「アーマード・コア ラストレイヴン」の編集履歴(バックアップ)一覧に戻る

アーマード・コア ラストレイヴン - (2018/09/09 (日) 07:45:19) のソース

#contents()
----
*アーマード・コア ラストレイヴン
【あーまーど・こあ らすとれいう゛ん】
|ジャンル|カスタマイズメカアクション|&amazon(B000A6CIMM)|
|対応機種|プレイステーション2|~|
|発売・開発元|フロム・ソフトウェア|~|
|発売日|2005年8月4日|~|
|定価|7,190円|~|
|廉価版|PlayStation2 the Best:2006年11月30日/2,800円|~|
|判定|なし|~|
|ポイント|ACシリーズ『N系』第3作にして最終作&br()シリーズ屈指の高難度・ランク査定も健在&br()かつての過ちを繰り返した''部位破壊''&br()ストーリーやキャラクターは高評価|~|
|>|>|CENTER:BGCOLOR(#fed):''[[アーマード・コア シリーズ 作品リンク>アーマード・コアシリーズ]]''|
----

**概要
アーマード・コアシリーズ10作目の作品。「PS2最後のアーマードコア」でもある。(『[[フォーミュラフロント(FF)>アーマード・コア フォーミュラフロント]]』はカウント対象外)&br()俗に言う「N系三部作」のトリを飾る作品であり、これ以降の作品は次世代機で展開される新シリーズに移行している。&br()&br()今までのACの世界観に輪をかけて重厚で退廃的な世界観が特徴で、時系列的には『[[ネクサス(NX)>アーマード・コア ネクサス]]』の続編に位置する。&br()キャッチコピーは''「誰もが、生きる為に戦っている。」''&br()&br()
通称『LR』。以降このページではLRと略す。

----
**ストーリー
『NX』の最終局面において全世界にまき散らされた特攻兵器は、各地に甚大な被害をもたらした。&br()利権争いどころではなくなった各企業は一時的に協力し、連合統治機構「アライアンス」を設立、世界に新たなかりそめの秩序を作り出す。&br()&br()アライアンスによる新たな秩序も固まり始めた半年後。&br()かつてのレイヴン統率組織「レイヴンズ・アーク」の主宰、ジャック・O率いる大規模武装集団「バーテックス」は、アライアンスの秩序を揺るがすあるひとつの声明を世界に発表する。&br()バーテックスは「アライアンスの打倒と、レイヴンによる新たな秩序の創出」という理念を掲げ、アライアンス陣営への総攻撃を予告。&br()世界は、再び争いの渦に巻き込まれて行くことになる。&br()&br()両陣営の戦力は五分と五分。&br()戦いの鍵を握るのは、両陣営にとっての最重要戦力となるACを保有する22人のレイヴンたち。&br()バーテックスの24時間後の総攻撃予告を前に、レイヴンたちは胸にそれぞれの理由を秘め、戦場へと向かう。&br()&br()ある者は野心を胸に、ある者は富と栄誉を求め、ある者は信じる正義の為に戦い、ある者は強者との戦いを求め----&br()&br()''誰もが、生きる為に戦っている。''

----
**システム・特徴
***ゲームモード
-''ミッション'':様々な依頼をこなしていくシリーズ恒例のモード。&br()今作ではシリーズ初のマルチエンディングを採用。細かい途中分岐を除くと、ルートは6種類。
-''VRアリーナ'':シリーズおなじみのアリーナ。仕様はこれまでとやや異なる。
--フリーミッション&EXアリーナ:1周クリアすると追加される。1度クリアしたミッションと、倒したことのある敵ACを自由に選択できる。
-''対戦'':お馴染みの通信対戦機能も搭載。今回は新たにレギュレーション機能を搭載している。

***特徴 -ミッション・ストーリー関連-
-LRは「バーテックス総攻撃までの24時間」という設定で物語が進んでいく。
--とはいえ、やることは以前のシリーズとほとんど変わらない。ミッションが24時間の中にぎゅっと詰まった、と考えてもらえればOK。
---ミッションの内容はさまざま。ただ、今作はレイヴンが物語の重要なキーパーソンになっているため、対AC(レイヴン)の戦いが多め。&br()ミッションでレイヴンを撃破するとレイヴンごとに設定された賞金と、報償パーツが手に入る。

