バルーンファイト
【ばるーんふぁいと】
| ジャンル | アクション |  | 
| 対応機種 | アーケード ファミリーコンピュータ
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| 発売元 | 任天堂 | 
| 開発元 | 【AC】任天堂、エスアールディー 【FC】任天堂、ハル研究所
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| 稼動開始日【AC】 | 1984年 | 
| 発売日【FC】 | 1985年1月22日 | 
| 定価【FC】 | 4,500円(税抜) | 
| レーティング | CERO:A(全年齢対象) ※ファミコンミニシリーズ版以降より付加
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| 配信 | バーチャルコンソール(FC版) 【Wii】2007年11月13日/500Wiiポイント
 【3DS】2012年8月22日
 【WiiU】2013年4月27日/上記共に500円
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| アーケードアーカイブス(AC版) 【Switch】2019年12月27日/838円
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| 備考 | GBA『ファミコンミニシリーズ』第二弾 2004年5月21日発売
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| 判定 | 良作 | 
| バルーンファイトシリーズ バルーンファイト / VS.バルーンファイト / バルーンキッド
 ハローキティワールド / バルーンファイトGB / チンクルのバルーンファイトDS
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概要
風船につかまって宙に浮かぶ主人公バルーンファイターを操作し、同じく風船につかまって宙に浮く敵と風船の割り合いでバトルするアクションゲーム。
ファミコン版のほうが有名だが、元は1984年に稼動したVSシステムによる同名アーケード版からの移植作である。
プログラム制作が任天堂の外部に委託されており、AC版は株式会社SRDの中郷俊彦(現・株式会社SRD社長)、FC版はHAL研究所の岩田聡(元4代目任天堂社長)がプログラムを担当した。
厳密に言えば完全な任天堂オリジナル作品ではなく、アメリカのゲーム会社ウィリアムスから業務用として発売された対戦型アクションゲーム『ジャウスト』のアレンジ作品に当たる。
本稿ではFC版を解説する。
ルール
ゲームモードは「GAME A(1人プレイ用)」「GAME B(2人プレイ用)」「GAME C(BALLOON TRIP)」の3種類。 
キャラクターの操作方法に違いはないが、ルールやステージ構成・ギミックが異なるため、モードを分けて説明する。
通常モード (GAME A/GAME B)
自キャラクターの操作・特性
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バルーンファイターは2個の風船を体にくくりつけて宙を飛ぶ。
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Bボタンを押しっぱなしにすると自動的に羽ばたいて上昇する。Aボタンは1回押すごとに1回羽ばたく(連打で微調整可能)
 
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自分の頭上にある風船が敵に接触すると風船が1つ割れてしまう。
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風船がひとつになると浮力が低下するため、上昇するためのAボタンの連打数またはBボタンを押しっぱなしにする時間が増加してしまう。
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二人プレイ時、1P、2Pがお互いの風船にぶつかった場合でも風船は割れてしまう。
 
ステージ構成
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全ての通常ステージは、画面下に陸地と湖。空には様々な形をした地面と2つの雲で構成されている。
 ステージ進行によって回転することで動きを制限するギミック「グルグル」が設置される。
ステージクリア条件
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敵キャラである鳥をすべて倒す。
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最後の敵を倒した時点でステージが終わるため、シャボン玉を取っていないと取り逃してしまう。
 
ミス条件
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自キャラの風船が2つとも割れてしまう。
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安全な地面の上にいたとしても風船を全て失うとミスとなる。
 
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画面下の湖に落下する。
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湖の水面スレスレで飛んだときに、水中から出現する怪魚に飲み込まれる。
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一定時間経過後に出現する雷に触れる(風船の残りに関わらずミス)。
ボーナスステージ
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3ステージ終了ごとにボーナスステージが挿入される。
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画面下のパイプから漂う風船を拾い集めていき、ゲットした風船の数に応じてボーナス点が加算される。
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ボーナスステージでは敵が出現することはないため、1人プレイ時には風船が割れることはないが、2人プレイ時であればプレイヤー同士の接触があった場合に風船は普通に割れる。この場合は風船を2つとも割られて落下したとしてもすぐに地上から復帰することができ、ミス扱いにならず残機も減ることはない。
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なお、ここに来るまでに風船を1つ失っていた場合、ボーナスステージの次の面から風船の個数が回復する。
 
