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ブレス オブ ファイアII 使命の子 - (2022/01/10 (月) 21:19:31) の編集履歴(バックアップ)
ブレス オブ ファイアII 使命の子
【ぶれすおぶふぁいあ つー さだめのこ】
ジャンル
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RPG
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対応機種
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スーパーファミコン ゲームボーイアドバンス
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メディア
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【SFC】16MbitROMカートリッジ 【GBA】32MbitROMカートリッジ
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発売・開発元
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カプコン
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発売日
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【SFC】1994年12月2日 【GBA】2001年12月21日
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定価
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【SFC】9,980円 【GBA】4,800円
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配信
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バーチャルコンソール(SFC版) 【Wii】2007年6月26日/800Wiiポイント 【Wii U】2013年7月10日/800円 【New3DS】2017年8月23日/823円(税8%込)
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判定
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良作
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ブレス オブ ファイアシリーズ作品リンク
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概要
ブレス オブ ファイアシリーズ2作目。
前作の500年後を舞台としており、ウインディア、音楽の国など前作にあった町なども再登場する。
主人公はリュウ、ヒロインはニーナと前作と同じ名前だが全くの別人(ブレスシリーズの主人公とヒロインは、代々リュウとニーナという名前)。
前作であった合体システム、仲間ごとの固有スキルなどのシステムは洗練され、後の街システムに繋がる「共同体」といった要素が追加された。
ストーリー
白竜族の戦士が仲間たちとともに邪神ミリアを討ち、世界に平和を取り戻してから500年後
主人公の少年リュウは父と妹の3人でゲイト村で暮らしていた。ある日、昼寝の時間に教会を抜け出した妹のユアを連れ戻しに、リュウは裏山へ向かった。
ユアのもとに辿り着いたリュウは、「ここで眠れば死んだ母の夢が見られる」とユアに勧められ、目を閉じてみる。しかしそこに母の姿はなく…
魔物のおぞましい眼がこちらを睨んでいた。
リュウは胸騒ぎを感じ村へ戻ると、父と妹の姿はなく、村の人々はリュウたち一家のことを全く覚えていなかった。
途方に暮れたリュウだったが、孤児として教会に泊まっていた
野馳
り族の少年ボッシュと共にゲイト村を去る決心を固める。
しかし、村を出た後に向かった洞窟で長い尾を持つおぞましい魔物「バルバロイ」と邂逅。
バルバロイは強く、リュウとボッシュはなす術無く倒れる。
魔物はリュウが「
使命
の子」であることを告げるが、リュウにはその言葉の意味を理解することはできなかった。
ゲイト村を出て10年後 リュウとボッシュはモトの街でレンジャーという何でも屋のような仕事をして生活していたある夜。
とある窃盗の現場に居合わせたボッシュに泥棒の嫌疑がかけられ、お尋ね者になってしまう。
ボッシュの濡れ衣をはらすためにリュウは真犯人を追う旅に出ることになるが、
行く先々で様々な事件に巻き込まれ、世界に異変が起こっていることを感じ取る。
特徴・評価点
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前作以上に多彩でアクの強い仲間・キャラクターたち。
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仲間数は前作と同じ8人だが共同体での待機時のセリフの変化の多さ、合体システムの進歩による性能変化、演出の強化による各キャラの見せ場の増大など、様々な面でパワーアップしており、ただでさえ個性的なキャラクター性がますます強まった。
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ブレスシリーズのキャラクターデザインは毎回吉川達哉氏が担当しているが、新作が出るたびに絵柄が変化することでも知られる。その中でも本作のキャラクターデザインはおそらくシリーズで最もファン人気が高い。
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この作品のニーナとリンプーという2人のヒロインの人気はシリーズ屈指。
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各キャラに必ず1つ以上はメインの見せ場となるイベントが起きる期間があり、いずれも好感が持てるキャラクターづけがされているため、感情移入度が高い。
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また前述のバルバロイはその正々堂々とした性格やいかにも強敵らしいデザインなどから、シリーズでも人気の高い敵役。
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ラストダンジョンで一騎打ちになる熱い展開、セリフなどもあって登場シーンは少ないにもかかわらずインパクトは強い。そのせいでラスボスはあまり存在感がないが。
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呪文周りのシステム整備
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前作では呪文選択画面において効果解説は無く、敵味方ともに魔法発動時に、呪文名ではなく「ざっくりとした効果内容」が文字表示され、種類の膨大な呪文のうちどれが発動したのかが解りづらかった点が今作で改善された。
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具体的には、「同じ属性の攻撃呪文は多くても3種類まで」に統一され、「呪文選択画面に効果解説文が表示」となり、「魔法発動時に呪文名が文字表示」されるようになった。
