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ウィザードリィII リルガミンの遺産 - (2017/02/25 (土) 23:02:32) の編集履歴(バックアップ)


ウィザードリィII リルガミンの遺産

ジャンル RPG
対応機種 ファミリーコンピュータ
メディア 2MbitROMカートリッジ
発売元 アスキー
開発元 ゲームスタジオ
発売日 1989年2月21日
定価 6,500円
判定 良作
Wizardryシリーズリンク


ル’ケブレスの言葉
しかと聞くがよい
この先、善きもののみにても
悪しきもののみにても
勝利を得ることはない!

(1階にあるメッセージ)


概要

シナリオ3『Legacy of Llylgamyn』の、FCへの移植。初代と同様にゲームスタジオ担当。

  • FC版ではシナリオ#2と#3の順序が入れ替わっている。このため、本作は『II』と銘打っているが、原典では『#3』にあたる。(以降、原作版に関しては#表記を用いる)。
    • これは原典の『#2』が単独では難易度が高く、またプレイ環境も厳しくなることから、時間を掛けた調整が必要だとメーカー側が判断した為。
      • 元々『#2』は『#1』のキャラクターを引き継いでプレイすることを前提に設計されていた為、序盤から新規キャラクターで冒険するようなゲームバランスにはなっていない。
      • また、FC版にこの引継ぎ前提仕様をそのまま持ち込むと、前作『I』のソフトと外部データ記憶装置(ターボファイル)が必須となってしまう。「それではハードルが高くなりすぎるのではないか?」との判断により、あえて『#2』を後回しにして先に『#3』を移植したのである。

ストーリー

古の危機から時も経ち、栄華を極めていたリルガミン。
しかし近頃は度重なる天変地異に見舞われ、国土が疲弊していた。
この天災の真の理由を解き明かす為には、ル’ケブレスなる竜が守る神秘の宝珠が必要である。
宝珠を得る為に呼び集められたのは、かつての英雄の子孫達や、勇敢なる新たな冒険者達。
彼らは宝珠を求め、神秘の山へと挑む…。

システム

  • 基本的なゲームシステムは『I』に準じる。
    • 最大6名のパーティーで、一人称視点の3D迷宮を攻略していく。
  • FC版では『I』からキャラクターを転生させることが可能(先述のターボファイルが必要)。
    • 転生キャラクターは、職業は転生前と一緒(性格は再度決め直す)。LVは1、年齢は20歳になり、能力値は引き継ぐが15以上あっても15からの開始となる。
    • 最大の利点は強さそのものよりも、「『I』で使った愛着のあるキャラを、クリアした称号と共に引き継げる」事かもしれない。
  • キャラクター作成時の初期ボーナスは、本作では最大値が多めに設定されている。
    • 最高で60近くという破格の値が出ることもある。必要特性値が高く通常は初期作成できないロードや忍者も、本作ではいきなり作る事が可能。
  • モンスター名に関しては、原典であるApple II版にほぼ忠実になっている。
    • 先行移植されていた国産PC版『#3』では、一部モンスターの名称と見た目が差し替えられていた*1。しかし本作ではそれらが差し戻されている。
      • 但し、何故か「ドゥームビートル」だけは国産PC版の差し替えに準拠している(Apple II版では「ジャイアントアント」)。

評価点

  • FC版『I』譲りのグラフィックと操作性
    • これらについては『I』の評価を参照されたし。本作でもこれらの良点は健在で、美麗に描かれたモンスター相手にストレス無く戦うことができる。
  • システム面の改善
    • FC版の『I』では名前に使える英字は大文字だけだったが、本作では小文字も使えるようになった。
  • 適度なアレンジ
    • 原典の『#3』では、敵の弱さに準じて得られる経験値も低かったが、本作では経験値の引き上げが行われている。
    • 原典の『#3』には強力な装備が無かった(大部分が+2相当止まり)が、本作では「村正」「手裏剣」「聖なる鎧」(いわゆる「三種の神器」)などが追加されている。
    • 原典では特定地点において入力式の謎解きがあるが、これを「キーアイテムを所持していれば通過できる」方式に変更。
      • なお入力式の謎解きの実装はSFC版の『V』まで待つことになる。

賛否両論点

  • 敵の強さが控えめ
    • 『#3』の特徴として、序盤の厳しさは相変わらずなものの、終盤になっても敵の強さのインフレは抑えられている。おそらくシリーズ中で最もインフレの無い作品であろう。
      • 例えば『I』のドラゴンはブレスだけでなく強力な攻撃魔法も使う強敵であるが、本作のドラゴンは魔法を使ってこない。
      • 『I』において有名なグレーターデーモンは「タフで攻撃力も高く、強力な攻撃魔法も使い、かけられた魔法はほぼ無効化、更に仲間を呼ぶ」ものが「最大6体」で登場するという容赦の無さだが、本作で同様の能力を持つアークデーモンやアークエンジェルは「1体」と控えめである。
      • 他にも「一度の攻撃で何LVもドレイン」する敵もいないし、僧侶系モンスターも「ラバディ*2」を使ってこない。最終階だと「クリティカルヒット(首刎ね)」や「石化」を繰り出してくる敵も各1種類だけであり、それらは他の特殊攻撃をしてこない。
    • これを遊び易いと取るか、歯ごたえが無いと取るかは人それぞれであろう。インフレが加速していく後作とは真逆の立場の作品である。

問題点

  • 性格によるフロア制限
    • 『#3』の特徴として、キャラクターの性格により進入可能な階層が制限されている。このため、必ず善と悪の2つのパーティーを組んで攻略しなければならない。
      • 2階と4階は善パーティーで(悪は入れない)、3階と5階は悪パーティーで(善は入れない)攻略する必要がある。そして、両方の階層を攻略しないとクリアは出来ない。
    • 制限を受けない中立キャラを中心としたパーティーであれば、メンバー入れ替えを極力控えて双方の階層を攻略することは可能。
      • 但し中立キャラには「僧侶魔法を使える職業に就けない(=回復魔法を使えない)」という重大な問題がある。少なくとも回復担当は善悪2キャラ必要となり、通しで参加できる中立メンバーより成長が遅れてしまう。
    • ギミックとしても単なる入場制限でしかない。あまり評判が良くなかったのか、後作にはこの要素は引き継がれなかった。
    • なおクリア時の称号とクリア経験値に関しては、2パーティーとも得られるように配慮されている。(クリアパーティーの他に6名、称号を得るキャラを選択できる)

総評

適度なアレンジで遊び易さに配慮した良移植。
システム面でも、FC版での前作の利点を引き継ぎつつ、着実な改良も加えられている。

元々シリーズ中では難易度が控えめなシナリオである。
たまには後作のインフレからしばし離れて、のんびり遊ぶのもよいのではないだろうか。