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ファイナルファンタジー零式」を以下のとおり復元します。
#contents()
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*ファイナルファンタジー零式
【ふぁいなるふぁんたじーれいしき】
|ジャンル|アクションRPG|&amazon(B001DUI3A0)|
|対応機種|プレイステーション・ポータブル|~|
|メディア|UMD 2枚組orダウンロードソフト|~|
|発売・開発元|スクウェア・エニックス|~|
|発売日|2011年10月27日|~|
|定価|パッケージ:7,700円&br;ダウンロード:6,480円(共に税抜)|~|
|廉価版|アルティメットヒッツ&br;2012年12月6日/2,940円|~|
|判定|BGCOLOR(lightgreen):''良作''|~|
|ポイント|『ファイナルファンタジー アギトXIII』の原型&br個性豊かな主人公達(が、一部キャラに難あり)&brライトユーザーにも優しいシステム&br「''わたし、ひとりじゃなくてよかった''」|~|
|>|>|CENTER:''[[ファイナルファンタジーシリーズ]]''|
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#center(){{
 &big(){''人は生まれる時代も世界も選ぶことはできない。&brしかし、どう生きるかを決めることはできる。''}
}}
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**概要
『ファイナルファンタジーXIII(以下13)』と同じく「ファブラ ノヴァ クリスタリス」プロジェクトの一作。~
『[[クライシス コア ファイナルファンタジーVII]]』『[[The 3rd Birthday]]』の制作スタッフが中心となって開発された。~
もともと『ファイナルファンタジー アギトXIII』として携帯電話用アプリ作品として発表されていたものだった。~
しかし、後にPSPでの発売が決定、その後「『FF』の新シリーズ1作目」という意味合いを強めるために現在のタイトルに改名された。~
タイトルは変わったが『13』と同じ神話を共有した世界観であることに変わりはないので、一種のスピンオフ作品とも言える。~
なお本作の「零式」の正式な読みは「''ぜろしき''」ではなく「''れいしき''」である。にもかかわらず、現在配信中の体験版は「ゼロシキ」表記で、非常にややこしい事になっている。

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**特徴・評価点
''シナリオ''
-「''戦争と死''」をテーマにした重い雰囲気のシナリオ。戦場から撮影しているようなムービー、ナレーションで戦況が語られるなど、ドキュメンタリー的演出がなされており、従来の『FF』シリーズとは一線を画すシリアスさを持つ。
--戦時下という状況ゆえか、学園パートのモブ生徒たちの会話にも生の重さや死の匂いを感じるテキストを随所にちりばめ、セリフの一つ一つを印象深いものにしている。
--「死んだ人間の記憶が失われる」という設定(有用なキーワードにもなっている)や、ドキュメンタリー方式ならではの死の描写の生々しさもあって、シナリオの独自性を印象付ける点において成功したといえるだろう。

-ムービーや、世界観・キャラクターなどの解説はゲーム内の図書館や、タイトル画面の「朱の目録」から閲覧出来る。
--宇宙的恐怖を感じさせるクリーチャーデザインや地名設定など、クトゥルフ神話からの影響が強い。

''キャラクター''
-プレイヤーは0組(クラスゼロ)に属する14人のキャラクターを操作し、シナリオに合わせて様々な作戦を遂行していく。

-0組生徒は扱いにほとんど差がなく全員が主人公とも言えるので、この点は『ファイナルファンタジーVI』に近いといえる。
--物語は群像劇的な視点で語られるものの、全員が揃う場面では基本操作キャラのエースの視点で物語が進みやすい。ただし、序盤に0組に編入されるマキナとレムの挙動がシナリオの大きな転換点となっており、0組内での立ち位置の特異性、物語の結末を考えるとこの2人が実質的な主人公とも考えられる。
#region(0組一覧)
-エース
--チョコボとマザーの子守歌が好きな金髪の少年。年不相応に冷静で真面目な性格だが、仲間や身内への情は人一倍厚く、どこか子供らしい感性も持ち合わせている。
魔導院のチョコボ牧場でマキナの兄、イザナと知り合い、故郷を守りたい一心の彼を戦場に送り出すが…。
--使用武器は魔力で起動するカード。遠距離に投擲可能な武器でありながら多段ヒットする近接攻撃やレーザー攻撃など、奇術のような器用さやトリッキーな挙動が特徴。氷魔法も得意なのでブリザド系統の魔法も扱いやすい。

-マキナ・クナギリ
--レムと共に0組に転入した、青みがかった黒髪の少年。妙に緊張した言動が目立つ者の、基本的には人当たり良い好漢。レムとは幼馴染の関係であり、病弱な彼女を守るために常に必死。また、兄にイザナ・クナギリがいるが、この世界の理によって戦死した彼の記憶を失っており、その経験から「死、それに伴う記憶の忘却」に対して非常に強い恐怖心を抱いている。
--使用武器はドリル状の形状をしたレイピア。大振りでリーチも短いものの、攻撃力が高い上スタンさせやすい。また、アビリティは強力な連続攻撃や範囲攻撃、遠距離攻撃が揃っているので使い勝手が良い。魔力も満遍なく高いので装備品次第で魔法アタッカーも任せられる。ステータスは足が遅めなこと以外は満遍なく高いので何でもこなせるが、器用貧乏にならないようにだけ注意したい。

-レム・トキミヤ
--マキナと共に0組に転入した、茶髪のショートの少女。心優しい性格で、その可愛らしい容姿と相まって学内にファンも多い模様。脳が不治の病に侵されており、時折せき込んだり倒れる場面も。自分を守りたい一心で気を張り詰めている幼馴染のマキナをいつも心配している。
--使用武器はダガー。リーチは短いものの技の出が早い。アビリティはダガー投擲のような攻撃技以外にも、味方全体を短時間リレイズ状態にしたりMPをチャージするような補助技もある。全ての魔力が0組の中で1番高く、またキャンセル魔法の習得も早いため、序盤から強力な魔法をメインにした戦い方を使えることから、バランスブレイカーとの声も高い(後述)。

