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マリア 君たちが生まれた理由」を以下のとおり復元します。
*マリア 君たちが生まれた理由
【まりあ きみたちがうまれたわけ】
|ジャンル|インタラクティブ・ドラマ(ADV)|&amazon(B000069RVO)&br()&amazon(B000069RVP)|
|対応機種|プレイステーション&br()セガサターン|~|
|発売元|アクセラ|~|
|開発元|ブレイク|~|
|発売日|1997年12月11日|~|
|定価|6,090円|~|
|廉価版|【PS】PlayStation the Best&br()1998年10月22日/2,800円(税別)|~|
|判定|なし|~|
#contents(fromhere)
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**概要
『24人のビリー・ミリガン』や『ジェニーの中の400人』など、当時様々な作品で扱われていた「多重人格」(解離性同一性障害)という精神症状を扱ったサスペンス系ADV。~
全体的にはサウンドノベル風だが、探索シーンではポリゴンムービーにより行動を描いていく。~
テレビドラマをイメージさせる演出もあり、各章の終わりにはエンドロールが流れる。

**主な登場人物
-高野潤
--本作における主人公。自殺を図って緊急搬送された筒井マリアと向き合ううち、少しずつ自分を取り巻く大きな謎に気づいていく。
--幼い頃に両親を亡くし神田院長の元で育ったためか、「『良い子』でいなければならない」という強迫観念じみた感情を無意識に持っている。

-筒井マリア(住民票の表記は まりあ)
--自殺未遂で慈愛堂病院に運び込まれた女子高生。行動や記憶に不可解な点が多く、院内でも「虚言癖がある」と言われてしまうことが。
--父親が理想の男性だと語るなど、歳の割に幼さが残る一面を持つ。
#region(しかし…※ネタバレ注意)
-彼女の中には複数の人格があり、それらの思惑も複雑に絡み合っている。
--オシリス:マリアが求める「父性」の象徴であり、誇大妄想。マリアを守れるのは自分だけだと信じ、高野のこともなかなか信用しない。
--イシス:マリアの「悲しみ」、もしくは「無力さ」。何が出来るわけでもなく、ただ嘆き続ける人格。
--セト:「暴力性」の象徴。ほかの人格に対しても攻撃的で、オシリスとは違うベクトルでマリアを守る。一番出番が少ない人格でもある。
--ホルス:マリアの「復讐心」を引き受ける人格。他の人格に比べて知識量が豊富で、事件の根幹を成す真実を知っているが表に出そうとしない。
--そして…
#endregion

-神田利一
--慈愛堂病院院長で、高野の育ての親。穏やかで優しい好々爺であり、院内外から信頼の厚い名医。
--マリアのカウンセリング許可を出したのも彼だが、物語が進むにつれてその行動に不明な点が増えていく。

-桑原律夫
--慈愛堂病院内科医長。皮肉屋で気難しく、マリアをさっさと保護施設へ送ってしまいたいと事あるごとに発言する。だが腕は確かであり、癌発見のスペシャリスト。
--かつては情熱に溢れる青年だったようだが、院長選で神田に敗れて以来すっかりひねくれた性格になってしまったらしい。

**評価点
-「多重人格」という題材をゲームにうまく落とし込んでいるということ
--マリアを演じた菊池志穂女史の好演もあり、人格ごとにまったく違う雰囲気を出すことにも成功している。
--また、作中でしっかりと多重人格について解説されており予備知識がなくてもプレイに支障はない。
-適度な息抜きも兼ねた「レインボウズ98」の存在
--扱う題材が題材だけあって雰囲気は重めだが、仮想パソコンとして登場するレインボウズ98はミニゲームなど適度なアクセントになっている。
--97年頃はまだ今ほどネット接続できる機器もなく、こういった要素はユニークなものだった。

**賛否両論/問題点
-インタラクティブ部分が正直言って蛇足
--マリアの自宅以外では一切出てこない上、移動やアイテムの使用にいちいちムービーが入るのは少々邪魔。階段の上り下りは往復するたびに同じものが流れる。
--ただ、ムービーだからこそ探索の最後に「あるもの」を見つける部分は衝撃が大きいのだが…。
-人格の扱いについて
--通常多重人格の治療には「統合」という手法が用いられる。これはザックリ言うと「すべての人格の要素を持った新しい人格」を構築し、そこに人格たちを当てはめて「ひとつの人格」にするというもの。&br()「24人のビリー・ミリガン」でも「教師」と呼ばれる規範的な人格が現れ、他の人格を自分の一部として扱っていた。
--だが本作では、人格たちはそれぞれの理由で去っていってしまう。例えばイシスは「オシリスと一緒に遠くへ行くの。マリアは一人で泣けるかしらね?」と、自分が消滅するような事を言っている。が…。
#region(※物語の大きなネタバレを含みます、閲覧注意)
--本来の本人格であるマリアが登場した際「セトもイシスもホルスもオシリスも、全部私が作った」と発言しており、そもそも彼らは「人格」ではなく「演技」だったような可能性を示唆してくる。
--もっと言えば、普段出ている「マリア」でさえ彼女が隠れ蓑として作っただけのものであり、高野との交流も何もかも復讐のための演技に過ぎなかった…と言える。
--また、悲劇を回避したエンディングでも彼女は消えておらず(こちらが本体なのだから当然ではあるが)、マリアは心の中に爆弾を抱えたままになってしまう。
#endregion
-プレイヤーに開示されない部分がいくつかある。
--例えばある場面で高野が手紙を読むシーンがあるが、その内容はプレイヤーには一切知らされない。
--そういった部分がミステリーとしての深さを強調しているのだから一概に文句も言えないが、不完全燃焼感は残る。
--また、マリアの自殺に関しては先行して流れたボイスドラマも込みで考えないと辻褄があわなくなる。
-システム等について
--セーブは各章が終わった所でしか出来ず、残せるデータも3つ。これはメモカの容量の問題もあるのだが。
--全体的に、グラフィックが今ひとつ。と言うか3Dポリゴンにしているせいで雰囲気にあっていない部分もある。
---当時の技術水準上仕方がない面とはいえ、普通のCGでは「インタラクティブ」な部分が出来ないということもあるのだが。

**総評
ウリにしたかったインタラクティブ性はともかく、多重人格を扱ったサスペンス作品としてはかなり出来がよい。~
もしも多重人格作品とADV両方が好きな人がいれば、ぜひ一度遊んでみてほしい。~

**続編
-『マリア2 受胎告知の謎』がリリースされた。
--こちらはシステム的にもシナリオ的にもほぼ別物であり、しかも「本作のバッドエンド後」であることを示す部分がある。
---ちなみに公式攻略本のキャラクター座談会でも続編の話をしていたりする。

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