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Europa Universalis II - (2020/11/04 (水) 09:10:31) の最新版との変更点

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*Europa Universalis II 【よーろっぱ ゆにばーさりす つー】 |ジャンル|RTS|#image(https://upload.wikimedia.org/wikipedia/en/thumb/b/b1/Europa_Universalis_II_Coverart.png/220px-Europa_Universalis_II_Coverart.png)| |対応機種|Windows 98SE/ME/2000/XP/Vista/7/8/10&br;Mac OS 10.3.9以降|~| |発売元|Strategy First(北米)&br;Ubisoft(欧州)|~| |開発元|Paradox Development Studio|~| |発売日|2001年12月11日(北米版)|~| |定価|$ 9.99(GOG)|~| |プレイ人数|1人|~| |配信|GOG|~| |判定|BGCOLOR(lightgreen):''良作''|~| #contents(fromhere) ---- **概要 -Paradox Development Studio(Paradox Interactiveの子会社)のデビュー作『Europa Universalis』の3作目。 ---2作目は北欧限定マップの『Europa Universalis: Crown of the North』。 --1作目はタイトルどおりヨーロッパ限定マップだったが、本作は全世界マップとなっている。 --1作目と同様に「Europa Engine」を使用しているため、開発期間が短期で済んでいる。 **システム -リアルタイムとなっている --とはいえ、人頭税などは毎年1月1日に、貿易収入は毎月1日に振り込まれ、軍事部隊の維持費や研究費用は毎月1日に差し引かれる。 ---毎月の収入を研究費用へ回すことができる。研究に使用しない場合は「国庫に入れる」ことで国家の残高が増えるが、毎月の収入を国庫に入れるとインフレ率が上昇する。 ---インフレ率が上昇すると、各種施設の建設や軍の雇用の費用などの各種費用が、インフレ率の分だけ多く掛かるようになる。 ---"知事"を置くとインフレ率が徐々に下がる。なお、知事を置くには"インフラ"分野の研究が必要である。 ---インフレ率は国家のパラメータであってprovincesのパラメータではないため、インフレ率の高い国家を併合することで自国のインフレ率が上がったりはしない。 -マップはややデフォルメされているものの、ほぼ実際の地形を反映している。 --マップの陸地はprovinces(州)単位に分割されている。このゲームはprovincesを奪い合うゲームである。provincesには都市を一つだけ建設できる。 ---誰のものでもない未開地には植民を送って植民地にすることができる。植民地に植民し続けて人口が1,000人を越えると都市となって税金を徴収できるようになる。 --陸軍部隊はprovincesを1マスと見立てたような動きをする。provinces間には移動距離が設定されており、移動開始から部隊が持つ移動速度で移動距離を割った時間が経過すると移動先のprovincesに部隊が移動したことになる。 ---『Hearts of Iron』とは違ってprovinces内には座標はなく、移動先に敵部隊が居た場合は即座に戦闘となる。&br;逆に、移動中に移動元のprovincesに敵が移動してきた場合は移動元のprovincesにて戦闘となる。この移動中の戦闘に勝っても負けても移動はキャンセルとならない。 ---通常の戦闘に負けた場合は、自動で他のprovincesへ撤退することがある。 ---敵国の領土のprovincesで戦闘に勝って、かつそのprovincesがその他の勢力に占領されていない場合は自動的に攻城戦となる。 --ゲーム開始当初は、未知の土地へは''征服者''ユニットのみ移動が可能である。 --海域もprovinces的なブロックに分割されている。 ---陸に接する海域があるprovincesにて攻城戦を行う場合、海域を包囲側が制圧していると包囲の進捗がはかどりやすい。防御側が制圧している場合は包囲の進捗は大幅に落ちる。 ---未知の海域へは''探検家''ユニットのみが移動可能である。&br;また、探検家は自分のいる海域ブロックに隣接する陸地を低確率で発見することがある。なお、探検家は港のある都市にしか上陸できない。 -国家 --プレーヤーは基本的には1つの国家をプレイする。 ---『Civilizationシリーズ』のように1人の指導者でプレイし続けるのではなく、『信長の野望シリーズ』のように、基本的には史実の指導者を立てる形となる。 ---指導者は基本的に史実通りに就任、退位する。指導者ごとに外交、軍事、研究のパラメータがある。 ---歴史イベントにより、指導する国家名が変わることがある。例えば当初"モスクワ公国"をプレイしていた場合、条件を満たすことでロシア帝国になることができる。&br;なお、ノブゴロド、リャザン、スズダリ、トヴェリ公国のいずれかでゲームをスタートして、モスクワ公国がロシア帝国になる前にモスクワ公国の旧領を併合することでロシア帝国になることもできる。 ---AIは歴史イベントは戦略的な判断ではなく、設定されている確率で選ぶらしく、ノルウェーのAIは歴史イベント「カルマル同盟の終焉」において、みずからデンマークとの併合(ノルウェーは滅亡 = ノルウェーはゲームオーバー)を選ぶことがある。 --国家間には友好度が設定されている。 ---婚姻関係であると、相手国内の兵の動きを見ることができる他、相手国の、国外にいる兵の所在地も分かる。&br;なお、国教が異なる国同士では婚姻関係は結べない。宗主国と属国間も婚姻関係は結べない。 ---同盟関係でも、相手国内の兵の動きを見ることや、相手国の、国外にいる兵の所在地も分かる。 ---同盟関係にあれば、宣戦布告を受けた場合や行う場合に、同盟国に戦争への参加を依頼できる。断れば、断った国の安定度が下がる。また、戦争参加を断った同盟国に対して宣戦布告する大義名分が得られる。 ---和平条件として、あるいは同盟国に対して外交的に、属国化を要求できる。ただし、既にどこかの属国である国を属国化することはできない。既にどこかの属国である国は、傘下に属国を持てない。属国を持っている国を属国化することはできない。&br;属国は税収の半分を宗主国に献上しなければならない。&br;宗主国は属国の領土内を通行する通行権を得る。&br;属国は宗主国に対して独立を宣言することができるが、独立後1年間は旧宗主国に宣戦布告される大義名分を与える。 --戦争 ---婚姻関係にある国家同士は戦争できないため、宣戦布告をする前に婚姻関係を破棄する必要がある。&br;婚姻関係を破棄した場合、安定度が低下するほか、他の婚姻関係を結んでいる国との友好度も下がる。 ---領土内の通行権を与えているもしくは権利を有している国とは戦争できない。宣戦布告をする前に通行権を取り消したり、返上する必要がある。 ---戦争中、どちらもどこも占領できていない状態で、どちらも戦果が挙げられない期間が3年続くと、強制的に「惰性的な和平」となり、どちらも補償は得られないものの、形の上では宣戦した側の敗北とされる。 -安定度 --国家には安定度が設定されており、安定度が低くなると税収が下がる。 ---同盟の破棄や、同盟国からの戦争の誘いを断る、他国へ宣戦布告するなどで安定度が低下する。 ---毎月の収入から安定度を上げるために費用を割くことで安定度を上げることができる。 --provincesにも個別で安定度がある ---国家の採用している宗教と住民の宗教が異なる、あるいは国家の文化とそのprovincesの文化が異なる場合、安定度が下がる原因となる。 ---安定度が -3を下回ると反乱軍が蜂起する可能性があり、反乱の占領状態が長引くとそのprovincesは隣国へ"亡命"して他国の所領となるか、もしくは、独立する。&br;反乱軍が国土の半分以上のprovincesを占領した時点で政府崩壊が起きる。