咲-Saki- Portable
【さき ぽーたぶる】
| ジャンル | 美少女対戦麻雀 |  
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| 対応機種 | プレイステーション・ポータブル | 
| 販売元 | アルケミスト | 
| 発売元 | 加賀クリエイト | 
| 開発元 | アルケミスト 童
 クーリエ
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| 発売日 | 2010年3月25日 | 
| 定価 | 通常版:5,980円 限定版:8,980円(共に税別)
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| 廉価版 | 2012年3月29日/3,800円(税別) | 
| 判定 | なし | 
| ポイント | 咲-Saki-のキャラを使った麻雀ゲーム 原作準拠の特殊能力、ツモ補正の応酬
 ボリュームは少なめ
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| 咲-Saki-シリーズ 無印 / 阿知賀編 / 全国編・Plus
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| 少年ガンガンシリーズ | 
 
概要
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ヤングガンガンで連載中(2018年現在)の漫画(と、それを原作とするアニメ)『咲-Saki-』をゲーム化した作品。
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原作を簡単に説明すると「美少女達が麻雀で全国を目指す」といったものであり、昨今数多く存在する萌え系漫画である。
 登場人物によっては特別な能力を所有しているといった、麻雀漫画としてはありがちな作品である一方、丁寧な心理描写などを交えた麻雀の駆け引きが魅力となっている作品である。
 
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本作でも原作の設定に合わせ、能力を持っているキャラクターもおり、能力を使ったイカサマ系の麻雀を楽しむことが出来る。
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明文化された能力以外にもキャラクターによってツモ牌や配牌に補正が掛かっているのが特徴。
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能力についてはオフにすることも可能であり、この場合は正当な麻雀ゲームとして楽しむことも可能。
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なお、全てのキャラクターに能力があるわけではない。
 
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本作で利用出来るキャラクターは原作の県予選大会決勝の対戦カードである「清澄高校」「龍門渕高校」「風越女子高校」「鶴賀学園」の団体戦メンバー20名となっている。
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これ以外にいずれの高校にも属さない隠しキャラクターが3名登場し、全部で23キャラクターが使用可能。
 
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原作準拠のストーリーやオリジナルのショートストーリーに沿って麻雀をプレイする「ストーリーモード」、特定の課題のクリアを目指す「チャレンジモード」、対局メンバーを自由に選んで対局出来る「フリー対局」、アドホック機能を用いた「通信対局」のモードが存在する。
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フリー対局では原作のように団体戦を行うことが可能。団体戦は4つの高校から1つを自由に選び、5人のキャラクターで順番に対局を行っていく。
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オーダーの順番は変更可能だが、高校を跨いだドリームチームを作ることは出来ず、またコンピュータのオーダーは原作に準拠する。
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この性質上、隠しキャラクターは団体戦では使用不可。
 
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チャレンジモードをクリアすることで、キャラクターの衣装が手に入ったり、隠しキャラクターが利用可能になったりする。
 
採用ルール
代表的な採用ルールのみ抜粋する。基本的には原作に準拠したルールとなっている。
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個人戦の場合25000点持ち30000点返し、団体戦の場合100000点持ち100000点返し
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裏ドラあり、槓ドラ、槓裏もあり。槓ドラは即乗り
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後付けあり
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2飜縛りなし
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九種九牌流局なし
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二家和なしの上家取り、三家和流局ありかは不明
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1000点未満のリーチは不可(但し、ドボンなしの場合は可能)
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責任払いは大明槓のみ(大三元、大四喜、四槓子の責任払いなし)
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オーラストップのアガリ止めあり
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喰い換えなし
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数え役満あり
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国士無双の暗槓搶槓あり
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ローカル役及び流し満貫はなし
以下のルールはフリー対局で選択が可能
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対局形式は東風、半荘で選択可能
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赤ドラの有無、有りの場合は五萬、五索1枚ずつ、五筒2枚の計4枚
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喰いタンの有無
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連荘条件(東場と南場で分けた上で「不聴でも連荘」「聴牌で連荘」「和了で連荘」から選択可能)
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ドボン(0点未満で試合終了)の有無
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能力の有無
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切り上げ満貫の有無
評価点
原作のキャラクターの能力を極力再現した麻雀
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原作の個性豊かな能力が極力再現されており、対局を有利に進めることが可能。
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例えば、主人公の咲(宮永咲)は原作のように「カンをすると、高確率で有効牌をツモ」ることが出来るため、聴牌時にカンをすれば容易に嶺上開花があがれる。
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また、配牌で暗槓が出来やすく、ツモ牌も暗刻が出来やすい補正が掛かる。
 
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能力は様々であるため、キャラクターによって異なった打ち方が要求される。
 
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能力がないキャラクターもいるが、ツモ牌や配牌の補正はかかるため、能力なし同士であっても傾向が異なる。
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もっとも、補正は具体的に明言されてはいないので体感レベルであることが多いが。
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キャラクターによって能力は様々であり、キャラクターによって違った打ち方が要求される。
 
