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*チャルメラ 【ちゃるめら】 |ジャンル|シミュレーション|&amazon(B000069TTY)| |対応機種|プレイステーション|~| |発売・開発元|ビクターインタラクティブソフトウェア&br;(パック・イン・ソフト)|~| |発売日|1999年11月25日|~| |判定|BGCOLOR(lightgreen):''良作''|~| |ポイント|昭和の香り漂う雰囲気&br;自由度の高いラーメン制作&br;”経営”シミュレーションではない|~| ---- #contents ---- **概要 明星食品の監修の下、同社から発売されているインスタントラーメン「チャルメラ」をモチーフにしたゲーム。~ 昭和の香り漂う「なると町」を舞台に、プレイヤーはおなじみ「チャルメラおじさん」(パッケージに描かれているチャルメラを吹くおじさん)となり、~ 「日本一のラーメン屋」、つまり''”ラーメンを売った分のどんぶりを積み重ねた高さが富士山より高くなること”''を目指してオリジナルのラーメンを作り、売ることになる。 **基本システム -ラーメンを作る --タレ、隠し味、麺、丼(の柄)とダシ、具を組み合わせラーメンのレシピを作っていく。 --各項目別に枠があり、それぞれに材料を指定することでレシピを作っていく。~ ダシ、具には6枠用意されており、それ以外は1枠。具は大中小のサイズがあり、大は3枠、中は2枠、小は1枠を使用する。~ ラーメンに名前を付け、10枠ある販売メニューに登録する事で完成となる。 -マップについて --なると町は各地区に分かれており、この中から売りに行く地区を選択できる。 --各地区には売り上げに関わるお客の傾向と評判があり、~ 傾向は例えば工場地域なら労働者が多く、女子校の地域には学生が多いといった具合。~ 傾向によってラーメンの好みも変化し、労働者に向けてボリュームのあるラーメンを売ると評価が高いが、学生にもそのラーメンを売ると量が多いと言われる、といったことが起こる。~ 評判はその地区の客からの評判を示し、おいしいラーメンを販売することで評判は上がるが、~ まずいラーメンを売ることや町のラーメン通(後述)に対する行動、イベントでの行動、長期間その地区へ行かないことで評判は下がってしまう。 -町について --地区を選び町に出るとラーメンを実際に売り歩くことになる。~ 町の各地区は道で繋がっており、自由に行き来することが出来る。(マップ画面を呼び出し直接ジャンプする事も可能)。~ また一部のお店は中を見る事ができ、見ることで会話やイベントが発生し、場合によっては食材を入手することもある。 -販売について --営業時間は15時~24時までと決まっており、ラーメンの販売、場所の移動、店を訪れるなどの行動で1時間が消費される。~ 24時になると自動的に帰宅(=トップメニューに戻る)する。なお任意で帰宅することも出来る。 --販売出来るメニューは10個であるが、実際に販売するのは指定した1つのみ。販売中いつでも切り替えることは出来る。~ ラーメンを販売していると、通常の客の他に町のラーメン通が現れる事がある。~ 通常の客もラーメンに対して一言で感想を言ってくれるが、ラーメン通はさらに詳しくラーメンについての評価を下してくれる。~ このラーメン通の評価を上げる事でも地区の評判が上がる。ラーメン通が一度訪れるとマップや時間表示に「!」マークがつき出現する時間が分かるようになる。 --さらにそれとは別に町にはラーメンご意見番が4人(それぞれ麺、具、スープ、そしてトータルの評価をしてくれる)存在し、~ いつでも意見を聞きに行くことが出来る。特に総合評価を下してくれるご意見番は最後に☆を10段階で付けてくれるため非常に重宝する。~ また、ある程度ゲームを進めるとお店を持つイベントが発生しメインメニュの「お店」コマンドが使用出来るようになる。 -トップメニューの「日本一」コマンドからは現在の販売数がどの程度の高さまで積み上がっているかを見ることが出来る。また杯数に応じた称号も存在する。 -イベントについて --上記にもあるように店を覗く事や、販売の最中、特定の場所に訪れることでイベントが発生することがある。~ イベントはほとんどがおじさんとなると町の人々の間で起こるミニストーリーであるがたまに結果として新しい店を見られるようになったり、新しい具材が手に入ることなどが起こる。 **評価点 -ラーメン作りの自由度の高さ --本作のラーメン作りはレシピを作る事であり、麺の茹で加減やスープの濃さと言った煩雑な要素は取り除かれているがそれでも自由度は高い。~ メインのタレは全10種類。味噌だけでも赤味噌白味噌合わせ味噌にチーマー醤(坦々麺や棒棒鶏に使われるゴマ味噌)にまで分かれていたり、~ 醤油も淡口濃口たまりと3種あるのを始め、麺は中細ちぢれや細ストレートなど全8種類、ダシは動物系や魚介系、野菜系など全32種、~ 具は定番の味玉やチャーシュー類、果てはフカヒレに金箔やチョコまで全68種類。味には影響の無い丼も4種類ある((丼によってはボリュームがあるように見せたり豪華に見せたりできるため、ある程度は意味がある))。