「頭脳戦艦ガル」の編集履歴(バックアップ)一覧に戻る

頭脳戦艦ガル - (2017/07/24 (月) 08:32:10) のソース

*頭脳戦艦ガル
【ずのうせんかんがる】
|ジャンル|スクロール・''ロールプレイングゲーム''(''自称'')|&image2(garu.JPG, width=160,http://www.amazon.co.jp/dp/B000068HZJ)|
|対応機種|ファミリーコンピュータ|~|
|メディア|512KbitROMカートリッジ|~|
|発売・開発元|デービーソフト|~|
|発売日|1985年12月14日|~|
|定価|4,900円(税別)|~|
|判定|BGCOLOR(khaki):''ゲームバランスが不安定''|~|
|ポイント|最初がクライマックス&br()RPGじゃない&br()超忍耐ゲー|~|
----
#contents(fromhere)
----

**概要
ファミコン初の''RPG''を称したゲームとして有名な''STG''。ED条件が厳しすぎ、難易度も高すぎと言われ、クソゲーというイメージも強い。~
戦闘機「ジスタス-21」を操作して、縦方向にスクロールするステージを進みながらショットで敵を撃退していく。~
地底・コア・宇宙の3種類に分類されるステージで「パーツ」を集め、最終ステージに現れる宇宙空間制御装置"ドラッグ"を破壊することが目的。~

**システム
-基本的な縦STG。
--倒した敵の数によりパワーアップする。パワーアップは4段階。
---第一段階はミサイルの連射が可能になる。第二段階はミサイルの強化。第三段階は左右の斜め前にも打てるようになる。第四段階は斜めミサイルの強化。
--ミスをするとパワーアップが一段階落ちる。
--地上構造物もあるが、空中、地上の敵共々、ミサイルで破壊できる。

-ステージは地底・コア・宇宙の順に進む。各ステージは複数のエリアで構成される。宇宙ステージをクリアすると、地底ステージに戻る。
--ワープキャラが出現する事があり、これに触ると次のステージに行ける。

-各エリアにあるパーツを100個集めると、宇宙ステージ最後にラスボスが現れる。

**問題点
-ステージ構成に問題がある。
--最初は地底ステージだが、これが大問題。実は3ステージ中、最も難しい。
---やや狭く入り組んだ地形をしており、自機のスピードが素で結構速いのもあって壁に激突死しやすい。しかも壁の砲台からも攻撃を受ける。このステージはエリアを突破する度に分岐が待っているのだが、実はこれ、右に行くほど難しく左に行くほど簡単。これに気付かないでプレイ開始時から右に行き続けると、最弱状態で最難関へ挑む事となる。本作がクソゲーと言われてしまった原因の一つに、この難易度が高くなってしまう構成がある。
--コアステージに進行不能なバグ。
---コアステージのみ「ステージ終盤でミスしても次の面に行く」と言う特性がある。…のは良いのだが、最後のコアステージでこの仕様が発動すると、宇宙ステージに行かずバグコアステージに行ってしまい''フリーズする''。
---出荷時期は不明だが青カセットROMが存在しており、このバグが修正されている。

-100パーツ集めがまさしく苦行。
--前述の通り、ラスボスと会うには、1エリアに1つあるパーツを''100個''集める必要がある。しかしエリアは''全部で30''。
--つまり4周しなければエンディングに辿りつけない仕様であり、しかもラスボスは地上構造物で、初見では分かりにくい。さらに倒し損ねると、最初のステージに戻されてしまう。
---パーツ10個分に相当する隠しアイテムを取れば多少は楽になる。それでも最低3周は必要だが。
--そして多大な苦労の割には、全部で2画面分の文字がスクロールするだけの簡素なエンディング。時代と言ってしまえばそれまでだが、少しはユーザーのことを考えてもバチは当たらなかったのではないだろうか。

-不快感の強いBGM。
--ステージBGMはメロディの面白さはあるが20秒でループするうえ、強弱が全くついておらず、それでいて高音の強い音質のため耳障り。
--タイトルBGMはメロディにソ#が使われているのにベースがラ⇒ソと変化する(音が半音でぶつかり合う)ため、不協和音と受け取られ易い。

-コンティニューがない。
--当時としては珍しくなかったとはいえ、100パーツ集める必要がある本作では話が別。

-RPGじゃない。
--誰がどう見てもただのSTGだが、何故かRPGを称している。
--とは言え元々「ロールプレイングゲーム」は、和訳すれば「役柄を演じる遊戯」である。そのため「ストーリーやキャラの設定」があり、「自分がその中の何らかのキャラを受け持つ」ゲームならば全て該当すると言えないこともない。……それでもシューティングゲームというジャンルはとっくに名称・定義共に固まっていたので、素直にそう名乗らせなかった事は誰でも疑問に思うところだろう。
--デービーソフトは元々PCソフトメーカー。そのPCでは、本作発売時点でRPGがいくつも出ていた。PCソフトメーカーであるデービーソフトは、RPGの意味するものを分かっているはずなのだが……。

