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機動武闘伝Gガンダム - (2020/06/17 (水) 13:39:56) の編集履歴(バックアップ)


機動武闘伝Gガンダム

【きどうぶとうでんじーがんだむ】

ジャンル 格闘ゲーム
対応機種 スーパーファミコン
メディア 16MbitROMカートリッジ
発売元 バンダイ
開発元 パンドラボックス
発売日 1994年12月27日
定価 9,800円
判定 クソゲー
ポイント こんな必殺技が命中するわけがない
あんまりな作中説明
ゴッドガンダムがベンチウォーマー
機体グラフィックは良好
ガンダムゲームリンク


概要

ガンダムシリーズの中でも異色作といえる作品『機動武闘伝Gガンダム』のゲーム化作品。前年に発売された『Vガンダム』同様放送中に発売された。

システムとしては、攻撃に4ボタン、LとRで実行できるスライド移動(任意に発動・終了可能だが、特に派生できる動作などはない)、体力減少で出せる超必殺技等が存在する。

登場ユニット

  • 登場ユニットはシャイニング、ゴッドとシャッフル同盟(マックスター、ドラゴン、ローズ、ボルト)、ライジング、シュピーゲル、マスター、そしてデビルガンダム。
    • Gガンダムのゲーム化としてはサブヒロインのノーベルガンダムが居ない点は気になるが、ノーベルガンダム+アレンビーの初登場は11月11日放送の第30話「美少女ファイター! デンジャラス・アレンビー」なので開発を考えれば出られないのもやむを得ないだろう。
      • ライジングガンダムも時期的には原作未登場だが、商品展開はしていた為に資料が届いていた物と思われる。実際、技自体はアニメと異なるオリジナルである。
      • 登場済みかつ、後に目立つ活躍をするマンダラガンダムも未参戦だが、こちらは原作最終話近辺で再登場とまさかの活躍をするまでは1話しか出ていない、その他大勢でしかなかった。
    • 講談社発行のゲーム雑誌覇王でのゲームインタビューやガンダム特集号によると、デビル四天王を初めとした重要キャラも当初は入れていたが、ゲームデバッグの際にフリーズする等の障害を起こしていた為、やむを得ず削除したとの事。

問題点

肝心の格ゲーとしての出来があまりよくない。
元々が格闘大会をモチーフとした戦闘シーンが描かれていた作品だけに格闘ゲーム化するにはこの上なくピッタリな題材だが、SFCにおけるガンダム格ゲーの代表として隠れた名作と評されている『新機動戦記ガンダムW ENDLESS DUEL』発売の1年前に出た事、開発元がそちらと異なることを考慮しても酷い。

  • 超必殺技の隙が長すぎる
    • それぞれのガンダムには必殺技が設定されているのだが、主人公機シャイニングガンダムのシャイニングフィンガーソードは「必殺技を出されたら抵抗しない」というアニメのお約束を対戦相手が守ってくれない限り当てようがないくらいの隙を誇る。
      • ガンダムファイターのセリフに合わせてゆっくり動いているのかと思えば、シャイニングやゴッドの必殺技は原作より短く叫んでいる*1。もっとも、原作通り叫んでいたら更に隙だらけになってしまうので仕方なくはあるが。
  • ダウンが非常に多い反面、追撃やダウン回避といった独自の基軸は無く、単に時間を消耗させるだけになっている。
  • 本作では、ジャンプからの着地時、一瞬しゃがみ状態になる。このため、飛び込みからのコンボは二発目が必ず下段になり、プレイの幅が狭い。
    • もっとも、このゲームで連続技の研究をした者など日本に存在するかどうか……ある意味問題ないと言える。
  • ガードをしていても大きく削られ、さらにガード中でも削り殺される仕様。このため攻めている側が極端に有利になりやすい。
  • 機体ごとの性能差もかなりひどい。格ゲーとしては致命的な問題点である。
    • 作品の性質上、飛び道具を持っている機体がほとんどないのだが、その飛び道具の有無や、拘束技の有無、リーチの長さなどが機体によってばらばらで、かつそれらについて性能調整が不十分。一例としてドラゴンガンダムは装甲が薄く必殺技をガードしてもガリガリ削れ、ライジングは超必殺技含む多くの技の出が非常に早い。
  • エフェクトがしょぼい。
    • バランスとか駆け引きとか以前に、敵に攻撃をあてる爽快感が薄い。バランスが悪くてもガンガン押して戦っていく爽快感さえあれば楽しめただろうが、本作はバランスや駆け引きなどの難しいことがまだわからない子供の目線でも物足りなさを感じるものであった。

