本記事では『電撃文庫 FIGHTING CLIMAX』のアーケード版と、その移植作である家庭用版を解説する。 ---- #contents(fromhere) ---- *電撃文庫 FIGHTING CLIMAX 【でんげきぶんこ ふぁいてぃんぐ くらいまっくす】 |ジャンル|2D対戦格闘|&image(http://image02.seesaawiki.jp/d/c/dengeki_fc/68b61c0572a6d4e5.png,width=400)| |対応機種|アーケード|~| |発売元|セガ|~| |開発元|エコールソフトウェア&br()フランスパン|~| |稼働開始日|2014年3月18日|~| |判定|なし|~| |ポイント|電撃文庫創刊20周年記念作品&br()初心者に優しい対戦格闘ゲーム&br()20周年なのに集大成というよりは旬の作品贔屓&br()キャラ選出に疑問の声も&br()電撃文庫と噛み合わないセガ要素|~| |>|>|CENTER:''[[電撃文庫シリーズリンク>電撃文庫シリーズ]]''| **概要 電撃文庫創刊20周年記念作品としてセガと共同で企画された電撃文庫作品の対戦格闘ゲーム。~ プレイアブルとなるキャラクターとサポートキャラを選び対戦していくという、わりとオーソドックスなシステムで、昨今では珍しい2Dドットで描かれたゲーム。~ 15周年記念作品『[[電撃学園RPG Cross of Venus]]』は比較的幅広い作品からメインキャラが用いられていたが、本作は稼働当時の話題作や人気作品を中心にプレイアブルキャラが選ばれている。~ サポートキャラの作品採用幅は意外と幅広いが、基本的にはプレイアブル作品のサブキャラの採用が多め。 **ゲームシステム -制作元からわかるように、ゲームの雰囲気としては一言で言えば『MELTY BLOODシリーズ』や『[[UNDER NIGHT IN-BIRTH]]』に近いシステムになっている。 --操作ボタンは4つ、弱・中・強と本作特有のサポートキャラを呼び出すボタンを使用する。 --技の出し方などは基本的な格闘ゲームと同じコマンド入力。サポートはレバーのニュートラルor横入力の二種類で出し分ける。 ---格ゲー初心者に配慮し、「P4U」と同じく昇竜拳コマンドは使われていない。 --クライマックスゲージと呼ばれる、いわゆる技ゲージを消費する必殺技もある。最大5ゲージ分まで溜まる。 -クイックコンビネーションシステム --Aボタン(弱攻撃)を連打していくだけで基本コンボが自動で出せる。((ほとんどのキャラが弱>中>強>立ちインパクト>EX必殺技。EXの後に手動で「クライマックスアーツ」を出す事ができれば十分に対戦ができる。)) --格闘ゲームが苦手なプレイヤーがぶち当たりやすい「コンボ」の概念を極めて簡略化したシステム。 --また、本作はA連を搭載しているゲームでは珍しくしゃがみ・空中でもコンボが出る。 --もちろん、弱>中>強>…とボタンを順番に押していく事でも技が繋がる。 -インパクト --コマンド不要・ボタン同時押しのみで出せる、相手の攻撃を防ぎながら攻撃する必殺技。更にヒット時にゲージがあればキャンセルでコンボに移行できる。 --レバーをニュートラル、前、下に入れながら出すと、各キャラごとに性能が異なる「インパクトスキル」となる。レバーニュートラルor前版は突進攻撃、レバー下版は対空攻撃として機能するものが多い。 --レバーを後ろに入れながら出すと、中段技の「インパクトブレイク」となる。ボタンを追加入力すると相手を打ち上げ、自分も同時にジャンプして空中コンボが可能。 --どれも強い攻撃だが、当て損ねたりガードされた場合には大きく隙を晒してしまう。 -サポート --サポートキャラに戦闘をアシストしてもらい、飛び道具などでの立ち回りの強化やコンボ中に攻撃を差し込んでコンボを伸ばすことができる。 --自分が行動出来る状態でサポートボタンを入力すると、サポートゲージを消費して呼び出すことができる。 --サポートキャラは一キャラにつきそれぞれ二つの技を持っており、ボタン入力時にレバーをニュートラル、もしくは横方向に入れる事で使い分ける。 ---技には三つのカテゴリ((通常攻撃効果の「ATTACK」、打ち上げや多段技でコンボに繋ぎやすい「SP ATTACK」、当て身・回復効果の「DEFENSE」。))が設定されており、サポート選択画面で大雑把にだが効果を確認することができる。 --通常状態ではサポートを呼び出した際に操作キャラがポーズを取るため隙ができてしまう。また、空中での呼び出しはできない。 --コンボ中に呼び出した場合は緑の光輪を伴った隙のない「キャンセルサポート」となりコンボを伸ばすことができるが、サポートゲージに加えクライマックスゲージを一つ消費してしまう。 ---だが、後述の切り札ゲージがある状態ではキャンセルサポートのクライマックスゲージ消費が無くなり、しかも通常状態での呼び出しもキャンセル扱いに、空中での呼び出しも可能になるため、サポートを絡めた固め・めくり・ラッシュが容易になる。 -切り札 --パワーゲージ上にある「電撃マーク」の回数だけ使える強力な必殺技。 ---電撃マークの初期所持数と所持上限は2、ラウンドを取られるごとに1個補充。 --マークが青いキャラは自己強化をし、赤いキャラは攻撃をする。攻撃については全キャラ非常に威力が高い(生当てで体力の4割持っていくほど)上に、非常に早い中段攻撃となっているのが特徴。 --また、切り札を使った後は電撃マークがゲージに変化し、キャラの性能が一時的にアップする。 -クライマックスアーツ --クライマックスゲージを二つ消費して放つ大技。全キャラに「コンボ用」と「乱舞技」の二種類づつ設定されている。 --美琴ならレールガン、キリトや黒雪姫ならスターバースト・ストリームとおなじみのものが揃っている。 --コマンドはレバー半回転のいわゆる「ヨガコマンド」。 --コンボ用は威力重視でコンボに組み込まないと当てづらく、乱舞技は威力は低いが無敵があるため「必殺技に相殺を取られたときなどの返し技用」、また乱舞は当てるとブラストゲージを20%回収する効果があるのでダメージを取るかゲージを取るかの兼ね合いになる。 -ポテンシャル --戦闘中に条件を満たすと発動する追加効果。一定時間攻撃力アップやゲージが一本増えるなどの恩恵が受けられる。 --条件はキャラごとに異なり、シャナとキリトは「攻撃を一定回数当てる」、黒雪姫は「一定回数ガードする」など、キャラに合わせた条件になっている。 -リフレクションガード --ガード中に攻撃ボタン二つを同時押しすると相手を押し返すことができる。カプコンゲーで言えばいわゆる「アドバンシングガード」。 --通常はパワーゲージを消費して使用できるのだが、本作では相手より体力で負けているとゲージ消費なしで使用できるという劣勢側に有利な仕様になっている。 --ゲージが尽きていても出すことができる、そのため、本作を固めの持続が難しい、つまり「防御側が強い」ゲームとしている。 ---ただし唯一、雪菜だけがポテンシャル効果によって相手のリフガを無効化できる。 ---かなり強いシステムだが、操作が「ボタン二つ同時押し」であるため、攻撃側が攻撃を遅らせたり攻撃しなかった場合、他の技が(それもほとんど隙の大きい技((弱・中でインパクト、弱・強で切り札、中・強で強攻撃。中強で出すのがベターとされている。))が)暴発しやすくなっている。((最も、攻撃が遅れて出るインパクトブレイクに暴発したレバー下インパクトが刺さる事も多いのだが)) -ブラスト --ブラストゲージが100%の時に攻撃ボタン三つ同時押しで発動する所謂「バースト」系のシステム。 --三種類存在し、通常時はゲージ・攻撃力が増加する紫色の「パワーアップブラスト」、コンボ中は相手を空中に打ち上げて追撃可能な水色の「コンボブラスト」、ガード・ダメージ中は相手を吹き飛ばし追撃を回避する緑色の「エスケープブラスト」となる。 --本作ではこのうちパワーアップブラストが非常に強めに調整されているのが特徴。これは攻撃力上昇の他に、ゲージが1本増加(相手にヒットさせれば2本増加)効果中は体力とゲージが自動回復。再使用までのクールタイムが短いため。 --コンボブラストはパワブラからヒット時のゲージ追加と攻撃力アップ効果を抜いたものとなっており、隙の多い技のフォローや「殺しきり」などに使われる事が多い。 ---一方エスケープブラストは当ててもゲージどころか何のボーナスも得られない上にブラストゲージの溜まる速度が遅くなるなど、最低でも1ゲージは手に入る他二種とくらべて使いづらくなっている。((ゲージが重要な本作では、特に対戦序盤でのエスブラは大きなハンデとなってしまう。)) **参戦キャラクター #region(参戦キャラクター一覧) プレイアブルキャラは''太字''で表記。 |灼眼のシャナ|''シャナ''、ヴィルヘルミナ・カルメル| |とある魔術の禁書目録|''御坂美琴''、上条当麻| |ソードアート・オンライン|''キリト''、''アスナ''、リーファ| |アクセル・ワールド|''黒雪姫''、ハルユキ| |俺の妹がこんなに可愛いわけがない|''高坂桐乃''、黒猫| |デュラララ!!|''平和島静雄''、セルティ・ストゥルルソン| |ロウきゅーぶ!|''湊智花''、イノセント・チャーム((袴田ひなたの二つ名で、彼女の幻という設定。本人は智花の技演出に登場する。))| |ブギーポップは笑わない|ブギーポップ| |キノの旅|キノ| |狼と香辛料|ホロ| |電波女と青春男|藤和エリオ| |はたらく魔王さま!|真奥貞夫| |ゴールデンタイム|加賀香子| |さくら荘のペットな彼女|椎名ましろ| ver1.10から追加 |魔法科高校の劣等生|''司波深雪''、司波達也| |とらドラ!