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大貝獣物語 - (2015/01/29 (木) 00:23:54) の編集履歴(バックアップ)
大貝獣物語
【だいかいじゅうものがたり】
ジャンル
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RPG
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対応機種
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スーパーファミコン
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発売元
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ハドソン
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開発元
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ハドソン、バースデイ
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発売日
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1994年12月22日
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定価
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10,900円
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判定
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良作
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ストーリー
舞台は、幻大陸「シェルドラド」。
シェルドラドにはさまざまな種族が共存しており、数年来、平和な生活を送ってきた。そんなある日、地中深くに眠っていた何かが突然海から飛び出した。その直後突然大津波がシェルドラドを襲い各地で大きな被害が相次ぐ。
一方貝獣達が暮らしている貝獣島に空から謎の物体が落ちて来た。それはかつて世界を恐怖に陥れた、大魔王ファットバジャーを封印しているオーラの玉。ファットバジャーの復活を予兆した貝獣村の仙人は、異世界(=地球)から、ファットバジャーを封印した「火の貝の勇者」を再び召喚する事を提案する。
そして、シェルドラドに召喚された主人公は勇者として迎えられ、「火の貝」を携え、魔王ファットバジャーの復活を調査する旅へ出発した。
(Wikipediaより引用)
概要
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ファミコンで『じゅうべえくえすと』『ドリームマスター』等独特な味のあるRPGを開発した会社「バースデイ」が手掛けた『貝獣物語』シリーズの2作目にして、同社のスーパーファミコンでのデビュー作。前作『貝獣物語』とは物語上直接の繋がりは無いが、3人の貝の勇者やファットバジャー、オーラの玉、愛の剣、サザエの戦車等前作に登場した要素が数多く存在する。前作の戦いでファットバジャーが封印されて長い時が経過した時代、という解釈も出来ないこともない。
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ストーリー自体は、別世界から召喚された主人公が仲間(すけっと)と共に魔王「ファットバジャー」を倒す。という王道もののRPGなのだが。
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実は…ネタバレ注意
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実は…
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確かにこのゲームは王道のファンタジーであり、ストーリーは全体を通してファンタジーのお約束を踏襲している(四大元素の力とそれを司る竜の化身など)。ただし味方側だけ。
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ゲーム中盤からファットバジャーにかわる新たな敵「宇宙の侵略王ギャブ・ファー」の存在が明らかになり、そいつの侵略の仕方が「狙った星の生き物をさらって食料にする」、「ロボット兵器やクリーチャーを創り出して尖兵にする」というモロにSFっぷりを発揮している。んで、そいつの目的が、「この世界に伝わる無限のエネルギーをその手に収めること」である。言うなれば、「ファンタジー対ハードSF」の様相を呈しているのである。
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「貝獣物語」「じゅうべえくえすと」にもSF的な要素はいくつか見られたが(「貝獣物語」におけるエスパーが住む浮遊城、「じゅうべえくえすと」における主人公達全員の出生の秘密やドクターマイン一味など)。
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すけっとシステムは、バースデイ製作・旧ナムコ発売の「じゅうべえくえすと」の流れを汲んでいる。この他にも、敵召喚・偵察といった非戦闘要因もBすけっととして話に華を添える。
評価点
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どんな目に遭おうとも、決して打ちひしがれない力強さを持ったストーリー。
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必死に生き延びようし、何とか世界を復興させたいと願う人々の忍耐力は胸を打つ。敵の力はあまりにも強大であり、ことごとく叩き潰されてしまうわけだが、貝の勇者やすけっとたちを皮切りに希望を見出し頑張ろうとする姿勢は、鬱展開があるからこそより光るものがある。
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とにかくキャラ愛に定評があり、Aすけっと(戦闘に参加するパーティキャラクター)達にも単に戦闘要員だけでなく細かい設定やバックストーリーがある。
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パーティ編成は比較的序盤からクピクピ・ポヨン・キラー・隠しキャラであるポット(ポットは発見することさえ出来れば他キャラと同じように初期から使えるが)を除く8キャラ(ポットを含めると9)から自由に選択ができ、好きなキャラを好きなように連れ歩くことができる。
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各キャラに個人的な生い立ちや悩みがあり、それを解決することで最強装備や必殺技を習得できるため愛着が沸くこと請け合い。全キャラに後日談があるのでお気に入りのキャラと一緒にラスボスを倒すのが大きな楽しみとなっている。
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Aすけっとの女性3人は「おませなロリっ娘」、「巨乳のシスター」、「高飛車王女様」と粒ぞろいであり、今にして思えば凄まじい全方位攻撃っぷりである。また、敵である女性キャラ「グジュー」もとある理由からなかなか人気が高い。
