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バルーンファイト - (2015/08/24 (月) 14:32:09) のソース

*バルーンファイト
【ばるーんふぁいと】
|ジャンル|アクション|CENTER:&amazon(B00118BIK6)&br()&amazon(B00022FI2G)|
|対応機種|アーケード&br()ファミリーコンピュータ|~|
|発売元|任天堂|~|
|開発元|【AC】任天堂、エスアールディー&br()【FC】任天堂、ハル研究所|~|
|稼動開始日【AC】|1984年|~|
|発売日【FC】|1985年1月22日|~|
|定価【FC】|4,500円(税抜)|~|
|配信|バーチャルコンソール&br()【Wii】2007年11月13日/500Wiiポイント&br()【3DS】2012年8月22日&br()【WiiU】2013年4月27日/上記共に500円((2013年1月24日に開始された「Wii U バーチャルコンソール 体験キャンペーン」では2月22日まで30円で配信されていた。))|~|
|備考|GBA『[[ファミコンミニシリーズ]]』第二弾(2004年5月21日発売)|~|
|分類|BGCOLOR(lightgreen):''良作''|~|

#contents

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**概要
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風船につかまって宙に浮かぶ主人公バルーンファイター((スマッシュブラザーズDXのフィギュア名鑑での呼称。))を操作し、同じく風船につかまって宙に浮く敵と風船の割り合いでバトルするアクションゲーム。~
ファミコン版のほうが有名だが、元は1984年に稼動したVSシステムによる同名アーケード版からの移植作。

プログラム制作が任天堂の外部に委託されており、AC版は株式会社SRDの中郷俊彦(現・株式会社SRD社長)、FC版はHAL研究所の岩田聡(4代目任天堂社長)がプログラムを担当した。

厳密に言えば完全な任天堂オリジナル作品ではなく、アメリカのゲーム会社ウィリアムスから業務用として発売された対戦型アクションゲーム『ジャウスト』((槍を持った人物が乗りこんだ空飛ぶダチョウを操作し、空中を飛んで相手より1ドットでも高い位置にぶつかると相手が倒れて卵になり、それを拾うことで初めて倒すことができるというシステム。敵の倒し方に2段階の経過を用意するシステムは『マリオブラザーズ』に先駆けている。操作感覚はかなり異なり、バルーンファイトよりも難易度は高め。))のアレンジ作品に当たる。

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**ルール
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ゲームモードは「GAME A(一人プレイ用)」「GAME B(二人プレイ用)」「GAME C(BALLOON TRIP)」の3種類。

-バルーンファイターは2個の風船を体にくくりつけて宙を飛ぶことができる。
--Bボタンを押しっぱなしにすると自動的に羽ばたいて上昇していき、Aボタンだと1回押すごとに1回羽ばたく(連打で微調整可能)。アーケード版はA・Bボタンともに一度羽ばたきで、押しっぱなしの連続羽ばたきはできない。
--敵と接触した際、敵の位置が自分の頭上から1ドットでも高い位置にあると、風船が1つ割られ、浮力が低下してしまう。

-ミス条件
--風船を2個とも割られる。
--両端にある岸から対岸に向って水面スレスレで飛んだときに、水中から出現する怪魚に飲み込まれる。
---水面スレスレに飛んでも怪魚が出て来ないことがある。これは怪魚は水面下の見えない部分を左右に往復しており、運悪くその近くに来ると飲み込まれるという仕組みのため。
--一定時間経過後に出現する雷に触れる(風船の残りに関わらずミス)。
---ときどき漂ってくるシャボン玉を割ると、雷の動きが一定時間止まる。
--敵も主人公と同様に風船をつけているが、風船を割ってもすぐミスにはならず、パラシュートを開いてゆっくり落下していく。&br()地面に着地すると風船を膨らまし始め、再びフィールド内に復帰する。落下中及び風船を膨らましきる前に体当たりすることで倒すことができる。
---復帰すると敵の色が変わる。色が変化するほど倒したときの得点が高くなる。
---敵はステージ開始直後に風船を膨らませるため、そのわずかな隙に突撃して飛び立たせる前に一掃するという作戦も可能。

-一定ステージごとに、画面下のパイプから漂う風船を拾い集めるボーナスステージがある。ゲットした風船の数に応じてボーナス点が加算される。

-ステージが進むと回転棒(通称:グルグル)が設置されるようになる。接触すると回転し始め、触れると弾き飛ばされる。

-バルーントリップモード
--敵が一切いない、強制横スクロールモードのゲーム。
--一面、稲光で構成された迷路の中を潜り抜けながら足場のない空を飛び、時折襲い掛かる雷を避けつつ風船を割っていきながらひたすら進んでいく。
--左方向のみへの強制スクロールは本作品を含めて「スカイキッド」など非常に数少ない。
--本作の目玉とも言えるモードであり、メインとなる対戦モードの他にオリジナルのモードが用意されるのは画期的であった。FC版オリジナルのモードで、アーケード版には存在しない。
---余談だがこのモード、開発末期に当時プログラマーだった岩田聡氏が3日で作って入れたものらしい。