-今回の特徴は、ずばり''マルチエンディング''
--今までの作品では「マルチエンディングをにおわせながらも実際のエンディングはひとつ」という肩すかしな作品がいくつかあった。&br()しかし、本作は正真正銘のマルチエンディング。プレイヤーの選んだミッションにより、最終的に6つのルートに分岐する。

***特徴 -戦闘関連-
『[[ナインブレイカー(NB)>アーマード・コア ナインブレイカー]]』からの調整が大きい。以下、特徴的な変更及び新要素。

-''部位破壊''
--ACのフレームパーツには、APと別枠で隠しパラメータとして耐久値が設定されており、一定のダメージを受けると、部位が損傷、やがては破壊される。&br()損傷すると損傷部位によってACの機能に障害が発生する(頭部が損傷すればレーダー機能に支障が出る、コア損傷で付加機能に影響が出る、など)。
-''部位破壊実装にともなう当たり判定の細分化''
--部位破壊の実装に伴い、各パーツの当たり判定が細分化し、ACの当たり判定が小さくなった。
-''ACの高速化''
--全体的なブースト出力の調整により、ACが高速化。ゲームスピードが上がった。
---また、ブースターに「ブースト加速度」のパラメータが追加された。高ければ高いほど最高速に達するまでの時間が短い=機敏に動ける。これにより「出力はイマイチだがきびきび動ける」「大出力だがもっさり」など、高出力一点張りだったブースターの選択肢が広がった。
---しかし、前述の調整とこれが組み合わさったことで、ある問題が…後述。
-''熱システムの緩和''
--ラジエーターなどの性能上昇も相まって、ブースト、被弾時の発生熱量が緩和。これにより、熱量によるハメ殺しの脅威はほとんどなくなった。

-''ブレードホーミングの復活''
--空中でブレードを振った際の、相手への追尾が若干だが復活。

***特徴 -その他-
-今回は「生と死」を意識した演出が多数見受けられるが、その一環か、敵味方どちらのACもAPが0になると、擱座ではなく爆散するようになった。&br()ほかにも損傷部位にスパークが走るなどの、損傷を強調する表現が見られる。
--またシリーズ初の試みとして、敵勢力に「歩兵」が登場する。歩兵の攻撃力は非常に低く、防御力も皆無なのでゴミのように蹴散らせるが、ロックオンできない上数で押してくるため、歩兵らしくうっとおしい存在となっている。

-BGMは今までのACとは大きく異なり、環境音楽のようなミニマル調の曲が多い。ミニマル調が基本だが、「Six」「I'll talk you」のようなボス戦に相応しい盛り上がりのある曲もある。
--効果音もリアル感を意識した仕様になったものもある。

-各所に挿入されるデモムービーでは、過去シリーズよりもいっそう派手にACが躍動。
--また、フロムお家芸のフルCGオープニングはなんと''[[二本立ての>http://www.youtube.com/watch?v=biN2naXzaVw]]''''[[大盤振る舞い。>http://www.youtube.com/watch?v=kT4uuY14rIw]]''どちらも完成度が高いフロムらしい仕上がりとなっている。
---ムービーの美しさは次世代機も真っ青のレベルであり、なかば実写である。それでもさらに美しくなっていくのだから、フロムに限界はないのか。

----
**問題点
***一人プレイにおける問題点
しかし、本作が「オールドシリーズ最後のACとしてふさわしいか?」と聞かれれば、多くのレイヴンはNO、と答えるだろう。それはなぜか?
-まず、''全体的なミッション難度の高さが挙げられる。''
--クリアだけなら練習すれば何とかなるが、問題は最高評価のSランク取得。取得条件が(例によって)はっきりと示されておらず、またかなりややこしく設定されてしまっている。攻略本・攻略サイトを見なければ制覇は困難。''『サイレントライン(SL)』や『NB』とはまた違う意味で理不尽な方向に''傾いている。
--おなじみの''「Sランク取得が入手条件の隠しパーツ」''も存在。パーツコンプリートへの道をはばむ。