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ただ、キャラクターの性能の格差は顕著である。詳細は賛否両論点で述べる。
対局を彩ってくれるカットインやボイス
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ボイスの数は多くはないが、リーチやポン、チー、ロン、ツモの発声や、条件を満たすと原作ファンなら思わずクスリとくる名言等も喋ってくれる。
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カットインはアガリやリーチなどのタイミングで挿入される。また一定の条件を満たすことで挿入されるカットインも。
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例えば、咲のツモカットインは通常時のツモによるものの他に、嶺上開花ツモによる特殊カットインが存在する。
 
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さらに言えば、特殊な台詞も各キャラにある。咲の場合カンの場合もう一回カンすると「もいっこ、カン!」と言う、等。
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ついでに言えば、池田と片岡がうるさい……。
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残念ながら役の読み上げについては本作では未実装であり、次作で実装されることとなった。
賛否両論点
キャラによる性能格差がかなり大きい
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能力の有無をはじめとしてキャラクター同士の強さの格差はかなり大きくなっており、お世辞にもバランスが取れているとはいえない。
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能力ありと能力なしはもちろんのこと、能力あり同士であってもその強弱が顕著である。
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能力ありの中でも強いキャラクターとされるのは原作通りというべきか「咲」や「久(竹井久、部長)」「衣(天江衣)」「美穂子(福路美穂子、キャプテン)」である。
 逆に能力ありの中で弱いキャラクターとされるのは「和(原村和)」や「未春(吉留未春)」が挙げられる。
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咲は、カンをすると有効牌をツモる(テンパイしていれば高確率で嶺上開花になる)という能力だが、カンをしやすくするためか、そもそも暗刻が出来やすくなっている。上手く牌を集めてくれば四暗刻まで見えるレベル。
 そして原作と異なり、カンドラが乗ることがあるため、運が良ければドラ爆も狙えるパワーキャラ。
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久は、原作で表現されていた「悪待ち(アガリ牌の種類や数が少ない待ち)に強い」という特徴が能力化されているが、当たり牌が三種類以下でテンパイすればほぼ確実に次のツモであがれる。
 麻雀をやっていれば分かるが待ち牌が3種類以下というのは珍しいことはなく、むしろ普通であるためテンパイすれば高確率であがれるキャラと言える。鳴かなければ門前清自摸が、リーチすればその上に一発もつくので火力が高い。
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衣は原作ほどの凶悪な妨害性能は持っておらず、海底牌(最後のツモ牌)で上がりやすい能力はあるが、この能力についてはそれほど強いわけではない。
 ただ、配牌で東や南の暗刻が出来やすいため役牌で和了しやすい。また、そんなに低くない確率で同種の数牌を連続でツモることがあり、門前清一色を上がりやすい。まこも真っ青。
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美穂子は6局目以降から開眼し相手が持っている牌の種類(萬子、筒子、索子、字牌の種類)を見ることが出来る。
 この能力はそこそこ強い程度であるが、それ以上に美穂子自身の持つ配牌、ツモ牌補正が強烈である。
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逆に弱い能力とされる未春は「当たり牌を捨てようとした時、キャンセル出来る」という能力で一見すると強力だが、実際にその牌が当たり牌になっているとは限らず、能力の対象外の牌であったとしてもロンされることがあるので、結局、若干ロンされるリスクが下がるだけに過ぎない。
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そして和は「常にアシスト機能(どの牌を捨てればいいかを教えてくれる機能)を利用出来る」という能力だが、ストーリーモード「やさしい」で利用できるアシスト機能と比べ大幅に弱化している。
 当然であるが、ストーリーモードのアシスト機能と異なり、利用したからといって必ず和了できるわけではなく、放銃しないわけでもない(というより、もしそれだけの機能があれば強すぎるだろう)。
 問題なのはどう考えても悪手としか思えない手を薦めてくることがある点である。これではアシスト機能として機能しているのが怪しいどころか、むしろ邪魔になってしまうことさえある。
 
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以上は能力ありの中での強弱だが、能力なしのキャラについては原作で活躍した「ゆみ(加治木ゆみ)」を除いて基本的に能力ありのキャラよりも弱い。
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特に相手が咲などの強キャラの場合、よほど運がよくなければ勝利はまず不可能。
 
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もっとも、原作に準拠しているといえば準拠しており、ゲームとしてのバランスを重視するか原作を重視するかによって賛否が分かれるところである。
京太郎のボイスがない
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プレイアブルキャラクターとして使えないことに加え、ストーリーでも他の(女の子の)キャラクターにはボイスがあるのに対し、京太郎にはボイスがない。
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ストーリーモードで登場する場面では違和感を覚えやすい。もっとも「男キャラのボイスなんて不要」と考える人にとっては気にもならないだろうし、ギャルゲーなどを中心として男性のみボイスなし、というのはよくあることである。但し、アニメ版では当たり前だがボイスがあったため、違和感を覚えやすくはある。
 
