機動戦士Vガンダム
【きどうせんしう゛ぃくとりーがんだむ】
| ジャンル | 横スクロールアクション |  | 
| 対応機種 | スーパーファミコン | 
| 発売元 | バンダイ | 
| 開発元 | トーセ | 
| 発売日 | 1994年3月11日 | 
| 定価 | 9,800円 | 
| 判定 | なし | 
| ポイント | 格ゲー風ACT 原作放映中に発売
 グラフィックは良好
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| ガンダムゲームリンク | 
 
概要
宇宙世紀最後のテレビシリーズ『機動戦士Vガンダム』をベースにしたアクションゲーム。
発売当時まだ原作が終了前だったため、ラスト付近の展開が大きく異なる。
具体的にいうと、アニメ第39話以降のエピソードをすっ飛ばして最終決戦に臨むため、リグ・コンティオなどの機体が登場しない。
システム
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オーソドックスな横スクロールアクション+α
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地上マップと宇宙マップでは若干の違いはあれど、基本はサイドビュー視点で敵MSを破壊していくのが大筋となる。
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ビームサーベル使用時にはコマンド入力で特殊技を使用したり、敵機との鍔迫り合いを繰り広げることも。
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射撃武器使用時は、腕のアングルを変えることで射角を変更する。自動補正はなく、慣れるまでは攻撃を当てにくい。
 
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ビジュアルストーリー
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マップ間に挿入されるデモ部分のことで、ストーリーはここで語られる。
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「シャッコー(もしくはゾロ)の攻撃をかわすコア・ファイター」「オーバーハングキャノンを装備して出撃するVダッシュガンダム」などのシーンは大きくビジュアル化されている。
 
評価点
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ビジュアル力の高さ
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タイトル画面のVガンダムからステージ中のグラフィックまで、SFCとしてはかなりハイレベルなビジュアル表現力を誇る。
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一部敵機の挙動なども取り入れられている。例えばヘリ形態のトムリアットが機銃を使用すると、射角にあわせて機首の機銃が可動する。
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他にもゾロアットのビームストリングスなど特徴的な武装をしっかりと再現している。
 
 
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一部の原作再現
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本作は原作のストーリーが短縮・アレンジされた上で収録されているものの、デモシーンにマーベットのホワイトアットが登場したり、ステージ3ではステージの背景で原作第14話のケイト戦死シーンが再現されるなど、一部ながら再現度の高い部分がある。
 
問題点
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機体の動きが遅い
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重量感を出すためなのか、機体はモッサリ。ダッシュを駆使しないとあっという間に敵機に囲まれる。また、飛行…というかジャンプが使いにくい。
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宇宙マップでは縦横無尽に動けるので多少はマシ。だが敵も同じ条件なので結局囲まれやすい。
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また、雑魚でさえ結構な割合で鍔迫り合いを起こしてくれる。そのたびに動きが止まり、またしても囲まれる。
 
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全体的にMSが今ひとつ再現されていない
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特に自機は再現度が低い。Vガンダムの特徴である変形や合体はなく、武器の数も少ない。さらにビームシールド使用中は移動不可でバルカンしか撃てず、オーバーハングキャノンがバルカン扱いで同じく弾数無限になっているなど色々とおかしな仕様が目立つ。
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VガンダムとV2ガンダムはさほど操作感が変わらない。ビームサーベルとビームライフルは切り替えが手動で、バルカンは弾数無限かつビームシールドと併用可能だが射程が短い。ビームシールドは盾範囲内への攻撃をノーダメージにできるが、前述の難点がある。とはいえ、画面端に敵を追い詰めた際にはビームシールドと併用できるバルカンでハメ殺しも可能。途端にバルカンゲーと化す。
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Vダッシュガンダムはオーバーハングキャノンの威力がそこそこ高く弾数も無制限だが、次弾発射に間隔があるので隙を突かれ囲まれる状況が多い。ビームスマートガンは雑魚を一撃で倒せるが弾数が異常に少ない。そして何故かビームシールドが使用不可。
 
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上記の「一部敵機」以外の再現度も高くはない。アインラッドのないゲドラフに何の意味があるのか。
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ボスキャラとしてうってつけであろうアビゴルは背景のみの登場。実にもったいない。
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全体的に、タイトルや序盤のビジュアル再現で息切れしてしまったような印象である。
 
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戦闘のテンポが非常に悪い
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敵が非常に固く、ノーマル以上の難易度ではライフルの弾数に限りがあるためどうしてもバルカンとビームサーベルを使わざるを得なくなる。
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上記のような自機の不利に加え、敵は複数同時に出るため、結果的に激しい攻撃が襲ってくるというバランスの悪さ。このため、画面の端でシールドを張りながらしゃがみ、近づいてきた敵をバルカンで地道に削るのが一番確実な戦法となるが、これが非常に時間がかかる。しかも後半ステージになると、より多くの敵が登場するようになるためとにかくダレる。さながら気分は主題歌よろしく「終わりのないディフェンス」である。
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Vダッシュガンダム使用時に限れば強力なオーバーハングキャノン、ビームスマートガンが使用可能なためシールド&バルカン使用不可という欠点を差し引いてもテンポがいい。しかしそれでもやっと普通のゲームレベルである。
 
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そしてV2ガンダムは上記の通りVガンダムとほとんど変わりがないため乗り換えた途端にテンポが再び悪化する。
 
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簡素すぎる一部シーン
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本作では原作のストーリーをアレンジした上で短縮している部分があるのだが、そのせいで一部シーンがかなり簡素なものになっている。
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例えばシュラク隊の面々は原作で様々な死に方をしているが、本作ではほとんどが「デモシーン中に画面外で爆発する」というアッサリしすぎたものに。
 
 
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エンディングの演出に関して
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難易度設定はイージー、ノーマル、ハードの3段階だが、真のエンディングを見るためにはハードでクリアしなければならない。
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上記のテンポの悪い戦闘を最後まで勝ち抜いても、ノーマル以下ではアッサリした演出と共に上位の難易度への挑戦を求められて終了となる。
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その演出というのは、V2ガンダムが画面奥のエンジェル・ハイロゥに向かっていくだけで、その他には台詞などの演出が一切なくタイトル画面に戻るという簡素も過ぎるもの。
 
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ハードでクリアする事でようやく真のエンディングとなる訳だが、その演出にも問題がある。
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スタッフロールが表示される合間でV2ガンダムが襲ってくる敵を蹴散らしていくのだが、無駄弾を撃ちまくる上、敵が何発被弾しても一向に撃墜されないので、とにかく演出が無駄に長い。最後の会話場面に辿り着くまでかなりの時間を待たされる。最後もクロノクルのコンティオとの決戦、というタイミングで「FIN」の文字が表示され、「続きはアニメで観ようね!」と言わんばかりの打ち切り展開となっている。
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放送途中の発売という事を考慮しても、低難易度での打ち切りエンドを乗り越えてやっと辿り着いた真のエンディングもやっぱり打ち切りだったというのはプレイヤーにとってはいい気分はしない。
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もちろん、原作のラスボスであるカテジナとその乗機ゴトラタンは影も形もない。まるでここだけ漫画版に寄せたようなラストである。
 
 
総評
放送中の発売故に原作と乖離した部分があり、戦闘はテンポの悪さが目立ち、格ゲー風の白兵戦や射撃アングル変更など少々とっつきにくい要素もある。
とはいえ一部ビジュアルは良好で、慣れてしまえばそこそこ遊べる出来ではあるため、『Vガンダム』が好きならば楽しめるかも…というところである。
余談
最終更新:2023年08月02日 17:15