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無双OROCHI - (2023/12/12 (火) 10:40:06) のソース

*無双OROCHI
【むそうおろち】
|ジャンル|タクティカルアクション|CENTER:&amazon(B000N5DJKA)&amazon(B000SYGQQU)|CENTER:&amazon(B0010LRD4O,image=https://encrypted-tbn0.gstatic.com/images?q=tbn:ANd9GcTmZVYZehFwyweVzX4croxVk6EfB9k8xtmYaA&usqp=CAU,width=95,height=160)&amazon(B00133IOSS)|
|対応機種|プレイステーション2&br()Xbox 360&br()プレイステーション・ポータブル&br()Windows|~|~|
|メディア|【PS2/360/Win】DVD-ROM&br()【PSP】UMD 各1枚|~|~|
|発売元|コーエー|~|~|
|開発元|コーエー(オメガフォース)|~|~|
|発売日|【PS2】2007年3月21日&br()【360】2007年9月13日&br()【PSP】2008年2月21日&br()【Win】2008年3月20日|~|~|
|定価|【PS2/360/Win】6,800円(税別)&br()【PSP】5,280円(税別)|~|~|
|レーティング|CERO:B(12才以上対象)|~|~|
|コンテンツアイコン|暴力、セクシャル|~|~|
|判定|BGCOLOR(lightgreen):''良作''|~|~|
|>|>|>|CENTER:''[[無双シリーズ]]''|
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#contents(fromhere)
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**概要
無双シリーズの10周年記念として発表されたシリーズのオールスターゲーム。~
システムは『[[戦国無双2]]』がベースであるが、『[[真・三國無双4]]』と『戦国無双2』のキャラクターとマップが登場し、日中の英雄共演が繰り広げられる。

「魔王・遠呂智(おろち)」によって、『真・三國無双』シリーズの世界と『戦国無双』シリーズの世界が融合。~
遠呂智によって支配されてしまった世界を舞台に『三國』と『戦国』の英雄たちの共闘や対立が描かれる。

『戦国無双2』では登場しなかった石川五右衛門、今川義元、くのいちも復活したが、『[[戦国無双2 猛将伝]]』で新しく登場した武将と『[[真・三國無双2]]』にのみ登場した伏犠・女媧は使用できない((彼らの登場は次回作『魔王再臨』を待つことになる。))。

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**システム
-チームバトル
--『無双OROCHI』シリーズ最大の特徴として登場した要素。
--操作するのは1人だけだが、出撃前に3人一組の自由なパーティーを組み、戦闘中はL2かR2で自由に入れ替えられる。待機キャラは体力と無双ゲージが徐々に回復していく。
---切り替えは一瞬で行うため隙が無く、被弾中か騎馬中以外なら攻撃中だろうといつでも切り替え可能。
--基本的に本シリーズでは''敵への攻撃、及び被ダメージでの無双回復が武器属性や一部特技を除いて一切発生しない''ので、基本的には次々にキャラクターを入れ替えながら進むことになる。
--2人以上のキャラが無双ゲージが最大の時に、無双技を発動させたままそのキャラに切り替えることで''無双バースト''が発動。
--体力に関係なく真・無双乱舞/無双秘奥義が発動し、さらにアタッカータイプの組み合わせに応じた属性が付与される。
---操作キャラの体力が尽きると、待機キャラの状態にかかわらず即ゲームオーバー。

-三國武将と戦国武将の違いもほぼそのまま再現されている
--最も大きな違いは無双技と馬上チャージ。三國武将は馬上チャージに区別が存在せず、どこで出しても同じ攻撃。
--また「無双乱舞」は○ボタンを離すとその時点で乱舞が終了しゲージが残る。
--一方戦国側は4種類の馬上チャージを持ち、また「無双奥義」は○ボタンを離しても乱舞が止まるだけでゲージ減少が止まらないが、ゲージが無くなるまで無敵状態で通常技を繰り出せる。
---それ以外にも通常攻撃とチャージ攻撃の繋がり方・技数など相当な違いがあるが、割愛する。
---ただし、信長だけはチャージ攻撃が表記上は2段階しかないものの、実際は3段階存在する((『戦国無双』や『戦国無双2』の特殊技2の3段階強化時と同等。))。1人だけの特別仕様で妙に優遇されている。%%主人公補正か%%
---もちろんモブ武将も本家のモーションで戦う。三國系モブは剣(2種類)、槍、戟の4種類で戦国系モブは刀、槍(三國系モブの槍とは別物)の2種類。一部の妖魔武将は薙刀で戦う。
---『再臨』と『Z』では残念ながらモーションの統廃合が行われた関係で''戦国系モブが三國系モブのモーションに変更されて彼等の特色が失われてしまった。''
---また、三國系モブでも戟が削除されてしまいコレを獲物としていた方々も泣く泣く槍へと持ち替えた。

