「タッチ!カービィ」の編集履歴(バックアップ)一覧に戻る

タッチ!カービィ - (2014/08/04 (月) 16:00:27) の編集履歴(バックアップ)


タッチ!カービィ

【たっち!かーびぃ】

ジャンル ペンアクション
対応機種 ニンテンドーDS
発売元 任天堂
開発元 ハル研究所
発売日 2005年3月24日
定価 4,800円(税込)
分類 良作
星のカービィシリーズリンク

概要

 ニンテンドーDS初期に土俵入りを果たしたカービィ作品。
まだDSが人々にとって「異質なもの」として捉えられていた時代だけあり、作品自体も異質だが、ゲーム性は非常に良い。
 仮タイトルでは副題に「魔法の絵筆」とあったが、子供っぽいゲームという先入観が作られる恐れがあるとして最終的に取っ払われた。
スタッフいわく「OLなどの大人層に買ってもらいたい」らしい。

特徴

  • ある日プププランドに謎の魔女が現れ、あらゆるものを絵に変えてしまった。カービィは果敢に戦いを挑むも返り討ちにされ、魔法によって手足の無いボールの体にされてしまう。しかし魔女の落とした絵筆がカービィを導いていく・・・というストーリー。
    • ちなみにこのストーリーデモ、最後の文章が「あなたの手元に・・・」とある。つまりこのゲーム、魔法の絵筆(タッチペン)を手にしたプレイヤーも登場人物の一人と見なされているのである。
  • そんな経緯もあってか、従来のアクション系カービィとは操作方法が大きく異なっている。主人公のカービィは前述したようにボール姿に変えられてしまい、いつものように十字キーで動いたりボタン操作で吸い込むといった事が出来ない。タッチペンでカービィを突くか、画面上に「虹のライン」を引くかして移動させるのが今回の基本操作である。
    • 虹のラインは無制限に引ける訳ではなく、上画面に表示されるインクの残り量が尽きると線が途切れてしまう。何もラインを引かなければ自然回復するが、地面に接している方が早く回復する。
  • 絵画の世界というテーマに沿ってグラフィック強化に徹底しており、地形・背景はステージごとに決まった画風で描かれている。バリエーションは油絵、水彩画、ポップアートなど多彩で豊富。画家としての実績のあるスタッフによって手がけられたこれらの背景はとても美しい。
  • だが、今回最も目を見張るのはBGMであろう。ラスボス周り以外の大半は過去作の曲であり、使用ステージに合わせてサイケチックなアレンジが成されている。デデデ大王のテーマなんて下手したらサビ流れるまでそうだと気づかないかも知れない。
    • 更に注目すべきがラスボスの戦闘曲。第1形態は何と1ループ目からチャーチオルガン全開。第2形態はサイケトランスチックの狂った曲調という、今までのシリーズでは滅多に見られなかった異彩ぶりを放っている。それ故に人気も高い。

