「ガラクタ名作劇場 ラクガキ王国」の編集履歴(バックアップ)一覧に戻る

ガラクタ名作劇場 ラクガキ王国 - (2019/10/22 (火) 08:22:03) のソース

*ガラクタ名作劇場 ラクガキ王国
【がらくためいさくげきじょう らくがきおうこく】
|ジャンル|ラクガキRPG|CENTER:&amazon(B00005Y1P9)|
|対応機種|プレイステーション2|~|
|発売元|タイトー|~|
|開発元|タイトー(ガラクタスタジオ)|~|
|発売日|2002年3月20日|~|
|定価|7,140円(税込)|~|
|廉価版|Playstation2 the Best&br;2003年1月16日/3,045円(税込)|~|
|判定|BGCOLOR(lightgreen):''良作''|~|
|>|>|CENTER:''ラクガキ王国シリーズ''&br;''ガラクタ名作劇場 ラクガキ王国'' - 天才ビットくん グラモンバトル -[[ラクガキ王国2 魔王城の戦い]]|
----
#contents(fromhere)
----

**概要
「落書き」をテーマとした異色のRPG作品。~
プレイヤーが描いた落書きをそのまま3Dキャラクター化して戦わせるというユニークなシステムが大きな話題となった。~

----
**ゲーム内容
''ラクガキ''
-プレイヤーが自由に描いたキャラクターが3D立体として変換され3D空間に反映されるというシステムが本作の大きな特徴であり、ゲーム性の根幹をなしている。
--作成するキャラクターは「からだ」「あたま」「あし」「はね」「うで」などのパーツに大別され、「からだ」を基調として各部位を描いて付け足していくことによりキャラクターを作っていく。
---ゲーム開始直後は「からだ」と「かたい」しか使用できないが、ストーリーを進める事で使用できるパーツが増えていく。
--描いた部位に応じた動きが自動的に付加されるようになっている。
---「あし」はくの字に曲げた部分が膝に、「うで」の先端に付けたパーツは指になり、「あたま」に「かたい」を付けると角になったりする。
プレイヤーの発想次第で基本の動き以外にも様々な動作を表現することもできる。
--ラクガキのサイズ及び使用した色は、後述のラクガキファイトにおける自作のラクガキの強さに影響する
--最後に描いたラクガキは、自動的にホームに放牧される。

''描いたラクガキで対戦する『ラクガキファイト』''~
-描いたラクガキは一般的なRPGに近いシステムの「ラクガキファイト」で自分側の駒として使うことができる。
--前述の通り、キャラの性質は基本的に使う色のバランスや大きさによって決定される。
---タイプはメインに使った色で3種に分かれ、赤系・黄色系はこうげきタイプ、青系・緑系はまほうタイプ、白・黒・灰色はバリアタイプになる。

-戦闘システム
--手持ちのラクガキから最大3体を選び、「こうげき」「まほう」「バリア」「チャージ」の4種のワザをターンごとに選んで戦う。
--ルールはじゃんけん方式だが、連続で同じワザは選べないなど独自のルールが存在する。~
ワザはこうげき→バリア→まほう→こうげき…の三すくみになっており、有利なワザを選んだ方はそのターン一方的に攻撃を行える。
---「こうげき」:直接攻撃する高威力ワザ。
---「まほう」:PP(いわゆるMP)を消費して相手にダメージ+状態変化を与えるワザ。
---「バリア」:相手にダメージを与えつつまほうワザをガードできるワザ。
---「チャージ」:相手にダメージを与えられず、全ワザに勝てないが、HP回復+次のワザの攻撃力アップ効果がある。
--PPは毎ターン開始時に自動で1回復する。
--ラクガキは色や形によってタイプや得意ワザなどが変化するため、シンプルながらロジックや読みが重要となっている。

-ラクガキファイト終了後にはラクガキを描くのに必要な「カラー石」が戦闘結果に応じた量をもらうことができる。
--お金はカラー石を換金することで入手でき、ラクガキやペンを購入することができる。

----
**評価点
-自分の書いた「ラクガキ」を戦わせるという斬新なシステム
--誰もが一度はイメージする自分の頭の中のキャラクターを描き、それを戦わせることができる。
--適当にパーツを組み合わせるだけでもちゃんと動くが、工夫をすることで色々な動きを作れるので非常に楽しい。
--オリジナルや二次創作のキャラ、バトル特化のキャラを描いたり単純に面白い動きをする物体を描くなど、自由度は高い。

-シンプルな戦闘
--コマンド選択式のバトルなので複雑な操作はいらず、システム自体もシンプルでわかりやすい。~

-綺麗な風景
--ゲーム内アニメーションはスタジオジブリが手掛けている。

-敵として出てくる沢山の魅力あるラクガキ達。
--3000体以上のラクガキが収録[[(公式ソース)>http://www.garakuta-studio.com/rakugaki1/rival_croquer/index.html]]されていて、様々なデザインとそれらの生み出す動きを眺めるのも楽しい。
---スタッフ以外に、一般の人からプロの漫画家・イラストレーター等[[(公式ソース)>http://www.garakuta-studio.com/rakugaki1/3d/index.html]]といった幅広い人から寄せられたラクガキが収録されており、デザインのバリエーションは非常に豊富。
--ゲーム終盤や裏ボスとして登場するラクガキは不気味さやかっこよさが際立ち、通常のラクガキとは違った魅力を持っている。

**賛否両論点
-戦闘がシンプル過ぎる点
--評価点の一つでもあるが「単調過ぎてつまらない」「同じようなバトルの繰り返しでダレた」と言う意見も多い。
--また戦略性とは言っても所詮やっている事は単なる行動の推測であり、いくら考えても運ゲーの域は出ない。