-アタッカータイプ
--全ての武将は「力(パワー)」「速(スピード)」「技(テクニック)」のいずれかのタイプが設定されており、それぞれタイプに対応した特徴がある。
R1ボタンでキャラ固有のタイプアクションを放つことが出来る。

#region(以下それぞれの特徴)
-力…固有能力は「ハイパーアーマー」で、攻撃モーション中は敵の通常攻撃でひるまなくなる。
--タイプアクションは大量の無双ゲージを消費して「必殺技」を放つ。「攻撃速度や攻撃力が上がる」などの強化を自身に施すものもある。

-速…固有能力は主にジャンプ系のものが2つある。ジャンプ中に再度×ボタンを押すことで無敵状態で空中を前進できる「空中ダッシュ」の他、『真・三國無双4』の飛龍甲のような能力「ジャンプキャンセル」を備えている。本作では無双乱舞以外の全ての地上攻撃でジャンプキャンセルが可能。
--タイプアクションは、スティック入力の有無で2種類の技を打ち分けられる「コンビネーションアーツ」。
--こちらもジャンプキャンセル同様、各攻撃をキャンセルして出せるので多彩なコンボが楽しめる。一部のキャラを除いて無双ゲージは消費しない。

-技…固有能力は空中に浮いているor浮かせた敵に与えるダメージが他のタイプより大きい「クリティカルヒット」。
--無双シリーズでお馴染みの、空中に浮いた敵はダメージが半減する仕様が撤廃されており、デメリットはない。
--タイプアクションは威力、攻撃速度ともに強化されたチャージ攻撃を放てる「EX(エクストラ)チャージ」。
--三国勢のチャージラッシュなど、レベルなどの特定条件で追加派生する技は無条件で全体が発動する。
---EXチャージは武将ごとに特定のチャージ攻撃が専用のモーションに変化する固有技「SP」に置き換わる。
---また、地上仰け反り中に発動することで「EXカウンター」に変化し、無敵状態で反撃技を繰り出し、敵の攻撃から逃れられる。
--これらの特殊能力は敵として登場した時も同様。ただしスピードタイプのキャラはジャンプキャンセルと空中ダッシュ、テクニックタイプはEXカウンターをしてくることがない。
---また無双消費技を使う際には溜め動作が入る。この動作中に攻撃を当ててひるませれば発動を止めることが可能。

#endregion()

-成長システム
--従来の無双シリーズでも採用例が多い経験値方式。今回は『戦国無双2』と同様のスタイルであり、戦闘中に敵を倒したり、また「経験値アイテム」を獲得して、規定値に達するとその場でレベルアップする。
---ただし、『戦国無双2』と違いレベルアップしても能力値が上昇するのみで、一時能力アップ効果や体力回復効果はない。
--戦闘中に獲得した経験値は「ストック経験値」としてさらに累積され、それを任意のキャラクターに与えることもできる。
---レベルはキャラクター1人につき99まで。レベルが上がると能力値が上昇したり、使える攻撃と衣装が増える。

-武器システム
--戦闘中に特定の敵将を倒した時に出現する「宝箱」を取ってクリアすると、1箱につきチームメンバー3人分の武器をそれぞれ1本ずつ獲得できる。
---ユニーク武器に当たる隠し要素は存在せず、該当するモデルは第4武器として、高難易度の通常プレイで普通に複数入手可能となっている。
--武器には「特殊効果装備枠」が最大8個まで付いており、そこに武器属性を装備できる。これらの属性は一部のチャージ攻撃のみに付加されるが、キャラクターによっては頻繁に発動したり、もしくは全く効果を発揮しないことがある。
--『三国』の「玉」に相当する要素だが、1武器に複数属性を組み合わせることが可能。各属性には10段階のレベルがある。
--武器の属性は「武器融合」によって、所有している武器同士の持つ属性を自由に組み合わせて強化・上書き出来る。
---融合は何度でも繰り返せる。ただし、武器攻撃力は最大+20まで、属性はLv10×最大8種類までという限界がある。
---融合強化には「攻撃力強化」「属性追加」「属性装備枠増加」の3種類の要素があり、それぞれの効果に応じたストック経験値を消費する。