政府崩壊が起こった時点で反乱軍が占領している全てのprovincesは占領された期間の長さにかかわらず、"亡命"もしくは独立する。 //---もし可能であるならば、文化や宗教の異なるprovincesをまとめて属国を作成することで、反乱を減らすことはできなくもない。なお、AIは自発的に属国を作成することはない。 -貿易 --複数のprovincesによって形成された"地域"に1つだけ"貿易センター"が存在する。この貿易センターに商人を送り込むことで、その貿易センターから利益を得ることができる。 ---貿易センターの価値は、その"地域"を形成する全provincesの貿易価値の総計となる。地域内のprovincesに適切な工場が建てられると貿易センターの価値が大幅に上昇することがある。 ---貿易センターの商人の定員は基本は20名であり、どこかの国の商人が既に20名の商人が居る貿易センターへ参入する際には、代わりに他の国の商人が蹴落とされることになる。 ---貿易センターに同じ国から6名の商人を送り込むことで、その貿易センターを"独占"することができる。ただし、独占状態が長引くと、その貿易センターは活気が無いと判断されて消滅することがある。&br;貿易センターが消滅した場合、数年後に同じ地域の別のprovincesに貿易センターが復活する。 --貿易センターがあるprovincesを領地とすると、貿易センターに居る他国の商人の利益に掛けられる"関税"を得ることができる。 -歴史イベント&br; 本作の目玉とも言えるシステム。 --歴史イベントには様々なトリガーがある。 ---本作で一番象徴的なのはマルティン・ルターが登場して宗教革命を起こし、周辺のprovincesにプロテスタントが伝播してゆく歴史イベントである。 ---特定の年月で君主が入れ替わる。ただし、その国家が史実では滅亡した後の年代では架空君主(基本的に無能)が適当に代替わりする。&br;君主の入れ替わりに伴って、継承イベントが起きることがあり、婚姻関係にある特定の国を史実通り併合することがある。プレイヤーの国が継承対象なら拒否できることもある。 ---特定時期に規定のprovincesを統治下に収めていれば、別の国家に変わることができる。先述の"ロシア帝国"やスペインなどはプレイヤーもAIも達成可能。 ---応仁の乱など、特定の日付で確実に起こる避けようのない反乱イベントが有る。 ---「カルマル同盟の終焉」はスウェーデンのデンマークからの独立に依存しており、スウェーデンがAI国の場合は偶発的に発生する。&br;こういった歴史イベントのトリガーをAIは知らないため、自身に不利なイベントを起こしがちである。 --歴史イベントの中には選択肢が提示されるものがあり、その選択次第で史実通りとなったり、史実から逸れることができる場合がある。 **評価点 -ゲームバランスが秀逸である ---一見大国の&bold(){明}でプレイを開始しても度重なる反乱で思うように領土を伸ばせず、周辺国も手強く、イベントでの選択次第では史実通り満州の属国になってしまうこともある。 ---無敵艦隊によって世界の海を制したスペインも、1419年のスタート時点ではそもそも存在していない。無事スペインを建国できても、オランダ独立戦争でガタガタになる。 ---イギリスも1419年時点ではフランスとの百年戦争中であり、ウェールズやスコットランドにも手を焼いている。 ---ロシア帝国も1419年時点では存在せず、モスクワ公国は史実通りキプチャク汗国の属国となっている。 --このようにどの国も序盤から苦戦を強いられ、楽な国など存在しない。 --そんな色々な国でのプレイが可能であることから、マップや各勢力の初期配置が固定であっても再プレイ性がある。 -modに対応している --架空戦記シナリオや、紀元前のトロイア戦争を扱った古代シナリオなどもある。 --provincesの数を増やしたユーザーmapが配布されている。当然シナリオ込み。 --余談になるが、英語版日本語化modはmodではなくパッチであり、本体を書き換える。 ---GOGで販売されている現行版をWindows10で日本語化できる。 **賛否両論点 -史実を重んじるあまり、ヨーロッパ諸国偏重のゲームバランスとなっている。 --ヨーロッパ諸国とその他の国とでは研究コストに開きがあり、技術力の差によりヨーロッパ以外の国はヨーロッパ諸国と対等には戦えない。 ---辺境国同士ではその辺りの格差はなく、歴史イベント(応仁の乱など)で足を引っ張られない限りは、周辺国とやり合うことはできる。&br;ヨーロッパの情勢によってはヨーロッパの探検家のアメリカ大陸の発見が遅れる場合もあり、アステカで南北アメリカを統一したという報告もある。 --史実プレイを優先するなら、史実通りに展開しやすいゲームバランスは容認されるであろう。 **問題点 -運の要素が大きい --大国同士で潰し合ってくれる場合があり、大国が長年に渡る戦争に疲弊して政府崩壊を起こしてバラバラになると草刈場となる。 --AIは隣国の、自分が見えている範囲の兵数の優劣だけで判断して国力の差を考えずに宣戦布告する場合があり、小国が大国に宣戦布告して返り討ちにあい、再起不能となったり、最悪滅亡したりする。&br;そうして大国がより強大になって不利になる場合もあれば、なんとか生き延びた小国を終戦直後に襲って戦果を挙げることができたりする。 ---大国が戦争を始めて、1方面に兵力を集めると兵力の空白地が出来やすく、それを見て周辺のAI国が宣戦布告すると、その国にも兵力の空白地ができて、更に隣国から宣戦布告されて・・・という玉突き状態により、特に1419年のイギリスvsフランスの百年戦争を核として、周辺諸国に混沌とした戦乱が伝播する。 --AIは歴史イベントにて自勢力にとって不利な選択肢を選ぶことや、自勢力にとって不利な歴史イベントのトリガーを引くことで、自滅することもある。 --辺境国での地域統一を目指すなら、ヨーロッパ諸国が自国の周辺地域まで進出する時期が遅れれば遅れるほど有利となる。 ---オランダがあっさりと独立すると、スペインとオランダの植民地拡大が加速しやすい。 --史実プレイを目指している場合でも、隣国が歴史イベントで史実と異なる選択肢を選んで台無しにすることがある。 --そもそも『Europa Universalis』はボードゲームをコンピュータゲーム化したものであったため、本作でもその影響が強い。 ---例えば、包囲戦の進捗は、内部的にはダイスロールで判定するという仕様になっている。 **総評 史実イベントてんこ盛りな歴史シミュレーション。~ コロンブスなどの歴史上の人物が登場し、どちらかといえば世界征服よりも史実プレイの方に比重が置かれている。このため、かなり歴史に詳しくないと楽しめない部分がある。しかし、日本の歴史シミュレーションにおいても無名の武士が多数登場している訳で、それらと同様に歴史を学ぶ機会となっているとも言える。史実通りではあるものの、ヨーロッパ諸国が有利なゲームデザインとなっており、辺境国からのヨーロッパ進出はほぼ不可能となっている。 **後の出来事 -香港のTyphoon Gamesにより本作のアジアローカライズ版『Europa Universalis II: Asia Chapters』が開発され、日本においては本作の日本語版『ヨーロッパ・ユニバーサリスII 完全日本語版』よりも2年先に『ヨーロッパ ユニバーサリス II アジア チャプターズ 日本語版』として発売された。 -概要でも述べたが本作では「Europa Engine」というゲームエンジンを使用しており、Paradox Development Studio手掛けた『Hearts of Iron』、『Victoria: An Empire Under the Sun』、『Crusader Kings』、『Hearts of Iron II』といった作品にも使われている。 -2007年1月23日に後継作『Europa Universalis III』が発売されている。本作と異なり、&u(){歴史イベントがバッサリと無くなった}。 --後に、『III』の拡張パック『Europa Universalis III: In Nomine』を購入することで歴史ベントを追加することもできるようにはなった。 -Paradox Interactiveは2008年に「Europa Engine」を無料公開した。これにより、Crystal Empire Gamesが本作のクローンである『For the Glory』を制作している。 --『For the Glory』はルールは本作とほぼ同じだが、UIが改良されているとのこと。