-デュース
--温厚な頑張りやの性格。
--使用武器はフルートで彼女の性格とは裏腹に操作が難しいが味方を補助するアビリティを持っている。

-トレイ
--冷静沈着な性格だが他の0組にスルーされる程の解説が長い癖を持つスナイパー
--使用武器は弓で遠距離戦が得意。

-ケイト
--裏表のない勝気な少女。
--使用武器は魔装銃。攻撃しないで時間がたつにつれて威力があがり、スピードも速い。

-シンク
--おとぼけな一面が目立つが思いついたことをすぐに決めるミニスカート少女。モーグリを「もぐりん」と名づけたり使用武器がメイスで相手を殴るパワータイプだったりと個性の強さが現れている。
--さりげなくとあるムービーで一番おいしいところを持って行っている。
--戦闘面では攻撃力と防御力が高いが全体的に攻撃の出が遅く隙が大きい戦車形。
---ただし、フルスイングだけは出が早い他、アースクエイクとアースインパルスはいずれもスタン値が高く、CPUとして使わせるには中々優秀。

-サイス
--「皆殺し」が口癖のガサツの少女
--使用武器も自信の名前にちなんで大鎌で敵を倒すごとに怨念の力でパワーアップする。

-セブン
--冷たい印象が強いが裏で作戦任務の成功に貢献している姉御肌の女性。
--使用武器は鞭剣
--とあるムービーでは中の人繋がりで誰かさんと良く似た性格になっている。

-エイト
--命を奪いたくないからと武器を一切使わず、使用武器でもある格闘のスタイルで戦う[[某格闘家>ストリートファイターII]]のようなキャラ。
--ケイトとの絡みが多く移動スピードの速さも共通している。
--ある意味でマキナよりも印象が薄いがとあるムービーでは…?

-ナイン
--不良言葉で喋る言葉づかいの荒さが目立つヤンキーなキャラ。だが実際は自分に納得がいかないことを遺さないように生きようとしているだけで、彼が覚悟を決めた行動は大抵成功している。
--使用武器は槍で一撃の火力が高くクリティカル率も高い初心者向けのキャラクター。

-ジャック
--常に笑顔で前向きに出ている0組のムードメーカー。
--使用武器は刀で攻撃力が高く出も早いという攻撃特化のインファイター。
--とあるムービーではボケ役から一転してツッコミ役に回っている。

-クイーン
--まっすぐな性格で不正は許さない委員長タイプ。
--使用武器も自身の性格に合わせてソードを使用する。
--ある条件を満たすと手に入る彼女専用のアクセサリを装備すると…?

-キング
--無駄な口を一切好まないが優しい一面も持つ男性。
--使用武器「2丁拳銃」は遠距離かつキルサイトを狙いやすい点で本作のシステムと相性が良く、上手く使いこなせばキングの名に恥じない活躍を見せてくれる。
#endregion
-なお、基本的に0組の面々や他のキャラクターもほとんどが学生であり、学園ドラマ的なイベントがあったりする。

-曲者揃いの0組メンバーを筆頭にカルラ、ナギ、クオンといった他クラス生徒、クラサメやカズサなど魔導院教員・シド・カトル・ギルガメッシュら敵側勢と物語を彩るキャラクター勢は膨大な数ながら豪華声優陣の熱演もあってどれも個性豊かであり、前述した通りテキストの豊富さもあってモブ同然の脇役ですら強い印象を残すキャラが少なくない。


''バトルシステム''
-バトルはアクション形式で、『ファンタシースターオンライン』以降の同シリーズのバトルに近い。
-戦闘がとにかくスピーディで、キャラクターそれぞれのアクションも豊富に用意されている。
--14人とも武器などによって能力に明確な差別化がなされており、性能的に被っているキャラがいない。異常に強い彼女(後述)を除けばキャラごとにしっかり役割も分かれているので、ミッションに合わせて使い分けられるようになるとかなり進めやすくなる。

-ミッション中やダンジョン内はシームレスアクションバトル、ワールドマップに限りシンボル/ランダムエンカウントとなっており、ゲームのテンポが阻害されることもほとんどない。
--他にもワールドマップ上で拠点制圧を行うリアルタイムストラテジー的な要素を持つ「制圧戦」もあり、よりリアルな「戦争」が展開される。

-プレイヤーが操作するキャラ1人+CPUが操作するキャラ2人の3人でパーティーを組み、残りのキャラは「リザーブメンバー」として操作キャラが戦闘不能になった時などに呼び出す。なお、戦闘不能になったキャラはミッション中は使えなくなる。

-敵が強く難易度も全体的に高めだが、ロックオン時にサイトが黄色くなった瞬間に攻撃すると大ダメージを与えられる「ブレイクサイト」、サイトが赤くなった瞬間に攻撃すると''あらゆる敵を問答無用で倒せる''「キルサイト」とよばれるシステムがある。
--このときの攻撃はSEも派手で、敵も瞬殺できるため決まったときはとても爽快。敵の種類によって表示されるタイミングが違うため狙うにはある程度慣れが必要だが、スピーディな戦闘と爽快感を両立させる要素となっており、概ね好評である。
--PSPのスリープモードを使って未プレイ時でもキャラを育てられる・レベル補正の存在でレベルを上げれば一気に戦闘が楽になるなどライトユーザーへの配慮もしっかりなされている。
--制圧戦など一部を除いて一度クリアしているミッションならタイトルから選択できる「作戦」モードで好きなだけプレイ可能。ここで得たギルや経験値、アイテムは本編にも反映されるため、稼ぎながら納得の行くプレイリザルトを目指す事ができる。やりこみ派のための高難易度モード(敵レベル+30、敵レベル+50&使用キャラ1人のみ)も存在し、難しくするほどクリア時に貰えるギルやアイテムの水準は上昇する。