-特技
--旧作の装備アイテムに相当する。能力値を上げるものから無双ゲージの消費量を軽減するものなど全18種類で、レベルは10もしくは20が上限。
--キャラクターごとに決められた条件があり、条件を達成すると1人当たり3~4個まで習得できる。すでに習得していたものは他キャラで達成するとレベルが上がる。
--習得した特技は全キャラクターで共有され、チーム全体で装備できる。特技の装備枠は7個で、習得済みのものから自由に選べる。
--足の速い馬に乗りたい場合は「馬術強化((馬術強化レベルが最大になると、チームの先頭が戦国キャラなら松風に、『三國』キャラが先頭なら赤兎馬に乗った状態でスタートする。))」をセットするべし。

-その他
--連合
---本作~『Z』までのシステムとして、味方武将の近くにいる場合、プレイヤー武将の体力が徐々に回復するようになっている。
---第3(黄色)勢力の武将と接触する場合も同様だが、第三勢力の場合は離れても体力回復が維持されたままとなる。この仕様もあり、本作の第三勢力は全て味方扱いで、敵として出ることはない。
--キャラ専用アイテム
---キャラごとに決められた条件を達成すると入手できる。一度獲得すると自動装備になり、各アタッカータイプのタイプアクションが強化される。『再臨』以降では廃止。
--馬呼び
---セレクトボタンを押すことで馬を操作キャラの近くに呼べる。呼ばれる馬は操作キャラが最後に乗った馬。馬に一回も乗ってない場合は最も遅い馬が呼ばれる。
---馬呼びがなかった『三國』シリーズのキャラクターにもモーションが作られている。

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**評価点
''アクション面''
-『三国』『戦国』キャラが入り乱れたバトル
--3人一組のチームバトルなので、メンバー全員を織田軍で固めたり、魏・呉・蜀の3君主などでチームを組むなど、自分の好きなキャラを選んで遊べる。また、上記のタイプアクションなども相まって非常に爽快、かつお手軽なバトルを楽しめる。

-アクション
--不完全であるものの、原作より性能がアッパー調整されたキャラも多い。
---微妙だった太史慈のC4に衝撃波(通称:太史慈砲)が追加されたり、星彩のC1にアーマー効果が追加されたりと。原作と比較すると楽しいかも。
---本作で追加された仕様の一部は後の『三國』『戦国』にも逆輸入されていたりする。
--従来の一騎当千のアクションに加えて、魅せるコンボを追及するのも面白くなっている。
--キャラクターチェンジは一瞬で可能で、特にスピードタイプはジャンプキャンセルや空中ダッシュなどを絡めて多彩な動きが可能と、突き詰めると従来の無双シリーズとはとても思えないようコンボも可能となる。

-ワラワラ度は過去作と比べるとかなりのもの。ステージにもよるが千人斬りも容易く、爽快感の向上に一役買っている。

''その他''
-ストーリー
--このシリーズの世界観は魔王と呼ばれる存在「&ruby(おろち){遠呂智}」がある目的のため、『三國』『戦国』の世界を1つの世界に強引に融合させたものとなっている。
---この強引な融合により、各地の戦場はマップこそほとんど両原作と同じだが、一部原作とは異なる繋がり方をしていたり、他にも遠呂智の影響が強いフィールドが溶岩に覆われていたりと、混沌とした戦場が展開されている。
--「魏」「呉」「蜀」「戦国」とストーリーが分かれているが、''これらの時系列が一本に集約されている。''
--つまり、あるストーリーでのキャラの行動や言動などが別ストーリーでの伏線や地続きとなっている場合があるということで、良く練り上げられた構成である。
---例えば、「戦国」シナリオでは第1章で織田軍に関平が合流し、以後参入することとなるが、別の勢力のシナリオで織田軍が敵として立ちはだかるステージでも、織田軍に混じって登場してくるなど。
---各勢力のストーリーの展開に応じて登場人物達の所属先も移り変わるが、異なるストーリー同士でも関係性をしっかりとリンクさせることに成功している。
---その中に、誰しもが夢見たキャラ同士の対決や、意外なキャラの共闘など、無双ファンなら必見もののイベントが織り交ぜられており、お祭りゲームとしてのツボもきちんと押さえている。
--全ストーリーが一続きなため、ユーザー間では「蜀 → 呉→魏 → 戦」の順にプレイすることが推奨されている。

