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RPGツクール2000」を以下のとおり復元します。
*RPGツクール2000
【あーるぴーじーつくーるにせん】
|ジャンル|RPG製作ソフト|&amazon(B008S7JJKO)|
|対応機種|Windows95~XP((アップデートする事でVista/7/8の32、64bit版両方OSにも対応可))|~|
|発売・開発元|アスキー|~|
|発売日|2000年4月5日|~|
|定価|9,800円|~|
|廉価版|VALUE!:2003年5月14日/4,800円&br()VALUE!+:2012年9月27日/3,990円|~|
|分類|BGCOLOR(lightgreen):''良作''|~|
|>|>|CENTER:''[[ツクールシリーズリンク>ツクールシリーズ]]''|
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#contents(fromhere)
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**概要
-プログラミングの知識がなくても、誰でも手軽にRPGが作れるソフトシリーズ、『RPGツクール』シリーズのWindows版第2作。
-様々なイベントスイッチを駆使して、自分だけのRPGを作ることができる。
-画像及び音楽素材は初めから複数用意されているが、自分で作ったり調達したりすることも可能。
--ただし、権利は製作者にあるので無断使用は御法度。外部素材を使用する場合は利用規約を遵守する事。
-本ソフトで製作したゲームは、本ソフトに付属している葉書をアスキーに送れば公開することが可能。
-それまでのRPGツクールシリーズの中では一番優秀だったのは勿論の事、自由度と製作難易度のバランスが良い事からシリーズ最新作の『[[VX Ace>RPGツクール VX Ace]]』が発売された現在でも、制作ツールとして本作を選ぶツクラーは多い。
--と言うのも、新作は出来る事が大幅に増えたのと引き換えに「制作方法がシンプルで作りやすい」という長所が失われてしまい、製作難易度が上がってしまった為(『[[XP>RPGツクールXP]]』が顕著)。~
また高解像に対応したのは良いが、素材を自作する事を考えると手間が増えたとも言える((フリー素材を使うにしても細かく描かれたキャラグラフィックはイメージの固定化を招いてしまい使い辛い。))。 

**長所
-余計な機能がちらつかず、非常にわかりやすいシンプルなインターフェイス。
--間違えて押してイベントが変なことになった! なんてことが起きにくい。
-前作『RPGツクール95』と違い、スイッチのみならず「変数」の要素が加わり、より複雑なイベントを作りやすくなった。
--例えば「あるキャラに話し掛けるごとに変数が1上昇し、一定以上になるとイベント発生」といった具合。
--96年発売の『[[DANTE98II>http://www26.atwiki.jp/gcmatome/pages/1911.html#id_3475f9c1]]』ですでに搭載されていたが、発売時期の被った『ツクール95』はどちらかというと『[[DANTE98>http://www26.atwiki.jp/gcmatome/pages/1911.html#id_417b21db]]』の移植版に近く、変数が存在しなかった。
--『DANTE98II』からの改良点は、使える変数の数と変数を参照する命令が増えたこと、それぞれの変数に固有の名前を付けることが可能になったことである。
-イベントスイッチは非常にわかりやすく機能もシンプル。種類も多い。
--ある程度触っていれば、理解できる範囲内でオリジナルの戦闘やメニュー画面などの自作システムを作ることが可能。
--有志には、『[[ファイナルファンタジーX]]』のカウントタイムバトルに似た変則ターン制戦闘や、[[テイルズオブシリーズ]]のリニアモーションバトルを再現した戦闘などを作った強者も現れている。
--気の遠くなるほど面倒ではあるが、シューティングや2Dアクションも作ることもできる。
-ツクールで作られたゲームを遊ぶために必要なデータ集RTP(ランタイムパッケージ)の導入により、ゲームデータが軽量化できるようになった。
--すべてデフォルト素材で作った場合、数百KB程度ですむ。『95』の場合は数十MBを軽く超える。ナローバンド時代にこの容量は大変厳しかった。また、まだCD-Rが普及していなかったため、ダウンロードしたゲームの保管場所にも困るハメになった。
-発売当初は不可能だったが、廉価版『VALUE!』以降のバージョンではBGMにMP3ファイルが使用可能になった。
--それ以前のツクールでは、MIDIかWAVEしか使用出来なかったので大きな進歩である。
--MIDIはマシン環境によって音が変わる欠点があったりしたため、容量を食うとは言えMP3はとても有効な選択肢であった。
--発売時はまだ自作音楽はMIDIが中心、MP3が少しずつ普及し始めてきた頃という微妙な時期で、当初開発陣が不採用を決めた際はかなり悩んだという。
-収録されているサンプルゲーム『花嫁の冠』がやたらと豪華。
--なんとプロのシナリオライター、キャラデザ、人気声優を起用。出演声優は堀江由衣、釘宮理恵、田村ゆかり、うえだゆうじ、塩沢兼人、飯塚昭三など。キャラデザは『俺の屍を越えてゆけ』の佐嶋真実。 
--ゲームとしてはサンプルゲームらしく平々凡々なRPGなのだが、上記の声優のこともあってキャラはギャルゲー的な魅力はある。
--使える機能をほぼ使っているため、機能を覚えるのにちょうどいい出来といえる。マルチエンドにもできることを証明したかったはずの機能を指して完全にギャルゲー扱いしている人もいるほど。
--過去にはこのゲームの素材を用いた作品が数多く生まれていたが、現在は『花嫁の冠』のみに使われているオリジナル素材(ボイスデータやイベントで使用される一枚絵どころか、音楽やキャラチップなど、RTPの素材を除くすべてが対象)の使用は禁止されている。
---こうなってしまった理由は不明だが、おそらく版権絡み(特にキャラデザ及び声優関連)だと思われる。
---なお、他のサンプルゲームの素材は一部を除いて使用可能。
-WindowsのRPGツクールシリーズの中では最も愛用者が多いので、素材公開をしている人が多い。
--くどいようだが素材の権利は製作者にあるので、著作権フリーが明示されていない場合、無断使用は禁止である。(一部例外あり)
-次作『2003』ではバグが取り沙汰されたが、実は『2000』もリリース直後はバグが非常に多かった。
--しかし、本作の場合、発売日当日からプログラマーが大手ツクールファンサイトの不具合報告掲示板に張り付き、数日単位でパッチをリリースし続けた((本作のプログラマー、尾島陽児は元々ツクール系コミュニティに関わりを持っていたため、このような事が出来た))。
--『2003』の場合、デバッグが完了したのは実に発売から''一年後''で、バグへの対応が非常に遅かったことも『2003』の評価を下げた一因。

