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咲-Saki- Portable - (2016/12/24 (土) 23:50:27) の編集履歴(バックアップ)
本項目では『咲-Saki- Portable』『咲-Saki- 阿知賀編 episode of side-A Portable』(両方判定なし)、及び『咲-Saki-全国編』(良作)の3作品について解説する。
咲-Saki- Portable
【さき ぽーたぶる】
ジャンル
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美少女対戦麻雀
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対応機種
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プレイステーション・ポータブル
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販売元
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アルケミスト
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発売元
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加賀クリエイト
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開発元
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アルケミスト 童 クーリエ
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発売日
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2010年3月25日
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定価
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通常版:5,980円 限定版:8,980円(共に税別)
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廉価版
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2012年3月29日/3,800円(税別)
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判定
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なし
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ポイント
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咲-Saki-のキャラを使った麻雀ゲーム 原作準拠の特殊能力、ツモ補正の応酬 ボリュームは少なめ
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概要
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ヤングガンガンで連載中(2016年現在)の漫画(と、それを原作とするアニメ)『咲-Saki-』をゲーム化した作品。
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原作を簡単に説明すると「美少女達が麻雀で全国を目指す」といったものであり、昨今数多く存在する萌え系漫画である。
登場人物によっては特別な能力を所有しているといった、麻雀漫画としてはありがちな作品である一方、丁寧な心理描写などを交えた麻雀の駆け引きが魅力となっている作品である。
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本作でも原作の設定に合わせ、能力を持っているキャラクターもおり、能力を使ったイカサマ系の麻雀を楽しむことが出来る。
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明文化された能力以外にもキャラクターによってツモ牌や配牌に補正が掛かっていることも特徴。
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能力についてはオフにすることも可能であり、この場合は正当な麻雀ゲームとして楽しむことも可能。
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本作で利用出来るキャラクターは原作の県予選大会決勝の対戦カードである「清澄高校」「龍門渕高校」「風越女子高校」「鶴賀学園」の団体戦メンバーとなっている。
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これ以外にいずれの高校にも属さない隠しキャラクターが数名登場し、全部で23キャラクターが使用可能。
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原作準拠のストーリーやオリジナルのショートストーリーに沿って麻雀をプレイする「ストーリーモード」、特定の課題のクリアを目指す「チャレンジモード」、対局メンバーを自由に選んで対局出来る「フリー対局」、アドホック機能を用いた「通信対局」のモードが存在する。
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フリー対局では原作のように団体戦を行うことが可能。団体戦は4つの高校から1つを自由に選び、5人のキャラクターで順番に対局を行っていく。
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オーダーの順番は変更可能だが、高校を跨いだドリームチームを作ることは出来ず、またコンピュータのオーダーは原作に準拠する。
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また、この性質上、隠しキャラクターは団体戦では使用不可。
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チャレンジモードをクリアすることで、キャラクターの衣装が手に入ったり、隠しキャラクターが利用可能になったりする。
採用ルール
代表的な採用ルールのみ抜粋する。基本的には原作に準拠したルールとなっている。
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個人戦の場合25000点持ち30000点返し、団体戦の場合100000点持ち100000点返し
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裏ドラあり、槓ドラ、槓裏もあり。槓ドラは即乗り
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後付けあり