-BGM
--『三国』『戦国』シリーズの人気曲はほぼ網羅している。
--本作オリジナルBGMも粒ぞろいであり評価が高い。一部の曲は次回作以降の『無双OROCHI』シリーズでもアレンジやDLCとして使われている場合もあり、人気の高さが窺える。

-収集要素の運要素の撤廃
--武器はストック経験値が溜まりづらく武器を8つまでしか所持できないという面倒な仕様があるものの、武器融合によって手軽に理想武器を作れるのは非常に便利。
--これまでの運依存という最大の制約から解き放たれたことの影響は計り知れず、後の無双シリーズにもこれに準じる要素が度々導入されている。
--特技に関しても後半になると条件が面倒だが、運が絡まずに最大レベルを入手できるという点では評価できる。

-遠呂智軍のモブ武将には和漢の様々な妖怪達が名を連ねているのだが、中には「襟立衣」や「酸与」といった恐ろしくマイナーな妖怪もおり歴史好きだけでなく妖怪好きをもニヤリとさせる。
--公式からの明示はないが、人選はイラストレーター氷厘亭氷泉氏のサイト「[[和漢百魅缶>http://wakanmomomikan.yu-nagi.com/momomikan.htm]]」を参考にしたのではないかとの考察がある。

-本ソフトだけの特典として『三國』は初代から『4 Empires』までの、『戦国』は初代から『2 Empires』までの歴代PVが収録されている。
--本作でのプリレンダムービーは少ないが、全キャラの壁紙が収録されており、タイトル/メニューの背景画面にすることも可能。

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**賛否両論点
''キャラクター関連''
-一部のキャラを仲間にするのに非常に面倒な条件を踏まなければいけない場合がある。外伝で加入するキャラはほとんどがこのパターン。
--特に呂布は「元々出すのに条件がある8章外伝を出して、その8章外伝で条件を満たすのを全陣営で達成する」とかなり長い。
--ただし、次回作では割とあっさり仲間が増えていくので肩すかしをくらったというプレイヤーもいるし、本作での「面倒な条件を経てキャラを解放する」という作業にやりがいを感じる人もいる。

-キャラクターの扱い、出番の差
--お祭りゲーにはよくあることで、本作のキャラクターは膨大な数故に細かい部分は割愛するが、それを考慮しても劉備の扱いが悪い。
---というのも、本作の劉備は完全にお姫様扱い。『三国』『戦国』の君主たちは最終的には出番があり遠呂智と戦ってくれるものの、劉備だけは最後まで囚われたまま。
---そしてようやくエンディングで劉備を救出した際の台詞は「皆…」の一言だけ。あんまりすぎる。

''その他''
-バグがそれなりに多い。
--攻撃のエフェクトがその場に残り続ける、近くの武将が宙に浮き続けるといった何でもないものから、特定の条件下で勝利できなくなるバグなど様々。
--幸い進行不能になるバグはそう多くなく、石川五右衛門とくのいちのジャンプチャージの攻撃範囲が異常に広くなるものや徐晃のジャンプチャージを延々と続けられる、といった感じにプレイヤーに有利なバグの方が多いくらいである。
---なお、これらのバグは基本的にPS2版のみである。PC版でも雷属性攻撃で武将に止めを刺すと、たまに一瞬で200HITする等のバグが残っている。
---ただし、HIT数がむやみに加算されるだけで、本作ではHIT数依存の何かが無いので気にする事はないのだが。

-時間制限表示に小数点以下の秒数が表示されない。
--通常プレイでは問題ないものの、本作ではその火力インフレ故にタイムアタックも熱いため、細かい時間が表示されないのは結構痛い。
--ちなみに、『無双OROCHI』シリーズでは士気ゲージの上に制限時間が表視されるようになっている。