**短所
-デフォルトで設定されている敵数値のバランスが防御力過剰であまり宜しくない。
-デフォルト設定されている効果音が甲高く、デフォルト設定だと音量も大きく耳に響く。
--これらは製作者たるプレイヤーが変更できる点なので、あまり問題ではない。
-敵が魔法や必殺技を使っても画面が光るだけでエフェクトを付けられない。
--イベントスイッチが豊富なので一応できないことはないが、信じられないくらい手間がかかる。
---比較的容易に実現可能なスクリプトが有志によって組まれているので、それを利用する手もある。
-デフォルトの素材(通称RTP)はお世辞にも「かっこいい」とは言えず、種類もファンタジー向けに偏っている(これは他のRPGツクールシリーズでも同様)。
--が、それ故にデフォルトの素材やキャラの名前が愛されている面もある。
-ゲーム起動時の画面モードがフルスクリーンモードで固定。
--F4ボタンで、いつでもウィンドウモードに切り替えること自体はできる。
--制作ツール側で起動するか、有志によるソフトを使えば、最初からウィンドウモードで起動できる。
--コマンドラインで第三引数にWindowと指定してEXEファイルを起動してもOK。
-タイトル画面やセーブ画面などの一部構成が固定されているなど、制作の自由度に限界がある。
--もっとも、タイトル画面に関してはウィンドウと文字を透明にするなどの工夫をして、オリジナルのものを作った作品も存在する。
--セーブ画面にしても、本来パーティメンバーを表示する欄にプレイ時間を表示させるなどの荒技を使うなど、基本構成は変えられないが労力を惜しまなければ色々工夫できる。結局は努力次第ということである。
-使用できるキーの数が少ない。
--方向キー(上下左右)と決定・キャンセルのみ。『VALUE!』以降はShiftが追加されたが、やはり7つでは少ない。ファミコンが8ボタンなので、それ未満である。
--RPGを作る場合ならまだしも、頑張ってアクション系のゲームを作ったりするとこの点は結構な制約として立ちはだかる。
-デフォルトのシステムを用いた場合、キャラクターの限界レベルは最大50となっている。レベル99まで上げられるようにはできない。
--これについては、デフォルトの必要経験値設定においては、それ以上レベルを上げると経験値の表示域が足らなくなるという理由だったらしい。
--もっともこの辺りはいくらでもやりようはあったようにも思われるが、製作陣はこの点で多数の要望・批判が出るとは想定していなかったという。
-ピクチャーの最大表示枚数が当初は20枚。『VALUE!』以降でも50枚。
--それだけあれば十分過ぎると思うかもしれない。実際、枚数に困ることは基本的にはないが、自作システムを作る場合は何十枚もピクチャーを同時表示しなければならないケースがあり、ゲームによっては50枚でも限界を感じる。
--この場合、例えば数値はキャラクターとして表示するといった工夫が必要になる。
-PCの環境によっては、キーの押し続け入力が正しく認識されない(入力が途中で一瞬途切れてしまう場合がある)。
--マルチコアCPUが想定されていなかったことによる。
--途切れないようにするためのスクリプトを追加する、シングル動作で起動するための非公式ツールを添付する、などの対策が必要になる。
-『花嫁の冠』以外にも、そこそこ完成度の高いサンプルゲームが揃っている・・・のだが、&b(){ただ一つ『海賊』は誰の目に見ても明らかなクソゲーである}((ここで詳細を語るのは控えるが、有名なクソゲー『元祖西遊記 スーパーモンキー大冒険』などをイメージすれば分かりやすい。))。
--他の作品は過去作ツクールコンテストでの受賞経験者も混ざっており(評価は人によって分かれるが)概ね良作の為、余計にこの作品が浮き彫りになっている。
--エディット内容自体はかなり頑張っていて、色々な要素を盛り込もうとした様子はうかがえる。問題はそれがゲームとしての面白さに結びついていないこと。
--他の作品が割と独特なゲームデザインやシステムになっている事から、「オーソドックスなRPG」という意味では最もサンプルゲームらしいとも言える。苦行を強いるゲーム性はどうしようも無いが。
--有志によるリメイクもあったりする。ツクールならではといったところか。
--ファミ通の公式サイトでは紹介すらされなかった。
-ゲームプレイは出来ても中身は覗けなくするための暗号化機能が付いてない。((後に、非公式の暗号化ツールが作られたりはしている。))
--さらに『ツクール2000』の製品版がなくても体験版で読み込めるため、全データがプレイヤーに簡単に見られてしまう。
-セーブ時にたまに強制終了しながらセーブデータが破壊されるメモリストリームエラーバグがある。
--セーブを壊すため発生するとただの強制終了よりもプレイヤーへのダメージが大きい。
--音楽が鳴らなくなる異常が前兆として起こることが多い。
--Windows2000では起こる危険性をはらむが9x系では起きないNT系の問題らしい。
---そのため互換モードなら発生確率はいくらか下がるらしい。
---WinXPなどもWin2000と同様。