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Aすけっととは戦闘中に会話する事が可能。主人公-すけっと間のみならず、Aすけっと同士での会話も可能で、ストーリー上では語られない各キャラの思想や性格、それぞれの人間関係を伺い知る事ができる。
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この会話システムは全キャラに用意されており、さらにどちらから話しかけるかで内容が変わる。一部キャラの会話はステータス上昇や回復も行われる為、序盤では戦術的価値が産まれる事も。
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戦闘はそれなりに歯ごたえがあり、演出も非常に凝っていて面白い。派手なエフェクトを多用している割には、テンポもさほど悪くない。
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歯ごたえがありすぎたためか、いくつか不自然な救済処置も入ってはいるが。それを差し引いても十分に楽しめるだけの完成度。少なくとも戦闘に関しては確実に高水準。
賛否両論点
ストーリー全体の鬱要素
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とにかく起こる出来事が残酷。平和だったファンタジー世界はわけもわからずに、謎の敵によってズタズタにされてしまう。
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オープニングで津波が起こっていきなり一部の大陸が沈み多くの人々が死去。生き残った面々も攫われて行方不明に。やっと世界が立ち直ってきた、と思った矢先に再び世界が崩壊してしまう。
鬱すぎるダンジョン・バイオベース
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後半のステージ「バイオベース」がSFC用RPG屈指のトラウマダンジョンとして後世に残ることに。
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どうしても知りたければ…ネタバレ注意
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各地からさらわれた人が敵の兵器開発の実験体にされたり、文字通り養分として同化させられる。同化された人間にも(一部犬もいる)話掛ける事が出来るが、その発言も徐々に人間としての意識が無くなることへの恐怖や絶望をひしひしと感じさせられる恐怖のイベントである。そして奥にいくと人間たちは背景の緑色に溶け込み「完全に同化されたのであろう。もはや話しかけても何も反応しない…」という文章が出るのみである。淡々としたBGMもまた怖い。
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長い間プレイヤーの分身として行動してきた主人公がパーティから離脱しているタイミングでのダンジョンであり(というか、このダンジョンに入る目的がそもそも「捕われた主人公を救出するため」である)まんべんなくキャラクターを育てていない場合若干の戦力不足に陥る。そういう意味でもトラウマではある。(救済措置はあるが)
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更に追い討ちをかけるように、「バイオベースは半分生物の施設であるため、ボスを倒すと機能活動が出来ずにそのまま同化された人間も一緒に死ぬ」という直接的な鬱設定もある。
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そしてクリア後、バイオベースはそのまま崩れ去るように消滅し、二度と入れなくなるばかりか、囚われていた人々の末路は一切描写されずそのままストーリーが進行する。
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他には似たような雰囲気のラストダンジョンや「ラスボス」の外道めいた言動もバイオベースの延長として印象に残る。
純粋な問題点
システム面
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ハドソンのSFC用RPGによく見られることだが、インターフェイスの処理が重い。メニューの開閉や戦闘シーンへの移行が重く、長いウェイトが入る。
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ゲームを進める都合上、ダンジョンなどではお助けキャラである「Bすけっと」を頻繁に呼び出す必要があるのだが、そのたびにこの処理の重さに苛立つことになる。
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メッセージの表示速度が遅い。一番速い設定にしてもさらに早送りが欲しいくらい。
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エンカウント率が高い。PCEやSFC用のハドソンRPGでは最早共通点とも言える。
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「回復魔法はすばやさに関係なく最優先で発動する」という仕様があるために、ガロウ・キラーといった紙装甲・高火力キャラやリンダ・クピクピ・キララのような回復要員は強く、逆にザルドンやポヨンなどの鈍重キャラは冷遇されている。
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「回復魔法最優先発動」は救済要素の面のほうが強いので、それは仕方がないと言えるのだが。
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上記のようにAすけっとの性能に優劣はあるが、どのキャラを選んでもクリアできない、ということはない。キャラ愛でカバーすることは十分に可能。
演出面
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プロローグやたらと長くてだるい。まず主人公の登場までが長く、ちゃんと操作できるようになるまでも長く、フィールドに出て歩き回れるようになるまでにもう一波乱あり、ついでに最初の街へたどり着き仲間たちとチームを組むためまた手続きが要る。実質上はここまでこなして、ようやく本編開始。この先は楽しめる要素も増えてくる。
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とにかく一番長くて退屈なのが冒頭なので、ここを乗り切れたなら耐えられるだろう。
ストーリー面
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スタンプラリーイベントでのコンプリートや特定の仲間加入条件がノーヒントでまず分からない。
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特に三貝獣の一人「ポヨン」はオープニングから出番+仲間フラグがあるのに、その発見条件が激ムズかつノーヒント。結果多くの初回プレイヤーがポヨンはいつ仲間になるのかという消化不良感をかかえたまま、ゲームクリアを余儀なくされた。