-初心者には厳しい対AC戦もミッションで序盤から登場し、とくに最適なアセンブルを組むのに苦労する序盤では苦しい戦いを強いられる。その極致が、ゲーム開始初期に選べる3つのミッションのひとつ「管理局強行偵察」。
--最初は弱いザコ敵を倒すだけなのだが、エリアの最深部には''強化人間((ACシリーズ恒例の「公式チート」。シリーズごとに様々な条件を満たすことでACの性能がパワーアップし、専用のレーダー搭載、キャノンの構え制限解除、エネルギーゲージの増加など様々な恩恵が得られる。N系では敵レイヴンだけの特権となっており、プレイヤーはチート機器を使わない限りその恩恵を得ることはできない。))・多数の高火力エネルギー武器・固い装甲という凶悪な性能''を持つ、バーテックスの実力派レイヴン「ライウン」とのタイマンが待ち受けている。&br()シリーズ恒例の「初心者殺し」にしても極悪なシチュエーションであり、前情報を持っていない多くのレイヴンを葬りさっていった。
---歴史の長いACシリーズではあるが、最初に選択できるミッションでACと戦うシチュエーションがあるのは''後にも先にも本作だけである''。しかも相手は強化人間かつ充実した装備を備えた上位クラスのレイヴンであり、''アリーナ下位の雑魚ランカーとはわけが違う''。
--現在は無改造の初期機体で管理局強行偵察をクリアすることがラストレイヴンのもっともポピュラーなやりこみとされるなど、遭遇時のライウンのセリフ''「命令だ、死んでくれ」''とともに、なかばネタとして愛されるようになっている。
--その後は楽なミッションもちょくちょく出てくるようになるものの、いわゆる「だまして悪いが」((依頼を受けたプレイヤーをだまして罠にはめたり、最初から主人公の抹殺が目的で、偽の依頼によってプレイヤーをおびき寄せてだまし討ちをしかけるミッションの総称。この手のシチュエーションをACシリーズ不動の「お約束」としたAC2AAのあるレイヴンの台詞が元ネタで、本作以降もシリーズのお約束として、かならず一回はこの手のミッションが登場する。))系ミッションでACとの連戦を強いられる、ECM装備の高級MTとACが同時に襲ってくるなど、凶悪なミッションはちょくちょく登場する。もちろん、中盤を過ぎるとミッションの難度はさらに上昇する。
--ただ、どの敵ACもミッションで戦うことを前提としているためか、全体的にAIがお粗末。ゲームクリア後に挑戦できるEXアリーナで戦ってみると物足りないレベルである。
---くわえて、下位クラスのACは機体自体も適当に組まれたものが多い。キャラクターはみな個性的だが、機体ビジュアルや強さは印象に残りづらい。
-全体的にバトルフィールドも狭くなってしまったため、せっかくのスピード上昇もだいなし。さらに電波障害が発生している・地形が悪いステージも多く、さらに難易度を上げている。
--ミッション内容も、狭いフィールドを敵の猛攻に耐えながらひたすら進んでいくという、スピードを生かせないミッションが多い。また、そこらじゅうに配置された歩兵による避けられない攻撃もストレスがたまる要因になってしまっている。
--だからといって重量級が強いわけでもなく、むしろ装甲の増加よりも低機動力による被弾率の増加が深刻。高難易度ミッションの敵は重量級をも秒殺するほどの火力を持っていたり、あるいは徹底的に頭上や背後を取ってくるパターンが多いので、機動力が低いとよほどの熟練者以外は手も足もでずやられてしまう。&br;この「装甲意味なし問題」も、操作に慣れていない初心者に厳しい点として挙げられる。

-そして本作の難易度の高さを象徴するのが、高難易度のミッションを多数経由してたどりつく、通称「ジナイーダルート」の最終ミッション''「中枢突入」''。その難易度たるや、インターネット上で「難しかったゲームのボスは?」という話題になると、ナインボール・セラフや上級距離維持Lv5と並んで、確実に話題に出てくるほど。