内容

  • ステージクリア形式の本編のほか、最速タイムを競う「タイムトライアル」や、如何にインクを節約できるかを競う「ライントライアル」、サブゲーム「ブロックアタック」「トロッコチェイス」「ペイントパニック」3本などのやり込み要素的なモードも用意されている。
    • また、本編には各ステージに3枚ずつ「メダル」が隠されている。手に入れるには少々頭を使ったり、的確なタッチペン捌きが必要な場合もある。メダルを集めればメダルチェンジャーに指定数を投入することで「虹の種類を変える」「カービィの体力アップ」といった隠し要素を開放でき、中にはカービィ以外のプレイヤーボールも含まれている。以下その4体。
      • ワドルディボールは体が軽いのか、よく弾みよく浮かぶ。それだけ。まさにワドルディである。
      • デデデボールは↑と対照的に重量級で、水に浮かぶどころか沈む。タッチし続けている間はハンマーを口で振り回す。ちなみにデデデ大王を(今回はボール姿だが)単独で操作できるのは今回が初めてとなる。
      • メタナイトボールは全キャラ中トップクラスの速さを誇るが、例の如く紙装甲。元がボスキャラなので弱化調整は当然か。
      • ワドルドゥボールは最初からビーム能力を持っているため、体当たり以外の攻撃手段には困らない。ちなみにポーズをかけた時の説明文には「ドゥ隊長」と記述されているが、これはアニメ版での意外な人気ぶりを受けてのものと思われる。
  • ステージ上には敵だけでなく「カラクリ」と呼ばれるギミックが随所に仕掛けられている。カービィの移動を手助けするものから進行を妨害するものまで実に様々で、前述のメダルもカラクリを利用しなければ手に入らないものも。
  • また、今回は『星のカービィ3』以来、久々に難易度が高い。メダルコンプリートを目指す場合は尚更難しくなる。
    • 本編は序盤のうちこそ比較的マイルドな方だが、先へ進むにつれて徐々に難易度が上昇。特に後半から終盤にかけてのとある3ステージは多くのプレイヤーを苦しめ、そしてかつてのトラウマを想起させた。
      • 5-2「ダンジョンドーム」。2枚目のメダルはホイール能力が必須で、しかも手に入れるには誘爆を発生させるスイッチを押さなければならず、その後は道中で少しでも遅れるとブロックに阻まれ、入手不可能となってしまう。このような競争系シチュエーションは『夢の泉の物語』が初出であり、後続では『参上!ドロッチェ団』にも登場している。
      • 7-2「マッドメカニズム」。まさかの序盤からプレス。正確には床全体が上下を繰り返す仕様なのだが、その後もノイズ地帯、レーザー地獄、逃げ回るゴールゲートと厄介極まりないギミックの連続。かつBGMが『星のカービィ64』屈指のトラウマステージ、5-4のアレンジという時点で確信犯としか言いようが無い(トラウマ的な意味で)。
      • 7-3「スペクタクルスペース」。既に序盤のトゲ地獄でウンザリだと言うのに、終盤では恐怖の強制スクロールが待ち受けている。狭い地形なのにスクロールの速度が速いため、僅かなミスがそのまま圧死に直結しやすい。
    • タイム・ライントライアルはゴール時のタイム、残りインク量によってメダルの数が変わる(1~3枚)。当然3枚を目指すとなると難しさも格段にアップ。
    • ミニゲームもレベル3に限り、スコア獲得による評価がA以上だとメダル1枚が手に入る。が、これらが多くのプレイヤーの前に壁として立ちはだかる事態に。
      • 「ブロックアタック」は実質的にエンドレス形式で、前述したようにAランク以上のスコアを獲得していれば途中でミスしても問題ない。しかし、先へ進むほど獲得タイムもラケットバーも短くなり、ボディブローのようにジワジワと効いてくる。
      • 「トロッコチェイス」はデデデ大王の追い上げ速度が前レベルの比で無く、敵の密度もそれまでに比べると圧倒的に濃い。周回数もレベル3に限り3周に設定されており、ゴールするまで気が抜けない。
      • だが、それらを軽く凌駕する難易度を誇るのが「ペイントパニック」である。お題の数は10問(レベル1)、15問(レベル2)と、5問ずつ追加される流れなのだが、レベル3ではこれを無視して20飛ぶどころか一気に99問。シビアな判定、書き順の複雑なお題、徐々に削られていく集中力も相まって、ここでメダルコンプリートを挫折したと言う声も少なくない。
    • このように本作はシリーズ内でも高い難易度を誇っている。完全制覇を目指すならどっしり腰を据えるべし。
+ そして今回は、ラスボスも異質だった。
  • 最後の敵「ドロシア」は冒頭で述べたように魔女、つまりカービィシリーズ初の女性ラスボスである。彼女のテーマ曲ともども人気は結構高い。
  • 今まではカラクリやザコの寄せ集めが中ボス、レベルクリアごとに挟まれるサブゲームが実質的なボス戦なのに対し、ドロシアとの戦いは何といつもと同じガチバトル。第1形態「ドロシア ソーサレス」は特定の攻撃を跳ね返さないと一切ダメージを与えられず、初見時どうしたら良いのか分からないままなぶり殺しにされたプレイヤー多数。戦い方が分かった頃には既に残機をいくつか減らされていた経験もあるのではないだろうか。
  • 第2形態「ドロシア ソウル」はソーサレスから一転、絵の具を掻き混ぜたような毒々しい球状の体に変貌。登場時の演出、狂った笑い声や化け物のような咆哮と、明らかにちびっ子を泣かせかねない要素が満載である事から『星のカービィ3』のゼロと並ぶトラウマボスの一体として挙げられる事が多い。
  • そんな彼女の正体には、他のラスボスと違う哀しさがあった。
  • 不満点を挙げるとすれば、オマケ要素である収録曲が夢の泉DXのみな「なつかしの曲」だろうか。
    • これをONにするとBGMが切り替わる。単独ではなく他にも入っていればまだ納得がいったのだが…。
    • というか、根本的なところを言えば夢の泉DXはまったく懐かしくない

総評

DSの仕様に合わせて変貌を遂げたシリーズの異端児だが、ラインを引いてボールを転がすというアクションゲーム部分の出来は良く、面白い。
今までのカービィと比べて明らかな異質尽くめである点、特にBGMのアレンジについては批判を受ける事もある(時期的に、桜井氏のHAL研退社ショックから抜けきれていない頃だった)。そのBGMも、アレンジこそ独特だがクオリティは高い。

余談

開発者はインタビューで「『キャッチ!タッチ!ヨッシー』の二番煎じと思われそうで心配」と憂鬱気味に語っていたが、本数ではこちらが上回る。