-ファントマというアイテムを専用の施設で使うことで魔法の強化が可能。
--強化できる項目は魔法の種類によりけりだが、とにかく威力をあげる、MP効率を上げて連発する、総合的なバランスを重視などプレイヤーの好みに応じて好きに強化できる。
--ファントマは属性に応じた魔法で敵にとどめを刺すことである程度狙って集めることができる。ストーリーが進めばやや割高だが直接買うことも可能。

-マルチプレイモードは他者のプレイに一定時間だけ「乱入」するという一風変わった仕様で、気兼ねなく参加でき手軽。乱入された際はCPUがリザーブメンバーに戻る。
--オフライン中でも乱入を受け付けるように設定することもできるが、その場合は''スタッフや声優の名前を持ったCPU''が乱入してくる。設定を調整することで乱入を拒否することもできる。

-召喚獣は「軍神」という形で登場し、条件を満たすことでプレイヤーキャラの代わりに操作できる。
--本作に登場する操作可能な軍神の種類はイフリート級・シヴァ級・ゴーレム級・ディアボロス級・バハムート級・オーディン級の6種と少なめだが、各級には何種類かの軍神が存在し、それぞれ能力や使える技、能力などが異なる。
--いずれも能力や技の性能は非常に高く、それが敵を次々と撃破していく様子は実に爽快。
--ただし、召喚するとそのときの操作キャラクターが死亡してしまう、14人と比べると全体的に操作が難しい、などと難点もいくつかある。
--だが、あるキャラクターは召喚時の死亡デメリットをカバーする技を持っているため…(詳しくは後述)。

''グラフィック''
-PSPのスペックの限界に迫る美麗なグラフィックはスクエニの面目躍如と言えよう。『[[X>ファイナルファンタジーX]]』や『[[XII>ファイナルファンタジーXII]]』などPS2のFF作品にも決して引けを取らない。
--ムービーもプリレンダ・実機ともに豊富に用意されており、サブイベントでもムービーが流れることが多い。

-『FF』シリーズとしては初めて直接的なバイオレンス描写が解禁されている。その美麗なグラフィック故に''血まみれで死んだ人もリアルに描写される''ので、スプラッタがダメな人は要注意。
--オープニングからしてそれである。シリーズのマスコットであるチョコボですら、機銃掃射を喰らい黄色い羽を真っ赤に染めて死んでいく。

''音楽''
-作曲は『DFF』『[[すばらしきこのせかい]]』を手掛けた石元丈晴氏。
--ロックサウンドを全面に押し出したボスのBGM「戦-白の兵器」ラスボス戦「朱雀の炎」など良曲揃い。

-エンディングテーマはBUMP OF CHICKENの「ゼロ」である。
--この曲はエンディングとのマッチが半端なく、『FF』のエンディングの中でも屈指の名曲と言われている。またBUMP OF CHICKENのファンから最高傑作との声もあるほど曲単体での評価も高い。

''やりこみ要素''
-しばらくの間一本道を批判され続けていた『FF』シリーズだが、今作はこれでもかというほどやりこみ要素が詰まっている。
--UMD2枚組であるため、サブクエストやサブイベントも膨大な量を誇る。1周で全てのイベントを見ることは不可能で、本作を隅々まで楽しむなら周回プレイは必須。2周目以降限定のイベント、高難易度のミッションやボスなども多い。
--ただし隠しダンジョンは最初主人公たちの領地が敵に奪われている為、実質いけるのは後半からである。また隠しダンジョンのモンスターはとてもじゃないが1周目でいけるレベルではないため、2周目から行くことを推奨する。

-本筋に関わらないお遊び的イベントも多い。とある女性脇役キャラがからむ、お色気要素満載のイベントもグラフィックの美麗さもあって意味スタッフの本気を感じさせる。

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**賛否両論点
''シナリオ面''
-「戦争と死」を扱ったシリアスでリアルなストーリーなだけに、上記で挙げたチョコボや大量の兵士がなすすべなく戦死していくシーンのような残酷で恐ろしい描写はもちろんのこと、終盤に近づくに連れて魔導院内でよく見かける人物達が自分達の思いを成し遂げられないまま悲惨な末路を辿り、そしてその周辺の人々までもが彼らに対して抱いていた思いを失って喪失感を覚えるシーンに代表される、悲劇のような救いの無い描写もかなり目立つ。
--そのため苦手な人にはかなり厳しいシナリオとなっており、人によっては鬱シナリオと見られる事もある。しかし、その重くて考える所も多いシナリオこそが本作の特徴でもあるので賛否両論分かれている。