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2飜縛りなし
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九種九牌流局なし
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二家和なしの上家取り、三家和流局ありかは不明
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1000点未満のリーチは不可(但し、ドボンなしの場合は可能)
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責任払いは大明槓のみ(大三元、大四喜、四槓子の責任払いなし)
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オーラストップのアガリ止めあり
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喰い換えなし
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数え役満あり
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国士無双の暗槓搶槓あり
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ローカル役及び流し満貫はなし
以下のルールはフリー対局で選択が可能
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対局形式は東風、半荘で選択可能
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赤ドラの有無、有りの場合は五萬、五索1枚ずつ、五筒2枚の計4枚
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喰いタンの有無
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連荘条件(東場と南場で分けた上で「不聴でも連荘」「聴牌で連荘」「和了で連荘」から選択可能)
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ドボン(0点未満で試合終了)の有無
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能力の有無
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切り上げ満貫の有無
評価点
原作のキャラクターの能力を極力再現した麻雀
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原作の個性豊かな能力も極力再現されており、対局でもそれが活かされる。
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例えば、主人公の宮永咲は原作のように「カンをすると、高確率で有効牌をツモ」ることが出来るため、聴牌時にカンをすれば容易に嶺上開花があがれる。
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また、配牌やツモ牌の補正もあるため、咲はそもそも刻子や4枚使いが出来やすい特徴も持っている。
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キャラクターによって能力は様々であり、キャラクターによって違った打ち方が要求される。
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能力がないキャラクターもいるが、ツモ牌の補正等はかかるため、能力なし同士であっても異なった傾向がある。
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もっとも、補正が具体的に明言されているわけではないので、体感レベルであることが多いが。
対局を彩ってくれるカットインやボイス
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ボイスの数は多くはないが、リーチやポン、チー、ロン、ツモの発声や、原作ファンなら思わずクスリとくる名言等が収録されている。
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カットインはアガリやリーチなどのタイミングで挿入される。また一定の条件を満たすことで挿入されるカットインも。
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例えば、咲のツモカットインは通常時のツモの他、嶺上開花ツモによる特殊カットインが存在する。
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残念ながら役の読み上げについては本作では実装されていない。
賛否両論点
キャラによる性能格差
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能力の有無を初めとしたキャラクターごとの性能格差はかなり大きくなっている。
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一般的に強キャラクターはやはり原作通りというべきか「咲」や「部長(久)」「衣」「キャプテン(美穂子)」が挙げられる。
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咲は上述した通り、嶺上開花が出来やすい上、暗刻が出来やすい。場合によっては四暗刻まで見えることもある。そして原作と違ってドラが乗ることもあるので数え役満も簡単に出すことが出来るかなりのパワーキャラ。
部長は原作よりも能力が強化されており、当たり牌が三種類以下でテンパイすればほぼ確実に次順でツモ上がりする。そのため速度が非常に速く、鳴かなければ門前清自摸が、リーチすればその上に一発も乗るので火力も高い。
衣は原作ほどの猛威は振るわないが、それでも配牌で東か南の暗刻が出来やすく和了しやすい。また一試合に何局か千鳥積みよろしくひたすら同じ種類の牌をツモる事があり、簡単に門前清一を上がることが出来る。
キャプテンは6局目以降から開眼し相手が持っている牌の種類を見ることが出来る。が、それ以上に配牌とツモ補正が強烈。
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同じ能力ありの中でも、和や未春は弱キャラクター扱いされやすい。
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未春は説明によると「当たり牌を捨てようとした時キャンセルが可能」という能力で一見すると強力だが、必ずしもその牌が当たり牌とは限らない上、能力の対象外の牌であってもロンされる場合があるため、結局のところ、若干リスクを下げることが出来るに過ぎない。
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和はストーリーモードのやさしいにも存在するアシスト機能を常時受けることが出来るが、ストーリーモードのアシスト機能よりも弱化している。
