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HEAVY RAIN 心の軋むとき - (2016/08/20 (土) 11:53:51) の編集履歴(バックアップ)


HEAVY RAIN 心の軋むとき

【へびーれいん こころのきしむとき】

ジャンル ミステリーアドベンチャーゲーム
対応機種 プレイステーション3
発売元 ソニー・コンピュータエンタテインメント
開発元 クアンティック・ドリーム
発売日 2010年2月18日
定価 5,696円(税別)
レーティング CERO:D(17才以上対象)
廉価版 PlayStation3 the Best
2011年3月10日/2,839円(税別)
判定 なし
ポイント 丁寧に伏線が張られた濃厚で意外性のあるシナリオ
だが矛盾多し

概要

  • 連続誘拐殺人事件を巡り、4人の主人公がその謎に迫っていくアドベンチャーゲーム。
    • 「折り紙殺人鬼」を中心に4人の視点から徐々に集結するいわゆる「グランド・ホテル」方式に似た方式を採用している。他社作品で言えば『428』に似ている。
    • 「折り紙」「日本刀」「エンコ詰め」など所々に日本要素がある。

ストーリー

愛は、どこまで貫けるのか 人は、どこまで許されるのか———。

人間の本能、本質に問いかける、大人のためのサイコ・サスペンス。
4日間の拉致後、溺死させ、その手に折り紙を残す奇怪な「折り紙殺人鬼」。
事件の真相を追う4人の主人公達は、それぞれ過酷な状況の中で様々な選択と決断を迫られていく。

その決断を、人は許すだろうか? あなたは、許せるだろうか?
「ゲームオーバー」という概念を取りはらい、すべての言動、行動の結果、そして最後の結末を、
あなたはその心で受け止めなければならない。

(公式サイト引用)

主人公

  • イーサン マーズ
    • 事故で息子を失った父親。もう一人の息子まで誘拐され、「折り紙殺人鬼」と直面していくこととなる。
  • ノーマン ジェイデン
    • 折り紙殺人事件」解決の為にFBIから派遣された捜査官。
    • 巧みな心理プロファイリングと、最新捜査ツール「ARI」を駆使して事件に迫っていく。
  • マディソン ペイジ    
    • イーサンに接触してきた駆け出しのジャーナリスト。不眠症に悩まされている。
  • スコット シェルビー 
    • 元警察官という経歴を持つ私立探偵。被害者の家族たちから証言を聞き出しつつ、事件を追っていく。

特徴・評価点

  • シナリオ
    • 4人の性別、職業、バラバラの主人公が様々な形で「折り紙殺人事件」と関わる。
    • 本格サスペンスドラマ、映画に似ており、サスペンスドラマのシナリオが忠実に再現されている。
    • 濃厚かつ、時に残虐な展開で真実を次から次へとスピーディーに進んで行き、止め時が分からなくなるほど熱中するユーザーがちらほら。
    • また丁寧に伏線が張られており、真相が判明した時に最後にはあっと驚く展開も待っている。
    • シナリオの展開もバラバラであり、会話を変えるだけ大きくEDが変わることもある。
  • 臨場感
    • The Last of Us』などでお馴染みのモデルの俳優にモーションキャプチャーを体中にセンサーをつけて動きをつけているので自然な動きになっている。
    • グラフィックは人物の皮膚感、表情すれ違う人、背景、雨しぶき、などとてもリアル。
    • ゲーム全体に流れるアメリカの秋の冷たい雨が孤独で寂しい主人公達の臨場感とマッチしている。
  • 会話
    • ムービーシーン以外でR1ボタンを押すと心の声が現れ、シナリオ展開のヒントや主人公の心の声が聞こえる。
    • また台詞も選ぶこともでき、これによりシナリオが変更する。
  • サウンド
    • BGMは緊張・哀愁など基本切ないトラックで、せつない本編と抜群に良い。
    • 日本語吹き替えの声優陣も洋画吹き替え経験が豊富な声優(俳優)揃いなので、本当に映画を気分に浸れる。
  • ゲームオーバーが無い
    • 例えストーリー中に主人公が死亡したとしても、そのまま物語が進んでいくのである。
    • そのためこのゲームにはエンディングが複数存在する。
    • その為何度もやり直しても楽しめるようになっている。