#region(中枢突入、その実態)
-その内容は「回避スペースのない狭い通路で、前方から突っ込んでくる特攻兵器を処理・敷き詰められたレーザートラップを回避しつつ、最奥を目指す」→「周囲からたえまなく飛んでくるレーザー砲を回避しつつ、壁面に設置されたエネルギー源を破壊」→「最後に登場する、最終決戦仕様のジナイーダ((通称「ラストジナイーダ」(ラスジナ)。))とタイマンし、これを撃破」という流れで構成されている。
--ハッキリいって、ジナイーダ戦までは攻略法を理解してしまえばラクであり、とくにエネルギー源の破壊は''「歩行移動さえしていればレーザー砲はほぼ回避できる」''ということに気づけば、エネルギー源がロックオンできず狙いにくいことを除けば、少ない損害で攻略できる。問題はこの後に控えるジナイーダであり、高難度ミッションを超えた果てに待ち受ける最大の障壁として、プレイヤーの前に立ちふさがる。
--耐久力やスピードこそプレイヤー側と同じであるものの、エネルギーが無限に近い強化人間であることからほぼ息切れすることもなく、トップアタックを仕掛けてくる。常に背後を取ろうと高速で上下左右に移動してくるため、一定以上のスピードを確保した機体でなければ''サイティングすることすら困難''であり、一時は''「重量級の機体でのクリアは不可能」''とさえいわれた。
--さらに武装も豪華で、近距離用のマシンガンとミサイルはともかく、背部に搭載したパルスキャノンが恐ろしい脅威となっている。このパルスキャノンはプレイヤーが使う分には「強力だが高速連射されるためエネルギー消費が馬鹿にならず、そもそもキャノン系なのでタンクか四脚でなければまともに扱えないうえ、サイトの狭さから安定したサイティングも困難」という極端な特性の武器なのだが、ジナイーダはその欠点を強化人間の恩恵とCPU特有の緻密なロック精度(通称「鬼ロック」)で全て打ち消してしまうため、''死角のない超火力武器''となっている。これを被弾しつづければ、どんなにエネルギー防御を固めていても一瞬でAPが蒸発し、部位破壊まで誘発してしまう。
--これにくわえ、先に述べた前哨戦を効率よくこなすためのアセンブルではジナイーダ戦に最適化できないうえに、前哨戦でダメージを負ってしまうためどう頑張っても''完調の状態でジナイーダと戦うことができない''のが高難易度に拍車をかける。
--唯一の救いは、右腕武器のハンドレールガンの性能が低いことと、パルスキャノンは肩武器なので相手が武器を切り替えないかぎりは使ってこない点。一部のレイヴンからは''「ラスジナ戦はどれだけパルスキャノンが飛んでこないかの勝負」''と言われることも((実際はジナイーダが使用する武器は距離によって決まっているため、ある程度の速度で常に距離を取るよう心がければ、パルスキャノンは飛んでこない。そのため、開始直後にパルスで焼かれて爆散という理不尽なことはない))。

-このようにACLRの鬼難易度の象徴として語られることの多いラスジナだが、撃破した時に見られる専用のエンディングは感動モノ。血反吐を吐くような戦いを乗り越える価値のあるものとなっている。
#endregion