当然と言えば当然だが、ストーリーモードと異なり、アシスト機能を利用したとしても和了出来るとは限らず、また放銃してしまうこともある。更に、最善手どころか、どう考えても悪手としか思えない手を薦めてくることもあるため、アシストとしての機能があるのかさえ危うく、アシストになっているかさえ怪しい。
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能力なしのキャラクターは原作で活躍した「ゆみ」を除いてはほとんど大差ない強さであり、能力ありのキャラクターと比べると劣る。
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特に咲などの強キャラクター相手の場合、よほど運が良くなければ勝利はまず無理である。
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ただし、原作準拠ということでいえばおおよそ間違った設定ではない。
京太郎のボイスがない
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プレイアブルキャラクターとして使えないことに加え、ストーリーでも他の(女の子の)キャラクターにはボイスがあるのに対し、京太郎にはボイスがない。
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ストーリーモードで登場する場面では違和感を覚えやすい。もっとも「男キャラのボイスなんて不要」と考える人にとっては気にもならないだろうし、ギャルゲーなどを中心として男性のみボイスなし、というのはよくあることである。但し、原作のアニメでは当たり前だがボイスがあったため、違和感を覚えやすくはある。
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なお、当然プレイアブルキャラクターでもないが、そもそも原作のコンセプトとしても女の子の麻雀による戦いを描いている上、本作のジャンルも美少女対戦麻雀であることからプレイアブルキャラクターでないことに対する批判はない。
問題点
牌が見にくい
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対局画面では左右にキャラクターのグラフィックを配置しているためか、実際の対局画面が見にくくなってしまっている。
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特に牌の表示がかなり小さいものとなってしまっており、捨て牌になると余計見づらくなる。捨て牌の情報は麻雀においてはかなり重要であることを考えると致命的。
ストーリーモードが薄い
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全体的にストーリーモードはかなり断片的であり、原作を知らないと流れがほとんどつかめない。
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結果としてあっという間にストーリーモードは終わってしまうことになりがち。
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オリジナルストーリーもあるがやはり短いため物足りない。
一部チャレンジモードの鬼畜な難易度
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所定の条件を満たすことを要求されるチャレンジモードは課題によってはかなりの運ゲーとなる。
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よく話題にのぼるのがチャレンジ9と21である。
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9はキャプテンで「約3万点の差を覆しトップとなる」ことであるが、対戦相手は強キャラクターとして挙げた「咲」「衣」が含まれる。
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開始時は南1局で自身が親であるが、ここで親が流れてしまうと(以後、連荘が出来なくなるので)非常に厳しくなる。
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スピードにも優れる咲や衣が相手であるため、連荘することすら容易ではない。
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21はとある隠しキャラで「持ち点1000点(他家33000点)」から1位になるという非常に厳しい内容。しかもこちらも相手には「咲」が含まれる。
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更に東場で強い「優希」もいるため、運が悪いと東1局でツモられ終了ということもザラ。
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この21をクリアすることでとある隠しキャラクターが使えるようになるため、キャラクターを使いたい場合はこの課題のクリアが必須。
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隠しキャラの能力として、ランダムに能力を使用出来、コピーする相手によっては数回でクリア出来る事もあり運の要素が極めて強い。
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チャレンジモードについては次回作にも登場し、鬼畜な難易度を緩和するどころか、更なる運ゲーとして進化してしまった限界チャレンジというものがある。
麻雀のルール説明がない
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麻雀に対する詳しいルール説明はゲーム内では一切存在しない。
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一応麻雀未経験者向けと思われるストーリーモードやさしいにおけるアシスト機能や和の能力のアシスト機能は存在するものの根本的な解決にはなっていない。
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アシスト機能は初心者にとっては便利に思えるが、ストーリーでは「何も考えずとも打ってればとにかくあがれる」というものであり、和の能力は先に述べたとおりアシストかどうかも怪しいためアシスト機能で麻雀の打ち方を覚えるのはかなり危険である。
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後に発売された『阿知賀編 Portable』や『全国編』においてもルール説明は存在しない。
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一応キャラゲーとはいえ、原作が麻雀漫画なのでルール説明を省いたといえなくもないが、原作読者向けの「麻雀を知らない人向けに発売された書籍」というものもあるくらいなので、麻雀を知らない人への配慮が欲しかったのが本音である。