-意味のよく分からないタイトル。
--「頭脳戦艦ガル」とは自機でもラスボスでもなく、自機を搭載した母艦の名前だったりする。更にはゲーム上には全く出てこない。

**賛否両論点
-実を言うと個々の場面を抜き出せば、シューティングゲームとしての難度そのものはそこまで高くはない。
--パワーアップ(唯一のRPGらしい要素)していれば敵に当たってもペナルティは1段階パワーダウンだけで済むルールだし、シューティングゲームとして見ると(前か斜めかどちらかにしか撃てないミサイルがやや使いづらいものの)時代相応の悪くない出来。
--周回プレイも新たな敵が現れるが、個々の敵自体は強化されない。
--斜めショットが撃てる状態でBを押しながらAを手連射すると前方・斜め同時に撃てる裏技がある。
--一応無敵コマンド(ただし壁接触はミスになる)が用意されているが、パーツは集めなくてはならないので…。

**評価点
-スクロール、自機の動きがスムーズ。当たり判定も正確でその辺りの理不尽さはない。
--パワーアップ時の連射速度はかなり早く、敵を倒す爽快感はそれなりにある。また、ミサイルが強化された二段階パワーアップ以降は、プレイが大分楽になる。
--自機の二連ショットは左右がそれぞれ独立して処理されている(当時は『エグゼドエグゼス』など、二連ショットに見えても実際は一発として処理されているゲームが多かった)。
---但し、逆にそのせいでクリーンヒットさせないと硬い敵がなかなか倒せず、攻略が困難になる状況もある。

-この頃のシューティングゲームは無限ループが普通だったこともあり、「基本周回プレイにプラス要素としてエンディングが付加されている」とポジティブに見る人もいる。

//**本当にクソゲーか?
//-本作をクソゲーとする論拠をそれぞれ当時の他ゲームと比較した上で、[[「『頭脳戦艦ガル』はクソゲーレビューサイトで嘲笑される程の酷いゲームではない」「良い評価は得られなかった、あくまで『佳作』である」>http://ripgamer.web.fc2.com/column/txt_galg1.html]]とする意見もある。

**総評
RPGと称している、100パーツ集めるという気の遠くなるような目標、意味不明のタイトル、最初のステージが一番難しいなど、何かと悪目立ちする要素が多い本作。おかげでクソゲー呼ばわりされてしまい、ネタとしても扱われる始末。だが言われるほど、酷いゲームではない。もっとも、これら悪目立ちする点がなかった場合、凡百の一つとして埋もれていた程度でもあるが。

**余談
-デービーソフトは本作発売の1週間前、シューティングゲーム『高機動戦闘メカ ヴォルガードII』を発売している。こちらはマイナーながらも評判は悪くないようだ。
--なお、その前作にあたる「ヴォルガード」は当時のパソコンゲームとしてはヒット作である。家庭用が存在しなかったのでマイナー作品とも言えるが…。

-「クソゲーと言う言葉を初めて作った人」とされているみうらじゅんは、1998年発行の『仰天 B級ゲームの逆襲』にて1番クソだと思ったゲームとして頭脳戦艦ガルを挙げている。

-また、作曲家すぎやまこういち氏が「音楽は無い方がよい」と批判したことも知られている。

-日本のコンピューターRPGイメージを決定付けた『ドラゴンクエスト』(DQI)の発売は、本作より半年ほど後の86年5月のこと。チュンソフトの中村光一氏は本作がRPGと謳ったせいで「ドラクエがファミコン初のRPGになれなかった」と語ったことで有名(ただし、もしそれが無くとも『[[ハイドライド・スペシャル>http://www26.atwiki.jp/gcmatome/pages/1888.html]]』がDQIの2ヶ月前に発売されていたのだが)。((更にFC版『ドルアーガの塔』をアクションゲームではなくRPGとカウントするなら本作の4ヶ月前に発売されている。))

-同類のシューティングゲームに『[[キングスナイト>http://www26.atwiki.jp/gcmatome/pages/675.html]]』がある。

----
-参考資料…[[げーむのせつめいしょ(仮)>http://www.geocities.jp/frnyanko/setsumei/famicom/zunousenkangalg/zunousenkangalg.html]]