-VRアリーナの利用には''賭け金が必要''で、金欠時には戦えない。アリーナは手軽に小金を稼げる場所&操作練習の場として機能していたのに、どうしてこうなった。
--N系の悪癖で「対戦ステージは選択不可」であり、相手ごとにステージは固定される。
--対戦相手のロジック自体は前作・前前作からある程度向上しているが、今作も上位ランカーになるほど強化人間の恩恵とステージの相性でごり押してくるタイプの敵が多い。また、「順位と強さがちぐはぐ」というN系のアリーナの欠点も完全な改善にはいたっておらず、「どうしてこの順位に?」という疑問を抱くような「順位不相応に強い(弱い)」ランカーがちらほらいる。
--ファンサービスか、アリーナには歴代シリーズの看板機体(所謂「OP機体」)を再現したアセンブルのACが配置されているのだが、看板機体のアセンブルの多くは、ゲーム的な観点から見るとちぐはぐな仕様が多く、ハッキリいって弱い。看板機体ランカーは後述する「No.2448(NXの看板機体)」を除いては強化人間の恩恵とCPUのロック精度をもってしても覆せない弱さで、しかもこの看板機体ランカーが''1桁の上位ランクにもいる''。
--バトルフィールドの狭さと強化人間の恩恵の相乗効果により、手慣れたプレイヤーも手こずらせる強豪「No.2448」が21位にいるいっぽうで、その2位後の19位に最低クラスのランカーと同レベルの動きしかしない「ゾロX」が配置されているなど、基準のよくわからないランカーの配置は相変わらず。
--10位以上の上位ランカーも、''核ミサイル((シリーズの伝統である「弾速は異常に遅いが、そのぶん異常に追尾し、当たると大ダメージと高熱量を与える大型ミサイル」の俗称。ゲーム中では核兵器ではなく、その破壊力からつけられた愛称。))ふたつ持ち''という前前作のジャック・Oを思い出すネタアセンで、しかも核2基に重量を取られてしまい、重量2脚なのに防御力が低い「パリー・マンクス」、腕武器のハンドレールガンの性能が死んでいるLR看板機体の再現ランカー「BJ」、攻防どちらも中途半端で、肩武器のグレネードを''他の武器の弾が切れても一切使わない''ロジックの欠陥があるNB看板機体の再現ランカー「Code:Crimson」、4位という、高順位のわりにアセンが中途半端なうえ、BJと同じく右武器が産廃(バーストライフル)でスペック通りの火力を発揮できない「スサノオ」など、設定上の順位に疑問が多いランカーが多い。&br()特にスサノオは機体名「エイプリルフール」を皮肉って''「ふざけて作ったのでは?」''といわれるほど。
--今作のランク1位「ダイ・アモン」も、ACシリーズ恒例の「強化人間の恩恵を活かしてのトップアタックからのラッシュ攻撃」というロジックで動くが、接近戦特化AIの割にスピードは普通、しかもフィールドが広いため「重量級では強敵だが軽量級で挑めば雑魚」という極端なバランスとなっている。このあたりは、前作のトップランカーであった「イツァム・ナー」と同様で、肩武器のリニアキャノンと上下に大きく動く行動パターンのお陰で多少強くなってはいるものの、いささかワンパターンな感は否めない。
---しかも、フレームパーツはイツァム・ナーのAC「プロトエグゾス」を''頭部以外コピペしている''。武装も両手マシンガンというところがプロトエグゾスと酷似しており、これもワンパターン感を助長してしまっている。
--さらに、VRアリーナ、EXアリーナともに、「肩武器を一切使用しない」「マシンガンを連射しない」など、あきらかにロジックに欠陥がある敵が存在する。
---やや困難ではあるが、相手のACの頭上に着地すると''いっさいの動きを停止してしまう''というロジックを持った敵が数体存在し、これを利用することであっさり勝ててしまう相手も。フィールドが狭いのも相まって、一部の相手は地形にハメることで、ほとんど一方的に勝利することも可能。

難度の高さについては、プレイヤーによって異なるので、一概に否定はできない。ただ、問題はまだ残っている。

***対戦プレイにおける問題点
クソゲーオブザイヤーで次点となってしまった前作『NB』は、対戦バランスの良さが後に再評価された作品でもあった。&br()ではその続編であるLRはその高バランスを維持しているか? ''答えは『否』である。''

-部位破壊。このシステムでは''単純に負けている側がより不利になってしまう''ため、多くのレイヴンから忌み嫌われている。
--また、このシステムの実装は''フロート型脚部パーツをカテゴリごと産廃に''追いやった。全体的に脚部の位置が高いフロートは脚に被弾しやすく、その結果すぐに破損及び破壊が発生、マトモな戦闘継続ができないレベルに機動力をそぎ落とされてしまう。機動力がほぼ全てのフロートで機動力が低下するとどうなるかはいうまでもない。
--『SL』ではこのシステムの原型とも言える「武器破壊」が実装されていたが、レイヴンからのウケはあまりよろしくなかった。さらに『SL』では、対戦なら武器破壊をオフに設定できたのに対し、本作では''オフにできない。''&br()なぜフロムは、似たようなシステムが過去に批判を受けながら改悪システムを実装したのか、疑問を感じざるをえない。