|''逢坂大河''、高須竜児| Ver1.20から追加 |ストライク・ザ・ブラッド|''姫柊雪菜''、暁古城| |ブラック・ブレット|''里見蓮太郎''、藍原延珠| Ver1.30から追加 |とある魔術の禁書目録|一方通行| |デュラララ!!|折原臨也| |撲殺天使ドクロちゃん|ドクロちゃん| ボス |[[バーチャファイター]](Ver1.30からプレイアブル化)|''結城晶''、パイ・チェン| |[[戦場のヴァルキュリア]](Ver1.30で追加。隠しボス)|''セルベリア・ブレス''、アリシア・メルキオット| #endregion **評価点 -電撃オールスターというコンセプトで以前から求められていた格闘ゲームというジャンルを実現させたこと。 --また、ニーズをよく理解し、安易に3Dにせず2Dドットを選んだことは、今の時代では結構思い切った決断といえるだろう。 -初心者にも優しいゲームシステム。 --格闘ゲームというのはプレイヤー同士の「駆け引き」を楽しむものだが、殆どの格ゲーは初心者がその駆け引きについていける様になるまでが大変な事が多い。だが本作は「キャラ毎のできる事の違いが少なめ」「共通システムさえ把握していればなんとかなる」((もちろんキャラ特性の把握は重要であり、何も知らなくても良い、という所まではいっていない))という作りをしているため、対戦として成立する戦いができる様になるまでのハードルが他の格ゲーと比べてかなり低い。 --ほぼ全てのキャラが「○○ができるリュウ」というコンセプトで作られており、好きなキャラでゲームを始めやすく、他作品でありがちな「惚れたキャラが上級者向けキャラだった」ということが少ない。 --難しいコンボは少なく、「仕込み」などもあるが細かいコマンドテクニックを要求される事はほぼ無い。((但しコンボが簡単な代わりに入力受付がシビアめに作られている。ちょっとタイミングを逃しただけで通常攻撃がつながらないことも。)) ---しかも「HPをリードしている側の攻撃が少し弱くなる」「HPが3割を切ると一定時間攻撃力10%アップ((「自分だけが1本取られると負けになるラウンド」なら20%アップ。))」など、劣勢側に優しいシステムが搭載されている。 --この点には否定意見もあるが、本来電撃文庫を読む層がゲームセンターに通う層かどうかと言われると微妙ではあったことから、読者層的には最適であったと言えるかもしれない。((実際、アーケード版稼動直後には、格ゲー慣れしていない中高生の一団を見ることができた。)) --プレイ方法の解説動画も公式サイトにて公開されており、しかもそれ用に先生と生徒という形の配役で声優の佐々木篤と明坂聡美が解説を丁寧に行っている。 -細かい原作再現。 --黒雪姫のレッド・ブルー・グリーンの三色選択式オーバードライブの再現を始め、非常に細かい原作再現が行われている。 --アスナのCA技「マザーズ・ロザリオ」等、開発当時はまだアニメに登場していなかった技もしっかりと再現。 --ネタ方面の再現も忠実。ファンをニヤリとさせるネタが随所に盛り込まれている。 ---美琴の切り札「ちぇいさー!((自動販売機を蹴り壊し、その際の放電でダメージを与える。))」、アスナの切り札「鉄拳正妻((誤字ではない。))」などがネタ筆頭だが、大河の必殺技「雪ソリ特攻」なども原作への愛と細かい読み込みを感じさせる。 ---ただし、智花のEX必殺技「ワンハンドジャンプシュート((相手をボールにしてゴールに投げる。比喩ではなく本当にボールになる。))」など、原作ではネタでも何でもないのにネタ技にされたものや、静雄の「乱舞技が無敵ではなくアーマー((静雄の「やられても我慢して突進する」所を表現している…のだがHPが尽きると普通にKOされてしまうので他のキャラと比べると頼りない))」という行き過ぎた原作再現などについては賛否両論である。 -良質なバトル前の掛け合い。 --「智花やシャナに悶えるオタクの桐乃」「シャナの刀・贄殿遮那を欲しがる刀好きのキリト」「声優が同じために他人とは思えないシャナと大河((ちなみにこの二人はカラーチェンジで互いの衣装に変えることが可能。))」など、戦闘前の掛け合いが充実している。 --ただしそういった細かいネタを拾う一方でメインシナリオはあってないようなもので、どのキャラも「異世界に飛ばされ、怪しい奴と出会ったのでとりあえず戦う」というもの。 ---しかも敵は全ステージ「黒幕・絶無が電撃キャラに化けたもの」であり、敵として出てくるキャラの台詞も「絶無が電撃キャラの口を借りてキャラとは関係のない恨みつらみを並べ立てる」というもの。実際のキャラ同士の会話はエンディングのプレイヤーキャラと対応キャラ一人との二、三言程度のみとなってしまっている。 ---後に発売された移植版ではキャラ本人同士の掛け合いが楽しめる「ドリームデュエル」モードが搭載された。 -2Dドット絵は比較的良く出来ている方。 --キャラ絵は全般的に綺麗に描かれており、原作のイメージを著しく崩すなどといったことはほとんどない。 ---また、高坂桐乃のようにどんどんコスチュームチェンジしていくキャラなども割合違和感なくテンポの良い描写になっている。 --但し、手間をかけない様にしているのか、同社の「UNI」「メルブラ」と比べるとコマ数が少なく、動きが固く感じる様になっている。 -プレイアブルキャラに限れば全員声優はTVアニメを主に基準としたオリジナルキャスト。 --サポートに関しては一部変更されたキャラもいるが、少なくともプレイアブルに関して言えば馴染みのない人選ではない。 -サポートシステムの存在により、目立ってゲームバランスが崩壊しているわけではないこと。 --そのため、コンボ構築などもある程度幅が広く、やはり定石はあるがそれを崩す戦法も考えられる。 --プレイアブルとサポートの組み合わせの相性はキャラにより当然異なるため、弱点を補ったり、長所を補強したりすることが可能。 ---ゲームバランスの良し悪しから離れた話ではあるが、同作品のキャラクター同士がプレイアブル・サポートと組むと特殊な台詞(掛け合い)が出るキャラがいる。 --プレイアブルキャラのみでいえば所謂「強キャラ」と呼ばれているのがスタンダードさと機動力とリーチを兼ね揃えるシャナと、対空性能と空中戦が非常に強い桐乃などだが、今のところは際立った壊れキャラなどは居ない。キャラの強弱より使い込みとやりこみがモノを言うバランスにはなっている。 --対して「弱キャラ」と呼ばれているのが平和島静雄。技が大振り、かつ攻撃を出す方向が上方向に集中しており、下段が薄い。原作では超怪力なのだが、本作では単発火力がそれほど高くなく、システム上まとまった火力を出しにくい。 **問題・賛否両論点 -キャラゲーとして見るとキャラ数が少なすぎる。 --稼働初期のキャラ数は8人。格闘ゲームの初期人数として見れば決して少なすぎると声を荒げるほどではないのだが、キャラゲーとして見てしまうとあまり充実しているとは言えない。 ---後に3度のアップデートによって14人となった。ただ、後述するが、キャラが増えたと言っても2名はセガのキャラクターであるため、電撃文庫ファン的には喜べない、あるいは他に入れられるものがあったのでは?と言われがち。 --一応、完全新規の格闘ゲームとして考えれば極端に少ないわけではないのだが、電撃文庫という広いファンを持つレーベルのことを考えると少ないと言わざるをえない。下記で述べる参戦作品の偏りもあるため、この参戦人数は多くのファン・プレイヤーが不満を感じている((「キャラが少ないのは初心者がキャラ対策を覚えやすくするためではないか」という声もある。))。 --サポートキャラはその代わりと言うべきか、そこそこの充実具合ではある。しかし、その半分くらいはプレイアブルの芽がありそうで惜しい。 ---2Dドット絵であることは本作の評価点ではあるが、グラフィックを3Dにして製作負担が軽減され、キャラクターが増える余地がもしあったのであればその方が良かったという声も((但し、キャラが増えれば調整などの手間も増え、フランスパンが2Dをメインに活動している会社である事も考慮すると「3Dにすれば手間が減る」とは一概には言い切れない。))。 -プレイアブル化選定の基準が疑問。 --「20周年記念作品で歴代の電撃文庫作品が参戦」と言う名目ではあるが、実際には''『旬の人気作品を優先、過去の作品はオマケ』''程度の人選となっている。 ---例えば、明らかに戦闘とは縁のない作品である『俺妹』や『ロウきゅーぶ!』のキャラがプレイアブル。その一方、人気・知名度ともに高い戦闘系作品『キノの旅』や『ブギーポップ』のキャラはアシスト扱い。 ---『電撃学園RPG CROSS of VENUS』では、戦闘向きのキャラをメイン、戦闘向きでないキャラをサポートとしてうまく作用させていたのを見ると、チグハグな感が見られる部分が多々ある。 ---5年前の作品にして、企画元も情勢も違うとはいえ、上記のRPGと比較して削られた作品が非常に多い。同作でメイン作品だった『イリヤの空、UFOの夏』、『乃木坂春香の秘密』、『アスラクライン』は本作ではすでに完結しているので販促効果に乏しいためか、一切参加していない((しかし本作には完結済の作品もいくつか含まれているため、やはり惜しむファンもいる。))。 --基本的に『プレイアブル1人・アシスト1人』もしくは『アシスト1人』と言う参戦であるが、『ソードアート・オンライン』のみ『プレイアブル2人・アシスト1人』と優遇されている。 ---なお、同作者の作品『アクセル・ワールド』からもプレイアブル(とアシスト)が参戦しているため、作者一人に対しプレイアブル3人の参戦となり、初期8人のうち1/3程度を占めていた。 ---『ロウきゅーぶ!』については、技演出などで主要キャラ5人全員が登場するのである意味では優遇されているとも言える。 ---また、Ver1.30では既存参戦作品から『禁書』の一方通行と、『デュラララ!!』