 
敵キャラ・ギミック
鳥
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風船を1つだけつけている飛ばない鳥。
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風船を割っても即倒したことにはならず、パラシュートを開いてゆっくり落下していき、地面に着地すると風船を膨らまし始め、風船を膨らましきった後に再びフィールド内に復帰する。
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落下中及び風船を膨らましきる前に体当たりすることで倒すことができる。
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復帰すると敵の色が変わる。緑→赤→ピンクの順に色が変化し、倒したときの得点が高くなる。
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敵はステージ開始直後に風船を膨らまし始めるため、そのわずかな隙に突撃して飛び立たせる前に一掃するということも可能。
 
 
怪魚
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画面下の湖に棲む、敵味方も生死も問わず近づいてきたものを飲み込もうとする巨大な魚。
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水面スレスレに飛んでも怪魚が出て来ないことがある。怪魚は水面下の見えない部分を左右に往復しており、たまたまその近くに来ると飲み込まれるという仕組みのため。
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敵の鳥を飲み込んだ場合、得点は入らず、シャボン玉も出て来ない。これは体当たりで倒して湖に落ちていく鳥でも同様である。
 
雷
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ステージにある雲から斜め方向に一定速度で放出される即死ギミック。
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一定時間同じステージにいると発生する。一画面に2つまで存在する。画面端や地面にぶつかると反射し進行方向が変わる。湖に落ちると反射せず画面外へ消える。
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触れると感電してしまうのはあくまでバルーンファイターのみ。敵にあたっても何も起きず平然と空を飛び続ける。
 
 
グルグル
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ステージが進むと設置されるようになる、行動を制限するギミック。回転棒。
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接触すると回転し始め、触れるとランダムに弾き飛ばされる。
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ステージ開始時は回転していない。その回転していないグルグルの上で鳥が風船を膨らますステージもある。
 
 
シャボン玉
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鳥を倒すことで湖から発生するボーナス。触れると500点。
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鳥を倒さなくても、鳥がパラシュートを開いたまま湖へ落下することでもシャボン玉が発生する。但し、この場合は「鳥を体当たりで倒した」時の得点は入らない。
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前述の通り、怪魚に鳥が食べられた場合は発生しない。
 
バルーントリップモード (GAME C)
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敵が一切いない、強制横スクロールモードのゲーム。
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一面、稲光で構成された迷路の中を潜り抜けながら足場のない空を飛び、時折襲い掛かる雷を避けつつ風船を割っていきながらひたすら進んでいく。時間経過と共にスコアが自動加算されていき、いかに長時間飛び続けてスコアを稼ぐかがこのモードの肝である。
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ときどき漂ってくるシャボン玉を割ると、雷の動きと強制スクロールが一定時間止まる。点数はもらえない。
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左方向のみへの強制スクロールは本作品を含めて「スカイキッド」などが有名だが、その数は非常に少ない。
 
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本作の目玉とも言えるモードであり、メインとなる対戦モードの他にオリジナルのモードが用意されるのは画期的であった。FC版オリジナルのモードで、アーケード版には存在しない。
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余談だがこのモード、開発末期に当時プログラマーだった岩田聡氏が3日で作って入れたものらしい。
 
VS.バルーンファイト(AC版)
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アーケード版は2人プレイ時のみ縦二画面構成となり、レバー上下操作で画面をスクロールさせることができる。
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アーケード版では、永久パターン防止策として長時間同じ高度でじっとしていると横から矢が飛んできて、風船を2つとも割られ強制ミスとなる。矢が飛んでくるまでの時間はディップスイッチで設定可能。
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バルーントリップはFC版で初めて導入されたので存在せず、タイトル文字のデザインも微妙に違う。
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アーケード版はA・Bボタンともに一度羽ばたきで、押しっぱなしの連続羽ばたきはできない。
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効果音やプレイ開始時のジングルはファミコン版と共通であるが、ファミコン版で使われなかったジングルや、ボーナスステージBGMの細部が微妙に異なるなどの相違点がある。
 