-では、フロートを抜きにすればゲームバランスはいいのか? …それがそうでもない。
--まず、特徴の項で述べた「当たり判定の細分化」と「AC全体の機動力増加」が組み合わさり、弾が当たりづらくなってしまった。そのため回避がきっちりできるプレイヤー同士が対戦すると、たがいに弾が当たらず泥仕合になることが多い。
--機動力重視の時代となり、ほとんどのレイヴンは高速機動特化型の機体を構築。弾速の速い武器を使ってのチマチマとした引き撃ちが戦闘の主体となった。…アセンブルの自由度はどこに?
--大会でも「中量の速度重視の機体にレーザーライフルやスナイパーライフルなど高弾速武器のダブルトリガー」という、中距離戦重視のアセンブルが多く見かけられた。特に、弾速の早いレーザーライフル2丁持ち「シェイグリ((他、「シェグリ」など。右腕のレーザーライフル「WR05L-SHADE」と左腕のデュアルレーザーライフル「WL15L-GRIFFON」の組み合わせ。両武器ともに高弾速かつエネルギー属性で、安定した命中率と火力が見込める。))」や、異常な弾速のスナイパーライフル「CR-WR73RS」で確実に相手の体力を削るアセンはテンプレ化され、使用率はとても高かった。
---本作ではこのように「弾速の速い武器=強武器」とされているが、いいかえれば並以下の弾速の武器ではまともに当たらず、使いものにならないということであり、対戦で使える武器の選択肢はだいぶ限られる。
---引き撃ちが主流になったのは、機動力が底上げされた結果、サイティングの難易度が上昇したことも一因に挙げられる。距離をとれば見た目上の動きは鈍くなるため、サイティングが容易になる。
--攻撃を回避する爽快感はあるが、攻撃が当たらないことによるストレスも大きく、評判がいいとはいえない。また、攻撃が当たりづらいにもかかわらず、パーツの弾数などは前作からほとんど調整されていないため、非常に弾切れが起こりやすい。
--機動力がアセンブルにおいて大きなウェイトを占めるため、全体的に調整され、加速度のパラメータが追加されたブースターも、多くのアセンブルにおいて結局は最高出力ブースター一択になってしまう。しかも本作の最高出力ブースター「CR-B83TP」は加速度に優れ、かつブースト時の発熱量が少なく、ラジエーターに負担をかけないというメリットまである。

-また、パーツのパラメータ調整は今作もアバウトで、あいかわらず重量と性能がつりあっていないプラズマキャノンやスラッグガン、当たり判定の細分化のおかげで防御判定が縮小され、実用性が低下したシールド・追加装甲、どう考えてもハンデとなるために実装されたとしか思えないハンドレールガン((事実、本パーツは前述した『最終決戦仕様のジナイーダ』の難易度調整のために弱化されたのでは、と予想するレイヴンも多い。また、近年ではあまりのネタっぷり、OPで見せた強烈な威力との落差からか、古参のレイヴンからは逆に『ハンデレールガン』『とある企業の産業廃棄物(レールガン)』などとネタにされ、愛されている風潮が強い。))、まさかの旋回大幅減でフロートと同じく''対人戦は絶望的となったタンク''((前々作『NEXUS』で最強脚部と言われたCR-LHT92(通称クレホバ)への調整に他のタンク型が巻き込まれるかたちとなった。クレホバが異常なだけで、あとは特別強力だった訳ではないのだが。))などがいい例。
--前作で「救いようのない弱さ」とまで評されたエネルギーマシンガン「WH10-SILKY」も''まったく調整されておらず''、今作でもCPUの強さ調整用のハンデ武器と化している。