の折原臨也が、サポートキャラではあるが追加された。 --『関連商品の販促となり、若いユーザーに人気のある旬の作品を優先』と言うのは分かるし、そういう基準で考えれば、決して不自然な選出は存在しない。だが、『20周年記念のオールスター作品』と考えた場合、過去の作品のファンにとっては『昔の作品のキャラをもっと出して欲しかった』と思うのも無理からぬ選出となっている。 --人気中心の構成なのは作品内のキャラ選定からもかなり露骨に出ている部分がある。 ---例えば『禁書』は主人公が上条当麻、メインヒロインがインデックスであるが、メイン参戦はスピンオフ作品『[[とある科学の超電磁砲]]』の主人公でもあるファン人気の高い御坂美琴。サポートとしては主人公の上条当麻はともかく、後に追加されたのは一方通行。ファン人気が高く、見せ場の数としても妥当と言えば妥当なのだが、意図の有無を問わずインデックスに対する公式ディスリスペクトになっていることは否めない((『電撃学園RPG』ではメインヒロインとして作品を代表する活躍をしているだけに、比較すると余計そう見えてしまう部分も。))。 //キャラ選定の話に性能の話題はいらんやろ。 ---『デュラララ!!』も、主人公であるセルティ((あとがきで主人公と明示されてはいるが、『デュラララ!!』は群像劇作品なので「主人公」とはっきりと断言できるキャラは実際のところいない。ただしセルティは本作を象徴するキャラで、シナリオ上の基軸でもあり、主人公という言及抜きでもまず間違いなく中心人物と言える。))がサポートとなり、メインシナリオへの絡みがやや薄い平和島静雄がプレイアブル参戦となっている((静雄はファン人気が高い上に、優男系のキャラクターが多いラノベ界では貴重なパワーキャラなので、キャラクター間バランスの都合も参戦に関係しているのだろう。))。セルティはこういった何でも有りなゲーム向きの能力を持っているはずなのだが…。 ---『灼眼のシャナ』は、シャナとは別のもう一人の主人公である坂井悠二に至っては、プレイアブルはおろかサポートですら未登場。悠二は原作終盤にて敵になるため、ネタバレを避けようとした配慮の可能性もあるが、勝利台詞の中にはそのネタバレが含まれるためにちぐはぐ。しかも電撃学園RPGと同じように通常時で参戦する可能性も奪ってしまっている。また、今作は電撃文庫からは敵キャラクターの参戦が無いため、一人だけ角を立てるような真似を避けたのだろう((セガからはセルベリアが原作においては敵キャラクターである。))。 -一部のキャラの仕様についての賛否。 --『アクセル・ワールド』から参戦の黒雪姫とハルユキのデュエルアバターは、本作では黒雪姫のビジュアルを維持するためか、ジョジョの奇妙な冒険のスタンド的な扱い((ハルユキの場合は、ブタのアバターがデュエルアバターの肩に乗っているという演出になっているため、違和感は薄いが…。))となってしまっている。アニメ等の描写を重視するならむしろ変身したような扱いなのだが、そのためデュエルアバターで戦っている感が薄い。 ---別にデュエルアバターのデザインが不評を買っているから、などの事実はない。どちらかと言えば『萌え』を重視するファンのニーズに合わせたといったところだろう。始終デュエルアバターで会話されても絵面が悪いのは確かなのだが、他にやりようはいくらでもあったはずである。 --ごく普通の小学生バスケが題材になっている『ロウきゅーぶ!』の智花はカバンを振り回したりモップをかける、花火で遊ぶ((花火で攻撃するのではなく、笑顔で花火をしながらバケツをスライドさせ、それをぶつける。))などの日常行動に加え、''相手をボールにしてシュートをしたり((『AC北斗の拳』のような比喩ではなく、本当にボールにしてゴールネットに投げる。尤も20年前の『ヴァンパイアハンター』でザベル・ザロックが既にやっているが。))、ゴールを凍らせてを落とす、どこからともなくチームメイトが現れて攻撃する''、5人でボコボコにして''「小学生は最高だぜ!!」''((原作及びアニメで主人公の長谷川昴(主人公で、5人のコーチを努める男子高校生)がチームメンバーの上達の早さに感心して口にした台詞だが、ネット上では別の(ロリコン的な)意味で使われることが多い。))と''自分たちで叫ぶ''等、[[イナズマイレブン]]もビックリな超次元バスケになってしまっている。原作を知らない人が見たら「そういう作品」と勘違いするレベルで、無理矢理プレイアブルにした感がありありと出てしまっている。((当然、原作には日常行動を除いた超次元バスケな要素は存在していない。せいぜいアニメでシュートのときに天使の翼が現れる演出があるのみ。)) ---格闘ゲームで、本来原作で特殊能力を持たないキャラが人外的能力を得るのは悪い訳ではなく、例えば同社製作の過去作『MELTY BLOOD』では(PC版だが)とある現象の影響を受けたことによって人外的能力得たという説明がされている。