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*カーズ 【かーず】 |ジャンル|レーシングゲーム|&amazon(B000FIQSKI)| |対応機種|ニンテンドーDS|~| |メディア|DSカード|~| |発売元|THQジャパン|~| |開発元|Helixe、Buena Vista Games|~| |発売日|2006年7月6日|~| |定価|5,040円(税5%込)|~| |プレイ人数|1~2人|~| |セーブデータ|1個|~| |レーティング|CERO:A(全年齢対象)|~| |判定|BGCOLOR(khaki):''ゲームバランスが不安定''|~| |ポイント|ネタの幅が案外広い&br;無駄に難しいミニゲーム&br;''最狂最悪''のレーサー「チック」|~| |>|>|CENTER:''[[ディズニーシリーズリンク>ディズニーシリーズ]]''| #contents(fromhere) ---- **概要 『カーズ』は、その名の通り車が登場人物となるディズニー・ピクサー映画。~ 本編では潔癖かつ傲慢で仲間を顧みない新人レーサー、ライトニング・マックィーンが辺境の田舎町に迷い込み、そこで仲間と触れ合いながら人間的に成長していくというのが本編のあらすじ。 本作はそんな『カーズ』を原作にしたレーシングゲーム(公称)…というのは若干誤りで、事実上のミニゲーム集である。 ストーリーは特に存在しないが全編が映写機のスライド送りで話が進行する。舞台はどうやら本編終了後のラジエーター・スプリングスの模様。 **ゲームの流れ -ゲーム開始時に3つのミニゲームが用意されているが、それぞれ1回でもクリアするとピストンカップが解放される。 -ピストンカップクリア後は新たにミニゲームが3つ解放され、それをクリアすると再びピストンカップが開催され…という流れ。4回目のピストンカップをクリアするとひととおりのゲーム制覇となる。 ***ピストンカップ -本作の節目となるミニゲーム。 --ミニゲームを3つクリアするたびに、ピストンカップが開かれる。全部で4戦あり、コースが微妙に異なっている。 ---初回は6周、2回目は8周、3回目は10周、4回目(最終)は12周。 --なおピストンカップをクリアしないと、新しいミニゲームが解放されない。 -レースの操作方法 --いずれも「ライトニング」と「チック」の戦いとなる。その他のレーシングカーは登場するが事実上の障害物としての役割。「キング」は登場しない。 --Aで加速、Bでブレーキ、十字ボタンでハンドル操作、L/Rでジャンプ。 ---カーブといった操作は求められておらず、ハンドル操作は車線変更に使う。 -ピットインについて --3周するごとにピットインしてタイヤを素早く交換するミニゲームへと切り替わる。タイヤを固定する5本のナットのうちどれか光ったナットを素早くタッチしなくてはならない。 ---制限時間が設けられており、制限時間内に交換できなかったタイヤは次の3周でもそのまま使い続けることに。 --障害物にぶつかるとタイヤがダメージを受ける。上画面のアイコンで大まかにだがダメージ度合が把握可能。ピットイン前にあまりにもダメージを蓄積させると、タイヤがバーストしてしまいレースに負けてしまう。 ***ミニゲーム -ゲームを進めるには、ミニゲームを最低でも1回クリアする必要がある。 -2回目以降は、初回時よりもさらにゲームを続けることが可能となり、高難易度版としてプレイヤーに立ちはだかる。なお2回目以降をクリアしてもさらに難易度が上がることはない。 -STARTボタンでムービーのスキップ、ミニゲームの一時停止および中断可能。 -以下ルール説明文では登場人物は「」でくくる。 #region(close, ニューゲーム時から遊べるミニゲーム一覧) -ブレス ユー! --「スノットロッド((ライトニングがラジエーター・スプリングスに流れ着くきっかけになったチンピラ車のうちの1台))」を操作して、パトカーと競争するゲーム。 --プレイ画面は4車線ある広い道路を真上から見下ろした状態。無数の一般車をタッチペンで車線変更しながら回避して追い越す必要がある。時折仲間のチンピラ車が後ろから高速発進してくるほか、「スノットロッド」自身がくしゃみをして急加速することがある。 --一定距離走るとラウンドが進む。 --一般車や仲間の車に5回ぶつかるとゲーム失敗。 ---黄色い車は他の車よりもやや速度が遅く、タールを踏むとしばらく操作が効かなくなったうえに違う車線へとスリップする。 -フロー’s カフェ --「フロー((ラジエーター・スプリングスの住人))」が経営するガソリンスタンドにやってきたお客さんをすばやく給油するゲーム。 ---方向キーかタッチペンのスライドでお客のもとへ駆けつけ、車のマークをスクラッチして、満タンにすることで給油完了となる。 --右上のアイコンが表示している数だけお客さんを給油できると次のラウンドに移行する。---ラウンドが進むにつれてガソリンスタンドが広くなり、一度に多くのお客さんが来るようになる。 --車マークは放置していると徐々にゲージが低下し色も緑→黄→赤となる。マークが赤になった車をしばらく待たせると、怒ってお店を出て行ってしまう。左に表示されている回数だけお客さんを怒らせるとゲーム終了。 --なおゲームの上画面のゲージに、どこにどの程度待たされた車がいるのかが表示されている。 -ザット ブリンキング ライト --「フィルモア((ラジエーター・スプリングスの住人))」と「サージ((ラジエーター・スプリングスの住人))」が、街に放置されて誤作動する信号の動きを読むゲーム。 ---信号は2つの車線の信号が1つに合体して交差点に対応できるようにしたタイプである --プレイヤーは青、黄、赤が2箇所ずつ、合計6箇所の点滅の順番を覚えて、その後点滅の順番どおりに信号の光った場所をタッチする。 --3問クリアするごとにラウンド数が増える。初回時はラウンド4まで。点滅する信号の個数はラウンド1→2→3…となるごとに、3→4→5…と増えていく。 --ライフは初期状態で3ある。0になったら終了。4回連続で正解するごとに、ライフが1つずつ回復していく。 --問題のパターンは固定されていないが、間違えた場合はさきほどの同様の出題がなされる。 #endregion #region(close, ピストンカップ(1回目)クリア後に解放されるミニゲーム一覧) -オーバーザムーン --「メーター」が爆走しながらジャンプ台に乗り上げ、空中にある星を集めるゲーム。 --「メーター」がバックで爆走している間、下画面の左半分と右半分をそれぞれ交互にすばやくタッチして、スピードのゲージを高める。ゲージが高いほど高くジャンプができる。 --ジャンプした後は、さきほどと同様の操作でメーターの左右の位置を調節しながら、星屑に触らせて回収する。 --表示される数だけ星に触れれば次のラウンドに移行する。1ラウンドでは2回分挑戦可能。 -フィッシングメーター --「メーター」のワイヤーを使った釣りを手伝うゲーム。 --下画面の下側のゲージが示す制限時間内に、川を流れてくるゴミをワイヤーで所定の数だけ吊り上げる。 ---フックを投石機のような操作で川を流れるゴミめがけて投げ込むのが第1段階。ゴミが引っかかったら、「メーター」の近くに出てきた巻いた形の矢印をなぞるようにワイヤーを巻き取るのが第2段階。 ---ワイヤーには耐久張力が設定されており、重いものを早く巻き取ろうとするほどワイヤーに負担がかかる。巻き取りを休めば張力を弱めることが可能。 ---巻いた形の矢印が赤色に近いほど張力が限界に近づいていることになる。 ---なお、大型で重いゴミの吊り上げに成功すると残り制限時間が大幅に増える。 --またワイヤーをひっかけたゴミが画面の外に流れたり別のゴミにぶつかるとゴミが外れてしまう。 --ラウンドが増えるごとに吊り上げなくてはならないゴミの数が増えていく。 -ハイウェイハッスル --「マック((ライトニングをピストンカップへと送迎するトラック))」の荷台からこぼれ落ちる荷物をタッチペンで仕分けるゲーム。 --荷物には青、緑、紫、黄のいずれかの色がついているため、それと同じ色のところへと運べばよい。 --取り逃しても即失敗にはならないが、制限時間が設定されている。 --ラウンドが上がると制限時間と回収すべき荷物の数が増加する。また荷物の色がランダムで変わったり、仕分け先の色が入れ替わったりする。 #endregion #region(close,ピストンカップ(2回目)クリア後に解放されるミニゲーム一覧) -ラモーンスタイル --「DJ((ライトニングがラジエーター・スプリングスに流れ着くきっかけになったチンピラ車のうちの1台))」のお手本通りに、「ラモーン((ラジエーター・スプリングスの住人))」を躍らせるゲーム。 --お手本パートでは5枚あるCDが一定のリズムと順番で光るため、そのリズムと順番通りにタッチするのがゲームの流れ。 --ラウンドが進むごとにリズムが複雑になる傾向があるが、これといった失敗条件はない。 -ルイジのカサデラ タイヤ --「ルイジ((ラジエーター・スプリングスの住人))」のタイヤ店の整頓の為、制限時間内に所定の数だけタイヤを積み上げてタワーを作るゲーム。 --「ルイジ」の仲間、「グイド((ラジエーター・スプリングスの住人))」を跳ね上げるようにタッチすると、持っているタイヤを放り上げる。 --「グイド」は規則的に左右を行ったり来たりするので、タイミングよく適切な高さだけタイヤを投げあげる必要がある。 --ラウンドが進むごとに積むべきタイヤの数が増えるほか、タイヤが積まっている状態だとより高く投げ上げる必要がある。 --風が吹くこともある。青い矢印で表示されて投げたタイヤがどの向きに煽られるのか参考にする必要もある。 -トラクター返し --「メーター」を操って眠っているトラクターに近づき、クラクションで驚かしてひっくり返すゲーム。 --十字キーの↑で前進、↓で後退。タッチペンでハンドル操作。クラクションはマイクに音を聞かせることで出せる。若干だが音量調節可能。 --時間内にマップにいるすべてのトラクターを驚かす必要があるが、「フランク」と呼ばれるマップ内を徘徊する巨大トラクターに見つかると失敗。また「フランク」は近くのクラクションに反応して寄ってくる性質がある。 --上画面はマップになっており、「メーター」、トラクターおよび「フランク」の位置関係が大まかにだが把握可能。 #endregion #region(close, ピストンカップ(3回目)クリア後に解放されるミニゲーム一覧) -ドライブ イン ナイト --パズルゲーム。込み入った駐車場の車を移動させて「ライトニング」を外へ出してあげよう。 --制限時間や移動回数制限はないが、車は前後にしか動かせない。 -ハイドロ ジャンプ ジャム --「ラモーン」を操作して、制限時間内にスタイリッシュな技をキメて点数を稼ぐゲーム。 --「ラモーン」をタッチペンで叩くと軽くジャンプする。また着地寸前にタッチすることで、より高い点までジャンプできるようになる。 --一定の高さまでジャンプすると、下画面にマークが表示されるため素早くなぞることで、スタイリッシュな技をキメて加点できるようになる。 --初回ラウンドのみ制限時間なし。ラウンド2以降は60秒間の制限時間内に、ノルマスコアを稼ぐ必要がある。ラウンド3以降は以降はラウンドが上がるごとにノルマとなるポイント数が5.000点ずつ増加していく。 -ウィリーズ ビュート --「ライトニング」を操作して、「メーター」とバックのレースをするゲーム。 --道中にあるサボテンや岩に乗り上げると減速してしまう。サボテンはジャンプでも回避不能だが、一度ぶつかると折れるため、2度目は岩としてジャンプ回避可能。 --どのラウンドでも3周勝負だが、コースの障害物が若干変化する。 --基本的な操作方法はピストンカップと同様。Aで加速、Bで減速。L/Rでジャンプ。 --十字キーによるハンドル操作は左右逆転になっている。 #endregion -通信プレイ --ピストンカップのエキシビションマッチが可能。こちらは常時開放されている。 --初回は6周のコースしか遊べないが、上記のピストンカップをクリアするたびに新たなコースが追加されていく。 **評価点 -キャラゲーとしての価値 --グラフィックが粗いながらも作中に登場したキャラをきちんと再現している。紙芝居もよく登場するが、きちんと原作のCGに忠実なモーションをお目に書かれる場面も多い。 --ネタ拾いがマニアックなため、コアなファンがプレイすれば違う意味で楽しめるかもしれない。特に本編には、あまり絡めないながらも強烈な個性を放っていたキャラが多いため、彼らの特徴に焦点を当てたミニゲームができるというのは斬新。 ---ただし、本作の世界観は概要のとおり本編クリア後の設定付けをされているようで、本編にあったような展開再現を期待することはできない。 -リスタート地点の設置 --ピストンカップ以外であれば、ラウンドごとにリスタート地点を設けてくれる。 -ある意味異色なレース --ピストンカップのルールはピットインのミニゲームがあったり、車をハンドリングやジャンプで躱すのが主流などかなり変則的なので、レーシングゲームの中では異彩を放っているかもしれない。 **問題点 -テキストが若干たどたどしい --誤訳の類は特に見当たらないのだが、どこか英文特有のシンプルでくだけた表現を直訳しているきらいがある。 --また文章送りのコマンドが入るタイミングが思いっきり文章の途中だったりするため、文章が途切れ途切れになって非常に読みにくい。 -説明が不足している --文章が読みにくいのもそうだが、ひとことも触れられていないシステム説明もそこそこ多い。 --STARTボタンでミニゲームをポーズ・中断できることに関してゲーム中では説明なし。 --フロー’sカフェでは、テーブルの移動の仕方を説明するのみで、そこに来る自動車たちにどのように給油すればいいかという肝心な情報がわからない。 --ゲーム開始時に以下の文章(省略無、原文ママ)が流れた後にミニゲーム3つが放かされているという有様。ゲーム自体は上記のように単純な構造にもかかわらず、一瞬何をしていいのかわからなくなる。&br; ライトニング :メーター、ぼくまたレースするところなん だ。ラジエーター・スプリングスでのぼく たちのいい思い出を、ずっとかんがえてたんだ。 メーター :その言葉を待ってたよ!また楽しくやろ うぜ! -ミニゲームの難易度や設計 --簡単なものもあるが、お世辞にも子供向けとは言えない難易度の物もある。 --無理ゲーといえるレベルで高いわけでもないため、(もしかすれば)気が付いたら熱中できる可能性はあるが、ミニゲームそのものの構成は至ってシンプルなので、クリアした後に達成感や一種の楽しさが残るかどうかはプレイヤー次第といったところ。プレイヤーの記録が残る訳でもないため、やりこむ意義も薄い。 --「ルイジのカサデラ タイヤ」と「ハイドロ ジャンプ ジャム」は本作の鬼門。 ---どちらもごく短い時間を狙って特定の操作をしなくてはならないので、鋭い動体視力とかなり繊細なタッチペン操作が求められる。前者はゲームの終盤が大変。後者は、ラモーンを上空高く飛び上がらせるまでが非常に大変。 --このミニゲームも、ゲーム制覇の為には最低でも1回クリアしなくてはならない。 -ピストンカップがレースゲームではない --まずライバルのチックが物理法則的に非常に不自然な動きをする。 ---運転の軌道は蛍光灯に集まるハエのように挙動不審。それでいながら時折、全速力のライトニングを超える速度を発揮してくる。さらには自分と同等の重量を持つ車に接触した程度では減速しない剛健ぶり。 ---メーターとレースするミニゲームもあるが、メーターはサボテン等にぶつかればきちんと足止めを受けてくれる。 ---ピットインしたときのタイヤ交換を迅速に行ってもチックに対してアドバンテージが取れることもなく、はっきり言って意味がない。 ---チックの妨害のせいなのか、コースはクラッシュした車がやたらと散乱するというなかなかの地獄絵図になっている。 ---ライトニングにもひるむことなく体当たりを繰り返す。ライトニングの方はというと説明にも書いた通り、何かにぶつかるとタイヤにダメージが蓄積されるし、最悪バーストしてしまい失敗となる。 --つまるところ、物理法則が半ば通用しないライバル相手に、追い越し車両や事故車両をジャンプ(時折ハンドリング)で回避し続ける障害物競走のようなものになっている。 ---ハンドリングは回避手段としては力不足であり、ライバル車がいない車線やチックの妨害の少なそうな安全地帯を陣取るのに必要な程度。またブレーキをかけているようでは基本的に負けてしまう。 --なお、チックは原作でも勝利のためならクラッシュをも平気で巻き起こす卑劣な性格だったが、ここまでラフなプレイをする車ではない。 -ピストンカップの不親切設計、使いまわし --2,3,4回目と繰り返してもコースの長さが変わるだけ。実にゲームの1/4を占めるため頻繁にやることになるのだが…。 --上述のチックの理不尽な動きのせいで事実上運ゲー。マックィーンが足止めを殆ど食らわなかったにもかかわらず負けることもよくある。(勝つための最善な方法もせいぜい、チックを特定の区域に追い込まないようにするぐらいだと思われる。) ---他のミニゲームと異なり途中からリスタートという概念もない。 **総評 きちんと回収されているマイナーキャラのネタを見る分には本作をプレイする価値はある。しかしボリューム自体は不足気味で、理不尽ともとれる内容のミニゲームもあるため、気軽にできるゲームと言えないのが残念。 **余談 -カーズのゲームは他にGBA・PSP・PS2・Wiiで発売されている。 --GBA版は見下ろし型のレースゲームだが、急なカーブがあったり妨害されなかったりと本作とは大きくゲームバランスが異なる。 --PSP・PS2・Wii版は後ろ視点のレーシングゲームである。