがこのような世界観を好むかどうかは意見が分かれ、また子供には怖すぎるという意見も多い。 --もっとも、先述のキャッチコピーを見てもわかる通り「そういう作品」であることは当時積極的にアピールされており、怖い演出が苦手な人は最初から手にしなかったとも思われる。 --また「怖い」といっても「グロ」が際立つような演出ではなく、ある意味「健全な怖さ」である。 -本作のファンからは本作の世界観こそ至高であるとする意見も根強く、世界観的には好みが大きく分かれる作品と言える。 ''クセの強い3日間システム'' -プレイに常に緊張感を与える時間制限システムは、本作の雰囲気作りに大きく貢献しているが、これまたクセの強さから人を選ぶ要素にもなってしまっている。 --まず、時間制限と「ダンジョン内の謎解き」というゼルダの基本システムはそこまで相性が良くない。 ---「難しい謎解きを前にじっくり考え、持っているアイテム総動員させ試行錯誤した末に突破する」という従来作のプレイスタイルが、時間の概念にてやりにくくなってしまっている。 ---また、攻略の途中で3日目の終わりが迫ると「時の歌」で初日に戻ってまた同じ謎解きを最初から解き直す必要があるため、どうしても作業的に感じられてしまう。 ---ボス戦が長引き、3日目の終わりでボスを倒しきれなかった時は強制的に1日目の朝へ戻らざるを得なくなり、虚しさもひとしお。 --このため、ひとまとまりのダンジョンやイベントを3日間(リアルタイムで約1時間)でクリアできるよう、段取りと時間を立てた攻略が求められる。 --また、今作には3日間いっぱいかけて複数の条件をまとめてクリアすることで進行していく大掛かりなサブイベントも存在し、当然「時の歌」を使うとこれらの状況もリセットされてしまうため、1度のゲームプレイで必要なイベントをこなせるように、行動管理する必要がある。 ---ダンジョンの攻略にはメロディやキーアイテムの入手によるショートカットといった再訪時の手間を減らす要素もあるが、サブイベントには基本的にそのような措置は無い。 --なお、本作には時の流れを遅くできる「時の逆さ歌」という救済手段が用意されている。これを使えばゲーム内の時間が進むスピードを1/3にできる(クリアにかけられる実時間が3倍に増える)ため大幅に余裕ができる。 ---これを使うかどうかでやり直しの手間が大きく変わり、初見プレイヤーにとってはこれの使用を前提とした難易度に見える。しかしこの歌はメインシナリオで明示されず、世界を探索してようやくヒントが得られるなど隠し要素に近く、当時これを知らずに短い時間制限に苦しめられた人も少なくなかった。 ''膨大で少々オトナなサブイベント'' -サブイベントの豊富さは随一で本作の特徴の一つだが、難易度の高さと演出内容は賛否が分かれるところ。 --多くのサブイベントは3日間システムの中で起こせる時間と場所が限定されており、存在を知らなければそもそもイベントを起こすことすら困難なものも少なくない。攻略情報無しでコンプリートしようとすると相当な難易度である。 -このサブイベントもまた、作品全体の雰囲気に合わせたオトナな人間模様やオカルトめいた事件を描いた演出が多く、これまた人を選ぶ面が否めない。 --子供が見ても本当の意味を理解できないようなディープなイベント内容が少なからず見受けられるが、そこが大きな魅力でもある。 ---本作の主人公は子供リンクであり、イベント後の無邪気な感想コメントなど、子供目線を通すことでオトナな雰囲気を緩和する意図も読み取れる。 ''全体的な謎解きやアクションの難易度の高さ'' -3日間システムの難易度も高めだが、リンクのアクションの種類が増えたこともあり、アクションや謎解きも前作に比べ正確な操作を要求される局面が多い。 --ゲーム最序盤の「デクナッツ姿から元の姿に戻る」までのイベントすら、かなり複雑な手順を必要とされ、初っ端から躓いてしまうユーザーも多かった。 ---しかもこの期間は時間の流れが普段より速く設定されており、かつオカリナが無く先述の「時の逆さ歌」が使えないのも難易度の高さを後押ししている。 --ダンジョン内では精密なアクションを要求される場面も多い。 ---1つめのメインダンジョンから「動く床を渡って行く」場所があり、まるで『3Dマリオ』のようなタイミング調整や操作テクニックを求められる。 --一部ボス戦の難易度も高め。 ---2つ目の神殿のボスは「ゴロンの仮面」を装備して敵を追跡する戦闘となり、レースゲームのような固有の操作が求められ、この手の操作が苦手な人には辛いところ。ただし、多少時間はかかるが安全かつ露骨な救済措置はあり、その気になればレースをせずに完封することは容易。 ---3つ目の神殿のボス「グヨーグ」は本作屈指の強敵。水陸を切り替えて戦うバトルで、頻繁な変身と解除、水中への狙撃、水中からのジャンプ脱出、などと正確で素早い操作が要求される((リメイク版では修正が加えられたが、そのせいでさらに難易度が上がったとする意見もある。