各作品のカラーが存在するオールスターものでそれが成立するかはやや疑問が残るが、理由付けがないよりはあるほうがマシであったのは確かだろう。 ---確かに他社のクロスオーバー作品では『[[ULTIME MARVEL vs. CAPCOM3>http://www26.atwiki.jp/gcmatome/pages/1215.html#id_29c9ae2c]]』での[[ナルホドくん>逆転裁判シリーズ]]、『大乱闘スマッシュブラザーズfor3DS/WiiU』でも[[むらびと>どうぶつの森]]等が日常行動で戦っているという事例もある。ただし、それらはバトル向きの有名・看板キャラクターが概ね出演しているのに対し、本作は先の通りある程度歴史のある作品及びバトル系の作品を差し置いて登場している点が不満としてあげられているため単純比較は出来ないだろう。 ---チームメンバーとして技中に登場するひなたは、「イノセント・チャーム(原作での二つ名)」の名でアシストキャラとしても参戦。こちらは「ひなたの姿を模した幻影」という設定になっているが、昴も出ていないのに同じキャラを無理に出す必要はあったのだろうか。 --『俺の妹がこんなに可愛いわけがない』の桐乃は『ポケットファイター』のようにコスプレしながら戦うキャラになっているが、こちらは原作及びアニメからこういったギャグ・コメディが強いノリなので上記2名と比べると批判は少ない。 -「ゲームシステム以外の所」があまり初心者に優しくない。 --上記の通りシステムは初心者の事をよく考えて作られているのだが、「初心者がそのシステムを覚えるまでの筋道」がうまく作られていない。 --アーケード版ではクレジットを入れてキャラを選択すると会話パートの後すぐに戦闘が始まるのだが、ここまでに操作説明は一切なされない。アケ格ゲーとしては別段おかしくは無いのだが、このゲームが「格ゲーを触ったこともないラノベ・アニメファン」に向けて作られている事を考えると疑問が残る。 --一応操作説明は筐体上部のインストラクションカードがあるのだが、「ALL.Net P-ras MULTI」はゲーム選択基板であるため、他のゲームのものが付けられている事も多い。その上このゲームはボタン同時押し操作が多いため、何も知らないままでは、格ゲー初心者はどういう行動ができるのか見つけ出すのも難しいだろう。 --ゲーセンでは、初心者がチェーンコンボや超必殺技どころか「A連打でコンボが出せる」という初心者救済操作すら教えられないままゲーム中盤まで進んでしまい、単発攻撃しか出せずにやられてしまう姿も散見される。このゲームのCPU戦はコンボが出来ないと単調になってしまうため、そのようなプレイヤーから「退屈なつまらないゲーム」と認識されてしまう可能性が否めない。 --ちなみに、APMの先祖とも言える「MVS」のゲーム(KOF等)はインストが小さいためあまり説明が書けず、インストが付けられていないケースも想定しゲームを始めると必ず操作説明画面が始まる様になっていた。このゲームでもせめてA連くらいは説明するべきだったのでは無いだろうか。 -電撃文庫と関係の無い無理やりなセガ要素。 --電撃文庫のオールスターゲームなのに、セガのゲームキャラクターが一部出張っていることにも疑問の声はある。 --このゲームは元々「電撃文庫20th冬 大感謝プロジェクト」の一つ、「電撃文庫 vs SEGA」の第四弾として企画されている。これ以前に、セガハードを擬人化した『セガハードガールズ』とコラボし、『現代日本にやってきたセガの女神にありがちなこと』のタイトルで電撃文庫から小説化されるなどの企画が進行していた。 ---ストーリーでナビゲーターとなる「電神」は姿こそ『セガハード・ガールズ』の「ドリームキャスト」その人だが、あくまで「電神」であり、アニメ・漫画・小説のドリキャスとは違うキャラ付けをされている。 --ラスボスが電撃文庫に関連が無い上に世界観も合っていない『[[バーチャファイター]]』のアキラとパイ。少年少女キャラの中に筋骨隆々で浮いてしまっている。 ---一応ラスボスアキラは「黒幕である絶無が電神を取り込み化けた」という設定があり、「セガの代表キャラ((ちなみにバーチャ・電撃どちらも20週年という繋がりでもある))」として選ばれたというフォローはできなくはない。それにしてもやはりというべきか「セガのキャラを起用するにしても他にもっといい人選が出来た筈」という声が多かった。 //---そのためか、Ver1.30で『[[戦場のヴァルキュリア]]』のセルベリアが追加されている。 --Ver1.30において、『[[戦場のヴァルキュリア]]』のセルベリアがプレイアブルに追加され、同時にアキラがプレイアブルに格上げされた。先の通り参戦キャラが万全と言えない中、電撃キャラを差し置いて追加されたことについては疑問が残る。 ---彼らのストーリーはアーケード・家庭用のドリームデュエル共に用意されていないが、これは当然とも手抜きとも賛否両論である。