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2019年12月27日にNintendo Switchの『アーケードアーカイブス』にてアーケード版が配信開始された。
評価点
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ルールが至ってシンプル
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相手を倒すには上に行って風船を割るだけ。そして自分が割られるとミス。このシンプルさのおかげで初見での対戦プレイでも取っ付き易く、初心者にも遊びやすい。
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シンプルなゲーム性に魚や回転棒、雷のような仕掛けで変化がつけられている。
 
 
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対戦プレイが白熱する。
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『マリオブラザーズ』でおなじみの『やるかやられるか』のサバイバルに走るもよし、2人で協力して敵をやっつけていくのもよし。
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協力プレイのつもりでやっていても狭い画面内にキャラがひしめくので、うっかり相手の風船を割ってミスにしてしまったり、白熱するあまりリアルバトルに発展するなんていうのもこの手の対戦ゲームにはありがちなことで、それゆえに大いに盛り上がり大笑いしたり険悪ムードになったり。それが原因で時には喧嘩騒動にまで発展するなんてこともよくある話であった。
 
 
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キャラクターの移動には慣性が働いているためなかなか思い通りに動かせないが、風船の浮遊で空を移動するという感覚がアナログな操作感と相まって独特な操作感覚を作り出しており、このもどかしさもまたバトルの緊張感に一役買っている。
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グラフィックがきれい。
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背景自体はどのステージでも同一で代わり映えしないが、真っ黒な画面に煌く星空がとても美しく映えており、敵キャラや自キャラも少ないドットで特徴的なデザインがよく描かれている。
 
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BGMや効果音がコミカルで楽しい。
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敵が飛ぶときの「ぶーん」という音やパラシュートで落下していくときの「ぺっこぴっこぽっこぺっこ……」というコミカルな効果音、風船を割ったときの「パァンッ!!」というリアルな破裂音、雷が飛び出すときの「シュゴーッ!!」という鋭い音、怪魚に食われたときの『ズボッ!!』という音など、とにかく効果音が印象的で小気味よい。
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唯一メロディありのBGMであるバルーントリップモードのBGMは特に有名。作曲はDr.マリオやポケモン、MOTHERシリーズでおなじみの田中宏和。
 
問題点
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慣性の働く風船の制御の難しさや狭い画面に障害物や敵がひしめくことも相まってミスしやすい。
総評
ファミコン黎明期に主流となった対戦型アクションゲームの名作の1つ。シンプルだからこそ熱中できるその面白さは、今でも色褪せていない。
接待ゲームとしてもおススメである。 ただしケンカしない程度に。
シリーズ一覧
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バルーンファイト(ファミリーコンピュータ)
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1985年。ハドソンによってPC88に移植された。
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2001年4月14日。ニンテンドウ64『どうぶつの森』にてファミコン家具として収録。後のGC版『どうぶつの森+』『どうぶつの森e+』にも収録される。
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2001年10月19日。『バルーンファイト for Zaurus』としてZaurusに移植。
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2004年5月21日。ファミコンミニのラインナップとしてゲームボーイアドバンスに移植。
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2007年11月13日よりWiiバーチャルコンソールで配信開始。(要500Wiiポイント)
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2012年8月22日から3DSVCで配信。500円
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2013年1月24日からWii Uにて「バーチャルコンソール体験キャンペーン」第1弾として先行配信。期間中30円。
 
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バルーンキッド-Balloon Kid (1990年。ゲームボーイ。国内未発売)
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ペンシルバニアに住む女の子「アリス」が、風船に捕まったままどこかへ飛ばされてしまった弟「ジム」を探すため、彼が目印に残した風船を頼りに、自ら風船につかまって旅に出るというストーリー仕立ての内容。
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バルーントリップモードを基本に横スクロールアクションゲームの要素も取り入れられており、風船がなくなっても穴に落下しない限りミスにはならず、地面に着地したあと任意のタイミングで自由に風船を膨らまして再び飛ぶことができるようになった。
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ゲームモードは1人専用のシングルの他、どちらが先にゴールに到達できるか競うバトルモード、本家と同ルールのバルーントリップモードの3種類。
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日本国内でも『バルーンキッズ』のタイトルで発売される予定だったが、当時としてはゲームシステムが古いとして発売は見送られた。
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BGMはオリジナル版を担当した田中宏和。本家バルーントリップBGMをアレンジした曲がメインに使われている。
 