中途半端な原作再現

  • ストーリーが雑にも程がある。
    • 放送中で決着もついていないので、原作におけるネオ新宿編辺りまでを再現しつつ、本作独自にデビルガンダムとの決着をつける展開は仕方ないとも言えるが、結局はドモンが「兄さん…なぜ…」と呟く場面で半端に終わってしまう。「なぜ…」と言いたいのはこちらである
    • シャイニング→ゴッドの乗り換えも唐突で、ドモンが一枚絵の前で「今度はこのゴッドガンダムで戦うぞ!」と言うだけ。条件は一定回数の敗北であり、特にストーリーイベントになってるわけでもない。
      • シャイニングに比べて劇的に強いというわけでもない。一応使い込めばシャイニングにはない胡散臭い技なども所持していることはわかるが、「必殺技のゴッドフィンガーがシャイニングフィンガーより発生が遅い」などの問題があり、後継機なのに癖の強さが目立つ。
    • キョウジのみ登場人物で唯一ボイスがない。
      • もっとも、シュバルツ役の堀秀行氏に二役をやってもらうと原作のネタバレになってしまうので止むを得ないが。
    • シュバルツが何故かネオエジプトに現れる。
      • シュバルツはネオドイツ所属のゲルマン忍者であり、エジプトがふさわしいのはネオエジプト代表のファラオガンダム(未登場)である。原作通りギアナ高地でよかったのではないだろうか。
  • 必殺技のチョイスも微妙。
    • 特に指摘が多いのがドラゴンガンダムで、基本武装のフェイロンフラッグのみで「宝華教典・十絶陣」や「無影脚」は存在しない。
    • 開発時期の放送時点で後の必殺技「ガイアクラッシャー」が未登場ボルトガンダムやまだ「シュトゥルム・ウント・ドランク」が名称不明で必殺技のような描写がなかったガンダムシュピーゲル等はオリジナルの必殺技を設定されているが、これらは資料の関係で仕方ないだろう。
  • 原作のBGMは一切登場しない
    • オリジナルの曲はそれぞれのコロニーのイメージを表現したものとなっているが、音質は悪い。

賛否両論点

  • 2Pカラーのセンスが微妙
    • 格ゲーにつきものの2Pカラーだが、本作は当時連載されていた『コミックボンボン』の読者にカラーリングをお任せしたために一部微妙な機体がある。オレンジやピンクが多用された色合いはお世辞にもセンスがいいとは言えない。
      • 「プロのイラストレーターではなく小学生が書いたものなのでそこまで目くじらを立てる事ではない」「自分のデザインしたガンダムが作中で使えるのは嬉しいはずだ」といった意見もある。
      • また、奇抜ながらもガンダムがより多様性を見せた現在の目線では「これも悪くない」という声も少なからず出ている。
  • 対戦モードではデビルガンダム以外の全てのユニットで乗り換えが出来る。
    • 中にはオリジナル必殺技が出る組み合わせもある…のだが、いかんせんキャラクターが少なすぎてすぐに飽きが来てしまう。オリジナル技は技名を叫ぶわけではないのもマイナス。
    • 超必殺技が封印されるのも、キャラゲーとして意味が解らなくはないが余計なお世話という感がある。

評価点

  • キャラクターはキョウジを除き全員がボイス付きで、必殺技発動時などに掛け声を発してくれる。
    • さらにガンダムファイターだけでなく、進行役のストーカーにもきちんと秋元羊介氏によるボイスが充てられている。後の『ENDLESS DUEL』にはボイスがなく、ここは純粋に評価点といえる。
  • 機体ドットは良質。機体ごとの特徴をよく表現している。
    • ただし人間の顔はかなり微妙。正直全然似ていない。
  • デビルガンダムのデザインはオリジナルだが出来が良い。
    • 本作では最終回に先駆け下半身のついたデビルガンダムが登場。カトキハジメ氏自らがデザインを手がけている。このデザインはなかなか格好よく、『ホビージャパン』でも原形師の手により立体化された。

総評

ストーリーの再現不足は「この時代のゲームとしてはよくあること」であり、本放送中の発売である以上ネタバレを回避しなければならないという制約からやむを得ない部分も多いのだが、肝心の格闘パートの出来がとにかく悪い。キャラクターの動きがもっさりしすぎてマニアは勿論、当時数多くの格ゲーをプレイしてきたメインターゲット層の子ども達にも歯ごたえが無い作品となってしまった。
ありていにいえば、キャラだけガンダムで内容は有名格ゲーの単なる劣化版であり「とりあえずキャラクターだけを揃えて、肝心の内容はおざなり」という、キャラゲー失敗作の典型的なタイプであると言える。
本作の問題点の数々は『ENDLESS DUEL』で改善されているため、「Gガンダムでなければ嫌」という人でない限りはそちらをプレイしたほうがいいだろう。



余談

本作で披露されたマスターガンダムの必殺技・デッドリーウェイブは本編でも「酔舞・再現江湖デッドリーウェイブ」という技として再現された。これは監督の今川泰宏氏が「本編中にゲームの技を出せば、その場面を思い出してゲームをプレイしてくれるのではないか」という思いから生まれたもの。氏のお気に入りMFはマスターガンダムだったそうだ。