-復活したブレードホーミングではあるが「ないほうが扱いやすい」とまでいわれるほどクセが強く、今までのシリーズのモノに比べて人を選ぶ。

----
**評価点
-シナリオ
-「ストーリーの核心について直接は語らず、プレイヤーに推理や想像の余地を与える」ような展開が多かった今までのACシリーズ。しかし、今作はかなり展開に関するヒントが多く、物語性が強調されている。
--また、ルートによって大きくその役柄を変えるレイヴンたちも評価が高い。とくに重要人物であるエヴァンジェは、各ルートでそれぞれ違った役者として描かれている。
--計6つあるエンディングの中で先述したジナイーダルートを進んだ場合、エンディングの前に1シーン挿入される。&br()言葉少なく動きもないシーンだが、ファンのハートをぶち抜くその内容と''そこに到るまでの血反吐を吐きそうな難易度''の相乗効果で、多くのレイヴンの心に焼きついた。
---ただ、回収されていない伏線は多い((重要人物のひとりジナイーダがあるレイヴンを執拗に追っているという裏設定や、突如この24時間の戦いに復帰した理由が語られぬまま死んでいくレイヴン・Gファウストなどが一例。))。もっとも、LRまでやり込んできたレイヴンならば「フロム脳の介入の余地」ととらえられるだろう。

-ガレージ(機体構築画面)
-『FF』の仕様をさらに昇華させたガレージはとても使いやすくなっており、現在でも歴代最高であるとの評価が高い。
--機能面はもちろん、第二のポイントとして、''自分の組み立てた機体を周囲から自由に観察できる。''これまでは勝手にクルクル回っている自機を決められた固定視点からしか見られなかった。大きな進歩である。
---ちなみに、過去作のガレージでは常に浮いている状態だったフロート型ACは、ガレージ画面では接地した状態になっている。これまでは撃破されたときや待機モーションでしか見ることができなかっただけに新鮮である。
--ミッションを開始すると、自機の出撃するシーンが見られる。短い演出だが、愛機の出撃する姿は気合が入る。

-問題点の項で批判した対戦バランスだが、(シリーズの伝統というべきか)一部の強パーツを制限すれば、かなりアセンブルや戦術に幅が出ることも事実である。
--内装パーツの全体的な上方修正や戦闘の高速化にともない、前二作では使われなかったパーツに日が当てられた点は大きい。
--『NB』の「Bレギュ」のような広く知れわたっているレギュレーションはないが、そもそも単体評価のせいで選ばれにくいあちらと異なり、本作は地方によってさまざまなレギュレーションが作られ、対戦会や研究も広く行われた。
--ゲームスピードの高速化については、おおむね肯定的にとらえられている。

----
**総評
かなり力の入った作品ではあったが、理不尽な難易度、余計なシステムなど欠点が目立つ出来となってしまった。&br()気合いの入ったシナリオやN系の過去作で指摘されていた欠点を修正し、特色のひとつとして昇華した点は評価すべきだが、練り込みが甘い部分も散見され、オールドシリーズ最後のACとしてはいささか苦しい出来であるのは否めない。&br()とくに部位破壊に関しては、なぜ過去の過ちを繰り返してしまったのか理解に苦しむ。&br()&br()しかし、重厚な世界観やスピード感のある戦闘などの評価点もあり、けっしてクソゲーではない作品であることも事実である。&br()''難易度の高さからビギナーにはお勧めできない、ある程度他の作品で修練を積んだレイヴン向けの作品である。''
----

*アーマード・コア ラストレイヴン ポータブル
【あーまーど・こあ らすとれいう゛ん ぽーたぶる】
|ジャンル|3D戦闘メカアクション|&amazon(B002AS9F3I)|
|対応機種|プレイステーション・ポータブル|~|
|発売元|フロム・ソフトウェア|~|
|発売日|2010年3月4日|~|
|定価|3,990円|~|
|判定|なし|~|
|ポイント|やはり完全移植&br()全パーツを使うには前々作と前作のデータが必要|~|