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強化された合体システム
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前作の仲間同士が合体する仕様ではなく、本作は世界中のどこかにいる6人のシャーマンのうち1~2人と仲間が合体する仕様に。ただしリュウと隠しキャラのディースは合体不可能。
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シャーマンごとに属性や強化される能力が違い、キャラクターの欠点を補ったり長所を伸ばしたりすることができる。
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更に究極合体という、キャラクターごとに特定のシャーマンを組み合わせた状態になるとグラフィックや性能が大幅に変化する。
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キャラクター性とかっこよさを両立させたキャラデザインは秀逸。また性能の変化によって多彩なパーティー編成ができるのも魅力。
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特に仲間の1人のタペタは素では弱くて能天気だが、究極合体するとデザインが精悍なものに変わり、ステータスも非常に強くなるというギャップが魅力のキャラである。
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ただし1人のシャーマンにつき1人しか合体できないため、全員を究極合体させようとするとメンバーがほとんど固定になってしまう(必要なシャーマンが被ってしまっているキャラもいるため)のが残念か。
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共同体システムの導入
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世界各地にいる移住希望者に話しかけて、主人公たちの創る集落「共同体」に誘致し、住民になってもらうというシステム。
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住民になった人間に応じて家屋内にお店や鍛冶屋、ウインドウ変更やサウンドテストといった機能施設が追加される。
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更に最初の共同体のレイアウトの選択によっても施設のデザイン、追加施設が変わる。ここでしか入手できないアイテムや利用できない施設も多い。
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建物の数が決まっているため全ての移住者を移住させることはできないものの、当時としては自由度が高く、プレイヤーの手で自分好みの共同体を作ることができる。
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更に隠しイベントを進めると共同体が浮遊し、空飛ぶ乗り物として使うことができる。
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豊富な隠し要素
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「せんぎり」等の追加習得の隠し技、前作に登場したディースが隠し仲間として登場、特定の条件を満たすと真のエンディングが見られる、非常に貴重なアイテムを持つモンスター「グミオウ」が生息する島など、様々な種類がある。
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ちなみにグミオウが出現する小島では、他にもゲーム序盤に登場したモンスターが超巨大化した強化モンスターも出現する。発売当時双葉社から刊行された攻略本ではこの島のことに一切触れておらず、巨大モンスターのデータも載っていなかったため、初見で度肝を抜かれたプレイヤーは数多い(GBA版の攻略本には載っている)。
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またシャーマンを見つける合体システムや移住者を見つける共同体も、一部見つけにくい移住者やシャーマンがいるため一種の隠し要素といえる。
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個性は抑え目だが、正統派で盛り上がりのある音楽。
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シナリオのある山場を越えた後通常戦闘のBGMがよりシリアスなものに変更され、これがプレイを盛り上げる演出に一役買っている。
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前作に続いてファンタジーの基本を押さえてはいるものの、終盤になるにつれて暗くシリアスになっていくシナリオ。
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冒頭、なぜ村人はリュウたちのことを忘れてしまったのか、父や妹はどこへいってしまったのか、使命の子とはなんのことか それらの謎が解き明かされる終盤のシナリオはまさしく怒涛。
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特に敵の本拠地「大教会」へ突入するイベントはNPCの死亡の連続で、クライマックスへの勢いと同時に陰鬱な気分になってくること請け合い。
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彼らの死の一つ一つに意味があり、展開によっては救えるキャラもいるので話題に上ってもあまり批判はされない。
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陰鬱なイベントだけでなく、シリーズ伝統のセクハライベントやカエルの国でゴキブリやミミズ、ハエを使った料理を作るといったシュールでコミカルなイベントも多い。
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そのギャップのせいで余計に暗いシーンがますます暗く見えるのだが。
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マルチエンディングについて
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本作のエンディングはマルチエンディングになっている。
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物語終盤のある選択肢で誤った選択をするとバッドエンドとなる。その際の不気味なBGMと暗闇に魔物達が集結している一枚絵はトラウマもの。
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普通にプレイしていると死者こそ出ないものの、おおよそハッピーとはいいがたい結末になる。
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前述の隠しイベントを行うことでようやくハッピーエンドになる。
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しかし通常のエンディングのほうが、この物語にふさわしいとして支持するファンも多い。
