頭脳戦艦ガル
【ずのうせんかんがる】
ジャンル
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一般
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シューティング
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公称
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スクロールRPG
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対応機種
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ファミリーコンピュータ
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メディア
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512KbitROMカートリッジ
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発売・開発元
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デービーソフト
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発売日
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1985年12月14日
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定価
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4,900円(税別)
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判定
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ゲームバランスが不安定
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ポイント
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最初がクライマックス RPGじゃない 超忍耐ゲー
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概要
ファミコン初のRPG(ロールプレイング)を称したゲームとして有名なSTG(シューティング)。ED条件が厳しすぎ、難易度も高すぎと言われ、クソゲーというイメージも強い。
戦闘機「ジスタス-21」を操作して、縦方向にスクロールするステージを進みながらショットで敵を撃退していく。
地底・コア・宇宙の3種類に分類されるステージで「パーツ」を集め、最終ステージに現れる宇宙空間制御装置"ドラッグ"を破壊することが目的。
なおタイトルの「ガル」は自機でもラスボスでもなく、自機を搭載した母艦の名前である。更にはゲーム上にはエンディングのクリアメッセージに名前しか出てこない。
システム
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基本的な縦STG。
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倒した敵の数によりパワーアップする。パワーアップは4段階。
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第一段階はミサイルの連射が可能になる。第二段階はミサイルの強化。第三段階は左右の斜め前にも打てるようになる。第四段階は斜めミサイルの強化。
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ミスをするとパワーアップが一段階落ちる。
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地上構造物もあるが、空中、地上の敵共々、ミサイルで破壊できる。
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ステージは地底・コア・宇宙の順に進む。各ステージは複数のエリアで構成される。宇宙ステージをクリアすると、地底ステージに戻る。
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ワープキャラが出現する事があり、これに触ると次のステージに行ける。
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各エリアにあるパーツを100個集めると、宇宙ステージ最後にラスボスが現れる。
問題点
ステージ構成に問題がある
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最初は地底ステージだが、これが大問題。実は3ステージ中、最も難しい。
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やや狭く入り組んだ地形をしており、自機のスピードが素で結構速いのもあって壁に激突死しやすい。しかも壁の砲台からも攻撃を受ける。このステージはエリアを突破する度に分岐が待っているのだが、実はこれ、右に行くほど難しく左に行くほど簡単。これに気付かないでプレイ開始時から右に行き続けると、最弱状態で最難関へ挑む事となる。本作がクソゲーと言われてしまった原因の一つに、この難易度が高くなってしまう構成がある。
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ステージギミックを含めて見れば地底ステージが最難関だが、敵の攻撃は「地底」→「コア」→「宇宙」と順当に激しくなるため、地底ステージを抜けたから楽になるかといえばそういう訳でもない。
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ゲーム本筋とは関係ないが、ストーリーを考えるといきなり地底から始まるというのは、どういう経緯なのか首を傾げるポイントである。
致命的なフリーズバグが存在
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コアステージのみ「ステージ終盤でミスしても次の面に行く」と言う特性がある。…のは良いのだが、最後のコアステージでこの仕様が発動すると、宇宙ステージに行かずバグコアステージに行ってしまいフリーズする。
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宇宙ステージの最後で隠れキャラに体当たりして死んだ場合にも類似のバグ(存在しない31面からスタート>フリーズ)が発生することがある(こちらはわざと狙わなければ発生条件を満たさないため、報告事例はほとんど無い。)
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出荷時期は不明だが青や黄などのカセットROMが存在しており、このバグが修正されている。
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他にもワープキャラを取った際に、そのステージで取ったはずのパーツがカウントされないというバグがある(こちらも後期出荷版?では修正されている)。
100パーツ集めがまさしく苦行
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前述の通り、ラスボスと会うには、1エリアに1つあるパーツを100個集める必要がある。しかしエリアは全部で30。
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つまり4周しなければエンディングに辿りつけない仕様であり、しかもラスボスは地上構造物で、登場メッセージも無ければスクロール停止もしないため初見では分かりにくい。さらに倒し損ねると、最初のステージに戻されてしまう。
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パーツ10個分に相当する隠しアイテムを取れば多少は楽になる。それでも最低3周は必要だが。しかし、タチが悪いことにショットを一定数撃ち込むと取得したパーツをすべて没収されてしまう、ボーナスキャラに見せかけた罠キャラが居る。
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そして多大な苦労の割には、全部で2画面分の文字がスクロールするだけの簡素なエンディング(ちなみに英文なので当時のメインプレイヤー層である小~中学生ではほぼ解読できなかったはず)。時代と言ってしまえばそれまでだが、少しはユーザーのことを考えてもバチは当たらなかったのではないだろうか。