団体戦の自由度の薄さ
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原作の対局形式である「5人が順番に対局を行いその最終結果で順位を決める」という団体戦であるが自由度は低い。
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概要で述べられている通り、メンバーは学校ごとで固定となり、混合させることは出来ない。
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本作ではキャラクターの所属校が4つしか存在しないため、面子は完全に固定化される。プレイヤー側はオーダーの順番の変更は出来るとはいえ、それだけである。
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原作ではそれぞれのメンバーが半荘を2回対局していたが、流石に対局回数は変更可能(それぞれが東風1回とすることも可能)である。それでも団体戦はかなり長丁場。ちなみに途中セーブの機能はない。
総評
咲-Saki-を原作とする麻雀ということで、一般的な麻雀とは異なった能力有りの一風変わった麻雀をプレイすることが出来る。
能力をなしにすれば純粋に咲-Saki-のキャラクターを用いた麻雀ゲームとして遊ぶことも可能であり、ファンにとっては嬉しいソフトである。
もっとも、ストーリーモードの薄さや、団体戦での自由度の低さといった問題点などの細かい粗は存在しており、
キャラクターの性能差については原作準拠と考えるか、あくまでゲームとしてのバランスを重視するかによって評価が分かれるところであろう。
フリー対局ではルールの設定は可能であるが、純粋に麻雀を打ちたいだけ、ということであれば本作よりも優れた麻雀ソフトはたくさんあるのは事実である。
咲-Saki-のファンだけではなく、萌え要素のある、かといって脱衣麻雀といったいかがわしいものではない麻雀や、一風変わった麻雀を楽しみたいといった人にはお勧め出来るソフトである。
咲-Saki- 阿知賀編 episode of side-A Portable
【さき あちがへん えぴそーどおぶさいどえー ぽーたぶる】
開発元
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アルケミスト クーリエ
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発売日
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2013年8月29日
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定価
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通常版:6,800円 限定版:8,980円 DL版:5,524円(全て税別)
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判定
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なし
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ポイント
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阿知賀編のキャラクターをベースとした続編 基本的な内容は前作を踏襲 CPUの強さが増し、厳しい内容に
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概要(阿知賀編)
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咲-Saki- Portableの続編であり、月刊少年ガンガンにて連載された外伝作ともいえる『阿知賀編』を原作とした麻雀ゲーム。
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ゲーム内容としては基本的には前作同様の能力有り麻雀となっている。
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ベースが阿知賀編となっているため、前作では使えたが、本作では使えないキャラクターも多い。
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CPUの聴牌が早くなっており、能力やキャラクター次第ではかなり厳しい対局となる。
前作からの変更点・改善点(阿知賀編)
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ストーリーモードが削除された
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チャレンジモードの課題が大幅に追加された(事実上、ストーリーモードからの置き換えといえる)。
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通常のチャレンジモードの難易度は低めであるが、更に高難易度の限界チャレンジも存在する、こちらの難易度はかなりのもの、というよりもマゾゲーレベル(後述)。
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役の読み上げが追加された
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役の読み上げは上がったキャラか特定キャラのどちらかで設定出来る
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キャラクターは「阿知賀女子学院」「千里山女子高校」「白糸台高校」「新道寺女子高校」の4校20キャラが新規、前作からは「清澄高校」「龍門渕高校」の10キャラと「風越女子」「鶴賀学園」の中から5キャラの合計35キャラ。
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結果として、「風越女子」の未春、純代、星夏と「鶴賀学園」の睦月、佳織はリストラとなった。
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今回も隠しキャラクターが若干名存在する。
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(ネタバレ注意)
京太郎が(隠しだが)プレイアブルキャラクターとなり、シリーズで唯一使える男キャラとなった(次作ではリストラどころか一切登場すらしない)。またボイスもついた
評価点(阿知賀編)
団体戦でオリジナルチームを作れるようになった
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本作の団体戦は「阿知賀女子学院」「千里山女子高校」「白糸台高校」「新道寺女子高校」の4校で争う形式であるが、オリジナルチームを作ることも出来るようになった。