*Europa Universalis II 【よーろっぱ ゆにばーさりす つー】 |ジャンル|RTS|#image(https://upload.wikimedia.org/wikipedia/en/thumb/b/b1/Europa_Universalis_II_Coverart.png/220px-Europa_Universalis_II_Coverart.png)| |対応機種|Windows 98SE/ME/2000/XP/Vista/7/8/10&br;Mac OS 10.3.9以降|~| |発売元|Strategy First(北米)&br;Ubisoft(欧州)|~| |開発元|Paradox Development Studio|~| |発売日|2001年12月11日(北米版)|~| |定価|$ 9.99(GOG)|~| |プレイ人数|1人|~| |配信|GOG|~| |判定|BGCOLOR(lightgreen):''良作''|~| #contents(fromhere) ---- **概要 -Paradox Development Studio(Paradox Interactiveの子会社)のデビュー作『Europa Universalis』の3作目。 ---2作目は北欧限定マップの『Europa Universalis: Crown of the North』。 --1作目はタイトルどおりヨーロッパ限定マップだったが、本作は全世界マップとなっている。 --1作目と同様に「Europa Engine」を使用しているため、開発期間が短期で済んでいる。 **システム -リアルタイムとなっている --とはいえ、人頭税などは毎年1月1日に、貿易収入は毎月1日に振り込まれ、軍事部隊の維持費や研究費用は毎月1日に差し引かれる。 ---毎月の収入を研究費用へ回すことができる。研究に使用しない場合は「国庫に入れる」ことで国家の残高が増えるが、毎月の収入を国庫に入れるとインフレ率が上昇する。 ---インフレ率が上昇すると、各種施設の建設や軍の雇用の費用などの各種費用が、インフレ率の分だけ多く掛かるようになる。 ---"知事"を置くとインフレ率が徐々に下がる。なお、知事を置くには"インフラ"分野の研究が必要である。 ---インフレ率は国家のパラメータであってprovincesのパラメータではないため、インフレ率の高い国家を併合することで自国のインフレ率が上がったりはしない。 -マップはややデフォルメされているものの、ほぼ実際の地形を反映している。 --マップの陸地はprovinces(州)単位に分割されている。このゲームはprovincesを奪い合うゲームである。provincesには都市を一つだけ建設できる。 ---誰のものでもない未開地には植民を送って植民地にすることができる。植民地に植民し続けて人口が1,000人を越えると都市となって税金を徴収できるようになる。 --陸軍部隊はprovincesを1マスと見立てたような動きをする。provinces間には移動距離が設定されており、移動開始から部隊が持つ移動速度で移動距離を割った時間が経過すると移動先のprovincesに部隊が移動したことになる。 ---『Hearts of Iron』とは違ってprovinces内には座標はなく、移動先に敵部隊が居た場合は即座に戦闘となる。&br;逆に、移動中に移動元のprovincesに敵が移動してきた場合は移動元のprovincesにて戦闘となる。この移動中の戦闘に勝っても負けても移動はキャンセルとならない。 ---通常の戦闘に負けた場合は、自動で他のprovincesへ撤退することがある。 ---敵国の領土のprovincesで戦闘に勝って、かつそのprovincesがその他の勢力に占領されていない場合は自動的に攻城戦となる。 --ゲーム開始当初は、未知の土地へは''征服者''ユニットのみ移動が可能である。 --海域もprovinces的なブロックに分割されている。 ---陸に接する海域があるprovincesにて攻城戦を行う場合、海域を包囲側が制圧していると包囲の進捗がはかどりやすい。