**問題点
-ロードが長い。
--エリアを移動するたびに長いロードが入るため非常にストレスがたまる。
---育成のために海ギャラリー(ラクガキファイトができる)を何度も利用することになるので嫌でも悩まされるハメになる。

-戦闘テンポの悪さ
--ひたすら戦闘を繰り返すという作業に近いゲーム性ゆえに戦闘テンポの悪さは致命的。
--一回一回の行動が長く、早送りやスキップの様な物も存在しない為、上記したロードの長さと相まって一回の戦闘をするだけでもかなり時間を取られてしまう。

-行動範囲が狭く、できることが少ない。
--ストーリーやマップは作りこまれているものの、プレイヤーが移動できるマップがとても少ない。
--できることは『ラクガキを書く』『ラクガキを戦わせる』位なので魅力ある世界観を能動的に楽しめないのが寂しい。
--町にはたくさんの個性的な住人が居るが、ほとんどは対戦相手としてしか関われない。ストーリーに絡むのもほんの一部。

-ラクガキのタイプでバトルに不利なものがいる
--ラクガキタイプのバリアタイプがこうげきタイプ、まほうタイプに比べて若干弱い。
--まほうを反射できる特有のわざ自体は強いのだが、上級者や高レベルのCPUとのバトルにおいて技相性で勝つと言う状況が少ないため発揮されにくい。

-クリア後に100万ゴールドを集めると裏ボスラクガキ達と戦う事ができるが、それだけのゴールドを集める事は困難。
--カラー石を売る以外にゴールドを稼ぐ方法は無いため、ラクガキファイトをひたすら繰り返すことになり、作業感がとても強い。
--やり込み要素と言えばそれまでだが、100万ゴールドを稼がないと魅力溢れる裏ボスの姿を拝めないのは残念な点である。
---ちなみに裏ボスには余談の「ハクレイのミコ」や、地下ギャラリーのムービーでとあるキャラが使用するラクガキも含まれる。

-プレイヤーが使用できない「半透明」の色がある。
--「半透明」のパーツは「エミリオ」と言うラクガキと、とあるボスラクガキに使用されている。
--半透明パーツは見栄えが良く、デザインの幅が広がるため、使いたかったと言うプレイヤーは多かった。
---この意見を受けてか、後発作の『天才ビットくん グラモンバトル』『ラクガキ王国2 魔王城の戦い』では使用可能になった。

----
**総評
簡単かつ自由に3Dで描けるラクガキと、じゃんけんを元にしたシンプルなシステムで幅広い層に配慮がされており、ゲームに入り込みやすい。~
その一方で、好きな版権キャラをラクガキで再現してみたり、まほうの種類などを厳選したバトル向けラクガキを極めたりなどと、ラクガキ自体の要素も満載している。~
しかし、出来る事が「ラクガキを描いて戦闘をするだけ」しかない事や、単調過ぎた結果飽きやすい戦闘システム等、単調な作業が苦手であったり運要素の強い物が苦手という場合は購入前に良く考えた方が良いだろう。

----
----
**余談
-開発側は絵が上手でなくても楽しめるようにとの理由でタイトルに「ラクガキ」と付けたそうだが、各ゲーム雑誌でプロの絵かきなどが描いたラクガキを大々的に取り上げていた影響もあってか、一般層よりマニア層の方が受けがよく、コアな作品と見られ易い傾向にあった。

-同人シューティングゲーム『東方Project』の製作者であるZUN氏がソフト開発に関わっていた事((当時のZUN氏はタイトー社員であり、本作ではプログラマーとして参加してる。))から、同シリーズの主人公「博麗霊夢」をモデルとした「ハクレイのミコ」というラクガキが登場する。見た目はWin版以降よりPC-98版(所謂旧作)に近い。
--[[本来は開発テスト用のキャラクターであり世に出る予定は無かったのだが、ZUN氏を含めた一部のチームが勝手にクリア後のおまけ要素を実装した事で登場する事となった>https://automaton-media.com/articles/newsjp/20190913-101766/]]。
---ちなみに霊夢の持ち技である「夢想封印」も、このゲームで使用できる漢字を使って適当に技っぽく決めたとの事。

-ニンテンドーDSが発表された当初、開発タイトルとして本作が発表されていたが、結局発売されなかった。本作のコンセプトはタッチスクリーンとの相性抜群であると思われるだけに残念である。

-発売元であるタイトーは本作のタイトルと同じ「ラクガキ王国」の名称でアミューズメント施設を経営している。

----
**その後の展開
-TV番組『天才ビットくん』の中でこのゲームのシステムを利用したコーナーが存在した。
--視聴者投稿のキャラを描き、このゲームの戦闘システムで戦わせるというもの。このゲームを知らなくても戦闘システムなどを知っている人がいたりする。
--後に『天才ビットくん グラモンバトル』として独立したゲームソフトとなった。本ソフトのラクガキデータを流用する事も出来る。

-続編として『[[ラクガキ王国2 魔王城の戦い]]』が発売。続編だがジャンルがアクションに変わり、本作との話や世界観のつながりも無い。
//--ラクガキ制作の自由度やインターフェースの大幅強化、自分で技や動きを設定したり出来るようになり、よりイメージ通りに作れるようになった。今作で問題だったロード時間の長さも改善されている。
//--作風は描いたラクガキを自分で動かしてステージクリアする箱庭アクションゲームになり、登場人物・世界観・ストーリー性も方向が大きく変わっている。

-2019年冬には本シリーズの流れを汲んだスマートフォン向けRPG『ラクガキキングダム』がリリース予定。
--シリーズ恒例となるZUN氏の「ハクレイのミコ」は事前登録特典としての配布が決定されている。