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アイドルデスゲームTV」を以下のとおり復元します。
*アイドルデスゲームTV
【あいどるですげーむ てぃーびー】
|ジャンル|センター争奪デスゲームアクションADV|&amazon( B01I148T54)|
|対応機種|プレイステーション・ヴィータ|~|
|発売元|D3パブリッシャー|~|
|開発元|ウィッチクラフト|~|
|発売日|2016年10月20日|~|
|定価|7,344円|~|
|レーティング|CERO:D(17歳以上対象)|~|
|判定|なし|~|
|ポイント|アイドルのセンター争いをデスゲーム物に&br()期待を煽り過ぎた''ダンガンロンパ的な何か''&br()題材と独自性は良し|~|

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#contents(fromhere)
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**概要
D3パブリッシャーフルプライスタイトルとしてはもう定番路線となった美少女モノ。~
今回はアイドルたちがトップに立つべく(言葉通り)命がけでアイドルグループ「プロジェクト47」のセンター争いイベント「ドリーム・オブ・ドリーム(D.o.D)」に挑むADV。~
シナリオは開発元「ウィッチクラフト」の現社長であり、かつて『[[MARICA>MARICA ~真実の世界~]]』『[[メタモルV>ひみつ戦隊メタモルVデラックス]]』『[[THE 裁判員>SIMPLE DSシリーズ Vol.48 THE 裁判員 ~1つの真実、6つの答え~]]』などを手掛けた遠藤正二朗。キャラクターデザインも『THE 裁判員』に続いて上田メタヲが担当している。~
前情報の段階で大幅にネタバレし、かの『[[Smash T.V.]]』のような血みどろ路線かと期待されたが…。

**特徴
-表向きはセンター争いのテレビ番組((なお、何年にもかけて行われている番組なのだが、さすがに今回のようなデスロワイヤル形式は初めて。))。
--超有名アイドルグループのセンターを賭けてアトラクションに挑む、という形で物語は進んでいくが、それはプロローグだけ。本格的にシナリオに入ると、「ライバルを蹴落として生き残る」という殺伐とした設定が明らかになる。
--ちなみにそれに関してはかなり前の段階でユーザーへネタバレしており、登場人物だけが「これはテレビ番組だから死んだりしない」と思い込んだまま進むという異色の展開になる。
-全7人のアイドルがいるが、初回プレイで選ぶことができるのは「茅ヶ崎 千春」のみ。
--彼女でクリアすると、他のアイドルを主人公として選択できるようになる。さらに条件を満たすと「D.O.D編」が解禁され((選べる主人公は強制的に千春。))、このシナリオで今回の舞台の真相が明かされる。
--アイドル達にはそれぞれ、『他のアイドルをどう思い、どう思われているか』に関係する「好感度」、アピールタイムでの「得意」「不得意」、初期ファン人数などが設定されている。
--各キャラクターに持ち歌となるアイドルソング(ボーカル有り)が存在しており、後述のデスライブパートで流れる。
---作曲は『[[オメガラビリンス]]』のボーカルソングと同じセイムクリエイティブが担当。
-ファンとイベント通貨「ドリマネー」
--登場人物は全員アイドルであり、熱心なファンからの応援を受けている。ファンの数に応じて時間ごとにドリマネーが補給されていく。またファンも、基本的には時間経過で増える。
--ドリマネーはチャレンジ用アイテムやバクロワイヤルで使用するヒントなどを購入するのに必要。…というより、これを如何に稼ぐかでゲームが決まってしまう。
--ファンはプレイヤーの行動で増減するので、アイドルらしからぬ行動をとり続けるといつの間にかファンに見放され時間経過でのドリマネー補充が滞る事態になりかねない。ただし…。
-センターは金で買え、と言わんばかりの仕様
--各章の終わりには「チャレンジ」と呼ばれる関門があり、これをクリアできなければ進むことができない。が、内容は基本的に運ゲーでありプレイヤーの腕ではどうにも出来ない。
--そこでドリマネーを使ってアイテムを購入し、クリア条件を強引に満たしてクリアするのが一番早い進み方になる。というか、これ以外でクリアするのは難しい。
--最終章ではファンの人数がクリア条件になるが、これさえもドリマネーで「にわかファン」を買えばクリア可能。
-バクロワイヤル
--フィールドとなる洋館内部に隠されたスキャンダルの欠片を使って、アイドル同士が秘密を暴露しあうというシステム。これでドリマネーを大量に奪い取ることが可能。また、勝った方は「テンション」が上昇し、負けた方は下がる。「テンション」は審査の出来に影響を及ぼしてくるため、地味に大事。
--ただし他人の秘密を暴露する以上、ファンが減ってしまう。また勝敗の付け方がよくわからない(後述)。
--こちらから仕掛けるだけではなく、相手から仕掛けられることもある。その際の基準は前述の「好感度」が大きく関わって来る。
--なおバクロワイヤル中はお茶の間への音声はカットされるため視聴者にスキャンダルが漏れる事はないらしい。それって視聴者見てて面白いんですかね…とかは考えないようにしよう。
-デスライブ
--チャレンジをクリアできないまま最後の一人になると「脱落」となり、''自分の持ち歌がバックで流れる中でアトラクション風に処刑される''。もちろん、自分が主人公に選んだアイドルが「脱落」してしまうとゲームオーバーとなる(一部例外アリ)が、その際にもキッチリ流される。
--『[[ダンガンロンパ>ダンガンロンパ 希望の学園と絶望の高校生]]』で言うオシオキパート。ある意味このゲーム一番の見どころである。
--ゲーム内では「試練に耐えきれば敗者復活」と言っているが…。