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**問題点
***ゲームバランス
''敵の攻撃力が高すぎる''
-ゲームバランスが非常に悪い。簡単に言えば敵のパラメーターが異常に高いのに対して、プレイヤーのそれが貧弱すぎる。
--流石に『2』と違ってワンパン即死はないものの、下記の仕様も合わさってワンコンボ即死は十分あり得るレベルで起きる。
--高難易度ならともかく、本作では低難度で、それも有効な特技も武器も無い各ストーリーの第一ステージでかなりの苦戦を強いられるのは流石に擁護できない。
---また難易度曲線もおかしく、ステージ2あたりで急激に難易度が高くなる。
--最高難易度の「激難」に至っては雑魚やモブ武将の攻撃数発で限界まで育てたキャラが秒殺されることもある。
---本作の高難易度の意義は「難しい」以降で4武器・キャラアイテムが手に入ること、それと難易度を上げるごとに合成に使いやすい武器が手に入ることのみのため、「激難」をプレイする必要性が無いのが救いか。
--本作では3人交代制故に敵の攻撃力を高めにして、キャラ切り替えを促すよう考えられたと思われるが、それを阻害する仕様が…(下に続く)。
---というより、いくら交代制とはいえ上記の通り操作キャラの体力が尽きると、待機キャラの状態にかかわらず即敗北の為、やり過ぎとすら言える。
--本作のCPU武将は『戦国無双2』並みに攻撃頻度が高い。その為敵武将が複数集まるとワッショイされる事もザラ。コレは『再臨』や『Z』でも同様。

-特にプレイヤーの防御力に関してフォローがほとんど効かない。
--そもそも防御力、体力を上げる手段に乏しい
---それぞれレベルを上げるか、特技を使用するのみでしか上がらない。仮に最大まで上げても高難易度になると焼け石に水状態。
--切り返し手段
---基本的に浮かされてない状態で、無双乱舞、無双奥義の衝撃波、テクニックタイプのEXカウンターを使用するしかないと条件が接地状態な上そもそもの抵抗策が少なすぎる。
---前述の通り敵に攻撃を当てる、敵から攻撃を受けても無双ゲージが回復しない。
---そのためゲージ消費が微量のカウンターはともかく、乱舞/奥義は無双ゲージが最大の時にしか使用できないため気軽に使用できない。ゲージが無い時に攻撃を食らうとまず詰み。
--ガードが意味をなさなくなる
---PS2の無双シリーズ共通の仕様である「敵の攻撃力がこちらの防御力を大幅に上回った場合、敵の攻撃がガード不能になる」という仕様が本作でも残っている。
---ただでさえ立ち止まって正面に捉えなければいけないという集団戦がメインになるゲームでは到底使えない仕様でありながら激難の火力インフレが加わり、レベルカンスト+特技で防御力を上げてもチャージ一発で弾かれ、雑魚ですら鉄砲一発ガードすれば弾かれる、そして上記した様に動けない、ガード範囲も狭い。もはや存在価値が無い。
--仰け反り
---同じく同機種の伝統として「被ダメージが多いほど仰け反りが長くなっていく」仕様も攻撃力がインフレしている本作ではバカに出来ず、一旦攻撃を食らうと無双ゲージがなければそのまま死ぬ。
---弓兵、銃兵もかなりの精度でこちらを狙い撃ちしてくる上、攻撃頻度も高く、当たり判定も妙に大きくなっている。
---さらに意図的に配置数が増やされており、さらにはこちらの画面に表示されない距離から狙い撃ってくる。
---弓兵、銃兵部隊が複数存在している場合、そいつらの処理をしようとして横槍 → 即死もあり得る。
--''本作~『Z』では空中で攻撃を喰らってもダメージが半減しない。''その為、空中でリンチされると他作品よりすぐに死にやすい。
--一度空中に浮かされるとテクニックタイプでも何もできないため、眺めるしかない。
--味方はそれほど固くは無いため、敵武将の攻撃を受ける瞬間を目撃した場合一瞬で敗北になることも…
---特に遠呂智の周りに群がる味方(総大将も含む)がどんどんやられていき、そのままゲームオーバーになることもある。
--防御手段に乏しいのも痛い所。
---と言うのも『真・三國無双2』の「パワーガード」もなければ『戦国無双』シリーズにあった「緊急回避」もない。
---激しい剣戟に見舞われていてもガードで我慢するしかなく、硬直で動けなくなってる状態でガード崩しを織り交ぜられたらひとたまりもない。
---また、めくり攻撃にも無力。こちらも『再臨』や『Z』でも同じことが言える。
---そしてこうした劣悪なバランスの結果が後述する問題点に繋がる。

