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注意:本稿では『ゼノサーガ エピソードI 力への意志』とそのリメイク版である『ゼノサーガ エピソードI リローデッド 力への意志』の両方を取り扱う。 #hr *ゼノサーガ エピソードI[力への意志] 【ぜのさーが えぴそーどわん ちからへのいし】 *ゼノサーガ エピソードI リローディッド[力への意志] 【ぜのさーが えぴそーどわん りろーでぃっど ちからへのいし】 |ジャンル|RPG|&amazon(B00005V1ZP)&amazon(B0000D0Y68)| |対応機種|プレイステーション2|~| |発売元|ナムコ|~| |開発元|モノリスソフト|~| |発売日|2002年2月28日&br()リローディッド:2003年11月20日|~| |定価|通常版:8,190円&br()限定版:13,440円&br()リローディッド:5,040円(全て税込)|~| |廉価版|PlayStation2 the Best&br()2003年4月3日/3,129円(税込)|~| |ポイント|ゼノギアス譲りの濃厚なストーリーとBGM&br()ムービーが非常に多い&br()&bold()|~| |>|>|CENTER:''[[ゼノシリーズリンク>ゼノシリーズ]]''| **概要 『[[ゼノギアス]]』の製作者高橋哲哉氏らを筆頭としたスクウェアスタッフがナムコからの出資を受けて立ち上げた会社「モノリスソフト」の処女作かつゼノサーガ三部作の一作目。 ゼノギアスシリーズでの語られていなかった最古のエピソードである「エピソードI((ゼノギアスは設定上6つのエピソードに分かれており、ゼノギアスはエピソード5にあたる。))」の部分の設定を再構成し新しい物語としたものが本作である。~ そのため、用語など似ている部分もあるがゼノギアスとの直接的なつながりは無い。 翌年の2003年には北米版の逆輸入版である『ゼノサーガ エピソードI リローディッド[力への意志]』が発売。~ 音声は英語のみ(日本語字幕あり)だが、コスチュームの追加、イベントシーンの鑑賞機能などの追加要素に加え、エピソードIIの特典映像が収録されたDVDも封入されている。 **評価点 -グラフィック --PS2初期のゲームだが、通常時のグラフィックやムービーはかなり綺麗で今見ても見劣りしない出来。 -戦闘システム --ゼノギアスと同じく、キャラクター戦闘とロボット戦闘の二種類に分かれており、キャラクター戦闘はボタンの組み合わせで発動する必殺技で戦うシステム。 --ゼノギアスではキャラクター戦闘で「必殺技を発動する過程で必要な通常攻撃にあまり意味が無い」という批判があった。今作は、□ボタンを「物理属性攻撃」△ボタンを「エーテル(魔法)属性攻撃」に分かれており、敵によって技を使い分ける必要もでてきている。 --必殺技の出し方も変わっている。キャラクターにはAP(アビリティポイント)が最大6ポイント、戦闘開始時は4ポイント設定されており、通常攻撃で2ポイント消費する。必殺技を使うためには特定の攻撃2回+○ボタンの計6ポイント必要なため、戦闘開始時に必殺技をいきなり使う事は出来ないようになった。また必殺技を使うためには1ターンAPをためておく必要もでている。 --これによってゼノギアスでのとっつきやすさも残しつつ洗練された。必殺技の演出も派手でとても爽快。 -シナリオ --深い台詞回しやミステリアスで重厚なストーリーは非常に良く出来ている。 --元々連作を予定していたため、今作はキャラクターの印象付けや伏線を張ることに重点が置かれている。エンディング自体も次回作に続く終わり方になる。それでも次回作への期待を高まる終わり方をしており、評価も良い。 -キャラクター --パーティーメンバーを始めとした多くの人物は非常に個性的で、それぞれキャラがたっている。 --特に''アルべド・ピアソラ''は個性的というよりも振り切れ過ぎて色々ギリギリである。 -ムービーの完成度 --ほとんどのストーリー進行はムービーで行われる。 --このムービーでは画面の奥のほうにいるキャラクターも何かしら動いていたりと棒立ちしているものが一人もおらず、完成度は高い。カメラワークなどの演出も優れており、これに引かれたファンもいる。 -音楽 --ゼノギアスから引き続き光田康典氏が作曲を担当。「ロンドン・フィルハーモニー管弦楽団」を起用したクラシック音楽群は美しく、壮大なシナリオの雰囲気に見事にマッチしている。 --またゼノギアスでエンディングを歌ったJoanne Hoggによるエンディングテーマ『kokoro』は海外オリコンチャートで1位を獲得するなど、海外でも非常に高い評価を得ている。 -おまけ要素 --自由度は高くは無いが、各種ミニゲームやセグメント(対応する鍵を持っていると中の宝を取れる扉)と言ったおまけ要素も多数存在する。 --ミニゲームはA.G.W.Sを使った対戦ゲーム「バトリング」((ゼノギアスにも同名の対戦ゲームが登場したが、あちらが格闘ゲーム風なのに対して、こちらは本格的なロボット対戦ゲーム風))、「ドリルゲーム」「カジノ」「トレーディングカード」などバリエーション豊かに用意されている。 **問題点 -戦闘テンポ --敵味方共にモーションが遅く、必殺技の演出をキャンセルする事も出来ないためテンポが悪くスピード感に欠ける。 -ロボット関連 --今回はゼノギアスの「ギア」に相当する搭乗ロボットとして「A.G.W.S」が登場するが、その扱いが良いとは言えない。 ---ゼノギアスでは燃料の概念があり、回復手段なども限られているためつねに緊張感のある戦闘が行えたが、今作は燃料が無い上に回復も容易になった。 ---戦闘中はいつでも乗り換え可能だが、そもそもキャラクター戦闘だけでも戦えるバランスなので、あまり乗る意味が無い。 ---ゼノギアスのような緊張感のある戦闘ではないため、劣化とみなすファンもいた。 --また、ギアや次回作以降の「E.S.」と違って、A.G.W.Sは設定上、ストーリーには全くと言っていいほど関わらない。「この世界に存在する戦闘兵器であって、一応主人公達も使える」程度の扱いである。 ---ムービーにはそれなりに登場するが、ゲーム中では主人公パーティが必ず乗らなければならない場面は無く、せいぜい一時加入キャラが乗る程度である。当然、ゼノギアスのようにロボットに搭乗して探索するダンジョンも存在しない。 ---新たな機体を購入する事も可能だが非常に高価であり、そんなものを買う為に金稼ぎに精を出すぐらいなら地道にキャラを鍛えた方が良いと言う有様。 --このように、ロボット方面の期待は肩透かしを食らう可能性が大である。 -ムービーが長い --ゲームに収録されているムービーの合計時間は7時間以上という、所謂ムービーゲーである。 --ムービーはスキップできるが、とにかく長い。上記のようにほとんどシナリオ進行はムービーで行われるため、こう言ったゲームが苦手な人は厳しい。 -上記とあわせ自由度も低い --基本的に自分で世界を冒険していくような自由度のあるゲームではなく、ムービーを追いかけていく形のゲームであるため、シナリオをあまり見ない層には薦められない。 ---とはいえファンからはこのムービーなどの点は許容されていた。 -BGM関連 --光田康典氏のBGMは評価が高いのだが、実はマップ移動中は殆どBGMが流れない。 ---移動中でBGMが流れるシーンは敵襲時と終盤のダンジョンぐらい。数々の良曲はその殆どがムービー専用と言う訳である。 ---正確には全くの無音なのではなく環境音はしっかり聞こえ、宇宙船やコロニーの雰囲気は十分演出できている。しかしBGMが欲しい人には辛いのも事実。 --また、バトルBGMがザコ戦、イベントバトル問わず同じものしか流れないのも残念。ムービーで盛り上げた上でボス戦に入ってもザコと同じ曲と言うのは寂しいものである。 ---但し、ラスボスだけは専用曲が用意されている。しかもどことなくゼノギアスのラストバトル曲を彷彿させる曲調で、ファンならニヤりとさせられる。 **総評 ムービーの長さや難解なシナリオなど万人向けとは言い難いものの、多くのファンを獲得した。~ シナリオは今後のシリーズの発展を思わせるには十分な出来で、売上も40万本と新規タイトルとしては良好であり、海外でも評価は良かった。~ しかしそれから[[2年後に発売された続編>ゼノサーガ エピソードII 善悪の彼岸]]ではスタッフが一新され、その出来からファンは一気に離れてしまう事になる。 **余談 -隠し要素として、ムービー付きで魔法少女への変身や、巨大ロボットの合体シークエンスを映す技などが存在し、大いにネタになった。 -今作には妙に個性的な隠しボスが二体存在し、どちらもいかにも次回作で再登場しそうなセリフを残していたが、残念ながら次回作以降はスタッフ入れ替えの所為か再登場は叶わなかった。 -今作を原作としたアニメ版が全12話で放送されている。 --12話という原作ゲームのムービーよりも短い尺ゆえ、今作で好評だったエピソードの削除や変更点などは賛否両論だが、全体的に短い話数で上手くまとめている。 --ちなみにこのアニメ版の脚本・シリーズ構成は、高橋哲哉氏の友人であり、後に『[[ゼノサーガI・II]]』や『[[ゼノブレイド]]』で脚本を勤める竹田裕一郎氏である。