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94年時とは思えない秀逸なドット絵。動きもすばらしく敵も味方もグネグネ動く。
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会話時に「ドラゴンズ・ティア」という宝石がウインドウに表示され、この色でその人物がリュウに対しどんな感情を持っているのかがわかる。想像を膨らませ補完するのにも、相手の善意や悪意を感じるのにも一役買っている。
問題点
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前作から変わらずエンカウント率が高い。
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前作ではエンカウント封印効果があり頼りになった「まもりけむり」は、今作ではエンカウント「軽減」に変更となり効果がかなり薄くほとんど役に立たない。
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敵の強さとパーティー人数のバランス的に明らかにキツい箇所があり、しかもその区間が結構長い。
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特に序盤、リュウ一人旅が続く期間は突出して難度が高い。相当レベルを上げていても敵から受けるダメージが高いため、2匹以上のエンカウントでは、まともに闘うとまず全滅は免れない。
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敵から入手できる経験値が少なく、レベルが全然上がらない。
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GBA版で入手経験値が2倍に調節されていることからも、少ないのは明らか。
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前作よりも、仲間の育成の手間が増大した。
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今作のPT編成では、リュウの他の仲間は3人しか同行できず、同行していない仲間は経験値を得られない仕様である。
この仕様変更のため、仲間の人数が増す程にメンバー内のレベル格差が顕著となり、バリエーション豊かな仲間達ではあるものの、効率を考えてしまうとずっと同じ顔ぶれで最後まで押し通すというプレイングになりがちである。
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ドラクエでいうルーラにあたる移動魔法「ヒュール」が一部のキャラしか使えない上に、そのキャラの加入が中盤。
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これも上記のPT編成の仕様変更により、快適さを損なってしまった事例である。
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今作ではリュウと同行している仲間しか移動中呪文が唱えられず、仲間の育成状況によっては…
「スタメンにヒュールを扱える仲間が不在→ヒュールを覚えている仲間と入れ替え→ヒュールの後にまた元の編成へ戻す」という面倒な手間が大いに起こりうる。
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ゲーム序盤に2つの町を何往復もしなければならないイベントがある。
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この時点でヒュールは扱えず徒歩で往復せざるを得ないのだが、この町と町の距離はかなり遠い。ある仲間のフィールド特技を使えば、ほぼエンカウントなしで移動できるが、それでも時間が掛かる。
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ドラクエでいうリレミトにあたるダンジョン脱出魔法「デルダン」は用意されているが、使用不可のダンジョンも多い。
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お使いイベントが非常に多い。
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最初から倒すべき巨悪、世界を脅かす大問題といったものが提示されておらず、「一見平和な世界だが、実は徐々に見えない悪に侵食されている」ことに気づくことからシナリオが始まり、更にその正体をつかむまでの期間がゲーム内の大半を占めるため、終盤になるまで大きな目的が示されないのがその理由。
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主人公たちは世界を回って各地で起きている問題を解決し、それが終盤になってその原因が一つのところにつながっているということがはじめてわかるという展開である。
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このためあっちに行ってはご当地の事件を解決し、こっちへ行っては同じように解決し、ということになるため、終盤になるまで単調になりがち。そのぶん終盤は勢いがあるのだが。
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仲間の合体が、最大HP4分の1まで減ると解けてしまう。一旦解けたら、共同体までいちいち戻らないといけない。
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終盤に利用可能になる空を飛ぶ乗り物が期間限定
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RPGによく見られる「空を飛ぶ乗り物」(前述の共同体とは別)が存在するが、なんとシナリオ最終盤で使用不能になる。
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この乗り物でないと入手できない宝箱などが存在するため、気づかないままシナリオを進めてしまうと取り返しがつかない。
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セーブしたデータをロードすると、設定した陣形が初期化されてしまう。
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終盤、因縁の中ボスとの決戦時、イベント中演出時に見せた強さとはほど遠い。
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運が悪いと大魔法攻撃を連発してくるが、補助魔法やAP吸収魔法(ドラクエでいうマホトラ)を好み無駄行動が多いため、強さのムラが大きく人によっては拍子抜けする。
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強さに関しては、倒した直後の選択肢によってはバッドエンドになるので、間違って選ぶことを考慮してのことだろうか。
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主人公の妹が適当にほったらかされて、それっきり忘れ去られる。
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プロローグ以降に登場しない。と思わせて…実は本編序盤から登場しており、図らずともこの人物の最初の行動によって主人公と仲間たちとの運命が交差した。