防御側が制圧している場合は包囲の進捗は大幅に落ちる。 ---未知の海域へは''探検家''ユニットのみが移動可能である。&br;また、探検家は自分のいる海域ブロックに隣接する陸地を低確率で発見することがある。なお、探検家は港のある都市にしか上陸できない。 -国家 --プレーヤーは基本的には1つの国家をプレイする。 ---『Civilizationシリーズ』のように1人の指導者でプレイし続けるのではなく、『信長の野望シリーズ』のように、基本的には史実の指導者を立てる形となる。 ---指導者は基本的に史実通りに就任、退位する。指導者ごとに外交、軍事、研究のパラメータがある。 ---歴史イベントにより、指導する国家名が変わることがある。例えば当初"モスクワ公国"をプレイしていた場合、条件を満たすことでロシア帝国になることができる。&br;なお、ノブゴロド、リャザン、スズダリ、トヴェリ公国のいずれかでゲームをスタートして、モスクワ公国がロシア帝国になる前にモスクワ公国の旧領を併合することでロシア帝国になることもできる。 ---AIは歴史イベントは戦略的な判断ではなく、設定されている確率で選ぶらしく、ノルウェーのAIは歴史イベント「カルマル同盟の終焉」において、みずからデンマークとの併合(ノルウェーは滅亡 = ノルウェーはゲームオーバー)を選ぶことがある。 --国家間には友好度が設定されている。 ---婚姻関係であると、相手国内の兵の動きを見ることができる他、相手国の、国外にいる兵の所在地も分かる。&br;なお、国教が異なる国同士では婚姻関係は結べない。宗主国と属国間も婚姻関係は結べない。 ---同盟関係でも、相手国内の兵の動きを見ることや、相手国の、国外にいる兵の所在地も分かる。 ---同盟関係にあれば、宣戦布告を受けた場合や行う場合に、同盟国に戦争への参加を依頼できる。断れば、断った国の安定度が下がる。また、戦争参加を断った同盟国に対して宣戦布告する大義名分が得られる。 ---和平条件として、あるいは同盟国に対して外交的に、属国化を要求できる。ただし、既にどこかの属国である国を属国化することはできない。既にどこかの属国である国は、傘下に属国を持てない。属国を持っている国を属国化することはできない。&br;属国は税収の半分を宗主国に献上しなければならない。&br;宗主国は属国の領土内を通行する通行権を得る。&br;属国は宗主国に対して独立を宣言することができるが、独立後1年間は旧宗主国に宣戦布告される大義名分を与える。 --戦争 ---婚姻関係にある国家同士は戦争できないため、宣戦布告をする前に婚姻関係を破棄する必要がある。&br;婚姻関係を破棄した場合、安定度が低下するほか、他の婚姻関係を結んでいる国との友好度も下がる。 ---領土内の通行権を与えているもしくは権利を有している国とは戦争できない。宣戦布告をする前に通行権を取り消したり、返上する必要がある。 ---戦争中、どちらもどこも占領できていない状態で、どちらも戦果が挙げられない期間が3年続くと、強制的に「惰性的な和平」となり、どちらも補償は得られないものの、形の上では宣戦した側の敗北とされる。 -安定度 --国家には安定度が設定されており、安定度が低くなると税収が下がる。 ---同盟の破棄や、同盟国からの戦争の誘いを断る、他国へ宣戦布告するなどで安定度が低下する。 ---毎月の収入から安定度を上げるために費用を割くことで安定度を上げることができる。 --provincesにも個別で安定度がある ---国家の採用している宗教と住民の宗教が異なる、あるいは国家の文化とそのprovincesの文化が異なる場合、安定度が下がる原因となる。 ---安定度が -3を下回ると反乱軍が蜂起する可能性があり、反乱の占領状態が長引くとそのprovincesは隣国へ"亡命"して他国の所領となるか、もしくは、独立する。&br;反乱軍が国土の半分以上のprovincesを占領した時点で政府崩壊が起きる。政府崩壊が起こった時点で反乱軍が占領している全てのprovincesは占領された期間の長さにかかわらず、"亡命"もしくは独立する。 //---もし可能であるならば、文化や宗教の異なるprovincesをまとめて属国を作成することで、反乱を減らすことはできなくもない。