**問題点
-いろいろな意味で''劣化ダンガンロンパすぎる''
--ゲーム内容的には一見すると近いのだが、謎解き部分は皆無に等しい。加えて、かなり長い間「アイドル特番の企画」と思い込んでいるために共演者が死んでいく悲壮感が全くないまま進んでしまい、プレイヤーは置いてけぼりである。
--爆発しようが、動物に襲われようが、「特撮みたいなもの」「精々ケガ程度で本当に死ぬ訳ない」と登場人物は判断する場合が多い。死体袋を見るシーンでも「中身は人形に決まっている」と言ってしまう。明確に死体が出る訳では無いので登場人物が信じられないのも無理は無いのだが。(というか死ぬと確信したら撮影から逃げ出すはず((棄権してもデスライブを執行される上、反抗しようとするとスタッフに取り押さえられると作中では説明されているが)))
--同じVitaで発売された『かまいたちの夜 輪廻彩声』がCERO-Z(18歳以上対象)で明確に死体を描写していたことを考えると、CERO対策として明確に死ぬシーンを描写出来なかったためと考えられなくもないが。
--展開が強引すぎて、安っぽいバラエティ番組の演出のように見えるのもその一因。さっきまで一緒にいた人が短時間で遥か遠くで((箱に閉じ込められたまま爆死するヒロインがいるのだが、その場所がどうみても特撮番組に出てくる採石場のような場所。「こんな短い時間で移動できるわけない」と主人公も言ってしまい、本当に死んだのだとは信じない。))デスライブしていたり、時間経過が明らかにおかしかったりする。
--デスライブで爆破オチの場合、日本全土が爆発するような演出が入る他、火山の噴火といったあり得ない現象が起こる。ゲーム内での事情から推測するに爆発による死は本当でもそれらについてはCGによる演出だと判断できるのだが、そのせいで余計にデスライブで本当に死ぬという実感が薄れている。
--そのデスライブも、個々のキャラで2種類(1人だけ3種類)しかなく単調さを助長している。
//--「D.O.D編」を除いて、ほとんどのシナリオの結末が似てしまっているのも問題。終盤で取ってつけたように大きな秘密が暴露され、そのまま投げっぱなし、謎は何も解決しないまま終了…というパターンがほとんど。
//一応しらせのルートなどは他とは異なる流れになると思ったので隠します。
//しらせルートも「終盤で取ってつけたように大きな秘密が暴露され、そのまま投げっぱなし」という点は共通していると思うので、隠さなくてもいいような気がします。ただ、しらせは他6人と違って復讐することを頭に入れていたので、デスライブで本当に死んだのだと思って話を進めている点(中間話)は異なっていると思います。
--最初にプレイする千春ルートは実質的にバッドエンドのような悲しい結末で、他の主人公たちもほとんど同様。大団円となるのは最終ルートの「D.O.D編」のみ。
---一周目のラストはレイプ目になったままの千春が痛々しい。
---ラスト1人になったのにマイソングが歌われることなく終了。せめて、後日談としてセンター1人だけの悲しいライブ演出のシーンがあった方が鬱要素として十分見ごたえがあると思ったが。
-単調なゲーム性
--ひたすらホテル内をうろついてコインを探す作業プレイになりがちな他、ステージごとの審査も少し作業的。全てのキャラでほとんどやることは一緒なのも苦痛。
--ホテルが舞台なのだが、同じような地味な部屋が続くだけで画面に華が無く、探索の作業感を倍増させている。華やかなアイドル達が活動するのだから、もっと派手で煌びやかなホテルでもよかったはずなのだが。
---最終ステージで歌勝負を行う舞台はギリシャ風の神殿というよくわからないロケーションである。
-バクロワイヤルの勝敗基準が不明
--ゲーム内でも「ドリパクの機嫌次第」となってはいるが、男がらみを思わせるスキャンダルがどうでもいいネタに負けてしまったりと基準がわからない。
---流石にまずい仕様であったことを認めたのか、後の修正パッチでは各スキャンダルの「強弱度合いの数字」が表示されるようになった。
--シナリオ的な事情で必ず負ける組み合わせもあるとかないとか。
--なお、話しかけるだけでも時間が経過しドリマネーを稼げるので「話しかける→話すのをやめる」を繰り返すとバクロワイヤルで稼ぐ意味がなくなってしまう。
-値段が高すぎる
--内容がそれほど分厚いわけでもないにも関わらず、フルプライスだと7000円越え。今でこそそのような価格で取引はされてはいないが、販売前は予約特典を求めて正規価格で購入された方々が数知れず、ネット上では犠牲者の怒りのコメントが多数見受けられる。
---7人全員のアイドル+ドリパグをフルボイス仕様にしたことが原因と思われる。メインストーリーと一線を画すれんや姫のエピソードを追加要素にしたり、そもそもフルボイス実装せずに有料パッチでフルボイスにしたりするなどの工夫で価格を抑えることは考えなかったのだろうか。
-アイドル達の一人「蒲田 真理子」への扱い。
#region(ネタバレ注意)
-公式HPのゲームシステム紹介内容には「各ステージで脱落するアイドルはプレイヤーの行動次第で、プレイするたびに勝ち残るキャラが変化。」とあるのだが、&bold(){完全とまではいかないが、嘘である}。
--実は、真理子は&bold(){シナリオ上第一ステージを絶対に突破できず、脱落することが決定されている。}これは他のアイドルを主人公にした場合でも、彼女自身を主人公にした場合でも一緒。彼女を主人公として選んだ場合、&bold(){ルーレットの当たり数字を埋めるために必要な「ドリームボール」の1と3が絶対に売り切れており、何度ルーレットを回しても1か3しか出ないようになっている。}
--つまり、蒲田真理子編のクリアのためは、彼女がビリになってデスライブで死ぬことが求められる。
---このため、彼女のシナリオは全アイドル中最も短い。また、他のアイドルには用意されているダンス審査やソング審査にも進めないため、ステージの上で躍動する彼女を見ることはできない。ゲーム発売前の公式人気投票(『電撃オンライン』誌の「アイドルデスゲームTV・アイドル総選挙」のこと)では1位を取っただけに、この扱いはあんまりである…。
---一応、彼女が1位になったことで公式も彼女のイラストを配信したりとフォローはしているのだが。
--D.O.D編では彼女(と彼女のファングループ)が重要なポジションとなり、準主役と言っていい活躍をするのだが、上記の審査に進めないのは変わらず、裏を返せばD.O.D編に到達しない限り彼女の活躍を見る事も救う事も出来ない。
--途中の演出で死体袋のシーンが映されるのだが、他のアイドルの名前はかすれていて読めないが、「カマタ マリコ」だけははっきりと読み取れる。つまり、彼女がこの場面まで生き残っている可能性がないことがデータ上からも明確に示されている。
--そもそも、88位なのに選出されている時点で何かしらの意図があったと思わなくてはならない。
#endregion