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**長所
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-ルールが至ってシンプル
--相手を倒すには上に行って風船を割るだけ。そして自分が割られるとミス。このシンプルさのおかげで初見での対戦プレイでも取っ付き易く、初心者にも遊びやすい。
---シンプルなゲーム性に魚や回転棒、雷のような仕掛けで変化がつけられている。
-対戦プレイが白熱する。
--『マリオブラザーズ』でおなじみの『やるかやられるか』のサバイバルに走るもよし、2人で協力して敵をやっつけていくのもよし。
---協力プレイのつもりでやっていても狭い画面内にキャラがひしめくので、うっかり相手の風船を割ってミスにしてしまったり、白熱するあまりリアルバトルに発展するなんていうのもこの手の対戦ゲームにはありがちなことで、それゆえに大いに盛り上がり大笑いしたり楽しかったり険悪ムードになったり。それが原因で時には喧嘩騒動にまで発展する場合もあった。

-キャラクターの移動には慣性が働いており、なかなか思い通りに動かせないのだが、そこが短所かと問われればそうではない。
--風船の浮遊で空を移動するという感覚がアナログな操作感と相まってよく伝わってくるし、思うように操作できない焦りもバトルの緊張感に一役買っている。

-グラフィックがきれい。
--背景自体はどのステージでも同一で代わり映えしないが、真っ黒な画面に煌く星空がとても美しく映えており、敵キャラや自キャラも少ないドットで特徴的なデザインがよく描かれている。

-BGMや効果音がコミカルで楽しい。
--敵が飛ぶときの「ぶーん」という音やパラシュートで落下していくときの「ぺっこぴっこぽっこぺっこ……」というコミカルな効果音、風船を割ったときの「パァンッ!!」というリアルな破裂音、雷が飛び出すときの「シュゴーッ!!」という鋭い音、怪魚に食われたときの『ズボッ!!』という音など、とにかく効果音が印象的で小気味よい。
--唯一メロディありのBGMであるバルーントリップモードのBGMは特に有名。作曲はDr.マリオやポケモン、MOTHERシリーズでおなじみの田中宏和。

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**総評
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ファミコン黎明期に主流となった対戦型アクションゲームの名作の1つ。シンプルだからこそ熱中できるその面白さは、今でも色褪せていない。接待ゲームとしてもおススメである。

''ただしケンカしない程度に。''

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**シリーズ一覧
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-&bold(){vs.バルーンファイト(アーケード)}

-&bold(){バルーンファイト(ファミリーコンピュータ)}
--1985年。ハドソンによってPC88に移植された。
--2001年4月14日。ニンテンドウ64『どうぶつの森』にてファミコン家具として収録。後のGC版『どうぶつの森+』『どうぶつの森e+』にも収録される。
--2001年10月19日。『バルーンファイト for Zaurus』としてZaurusに移植。
--2004年5月21日。ファミコンミニのラインナップとしてゲームボーイアドバンスに移植。
--2007年11月13日よりWiiバーチャルコンソールで配信開始。(要500Wiiポイント)
--2012年8月22日から3DSVCで配信。500円
--2013年1月24日からWii Uにて「バーチャルコンソール体験キャンペーン」第1弾として先行配信。期間中30円。

-&bold(){バルーンキッド-Balloon Kid (1990年。ゲームボーイ。国内未発売)}
--ペンシルバニアに住む女の子「アリス」が、風船に捕まったままどこかへ飛ばされてしまった弟「ジム」を探すため、彼が目印に残した風船を頼りに、自ら風船につかまって旅に出るというストーリー仕立ての内容。
--バルーントリップモードを基本に横スクロールアクションゲームの要素も取り入れられており、風船がなくなっても穴に落下しない限りミスにはならず、地面に着地したあと任意のタイミングで自由に風船を膨らまして再び飛ぶことができるようになった。
--ゲームモードは1人専用のシングルの他、どちらが先にゴールに到達できるか競うバトルモード、本家と同ルールのバルーントリップモードの3種類。
--日本国内でも『バルーンキッズ』のタイトルで発売される予定だったが、当時としてはゲームシステムが古いとして発売は見送られた。
---BGMはオリジナル版を担当した田中宏和。本家バルーントリップBGMをアレンジした曲がメインに使われている。
--プログラムはパックスソフトニカが担当。