なお、AIは自発的に属国を作成することはない。 -貿易 --複数のprovincesによって形成された"地域"に1つだけ"貿易センター"が存在する。この貿易センターに商人を送り込むことで、その貿易センターから利益を得ることができる。 ---貿易センターの価値は、その"地域"を形成する全provincesの貿易価値の総計となる。地域内のprovincesに適切な工場が建てられると貿易センターの価値が大幅に上昇することがある。 ---貿易センターの商人の定員は基本は20名であり、どこかの国の商人が既に20名の商人が居る貿易センターへ参入する際には、代わりに他の国の商人が蹴落とされることになる。 ---貿易センターに同じ国から6名の商人を送り込むことで、その貿易センターを"独占"することができる。ただし、独占状態が長引くと、その貿易センターは活気が無いと判断されて消滅することがある。&br;貿易センターが消滅した場合、数年後に同じ地域の別のprovincesに貿易センターが復活する。 --貿易センターがあるprovincesを領地とすると、貿易センターに居る他国の商人の利益に掛けられる"関税"を得ることができる。 -歴史イベント&br; 本作の目玉とも言えるシステム。 --歴史イベントには様々なトリガーがある。 ---本作で一番象徴的なのはマルティン・ルターが登場して宗教革命を起こし、周辺のprovincesにプロテスタントが伝播してゆく歴史イベントである。 ---特定の年月で君主が入れ替わる。ただし、その国家が史実では滅亡した後の年代では架空君主(基本的に無能)が適当に代替わりする。&br;君主の入れ替わりに伴って、継承イベントが起きることがあり、婚姻関係にある特定の国を史実通り併合することがある。プレイヤーの国が継承対象なら拒否できることもある。 ---特定時期に規定のprovincesを統治下に収めていれば、別の国家に変わることができる。先述の"ロシア帝国"やスペインなどはプレイヤーもAIも達成可能。 ---応仁の乱など、特定の日付で確実に起こる避けようのない反乱イベントが有る。 ---「カルマル同盟の終焉」はスウェーデンのデンマークからの独立に依存しており、スウェーデンがAI国の場合は偶発的に発生する。&br;こういった歴史イベントのトリガーをAIは知らないため、自身に不利なイベントを起こしがちである。 --歴史イベントの中には選択肢が提示されるものがあり、その選択次第で史実通りとなったり、史実から逸れることができる場合がある。 **評価点 -ゲームバランスが秀逸である ---一見大国の&bold(){明}でプレイを開始しても度重なる反乱で思うように領土を伸ばせず、周辺国も手強く、イベントでの選択次第では史実通り満州の属国になってしまうこともある。 ---無敵艦隊によって世界の海を制したスペインも、1419年のスタート時点ではそもそも存在していない。無事スペインを建国できても、オランダ独立戦争でガタガタになる。 ---イギリスも1419年時点ではフランスとの百年戦争中であり、ウェールズやスコットランドにも手を焼いている。 ---ロシア帝国も1419年時点では存在せず、モスクワ公国は史実通りキプチャク汗国の属国となっている。 --このようにどの国も序盤から苦戦を強いられ、楽な国など存在しない。 --そんな色々な国でのプレイが可能であることから、マップや各勢力の初期配置が固定であっても再プレイ性がある。 -modに対応している --架空戦記シナリオや、紀元前のトロイア戦争を扱った古代シナリオなどもある。 --provincesの数を増やしたユーザーmapが配布されている。当然シナリオ込み。 --余談になるが、英語版日本語化modはmodではなくパッチであり、本体を書き換える。 ---GOGで販売されている現行版をWindows10で日本語化できる。 **賛否両論点 -史実を重んじるあまり、ヨーロッパ諸国偏重のゲームバランスとなっている。 --ヨーロッパ諸国とその他の国とでは研究コストに開きがあり、技術力の差によりヨーロッパ以外の国はヨーロッパ諸国と対等には戦えない。 ---辺境国同士ではその辺りの格差はなく、歴史イベント(応仁の乱など)で足を引っ張られない限りは、周辺国とやり合うことはできる。