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アーケード・家庭用を問わず当時のゲームはミスしない限り永久に続くループゲームが多く、主にアーケードで盛んだったそれらでスコアカンストを目指すプレイに比べれば、道のりが長めではあるもののエンディングがある本作は易しい方だが、当時の本作の主なプレイ層の小~中学生にとってはやはり負担が大きかったと言わざるを得ない。
賛否両論点
意外と難しくない難易度
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実を言うと個々の場面を抜き出せば、シューティングゲームとしての難度そのものはそこまで高くはない。
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パワーアップ(唯一のRPGらしい要素)していれば敵に当たってもペナルティは1段階パワーダウンだけで済み、シューティングゲームとして見ると(前か斜めかどちらかにしか撃てないミサイルがやや使いづらいものの)時代相応の悪くない出来。
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斜めショットが撃てる状態でBボタンを押したままAを手連射すると両方を交互に連射できる。
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コンティニューがない。当時としては珍しくなかったとはいえ、100パーツ集める必要がある本作では話が別。
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一応無敵コマンド(ただし壁接触はミスになる)が用意されている。
不快感の強いBGM
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ステージBGMはメロディの面白さはあるが20秒でループするうえ、強弱が全くついておらず、それでいて高音の強い音質のため耳障り。
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タイトルBGMはメロディにソ♯が使われているのにベースがラ⇒ソと変化する(音が半音でぶつかり合う)ため、不協和音と受け取られ易い。
評価点
分かりやすいパワーアップ
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とにかくショットで敵を200機破壊すれば勝手にパワーアップ
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ショット関連のアイテムは存在せず、ゲームを分かりやすくしている。
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また、メインショットがパワーアップすると、第2段階・第3段階でそれぞれBGMも変化し、
最初のチープなBGMは意図的なものだったことがうかがえる。
このため、第1段階からレベルアップすると、突然プレイヤーのやる気が上がってくる。
一応堅実である完成度
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スクロール、自機の動きがスムーズ。当たり判定も正確でその辺りの理不尽さはない。
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パワーアップ時の連射速度はかなり早く、敵を倒す爽快感はそれなりにある。また、ミサイルが強化された二段階パワーアップ以降は、プレイが大分楽になる。
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当時は『エグゼドエグゼス』など、二連ショットに見えても実際は一発として処理されているゲームが多かったなか、自機の二連ショットは左右がそれぞれ独立して処理されている。
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但し、逆にそのせいでクリーンヒットさせないと硬い敵がなかなか倒せず、攻略が困難になる状況もある。
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この頃のシューティングゲームは無限ループが普通だったこともあり、「基本周回プレイにプラス要素としてエンディングが付加されている」とポジティブに見る人もいる。
総評
100パーツ集めるという遠大すぎる目標、難易度的にかみ合っていないステージ構成など、挑戦的な内容を目指した結果とはいえ何かと悪目立ちする要素が多い。
またコンティニュー無し、長丁場ゲームでのフリーズバグといった不便な点も評価を下げる要因となっている。
とはいえ、ステージ構成に問題こそあれど理不尽極まった難易度ではないことをはじめ、単に「他と違う=目立つ」という要素の方が大きく、純粋にネガティブな部分はそこまで多いわけではない。
何かとネタにはなりやすいがそこまで酷い作品ではない、と言えるだろう。逆に言えば悪目立ちする点が無かった場合、単に凡百の一つとして埋もれていた程度でもあるが。
余談
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RPGを自称していることについては今なおツッコミの対象となっている。
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これは、本作品が売り出される4か月前の8月に発売したファミコンソフト『ドルアーガの塔』(ナムコ)が大ヒットしたことに端を発する。そして、「パワーアップはRPGの要素」「RPGの要素を入れれば売れる」という間違った認識から起きた悲劇でもある。ちなみに、『ドルアーガの塔』のゲームジャンルは(RPGの風味を加えた)アクションゲームというのが大方の認識である。
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とは言え元々「ロールプレイングゲーム」は、和訳すれば「役柄を演じる遊戯」である。そのため「ストーリーやキャラの設定」があり、「自分がその中の何らかのキャラを受け持つ」ゲームならば全て該当すると言えないこともない。
それでもシューティングゲームというジャンルはとっくに名称・定義共に固まっていたので、素直にそう名乗らなかった事は誰でも疑問に思うところだろう。
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また、仮にそういう観点から見ても「SF世界で宇宙戦闘機のパイロットを演じる」という側面で同時代の他作品に比べて際立って優れた演出があるわけでもなく、このような形での擁護もかなり無理矢理感は否めない。
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PCでは本作発売時点でRPGがいくつも出ていた。元PCソフトメーカーであるデービーソフトは、RPGの意味するものを分かっているはずなのだが……。
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デービーソフトは本作発売の1週間前、シューティングゲーム『高機動戦闘メカ ヴォルガードII』を発売している。こちらはマイナーながらも評判は悪くないようだ。
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なお、その前作に当たる『VOLGUARD』は当時のパソコンゲームとしては大ヒット作品である。一方で家庭用に移植されなかったのでマイナー作品でもあるが。
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著名人の評価
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「クソゲーと言う言葉を初めて作った人」とされているみうらじゅん氏は、1998年発行の『仰天 B級ゲームの逆襲』にて「1番クソだと思ったゲーム」として本作を挙げている。
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こうした評価もあって、本作はFC世代の「クソゲー」として扱われることの多い作品になってしまった。
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日本のコンピューターRPGイメージを決定付けた『ドラゴンクエスト』(DQ I)の発売は、本作より半年ほど後の86年5月のこと。チュンソフトの中村光一氏は「頭脳……」がRPGと謳ったせいで「ドラクエがファミコン初のRPGになれなかった」と語ったことで有名。もっとも、もしそれがなかったとしても『ゼルダの伝説』がDQ Iの3ヶ月前、『ハイドライド・スペシャル』がゼルダの1ヶ月後に発売されているので、どのみちファミコン初にはならない。
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同類の(最終目標やキャラクターの強化要素がある)ほぼ同世代のシューティングゲームに『キングスナイト』がある。
最終更新:2024年06月11日 23:12