//「クソゲー扱いされやすい名作・良作カテゴリ廃止」に伴う仕分け議論にて、ゲームカタログ移転が決定しました。 #contents ---- AC版について「[[修正依頼]]」が出ています。対応できる方はご協力をお願いします。 ---- *スペランカー (FC) 【すぺらんかー】 |ジャンル|アクション|&amazon(B000068HGC)| |対応機種|ファミリーコンピュータ|~| |メディア|320KbitROMカートリッジ|~| |発売元|アイレム|~| |開発元|アイレム、トーセ|~| |発売日|1985年12月7日|~| |配信|バーチャルコンソール&br()【Wii】2007年8月28日/500Wiiポイント&br()【3DS】2012年12月19日&br()【WiiU】2013年4月27日/上記共に500円|~| |判定|なし|~| |ポイント|ファミコンゲームの中でも1,2を争うほどの虚弱体質な主人公&br()それゆえに愛されるようになった主人公&br()操作性は悪く激ムズ&br()が、実は死にやすさもバランス取りの一環&br()佳作と呼べる出来だが、世間一般からクソゲーと見なされる悲しい現実&br()その知名度(?)からリメイク作まで発売|~| |>|>|CENTER:''[[スペランカーシリーズ]]''| ---- |&ref(sp1.jpg)&br()|&ref(sp2.jpg)&br()| **概要 本作はもともと1983年に米国のマイクロ・グラフィック・イメージ社がATARI-8bitプラットホームで発売したソフトであり、日本で知られているファミコン版は、そのライセンスを取得したアイレムがリリースしたものである。 ゲームは洞窟を探検する2Dアクション。洞窟の中には様々な仕掛けやカギ付き扉があり、主人公は落ちているアイテムを集めながらそれらを突破していく。 **特徴 -一番の特徴は、主人公が''とても弱い''点。 --蝙蝠の糞を浴びただけで死亡。 --爆弾を設置する際は、ある程度距離を取っていないと爆風に巻き込まれて死亡。((爆風の有効範囲は意外と広く、十分に間合いを空けたつもりでいても死んでしまうケースが多い。)) --自分で投げたフラッシュに接触して死亡。 --マシンガンを乱射しすぎると、エネルギー切れで死亡。 ---エネルギー切れで死んだ際は帽子を顔にかぶせた特殊なグラフィックで死亡するが、たいていの場合は''それ以外の要因でお亡くなりになる''為、このグラフィックを拝むのはなかなか珍しかったりする。 --たまに出没する幽霊に触れると死亡。倒して成仏させても、まだ消滅しきっていないドット絵にうっかり触れてしまうと死亡。 --自分の身長ほどの深さの穴に落ちて死亡。 ---「落下死」を「落下して地面にぶつかった瞬間」ではなく「一定距離落下した時点」で判定する仕様になっているため、''まだ落ちきっていなくても死んでしまう''こともしばしば。 ---主人公の身長はドットに換算すると16ドットであり、耐えられる高さは14ドットまで。これを1ドットでも超えたら死亡。&brつまり、下り坂でジャンプすると死亡。((現実的に見れば割と急勾配ではあるが、それにしても…)) ---噴水リフトの降下中にジャンプしても当然死亡。 --ロープから飛び移れずに死亡。 --''ゲームスタート直後に歩いて床の上に移動しようとすると、ゴンドラから落っこちて''死亡((たしかにゴンドラと洞窟の床との間には微妙に隙間があるがまさかその隙間にはまって死ぬとは思わず、多数のプレイヤーが先制パンチを食らわされるハメになってしまった。))。 ---ちなみに「エレベーター下降中にジャンプすると落下判定で死亡する」というのはガセネタ((実際にはジャンプとエレベーターの操作は同時に行うことができない。ジャンプ中はエレベーターが止まってしまう。))。&br;同じように落下死亡があった他のゲーム(例えば[[ドンキーコング]]は3面の下降エレベーターで実際にマリオが死ぬ)あたりとの混同か、&br;「主人公が弱い」という評判だけが一人歩きした結果、いつしかゲーマーたちの間に都市伝説として定着してしまったものと思われる **問題点 -操作性が悪い。 --死にやすいゲームであるが故に、結構辛い問題である。特に、ロープから飛ぶときにAボタンのタイミングが合わず垂直落下する姿は、もはやお約束。 --ゲーム中に主人公が高速化する隠しアイテムがあるが、これを取ってしまうと主人公が制御不能な速さで動くようになり、かえって死にやすくなる。 --足の速さやジャンプ力も、このテのアクションゲームのキャラとしては低いほう。また、ジャンプは軌道や高さを調整できないタイプで、ジャンプ中の空中制御もきかない。 ---肯定的な見方をすれば、「現実の人間に近い」と言えなくもないかもしれない。 **評価点 -これまで挙げてきた点を全て本作の正常な仕様と受け止め、セオリーを理解さえすれば、迂闊な行動を許さない歯応えのあるアクションゲームとして楽しめる。ゲーム設計は決して理不尽なものではなく、プレイヤーの経験・テクニックの向上に応じて攻略も進むバランスになっている。 //--不運だったのはこのゲームが発売する三ヶ月前に、任天堂からもはや説明不要の伝説のゲーム『スーパーマリオブラザーズ』が発売されたこと。当時のほとんどのファミコンユーザーはアクションゲームをマリオ感覚で遊んでおり、スペランカーの主人公の死にやすさは理解しがたいものだったのだ。 //過去スレにて「マリオをプレイした後にコレをプレイするとクソゲーとなる」とのレスがあったので追加しました。 //↑過去スレの一意見を拾って「当時のほとんどのファミコンユーザーはアクションゲームをマリオ感覚で遊んでおり~」というのは拡大しすぎでは。検証できることでもない。 **総評 本作独特の操作性を理解できない事には、理不尽ゲーorクソゲーと思われても致し方ないのは現実である。習熟する前に挫折するプレイヤーも多かった。~ しかし、実は極めると遊べないこともない佳作で、その知名度からネットでは最速動画やら256周クリアやら得点カウントがオーバーフローして0点に戻る瞬間映像やらが出回っている。そういった部分から見ると、「単なるクソゲーでは片付けられない、一言では表わせない魅力も持ち合わせている隠れた名作ゲームであるのでは?」ともいえる。~ もっとも、現在においてはすっかりクソゲーのイメージが定着してしまっている為、多くの人がもっているであろう「スペランカーはクソゲー」という認識は覆らないと思われる。 好意的に考えれば、坂道でジャンプしただけでご臨終になる姿、身長ほどの穴に落ちて死ぬ姿、必死にコウモリのウンコをかわす姿は、ある意味おバカで微笑ましい(?)。~ 結果的に本作の主人公は虚弱さのアイコンとして認知されてファミコン世代の定番ネタとして定着し、ゲーム以外のメディアにも進出して愛でられ続けている。 **余談・その後の展開 -「電撃(マ)王」で本作の専用コーナーが生まれた。「スペランカー=主人公が異様に虚弱体質で難しいゲーム」「クソゲーの帝王」というイメージ定着の一端を担っている。 --本作を「虚弱の代名詞」としてネタに使用する例は多く、例えば漫画『ハヤテのごとく!』や『銀魂』でも見られた。 -アイレムの公式ホームページのコンテンツ「ふる里4コマ小唄」では、数回の更新毎に本作の主人公がモデルのスペランカー先生というキャラが活躍するネタが描かれていた。&br()身体能力こそ本作ほど酷くはない(むしろその場で自分の身長ほどもジャンプできるなど人間離れした能力ともいえる)が、何かにつけて死ぬ虚弱体質ぶりは相変わらずである。&br()なお、2009年に書籍化(コンテンツの書籍なのでスペランカー先生以外も掲載されている)され、2011年にはアニメDVDが販売されている。 -2011年12月16日、スペランカーシリーズでの日本の販売権はTozai Gamesに移管された。 --その後、後述するAC版を含む移植作品をまとめたオムニバスソフトPS3『スペランカーコレクション』にもオリジナルのATARI-8bit版と共に移植される事が決定。 -Wiiのバーチャルコンソールでは、一時的にではあるが、本作が『[[スーパーマリオブラザーズ]]』を抑えてDLランキング1位になった事がある。 -「洞窟探検家」を意味する英単語の内、「caver」は「きちんと準備して行く本格派の人」、''「spelunker」は「大した装備も無しにホイホイ軽はずみに潜って行くような人」''といったニュアンスがある。spelunkerとは聞き慣れない英単語であるが、このゲームの本質を一言で見事に言い表していると言えよう。 -続編に『[[スペランカー2 勇者への挑戦]]』があるが、こちらはもはや別物といった作品になっている。 -プレステ3においてオンライン対応のリメイク作品『[[みんなでスペランカー]]』がダウンロード配信されている(こちらはオンラインモードが楽しいと概ね好評である)。 -バンナムのAC作品『太鼓の達人11』に本作http://www26.atwiki.jp/gcmatome/pages/13.htmlのBGMのメドレーが収録され、「メインテーマの''開始直後に死亡ジングル''」、「死亡ジングルの間だけゴーゴータイム(本来サビなど盛り上がる所に入る、得点が増える地帯)になる」、「最後も''連続死亡してゲームオーバー''」と、このゲームの主人公の死にやすさをネタにした曲・譜面構成となっている。 //2013年1月17日にPS3でリメイク完全が配信された -スポーツ選手などが故障した場合に「スペる」と呼ばれたり、頻繁に故障する選手を「スぺ体質」と呼ぶ事があるが、このゲームの貧弱さが元ネタとなっている。もはや''スぺ''の二文字ですべてを言い表せるほど知名度が高いともいえるが --関係あるのかどうかはわからないが元ロッテの諸積選手のヒッティングマーチに本作のメインBGMが使用されていた事があった。 ---- *スペランカー (AC) |ジャンル|アクション|~| |対応機種|アーケード|~| |発売元|アイレム|~| |稼動開始日|1986年|~| |判定|なし|~| |ポイント|''虚弱体質が改善され、バリバリと敵を倒す先生''&br()FC版をベースにしているが変更箇所が多い|~| **概要(AC) ファミコン版の翌年にアーケード版がリリース。しかし、そちらと比べ知名度はかなり低い模様。FC版と同様に残機制の即死アクションゲームだが、ゲーム性に大きな変更が加えられた。~ 鍵と宝を集めつつ、どんどんと洞窟の深部に進んでいくといった基本部分と同様だが、虚弱体質だった先生が、高い段差から落ちても''ダメージを受けるだけで即死にはならず''、大幅なドーピング(?)が施された。~ 一部プレイヤーからはこの強化に対し、「こんなの先生の皮をかぶった何かだ!」と突っ込まれている。~ しかしながら、何もしなくてもライフがどんどん減少していくという副作用(?)があり((FC版でも徐々にエネルギーが減っていったが、無くなる前に事故死する事が多いため、あまり注目される事はない))、ファミコン版以上に急ぎプレイが要求される作りとなっている。~ **ファミコン版からの変更点(AC) -ファミコン版では''15ドットの高さから飛び降りるだけで死んでいた''が、先述の通り、飛び降りている間は制御が出来ずに着地時に一定時間気絶するだけで死亡しない。 --どれほど強化されたかというと、ステージ1の一番上の階層から一番下まで飛び降りてもピンピンしていると言えるほどの強化ぶりである。1.5メートルの坂道で死んでいた人が''500メートル飛び降りても無事''という超人的な肉体を手に入れた。 ---深度を現すパラメーターが追加されており、現在何メートルまで下りているかがわかるようになっている。 -開始時に''ゴンドラに引っかかって死亡''する事も当然なくなり、見た目通りに歩いて降りられるようになっている。先述の強化も相まって、アクションのミスによる死亡がほぼなくなった。 --FC版では問題となっていたロープからの飛び移りも改善されており、ロープにつかまっている最中に左右にキーを入れると、(一定時間なら)飛び下りずに固定される為、安全にジャンプできるようになった、しかし、キーを入れない場合は徐々に下がるといった変更点も見られる。 -幽霊以外にはさっぱり役に立たなかったエネルギーガンは「エネルギーを消費せず」に直接弾を発射して敵を攻撃する形になり、幽霊以外の敵でも一定時間怯ませるか、直接倒せるといった超強化が施されている。 --このため、AC版のスペランカーはFC版に比べて異様に逞しくなってしまい、FC版を知る人からは寂しく映ってしまう事になってしまった。 ---また、FC版に存在していた「フラッシュ」はカットされた。 -スペランカーの外見も赤鼻で口ひげを生やしておりイメージが変わっている他、BGMや効果音もすべてFC版から変更されており、面影はあまり残っていない。 -死ににくくはなったものの、敵やトラップに接触したり、自分の設置した爆弾に巻き込まれると一発死してしまう。 --敵のバリエーションや行動パターンはFC版に比べて非常に豊かになっており、蝙蝠がスペランカーめがけて急降下してくる等の変更も見られる。このように%%敵が何もしなくてもプレイヤーが勝手に死んでいた%%FC版とは違って、本気でスペランカーを殺しにかかってくるような動きをしてくる。 ---主なゲーム性は時間経過で徐々に減っていくエネルギーを各所においてある回復アイテムで補充しつつ敵の攻撃をかわして先に進むというオーソドックスなアクションゲームになった。 **評価点 -グラフィックの大幅パワーアップ --やはりアーケード版であるのでFC版とはスペックが違い、洞窟の背景などのグラフィックが描き込まれている --主人公や敵のグラフィックもかなり大きめに描かれており、表情などの細部がわかるようになった。 ---主人公が壁やゴンドラにぶつかって跳ね返されたり、気絶するなどお茶目なアクションも追加されている。 ---エンディングもAC版の独特のものに変更されており、その際のグラフィックも描き込まれている。 -システムの変更によって敷居が下がった --先述の通り、先生の強化やロープアクションの改善によってFC版ほどシビアな操作をしなくともよくなった。 ---エネルギーガンもFC版では射程距離がわかりづらかったが、AC版では直接弾をあてる形に変わったので見た目にもわかりやすい。 -謎解き要素 --特定の地点を通る事で隠し通路やロープが出現し、ルートが分岐する場所が多い。一見すると取れなさそうな宝箱も特定の地点を通過するなどで取れるようになる、ショートカットが出来る等の抜け道が多数用意されている。 **問題点 -ハマり要素がある --ゴンドラから飛び降りて最下層まで落ちてしまった時など、戻る事が不可能になってしまい鍵が手に入らない事によって先に進めずに詰みとなる。 --コンティニューは可能だが、ハマってしまった場合は潔くゲームオーバーになって最初からやり直すハメになる。 -難易度が高い --敵のロジックがかなり嫌らしく、最初のステージから攻撃射程範囲に入った瞬間に避けられない速度で火を吹いてこちらを瞬殺してくるような敵が出現する ---どの敵も全体的に、殺せると判断したタイミングで即座に攻撃に入り、ほぼ確実にこちらの命を奪ってくる。対処法を知らなければあっという間に屍を重ねる事になる。 --また、エネルギーの減少速度はかなり早いのでゆっくりと敵の様子を窺ったりマップを探索する事は出来ない。 -BGM、SEの総差し替え --FC版での印象的なメインテーマ、幽霊出現のBGM、%%死んだ時の音%%等の全てが差し替えられてしまったので同名の関連作品としてみても全くの別物になってしまった。 ---クオリティそのものが悪いわけではないのだが「スペランカーといえばこの音」と言えるものが変更されてしまったのでらしさが消えてしまった。 ---マップやルールはFC版をベースにしている為に面影が残っており、全くの別物と割り切る事が出来ないのももどかしい点でもある。 **総評 -全体的に見れば完成度が低いわけではなく、当時のアーケードゲームでも標準的なアクションゲームだが、やはりスペランカーの最大の特徴である''虚弱体質な死にゲー''という部分が変えられてしまったために印象が薄くなってしまった感は否めない。~ ただ、この部分に関しては[[開発者による解説>http://tozaigames.co.jp/collection/comment.html]]によると、「100円を投入してもらい、いかに最低3分間は楽しんで頂くかを考えた」「コンソール版のシビアな判定のままでは、人によっては100円が5秒で無くなってしまう」とのことでコンセプトの違いによる物である。~ 実際にこの変更により、いきなりわけもわからずにアクションで死んでつまづくという事はほとんどなくなり、敵の凶悪な攻撃に対処しつつ洞窟を探検するという楽しみ方が出来るようになった。~ しかし、変更部分があまりにも多いためにFC版を知る人からは受け入れられない人も一定数おり、アクションゲームとしても傑出した出来とはいかない為、FC版と比べてマイナーな存在になってしまった。 **余談 -この時期のたいていのゲームはアーケード版が発売された後にコンシューマー版に移植されるという形が多く、その際にインカムの都合上、アーケード版では難しくしていた部分をプレイしやすいように調整して遊びやすくなるのが常だったが~ このゲームは全くの逆のパターンになっているという珍しいケースでもある。もっとも、本作の難易度そのものはFC版と同様に高いのだが~ -FC版同様に本作の続編に『スペランカーII 23の鍵』が存在。システム面は本作と同様だが、「スケボーで滑る」や「泳ぐ」等アクションの追加や仕掛けの増加等により、全体的に前作よりも難易度は上昇している。~ 近年まで移植されず、半ばレアな存在となっていたが、スペランカーの各種移植版をまとめたオムニバスソフトPS3『スペランカーコレクション』にて続編と共に念願(?)の移植がされた。