&br;ヨーロッパの情勢によってはヨーロッパの探検家のアメリカ大陸の発見が遅れる場合もあり、アステカで南北アメリカを統一したという報告もある。 --史実プレイを優先するなら、史実通りに展開しやすいゲームバランスは容認されるであろう。 **問題点 -運の要素が大きい --大国同士で潰し合ってくれる場合があり、大国が長年に渡る戦争に疲弊して政府崩壊を起こしてバラバラになると草刈場となる。 --AIは隣国の、自分が見えている範囲の兵数の優劣だけで判断して国力の差を考えずに宣戦布告する場合があり、小国が大国に宣戦布告して返り討ちにあい、再起不能となったり、最悪滅亡したりする。&br;そうして大国がより強大になって不利になる場合もあれば、なんとか生き延びた小国を終戦直後に襲って戦果を挙げることができたりする。 ---大国が戦争を始めて、1方面に兵力を集めると兵力の空白地が出来やすく、それを見て周辺のAI国が宣戦布告すると、その国にも兵力の空白地ができて、更に隣国から宣戦布告されて・・・という玉突き状態により、特に1419年のイギリスvsフランスの百年戦争を核として、周辺諸国に混沌とした戦乱が伝播する。 --AIは歴史イベントにて自勢力にとって不利な選択肢を選ぶことや、自勢力にとって不利な歴史イベントのトリガーを引くことで、自滅することもある。 --辺境国での地域統一を目指すなら、ヨーロッパ諸国が自国の周辺地域まで進出する時期が遅れれば遅れるほど有利となる。 ---オランダがあっさりと独立すると、スペインとオランダの植民地拡大が加速しやすい。 --史実プレイを目指している場合でも、隣国が歴史イベントで史実と異なる選択肢を選んで台無しにすることがある。 --そもそも『Europa Universalis』はボードゲームをコンピュータゲーム化したものであったため、本作でもその影響が強い。 ---例えば、包囲戦の進捗は、内部的にはダイスロールで判定するという仕様になっている。 **総評 史実イベントてんこ盛りな歴史シミュレーション。~ コロンブスなどの歴史上の人物が登場し、どちらかといえば世界征服よりも史実プレイの方に比重が置かれている。このため、かなり歴史に詳しくないと楽しめない部分がある。しかし、日本の歴史シミュレーションにおいても無名の武士が多数登場している訳で、それらと同様に歴史を学ぶ機会となっているとも言える。史実通りではあるものの、ヨーロッパ諸国が有利なゲームデザインとなっており、辺境国からのヨーロッパ進出はほぼ不可能となっている。 **後の出来事 -香港のTyphoon Gamesにより本作のアジアローカライズ版『Europa Universalis II: Asia Chapters』が開発され、日本においては本作の日本語版『ヨーロッパ・ユニバーサリスII 完全日本語版』よりも2年先に『ヨーロッパ ユニバーサリス II アジア チャプターズ 日本語版』として発売された。 -概要でも述べたが本作では「Europa Engine」というゲームエンジンを使用しており、Paradox Development Studioが手掛けた『Hearts of Iron』、『Victoria: An Empire Under the Sun』、『Crusader Kings』、『Hearts of Iron II』といった作品にも使われている。 -2007年1月23日に後継作『Europa Universalis III』が発売されている。本作と異なり、&u(){歴史イベントがバッサリと無くなった}。 --後に、『III』の拡張パック『Europa Universalis III: In Nomine』を購入することで歴史ベントを追加することもできるようにはなった。 -Paradox Interactiveは2008年に「Europa Engine」を無料公開した。これにより、Crystal Empire Gamesが本作のクローンである『For the Glory』を制作している。 --『For the Glory』はルールは本作とほぼ同じだが、UIが改良されているとのこと。

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