**総評
構成はシンプルで、イベントコマンドのみで多くをやりくりすることができ、スイッチや変数の概念を理解すれば基本的なRPGが簡単に作れる。~
その分複雑なシステムは作りにくくなっているが、限界がすぐ来るかと言えばそうではなく、努力すればそこからいくらでも飛び出していける。~
「ツクールなんだけどツクールじゃない」画期的な作品も、本作以降複数見られるようになった。~

まとめると、初心者が非常に扱いやすく、それでいてうまくシステムを応用すれば玄人趣味のゲームも作れてしまうところが本作の魅力である。~
流石に後発のスクリプトを用いたツクール作品と比べて痒いところに手を届かせるのには苦労するが、動作の軽さなどそれらに勝る長所もある。~
00年代前半に起きたフリーゲームブームを生み出した名作であるとともに、約15年経った今でも十分に通用する息の長い作品と言える。~

**その他
-対応OSにWindows Vista/7が加わり、mp3再生などいくつかの機能が強化された廉価版『RPGツクール2000 VALUE!』が販売されている。
--2012年9月には、Windows XP/Vista/7/8の32、64bit版両方OSに対応し、さらにお安くなった『RPGツクール2000 VALUE!+』が発売。
--メディアは今までのCD-ROMからDVD-ROMに変更。後述のハンドブックに収録されていたグラフィック素材集も追加収録されている。
--なお、VALUE以前の初期バージョンも、アップデータを適用することによりVALUE!+と同等の内容にできる。
-副読本『[[RPG2000 ハンドブック>http://www.amazon.co.jp/dp/4757701721/]]』も発売されていた。現在は絶版。
--付属のCD-ROMには、RTP、体験版、製品版のアップデータ(1.09)の他に、様々な素材と3作のサンプルゲームが収録されている。
---これらの素材は数年の時を得て『RPGツクール2000 VALUE!+』による特典として付くようになった。
--Windows 95/98/2000/ME用で、XP以降のOSでは動作未確認。
-この基本仕様およびコンセプトを引き継いだ『[[RPGツクール2003]]』も発売されていたが・・・。
-2013年6月30日、古いアスキーブランドのツクール製品をはじめとした多くのツクール製品がサポート終了となった中、2000はアスキーブランドのツクール作品で唯一サポートが続けられている。

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