''属性ゲー''~
『無双OROCHI』シリーズは(後の無双シリーズでもこう呼ばれるゲームはいくらかあるが)属性ゲーと揶揄されるほど、武器属性が極めて強力で依存度が強いゲームである。~
具体例を挙げると、''武器属性や特技によって、激難高難易度の敵武将や遠呂智ですら一瞬で溶かすほどの攻撃力を得られる。''~
本作の爽快感に繋がる魅力である一方、この属性にもバランス面でいくらか問題点がある。

-使える属性と使えない属性の差が激しい。
--例外なく相手のガードを無視し威力も最大+30%の「陽」をはじめ、それぞれ無条件または敵武将相手で攻撃力を最大+40%する「極意」「勇猛」や、対空限定だが+60%の「破天」に加え、真空書も真っ青なレベルで武器の攻撃範囲を拡大する「旋風」だけでなく、属性のレベルやモーションによっては速すぎて見えないほど攻撃速度を上昇させる「神速」など異常に強力なものが揃う。
---一方で、属性も全体的に倍率系のもので火力インフレできるため、敵の動きを'''低確率で'''止める氷、炎上ダメージが弱い炎(PSP版では強化され候補に入る場合もある)、敵にダメージを与えた時に体力、無双ゲージを吸収するが吸収量が少なすぎる吸生、吸活などは活かせるキャラへの依存度が高い為上述した強い属性と比較すると不遇。
--よって、最終的にどのキャラも同じような構成に陥りやすい。「雷・陽・斬・旋風・神速・極意」この辺りはほぼ全ての武将に使うレベル。
--また、本作の武器属性はほぼ全部一部のチャージ属性を強化するものばかりであり、防御系を強化するものは存在しない。

-COLOR(red){''武器属性はチャージ攻撃にしか乗らない。''}
--そのため、通常攻撃や騎馬攻撃、無双乱舞/奥義を主力とするキャラは非常に肩身が狭く、弱い傾向にある。
--また、一口にチャージ攻撃に乗るといっても、チャージ攻撃への乗り方は様々な例があり、キャラ格差が激しい。
---厳密にいえば、チャージ攻撃の武器本体にしか属性が発動しないため、''衝撃波には乗らない''(例外有り)。衝撃波を主力にしていたキャラクターも必然的に大幅に弱体化している。
---しかし何故かバグっているくのいちと五右衛門以外はジャンプチャージには一部の属性が乗る等、調整も雑。
---関平のC4、曹操のC6といった複数回の攻撃全てに属性が乗って非常に強力になるパターンもあれば、連続攻撃の最後にしか乗らないパターンもある。
---一部のキャラはこの仕様で強くなったものの、出すまでに時間のかかる後半のチャージ攻撃の利点を潰した((特に後半のチャージ攻撃ほど強力であったり衝撃波が使われる傾向にあったのも大きい。))として批判されるケースもある。
---結果的にひたすらそのキャラの中で早く出せて属性が乗る強いチャージをひたすら繰り返す、という非常にワンパターンになる原因にもなっている。

-無双バーストはアタッカータイプの人数によって固定の武器属性が1つ発動するという仕様上、中盤以降はまず使われない。
--単純に火力不足な上、上述した様にゲージが無い状態での被弾=死に繋がる本作において、唯一と言える緊急回避の手段を潰してまで使えるとはとても言えない。

-武器属性以外でキャラクターの能力値、火力を強化する手段がほとんどない。

まとめると、敵も自分も火力が凄まじいまでにインフレしており、敵の攻撃を食らう前に高速広範囲超火力を当てる世紀末じみた戦法が半ば必須となっている。~
武器強化や特技を装備出来ない序盤では敵も結構固い。そのため攻撃力もかなり低くゴリ押しも不可で、ジリ貧になりがち。~
これが、お互いの火力インフレが賛否両論点ではなく問題点に入る理由である。