-マキナのストーリー中盤以降の行動についても大きく賛否が分かれている。

#region(ネタバレ注意)
-ストーリー中盤で「自分の兄は0組のせいで死んでしまったのではないか?」と0組に対して不信感を抱き出す。そして0組がある事件に巻き込まれ、そこからの脱出を試みる最中で感情を爆発させてしまい、0組のメンバーと衝突してしまう。そこで激しく言い争った末にその場から立ち去ってしまうが、その時にひょんなことから0組の属する朱雀(朱雀領ルブルム)に敵対する白虎(ミリテス皇国)のルシ((今作の世界の各国に存在するクリスタルに選ばれ、クリスタルの意志にのみ基づいて行動する代わりに、不老となり超人的な力を獲得した者のこと。))となり、結果敵国側についてしまう。
--その後、自分がルシになった事を隠した上で戻ってきて再び0組と共に行動するようになるが、この頃から「レムは俺が守る」とレムの事しか考えなくなったり、他の0組のメンバーとは距離を置いてドライな態度を取るようになり((それでも他の0組のメンバーはそんなマキナを心配している。))、時には白虎クリスタルの命によって白虎を攻撃する大規模な作戦には参加せずに行方を晦ますようにもなる((この時、プレイヤーはマキナをその作戦に参加させられない。))。
--そして終戦後に起こった最終決戦後もレムと共に生きて帰ってきて今作の世界「オリエンス」の新たなる指導者となったことも大きく賛否が分かれている。キャラ性能が魔法が強い今作においてほぼ脳筋というやや扱いにくい玄人向けな性能であったこともあって、付いた蔑称は「''末期''」「''マッキーナ''」である。
--ただ、0組と衝突することになってしまったのは、権力争いの仇敵として激しく憎んでいる0組の保護者・魔法局長のアレシアを失脚させようと躍起になる軍令部長がマキナの0組への不信感を煽って0組の分裂を図ったせいであったり、来歴や言動の真意が謎に満ちているアレシアに探りを入れるために、彼女と0組を信用しきれない学術局長や院生局長がマキナとレムを諜報員として利用していたせいであったりと、一概に彼が悪いわけではない。
--そして白虎のルシになったのも、自身が強くなることでレムを死から守る力を手に入れ、レムの記憶を失うことを避けたかったためである。
--また上記の通り、本作の世界は人が死ぬとクリスタルの力によってその人に関する記憶が生きている人間から失われてしまう世界となっており、0組のメンバーのほとんどが死者の記憶を「戦争で邪魔になるもの」として切り捨てていく一方で、マキナだけは親しかった人の記憶を失うことに対して誰よりも強い恐怖を感じ、死者の記憶に執着する一面があったことも0組との衝突の原因にもなっていると言える。
--敵国である白虎のルシになる経緯や理由も、魔導院でのレムと彼のサブイベントをしっかり消化しておかないと理解するのが難しい。

-''イベントシーンでは大抵やられ役''・''ミッションをばっくれていても何故か授業には出席する(これには十分な理由がある)''・''キャラ性能も守る対象のはずのレムの方が圧倒的に強い''とネタ要素には事欠かないため、ネタキャラとしては愛されている。
--性能面で言うと、移動速度はやや遅く、通常技はリーチが短めで少し出が遅いため少々扱いにくいが、攻撃力を始めどのステータスもかなり高い水準にあり、接近戦も魔法もこなせる万能キャラとして使える。
--また、スキルもなかなかに優秀なものが揃っており、特に「アサルトモード((体力を全回復して、一定時間強化された通常攻撃を猛ラッシュで叩き込むスキル。))」を使えばもともと高い攻撃力を持つことも相まって非常に高い火力を得られる。
--さらに、「ソードフィールド((一定時間自分の周りに剣を出現させて触れた敵にダメージを与えるスキル。))」をCPUマキナに装備させて使わせれば、自動的に敵の近くに移動してダメージを与えてくれるためモンスターに対する''設置攻撃''として使える。あれ?でも結局これ''メインのサブキャr(ry''
#endregion

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**問題点
''バランスブレイカーの存在''
-実質的な本作ヒロインであるレム·トキミヤが''不治の病気持ちという設定であるにもかかわらず0組トップクラスのバランスブレイカーとなっている。''プレイヤーからはアーケードゲーム『北斗の拳』のバランスブレイカーで、同じく病持ちのキャラ「トキ」にちなんで''女版トキ''などと呼ばれている。
--本作では魔法攻撃が非常に強力であり、各魔法攻撃の威力を決める魔力が全て0組トップなので攻撃性能が抜きん出て高い。
--それに加えて特定の通常攻撃からすかさず魔法に繋げられる「キャンセル魔法」というアビリティがあるのだが、レムは全キャラで最もバリエーションが豊富。特に「キャンセル魔法零型」は''通常攻撃1段目''にキャンセルがかけられ、「ガ系キャンセル魔法」と組み合わせることで、本来長い溜め時間が必要なガ系魔法をガンガン連発することが可能。これらのアビリティを習得するのも他キャラに比べて早く、容易である。
--そのうえ自前でMPを回復するアビリティ「コンバート」を持つため文字通り半永久機関となって戦い続けられる。魔法を受けた敵は''痛みを知らず安らかに散っていく。''
--リーチこそ短めだが、接近戦においてもそう悪くない性能を持つので、敵に近寄られてもさほど問題はない。さらに病気のわりには体力の成長も悪くないなど至れり尽くせり。お前みたいな病人がいるか!
--魔法永久機関化との両立はできないが、アビリティ「死なないで((パーティーキャラ全員に短時間リレイズ(死亡時に復活)付与。))」によって「召喚時に操作キャラクターを死亡させる」という軍神のデメリットを実質無効にし、無制限に召喚することさえも可能にしてしまう((ただし、死亡回数は増えるためミッションクリア時の評価には影響する。))。まさに%%命は投げ捨てるもの。%%
--ただしこの領域に達するには本作のシステムを理解した上でレムを育て、それなりに修練を積む必要があること、序盤からラストダンジョンまで通しての使用は出来ず、魔法や軍神が使えない状況下では大幅に弱体化してしまうこと、2周目以降ではMP消費を0にするアクセサリが頻繁に手に入るためコンバートの有用性がなくなる、などの欠点があることも覚えておきたい。