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もっとも、そもそも原作のコンセプトとしても女の子の麻雀による戦いを描いており、本作のジャンルも美少女対戦麻雀であることからプレイアブルキャラクターでないことに対する批判はほぼ見られない。
問題点
牌が見にくい
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対局画面では左右にキャラクターのグラフィックを配置しているため、実際の対局画面が見にくくなってしまっている。
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特に牌の表示がかなり小さいものとなってしまっており、捨て牌になると余計見づらくなる。捨て牌の情報は麻雀においてはかなり重要であることを考えるとかなり残念な点である。
 
ストーリーモードが薄い
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全体的にストーリーモードはかなり断片的であり、原作を知らないと流れがほとんどつかめない。
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結果としてあっという間にストーリーモードは終わってしまうことになりがち。
 
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オリジナルストーリーもあるがやはり短いため物足りない。
一部チャレンジモードの鬼畜な難易度
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所定の条件を満たすことを要求されるチャレンジモードは課題によってはかなりの運ゲーとなる。よく話題にのぼるのがチャレンジ9と21である。
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チャレンジ9は美穂子で「約3万点の差を覆しトップとなる」ことである。美穂子自身は強いとはいえ、対戦相手は強キャラクターとして挙げた咲や衣が含まれるのでかなりの難関。
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開始時は南1局で自身が親であるが、ここで親が流れてしまうと以後、連荘が出来なくなるので非常に厳しくなる。
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咲や衣はスピードも速いので、連荘することすら容易ではない。
 
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チャレンジ21はとある隠しキャラで「持ち点1000点(他家33000点)」から1位になるという非常に厳しい内容。しかもこちらも相手には咲が含まれる。
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更に東場で強い優希もいるため、東1局でツモられ終了ということもザラにある。
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このチャレンジ21をクリアすることでとある隠しキャラクターが使えるようになるため、当該キャラクターを使いたい場合はこの課題のクリアが必須。
 この隠しキャラの能力として、ランダムに能力を使用でき、コピーする相手によっては楽になることもある。
 
 
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チャレンジモードについては次回作にも登場し、鬼畜な難易度を緩和するどころか、更なる運ゲーとして進化してしまった限界チャレンジというものがある。
麻雀のルール説明がない
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麻雀に対する詳しいルール説明はゲーム内では一切存在しない。
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一応麻雀未経験者向けと思われるストーリーモードやさしいにおけるアシスト機能や和の能力のアシスト機能は存在するものの根本的な解決にはなっていない。
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アシスト機能は初心者向けの便利な機能に思えるが、ストーリーモードのものは「何も考えずに指示通りに打てばとにかくあがれる」というものであり、普通に打つ上での最善手を示してくれているわけではない。
 既に説明しているとおり和の能力でのアシスト機能は参考になる場面もあれば、ならない場面もあり、初心者がそれを鵜呑みにするのはあまりオススメできない。
 
 
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後に発売された『阿知賀編 Portable』や『全国編』においてもルール説明は存在せず、アシスト機能自体、次作以降では登場していない。
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一応キャラゲーとはいえ、原作が麻雀漫画なのでルール説明を省いたといえなくもないが、原作読者向けの「麻雀を知らない人向けに発売された書籍」もあるので、麻雀を知らない人への配慮が欲しかったのが本音である。
 
団体戦の自由度の薄さ
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原作の対局形式である「5人が順番に対局を行いその最終結果で順位を決める」という団体戦であるが自由度は低い。
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概要で述べられている通り、メンバーは学校ごとで固定となり、混合させたドリームチームや隠しキャラの利用は不可。
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本作ではキャラクターの所属校が4つしか存在しないため、面子は完全に固定化される。プレイヤー側はオーダーの順番の変更は出来るとはいえ、それだけである。
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原作ではそれぞれのメンバーが半荘を2回対局していたが、流石に対局回数は変更可能(それぞれが東風1回とすることも可能)である。それでも団体戦はかなり長丁場。ちなみに途中セーブの機能はない。
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途中セーブが不可能というのは後の作品であっても変更はない。
 
 
総評
咲-Saki-を原作とする麻雀ということで、一般的な麻雀とは異なった能力有りの一風変わった麻雀をプレイすることが出来る。
能力をなしにすれば純粋に咲-Saki-のキャラクターを用いた麻雀ゲームとして遊ぶことも可能であり、ファンにとっては嬉しいソフトである。
もっとも、ストーリーモードの薄さや、団体戦での自由度の低さといった細かい問題点は存在しており、
キャラクターの性能差については原作準拠と考えるか、あくまでゲームとしてのバランスを重視するかによって評価が分かれるところであろう。
フリー対局ではルールの設定は可能であるが、純粋に麻雀を打ちたいだけ、ということであれば本作よりも優れた麻雀ソフトはたくさんあるのは事実である。
咲-Saki-のファンだけではなく、萌え要素や一風変わった麻雀を楽しみたいといった人にはお勧め出来るソフトである。
最終更新:2021年02月04日 10:33