''格差問題''~
当時の無双シリーズ共通の問題点だが、キャラ性能の格差がとにかく酷い。本作の難易度が高めなこと、属性ゲーである事もあって余計に目立つ。~
この手のゲームでは強キャラに関しては叩かれることは少ないものの、高難易度で戦うのが困難な弱キャラは批判される傾向にある。

-アタッカータイプ
--チャージ攻撃やタイプアクションの性能も考慮する必要があるため一概には言えないものの、やはりある程度の優劣はある。
--また、キャラ性能そのもので強弱が決まっている面もあり、タイプ自体があってないような状態になっているキャラもいる((ハイパーアーマーを自前で用意出来る曹操等。))。
---テクニックタイプが比較的優遇されている。やはり他二種と違い、少量のゲージ消費で出せるカウンターの存在が大きい。
---逆にパワータイプはハイパーアーマーが災いして高難易度だとアーマーを活かすまでもなく削られてすぐに死ぬ。
---しかし、そんなパワータイプでも関平や森蘭丸等のチャージ攻撃を連打を出来るキャラはアーマーの恩恵をとことんまで受けられたり、やはり調整不足が目立つ。

-タイプアクション
--技自体の性能の差が激しい。キャラ性能を一変させるものから全くの役立たずまで千差万別。

-武器属性のせいでチャージ攻撃以外不遇なのは上記の通り。

-以上を踏まえて、強キャラに関しては属性を乗っけまくった貂蝉のチャージ1の壊れっぷりが特に有名((そのチャージの動作ゆえに、「スライディング神」や「盗塁王」などと呼ばれている。))。
--真田幸村や石田三成も非常に強力で、タイプアクションだけで敵をほとんど殲滅できてしまう。
--逆に董卓や張角、伊達政宗などは特に強みがないので苦しい戦いを強いられる。ただし本作のシステムによって原作より強くなった島津義弘などのキャラも存在する。
---余談だが本作の呂布はパッケージを飾る本多忠勝と比較するとかなり弱くネタにされている、貂蝉とはもはや比べ物にならない。基本モーション自体は優秀だが、属性が乗らなさすぎる為、『無双OROCHI』の環境についていけてないのである。

-一部調整ミス
--''弓、射撃系や一部の衝撃波系攻撃の異常な弱体化''
---属性が乗らないのは上記の通りだが、属性を抜きにしても攻撃力が無いに等しく、殆どダメージを与えられない。~
これにより弓による攻撃をメインとする黄忠、夏候淵、稲姫は性能が悲惨なことになっている。
---また劉備、馬超、袁紹なども『真・三国無双4』では主力技であったチャージ6がどうしようもないことに。
--一部の武将で、通常攻撃で攻撃モーション中の敵を仰け反らせることができない。
---もちろんパワータイプ以外どころか、雑魚敵すら例外ではない。そのため、立ち回りに非常に神経を使う。
--武器属性「神速」
---攻撃速度が大きく上がるという仕様は今までなかったため、調整ミスがいくらかある。例えば衝撃波の発動場所が大きくズレたり、攻撃判定の出る時間が短すぎて満足に判定が出なかったりと。
---特に有名なのは司馬懿で、神速が8を超えると、よりにもよって主力であるC4の範囲が物凄く狭くなり、大幅に弱体化する。
--キャラアイテム
---タイプアクションが強化されるアイテムだが、呂布のみ明らかに時間制限がおかしい。上手いこと進んでも残り5秒でギリギリ成功なんて報告もある。
---PS2版ではディスクトレイを開け、イベントを停止させつつ左近の掴みバグを使って半無敵にして…という攻略法もあるが、360/Win版ではその手段も使えない。
---2Pでやれば実質ノルマが1/2になるため、友達を頼るのが一番の解決法と言われている。
---一応、開発側でもこれはまずいと思ったのか、最後発のPSP版では、制限時間が伸びている。

