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大冒険 セントエルモスの奇跡 - (2016/06/04 (土) 20:24:32) のソース

注意:このページではSS用ソフト『大冒険 セントエルモスの奇跡』(''クソゲー'')と、その移植版であるPSソフト『大冒険デラックス 遥かなる海』(''判定なし''、参考記事)を紹介しています。
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*大冒険 セントエルモスの奇跡
【だいぼうけん せんとえるもすのきせき】
|ジャンル|シミュレーションRPG|CENTER:&image2(db.jpg,width=160,http://www.amazon.co.jp/dp/B000069UQ9)|
|対応機種|セガサターン|~|
|発売元|パイ|~|
|開発元|ソフトオフィス、FAB|~|
|発売日|1996年4月19日|~|
|定価|6,800円(税別)|~|
|判定|BGCOLOR(lightsalmon):''クソゲー''|~|
|ポイント|通称「COLOR(red){''超 魔 海 王''}」&br;''「これは ひどい」''&br;大航海シリーズの劣化パクリ&br;狂った台詞とデザインで迫るモンスター&br;短すぎるBGM&br;非常につまらない戦闘&br;(本作を買うという)''大冒険''&br;(本作が発売されたという)''奇跡''|~|

#region(これは ひどい)
|&ref(SSdaibouken01.jpg)&br;シンプルなタイトル画面|&ref(SSdaibouken02.jpg)&br;本当にひどい|
#endregion

**概要
-仲間や装備を整えながら船で各地の港を回る航海RPG。セガサターンにおける''トップクラスのクソゲー''として悪名高い作品である。
-『[[デスクリムゾン]]』が登場するまでセガサターンマガジンの読者評価ランキングでは最下位を独走しており、「COLOR(red){''超魔海王''}」の通称が付けられた。

**ストーリー
時は中世。主人公・リオンの住むバルセロナに、父親・ファルの船が無人で漂着した。~
リオンは女王に呼び出され、「あなたの一族にはモンスターを倒せる特殊能力があるので、モンスターの根源を絶ってほしい」と父親の代わりに魔物退治を依頼される。~
リオンは、父親を捜す目的も含め、友人のトレビールと共に船で旅立つことになった。~

-なお、主人公の名前は(''最初に"プレイヤーの"名前を入力させられる癖に'')固定。

**特徴(というか問題点)
-RPGにも関わらずイベントは''全編通して3つ''(+ボス戦)しかなく、''とにかく何も起こらない''。
--パケ絵にはヒロインらしき女の子が描かれているが、''冒頭で一言喋るだけでセリフはラストまで全く変化なし''。もちろん付いてきたりもしない。
-前記の通りイベントが無いので、60以上ある街(最初の町以外全部モンスターに占拠されている)をひとつひとつモンスターを全滅させて解放していく、という作業がこのゲームの殆どを占める。
-[[BGMが全体的に短く>人生ゲーム ハッピーファミリー]]、殆ど(あるいは全て)が10秒足らずでループする。
--戦闘のBGMも終盤ボスとラスボスを除いて1種類(しかも4小節程度のもののループ)しかなく、もはや途中からはゲームというより''苦行''のような有様になってくる。

-ゲーム自体がコーエーの『[[大航海時代II]]』に酷似している上、劣化どころかほとんど意味がない。
--コマンドの並び、名称、行える内容などが『大航海時代II』とほとんど同じ。インターフェースデザインに著作権が認められるかは置いておくとしても、道義的にそれでいいのか?
---ちなみにコーエーの方も認知してたのか、『大航海時代外伝』には、本作の主人公をモデルにしたキャラが存在する。
--海戦もあるが、海賊から逃げても追ってこないので全く戦わなくてもクリア可能。
--物価がとてつもなくおかしい。交易品や船員の給料に比べて武器の値段は極端に高い。この点も『大航海時代II』と一緒。

-フィールドマップは海域しか移動できないので、大陸の内陸部はマップを埋められない。

#region(参考画像)
|&ref(SSdaibouken05.jpg)&br;大航海時代|&ref(SSdaibouken06.jpg)&br;個性的なデザインのモンスター達|
#endregion