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プログラムはパックスソフトニカが担当。
 
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ハローキティワールド (1992年。ファミリーコンピュータ
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海外版『Ballon Kid』のキャラをハローキティに差し替えて移植したもの。
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『Ballon Kid』にあったバトルモード、バルーントリップモードが削除された代わりに2P交互プレイが追加された。また一部の敵キャラが差し換えられている。
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移植の経緯や開発会社に関する情報が少なく、任天堂の名前自体がクレジットされていないため『本家バルーンファイトのパクリ』呼ばわりされることが多いが、れっきとしたライセンス品である。
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なぜ国内版の発売が見送られた作品が、前触れもなく末期のファミコンに移植(しかもサンリオとコラボ)されたのかは地味に謎だが。
 
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販売はサンリオの子会社『キャラクターソフト』。この会社は既存のゲームのキャラをサンリオキャラに差し替えたキャラゲーを多く制作しており、これもその一つであった。
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詳細はこちら
 
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バルーンファイトGB(2000年。ゲームボーイ(カラー対応)・ニンテンドウパワー書き換え専用)
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海外版『Balloon Kid』のゲームボーイカラー対応版。内容はそのままに時代に合わせ、セーブ機能とマップ画面が追加された。
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2011年10月19日から3DSのVCで配信されたが、通信対戦はできなくなっている。
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詳細はこちら
 
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チンクルのバルーンファイトDS(ニンテンドーDS)
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クラブニンテンドー2006年度プラチナ会員特典。非売品。自キャラがゼルダシリーズのチンクルに変わっている以外はほぼ過去作と一緒のモードと、全体的にアレンジされたモードがある。どちらもダウンロードプレイで最大4人プレイも可能。唯一DSiで遊べるバルーンファイトである。上記の通り非売品であるが、それなりに数が出てたようで、2015年現在オークションなどで比較的容易に中古品を入手できる。開発はトーセ。
 
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この他にWiiUのロンチの『Nintendo Land』に、『バルーントリップ プリーズ』というタイトルでリメイク版が収録されている。
余談
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概要で述べたとおり、本作は海外製ゲーム『ジャウスト』が母体となっており、元々それのファミコン移植版が出る予定だった。
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しかし権利関係に折り合いが付かず既に完成していたROMがお蔵入り。急遽ジャウストのシステムをアレンジすることで作られたのが本作だったというわけである。
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ちなみにROM版ジャウストの開発元はかのHAL研究所で発売元が任天堂になるはずだったが、後の1987年に権利関係をクリアしてから発売された際はなぜかHAL研の単独名義だった(海外で発売された際はHAL研の名前もクレジットされている)。
 しかしながら『ドラクエII』が発売された時期だったこともあり、古いシステムのアクションゲームであったジャウストが話題に上ることはなかった。
 
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4代目任天堂社長・岩田聡氏のクリエイター時代の功績を語る際、「『ゴルフ』を作り、ゴルフゲームのシステムを完成させた」「『MOTHER2 ギーグの逆襲』を完成まで導いた」と並んで、本作(FC版)のプログラムを担当したことで代表作として語られることが多い。
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評価点の通り、ボタンの押し具合で細かい機微を調整していく操作性はプレイヤーのみならず開発者からも高い評価を受けており、実際AC版のプログラムを担当した株式会社SRDの中郷俊彦氏は「FC版のほうが出来が良い」として岩田の元を訪れ、様々なノウハウを教わっている。
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そしてこれらのノウハウは『スーパーマリオブラザーズ』の製作に大いに活用されている。任天堂のアクションゲームは軒並み操作性が良いことで高い評価を受けている作品が多いが、その礎となったのが本作である、とも言える。
 
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3DS版でのバーチャルコンソールでの配信を記念して番組として配信されている「ゲームセンターCX特別版」では、「社長が課長に訊く」というタイトルで有野課長と岩田社長が対談しながらゲームプレイを行っている。
 岩田氏自身からの開発秘話を聞けるので、一度観てみてはいかがだろうか。
 
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2006年に発売された『テトリスDS』には、本作をモチーフとした「タッチ」モードが搭載されている。また、レベル14のスキンとBGMは本作がモチーフとなっている。
最終更新:2025年08月15日 15:15