**評価点
-アイドルたちがとても可愛い
--一枚絵もそうだが3Dモデルでの描写も可愛く、キャラクターソングの出来もいい。デスライブで流れるとまた異様な雰囲気で、何とも言い難い気持ちにさせてくれる。
--一枚絵は可愛らしいものだけでなく、アイドルらしからぬ鬼気迫る表情で叫ぶ他、絶望のあまり虚ろな表情を浮かべるなど、様々なものがあり、いずれも高クオリティである。
--キャラも結構作り込まれていて、裏事情を抱えているアイドルが単に優勝を目指すだけでなく、独自の目的を果たそうとするなど見所もある。アイドル同士の確執や偏愛、葛藤などもあっさり目だがそれなりに描写されている。
---中でも「筑波 しらせ」のシナリオは、本作のコンセプトに沿ったアイドルの二面性を上手く描写した出来となっている。彼女自身のキャラも強烈かつ個性的だが、同時に魅力的に感じたプレイヤーも多いはず。ただ、先述の通り初プレイでは選べないため、そこまで辿り着ける人でないと評価できないのだが。
---一応、千春編をクリアすれば選択できるので、そこまで大変ではない。
--『アイドルマスター』や『ラブライブ!』で声を当てた中の人たちが出演しているのも、アイドルネタのギャグと化している。
--また、マスコット兼デスゲーム仕掛け人のドリパクの声は山口勝平氏で、非常に枠にハマった演技を見せている。プレイヤーを「ムカつく」気分にさせる演技力は流石で、声の使い分けも凄く、放送音声をオフにしたシリアスなシーンで脅すような声で話す際には本当に同一人物なのか疑いたくなるほど。
--声優ネタはドリパクにも存在し、あるデスライブでは『ジャイアントロボ THE ANIMATION -地球が静止する日』をパロディしている。
-D.O.D編のストーリー
--裏事情を抱えた一癖も二癖もあるアイドル達が辛い過去や確執を抱えながらも協力し、主催者であるドリパクに挑む展開は引き込まれる。これまでのルートで散々不快感とウザさを振りまいてきたドリパクに一泡吹かせる爽快感は大きく、他のルートがほぼBADエンドのようなものしかないこともあって、D.O.D編をクリアすることでの達成感はひとしお。
---このルートのみで使用できる特殊なバクロワイヤルをはじめ、演出のショボさが目立つのが難点だが、『ダンガンロンパ』や『逆転裁判』といった作品とは違ったカタルシスがある為、D.O.D編をクリアすればこの作品の評価も底上げされるだろう。それまでにダレて投げ出す可能性も否定できないが。
-演出の細かさ
--デスライブ中の右上テロップの他、探索パートでデータ放送連動企画のようなファンの声が画面に表示されるなど、演出面も「わかっている」感が凄まじい。
--イベント時には生中継されていることを表す表示が常に出続けるが、ドリパクが音声を切るように指示した際にはその表示が出る他、放送そのものを中断した際にはアイコンが消えるなど、テレビ番組を意識した演出は作り込みが細かい。
--荒唐無稽な世界観と思わせて、「地方局が処分を恐れて放送を中断した」「スポンサーが降りて公共広告のCMしか流れなくなった」「違法にネット視聴している奴らは今回だけは見逃す」「ロケ地が特定されたので警察が向かっている」など、放送による影響もしっかり描写している。
--「食事もトイレも行かないからやっぱり録画放送だろ」とか微妙にメタなコメントも流れる。
-アイドルの裏側を描こうという心意気
--表向きのアイドルアイドルな紹介ムービーもある一方でキャッチコピーが「偽りだらけの幸福」「復讐するは我にあり」「存在☆詐欺」などの酷い裏面にすり替えられたムービーがあるなど二面性や裏側を強調した箇所が多く、華やかなアイドルの裏を暴こうという心意気は凄まじい。
-いろんな意味で常軌を逸したデスライブ演出
--「爆弾とともに箱に詰められ、脱出を計るも正解となる鍵が入っておらず爆死」はたいして意外ではないが、「ウォータースライダーで早く滑り降りるため油を流したら、花火に引火して爆死」「一日交通所長として交通違反を''何日も''取り締まり続け、結局事故死」など罰ゲームなのか何なのかそもそも自業自得じゃないかと思うような死にざまが多数。おバカ要素が多いくせに結局同じ最期になるところから、ドリパグが7人のアイドルをどう見ていたかが邪推される。
--また「バットが胸貫通」などどこぞのグロ漫画並みの身体強度な死にざまも。ただCEROの兼ね合いかアッサリ気味なのが惜しいところ。