~ これらの食材の組み合わせは数万を超え、パッと考えつくようなラーメンなら全て作れると言ってよいだろう。 --ただし、(発売された)時代が時代だけにつけ麺や油そばのような純粋なラーメン以外のものは作ることができない。 -試行錯誤の楽しさ --ラーメンに対して明確に評価が存在するため、自分で考えたレシピが高評価を得られたときの達成感は大きい。~ よほど酷いラーメンを作っても原因点を的確に指摘するのみで、責めたりすることは無いため試行錯誤のモチベーションが保ちやすい。~ 実際の料理作りの楽しいところだけを上手くゲームに落とし込んでいると言える。 -雰囲気の良さ --本作は昭和、とりわけチャルメラの発売開始時期である高度経済成長期の町並みが表現されている。~ 町並みもバラエティー豊かで田舎くささの残る駅前周辺や、下町を思わせる住宅街、温泉街に漁村、農村など見ていて飽きない。~ 2Dで描かれたグラフィックも元々単体のキャラクターであるチャルメラおじさんと非常にマッチする画風で表現されており、雰囲気を高めている。~ BGMも良好。ラーメンを売り歩いている時のBGMはゲーム内の時間に応じて切り替わる。時間帯によって固定であるもののそれぞれ夕方、夜、深夜に合った曲調でプレイヤーの哀愁を誘ってくる。 -イベントの豊富さ --時折発生するイベントも「とにかく激辛なラーメンが食べたいから作ってくれ」といったラーメン作成系のものや、~ 人と人、チャルメラおじさんとのふれ合いを描くものなどバラエティーに富んでおり、ノスタルジックなゲームの雰囲気を一層強くしている。 **賛否両論、問題点 -経営要素が無い --「ラーメン屋台を題材としたゲーム」と聞いて経営シミュレーションを思い浮かべるかも知れないが、本作にはそのような要素は一切ない。なんならお金の概念すらない。~ パッケージ裏には「自分の作ったラーメンを売ろう!」というコピーが載っており、その点でも誤解を招きやすい。 -ダレやすい --イベントや具材探しの楽しみはあるものの、基本的にはラーメンを売り歩くだけでゲームらしい要素はほとんど無い。~ 評価の高いラーメンが作れるようになると試行錯誤する楽しみも減ってしまうので、さらに目的が見出しにくくなる。 -お店コマンドの意義 --イベントに詰まる事の無いようにとのことなのか、お店コマンドが楽に杯数が稼げる方法として用意されているが、~ コマンドを選択した瞬間杯数がカウントアップするだけと味も素っ気もない。((演出も何もなく文字通り総杯数が増えるだけ。))~ また、このコマンドを使用すると町での評判が下がってしまう弊害があるため、お店の存在意義がかなり薄い。 -イベントがノーヒント。 --基本的に「総杯数が一定を越えた状態で特定の地域に行く」事で発生すると思われるが、特にマップに目印が付くことなどはない。~ 杯数だけがフラグになっているイベントもあり、普通にプレイしているだけで発生すると感じられる程の頻度でイベントはあるが、意図的にイベントを探すときなどは非常に苦労する。 -具材集めが面倒 --イベント同様具材集めもノーヒント。獲得していない具材はグラフィック、説明文ともに「???」で手がかりは何もない。~ 具材はイベントで獲得出来るのもあるが店で入手出来る場合もある。~ しかし店主は「腕を上げたらまた来い」と言った事しか言わないため収集しようとするとかなり面倒。 -消費時間のバランス --行動全てが1回につきゲーム内の一時間を消費するようになっており、~ 町の移動や店を覗く(会話の発生の有無を問わず)などの行動でも一時間を消費する。~ イベントや具材探しをするとすぐに帰宅時間になりかなり手間。 -&bold(){ラーメンが食べたくなる。} //↑ジョークなので本気ではないです。念のため。 --ラーメンをすする音、スープを飲む音、そしてチャルメラの音色といった効果音がゲーム中、嫌でも耳に入ってくるため余計に食べたいと思うようになる。 --夜中のプレイの際は夜食をお忘れなく。 //割と真面目に理由を書いてみました。 **総評 公称ジャンルはシミュレーションであるが、実際はイベントを読み進めるのがメインとなり、どちらかと言うとノベル的なゲーム。~ ゲーム的な要素は具材収集、ラーメン作り以外にはほぼ無く飽きやすいものの、人情物語で哀愁のあるイベントなど、~ ラーメンのように時折また味わいたくなる懐かしき昭和の雰囲気を感じられる。~ ゲーム性を重視する層にはあまり向かないが、そうした要素よりもゲームの世界観や雰囲気を重視する、いわゆる雰囲気ゲーが好きなプレイヤーであれば、のんびりまったりとした雰囲気の漂う本作の世界を味わえるだろう。~ 昭和世代のチャルメラファンや世界観好きなプレイヤーにおススメの良質な雰囲気ゲーである。 **余談 -パッケージに描かれているシンボルキャラクター「チャルメラおじさん」だが、実は2010年代に入って絵柄がリニューアルされている。 --無精髭を剃って若返った、傍らにいる黒猫(通称:チャルメラ猫)がいなくなった、素朴な手描き絵タッチからポップ調の太線で描かれるようになったなどの変化が見られるが往年のチャルメラファンには不評らしく、「こんなのチャルメラじゃない」とまで言い切る人もいるとか。