賛否両論

  • ラブシーン
    • 本作にはハリウッド映画でお馴染みにラブシーンが挟まれる。
      + ネタバレ注意
    • 主人公のイーサンがある女性と親しくなり、その女性とベッドインする。「自分の子供が死にそうになっている時にそんな事をするなんてどうなんだ」と言う意見がある。
      • アンフェア
        • ミステリー要素で一部アンフェアでは無いのか、という疑問がある。
          + ネタバレ注意
        • 時計屋マンフレッドを犯人であるスコットが殺害した後に、選択肢で「可哀想に。こんな死に方・・・ひどすぎる」と呟く。
        • この発言を犯人であるスコットに言わせるのはミスリードにしてもひどく、アンフェアであるという意見がある。
        • これについては「マンフレッドが帳簿さえ付けていなければ、こんな死に方しなかったのに」という第三者的視点からみた同情の念だという反論もある。が、なぜその場面にしたのか。
      • 感情移入しやすい操作方法
        • シーン毎に実際の人間に似た動作に応じたボタン操作が必要になる。
          • 例えば扉を開ける動作一つもわざわざスティック上押し続けるなどの操作を取る必要がある。
          • 面倒くさい手順だが物語に感情移入するのを手伝うことにもなる。
        • バトルシーンなどはQTEがあり、戦闘シーンに迫力が出ている。OTEと言っても一度失敗すると、即死亡と言うような厳しい物で無いのも嬉しい。
        • 一方R2で移動、R3で動作というあまりに不自然なボタン操作は必要なのか疑問に思うユーザーもいる。

      問題点

      • 矛盾が多い
        • ミステリーを題材にしているのだが、矛盾が多く目立つ。
          + ネタバレ注意
        • シナリオ上の矛盾
        • イーサンが金属探知機を整備されているコインロッカーで銃を受け取るのだが、それなら犯人は金属探知機を通過しないと入れないロッカーにどうやって銃を運んだのか? また、どうやってイーサンが持ち出したのか?と疑問が残る。
          • わざわざ金属探知機を描かなければよかったのでは…。
        • 二番目の試練で狭い通路をイーサンが匍匐前進しながらガラスを通るのだが、犯人であるスコットの体型で発電所のパイプにガラス撒くのは無理がある。
        • ジェイデンが警察に捕まったイーサンを逃がす展開があるのだが、それついてはお咎めを受けるような描写がない(録画カメラを切らなくても)。
        • 四番目の試練でイーサンが麻薬の売人を殺害しても、特にお咎めを受けるような描写がない。
        • 設定の矛盾
        • スコットは2年前にジェイソンを命がけで守ろうとしたイーサンをモールで目撃して折り紙殺人を思いついた、と述べているが、犯行は3年前から始まっている。
        • スコットは説明書や本編で48歳と伝えられるが、EDの墓石には(計算すると)44歳であると刻まれている。 
        • またスコットが48歳ならば少年時代のシーンが18歳になるのだが、そのシーンの登場する少年が18歳にはとても見えない。声も変声期ではない。*1
      • 明かされない伏線
        • イーサンの記憶喪失時に折り紙を握っていることと水死体の記憶の真相、マディソンの不眠症(悪夢)など。
        • 他にも何故犯行が線路の近くなのか、最後まで語られない。
      • プレイ時間が少ない
        • 一周が大体10時間程度で少々物足りない。なら上記の伏線を回収したら良かったのでは…
      • 周回が面倒くさい
        • セーブは1個のみでコピー出来ないので、途中から展開を変えるということが出来ない。
        • チャプターとシーン選択は出来るがスキップ機能が無いため周回が面倒。
        • 途中のシーンの内容を変更して、いきなりシーンを終盤からプレイしても内容は変わらず、死亡したキャラを生存させた場合等、途中シーンを変えた場合はずっとそこからプレイするしかない。
      • フリーズが多い
        • 2010年2月26日に公式サイトより、ゲームプレイ中の不具合としてフリーズ現象及び再起動後のゲーム再開が出来なくなる現象が発表された。
        • こちらはバージョン2.00で改善された。
      • 選択肢が分かりづらい
        • 複数の選択肢を超短時間で選択しなければならない。
        • しかも文字は小さく白色で背景に紛れやすく、キャラクターの周囲を揺れ動きまともに読めない。
        • また海外と日本とでは「○」と「×」ボタンの概念が違うせいで、OK!という選択肢が「×」になる。
      • 規制
        • 女性の乳房やラブシーンなどが一部規制されている。
      • 子供の笑い声が少々不気味
        • イーサンが息子と遊ぶ時の笑い声が少々不気味という意見もある。

      総評

      洋ゲーには珍しいミステリーを題材にしたゲーム。
      雰囲気もよく、シナリオもよく練っており本格ミステリー味わえる作品。
      だが矛盾や明かされない伏線も多く、シナリオメインのゲームでは良作と判定を出すのは難しい出来である。