''シナリオ面''
-難解な単語・造語が説明も無しにポンポン出るので、初見では何を言ってるのか理解できない事も多い。一応、歴史書・用語集・イベント等の記録としての役割を果たす「朱の目録」によってある程度は補足されているが、これらはストーリーを進めていく過程で埋まっていくものなのでストーリー序盤では活用しきれない。
--ただ、自由時間中にNPCなどに話しかけるとこれらのキーワードや本作の世界について説明してくれたりするので、こまめにNPCの話に耳を傾けていると理解しやすい。
//思い当たる節がほとんど見当たらない。難しい用語なんてそう多くは無いと思うんだが。
//↑コクーン、ルシ、軍神、その他にたくさん出てきたろ。ただの魂ですら何かメンドクサイ言い方してくらいだし。

-最終章の展開があまりにも唐突で、突然プレイヤーの置かれた状況などが様変わりし、謎の勢力が現れ、重要キャラも死んだりするが詳しく説明されないまま先に進んでしまう。
--そういった説明は上記で述べたマキナの件も含め図書館の資料で開示される形となっており、悪い意味で『FFXIII』と同じ悪癖が残っている。しかも今作だけでは数多い謎は解かれない((攻略本であるアルティマニアを見ても完全に解明されない。))ため続編などの補完を待つのみである。
---この最終章前までは、多少の問題はあれど無理のある展開は全くなかった上、この後のエンディングの演出なども非常に高い評価を得るほどのものだっただけに、こういった部分が非常に惜しまれている。

//-そもそもストーリーの軸が不毛。
//--これは公式で公表されている前情報(バックストーリー)なので、内容は伏せないで記載しておく。
//--1:とある神が死後の世界に行こうとしている。2:人間が死ぬと扉が開き、魂は死後の世界に導かれる。
//--3:扉はとても小さく、神は通る事ができない。4:大量の人間、あるいは特別な英雄が死ねば、通常よりも巨大な扉が開くのではないか?
//--''5:神が死後の世界に行っても無駄''(そもそも神が死後の世界のことを勘違いしているという設定)
#region(ここからネタバレ)
//---以上のことから、本作の黒幕(本作の黒幕≒神。もしくは神の代理人)が実行した計画は「1000年かけて人間を繁栄させ、皆殺しにする」「それに立ち向かわせる英雄を自分で育て、そして殺す」というとんでもない計画だった。
//---その黒幕は主人公達を大切に思っているように見せかけて実際には目的の達成に必要な手段としか考えておらず、その正体を知らない主人公たちはその黒幕を「マザー」と呼んで慕い、知らず識らずの内に実験動物のような扱いを受けて何度も死んでいる(永遠に死後の扉をくぐる事ができず、殺される ⇒ 転生 ⇒ 育成 ⇒ 殺される ⇒ 転生の無限ループ)
//---そして、この黒幕とは戦えない。それどころか、最後まで真実に気がつかないまま主人公たちは死んでいく。黒幕が「慈悲で主人公たちを転生させなかった」という結末らしいのだが…。
//---また、これまでにこの「実験」(繁栄と皆殺しで1セット)を何億回もくり返し続けてきたことを話しており、それを考えると「実験に見切りをつけたから主人公たちを転生させなかっただけ」という風にしか読み取れない。
//---最終的に主人公たちは何億と繰り返されたループの中で初めて皆殺しの結末を回避し英雄となるが、結局死亡する。ここでようやく神が今までの試みが全て無駄であったことに気づく。
//---神が見切りをつけたことにより結果的に主人公たち以外の人間はこのループから解放されるが、主人公たちには全く救いがない。真の意味での黒幕を倒せず、壮大かつ無意味な試行の中で何も分からないまま神に翻弄され続ける。戦争のテーマとは別の意味で鬱なシナリオである。
#endregion
//単にシナリオを紹介してるだけで、問題と言うほどのポイントがあるかは疑問。

''UI関連''
-アイテムは一種類だけセレクトボタンにショートカットとして割り振れるが、それ以外はメニューを開いてアイテムを選んで…と面倒な上、その間も時間は止まらず''敵は待ってくれない。''そのため、移動しながらメニューを開かないと棒立ちになってしまい、敵がいるエリアでやらかすと思わぬ一撃を食らうことも多々ある。

-ワールドマップでのエンカウント戦闘から逃げられない。逃げるには専用のアイテムを使用する必要があるが、このアイテムがなかなか高価な上セレクトボタンのショートカットに割り振れないため扱いにくい。
--ほとんどのエリアにはレベルが90を越える強力なモンスターがシンボルとして徘徊しているため、これらに間違って遭遇して戦闘になろうものなら数名の死亡は覚悟しないといけない。しかも一度捕捉されるとかなりのスピードで追いかけてくるため、チョコボでも使わなければ逃げ切るのは非常に難しく、足の速いチョコボもおらずレベルも低い序盤では非常に危険な相手である。
--一応、こちらが低レベルでも相手の攻撃を完全に回避しながらブレイクサイトを決め続ければ勝つこともできるが、余程のテクニックがないとかなり難しく、わずかな操作ミスが戦闘不能になるハイリスクな戦いになるため、無理して戦うのはあまりお勧めできない。
--幸い、戦闘離脱用のアイテムを使うか3名が死亡すると戦闘は自動的に終了するため、例え勝ち目がなくても主要なキャラクターだけは死守することを心がけたい。

-セーブ・装備変更周りも不便。街などにあるセーブポイントでしかセーブできず、ワールドマップでセーブできない。
--装備・アビリティもセーブポイントでしか変更できず、敵に合わせて装備・アビリティをリアルタイムで変更できないので相手との相性が悪いと泣きを見る。

-十字キーとアナログスティックの操作変更が不可能。これ自体は他の作品でもたまにあるのだが、同じPSPの『CCFFVII』では可能であったので、なぜ不可能になったのかという疑問が。
--もともとPSPのアナログスティック自体が使いにくいという人もいたので、この不満は少なからず存在していた。