詳細はリメイク版の項目を参照。))。 ---ただ、1番目と2番目のダンジョンについてはクリア後にサブイベントが豊富に用意されている一方、グヨーグを倒すことが条件となっているサブイベントはごく限られており、特にお面関係のイベントは皆無。これは、ゲーム全体の設計として、サブイベント攻略のために繰り返し挑戦する必要があるため1番目と2番目は弱めに、グヨーグはそのような配慮が必要ないので強く調整されていると考えられる。 --前述の通り、メインストーリーの進行のみでは得られるハートの器の数も少なく、本来オプションであるハートのかけら・はぐれ妖精・お面の収集といったサブ要素での強化をこなさないと結果的に辛くなる。 ---それらによって得られる物の中には強力なものもそれなりに多い。シリーズお馴染みのアイテムである「バクダン」は、本作においては序盤は必須アイテムではなく、オプション的に手に入れることができるのだが、序盤から入手することで楽になる場面がそれなりにある。他にも海賊の砦攻略が大幅に楽になる「石コロのお面」や、はぐれ妖精コンプリートでMPや防御力が2倍になる等。 ---ハートのかけら1つ入手するにしても複雑な手順を踏ませるものや操作の要求難度が高いものが多いため、本編を楽に進めたいがために手間をかけて一苦労、という本末転倒な事態にも。 --マップが広大なこともあり、お面の中では移動速度を強化する「うさぎずきん」が余りにも便利すぎる感がある。 ---正直、他のお面・仮面が必要な場面以外はほぼうさぎずきんを装備しっぱなしでもいいぐらいであり、手慣れたプレイヤーなら自由行動が解禁され次第速攻で3日目まで時間を進めてずきんをゲットする。そのため、本作のリンク=ウサ耳という印象のプレイヤーも多いとか。 **問題点 ''不親切なセーブの仕様'' -国内のN64版では''「時の歌」を使用した時にしかセーブが行えない''。先述したように時の歌を使うとダンジョン攻略やイベント進行は最初からやり直しになってしまうため、自由なタイミングでセーブ・中断ができないという厳しい仕様。 --この煽りを最も受けるのが本作最大の超大作サブイベント「アンジュとカーフェイ」で、1日日から3日目まで細かいイベントをこなしてフラグを成立させ、3日目の終了間際のミニゲーム(パズル&バトル)をクリアすることで達成を迎えるという3日間をフルに使うものとなっており、最後のミニゲームで失敗すると最初からやり直しになってしまう。そのミニゲームまでの戻す辛さは半端ではなく、挫折したプレイヤーも多い。 ---意地の悪いことに、このイベントの終盤ではある「お面」・「あきビン」のどちらか片方を手に入れられるようになっており、両方手に入れるためには最低2回このイベントを終盤まで進める必要がある。 --時の逆さ歌を使った場合は3日経過するのに3時間以上かかることもあるため、その間はぶっ続けでプレイしなければならない。N64版は据え置き作品であるため少し空いた時間に気軽にプレイ、というのも難しい。本作の取っ付きづらさの大きな一因になっている。 --海外のN64版とそれを元にしたGC『ゼルダコレクション』版では、「大翼の石像(ワープポイント)」から中断セーブが可能になりかなりプレイしやすくなった。 --ただしWiiのバーチャルコンソール版は国内N64版準拠であり、VCの中断機能も利用できないので注意((WiiのVCはプレイ中にホームボタンを押して終了すると状況を記録しておいてくれる中断機能があるが、64やNEOGEOのソフトはこの機能に対応していない。))。 ---WiiUのバーチャルコンソール版は「まるごとバックアップ」機能があるので中断が可能。非リメイク版を今から遊ぶならこちらを推奨。 ''消費物を失う仕様と、中途半端な補給地点'' -先述の通り、1日目の朝へ戻ると矢、バクダンなどの消費物が失われる仕様だが、いずれも冒険にほぼ必須のため、ロード後を含め1日目はまずその補給を余儀なくされる。 --多くのワープポイントの近くにはそれらの補給地点が用意され負担軽減が図られているが、一方で1回に得られる量が中途半端であり、最大限補給するには何度かマップを切り替えて作業を繰り返す必要がある。 --「なくても困らないが、苦労して補給すると強力」な物品ならまだしも、ほぼ必須のアイテムを必ず失い、かつ直後に機械的な補給作業を強制させられる形であり、ストレスがたまりやすい。 -一方で剣や盾、矢立てや爆弾袋、ボンバーズ団員手帳などの消耗品に近い日用品、手に入れたお面などの一点物については1日目の朝に戻っても状態が保存されている。 --それらまでリセットされてしまうと武器などを取り返すところから膨大な時間がかるため、ゲームとして成り立たないのは理解できるが、これらが保持される理由についての説明について作中では特にない。 ---銀行に預けたルピーが保存される仕組みについては作中でちゃんと合理的な説明がされている((銀行のハンコが押され、見えない跡で記録される))ので、なおさら消耗品だけ失われる点の違和感が浮き彫りになっている。 ''ミラーシールドの仕様'' -盾に不気味な表情の顔の模様が描かれていて、人によっては見ていて不快である。 --その上、一度入手しが最後それまでの盾に戻せない。 ---「時のオカリナ」ではそれまでの盾に持ち変える事ができた。 ''演出がスキップできない'' -3日間システムの都合上、同じイベントや各種演出を何度も繰り返し見ることになりやすいのだが、一度見たイベントでもスキップなどは行えない。 --仮面を装着した際の演出だけは、2回目以降を飛ばせる。 ''その他'' -月内部とそのミニダンジョンでは、任意のお面を子供に渡さなければならないのだが、このダンジョンの中には、「まことのお面」を使うと各お面の入手法のヒントが聞ける「ゴシップストーン」がいくつも存在する。 --どうせ最後だからもう使わないだろうと思って「まことのお面」を早々に渡してしまうようなプレイヤーにとって罠のような設計。既に多くのお面を入手済みの場合は「あのお面はダレダレが持っていたらしい…」旨の大した情報ではないのだが、初見ではどんな情報を教えてもらえるかは分からない。 -グレートベイの神殿に行くために必要なイベントのキーアイテム「ゾーラのタマゴ」がたった20ルピーで売却できてしまう。 --1つでも売ると攻略に必須な曲が覚えられずそこから先のイベントに進めないため、1日目に戻るしかなくなる。もっとも、売るためには深夜のクロックタウンへ戻る必要があるので、わざとでない限りは発生しないが。 -ハートのかけら入手イベントである「ポストマンのイメージトレーニング」が異様に難易度が高い。 --10.00秒ぴったりでストップウォッチを止めるのだが、何も準備していないと途中でタイマーが消滅し目隠しで当てることになる。ウサギずきんをつければタイマー表示されるが、0.01秒でもズレたらアウト。とても狙って出せるものではない。2回目以降2ルピー取られるので、消費はわずかだが成功まで繰り返すのも準備が必要になる。 ---- **総評 異質な雰囲気や高い難易度が原因で敬遠されるためか、前作に比べるとそこまで知名度は高くないものの、ゲームとしての完成度と作り込みは全く劣っていない。&br; 『時のオカリナ』をクリアしたプレイヤーなら特にそのハードルは低く、新たなストーリーとアクションを存分に楽しめるだろう。&br; &br; 3日間システムという以降のリアルタイムゲームを先駆したシステムは革新性が高く、独特の世界観に魅了されたファンも多い。&br; 独特のシステムとこわい雰囲気から「万人向け」とはお世辞にも言えないものの、当時任天堂が傾倒していた「ゲームらしいゲーム」を体現しきった作品といえ、&br; ゼルダファン、アクションファンなら一度プレイするだけの価値は十二分にある。 ---- **余談 -タイトルに反してゼルダが登場するのは回想のほんのワンシーンだけであり、時々ネタにされる。 -N64版は遊ぶためにメモリー拡張パック((以前は「ハイレゾパック」という名称だったが、改名されただけで実質同じもの))が必要。同機器の同梱版と非同梱版の両方が生産された。 //--メモリー拡張パックの採用により、登場人物が時間通りに行動し生活している雰囲気を演出する等を可能にしている。 //--また、前作では1体ずつしか向かってこなかったリザルフォスが2体同時に向かってくるなどの処理の高速化にも利用されている。 //これは雑誌のインタビュー記事からの出典です。 //--ちなみに不確かな情報ではあるが、このメモリー拡張パック、ゲーム中のとあるムービーのためだけに必要だという情報がある。しかし[[開発者インタビュー>https://www.nintendo.co.jp/nom/0008/majora/page02.html]]と矛盾しており、少なくともムービーのため"だけ"というのは誤りであろう。 //とりあえずメモリー拡張パックについての事柄を編集してみました。個人的にもムービーのためだけに必要だったという情報元は、ぜひ知りたいところ。 //情報元が明らかになるまでCO。 -N64版ではセーブ回数(時間を戻した回数)が記録される。セーブ1回(つまり必須イベントである初回以降はノーセーブ)でクリアするルートも開拓されているため、腕に覚えがあれば文字通り3日間で世界を救うことも可能である。 -ある条件を満たすと手に入る「鬼神の仮面」は、被るとリンクの姿が大きく変貌する。この形態の通称「鬼神リンク」は、その圧倒的な戦闘能力と今までにないダークな雰囲気を漂わせる風貌から人気が高い。ボス戦でしか使用できないのが勿体無いと惜しむファンも多く、後のシリーズの再登場に期待する声も多かった。 --その人気に答えてか、『[[大乱闘スマッシュブラザーズ for Nintendo 3DS / Wii U]]』ではリンクのカラーチェンジの一つとしてこの鬼神リンクをイメージしたものが登場しファンを喜ばせた。色だけでなく顔の変化も原作通り。 --また『[[ゼルダ無双]]』ではDLCキャラクター「子供リンク」の変身形態として登場。その高い戦闘能力を思う存分発揮できる。 --『[[ゼルダの伝説 ブレス オブ ザ ワイルド]]』では本作のリンクのamiiboを使用することで鬼神リンクのコスチュームを入手できる。独特な形状の両手剣もきっちりと再現されており、実際にこれを用いて戦闘することが可能。 -開発当初は『ゼルダの伝説 外伝』というタイトルだった。 この時点で「仮面による変身」「3日間システム」は存在していたようである。 -前作同様に姫川明氏による漫画版も存在。 --設定に変更が加えられており、お面屋の顛末が変えられている他、巻末には「ムジュラの仮面」そのものの出自に関する短編も存在している。 ---この短編は『ムジュラの仮面』本編ともまた異なるかなり異質な雰囲気の作品で、リンクもスタルキッドも登場しない。一応は前日譚に当たる存在ではあるが、現在の公式設定に含まれるかは不明。 -2022年2月25日より『[[NINTENDO 64 Nintendo Switch Online>ファミリーコンピュータ Nintendo Switch Online]]』の追加タイトルとして配信が開始された。 ---- *ゼルダの伝説 ムジュラの仮面 3D 【ぜるだのでんせつ むじゅらのかめん すりーでぃー】 |ジャンル|アクションアドベンチャー|&amazon(B00S66U7ZI)|&amazon(B00S6CBP62)| |対応機種|ニンテンドー3DS|~|~| |発売元|任天堂|~|~| |開発元|グレッゾ|~|~| |発売日|2015年2月14日|~|~| |定価|パッケージ/ダウンロード:4,700円&br()本体同梱:23,000円|~|~| |判定|BGCOLOR(lightgreen):''良作''|~|~| |ポイント|細かい改善点が光るが、改悪された部分もある移植&br()一部ボス・ダンジョンの難易度が上昇&br()全体的に親切設計&br()最後の神殿のボスに恥じぬ強さを得たツインモルド|~|~| ---- **概要(3D) ファンの間で長らくリメイクが待望されていた『ムジュラの仮面』の、原作から14年の時を経た3DSリメイク版。~ 同じく3DSでリメイクされた『[[ゼルダの伝説 時のオカリナ 3D>ゼルダの伝説 時のオカリナ]]』と異なり追加・変更要素がかなり多め。 **評価点(3D) -グラフィック面の向上。 --グラフィックがハードに合わせて向上した。原作では表現できなかった微細な模様やキャラの表情の変化もより分かり易くなった。立体視にも対応。 -原作における不親切な部分の改善(以下一例)。 --原作(国内N64版)では「時の歌」を用いて1日目に戻った際にしか進行状況のセーブができなかったが、今作では各地のワープポイント(大翼の石像)にて自由にセーブすることが可能になった。 ---更にデクナッツの城といった重要な施設や各ダンジョンの入口付近等の多数の地点にセーブ用の石像が追加された。 ---セーブの自由化およびセーブポイントの大幅増加によって、原作はもちろん海外版・ゼルダコレクション版と比べてもゲームの中断がより行いやすくなり、プレイする上でのハードルが大きく下がった。 //---原作では3日間システムを採用している関係でイベントの中では手順を間違えたりして失敗してしまうと1日目の冒頭からやり直しになってしまうという非常にきつい問題点があったが、セーブポイント変更によって失敗した部分の直前までやり直せる様になったのは褒められる。特に数多くの手順を踏まされやすいアンジュさんのイベントは今作(というか海外版及びゼルダコレクション版)で改善されたと言っても過言では無い。 --銀行の位置がクロックタウン西から、南の大翼像前(つまり時計台の裏)に移動。これにより銀行へ行く手間が減った。 --「大翼の歌((演奏すると各地のフクロウ像にワープできる。))」取得タイミングが「ウッドフォール直前」から「沼地に初めて入った時」へと大幅に前倒し。 ---ワープを利用できるようになるタイミングが早くなった事によって、序盤から忙しくタルミナ平原を駆け回る必要が無くなった。 --「あきビン」が1個追加されて7個に。またウッドフォールクリア後のコウメの射的ゲームの景品があきビンに変更されている((原作で6個目のあきビンがあった場所と入れ替わっており、こちらはハートのかけらになっている。7個目のあきビンは追加されたサブイベントで入手する。))。 ---沼地で入手できる「あきビン」が2個に増加した事によって、沼のクモ館の攻略や山里の温泉運びといった序盤のイベントを有利に進められる様に。 --知恵の大妖精と力の大妖精が入れ替わっており、大回転斬り修得前に魔力ゲージをアップ出来るようになった。 ---大回転斬りの取得タイミングが遅くなった事により攻撃面ではやや不利になった面はあるものの、代わりに序盤から魔力ゲージが2倍に増える事によって、その次に訪れる事になるスノーヘッド地方にまつわる様々なイベントを有利に進められる様になった。 --コレクトアイテムを使う際、アイテム画面から直接使えるようになった。 ---以前の作品ではアイテムを使う距離が悪いとNPCが反応しなかったり空きビンの中のアイテムを誤ってプレイヤーに使用してしまうなど、誤操作による所謂「暴発」が起こりやすかったのだが、今作では仕様上誤操作しにくくなったため、結果的に改善点となっている。 --ボンバーズ団員手帳の利便性アップ。 ---3DSの二画面機能・タッチ機能を上手く活用しており、いつ・どこで・だれが・何をした・何を貰ったといった、原作に比べ細かな情報が確認できるようになった。 ---また、アラームをセットする事が可能になり、セットした時間になるとチャットが教えてくれるようになった。 ---手帳の入手も最初の時間巻き戻しの後にお面屋からもらえるようになり、ボンバーズとのおにごっこをする必要がなくなった(おにごっこイベント自体は残っている)。 ---代わりに手帳入手後にボンバーズに話しかけるとイベントのヒントとなる噂を教えてもらえるようになった。 --拡張スライドパッド及びNewニンテンドー3DSのCスティックによる自由な視点変更にも対応している。 --2回目以降にスキップ可能になるムービーが増えた。 ---3DS版でスキップ可能になったムービーは「時の歌」関連の2曲と「大翼の歌」の3種類。どちらも使用頻度の高い要素であったことから、スキップが可能になったのは純粋に褒められている。 --海洋研究所前の足場が「水面より少し高い位置」から「水面と同じ高さ」に変更。これにより水面ジャンプをしなくとも登れるようになった((原作ではゾーラリンクの固有アクションである水面ジャンプで上がる必要があったが、ヒントが無く操作がシビアなため地味な詰まりポイントだった。これは海外版とGC版からの変更点。))。 ---またゾーラリンクによる水泳が簡略化。より直感的な水中操作が可能となった。 --月内部のゾーラダンジョンの構造が大きく変わった。 --ロックビルの神殿における巨人の仮面の入手タイミングが変わっているなど、ダンジョン内の細かい変更点も多数。 --ボス戦が全面的に刷新された。 ---いずれも行動パターンや攻略方法が大きく変化しており、原作を知っていても新鮮な感覚でプレイできる。 ---各神殿の大ボスには共通して「目玉のような形の弱点部位」が追加されており、手順は違えど最後は必ずこの弱点を狙ってダメージを与える形に統一された。 ---ただし、ツインモルド戦のみかなり難しくなっている。詳細は後述。 -その他の追加要素 --『時のオカリナ3D』にも存在したヒント機能・シーカーストーンが導入された。 ---シーカーストーンの仕様自体は基本的に前作と同様だが、前作では一つのカテゴリにまとめられていたフィールド関連が地方毎に細分化。インターフェイス面も見やすく改善されていて、複数のページに割り振られていた各エリアのカテゴリも1ページに収まるように変更されている。 ---さらに新たにハートのかけらとはぐれ妖精のヒントが写真という形で掲載されるようになった。 ---ただし本作には1カ所、クロックタウン時計台地下にしか存在しない。 --前作では上画面に表示されていた現在のエリアのマップが下画面に表示されるようになった。 ---エリアマップが分割画面に表示されるようになった事に伴い、一般的なDSシリーズで発売された探索形式のゲームに近い体裁になったと言える。 --『時のオカリナ』で好評だったミニゲーム、「つりぼり」が追加。 ---「沼のつりぼり」と「海のつりぼり」の2カ所が用意されており、「沼」は沼地への道中、「海」はゾーラホールの外辺りに設置されている。 ---内容は『時オカ』におけるつりぼりを更に進化させたもので、ルアーや天気・時間帯だけでなく着用しているお面によっても釣れる魚が変わるという、凝った作りとなっている。 --ゴーマン座長に関するイベントが追加された。 ---「月が落ちてきたことにより公演が中止になったことを一座のメンバーに打ち明けられず塞ぎ込んでいるゴーマン座長を救う為、彼の兄弟やリンクが奔走する」という内容となっており、原作では単なる悪人として描かれていたゴーマン兄弟関連にスポットを当てただけでなく、中間管理職の悲哀や兄弟愛を描いたシナリオは「ゴーマン三兄弟が一気に好きになった」と好評。 ---加えて原作では使用法が殆ど無かった「座長のお面」((原作でも「ミルク運びイベント時に装備すると敵が攻撃してこなくなる」という効果があるのだが、そのミルク運び自体がこのお面の入手に必要なイベントの一部であるため周回時の小ネタの域を出ておらず、攻略上ラストダンジョンでのお面の数合わせ以外に用途がなかった。))が、このイベントでは重要な役割を持つようになった。 **賛否両論点(3D) -「時の逆さ歌」の弱体化 --時間の経過速度が1/3→1/2に変更された。ゲームバランス的に1/3では便利すぎたかもしれず、セーブが容易になったことからある程度妥当な調整とも言える。 --そもそも携帯機である3DSでは、1/3にして3日間フルにプレイするとバッテリーがもたない可能性が高い。 --しかしこの弱体化によって、「最序盤で『時の歌』を使用した後は、二度と『時の歌』を使わず一気にゲームをクリアする」という3日クリア(ノーセーブクリア)のやり込みがより困難になった。 ---エポナなしでのグレートベイ侵入のバグ技が修正されたこともあり、現実的に3日間クリアはほぼ不可能に近いが、一応達成した動画は確認されている(別のバグ技を使用しているが…)。 -月の表情が変更された。 --原作ではどこか虚ろで不気味な表情だったが、今作では鬼のような怒りの形相で感情剥き出しになっており、「(表現が単調になって)逆に怖くなくなった」という意見も。 -時計のデザイン変更 --画面下部に表示される時計のデザインが、原作のアナログ式のものからバー形式に変更された。 --現在時刻が分単位まで数字で表示されるようになりわかりやすくなったものの、原作の凝ったデザインは雰囲気があり好評だっため残念がるプレイヤーも多い。 -月内部のグヨーグのミニダンジョン(ゾーラダンジョン) --ゲームクリアに必須ではないやり込み要素的なダンジョン。原作では水中の通路をゾーラリンクで泳いでいき、時折左右にルートが分岐しており正解のルートを進まなければスタート地点に戻されるというシンプルな内容だった。 --今作では正解のルートを通るだけでなく、ゾーラリンクで飛び魚のようにジャンプするという特殊なアクションを一発で成功させることを数回繰り返さなければクリアできないようになっており、今作の中でも屈指の操作難度のダンジョンとなっている。 --原作ではやや簡単過ぎたのに比べるとやり応えは増しているものの、長丁場な上に一度でも失敗すれば最初からやり直しになるのはいささか難しすぎる感がある。 -つりぼりについて --ゲーム自体は作り込まれているものの、『時オカ』とは異なり『ムジュラ』には3日間という制限時間がある為、糸を垂らし、ただのんびりと時が過ぎるのを楽しむというつりぼりのゲーム性と本作の時間制限システムはあまり噛み合っていない。 //---ましてや3日目ともなると落下する月の影響で時折地響きが起こるようになり、とてもじゃないがのんびりしていられるような雰囲気ではない。 //--このミスマッチ性から、つりぼり自体の不要論を唱えるプレイヤーもいる。本作はただでさえメインダンジョンが4つしかない等、ゲームボリュームが少ない事が問題とされているのだから、取って付けたようなつりぼりではなく、シナリオや世界観上の更なる深掘りとなるイベント等を追加した方が好評を得られたかもしれない。 -一部の親切過ぎる変更点。 --最たる例は「まことのメガネ」を使わないと姿が見えない兵士''「シロウくん」の位置''。 --シロウくんは赤いクスリを渡してあげることで、「海賊の砦」を攻略する際などに役立つアイテム「石コロのお面」をくれるキャラクター。原作ではシロウくん自身が居るのは「海賊の砦」の所在するグレートベイ地方ではなく、その後に訪れることになるイカーナ地方への道中であった。そのため原作では「海賊の砦」攻略後に「石コロのお面」を入手して泣きを見たプレイヤーも多かった((直後のネジロンの出現を抑制出来るなど、使い道が無いわけではない。))。 ---しかし本作でシロウくんが居るのは何と''「海賊の砦」の中''。しかも監視櫓のハシゴ下という、プレイヤーがほぼ100%通過する目立つ場所((砦への侵入ルートとして有効である他、重要アイテム「女海賊の写し絵」を最も入手(撮影)しやすいのがこの櫓の上である為。))であり、ご丁寧に''プレイヤーがその付近に近付くと会話デモが挿入され呼びかけてくる''ので、殆どのプレイヤーがシロウくんを見逃さないシステムとなっている。 --この変更については、原作に比べて不親切さが減って単純に分かり易くなった、お面を有効活用出来ると評価する声もある。 ---その一方で、シロウくんというキャラのブレを指摘する声もある。「必死に呼びかけているのに誰にも気づいて貰えない」という強烈な存在感の薄さが持ち味のキャラクターだったのだが、リンクに呼び掛けられるのならその悩みは無い筈であるし、そもそも「海賊の砦」に単身乗り込める程に豪胆なキャラクターならば赤いクスリを届けてやる必要もないのでは。 --また進行の都合上、「海賊の砦」では多量の空きビンが必要なため、初回攻略時にプレイヤーがクスリをビンに入れている可能性は低い。そのためシロウくんを発見した後、町にワープしてクスリを買って戻ってくるという二度手間になりやすい。 ---そして本作の位置だと、町から戻る時も原作と違い即座にとはいかず、再度迷路を通る必要がある。「フックショット」があればショートカット出来るのだが、入手するには少し先に進まなければならない。 --この変更点は原作プレイ済の人間に対しては一種の''罠''として機能しており、発売当初はシロウくんを探してイカーナを方々歩き回る人が続出した。 -アイテムセットの方式変更。 --『時オカ3D』ではアイテムをタッチした後、次にセットしたい場所をタッチするかボタンを押すことでセットしていたが、今作では二度目のタッチによるセットができなくなり、代わりにアイテムをセットしたい場所までスライドさせる方式が追加された。 ---マウス操作で例えるなら『時オカ3D』は「アイテムクリック→セットしたい場所をクリック」なのに対し本作は「アイテムをセットしたい場所までドラッグ」といった感じ。 --これはこれで直感的なのだが、前作の方式の方が良かったという意見も。 --他にも『時オカ3D』や原作とは操作が異なる箇所が多いため、プレイ感覚はかなり違っている。 -原作では様々な場所を凍らせることが出来た「氷の矢」は便利過ぎたのか、特定の場所しか凍らせることが出来なくなった。 --ただ、今作における「氷の矢」で凍らせる地形にはエフェクトが存在していたり雑魚敵にも別の色が付いていたりと所謂「目印」が付けられていて、該当ポイントではどのようにして進むのかが分かりやすくなっている事から、結果的に一長一短に。 -ボス戦の変更点について --前述のように大ボスには弱点が追加され、これを露出させる手順なども新たに用意されたことで、戦闘形式も原作から変更されている。 --例えばオドルワ戦ではデク花が追加され、デクナッツリンクを積極的に活用して戦うようになった。原作ではむしろ使わない方が楽だったが、デクナッツ用のギミックが多い神殿の戦闘で変身能力を用いないのもやや不自然と言えるため、変更点としては妥当な範疇である。 --一方グヨーグ戦は、最初こそ弓矢だけでダメージが入るため楽になったが、新たに追加された後半戦では陸地が消滅し完全な水中戦に移行するように変更された。グヨーグの強さは水中における立ち回りが関係していたため、この変更から総合的な難易度はさほど変わっておらず、「グヨーグが強敵」という評価もそのままである。 ---また、陸地が消滅する関係から鬼神リンクによる戦闘を続行出来なくなり、結果的に「鬼神の仮面」の活用範囲も狭くなってしまっている。 -高難度モードは存在しない --近年におけるゼルダの伝説シリーズでは、通常モードでは物足りないプレイヤーのために被ダメージの上昇したハードモードが存在している事が多いが、本作では残念ながら実装されなかった。 --一応、原作はシリーズ経験者向けということもあり、元から謎解きとアクションの難易度が高く設定された作品ではある。とはいえこれでも物足りないという声も挙がっているのは事実である。 **問題点(3D) ''ツインモルド戦の難易度が過度に増した'' #region(ネタバレにつき格納) -ロックビルの神殿ボス「ツインモルド」はゼルダ伝統の「モルド」系に属する1対のムカデ型ボスであり、リンクの数百倍はあろうかという凄まじい巨大さを武器に圧倒してくる、ムジュラプレイヤーにとって非常に印象深い敵である。リメイク前『ムジュラ』では「巨人の仮面」により巨大化して剣で戦うのが常道だが、巨大化せずに弱点の頭や尻尾を弓矢で狙うことでも倒せた。 -こちらもリメイクにあたって戦法が抜本的に変わっている。戦闘開始時点では「巨人の仮面」が無いため、まずは巨人化せずに青いツインモルドを弓矢で倒すことになる。 --しかし、赤いツインモルドが火の玉などで攻撃してくる上に食らうとなんとハート2個分のダメージ。身の回りに気を配れるようにならないと第一段階のクリアは難しい。まさに大型仮面虫らしいそれに見合った強さとも言える。 -青いツインモルドを倒すと「巨人の仮面」を入手でき、巨人化して赤いツインモルドと戦う第二段階となる(なお今作では巨人化しないと赤いツインモルドは倒せない)。 --本作では巨人化中は走れず、歩く速度もかなり遅いが、歩幅が異常に広い。剣や盾・アイテムを構えることが出来なくなり、Bボタンは「パンチ」となる。また大岩を掴んで投げられるようになる。~ そしてツインモルドに一定ダメージを与えて動きを止め、''ツインモルドを掴んで投げたり絞め技を決める''のを3回繰り返すことで撃破できる。 ---この戦闘スタイルの変化自体は、''素手でボコボコ殴ったり絞め技を行う''というアクションがリンクらしくない((一応、リメイク前から剣が使い物にならないボスも多いが))として批判する意見もある一方で、巨大なボスを投げるなどより巨人らしく豪快な戦いが可能になったため、良くも悪くもといったところである。 --パンチはやや動作が遅く、何よりリーチが短いのでギリギリまで敵に接近しなければ当てられない。このパンチを10発も当てないと掴み技に持っていけない上、一定時間が経過してツインモルドが地面に潜る度に''パンチを当てた回数がリセットされてしまう''。 ---地面に落ちている大岩を投げつければ、一発でツインモルドの動きを止めて掴み技まで持っていけるのだが、この大岩はフィールドに2個しかなく復活もしない。どう上手く岩を活用しても、最低1回分はパンチでダウンを奪わなければならない。 --赤いツインモルドはそこそこの速度で飛び回りながら炎の玉を飛ばしてくる。ツインモルド本体や炎が少しでもかするとダメージと共に吹っ飛ばされてダウンを奪われ、2~3秒ほど行動不能になるのでストレスになりやすい。 --といったように、初見でこの巨人リンクの操作性やパンチのリーチの攻撃範囲、ツインモルドの行動パターンと対処法を覚えてモノにし、前転やガードも上手く使って完璧に近い立ち回りをしなければ勝利は困難。そのため慣れていないプレイヤーは中々ダメージを与えられず吹き飛ばされてばかり、ゲーム内の時間も経過していく…と、ツインモルドと決着がつかず時間切れになって月が落下とばかりで不安が溜まるということが多く挙がった。 ---一方、慣れてくれば歩幅の広さから、前転の必要も無いほどに回避も接敵も容易なので、こちらのほうが第一段階より簡単に感じるかも。 -原作では巨人化して戦うかどうかは自由だったのだが、今作では巨人化の有無をツインモルド1体ずつでそれぞれ強制させており、自由度が無くなったことに対する批判もある。 --とはいえ、64版では巨大化すれば簡単に倒せたので「ムジュラのボスの中で最弱」と言われていたのを、ようやく返上できたといえるだろう。最後の神殿のボスなのでこれくらいはないと盛り上がりに欠けるという意見もある。 //--ただし世界観的には更なる異分子であるフラットウッズ型エイリアンが原作の時点で登場しているのだが。 //ツインモルド戦に関する記述で↑の文は、ちょっと文脈が繋がらないようにも見える。ツインモルド戦に関係しているのであれば詳しい解説の追記求む //エイリアンや剣術道場、チンクルがいる世界観でプロレスだけが浮いてると言うことはないだろう、と言いたかった。「唐突にリンクがプロレスを始めることから世界観的にも完全に浮いている」は削除します。 #endregion ''その他の問題点'' -スタートボタンが「ボンバーズ団員手帳を開く」操作で固定されているため、入手まではタッチパネルを使わないとゲームの一時停止が出来ない。 ''改善されていない問題点'' -「時の歌」で時間をリセットした際、消費アイテムと一緒に案山子に覚えさせた「録音案山子の歌」が白紙に戻る。確かに時間が巻き戻っているのだから案山子の記憶も消えて当然だが、周回ごとに一々覚えさせるのはかなり面倒くさい。 ---一応案山子が必要となるポイントは変更されていないので、ハートのかけらを回収した後は覚えさせる必要はなくなる。 -いくつかの演出はスキップ可能になったものの、相変わらず多くのイベントや演出は飛ばせず、何度も繰り返し見ることになりやすい。 **総評(3D) 全体的な雰囲気はそのままに、グラフィックを向上させると共に遊びやすいように配慮された良リメイク。隅々まで配慮の手が入っていることが明らかであり、原作プレイ済の人にとっても新たな発見や驚きがある仕上がりとなっている。~ ただし全ての点を手放しに褒められないのが惜しい所。ツインモルド戦がとても難しくなったため、初心者には厳しい難易度となっているが、それ以外にも微妙な部分で原作から劣化した箇所がちらほら見受けられる。~ しかし、決してリメイクの質が低い訳ではないという点には注意して貰いたい。単なるベタ移植に留まらず、意欲的な試みを多数導入し、初心者・既プレイ者の両方を満足させようとした点は評価に値する。~ 全体的に親切設計となっているので、発売当時に本作をクリア出来なかった人はこれを機に14年越しに『ムジュラ』に触れてみるのはいかがだろうか。 **余談(3D) -原作のWiiおよびWii Uのバーチャルコンソール版はCERO:Aであるのに対し、なぜか3DS版リメイクはCERO:B(12歳以上対象)に指定されている。 --コンテンツアイコンは恋愛・犯罪・暴力であるが、これに該当する部分に特に変更はない。 --またゼルダシリーズでCERO:Bなのは『[[トワイライトプリンセス>ゼルダの伝説 トワイライトプリンセス]]』、VC版『[[夢をみる島DX>ゼルダの伝説 夢をみる島]]』、『[[ゼルダ無双]]』に続き4作目。

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