***その他
-ストック経験値の上限が少なすぎる。
--武器の融合やキャラのレベルを上げられるストック経験値だが、その上限は99999である。
--そんなに少なくないと思うかもしれないが、今作の武器融合には1項目3~4桁程度のストック経験値を使うので、たとえ上限まで溜まっていたとしてもあっという間に底を突くことが多い。
---また、武器に付加する属性によって必要量が違ううえ、有効な属性ほど必要量が多い。属性のレベルが高いとさらに上がる((具体的には「炎1」を付加するのに必要なストック経験値は600なのに対して「炎5」を付加するときは3000必要、といった感じ。))。
---また、基本的にストーリーの難易度に応じて入手できる武器の質が変わるため、強い武器が手に入るときにはすでにそれなりの数とレベルの属性をつけてしまっている、という状況に陥りがち((そしてそれを移すのに大量のストック経験値が必要になる。))。
--今作はレベルが上がるにつれ使える技が増えるため、低レベルのうちはキャラの性能の全容を把握できない。
---''レベルが21を越えるあたりですべての技が使えるようになるのだが、普通に戦ってそこまでレベルを上げるのは結構大変なのである。''
---その為、お手軽にレベルを上げられるストック経験値をうまくやりくりしたり稼いでいかねばならない。

-特定の条件を達成することで入手できるキャラアイテムは効果のほどがイマイチわかりづらい。
--入手したことでタイプアクションが驚くほど強くなるキャラもいれば、なにがどう変わったのかまったくわからないキャラもいる。
---またこちらも、入手に非常に手間のかかるものがある。特に呂布などは入手を諦めた人もいるのではないだろうか((呂布は流石に条件が厳しすぎたのか、後発のPSP版では難易度が引き下げられている。))。

-その他
--ストーリーは60シナリオあるものの、モードが実質ストーリーしかないため、やや飽きやすいか。
---フリーモードは従来と同じく制限なしで武将を組めるという差別化があるものの、ストーリーモードをクリアするとストーリーモードでも制限なく武将を組めるようになる。~
おまけに、フリーモードでは新たに武将を仲間にできない((一応、仲間になるかどうかの台詞判定の区別はつくようになっている。))。
--本作のテロップ・セリフ枠も戦国2準拠なので、敵味方で武将名の色の変更が無い。その為、敵味方が若干わかりづらい。
--騎乗の仕様だけは『真・三國無双4』準拠。その為、騎乗ゲージが無く攻撃を1発食らっただけで落馬する。騎馬を主力にするキャラは辛い。
---また、騎乗中はキャラチェンジが不可能。
--『戦国無双2』でリストラされた3人(石川五右衛門、くのいち、今川義元)も第4武器が実装されている。
---問題は、『戦国無双』の第4武器は「レア武器ではない」ので、他キャラと比較すると少々派手さに欠けてしまう。せめて5武器を使い回してやれよ…。

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**PSP版において
-PSP版のみ、PS2版にあったバグの修正や、不遇だった炎属性の強化、キャラアイテムの取得条件の緩和など一部ゲームバランスの見直しが為されている。
--さらに、それまでのPSPへ移植した無双シリーズでは「マップが一続きではなくエリアとして分かれ、そこで戦闘しては次のエリアに進む」といったものだった。
---だが、''本作のPSP移植版は据置機と同じようにひとつながりのフィールドを移動できるようになった。''

-またPS2版と比べても敵の群がり具合はさほど変わらないので携帯機でも手軽に楽しめる。
--反面、容量の限界で、戦場での台詞は武将撃破時以外は音声なしになっており、イベントムービーも紙芝居のようになっている。

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**総評
無双シリーズにおけるお祭りゲーの記念すべき第1作。~
後に続編も多々作られることになるシリーズだが、その基本的な骨子は本作で概ね完成している。~
『三国』『戦国』入り乱れてのバトルの爽快感は素晴らしいものがある。~
無双シリーズのファンが夢見た、時代を超えた武将同士の夢の共演が実現した作品といえよう。

しかし本作では難易度が明らかに調整ミスな上、武器錬成で何とかなるとはいえ理不尽気味に高い為、かなりの苦戦を覚悟しなければならない。~
現在では次回作『[[無双OROCHI 魔王再臨]]』ベースの改善されたバランスで本作のストーリーを追加実装した『[[無双OROCHI Z]]』が登場している((モブ武将だった前田利家が滝川一益に差し替わっており、戦国2章『本能寺の戦い』の「炎、か… 利家、火元を絶て」という織田信長の名指しセリフも削除されている以外は概ね忠実な移植。))。

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**余談
-本作の影響で「三国志と戦国時代は対をなす存在」だと思っている者も多いが、実際には''三国志の時代は戦国時代から1500年近く前の出来事''であり、現実の戦国武将からすれば三国志の武将は現代の我々同じく「歴史上の英雄」という感覚であったと思われる。