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また、「清澄高校」「龍門渕高校」「風越女子・鶴賀学園」として出場も出来る。いずれの場合も「阿知賀女子学院」「千里山女子高校」「白糸台高校」「新道寺女子高校」のどれかのチームの一つと入れ替わる形になる。
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対戦相手は高校単位であり、対戦相手のオーダーが原作準拠となるのは前作同様。
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場合によってはキャラクターが被ることもあるが、前作でも、同キャラ同士の対局は個人戦であれば可能であった。ただ、この仕様が気になるのは事実。
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上述した通りだが、入れ替わりもランダムである。そのため、仮に東1局に玄を配置したオリジナルチームを作った場合、4分の3の確率でCPUの阿知賀女子学院の玄と同席することになる。
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また、対戦相手にオリジナルチームや「清澄高校」「龍門渕高校」「風越女子・鶴賀学園」を選ぶことは出来ない。
役の読み上げが追加された
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前作では存在しなかった役の読み上げが追加された。
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キャラごとに存在し、キャラによる個性もある(例えば七対子をチートイツと正式名称で読んだりチートイと略したり)。
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役牌やドラについては、あくまで「やくはい」「どら」と読み上げるだけであり、その成立した飜数は読み上げない。特に後者。ドラは成立した個数が重要であり、実際に麻雀をする際にも「ドラドラ(ドラ2)」や「ドラ3」などと宣言するのが普通なので、気になるところ。
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役牌については多くのゲームでは「白(はく)」「發(はつ)」「中(ちゅん)」や東南西北(それぞれ、とん、なん、しゃー、ぺー)、「ダブ東(だぶとん)」「ダブ南(だぶなん)」と読み上げられている。
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ただし、35+αキャラ分の読み上げパターンがあることは評価に値する。
賛否両論点(阿知賀編)
能力の格差が更に増した
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個性的な能力のキャラクターが多いためか、能力の格差がかなり増している。
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他プレイヤーにドラがいかなくなる(但し制約はある)玄、一巡先が見られVer.1.01以降では当たり牌すら察知出来る怜、他家の手を悪くし、ダブリーを打てる淡がかなり強い。
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一方で、原作では最強のはずの照は初期ではやや弱キャラ扱いであり、Ver.1.01で当たり牌察知が追加されたが、そもそも攻めが強くなったわけではないので……。
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全体的に強い能力持ちのキャラが非常に強力であるため、能力なしのキャラクターは前作以上に厳しくなっている。
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前作も同様だが、キャラクター格差というものを咲-Saki-の世界観に準拠するものとして受け入れられるかどうかで賛否が分かれるだろう。
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哩の「リザベーション」は原作では「最初に飜数を決めてそれ以上の飜数で和了すれば姫子に倍の飜数の手牌が積み込まれる」というものであったが、本作では「和了すると同じ局の姫子の手牌がよくなる」という全く別物になっている。
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そのため、原作で見られるような「手牌を考慮し、(事実上の)何飜の縛りを設けるか?」といった駆け引きはない。
問題点(阿知賀編)
コンピューターの聴牌速度
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前作と比べると、コンピューターの聴牌が早くなっており、6巡目以内でのリーチも結構な頻度で発生する。
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ツモ補正があるためか、一発ツモも頻繁に発生するため、能力持ちのコンピューターが相手だと為す術もなく点棒がなくなっていく。
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麻雀というゲームの性質上、数回程度であればスピードアガリが出るのはあり得るのだが、常時といっても過言ではないため、ストレスがたまりやすい。
致命的なバグが存在した
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通信対局で観戦を行った後、通常対局を行うと不正データが保存され、一部のデータが破損するバグがあった。
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Ver.1.01にて修正されているため、現在は発生しないが、再現度も高い危険なバグであったのは問題ないだろう。
鬼畜なまでの限界チャレンジの難易度
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前作のチャレンジモードの一部課題よりも難しいとされる限界チャレンジのあまりの運ゲーっぷりに多くのプレイヤーが阿鼻叫喚の渦に飲まれた。
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限界チャレンジは10課題あるが、ほとんど全てがかなりの強運と時間を要求される。
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先述した通りコンピューターそのものが鬼畜な上に高難度の課題、ということで下手すると数十時間プレイしてもクリアできないことも。
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特に、「加治木ゆみ」の、「搶槓」挑戦は屈指の無理ゲー(+運ゲー)と化している。
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理由は、別に加治木ゆみに能力がないから、というわけではない。単純に本作のCPUはほとんど鳴かないためである。更に鳴いたとしても字牌くらいしか鳴かないことが多い(一応、国士無双なら字牌に対して搶槓出来なくもないが国士無双成立時には搶槓が複合しないので不成立扱いと思われる)。その為、そもそも「ポンしてくれるか」「ポンしてくれたとしてカンしてくれるか」「カンしてくれたとしてそれをアガリ牌にできるか」という三段階の難関が待っている。