-大味なゲームバランスとヘッポコな演出
--オープニングがものすごく唐突。
---主人公がベッドで目覚める→父の乗っていた船が大破して流れ着いている→「''これは ひどい''」
--ゲーム当初から世界のどこにでも行ける。そのため自由度は高い……と思いきや''順番を踏んで攻略していかないと敵が強すぎて即死する''ので、やっぱり自由度は皆無。しかも攻略する''道順についての情報はどこにもない''。
---しかも敵のレベルが適切であっても、HP7割は持っていかれる程の凄まじい攻撃を繰り出す事も多く、頑丈な敵も多い。
---特に中盤は後述の通り演出の長い指輪で弱点属性を突いたり、さらに後半は後述する「必殺技」頼みになってくる。
--レベルが上がるのは、主人公リオンとそのパートナーのトレビールのみ。酒場で募った傭兵はレベルが上がらない。
---しかも敵の数は限られている。リオンは海戦で「一騎打ち」を挑む事で無制限に経験値を稼ぐ事が出来るが、トレビールは倒れたまま戦闘終了するとその分レベル上げの機会を失ってしまう。
---傭兵は[[雇ってみないと能力値がわからない>ガイアセイバー ヒーロー最大の作戦]]。また、説明書では「リオンとトレビールはレベルが上がる」とだけ表記されているが、「傭兵は上がらない」と明記した方が良かったのでは…。
--グラフィックはスーファミ、メガドラ初期レベル。もしくはそれ以下。
---しかし、OPなどで見られるCGグラフィックのムービーだけは結構出来がいい。''CGグラフィックだけは...''。
--街は地域によってグラフィックや構造が数種類異なるが、どの街もほとんど同じ構成。建物はお店等の施設のみで普通の民家は1つもない。
--主人公の特殊攻撃の名前も''「必殺技(1)」「必殺技(2)」''などと、設定忘れを疑うレベル。しかも''[[必殺技の発動は完全にランダム>クロスハンター トレジャーハンターバージョン/エックスハンターバージョン/モンスターハンターバージョン]]''。
--道具や、本作の魔法に当たる「指輪」を使ったときの演出が無駄に長く、テンポが悪い。
--「''いらしゃいませ''」などの誤字脱字。
--ラスボスが意味もなく経験値と金を落とす。
--町の人の会話はストーリーと関係ない話が殆ど。

-モンスターの台詞が狂気に満ちている。デザイン自体も恐怖より狂気を感じる造形で、その上グラフィックも異様に汚く主人公などのデザインから明らかに浮いている。
--ザコモンスターは「ぴきぴき」「きいいいいー」「がるるるるー」の3種類の定型文句しか喋らないが、各町ごとにいる中ボスの台詞が尋常ではない。以下は一部の例。60以上ある各町の中ボスごとに用意されている。
>「体の中から何かがぶえええ ぐえええええ」~
「うげっ うげっ うげっ 気分悪いぞ! うげげげげげっ」~
「あの草 食べて…あの 赤黒いあの草 食べて…食べて…」

--上記画像のマウラは''まだ可愛い方''。更にキモイモンスターはいくらでもいる。
--モンスターのネーミングに関しても、「''クリビルピル''」「''ベンチバブ''」など、どこから持ってきたのかわからない謎の名前ばかり。

#region(参考画像)
|&ref(SSdaibouken03.jpg)&br;噛んだ店員|&ref(SSdaibouken04.jpg)&br;ぴぴるぴるぴるぴぴるぴー♪|
#endregion

-そしてエンディングもひどい。
#region(一応ネタバレ注意)
-''ラスボスを倒した後、主人公がベッドで目覚める''……というこれまでの努力をあっさり全否定する最悪なオチ。しかも主人公が家から出ると''また父の船が大破して漂着している''。
--ただの夢オチでは無く、一応ちょっとした理由付けはあるが、ラスボスを撃破した時のセリフくらいしか判断材料がない。
---理解したところで''ただの超展開''、理解できなければ電波にしか聞こえない。どちらにしても本作の評価をひっくり返せる訳ではない。
---なお真相はというと所謂メタフィクションなのだが、[[こんなゲームとプレイヤーをリンクさせられても……>四八(仮)]]
--伏線自体は各街のボスや村人のセリフで存在している。また、厳密には「夢オチ」ではない。
---母親に起こされた主人公が何故かゲーム内で手に入れた指輪を持っていることが描写されており、それまでの冒険は実際に存在していたことが読み取れる。そしてこの後冒頭のシーンが繰り返されるところでエンドロールとなるループオチなのだが、各地のボスや村人、そしてラスボスのセリフから推測出来るメタ設定を念頭に置くと、「プレイヤーもゲーム世界に取り込まれてしまった」というホラーオチを意図したものだと思われる。
---…もっとも、本作の希薄極まりないシナリオ相手にそんな考察をした所で、[[こんなゲームにまじになっちゃってどうするの>たけしの挑戦状]]という結論にしか至らないが。
//後から次々と付け足した所為か「夢オチだ。夢オチじゃない」「伏線皆無。伏線は大量にある」と文章が支離滅裂に見えたので、内容を統一しました。
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--タイトルである「セントエルモスの奇跡」についてもゲーム内では最後まで全く触れられない。
---「''このゲームが発売されたのが奇跡''」という解釈もある。