-&bold(){ハローキティワールド (1992年。ファミリーコンピュータ})
--海外版『Ballon Kid』のキャラをハローキティに差し替えて移植したもの。
--『Ballon Kid』にあったバトルモード、バルーントリップモードが削除された代わりに2P交互プレイが追加された。また一部の敵キャラが差し換えられている。
--移植の経緯や開発会社に関する情報が少なく、任天堂の名前自体がクレジットされていないため『本家バルーンファイトのパクリ』呼ばわりされることが多いが、制作を担当したのは当時、任天堂の子会社であった株式会社マリオであり、れっきとしたライセンス品である。
---なぜ国内版の発売が見送られた作品が、前触れもなく末期のファミコンに移植(しかもサンリオとコラボ)されたのかは地味に謎だが。
--開発はサンリオの子会社『キャラクターソフト』。この会社は既存のゲームのキャラをサンリオキャラに差し替えたキャラゲーを多く制作しており、これもその一つであった。

-&bold(){バルーンファイトGB(2000年。ゲームボーイ(カラー対応)・ニンテンドウパワー書き換え専用)}
--海外版『Balloon Kid』のゲームボーイカラー対応版。内容はそのままに時代に合わせ、セーブ機能とマップ画面が追加された。
--2011年10月19日から3DSのVCで配信されたが、通信対戦はできなくなっている。
--[[詳細はこちら>http://www26.atwiki.jp/gcmatome/pages/1974.html]]

-&bold(){チンクルのバルーンファイトDS(ニンテンドーDS)}
--クラブニンテンドー2006年度プラチナ会員特典。非売品。自キャラがゼルダシリーズのチンクルに変わっている以外はほぼ過去作と一緒。ダウンロードプレイでの二人プレイも可能。唯一DSiで遊べるバルーンファイトである((初期DS、DSliteはGBAスロットでファミコンミニ版が遊べる。また、3DSはVCでFC版が配信されている。))。上記の通り非売品であるが、それなりに数が出てたようで、2015年現在オークションなどで比較的容易に中古品を入手できる。開発はトーセ。
-この他にWiiUのロンチの『Nintendo Land』に、バルーントリップのリメイクが『バルーントリップ プリーズ』というタイトルで収録されている。

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**余談
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-概要で述べたとおり、本作は海外製ゲーム『ジャウスト』が母体となっており、元々それのファミコン移植版が出る予定だった。
--しかし権利関係に折り合いが付かず((当時、家庭用機における『ジャウスト』のライセンスは、アタリが取得していたため。ファミコンの国外での販売を認める代わりにロイヤリティを享受する旨の提案が任天堂から出されたが、結局交渉がまとまらなかったらしい。))既に完成していたROMがお蔵入り。急遽ジャウストのシステムをアレンジすることで作られたのが本作だったというわけである。
--ちなみにROM版ジャウストの開発元はかのHAL研究所で発売元が任天堂になるはずだったが、後の1987年に権利関係をクリアしてから発売された際はなぜかHAL研の単独名義だった。~
しかしながら『ドラクエII』が発売された時期だったこともあり、古いシステムのアクションゲームであったジャウストが話題に上ることはなかった。

-4代目任天堂社長・岩田聡氏のクリエイター時代の功績を語る際、「『ゴルフ』を作り、ゴルフゲームのシステムを完成させた」「『[[MOTHER2 ギーグの逆襲]]』を完成まで導いた」と並んで、本作(FC版)のプログラムを担当したことで代表作として語られることが多い。
--評価点の通り、ボタンの押し具合で細かい機微を調整していく操作性はプレイヤーのみならず開発者からも高い評価を受けており、実際AC版のプログラムを担当した株式会社SRDの中郷俊彦氏は「FC版のほうが出来が良い」として岩田の元を訪れ、様々なノウハウを教わっている。
---そしてこれらのノウハウは『[[スーパーマリオブラザーズ]]』の製作に大いに活用されている。任天堂のアクションゲームは軒並み操作性が良いことで高い評価を受けている作品が多いが、その礎となったのが本作である、とも言える。
--3DS版でのバーチャルコンソールでの配信を記念して番組として配信されている「ゲームセンターCX特別版」では、「社長が課長に訊く」というタイトルで有野課長と岩田社長が対談しながらゲームプレイを行っている。~
岩田氏自身からの開発秘話を聞けるので、一度観てみてはいかがだろうか。

-本作のアーケード版は、「VS.バルーンファイト」の名前でリリースされた。
--効果音やプレイ開始時のジングルはファミコン版と共通であるが、いくつかジングルやフレーズが追加されている。バルーントリップがなく、タイトル文字のデザインが微妙に異なる、フィールドの広さが縦2画面分あるといった違いがある。
--開発は株式会社SRDが担当しており、岩田聡氏は関わっていない。そのためプレイヤーの挙動が少し異なり、総合的な操作性はファミコン版のほうが良い。これについて、SRDの開発者であった中郷俊彦氏が岩田聡氏に相談したことが「[[スーパーマリオブラザーズ]]」の操作性に活かされたという。