''その他・システム関連''
-グラフィックは美麗だが、さすがにPSPの限界なのか時折処理落ちする。

-SPP(マルチプレイで得られるポイント)などオンライン環境が必要な解禁要素が非常に多く、1人でコツコツ楽しむ人は本作の依頼などをコンプリートできない。
--また、マルチプレイはホストのプレイヤーの戦闘に他プレイヤーが乱入する形なのだが、ホストにはSPPなどの恩恵が一切無い((難しい場所を高レベルキャラに協力してもらうという形なら恩恵と呼べるか。))ため、乱入される事を嫌う人もいる。

-カメラワークも以前配信されていた体験版に比べれば改善されているが、それでもロックすると真横からの視点になるため見づらい部分がある。

-依頼(サブクエストの1つ)が面倒くさい。
--「特定のエリアの特定の敵を○○体倒せ」「特定のアイテムを持ってこい」などの内容が殆ど。時間が少しかかって面倒なものは多いものの難易度はそこまででもないのが大半。時々、その時点でのシナリオ進度に対して難易度が極端に高い依頼もあるが、大抵の場合は先に警告されるので心配ない。
--しかし、依頼主に直接会う ⇒ 依頼を達成する ⇒ 依頼主のところに戻って報酬を受け取る、の流れを一々しなければならないので面倒な上、複数受注しようとするとそれまで進めていた依頼がキャンセルされるので一度に1件しか受注できない。
--内容も単調でワンパターンなのに時間だけは食いやすく、作業プレイ化して飽きやすい。その上フィールドマップと魔導院を行き来しないとならないせいで貴重な自由時間もゴリゴリ削られる依頼も多い。一度に複数件受けられないのも相まって2重の意味で時間効率が悪い。
--中には実戦演習に参加した直後かつ実戦演習クリア前にしか達成できないややこしい依頼もある。うっかり依頼達成を忘れたまま実戦演習の現場に突入し、そのままクリアしてしまうとその周ではもう達成できないので非常に面倒くさい。
--また、マルチプレイでしか達成できない依頼も数件ある。当然、実機とDISCを複数持ってるか一緒に遊ぶ相手がいないとコンプリートできないのでシングルプレイヤーには辛い。

-レベル周りの設定がかなりシビア。
--経験値が入るのが戦闘に参加した3人のみで、リザーブメンバーには一切入らないためキャラクター育成にかなり苦労する。今作ではプレイアブルキャラがかなり多い上に軍神(召喚獣)も経験値を与えて育成しないと強くならないため、使うキャラを絞らずに全てのキャラを満遍なく育成しようとするといくら時間があっても足りない。
--その上、今作の戦闘はレベル差補正が極めて強烈であり、こちらのレベルが僅かでも低いと敵への与ダメが大幅に減少する上に敵からの被ダメは大幅に増大する。しかも、こちらが敵よりもレベルが高くても敵への与ダメが大きくなるだけで敵からの被ダメは敵と同レベルの時と変わらないので、油断するとレベルでは遥かに格下の敵にやられる事も十分あり得る。
--それでもリザーブメンバーは豊富に使えるため、ちゃんと育ててさえいれば数の力でゴリ押しする事も出来る。しかし少しでもレベルが足りないキャラを使う時はかなりの苦戦を強いられ、レベル差次第では(ブレイクサイト以外では)全くダメージを与えられない事もある。そのためレベル上げが足りないまま数の力だけで戦おうとすると全滅させられる事態になりやすい。
--一応、経験値を獲得できる授業に出ることで全員をレベルアップさせることも可能だが、こまめにレベルアップに努める習慣がなければかなりしんどい事には変わりない。
--また、レベル差補正がキツい分、倒した敵が自分よりレベルが高い敵だった場合はその分だけ経験値が多くもらえる。そのためマルチで強力なプレイヤーに高難易度の作戦に付き合ってもらったり、高レベルの大型エネミーのような経験値を多く貰えるタイプの強敵を頑張ってパターン化して倒せるようになればレベルの高いキャラを楽して作れるようになり、それを主軸に高レベルの作戦やダンジョンなどを攻略していけばパーティー全体でレベルを上げられる。
--ただし、敵のレベルがどんどんインフレしていくエンカウント戦の2戦目以降や、敵のレベルがかなり高い演習、各地にあるダンジョンでは、その時点でのシナリオを余裕でクリアできる程のレベルがほぼ確実に要求される。そのため、経験値やドロップアイテムなどを欲張って無理すると最悪全滅の憂き目に遭う。
---特に、終盤で侵入可能なあるダンジョンに至っては、こちらが到達しうる最高レベルよりもずっと高いレベルの強力エネミーとの100連戦を何度もさせられるため、レベル差補正と数のハンデを背負ったまま過酷極まりない戦いを強いられる。各キャラのレベリングは言うに及ばず、アビリティや魔法の強化、装備や消費アイテムの補充も過剰な程にしておかないととても勝負にならないだろう。
--一方で、味方のレベルをしっかり上げておけばシナリオ攻略難易度は飛躍的に下がるため初心者救済と言えなくもない。
--この強烈なレベル差補正は後述の軍神システムの問題にも多大に影響を与えており、初期レベルが高い軍神はまあまあ強力だが、適性レベルより少しでも低い程度になるとほとんど役に立たなくなってしまう状況を作ってしまった。せっかく呼び出した強大なはずの軍神が皇国兵の銃弾数発で返り討ちにされ、死体になったのは生贄になった0組メンバーだけ、という虚しい状況になるのはいかがなものか。