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原作でゆみは「次に私が搶槓をあがるのは何年先か分からない」旨の発言をしているが、それをひしひしと痛感させられることになる。せめて、原作よろしく咲が明槓をしてくれればいいのだが……。
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最も簡単な限界チャレンジは「咲」でプラスマイナス0(2位以下で29600点~30500点)で終局するものであるといわれる。実際に麻雀をやれば分かるが、点数を既定の範囲内に納めるのは決して簡単ではない。それが最も簡単という時点で難易度はお察しと言ったところだろう。
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一応、全てクリアしても特別な報酬はないため、あくまで自己満足用のコンテンツというのが救いと思われる。
総評(阿知賀編)
前作の問題点を解消しつつ阿知賀編のキャラクターに焦点を当てた作品である。
前作よりも個性的な能力を持つキャラクターが増えたため、よりカオスな麻雀を楽しむことが出来ることは間違いないのだが、個性的な能力をどのように使うかを悩んだのか、再現率が落ちてしまっている点は残念である。
コンピューターの聴牌速度が凄まじいため、運の要素が増しており、ツキに見放されるとどう足掻いてもアガリまで到達出来ない点でのバランスの悪化が本作最大の問題点といえるだろう。
前作同様にキャラクターは可愛く、キャラ数でいえばリストラされたキャラがいるとはいえ大幅に増えていることは評価出来る。
ただし、麻雀をよく知らない初心者が購入するのはオススメできない作品である。
咲-Saki-全国編/咲-Saki-全国編Plus
【さき ぜんこくへん】
【さき ぜんこくへん ぷらす】
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全国編
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全国編PLUS
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ジャンル
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美少女対戦麻雀
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対応機種
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プレイステーション・ヴィータ
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販売元
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加賀クリエイト
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エンターグラム
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開発元
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加賀クリエイト
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発売日
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2015年9月17日
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2016年12月22日
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定価
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通常版:6,980円 限定版:8,800円 DL版:6,000円(全て税別)
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3,980円(税込)
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備考
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ダウンロード専売
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判定
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良作
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ポイント
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PSVで発売された咲-Saki-第3弾 画質等のプレイ環境の向上 今度はコンピューターが弱化
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概要(全国編)
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咲-Saki-のゲーム化第3弾であり、今回は、本編のアニメ版第2期『咲-Saki- 全国編』をベースにしている。
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原作の漫画でいえば、本編の県予選終了後、全国大会に入ってからといえる。
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キャラクターとしては、前作、前々作の(隠し以外の)キャラは全員参戦し、総計55人+隠しキャラとなった。
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具体的には前々作の4校、前作の4校に加え、「姫松高校」「永水女子高校」「宮守女子高校」が加わった形となる。
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プラットフォームがPSPからPSVになったことでインターフェースが向上、読み込みもかなりスムーズとなった。
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前作の鬼畜難易度のコンピュータからは一変し、今度は逆に弱いといった印象になった。
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本作発売後、開発元・販売元である加賀クリエイトが解散(詳細は後述)し、およそ1年後である2016年12月22日に本作と同内容の作品として「咲-Saki-全国編PLUS」がエンターグラムよりダウンロード専売として発売された。