同様に担当声優である三木眞一郎と大原さやかからの声優コメントも収録されていない。 --ステージもセガのゲーム([[ソニック>ソニックシリーズ]]、[[セブンスドラゴン2020]]、[[バーチャロン>電脳戦機バーチャロン]]等)がベースになっているものばかりで、電撃文庫要素が全く無い。 ---しかも背景は無人で閑散としている。原作のモブキャラが背景にいれば「電撃キャラがセガゲーに入り込んだ」という風に見ることもできたかもしれないが、これではただ「なぜか電撃キャラがセガゲーを背景に戦っている」という印象にしかならない。これでは電撃ファンもセガファンも喜ばないであろう。 ---スタッフ側は電撃文庫を背景にしたステージを用意しなかった件について「セガのゲーム世界で戦うというストーリー/世界観だから」「別作品のキャラクター同士が戦う理由が説明しづらいから」と回答している。しかし、家庭用追加のドリームデュエルではセガ世界に関する言及は一つも無く、おまけにセガキャラは電神を含めて一切登場しないため、全てのパターンにおいて仮にどちらかの電撃文庫の世界での会話だったとしても話が成立してしまうものになっている。結果、わざわざステージから電撃文庫の要素を排除した意味は無くなっている。 --中途半端にセガ要素を入れるならいっそ『セガ vs.電撃文庫』の様にちゃんとしたクロスオーバー企画にしても良かったのではないだろうか? -勝利時の台詞が原作の丸写しだらけ。 --一部の台詞は、新しく書き起こされていたり、大河の「学校生活をモルグに~」→「格ゲー生活を~」のように改変されてはいるものの、その他のほとんどが原作からそのまま持って来ただけになっており、その結果、文脈のおかしいものが出てしまっている。 ---例として、倒した対戦相手に向かって「おまえ、迷惑なのよ」と言い放つシャナ((原作での特定のキャラへの台詞が対戦相手への煽りのようになってしまっている例は多い))、セガの世界にいるはずなのに「この世界で生まれてずっと暮らしてきたみたいな気がする」と言い出すアスナ、格ゲーなのに「レベル制MMOの理不尽さ」について語りだすキリト…など。 --掛け合いではないため、下手に水増ししようとせずにすべて原作者に書き起こしてもらった方が良かったのではないだろうか…? -サウンド面の問題。 --SEがショボく、爽快感がない。音量も小さい為ボイスに隠れてしまっているのも多い。 ---格闘ゲームとしてはぬるめな調整であることが、それに拍車をかけているとも。 ---アニメで印象的だった上条当麻の「幻想殺し」等もオリジナルのSEになっている他、各キャラクターの効果音は一切映像化作品に即していない。 --BGMもあまり印象に残らない。 ---今作のBGMはすべてオリジナルとなっている。ステージとなっているセガゲーのBGMや電撃原作アニメの主題歌・BGM等は一切使われていない。 ---SEと同じく音量が小さくゲーセンでは聴き取りづらいものの、ちゃんと聴けば印象的なパートこそ少ないがクオリティの低いものではない。とは言え、「素直にセガゲーのBGM使えばよかったのに」という声も多く上がった。 ---一応、PSO2、ソニック、ナイツなどのステージでは、それぞれの原作ゲームに関わった作曲家がBGMを手掛けている。…のだが、ゲーム中のサウンドテストには作曲者は表記されていない。((PSO2は小林秀聡氏、ソニックは瀬上純氏、ナイツは幡谷尚史氏である事が家庭用特典冊子にて明言されている。)) --キノの声優が初期のラジオドラマ版のキャスト、久川綾氏となっている点は賛否が分かれる。なお、久川氏がキノを演じるのは10年以上振りのことだった。 ---TVアニメ版を皮切りに、それ以降のゲーム・劇場版では前田愛氏(声優ではなく女優の方)が担当しており、担当数では最も上なのだが、本作ではオファーが困難だったためなのか不参加となった。 ---元々、キノの旅のアニメ版はキノとエルメスに俳優業メインの声優を使っており、「演技が稚拙」と言われることも多かったが、経験を積んだだけのことはあり、作品のカラーも相まって現在でもそういった意見が根強いわけではなかった。 ---アニメ開始当初はやや難色を示されていた前田氏も、現在では好意的な意見も増えており、ほぼ定着仕切ったうえでの変更(あるいは先祖返り)だったために、むしろ残念に思う声もあがっている。 **総評 ゲームとしては大きな問題はなく出来ており、とっつきやすさに重きをおいた初級者向けの格闘ゲーム。~ しかしクロスオーバー要素の強いオールスターキャラゲーとして見ると、やや力不足感が否めない。~ 特にキャラクターの少なさは問題である。サポートのみの作品があるのも残念な話である。~ 20周年という記念の節目に行われたビッグプロジェクトではあったが、キャラゲーとしてはややこじんまりした内容となっていると言わざるを得ない。 ---- *電撃文庫 FIGHTING CLIMAX(家庭用版) 【でんげきぶんこ ふぁいてぃんぐ くらいまっくす】 |ジャンル|2D対戦格闘|&amazon(B00MHKGZZU)&amazon(B00MHKH0C2)| |対応機種|プレイステーション3&br;プレイステーション・ヴィータ|~| |発売元|セガ|~| |開発元|エコールソフトウェア&br()フランスパン|~| |発売日|2014年11月13日|~| |価格|【PS3】6,980円(税抜)&br()【PSV】6,170円(税抜)|~| |レーティング|CERO:C(15才以上対象)|~| |判定|BGCOLOR(lightsteelblue):''改善''|~| |ポイント|オフラインはほとんど無価値&br()オンラインは穴だらけだった&br()アップデートでまともな内容に|~| **概要(家庭用版) 同タイトルを家庭用版として移植した作品。本作で追加されたキャラクターは、のちのアップデートでアーケード版にも反映された。~ 概ね評価点と問題点はアーケード版に準ずるが、発売当初は家庭用版特有の問題が山積みで、評価を落としてしまった。~ なお、現在はアップデートを重ねたことでそのほとんど改善されている。 **問題点(家庭用版) -オフラインモードの内容が薄味 --ストーリーモード以外は「スコアアタック」「タイムアタック」「サバイバル」程度しか無く、しかも内容は根本的には同様なので変わり映えがない。 -初心者向けモードの薄さ --アーケード版では初心者への対応が片手落ちになってしまっていたため、家庭用では初心者向けモードの充実が期待されていた…のだが。 --蓋を開けてみればコンボチャレンジどころかチュートリアルすらない状態であった。アーケードよりも初心者の参入ハードルは低いため、ブレイブルー並みに詳しくはせずともガードの種類や簡単な立ち回り指南くらいはつけても良かったのではないだろうか…。 --一応、公式サイトで解説動画が公開されているが、ゲーム内から見ることはできない。 -問題しかなかったオンライン対戦 --以下の内容は現在ではほとんど改善されているが、当時は相当酷い有様で、非難轟々だったことは否めない。 ---ランクマッチ(ランダム対戦)はクイックマッチのみ。待ち時間が長いのだがその間トレーニング待受などは一切出来ない。 ---それだけ待たせるくせに、マッチング完了の際のSEがなく、待っている間席を離れることも難しかった。 ---「マッチング後の対戦拒否(自分から・相手から問わず)」やエラーが出るとキャラ選択カーソルが元に戻るため、サポートキャラが初期位置のヴィルヘルミナに戻り、ボタンを連打しているとそのままヴィルヘルミナを選んでしまう人が続出した。 ---個人部屋作成モードもまた時代錯誤甚だしく、入室制限(いわゆるプライベートスロット)や招待制度がない。 ---しかも部屋名を指定出来ないので、入室側は片っ端から部屋に入りまくって相手を探し、部屋主は見知らぬ相手を蹴るしかないという劣悪な環境だった。 ---この点はアップデートで概ね良い方向に改善されたが、未だにトレーニング待受はできず、部屋名に関しては定型文での簡易的なものしか設定出来ないため、全てが望み通り改善されたわけではない。 **評価点(家庭用版) -トレーニングモードの仕様 --本作はトレーニングモード中にプレイアブル・サポートキャラ・ステージの変更が可能。一々キャラ選択に戻らなくても様々な練習が出来るためストレスフリー。 -ロードがとにかく短い --2D作品ということもあってか、かなりストレスフリーにプレイ出来る。やれることは少ないが、純粋にこのゲームを楽しむ場合の引っかかりは少ない。 -「ドリームデュエル」モードの追加。 --「ドリームデュエル」はアーケードモードとは異なり、やや和やかな雰囲気で進行するCPU対戦モード。 --このモードの真骨頂はキャラ同士の掛け合いにある。本作のアーケードモード及び戦闘前台詞にはクロスオーバーネタが多く含まれているが、これらはあくまで一言二言で済んでしまう程度のもので、お祭りゲーとして十分なクロスオーバーが為されているとは言い難かった。この「ドリームデュエル」モードはそれらの不満を解消するもので、しっかりとキャラ達が会話し、お祭りゲーならではのクロスオーバーを見せてくれる。 ---一例を挙げるなら、キリトが深雪と会話する中で自身の過去の無力を思い出し、悔やむシーン((司波深雪の声優は、SAOの「サチ」と同じ早見沙織氏。キリトはかつて、自身の無力から目の前でサチを死なせてしまったという過去を持つ。))等。 **総評(家庭用版) 初期の仕様はあまりにもプレイヤー的に辛い要素が出揃ってしまっていたが、アップデートで概ね改善された。~ しかし万全とは言えず、オンライン要素を持つ家庭用対戦格闘としてはやや不満の残る出来となってしまった。~ オフラインの非充実は、アーケード移植ゲームにありがちな問題点だが、本作はその中でも特に薄い部類なのは残念な点。 ----