**概要(PSP)
-PS2版『アーマード・コア ラストレイヴン』の移植作。
--追加要素は多い(後述)ものの、ゲームそのものについてはPS2版からほとんど変更なし。

**評価点(PSP)
-移植の際に追加された要素が多く、ACの携帯機シリーズの中でも最大級のボリュームを誇る。
--かつて『電撃ホビーマガジン』に連載されていた『[[ARMORED CORE4>アーマード・コア4]]』の前日譚を描く小説作品『レトリビューション』の登場レイヴン3人に加え、電ホビとラジオ番組『集まれ!!昌鹿野編集部』とのコラボレーションで生まれた機体「ネガティブウーパー」((レイヴン名の「M・ヤング」は、「昌鹿野編集部」のパーソナリティを務める声優・小野坂昌也のニックネーム「まさやんぐ」のもじり。))、『SLP』より引き続き登場した『ホビージャパン』とのコラボレーション企画発の機体「フール」と、総勢5機のゲストが参戦している。
--特にネガティブウーパーは出自が出自だけにネタ機体かと思いきや、強化人間の補正あっての強さではあるが「背中のミサイルを開幕で撃ち捨てて軽量化、高い機動力で張り付きながら的確にハンドガンで削り、隙あらばブレードの一閃を狙う」という手強い戦術で、多くのレイヴンを苦しめた。
--パーツ面でも前二作の追加パーツ(全部引き継いでいれば20個)に加えて今作からの追加パーツ(10個)も加わっている。&br()前二作の追加パーツはLRの基準に合わせてパラメータが再調整されており、前作でボロクソに評価された「CHD-GLITCH」など、弱いパーツも使用に耐える性能に引き上げられている。

**問題点(PSP)
-''『AC3P』『SLP』の追加パーツを使うためにはそれぞれの作品からのコンバートが必須。''
--本作をフルに楽しみたい場合、前2作の隠し要素をわざわざ収集しなければならず、これには非難の声が少なからず上がった。

-アリーナ対戦などで顕著な現象として、効果音の鳴るタイミングが遅れることが多々ある。プレイそのものに支障はないが、違和感は拭えない。

-『AC3P』『SLP』の時点で発生していたPSPのボタン数に起因する問題や、移植元のゲームバランスの問題は引き継いでしまっている。

**総評(PSP)
移植度は高く、画質を気にしなければ、PS2版の上位互換と言ってもいい出来。~
LRには3シリーズの問題点である2Pラグが存在しないため、対戦ツールとして購入しても損はない。~
ただし、対戦に関わるゲームシステムにクセがある作品なので(上記PS2版参照)、その辺は考慮されたし。

**余談
-ACといえば多かれ少なかれ含まれるネタ要素。某動画サイトの利用者ならば「フラジール」「尻を貸そう」などの単語が浮かんでくるであろう。&br()本作も多くネタキャラを輩出しており、中でも「遅かったじゃないか…」でおなじみ弱王ことジャック・O((厳密にはジャック・Oの初登場はNXだが、彼はNXでは一言しか喋らないのでボイスはこの作品のものが主体。))に始まり、「管制室ちゃんと援護しろよぉ!」などの迷言でレイヴンの腹筋を破壊したモリ・カドルや、「じょ、冗談じゃ」などの弱気な台詞で小物感たっぷりのズベン・L・ゲヌビ、きのこ先生の愛称で知られるグリーン・ホーン、ふたりはダムキュア、緊急発進☆レビヤたんなどの多くのネタキャラが生まれ、愛された。
-PS2最後の作品、そしてシリーズ最高クラスの難易度ということも相まってか、現在でもミッションや対戦の研究が続いている息の長いタイトルでもある。
--中には''隠しミッションを含めた全ミッションをノーダメージクリア''という偉業を達成したプレイヤーも存在する。このゲームをプレイしたことのある人なら、それがどれほど困難かは想像がつくだろう。難点も多いが、強烈な魅力を持つゲームであることは間違いない。
-2013年末時点で、本作は''レイヴンが主人公である最後のACシリーズ''である((『4』の主人公は『元』レイヴン、『V』『VD』の主人公はレイヴンを想起させる『黒い鳥(英語版ではDark Raven)』のあだ名で呼ばれるものの、レイヴンではない。))。そういう意味でもラストレイヴンである。
----