-戦闘システムとキャラ性能が噛み合っているキャラとそうでないキャラの差が顕著。
--例えば射程が長く技の出も速い、弾速も速いと3拍子揃ったキングはキルサイトが狙いやすく非常に使いやすい。リロードの隙やステータスの低さという短所はあるものの、距離を置きながら1体ずつブレイクサイトを狙うスタイルならある程度無視できる。
---キングに限らず、通常攻撃が遠距離攻撃のケイトやトレイ、エースは魔法アタッカーとしても扱いやすかったり回避性能が高いなどゲームバランスの恩恵を色濃く受けている。
--一方、重戦車アタッカーのシンクは全体的に技のリーチが短く、技の出もかなり遅め。通常攻撃やアビリティ攻撃を当てること自体が難しいため素早い敵は当然のこと、普通の雑魚すら辛い。
---ただし、攻撃力自体は高いため一撃がかなり重く、スタン効果も高いため仲間として使う分には意外な場面で活躍することはある。防御面でも打たれ強く、出の速いアビリティだけでなく一部のスタン効果の高いアビリティも存在する。どうしても慣れないのならそこそこ高い炎魔力を生かして魔法攻撃を挿すのもアリか。
--最強とされるレムにいたっては魔力と魔法を強化して魔法を連発しているだけで雑魚は消滅。ブレイクサイトでないと止めを刺せないボスのミッションでもなければ本当にこれだけでクリアできてしまうことも。
-重要システムである軍神の使い勝手がいまいち。
--ほとんどの軍神が最大でも1分も召喚できず、上記の様にレベルが高くないと役に立たない。おまけに初期レベルが極端に低い軍神がやたら多いため、即戦力としての価値はほぼ見込めず、戦力になってもデメリットを上回る戦果を得るのは非常に難しい。
--そのため、使用するなら短い召喚時間に耐えながらのレベル上げは必須((一応経験値は0組メンバーよりはるかに大量に手に入る。))となる。レムのアビリティ「死なないで」を連発すれば半永久的に召喚することは可能だが、軍神そのもののHPが0になると作戦終了まで呼び出せなくなるため、決して気は抜けない。
--また、軍神召喚は朱雀(ダメージを与えると共に一定確率でリレイズを付与する炎魔法)、三位一体(コンビネーションアタック)との三択なので必ずしも使う必要はなく、その気になればイベント以外では一切使わずにクリアすることも可能なのでプレイヤーによってはあまり役に立たないシステムとなってしまう。そして、フィールドでのエンカウント戦やダンジョンでは三位一体が自動選択されるので軍神召喚が使用できないのもこの傾向に拍車をかけている。
--ついでに、軍神操作中は操作キャラを味方に切り替えるまでファントマを吸収できない、一旦操作キャラを味方に切り替えると軍神に操作を切り替えられなくなる、軍神自体にはアイテムを使えない、と操作性の不親切さもかなり目立つ。レベル上げと並行してのアイテム収集すら不可能なのはかなり困る。

-敵味方のCPUの性能が残念
--CPUが操作する味方はMPやAGの管理を無視して魔法やサポート系アビリティを連発したり、敵の目の前に無防備に接近して回避すらしなかったり、無駄に攻撃を連打してブレイクサイト発生を妨害したりで扱いにくい。おまけにファントマとアイテムの回収もしてくれず、アイテムの使用許可の指示などの簡単な指示すら出せない。
--難易度が低く、被ダメを無視したゴリ押しプレイで通る内ならまだ問題は少ないが、一発のミスが命取りになる高難易度ミッションではこうした雑なプレイングに足を引っ張られてがち。場合によっては無駄な人員の消耗や死亡回数増加による評価の悪化に繋がりかねないため、ある程度ゲームに慣れたらプレイヤーキャラだけで戦った方がやりやすい。
--武器展開時の移動スピードが壊滅的なジャック、バッファーやヒーラー要素が強めなデュース、ブレイクサイト狙いがが得意なキングなどはこの傾向が強く、プレイヤーが操作した方がずっと効果的に戦える。
--一応、自動回避魔法「アボイド」を装備させれば生存率だけはグンと上げられる。経験値稼ぎで連れていく際などには役立つ。
--敵の行動パターンも割とお粗末。基本的にターゲットに向かって直進するため、障害物があればあっさり引っかかる。酷い場合だと障害物越しに無意味な前進や届かない攻撃を繰り返す有様なので、遠距離攻撃であっさりハメれてしまう。敵の攻撃の一発一発が痛い分バランスが取れているとも見做せるが、絵面としてはかなり不細工で違和感がある。

-データインストールがUMD2枚それぞれに必要なため、メモリースティックの容量を2GB近く圧迫する。
--実質序盤と最終章しかないDISC1のインストールは地雷といわれている。

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**総評
PSPトップクラスのグラフィック、歯ごたえと爽快感を両立させた戦闘システム、UMD2枚組であることを活かした圧倒的なボリュームなどはナンバリングタイトルと比べても決して引けを取らない。~
むしろ近年賛否両論扱いされる事の多いナンバリングと比べ、勧めやすい良作となっている。~
詰め込んだ結果システム的に荒削りな部分が残っていたり、後半のシナリオなど問題点もあるが、『FF』の新シリーズ1作目としては十分な出来で、これからに期待できる作品である。~
『XIII』などの既存シリーズ未プレイでも十二分に楽しめるので、興味がわいたならばプレイするのも良いだろう。~

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**余談
-今作の初期体験版はバランス面で製品版と相違点があり、その時のユーザーの評価を後の体験版「ゼロシキ」・製品版に即座に反映させるという対応が取られていた。この制作スタッフの真摯な姿勢は高く評価されている。