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ゲーム内容は共通であるが、千里山女子高校のメンバーの浴衣衣装セットが追加されている。
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メーカーが異なるためか、ゲーム内容は同じであるがセーブ内容の引き継ぎは不可。
前作からの変更点・改善点(全国編)
対局をはじめとしたBGMを自由に変更可能となった
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メモリーカードに保存されている音楽を対局BGMなどに用いることが可能となった。
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一応、ゲーム内の音楽はほぼ全て変更が可能となっている。
牌や雀卓の種類が変更可能に
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条件を満たすと牌や雀卓の種類を選択可能となる。
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ちょっと雰囲気が変わるだけのものから一風変わった卓まで様々であり、気分転換になる。
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ランダムで決定や局ごとに変更などの設定はできない。
着せ替え衣装等はコインで入手
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前作までのチャレンジによる報酬として入手できた着せ替え衣装等は対局をするともらえるコインを使って入手可能になった。
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コインを使い、原作でも登場していた「雀士せんべい」を購入するとおまけのカードが入手出来るという仕組みであり、入手出来るカードはランダム。ダブることもある。
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直接カードを購入することも出来るが、着せ替え衣装の場合雀士せんべいと比べるとかなり高い。運を信じるか、直接買うかは各々の判断である。
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また、キャラクター自体もこの雀士せんべいで入手していく。
育成要素の導入
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対局をプレイすると育成ポイントが入手でき、そのポイントを使うことでキャラクターを強化することができる。
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強化できるパラメータは7種類あり、それぞれ21段階(0~20)。
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キャラによって初期のパラメータが異なっているが、最終的な強化段階の上限は変わらない。
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育成をすることで、能力が強力になったり、他のプレイヤーの能力発動を阻害したり、配牌やツモ牌がよくなったりといった効果がある。
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育成ポイントは対局で使用したキャラのみもらえる。
一部、任意の能力発動が可能に
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一部のキャラクターの能力はその本場の開始時に任意で発動が可能となった。
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また、菫の能力は対象を選択可能となった他、怜の能力は見通せる巡目を選択可能となった。
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能力の発動回数が多くなると、精神力が尽き、能力が発動できなくなるデメリットがある。これは自動発動タイプの能力も同様。
評価点(全国編)
進化したインターフェース
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プラットフォームの変化に伴い画質が向上し、牌が見づらいといった問題点は解消されている。
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キャラクターのイラストやカットインも画質向上が見られる。またロード時間もなくスムーズになっている。
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変更点でも述べたが、音楽を自由に設定できたり、卓や牌を変更できたりするため、自分好みに雰囲気を変えることも可能となっている。
団体戦の自由度がアップ
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前作でオリジナルチームを作ることができるようになったが、あくまでプレイヤーサイドのみであった。
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本作では、コンピュータのチーム、オーダーを含め自由に選択することが可能となり、かなり自由度が増している。
能力を止める方法ができた
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能力を使うと精神力を消耗するといった仕様上、無制限に能力を使い続けることができなくなった。
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また、育成で「威圧」を高めることで相手の能力を不発にさせることができるため、能力のないキャラクターでも戦いやすくなっている。
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逆に「抵抗」を高めることで、「威圧」を無効化できることがある。
賛否両論点(全国編)
育成システム
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本作の目玉システムの一つであるが、本要素については賛否両論である。
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具体的には、キャラクターの基本パラメータを増やすことで目に見えて強さが変わり、配牌や運を増やすと配牌で三色同順や一気通貫が完成+配牌で聴牌間近といったことも余裕でできるようになる。
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実際、一盃口や三色同順、一気通貫や清一色といったどう考えても積み込みとしか思えないような配牌になる頻度は決して低くない。
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結果として育成を完璧に行ったキャラクターを使うと倍満以上といった手が頻発するインフレ気味の対局となりがちである。