…のだが、主人公の妹という直接な描写は無い上に終盤で草むらに突き飛ばされ、その後全く登場しないという謎の結末を迎えている。父親と違って主人公との再会を喜ぶシーンすら無い。せめてエンディングにくらい出してくれ…と言わざるを得ない。
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主人公リュウの必殺技である「竜変身」の仕様が特殊
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竜変身はストーリーが進むごとに強力なものを会得できるが、消費APは全種類共通で残AP全部(いわゆるマダンテ)
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ダメージ量は「使用時の最大APに対しての現在値の割合」によってのみ決まる上に防御力を無視するため、リュウのレベルが低くてもAP全快で放てば最大ダメージとなる。しかし裏を返すとこれは、現在AP値以外のパラメータは竜変身のダメージに全く関わらないことと同義。極端に言えば「レベル5でも99でも竜変身の最大威力は同じ」である。
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そのため、「リュウのレベルが未熟なほど少ない補給で大ダメージを狙える」という低レベル時の経験値稼ぎ促進の救済措置と取れる反面、リュウの最大APが成長する程にどんどん使い勝手が悪化する。
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APを大量に回復する手段が、宿や回復ポイント以外では少ないのもそれに拍車をかけている。店で手軽に買えるAP回復アイテムは20ポイントしか回復できない上、HPに20ダメージを受けるというペナルティつき。
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戦闘中だとHPが0以下になれば気絶してしまうため、よく考えて使わなければならない。
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使用すると単発大ダメージを与えてそれで終わりなので、シリーズでも屈指のシンプルな竜変身となっている。
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竜変身「ドラゴン」に関する不親切設計
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竜変身中位「ドラゴン」は、中盤ボス戦の要と言える威力なのだが、これは寄り道で発見する隠しイベントで習得する技であるため、
見つけられない場合、低位の「パピー」をずっと使い続けることになり、中盤の戦闘難度を大きく左右してしまう。
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また、この「ドラゴン」は炎氷雷の3属性のバリエーションが、設定ミスにより全て無属性技となってしまっている。
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この属性不備はGBA移植版では修正され、機能している。
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ボス敵のセリフにやたらと「殺す」という言葉が出る
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コミカルな描写が多い作中で度々差し込まれるシリアスの演出ではあるが、あまり良い要素とは言えない。
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GBA移植版ではテキストが修正されている。
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ラストダンジョンはエンカウント率を抜きにしても、非常に長い。
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途中で回復できる場所はあるが、仲間の合体が解けたら共同体まで戻らなくてはならないうえにラストダンジョンの入り口から移動しなおしである。
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ダンジョン内でセーブした後でデルダンで脱出し、外の用事を済ませたところでわざと全滅すれば内部のセーブポイントから再開することが可能、という小技も一応ある。もちろん、誤って外でセーブしてしまったらご愁傷様だが。
総評
ブレス オブ ファイアの正統進化系で、細かい粗さはあるものの安定したゲームバランスと整えられたシステム、生き生きと描かれたキャラや印象に残るシナリオによってシリーズファンの中でも、特に人気のある一作である。
余談
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CMがネタバレ
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アニメ調の主要メンバーと実写キャストが扮するサブキャラによる寸劇である。初見では意味不明のCMだが…今作をクリアした後(重要)にもう一度見ると…本編中のとあるシーンを抜き出したものであることが判明する。
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副題は『ファミリーコンピュータMagazine』誌上で行われた読者公募によるもの。
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ちなみに発表時は「しめいのこ」とルビが振られていた。
移植
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2001年12月21日にゲームボーイアドバンスへ移植されている。現在はプレミア化しており値段は高め。
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GBA版では取得経験値がSFC版から2倍に、獲得資金が3倍に増えた。またダッシュ、中断が追加された。
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前作に引き続き、前述通り「殺す」という台詞が(ある場面を除いて)ほぼ全てカットや差し替えとなっている。
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各イベントやエンディングなどに新規イラストが追加。
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更に他プレイヤーとの通信で武具などアイテムの交換が可能にもなり遊びやすくなっている。
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エンカウント率も少し下がっている……のだが、初めて訪れた地のエンカウント率が跳ね上がる(イベント進行で下がっていく)というシステムが追加されたため、体感的なエンカウント回数そのものはSFC版よりも多くなってしまっている。
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2007年からはWiiで、2013年にはWiiUでもバーチャルコンソールでSFC版が配信されている。