**評価点
-前述の通り、CGグラフィックで描かれたムービーシーンは割と良く出来ている。
--綺麗とはいいがたいが、16bit初期時代に逆戻りしたかの様な2Dグラフィックの本編よりは遥かにマシ。
---因みにOPムービーも壮大な世界を舞台に冒険する雰囲気が出ているが、その後に&bold(){セガサターンソフトとは思えない超ショボイタイトル画面が表示される}ので、「OP詐欺」と言われてしまう事も。

**総評
『大航海時代II』を意識した(パクった)作りではあるが、本作はそれの足下にも及ばぬ最悪のクソゲーであった。~
数だけやたらと多い作業に希薄過ぎるストーリー性、ショボイグラフィックorBGM、そこから浮きまくりなキモい敵キャラ等、クソゲーとしての要素を手堅く抑えている。こんな所を並べられても誰も得をしない訳だが…

かと言ってそれをネタに出来る程突き抜けている訳でも、プレイヤーの心証に著しく悪影響を及ぼすようなインパクトがある訳でもなく、ただひたすらに「つまらない」だけになっているというのは、ヘタなクソゲーよりも純粋に悲惨な境遇にあるだろう。上記の名言が無ければ、本作の知名度自体危くなっていたであろうほど。

どこをどう見ても、どう贔屓目に見ようとほぼ美点が無い内容に、購入者は誰もが思ったであろう、&br;「&bold(){これは ひどい}」と。


**余談
-ゲーム内での第一声''「これは ひどい」''は、[[プレイヤーの評価を>Let's 全力ヒッチハイク!!!!!!!!!]][[完璧に代弁する>時と永遠~トキトワ~]]ものとして迎えられ、2chで瞬く間に慣用句として定着した((それ以前から普通に日本語として使用されていた語句であるのは言うまでもないが、現在のような使われ方をされるようになったのもひとえにこのゲームの香ばしさ故か。なお定着したのはNHK教育のニャンちゅうが放った台詞「これはひどい」の方との説もある。))。
-セガサターンマガジン(現ドリマガ)の読者レビューでは''「このゲームを買うこと自体が大冒険だ!!!」''という名言が生み出された。
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*大冒険Deluxe 遥かなる海
【だいぼうけんでらっくす はるかなるうみ】
|ジャンル|シミュレーションRPG|&image(http://sce.scene7.com/is/image/playstation/slps00813_jacket?$pkgL$,width=160)|
|対応機種|プレイステーション|~|
|発売元|ソフトオフィス|~|
|開発元|ソフトオフィス、FAB|~|
|発売日|1997年4月18日|~|
|定価|5,800円(税別)|~|
|判定|なし|~|
|ポイント|SS版の不具合を大幅改善しもはや別ゲー化&br;「これは ひどい」を撤回&br;しかし微妙にSS版の名残は残っている|~|

**概要(PS)
''サターン版の悪評にも関わらず、''約1年後にプレイステーション版が移植発売された。発売元はSS版のパイから、開発担当のソフトオフィスに変更されている。~

***SS版からの主な変更点
-グラフィック、BGMがSS版とは比較にならない位に進化。CGムービーもさらに豪華になっている。
-SS版はストーリー性が殆ど無く、意味不明な進行を余儀なくされたが、本作はちゃんとしたシナリオの上で進行する。またエンディングがSS版の驚愕オチでは無く、SS版よりは納得のいく結末となっている。
-ゲームバランスの改善、アイテムの物価が妥当なものに変更、必殺技に名前が付き任意で出せるようになった、などの従来のRPGらしい路線に改善された。
-SS版のオープニングの神セリフ''「これは ひどい」''や、敵が放つ狂気な電波セリフといった、香ばしい発言がことごとく削除された。但し、遭遇時の「ぴきぴき」といった表示など、前作の名残は少し残っている。

**総評(PS)
以上のように、RPGとしては無難に遊べるまで進化を遂げ、もはやクソゲーとしての地位はほぼ完全に消滅したと言っていい内容となっている。~
しかしそれでも、外見が同期のPSソフトに比べるとショボい、シナリオが無難にまとまりすぎて面白みが薄い、エンディングは驚愕オチではないにしろ普通すぎて別の意味で唖然、など良作としては幾分か物足りないゲームではあるのだが。

更に、それによってマイナスにとはいえインパクトがあったSS版と比べ、本当に「無難なだけの凡百なゲーム」なってしまった感も否めない。シミュレーションにしてもRPGにしても、数多の良(名)作・クソゲー・意欲作の中からあえてこれをプレイする必要性は薄いだろう…。

**余談
コーエー刊行の『月刊Da・Gama』では本作の紹介記事、広告、プレイレポート(序盤の一部だが)が掲載された号があった。
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