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シナリオの要求してくるフラグが一部で理不尽、かつ見逃していたらゲームが進行せずに迷うことになる。
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事実上の出発点となる都市で「刑務所の牢獄に行き、暗殺者が登場するイベントを見ていないと」、「長いダンジョンと町を1つと広いフィールドを越えた先にあるダンジョン」で、とあるキャラクターが登場せず進行不能になるなど。
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知っていれば理由は分かるが完全に後付けの知識であり、実質的にはほぼノーヒントなので、どこへ行けばいいのかまったく分からなくなってしまう。ストーリー上はこのダンジョンを越えた先に目的地があるはずで、ついでに道を塞ぐ障害物をどけてくれそうな人物も見えているのに、助け方だけがまるで分からない。
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最初に都市を訪れたときのイベントで一応、「牢屋の囚人から話を聞いておけ」といった趣旨のヒントはもらえる。ただし普通はこの直後、まず先に仲間集めをしてパーティー編成を行うはず。このとき仲間たちの自己紹介がまたいちいち長いため、最終的に牢獄の件を忘却したまま旅立ってしまう主人公も珍しくない。特に二回目以降のプレイでつまずきがち。
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同じく最初のダンジョンでとあるキャラクターを助けていないと、かなり先まで行ってから特定の場所でシナリオが進行しなくなったりもする。
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こちらは見過ごしていた場合、主人公が技を習得しないのでおかしいとは感じるだろうが……魔法はちゃんと使えるし、仲間たちもしばらくは技を覚えないので気付くのが遅れやすい。
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もうひとつ、前半の山場近くに通過する別のダンジョン内にも、見落としやすいトラップあり。長い迷宮の後半部分、とある脇道でサブイベントを見ていないと、後々あまり関連性のない遠い別の地域のイベントで、必要な人物が登場していないために話が進行しなくなる。
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これまた特定の誰かがいないせいだと分かりにくい上、何が足りなくてどの辺りで見落としたかもほぼノーヒント。しかも位置が迷宮の深部であるため、行くべき場所が分かっていてすら面倒くさい(通路状の迷宮なので逆から進入することは可能だが、それに気付いてもなお少し手間のかかる位置である)。
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念のために補足しておくと、最初に通るとき、どこかに誰かがいるかのようなヒントは表示される。ただし迷宮の構造がややこしいため、うっかり反対の道(出口側!)へ抜けてしまったら後はもうノーフォロー。しかも物語はしばらくの間、何の問題もなく正常に進む。
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Aすけっと関連のサブイベントに一部時限要素があり、見逃す可能性がある。また世界をしっかり探索しないと発見できない。
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各Aすけっとのサブイベントは対象のキャラクターがパーティに加わっていないと発生しないのだが、連れ歩けるAすけっとは3人までなので、見逃しやすい要素である。全キャラのサブイベントを見ようとするなら、育てていないキャラクターを育てたり、連れ歩いたりなどの作業が当然必要となる。
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ただし多くのサブイベントは対象キャラクターを常に連れ歩いてさえいれば発見できるものであり、サブイベント消化によって観られる追加EDもラストボスを倒したパーティにいたキャラクターにしか発生しないので、イベントコンプに拘る人以外にはそれほどの問題点ではないかもしれない。
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メインキャラクターであるはずのバブ・クピクピ・ポヨンの3人の貝獣には、何故かサブイベントが存在しない。そのためキャラクターの掘り下げが少し寂しいことになっている。
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とはいえ、彼らはOPで必ず登場するので一応主役格という扱いは受けているともいえる。
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その割に、前述のように仲間にしなくてもクリアできてしまう貝獣が約1名いたりするのだが・・・
総評
一部の鬱展開ばかりがクローズアップされがちな本作であるが、基礎の部分は比較的しっかり出来ており、ストーリーは良好、感情移入できる個性的なキャラクターとそれらを掘り下げるために用意された豊富なサブイベント、戦闘中会話もあり、更には音楽、グラフィックにも文句をつける部分はない。インターフェースの悪さなどは問題点として存在するものの、全体的に高水準な出来であるといえるだろう。今後のVC配信などでよりプレイしやすい環境が整うことを期待したい。
その後の展開
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後に続編『大貝獣物語II』が発売。本作の未来の話になるので登場人物の子孫も出る。
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携帯アプリ版でも本作がプレイできる。街中探索は出来ないがグラフィック・システム共に良好。ストーリーや戦闘も抜かりない。それ以上にまさかのバイオベース完全再現にスタッフの本気具合が伺える。
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戦闘時のキャラグラフィック・メニュー画面の顔アイコンが一新され、より魅力的になった。また、オリジナルにはないイベントCGが挿入されるが、これの出来が非常に良い(1枚表示してオワリではなく、差分なども用意されている有様)。男性キャラはよりかっこよく、女性キャラはより愛らしく描かれているため、原作クリア済みのファンでもプレイする価値はある。
余談
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「コミックボンボン」にて本作を元にしたギャグ漫画が掲載されていた。
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「デラックスボンボン」にて本作のコミカライズが連載されていた。こちらはボンボン版とは違ってシリアスな作品である。
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同じハドソン発、しかも一年前に発売した『新桃太郎伝説』(SFC)の共通点が多く、こちらも欝展開・ラスボスの外道めいた言動が語り草になっている。