**総評
あまりにも前評判を煽り過ぎたせいもあってクソゲー扱いされがちだが、実際遊べないほどひどい箇所はなく消化不全感はあれど及第点。~
さすがに『ダンガンロンパ』と張り合えるような良作とは言えないが…。~
ビジュアル重視でシナリオについて脳内補完出来るユーザーならば、買っても損はないと思われる。~
ただ、CEROの兼ね合いもありグロやリョナを期待したユーザーにとっては完全に期待はずれ。ここはCERO-Z版が待たれるところである。

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**余談
-アイドルを題材にした作品ながら、D3の看板アイドルである双葉理保はポスターとして登場するだけでストーリーには絡まない。
-本作は東京ゲームショウ2016において体験会が実施されていた。入場入口の近くであり、30分~1時間待ちの行列ができていたことから、力を入れていた企画であり、それなりに注目がなされていたことが伺える。
-しかし、販売後に上記に記した、あまりに爽快感のない単調なゲーム性から低評価が相次ぎ、大幅な値崩れが起きた。発売してから半年足らずで大手の通販サイトで新品が1000円近くで販売された時もあった。
-関連グッズとして、プリントブロマイド、キャラソンCDおよびLINEスタンプが販売されている。
-Twitterアカウントがあり最新情報の告知がなされていたが、半年程度で更新が止まっており、暫く続編は登場しないと思われる。

復元してよろしいですか?