-月刊少年ガンガンで漫画版が短期連載され、外伝『氷剣の死神』も連載されていた。作者は塩沢天人志。

-2014年に本作と世界観を共有する関連作である『ファイナルファンタジー アギト』がスマートデバイス向けアプリで配信した。
--作風は魔導院での学園生活に重きが置かれており、そのタイトル、対応ハードにおいても結局当初の予定に近いものが配信されることとなった。
--ちなみにこのタイトル、本作の初期タイトルだった『ファイナルファンタジー アギトXIII』に由来している。
---なお、PSV向けに移植した『ファイナルファンタジー アギトプラス』も配信予定だったが、こちらは中止となった。

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*ファイナルファンタジー零式 HD
【ふぁいなるふぁんたじーれいしき えいちでぃー】
|ジャンル|アクションRPG|CENTER:&amazon(B00NOHLND4)&amazon(B00NOHLR5I)|&amazon(B00UWBUED0)&amazon(B00RBC8HPK)|
|対応機種|プレイステーション4&br()Xbox One&br()Windows 7~10|~|~|
|発売元|スクウェア・エニックス|~|~|
|開発元|ヘキサドライブ|~|~|
|発売日|【PS4/One】2015年3月19日&br()【Win】2015年8月18日|~|~|
|定価|パッケージ&br;【PS4/One】6,800円(税別)&br;ダウンロード&br;【PS4/One】5,600円(税別)&br;【Win】3,980円(税込)|~|~|
|判定|BGCOLOR(lightgreen):''良作''|~|~|
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**概要(HD)
PSP版からHDリマスターとして高画質になり、ゲームバランスも調整された完全版。~
初回特典には『ファイナルファンタジーXV』の体験版ダウンロードコードが付属した。

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**新要素・変更点(HD)
-戦闘の難易度を「容易」「普通」「困難」「不可能」から選択できるようになった。
--PSP版の強さは「普通」「困難」「不可能」の3段階。難易度を変えると敵のレベルが大きく上下して与えるダメージや受けるダメージなどが変化する。
--ゲームの開始時の選択だけではなく途中からでも変更可能。ただし最初は「不可能」を選択できない。

-グラフィックが大幅強化。フルHD対応。
--担当はHDリマスターに定評のあるヘキサドライブ。今回はこれまで以上の向上を果たした。
--基本的にプリレンダムービーのモデルをプレイアブルキャラ用に適応・調整させて使用している。
---0組などメインキャラクターだけでなく、一般兵士のようなモブやサブキャラクターたちなども基本的に同様である。
--新たにシェーダーやライティングを導入。ライティングは物理ベースに対応され、HDR・反射・ブラーといった追加も施されている。
---一方でテクスチャに直接描かれた陰影や光沢によって表現されていた顔や頭髪の立体感、服装のシワやヨレが無くなった影響でべた塗りしたようなのっぺりとした印象を受ける場面もある。
--魔法のエフェクトにも光源が追加されたため魔法によって周囲が光る。特に暗所では恩恵を大きく受けている。
//--HDを謳ってはいるが、テクスチャ解像度の設定は、低解像度と通常しかない
//---いたるところにPSPレベルの低解像度テクスチャが残っており非常に酷い。プロローグミッションからひどい有様である。その後のプリレンダムービーもPSP画質を引き延ばしただけ。
//-''フレームレートは30FPS固定''
//--設定変更はなくどんな高スペックハードでも30FPS固定である。せっかくのアクションタイプのFFが台無しである。
//「新要素・変更点」の項目に沿っていないため記載方法の一考をお願いします。

-音質が全体的に向上している。
--一部の曲では新たな編曲が施されている曲もあり、それらはPSP版と同じく石元氏があらためてアレンジをしている。

-新衣装「教導軍装ホマレ」が追加された。
--この衣装は白と金色が基調で、HD版のロゴをイメージしている。

-ゲームバランスの調整。
--キャラの性能も調整され移動と回避の速度が上がった。特にトレイやセブンは全体的にスペックアップしている。
--後半で修得できる物理攻撃系アビリティ等が強化されている。
--一部の召喚の滞在時間が長くなり、移動速度も全体的に上昇している。
--キャラの行動に応じた報酬が用意されるようになった。
--報酬が手に入る累計SPP値が全体的に減少した。
--SPPショップのアイテム価格が全体的に安価になった。
--解像度が上がった分視認性も良くなった為、敵の遠距離攻撃が避けやすくなったと同時に強化もされた。
---強化といってもわずかであり、難易度を「容易」にすればPSP版よりもダメージは低くなるのでリマスターによってゲームバランスが極端に上がっているというわけではない。

-操作性もPS4/Oneのコントローラー向けに操作性が最適化されている。
--アナログスティックやボタンが増えたことにより、操作性が格段に上昇している。

-PSP版にあったマルチプレイは非対応。
--据置と携帯ではそれぞれ実装の調整が異なる為、リリースを早めるよう見送ったとのこと。
--これに伴いマルチプレイの他、スクエニメンバーズ連動でしか入手できなかったアイテム・実績は他の方法で入手ができるようフォローされている。

-PS4版はトロフィー機能、One版は実績、Win版はSteam実績機能を搭載した。

-制圧戦では「作戦に参加しない」という選択肢が選べるようになった。
--ストーリー自体は参加した時と同様にそのまま進行するが、報酬が得られないというデメリットがある。基本的にはどうしても制圧戦が苦手なプレイヤーや周回プレイをしているプレイヤー向けの機能。

-シークレットムービーが追加。

-ストーリーの変更や追加はない。

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**総評(HD)
ゲームバランスの調整やグラフィックなどの向上等により、PSP版よりも格段に遊びやすくなっている。~
遊んでいない者は勿論のこと、PSP版をプレイ済みの者も飛躍的に美しくなった本作に興味を持ったなら購入を検討してみてもいいだろう。

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