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能力の格差をかなりの割合で是正することができるほどであるため、愛があればどのキャラクターでも十分戦えるようになる、といった肯定的な意見もあるが、いくら何でもやり過ぎといったといった否定的意見もある。
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この育成システムは能力と同様に設定でなしにすることもできるため、使わなければよいという話ではあるが。
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育成は何度でもやり直せるため、強すぎると思ったら育成を減らすことで調整も出来る(ただし、キャラクター選択画面で育成を変更することは出来ないため毎回調整するのはかなり面倒臭い)。
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もっとも、この育成システムを前提とした「通信チャレンジ」では話が別。完璧に育成したキャラクターでプレイしても難しい歯ごたえのある難易度である。
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とはいえ、前作の限界チャレンジと比べれば現実的な難易度である。
問題点(全国編)
弱すぎるコンピューターのAI
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前作は強すぎるコンピューターであったが、本作は逆に弱すぎるとされる。その一例を以下に示す。
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フリテンでリーチをかける
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戦略としてないこともない(リーチをかけることで相手を下ろす効果があるため)が、「どう考えてもそれ以外の牌で待てば良いだろ」とツッコミたくなるようなフリテンリーチも。
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アガリ牌をツモった(或いはリーチ後ロン牌が出た)のに無視する
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たまに発生する。アガリ牌をツモってるor他家が捨てているのにそれを無視し、フリテン状態となる。見逃す理由(高目でないと逆転出来ないなど)があるとは思えない待ちの場合は尚更意味不明。
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リーチをかけず安上がりする
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愚形で手代わりを期待しているようなケースもあれば良形なのにリーチをかけずロンできない状態でツモして門前清自摸(+ドラ)のみというケースも多い。
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また、前作までは基本的に攻めが強かったのに対し、本作は中盤以降になるとオリる頻度が高い。結果、荒牌流局になりやすい。
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とはいえ、序盤の良形待ちであっても当たり牌が出てこない場合もあれば、終盤に一度も出てないドラ牌を打つこともあるため、守備が強いか弱いかというと微妙なところ。
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結果として前作の強すぎるコンピューター、という評価からは一変し、弱いコンピューターとなってしまっている。ただ、キャラゲーとしては強すぎるよりはマシといった一面は強いだろうが。
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公式ページのチャレンジの紹介ページでは「ユーザーの意見を聞いてチャレンジの難易度を見直した」となっており、公式側として難易度が高いことを意識していたものとみられる。
この話はあくまでチャレンジモードの話ではあるが、この点からコンピューターのAIは意図的に弱くした可能性も十分ありえる。
残りの牌の数がなくなった
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麻雀ゲームでは一般的であり、前作まであった残りの山牌の数の表示がなくなった。
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山牌という形で表示されるため、麻雀のルール(王牌として14枚の牌を残した時点で終了)を知っていれば残りの牌の数は分からなくもないが、不親切であろう。
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おそらく、淡の能力に対応するために山牌を表示する形となったのだろうが初心者にとっては非常に分かりづらいものとなってしまっている。
総評(全国編)
プラットフォームの変化によるグラフィックの進化、そして、更に増えたキャラクターによる能力麻雀はカオスであるが、咲-Saki-の世界が好きであればのめり込める魅力がある。
育成要素やコインによるカード収集要素などのやり込み要素も存在するため、キャラクター、ひいては世界観が好きならば楽しめる作品に仕上がっている。
コンピューターについては弱化してしまっているが、本作のプレイヤーにとっては強すぎて難しい、というよりはキャラクターを愛でながら遊べるバランスに仕上がったとみれば、評価点とはいえずとも十分許容範囲であろう。
歯ごたえのある麻雀を楽しみたいというプレイヤーには不向きだろうが、咲-Saki-が好き、或いはキャラクターが可愛いと思ったプレイヤーの期待には十分応えられた良作といえる。
余談
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全国編の発売後の2015年12月31日には販売元(及び、全国編の開発元)である加賀クリエイトが解散、また2016年4月1日には無印、阿智賀編の開発元であるアルケミストも倒産したため、
本シリーズのこれ以上の展開は絶望的となっている
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12月22日に販売元がエンターグラムになって(権利関係を承継した模様)ダウンロード限定ではあるが、全国編PLUS(ゲーム内容は同じ)が販売された。
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上述の通りではあるが、セーブデータの引き継ぎは出来ず、既に通常版を持っていた場合であっても再度購入する必要がある。しかしながら、公式のページでは、今後のアップデートやダウンロードコンテンツの実装の可能性がある旨の表記があり、実際新規DLCとして千里山女子高校の5人の浴衣衣装が実装されている。
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加賀クリエイトが解散を発表した後に、全国編のアップデート(Ver.1.02)が配信されるという驚きの展開を見せた。